説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】 原稿を透過して背景部材から反射してくる光成分の影響による画像データの変化を低減する。
【解決手段】 画像読取装置では、紙厚検知センサ等によって原稿の厚みを検知する。そして、第1読取部20による原稿の表面画像の読み取り時の出力レベルを各色毎に補正する際に、原稿の厚みの検知結果に応じてその補正に必要な補正係数を選択する。また、第2読取部25による原稿の裏面画像の読み取り時の出力レベルを各色毎に補正する際にも、原稿の厚みの検知結果に応じてその補正に必要な補正係数を選択する。このとき、各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための近似式から補正係数を算出する。あるいは、各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための補正係数テーブルから補正係数を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被写体の画像を読み取る画像読取装置(デジタル複合機,デジタル複写機,ファクシミリ装置等の画像形成装置に通信可能に接続された画像読取装置あるいは単体の画像読取装置)、およびその画像読取装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、両面同時読み取り型の画像読取装置(両面同時読取装置)では、原稿の画像(以下単に「原稿」ともいう)を読み取る読取手段として、可動な読取開口部(可動ミラー部など)を有する表面読取手段(原稿の表面画像を読み取る手段)と、固定された密着型の裏面読取手段(原稿の裏面画像を読み取る手段)とが使用されることが多い。そして、表面読取手段に対向する部材(背景部材)には、原稿を搬送するためのガイド板や搬送ベルトが、裏面読取手段に対向する部材(背景部材)には、シェーディング補正データ生成のための白色ローラがそれぞれ使用されることが既に知られている。
【0003】
しかし、このような従来の構成では、原稿の厚みが薄い場合、原稿の読み取り時に光源(照明手段)によって照射された光が原稿を透過して、その透過光が背景部材で反射して再び原稿を透過し、原稿からの反射光では無い光成分を読み取ってしまう。
例えば、図9に示す構成の場合、表面読取手段に相当する第1読取部20において、光源部200からの照射光はコンタクトガラス220を通って背景部材である搬送ガイド32又は原稿Pに照射され、搬送ガイド32又は原稿Pからの反射光(拡散光)は集光レンズであるSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)221を介してセンサ基板222上のイメージセンサ(光電変換素子)223によって受光され、光電変換されることでアナログ画像信号に変換される。
【0004】
第1読取部20によって原稿表面の画像を読み取る際にイメージセンサ(以下単に「センサ」ともいう)223に入射される光には、図9の(a)に示す原稿Pからの反射光と、同図の(b)に示す背景部材である搬送ガイド32からの反射光の2パターンがある。
そして、原稿Pが厚ければ、原稿Pを透過する光が減少し、搬送ガイド32からの反射光の影響は小さくなるが、原稿Pが薄ければ、搬送ガイド32からの反射光の影響は大きくなる。つまり、原稿Pを透過する光が搬送ガイド32で反射して再び原稿Pを透過し、原稿Pからの反射光では無い光成分を読み取ってしまう。
【0005】
また、表面読取手段や裏面読取手段に対向する背景部材としては、白色のものが用いられるのが一般的であるが、搬送ベルトや白色ローラの材質によっては、その製造バラツキによって、僅かな色付き(有彩色)をもってしまうことがある。
僅かに色付きをもった背景部材が使用された原稿読取装置において、例えば、厚みが薄く、下地(地肌)が白色の原稿を読み取る場合に、上述のような背景部材からの反射光成分の影響によって、本来白色であるはずの下地(地肌)に僅かに色付きが発生してしまうという問題があった。
【0006】
さらに、近年さかんに開発が行われている、1度の通紙で両面原稿を読み取ることが可能な「両面同時読取装置」において、原稿の表面読み取り(表面画像の読み取り)と原稿の裏面読み取り(裏面画像の読み取り)のために備えられた各背景部材が、異なる構成又は材質の場合には、背景部材からの反射光の影響が異なってしまう可能性があり、表裏ともに同じ白色であるはずの原稿を読み取っても、その読み取り画像データの下地(地肌)には色味の差が発生してしまうという問題があった。
【0007】
