説明

画像読取装置およびそれを備えた画像形成装置

【課題】 連続原稿読み取り時のページ間の処理を無くし、且つページ内での黒レベル変化も補正できるようにする。
【解決手段】 画素データ加算部501,加算用メモリ502,黒レベル算出部503により、光源が消灯された状態でSCIモジュールの各チップに形成されている受光部および遮光部の各画素の出力レベルを黒レベルとして黒レベルメモリ504に記憶した後、黒レベルFB演算部506が、その黒レベルとの比較によって上記OPB部の黒レベルの変化を検出する処理を常時実行し、その処理によってOPB部の黒レベルの変化を検出した場合に、その変化を黒レベルメモリ504内の黒レベルにフィードバックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被写体の画像を読み取るイメージスキャナ等の画像読取装置(デジタル複合機,デジタル複写機,ファクシミリ装置等の画像形成装置に通信可能に接続された画像読取装置あるいは単体の画像読取装置)、およびその画像読取装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような画像読取装置では、光源の光照射による被写体からの反射光を光電変換する光電変換素子を有し、光源を点灯させて被写体である原稿の画像面を主走査方向に光走査し、その画像面からの反射光をライン毎に光電変換素子を用いて光電変換し、アナログ画像信号として読み取ることにより、原稿の画像を読み取る画像読取部(画像読取手段)と、その画像読取部によって読み取ったアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して出力(画像出力)するA/D変換部(A/D変換手段)とを備えている。
【0003】
このような画像読取装置として、光電変換素子として密着イメージセンサによる読み取り方式を用いた画像読取部を備えた画像読取装置が既に知られている。密着イメージセンサとしては、センサチップ(単に「チップ」ともいう)を複数個並べて配列し、等倍光学系と組み合わせたCIS(コンタクトイメージセンサ)がある。CIS内のセンサチップとしては、CCDセンサを用いたもの、CMOSセンサを用いたものの大きく2種類に大別される。
【0004】
近年、装置を小型化できる、光源光量が少なくて済む、等の特徴から、いわゆるMFP(デジタル複合機)等の高速画像形成が可能な画像形成装置においても、CISを使用する画像読取装置を用いるケースが増えてきている。
また、原稿の表面画像読み取り用と裏面画像読取り用に2つの画像読取部を持ち、原稿の表面と裏面の画像を一度に読み取ることが可能な画像読取装置においては、装置の小型化の面から、裏面画像読取り用の画像読取部にCISを用いるケースが多い。
【0005】
ところで、画像読取装置の画像読取部にCISを使用する場合の問題点として、センサチップの温度上昇による黒レベル(光が入らない状態におけるチップの出力レベル)の変化が挙げられる。具体的には、複数ページ(複数枚)の原稿の連続原稿読み取り(以下単に「連続原稿読み取り」ともいう)時に、黒レベルが時間経過と共に変化してしまい、特に冷えた状態から画像読み取りを開始する時ほど、黒レベルの変化が顕著である。
【0006】
黒レベルの変化による画像品質への影響は、輝度レベルの変化であるが、センサチップを複数配置するマルチチップのCISでは、影響がより深刻であり、センサチップ間の個体差により黒レベルの変化量がチップ間で不均一なため、各々のチップに相当する画像領域ごとに輝度レベルの段差が生じ、画像品質上、著しい劣化をもたらす。
そこで、CISを使用する画像読取装置では、光が入らない状態におけるセンサチップの出力レベルである「黒レベル(黒オフセットレベル)」を検出してメモリに保持しておき、原稿の画像読み取り時に、その黒レベルを原稿からの反射光を入射して得られる信号成分(上記のアナログ画像信号又はデジタル画像信号)のレベルから減算することにより、黒レベル補正(オフセットを除去するオフセット補正)を行うようにしている。
【0007】
例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサを用いたCISの場合、複数画素に対して出力バッファを有している構成であるため、出力バッファ単位で黒レベルが変動する。したがって、複数画素に対して共通の黒レベルを減算することで対応可能である。一般的には、有効画素からなる受光部以外に遮光された画素からなるオプティカルブラック(以下「OPB」という)部を有しており、このOPB部に対応する期間であるOPB期間の出力レベルを黒レベルとして検出してメモリに保持しておき、原稿の画像読み取りの期間である原稿読取期間に、その黒レベルを原稿からの反射光を入射して得られる信号成分のレベルから減算することで黒レベル補正を行っている。
【0008】
一方、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いたCISの場合、画素単位に出力バッファを有しており、画素単位で黒レベルが変動するため、CCDセンサのようにOPB期間の黒レベルを全画素に対して減算することでは、正常な黒レベル補正が行えない。そのため、原稿の画像読み取り前に予め光源を消灯した状態での信号成分レベルを黒レベルとみなして画素単位で検出してメモリに保持しておき、原稿読取期間に、その黒レベルを原稿からの反射光を入射して得られる信号成分のレベルから画素単位で減算することで黒レベル補正を行っている。
【0009】
このような黒レベル検出処理は、例えばADF(自動原稿給送装置)を使用した連続原稿読み取り時には、時間経過と共に黒レベルが変化してしまうため、ページ毎に光源を消灯して黒レベル検出をやり直し、画像劣化を回避できるようにしたものが既に知られている。
しかし、そのようなページ毎に光源を消灯して黒レベル検出をやり直す方法では、生産性(スループット)が上がらないという問題がある。つまり、ADFを使用した連続原稿読み取り時に、ページ間で行う処理があると、その処理時間が問題となって、生産性を上げられなくなってしまう。また、ページ毎に処理を行う方法では、ページ内での黒レベル変化を補正できないという問題がある。
【0010】
そこで、例えば特許文献1に見られるようなものが提案されている。
特許文献1には、ADFを使用した連続原稿読み取り時の生産性を高める目的で、被写体からの反射光を受光可能な受光部と遮光された遮光部とをそれぞれ有する複数のセンサチップからなるCISにより、ジョブ開始時に受光部および遮光部の黒レベルを検出してメモリに保存し、連続原稿読み取り時のページ間においては、遮光部の黒レベルを検出し、ジョブ開始時との遮光部の黒レベル変化量を求め、受光部の補正は、ジョブ開始時に検出した黒レベルでの補正に加え、遮光部の黒レベル変化量での補正を行う構成について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、被写体からの反射光を受光可能な受光部と遮光された遮光部とをそれぞれ有する複数のセンサチップからなるCISにより、遮光部の変化量を検出して受光部の黒レベル変化を補正することができるが、上述したページ間での処理が必要であるという問題と、ページ内での黒レベル変化を補正できないという問題は解消できていない。
【0012】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、被写体からの反射光を受光可能な受光部と遮光された遮光部とが形成された複数のチップからなる光電変換素子(CIS)を有する画像読取部を備えた画像読取装置において、連続原稿読み取り時のページ間の処理を無くし、且つページ内での黒レベル変化も補正できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、被写体に光を照射する光源と、該光源の光照射による上記被写体からの反射光を受光可能な受光部および遮光された遮光部が形成された複数のチップとからなる光電変換素子を有し、上記光源が点灯された状態で上記被写体を主走査方向に光走査して、該被写体からの反射光を上記光電変換素子を用いて光電変換し、アナログ画像信号として出力することにより、上記被写体の画像を読み取る画像読取手段を備えた画像読取装置であって、上記の目的を達成するため、以下のようにしたことを特徴とする。
【0014】
この発明による画像読取装置は、上記光源が消灯された状態で上記受光部および上記遮光部の出力レベルを黒レベルとして記憶する記憶手段と、その記憶手段に上記黒レベルが記憶された後、その黒レベルとの比較によって上記遮光部の黒レベルの変化を検出する処理を常時実行し、その処理によって上記遮光部の黒レベルの変化を検出した場合に、その変化を上記記憶手段に記憶された上記黒レベルにフィードバックする黒レベルフィードバック演算を行う黒レベルフィードバック演算処理手段と、上記画像読取手段による読み取り時に、上記受光部および上記遮光部の出力レベルから上記記憶手段に記憶された上記黒レベルを減算する黒レベル補正手段とを設けたものである。
【0015】
なお、上記記憶手段を、上記光源が消灯された状態で上記受光部および上記遮光部の出力レベルを画素毎に黒レベルとして記憶する手段とし、上記黒レベル補正手段を、上記画像読取手段による読み取り時に、上記受光部および上記遮光部の出力レベルから上記記憶手段に記憶された上記黒レベルを画素毎に減算する手段とするとよい。
また、上記黒レベルフィードバック演算処理手段が、上記検出した変化の量に応じて、上記記憶手段に記憶された上記黒レベルに対するフィードバック量を算出し、その黒レベルを上記検出した変化に追従させるとよい。
【0016】
この場合、上記記憶手段に記憶された上記黒レベルを上記検出した変化に追従させるためのその黒レベルに対するフィードバック量の算出に用いる追従係数の初期値を設定する追従係数設定手段を設け、上記黒レベルフィードバック演算処理手段が、上記検出した変化の量に応じて、上記追従係数設定手段による追従係数の設定を変更して上記フィードバック量を算出し、その追従係数が予め設定された最大値以上の場合には上記記憶手段に記憶された上記黒レベルを増加させ、ゼロ以下の場合には該黒レベルを減少させる処理を繰り返し行うことが望ましい。
【0017】
さらに、上記黒レベルフィードバック演算処理手段は、上記画像読取手段が上記被写体のカラー画像を読み取って赤色,緑色,青色のアナログ画像信号を出力する場合、赤色,緑色,青色のチャンネル毎に独立に上記黒レベルフィードバック演算を行うとよい。あるいは、赤色,緑色,青色のチャンネル共通に上記黒レベルフィードバック演算を行ってもよい。
さらにまた、上記画像読取手段による読み取り期間中は、上記黒レベルフィードバック演算処理手段による上記遮光部の黒レベルの変化の検出を停止させる検出停止手段を設けるとよい。
【0018】
また、上記画像読取手段によって読み取ったアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して出力するA/D変換手段を備え、上記受光部の出力レベルおよび上記遮光部の出力レベルを、上記A/D変換手段から出力される対応するデジタル画像信号の階調レベルに相当するものとしてもよい。
この発明による画像形成装置は、上記の画像読取装置を備え、その画像読取装置から出力されるデジタル画像信号に基づいて画像形成を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明の画像読取装置によれば、光源が消灯された状態で光電変換素子の各チップに形成されている受光部および遮光部の出力レベルを黒レベルとして記憶した後、その黒レベルとの比較によって上記遮光部の黒レベルの変化を検出する処理を常時実行し、その処理によって上記遮光部の黒レベルの変化を検出した場合に、その変化を上記記憶手段内の上記黒レベルにフィードバックする黒レベルフィードバック演算を行い、画像読取手段による読み取り時に、上記受光部および上記遮光部の出力レベルから上記記憶手段内の上記黒レベルを減算することにより、CISのような光電変換素子を有する画像読取部を用いて連続原稿読み取りを行う場合に、ページ間の処理を無くし、且つページ内での黒レベル変化も補正することができ、濃度変動の発生を抑制することができる。