さらにまた、近年の画像読取装置、あるいはそれを備えた画像形成装置(MFP)では、コピー原稿節約のために、「2in1(集約)」機能が備えられていることが多く、その機能が用いられた場合には、コピー出力画像の片面に、原稿両面の画像情報が、縮小されて隣り合わせに印刷されることになる。
この場合、上記の問題が発生してしまうと、下地(地肌)の色味差が顕著に目に付くため、ユーザからのクレームに繋がりかねない。
【0008】
そこで、例えば特許文献1に見られるようなものが提案されている。
特許文献1には、通常より厚みのある原稿を読み取る場合に、読み取り面が読取手段に近づくことになり、原稿を照明した光の反射が通常より強くなり、信号が飽和して、白飛び(出力飽和)と呼ばれる現象が発生することを回避するため、原稿の厚みを検知する紙厚検知手段と、読取手段で得られた画像データに対しシェーディング補正を行う処理手段と、紙厚検知手段で検知された原稿の厚みの増加に応じて、上記シェーディング補正の際に与える補正量を減少させるように上記処理手段におけるシェーディング補正量を変更する制御を行う制御手段とを備えた画像読取装置について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、出力飽和を避けるために、シェーディング補正量を変更しているに過ぎず、また、各色(例えばレッド,グリーン,ブルー)毎に補正係数を決定するような構成として明記されておらず、背景部材からの影響による画像データの色味の変化を補正するという問題は解決できていない。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、画像読取装置において、原稿を透過して背景部材から反射してくる光成分の影響による画像データの変化を低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、被写体の表面を照明して、その被写体の表面からの反射光をアナログ画像信号に変換し、そのアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して出力することにより、上記被写体の表面画像を読み取る表面読取手段を有する画像読取装置であって、上記の目的を達成するため、上記表面読取手段による画像読み取り時の出力レベルを各色毎に補正する第1の出力レベル補正手段と、上記被写体の厚みを検知する厚み検知手段と、それによる検知結果に応じて、上記第1の出力レベル補正手段による上記各色毎の補正に必要な補正係数を選択する第1の補正係数選択手段とを設けたものである。
【0011】
さらに、上記被写体の裏面を照明して、その被写体の裏面からの反射光をアナログ画像信号に変換し、そのアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して出力することにより、上記被写体の裏面画像を読み取る裏面読取手段と、上記裏面読取手段による画像読み取り時の出力レベルを各色毎に補正する第2の出力レベル補正手段と、上記厚み検知手段による検知結果に応じて、上記第2の出力レベル補正手段による上記各色毎の補正に必要な補正係数を選択する第2の補正係数選択手段とを設けるとよい。
【0012】
また、第1又は第2の補正係数選択手段が、それぞれ同一濃度で且つ厚みが異なる複数枚の被写体の画像読み取り時にそれぞれ得られる上記各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための近似式から上記補正係数を算出するか、あるいはその各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための補正係数テーブルから上記補正係数を選択するとよい。
さらにまた、上記所定の目標値を、上記被写体の画像読み取り面の裏側に配置されている背景部材からの反射光成分の影響を受けない、上記被写体の画像読み取り時に得られる上記各色毎の出力レベルの値とすることが望ましい。
【0013】
この発明による画像形成装置は、上記の画像読取装置を備え、その画像読取装置から出力されるデジタル画像信号に基づいて画像形成を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の画像読取装置によれば、被写体の厚みを検知し、表面読取手段による画像読み取り時の出力レベルを各色毎に補正する際に、被写体の厚みの検知結果に応じてその補正に必要な補正係数を選択することにより、原稿を透過して背景部材から反射してくる光成分の影響による画像データの変化を低減することができる。
また、この画像読取装置を備えた画像形成装置によれば、補正がなされたデジタル画像信号に基づいて画像形成を行えるため、高品質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態である画像読取装置の機構部の構成例を示す図である。