また、この画像読取装置を備えた画像形成装置によれば、高精度の黒レベル補正(オフセット補正)がなされたデジタル画像信号に基づいて画像形成を行えるため、高品質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態である画像読取装置の機構部の構成例を示す図である。
【図2】その画像読取装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1,図2の第2読取部25の制御系の要部構成例を示すブロック図である。
【図4】その第2読取部25の動作時の各画像データの出力タイミングの一例を示すタイミング図である。
【図5】図2の本体制御部111内の画像処理ASICによるこの発明に関わる画像処理時の制御信号の出力タイミングの一例を示すタイミング図である。
【図6】図2の本体制御部111内の画像処理ASICの構成例を示すブロック図である。
【図7】図6の黒レベルFB演算部506による黒レベルFBの演算処理を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
この発明の実施形態では、複数のセンサチップ(光電変換素子)からなるCISを用いる画像読取装置における黒レベル補正に際して、以下の特徴を有する。つまり、被写体に光を照射する光源と、その光源の光照射による被写体からの反射光を受光可能な受光部および遮光された遮光部を有する複数のセンサチップとからなるCIS(光電変換素子)により、光源が消灯された状態で上記受光部および上記遮光部の出力レベルを黒レベルとして検出してメモリに記憶した後、上記遮光部の黒レベル変化を検出し続け、その変化をメモリに格納した黒レベル(黒レベル格納値)にフィードバックする(検出した変化量に応じて黒レベル格納値を変更する)ことを特徴としている。
【0022】
その特徴について、以下で詳細に解説する。なお、この実施形態では、被写体である被読取原稿(以下単に「原稿」ともいう)を固定の読取装置部に搬送し、所定の速度で搬送しながら原稿の画像読み取りを行う自動原稿給送機能(ADF)を有する画像読取装置を使用する例について説明する。
【0023】
まず、この発明の一実施形態である画像読取装置の構成について、図1および図2を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態である画像読取装置の機構部の構成例を示す図である。
図2は、その画像読取装置の制御系の構成例を示すブロック図である。なお、図2では、図示の都合上、図1の第1読取部20の図示を省略している。
【0024】
画像読取装置は、原稿束をセットする原稿セット部A、そのセットされた原稿束から1枚毎に原稿を分離して給送する分離給送部B、それによって給送された原稿を一次突当整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部C、それによって搬送される原稿をターンさせて、その読み取り面(片面原稿であれば画像面,両面原稿であれば一方の面である表面)を読み取り側(下方)に向けて搬送するターン部D、原稿の表面画像をコンタクトガラスの下方より読み取る第1読取搬送部E、読み取り後の原稿(両面原稿)の裏面画像を読み取る第2読取搬送部F、表面画像又は両面画像の読み取りが完了した原稿を機外に排出する排紙部G、読み取り完了後の原稿を積載保持するスタック部H、これら搬送動作の駆動を行う駆動部101〜105、一連の動作を制御するコントローラ部100とから構成されている。
【0025】
画像読み取りを行う原稿束1をセットするのは、原稿セット部Aの可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上であり、ユーザが原稿束1を画像面(両面原稿であれば表面)が上向きの状態でセットする。更に、原稿束1の幅方向(搬送方向と直交する方向)の位置決めを図示しないサイドガイドによって行う。原稿のセットは、セットフィラ4および原稿セットセンサ5により検知され、その検知情報がコントローラ部100からインタフェース(以下「I/F」ともいう)107により本体制御部111へ送信される。
【0026】
さらに、原稿テーブル2のテーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ30又は31(反射型センサ又は原稿1枚でも検知可能なアクチェータ・タイプのセンサが用いられる)により、原稿の搬送方向の長さの概略が判定される。なお、その判定を可能にするため、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要となる。
可動原稿テーブル3は、底板上昇モータ105により図1に示すa,b方向に上下動可能な構成になっていて、通常は底板HPセンサ6によって検知されるホームポジション(HP)に位置している。
【0027】
その後、原稿がセットされたことをセットフィラ4および原稿セットセンサ5によって検知されると、その検知情報を受けたコントローラ部100が、底板上昇モータ105を正転させて、原稿束1の最上面がピックアップローラ7と接触する位置まで可動原稿テーブル3を上昇させる。
ピックアップローラ7は、ピックアップモータ101によりカム機構で図1に示すc,d方向に動作すると共に、可動原稿テーブル3が上昇し、可動原稿テーブル3上の原稿上面により押されてc方向に上がり、給紙適正位置センサ8により上限が検知可能となっている。
【0028】
本体操作部108上のプリントキーが押下され、その旨がI/F106を介して本体制御部111へ通知され、その本体制御部111からI/F107を介してコントローラ部100へ原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ7は給紙モータ102の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル2上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送(給紙)する方向である。
給紙ベルト9は給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動され、分離給送部Bのリバースローラ10は給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿とを分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。
【0029】
さらに詳しく説明すると、リバースローラ10は給紙ベルト9と所定圧で接し、給紙ベルト9と直接接している時、又は原稿1枚を介して接している状態では給紙ベルト9の回動につられて反時計方向に連れ回りし、原稿が万が一2枚以上給紙ベルト9とリバースローラ10との間に侵入した時には、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ10は本来の駆動方向である時計方向に回転駆動して、余分な原稿を押し戻す働きをし、重送が防止される。
【0030】
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用によって1枚に分離された原稿は、給紙ベルト9によって更に送られ、レジスト部Cの突き当てセンサ11によって先端が検知され、更に進んで停止しているプルアウトローラ12に突き当たる。
そのプルアウトローラ12に突き当たった原稿は、突き当てセンサ11の検知時点から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、プルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ102を停止させることにより、給紙ベルト9の駆動が停止し、待機状態となる。
【0031】
このとき、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ7を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト9の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ12の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
プルアウトローラ12は、上記スキュー補正の機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのローラであり、給紙モータ102の逆転により駆動される。また、この時(給紙モータ102逆転時)、プルアウトローラ12と中間ローラ14は駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9は駆動されていない。
【0032】
原稿幅センサ13は、奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿の搬送方向(副走査方向)に直交する幅方向(主走査方向)のサイズを検知する。
また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端と後端を突き当てセンサ11で検知し、その先端検知時点から後端検知時点まで給紙モータ102の出力パルスをカウントすることによって検知する。
プルアウトローラ12および中間ローラ14の駆動により、レジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して原稿を第1読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。
【0033】
原稿の先端が読取入口センサ15によって検出されると、読取入口ローラ16の上下ローラ対のニップに原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ16,読取出口ローラ23,CIS出口ローラ27を駆動する。
原稿の先端をレジストセンサ17にて検知すると、コントローラ部100が、所定の搬送距離をかけて減速させ、第1読取部20による読取位置の手前で一時停止させると共に、本体制御部111へI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。
【0034】
その後、コントローラ部100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、第1読取部20による読取位置に先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速されて搬送される。
そして、読取モータ103の出力パルスをカウントすることによって検出された原稿の先端が第1読取部20による読取位置に到達するタイミングで、コントローラ部100により本体制御部111に対して原稿の第1面(表面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始され、第1読取部20による読取位置を原稿の後端が抜けるまで送信される。
【0035】
片面原稿の画像読み取りを行う場合には、第1読取搬送部Eを通過した原稿は第2読取搬送部Fの第2読取部25を経て排紙部Gへ搬送される。この際、コントローラ部100が排紙センサ24により原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を回転させる。また、排紙センサ24による原稿の先端検知からの排紙モータ104の出力パルスをカウントすることにより、原稿の後端が排紙ローラ28の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させて、スタック部Hを構成する排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないように制御される。
第1読取ローラ19は、第1読取部20における原稿の浮きを抑えると同時に、第1読取部20におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
【0036】
両面原稿の画像読み取りを行う場合には、コントローラ部100が排紙センサ24にて原稿の先端を検知してから読取モータ103の出力パルスをカウントすることにより、第2読取部25による読取位置に原稿先端が到達するタイミングで、コントローラ部100により本体制御部111に対して原稿の第2面(裏面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始され、第2読取部25の読取位置を原稿の後端が抜けるまで送信される。
第2読取ローラ26は、第2読取部25における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部25におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
【0037】
図3は、図1,図2の第2読取部25の制御系の要部構成例を示すブロック図である。 第2読取部25は、CISによる読み取り方式を用いた画像読取部であるCISモジュールであり、LEDアレイ,蛍光灯,又は冷陰極管などからなる照明手段である光源部300を備えている。
【0038】
また、主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に並ぶ複数のセンサチップ301と、その各センサチップ301に個別に接続された複数のアンプ回路302とからなる画像読取手段、およびその各アンプ回路302に個別に接続された複数のA/Dコンバータ303も備えている。
さらに、出力制御回路307,I/F回路308も備えている。
複数の各センサチップ301はそれぞれ、等倍密着イメージセンサと称される光電変換素子と集光レンズとを備えたものである。
【0039】
この各センサチップ301には、被写体である原稿からの反射光を受光可能な受光部と遮光された遮光部(以下「OPB(オプティカルブラック)部」ともいう)とが形成されており、受光部と遮光部の信号を出力する。
なお、CISモジュールは、原稿の裏面の画像を読み取る際に使用されるケースが多いため、この実施形態では第2読取部25に使用しているが、第1読取部20に使用することも勿論できる。
【0040】
ここで、第2読取部25による読取位置に原稿が進入するのに先立って、コントローラ部100から光源部300に点灯ON信号が送られる。
これにより、光源部300が点灯して、その光を原稿の画像面に向けて照射し、その画像面を主走査方向(ライン方向)に光走査する。そして、原稿の画像面で反射された反射光は、各センサチップ301においてそれぞれ、集光レンズによって光電変換素子に集光されてライン毎に光電変換され、アナログ画像信号(アナログ画像情報)として読み取られる。
【0041】
各センサチップ301でそれぞれ読み取られたアナログ画像信号は、対応する各アンプ回路302によってそれぞれ増幅された後、対応する各A/Dコンバータ303(A/D変換手段)によってそれぞれデジタル画像信号(デジタル画像情報)に変換される。
これらデジタル画像信号(以下「画像データ」ともいう)は、出力制御回路307によって本体制御部111に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路308を経由して本体制御部111に出力される。
【0042】
なお、コントローラ部100からは原稿の先端が第2読取部25による読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号や光源部300の点灯信号、電源等が出力されるようになっている。
また、センサチップ301内の受光部と遮光部の画素毎の出力レベルとは、この実施形態においては、対応するA/Dコンバータ203から出力されるデジタル画像信号の対応する信号成分の階調レベルを示すものである。
【0043】
以下、この実施形態における特徴的な構成について説明する。
図4は、図1,図2の第2読取部25の動作時の各画像データの出力タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
第2読取部(CISモジュール)25からは、図示していないクロック信号に同期して、例えば図4に示すように、主走査方向の同期信号SLSYNC_Nと赤色(Red),緑色(Green),青色(Blue)の画像データが本体制御部111に出力される。
【0044】
ここで、図4の読取画素は、原稿からの反射光を受光可能な受光部の各画素の有効期間の出力レベル(階調レベル)を示す画素データ、つまり有効な読み取り画素データに相当する。
非読取画素は、遮光されたOPB部の各画素の出力レベルを示す画素データや、受光部の各画素の無効期間の出力レベルを示すダミー画素データに相当する。
なお、図4の例は、非読取画素が読取画素の前に出力される場合であるが、第2読取部25によっては、後ろに出力されてもよい。
【0045】
この発明に関わる画像処理は、図2の本体制御部111の中で行われ、より具体的には画像処理ASICの中で行われている。
図5は、図2の本体制御部111内の画像処理ASICによるこの発明に関わる画像処理時の制御信号の出力タイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、図5の「チップ1,2,3・・・」は各センサチップ301に相当する。
図6は、上記画像処理ASICの構成例を示すブロック図である。
【0046】
その図5,図6を参照して、この発明に関わる動作を説明する。なお、その動作は赤色(R),緑色(G),青色(B)毎に行うが、説明の都合上、そのいずれか1色についてのみ説明する。また、第2読取部25内の各センサチップ301として、CMOSセンサ等の画素単位で黒レベルが変動するものを用いることとするが、CCDセンサ等の複数画素単位(出力バッファ単位)で黒レベルが変動するものを用いることもできる。
【0047】
コントローラ部100は、原稿の画像を読み取るジョブの指示を受けた場合に、第2読取部25の光源部300を消灯し、CISに光が入射されない状態にして、黒レベル検出信号BKGATE_Nを発生させる。それによって、画像処理ASICにおいて、各センサチップ301の受光部およびOPB部の出力レベルを画素毎に黒レベルとして検出し、その黒レベルの値を示す黒レベルデータを画素毎にラインメモリ(記憶手段)である黒レベルメモリ504に記憶する(非読取画素および読取画素)。
【0048】
すなわち、画像処理ASICでは、信号BKGATE_Nがアサートされる(ローレベルになる)と、信号BKGATE_Nが示す各ライン(黒加算ライン)期間に、図6の画素データ加算部501が、加算用メモリ502を用いて画素毎に画素データが示す出力レベル(センサチップ301の対応する出力レベル)の値を加算する。その加算結果の値を示すデータを加算データという。
【0049】
その後、信号BKGATE_Nがネゲートする(ハイレベルになる)と、信号BK_LATを1ライン分発生させ(ハイレベルにし)、そのラインにおいて、黒レベル算出部503が、画素毎に信号BKGATE_Nのアサート期間中のライン数(アサートライン数)で、加算用メモリ502から読み出した加算データが示す加算結果の値を画素毎に除算して平均値を求めて黒レベルの値とし、その値を示す黒レベルデータを黒レベルメモリ504に格納する。
【0050】
次に、第2読取部25の光源部300を点灯して、シェーディング補正のための基準白部の読み取りや、原稿の画像読み取りが行われるが、第2読取部25の出力画像データ(入力データ)が示す画素毎の出力レベルの値から黒レベルメモリ504に格納した黒レベルデータが示す黒レベルの値を画素毎に減算した値が真の読み取りレベルの値となるため、その減算つまり黒レベルの補正を黒レベル補正手段である黒補正部505が行う。
【0051】
ここで問題となるのが、第2読取部25の出力の黒レベルが時間経過と共に変化してしまうことであり、黒レベルフィードバック演算処理手段である黒レベルFB演算部506が実行するこの発明に関わる特徴的な黒レベルフィードバック(以下「フィードバック」を「FB」と略称する)の演算処理について、以下で説明する。
図7は、図6の黒レベルFB演算部506による黒レベルFBの演算処理(FB量算出)を説明するための概念図である。
【0052】
黒レベルFBは、図5に示すように、信号BK_LATがハイレベル時のラインの次のライン(ハイレベルからローレベルに戻った時のライン)であるFBラインの1ライン目から行われる。
黒レベルFBの演算処理は、黒レベルFB演算部506が、FBライン中の各実行ラインにおいて、以下の(1)〜(5)に示すように行う。なお、「bkfb_cunt」,「bkfb_rgb」はレジスタ設定値であり、外部からの操作信号(本体操作部108上のキー操作等によって発生する信号)によって変更可能に設定することができる。また、黒レベルFBメモリ507に、センサチップ301毎に、+1フラグ「*_+1」,−1フラグ「*_−1」,累積係数「CUNT_*」を持っている。「*」はR,G,Bを示しており、実際には+1フラグ等はR,G,B毎の3組存在する。
【0053】
(1)黒レベルFBメモリ507から+1フラグ「*_+1」,−1フラグ「*_−1」,および累積係数「CUNT_*」を読み込む。信号BK_LATがハイレベルになったライン直後のFBラインの1ライン目では、+1フラグ「*_+1」と−1フラグ「*_−1」を“0”にし、図7に示すように、累積係数(追従係数)「CUNT_*」の初期値を「bkfb_cunt」/2に設定する。この場合、「CUNT_*」の移動範囲の最大値は、図7に示すように、「bkfb_cunt」となる。よって、黒レベルFB演算部506が追従係数設定手段としての機能も果す。
【0054】
(2)センサチップ301毎に黒レベルメモリ504から画素毎の黒レベルデータを読み出し、+1フラグが“1”なら読み出した画素毎の黒レベルデータが示す黒レベルを+1、−1フラグが“1”なら読み出した画素毎の黒レベルデータが示す黒レベルの値を−1にそれぞれ補正し、その補正後の黒レベルの値を示す黒レベルデータを黒レベルメモリ504に書き込む。なお、+1フラグと−1フラグが両方“1”になっていることはない。
【0055】
(3)センサチップ301毎に以下の計算を行う。
「ADD_*」=(OPB(0)−BK(0))+(OPB(1)−BK(1))+ ・・・+(OPB(N)−BK(N))
ここで、OPB(0),OPB(1),・・・OPB(N)は、第2読取部25の出力画像データが示す画素毎の出力レベルの値のうち、OPB部の画素毎の出力レベルの値を示している。また、BK(0),BK(1),・・・BK(N)は、(2)に示した補正処理を行った後のOPB部の画素毎の黒レベルデータが示す黒レベルの値を示している。
【0056】
(4)「bkfb_rgb」=“0”の時(RGB別にFB値を算出してRGB別に黒レベルにFBする時)には、
「CUNT_*」=「CUNT_*」+「ADD_*」を演算し、
「CUNT_*」が「0」又はマイナスの場合には、「CUNT_*」=「bkfb_cunt」/2、「*_+1」=“0”、「*_−1」=“1”を黒FBメモリ506に書き込む。
「CUNT_*」がプラスの場合には、「OVER」=「CUNT_*」−「bkfb_cunt」を演算する。
【0057】
そして、「OVER」が「0」又はプラスの場合は、「CUNT_*」=「bkfb_cunt」/2、「*_+1」=“1”、「*_−1」=“0”を黒レベルFBメモリ507に書き込み、
「OVER」がマイナスの場合は、「CUNT_*」を保持し、「*_+1」=“0”、「*_−1」=“0”を黒レベルFBメモリ507に書き込む。
【0058】
一方、「bkfb_rgb」=「1」の時(RGBの合計でFB値を算出してRGB共通で黒レベルにFBする時)には、
「ADD_G」=「ADD_R」+「ADD_G」+「ADD_B」
「CUNT_G」=「CUNT_G」+「ADD_G」を演算し、
「CUNT_*」が「0」又はマイナスの場合には、「CUNT_*」=「bkfb_cunt」/2、「*_+1」=“0”、「*_−1」=“1”を黒レベルFBメモリ507に書き込む。
「CUNT_*」がプラスの場合は、「OVER」=「CUNT_*」−「bkfb_cunt」を演算する。
そして、「OVER」が「0」又はプラスの場合は、「CUNT_*」=「bkfb_cunt」/2、「*_+1」=“1”、「*_−1」=“0”を黒レベルFBメモリ507に書き込み、
「OVER」がマイナスの場合は、「CUNT_*」を保持し、「*_+1」=“0”、「*_−1」=“0”を黒レベルFBメモリ507に書き込む。
(5)上記の(1)〜(4)に示した処理をセンサチップ301毎に行う。
【0059】
なお、上記黒レベルFB演算では、1ラインに1ディジット(degit)しか変化させられないが、黒レベルの変化に追従するには充分である。
また、黒レベルの値が減算された黒レベルデータへの変化反映が1ライン遅れているが、1ラインの遅れは影響なく、処理の簡易化のためであり、上記の演算方法に限るものではない。
【0060】
さらに、特に詳細な説明は省略するが、本処理の後段ブロックで、その後の画像処理を容易にするため、図示しないRAMへのライト/リードにより、図4に示した非読取画素を除いて、読取画素のみの画像データにしている。
さらにまた、原稿の画像読み取り期間中は、そのことを示す信号をコントローラ100が生成して本体制御部111へ出力することにより、その本体制御部111内のCPUは、原稿の画像読み取り期間中を示す信号の入力期間中は、画像処理ASICによるOPB部の黒レベル変化の検出を含む黒レベルFBの演算処理を停止させる。よって、コントローラ100および本体制御部111が、検出停止手段としての機能を果す。
【0061】
このように、この実施形態の画像読取装置では、光源が消灯された状態でSCIモジュールの各チップに形成されている受光部およびOPB部(遮光部)の各画素の出力レベルを黒レベルとして黒レベルメモリに記憶した後、その黒レベルとの比較によって上記OPB部の画素(OPB画素)の黒レベルの変化を検出する処理を常時実行し、その処理によってOPB画素の黒レベルの変化を検出した場合に、その変化を黒レベル格納値(黒レベルメモリ内の黒レベル)にフィードバックする黒レベルフィードバック演算を行う。つまり、上記検出した変化の量に応じて、黒レベル格納値に対するフィードバック量を算出し、その黒レベルを上記検出した変化に追従させる(黒レベル格納値を変化量だけ増減させる)。それによって、連続原稿読み取りのジョブ途中での処理(ページ間の処理)を不要にすることができ、生産性を向上することができると共に、ページ内での黒レベル変化も補正でき、濃度変動の発生を抑制することができる。
【0062】
また、黒レベルフィードバック演算を行う際に、黒レベル格納値を上記検出した変化に追従させるためのその黒レベルに対するフィードバック量の算出に用いる追従係数の初期値を設定した後、上記検出した変化の量に応じて、追従係数の設定を変更して上記フィードバック量を算出し、その追従係数が予め設定された最大値以上の場合には黒レベルメモリ内の黒レベルを増加させ、ゼロ以下の場合にはその黒レベルを減少させる処理を繰り返し行うようにすれば、OPB画素の画素数や黒画素のノイズ量に合わせ、適切な追従係数の選択が可能となり、黒レベル変化を適切に補正できる。
【0063】
さらに、SCIモジュールを用いた画像読取部が原稿のカラー画像を読み取って赤色,緑色,青色のアナログ画像信号を出力するため、赤色,緑色,青色のチャンネル毎に独立に上記黒レベルフィードバック演算を行うか、あるいは赤色,緑色,青色のチャンネル共通に上記黒レベルフィードバック演算を行うことにより、装置の特性に合わせてページ内での黒レベル変化も補正することができる。
さらにまた、ページ内で黒レベルが変化しないような装置においては、ページ内での変化を禁止する方が画像品質が向上するため、原稿の画像読み取り期間中は、OPB部の黒レベル変化の検出を停止させることにより、画像品質を向上させることができる。
【0064】
以上の実施形態では、A/Dコンバータ(A/D変換手段)によって変換されて出力されたデジタル画像信号に対して黒レベル補正および黒レベルFB処理を行うようにしたが、A/Dコンバータによって変換される前のアナログ画像信号に対して同様の黒レベル補正および黒レベルFB処理を行うこともできる。この場合、センサチップ内の受光部とOPB部の出力レベルとは、そのセンサチップから出力されるアナログ画像信号の対応する信号成分の電圧レベルを示すものである。
【0065】
以上、この発明を画像読取装置に適用した実施形態について説明したが、この発明はこれに限らず、その画像読取装置を搭載したデジタル複写機,ファクシミリ装置,プリンタ等の各種画像形成装置にも適用可能である。それによって、画像形成装置本体が画像読取装置からのR,G,Bの画像データ(又は単色の画像データ)を画像形成用のイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の画像データ(又は単色の画像データ)に変換し、可視画像として用紙等の記録媒体に画像形成することができ、高品質の画像を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、連続原稿読み取り時のページ間の処理を無くし、且つページ内での黒レベル変化も補正することができる。よって、連続原稿読み取り時の各画像データを高画質で且つ高速に出力可能な画像読取装置を提供できる。また、高品質画像を高速画像形成可能な画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0067】
20:第1読取部 25:第2読取部 300:光源部 100:コントローラ部
111:本体制御部 301:センサチップ 302:アンプ回路
303:A/Dコンバータ 307:出力制御回路 308:I/F回路
501:画素データ加算部 502:加算用メモリ 503:黒レベル算出部
504:黒レベルメモリ 505:黒補正部 506:黒レベルFB演算部
507:黒レベルFBメモリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特許第4065515号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に光を照射する光源と、該光源の光照射による前記被写体からの反射光を受光可能な受光部および遮光された遮光部が形成された複数のチップとからなる光電変換素子を有し、前記光源が点灯された状態で前記被写体を主走査方向に光走査して、該被写体からの反射光を前記光電変換素子を用いて光電変換し、アナログ画像信号として出力することにより、前記被写体の画像を読み取る画像読取手段を備えた画像読取装置であって、
前記光源が消灯された状態で前記受光部および前記遮光部の出力レベルを黒レベルとして記憶する記憶手段と、
該記憶手段に前記黒レベルが記憶された後、該黒レベルとの比較によって前記遮光部の黒レベルの変化を検出する処理を常時実行し、該処理によって前記遮光部の黒レベルの変化を検出した場合に、該変化を前記記憶手段に記憶された前記黒レベルにフィードバックする黒レベルフィードバック演算を行う黒レベルフィードバック演算処理手段と、
前記画像読取手段による読み取り時に、前記受光部および前記遮光部の出力レベルから前記記憶手段に記憶された前記黒レベルを減算する黒レベル補正手段とを設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記光源が消灯された状態で前記受光部および前記遮光部の出力レベルを画素毎に黒レベルとして記憶する手段であり、
前記黒レベル補正手段は、前記画像読取手段による読み取り時に、前記受光部および前記遮光部の出力レベルから前記記憶手段に記憶された前記黒レベルを画素毎に減算する手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記黒レベルフィードバック演算処理手段は、前記検出した変化の量に応じて、前記記憶手段に記憶された前記黒レベルに対するフィードバック量を算出し、該黒レベルを前記検出した変化に追従させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置において、
前記記憶手段に記憶された前記黒レベルを前記検出した変化に追従させるための該黒レベルに対するフィードバック量の算出に用いる追従係数の初期値を設定する追従係数設定手段を設け、
前記黒レベルフィードバック演算処理手段は、前記検出した変化の量に応じて、前記追従係数設定手段による追従係数の設定を変更して前記フィードバック量を算出し、該追従係数が予め設定された最大値以上の場合には前記記憶手段に記憶された前記黒レベルを増加させ、ゼロ以下の場合には該黒レベルを減少させる処理を繰り返し行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
前記黒レベルフィードバック演算処理手段は、前記画像読取手段が前記被写体のカラー画像を読み取って赤色,緑色,青色のアナログ画像信号を出力するため、赤色,緑色,青色のチャンネル毎に独立に前記黒レベルフィードバック演算を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記黒レベルフィードバック演算処理手段は、前記画像読取手段が前記被写体のカラー画像を読み取って赤色,緑色,青色のアナログ画像信号を出力するため、赤色,緑色,青色のチャンネル共通に前記黒レベルフィードバック演算を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記画像読取手段による読み取り期間中は、前記黒レベルフィードバック演算処理手段による前記遮光部の黒レベルの変化の検出を停止させる検出停止手段を設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記画像読取手段によって読み取ったアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して出力するA/D変換手段を備え、
前記受光部の出力レベルおよび前記遮光部の出力レベルとは、前記A/D変換手段から出力される対応するデジタル画像信号の階調レベルに相当するものであることを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像読取装置を備え、該画像読取装置から出力されるデジタル画像信号に基づいて画像形成を行うようにしたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−54740(P2012−54740A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195389(P2010−195389)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】