【図2】その画像読取装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の紙厚検知センサ34の構成を説明するための図である。
【図4】図2の紙厚検知センサ34によって検知される原稿の紙厚と紙厚検知センサ34の信号出力との関係例を示す線図である。
【図5】図1,図2の第1読取部20および第2読取部25を含む読取部の制御系の要部構成例を示すブロック図である。
【0016】
【図6】図1の第1読取部20の代わりに使用する、図1のスタック部Hの下方に設置される縮小光学系を用いた第1読取部の機構部の構成例を示す図である。
【図7】図1の第1読取部20を図6に示した第1読取部301に変更した画像読取装置を搭載した画像形成装置の機構部の構成例を示す図である。
【図8】それぞれ同一濃度で且つ紙厚が異なる複数枚の原稿の紙厚とその各原稿の読み取り時にそれぞれ得られるR,G,B毎の出力レベルとの関係例を示す線図である。
【図9】従来の表面読取手段によって原稿表面の画像を読み取る際のセンサへの入射光の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
この発明の実施形態では、原稿を搬送して読み取る画像読取装置での原稿の読み取りに際して、以下の特徴を有する。つまり、原稿を搬送して読み取る画像読取装置において、被写体である原稿の厚みを検知する厚み検知手段を備え、その厚み検知手段から得られた出力に基づき、原稿の厚みに最適な補正パラメータ(画像読み取り時の出力レベルの各色毎の補正に必要な補正係数)を用いて、背景部材からの反射光の影響を低減させることが特徴になっている。
【0018】
その特徴について、以下で詳細に解説する。なお、この実施形態では、被写体である原稿(被読取原稿)を固定の読取部に搬送し、所定の速度で搬送しながら原稿の画像読み取りを行う自動原稿給送機能(ADF)を有する画像読取装置を使用する例について説明する。
【0019】
まず、この発明の一実施形態である画像読取装置の構成について、図1および図2を参照して説明する。
図1はこの発明の一実施形態である画像読取装置の機構部の構成例を示す図、図2はその画像読取装置の制御系の構成例を示すブロック図であり、図9と同じ部分には同一符号を付している。なお、図2では、図示の都合上、図1の第1読取部20の図示を省略している。
【0020】
この実施形態の画像読取装置は、ADF(自動原稿給送装置)に原稿の表裏両面の画像を略同時に読み取るための第1,第2読取部を備えた両面同時読み取り型の画像読取装置(両面同時読取装置)であり、原稿束をセットする原稿セット部A、そのセットされた原稿束から1枚毎に原稿を分離して給送する分離給送部B、それによって給送された原稿を一次突当整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部C、それによって搬送される原稿をターンさせて、その読み取り面(片面原稿であれば画像面,両面原稿であれば一方の面である表面)を読み取り側(下方)に向けて搬送するターン部D、原稿の表面画像をコンタクトガラス18の下方より読み取る第1読取搬送部E、読み取り後の原稿(両面原稿)の裏面画像を読み取る第2読取搬送部F、表面画像又は両面画像の読み取りが完了した原稿を機外に排出する排紙部G、読み取り完了後の原稿を積載保持するスタック部H、これら搬送動作の駆動を行う駆動部101〜105、一連の動作を制御するコントローラ部100とから構成されている。
【0021】
画像読み取りを行う原稿束1をセットするのは、原稿セット部Aの可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上であり、ユーザが原稿束1を画像面(両面原稿であれば表面)が上向きの状態でセットする。更に、原稿束1の幅方向(搬送方向と直交する方向)の位置決めを図示しないサイドガイドによって行う。原稿のセットは、セットフィラ4および原稿セットセンサ5により検知され、その検知情報がコントローラ部100からインタフェース(以下「I/F」ともいう)107により本体制御部111へ送信される。
【0022】
さらに、原稿テーブル2のテーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ30又は31(反射型センサ又は原稿1枚でも検知可能なアクチェータ・タイプのセンサが用いられる)により、原稿の搬送方向の長さの概略が判定される。なお、その判定を可能にするため、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要となる。
可動原稿テーブル3は、底板上昇モータ105により図1に示すa,b方向に上下動可能な構成になっていて、通常は底板HPセンサ6によって検知されるホームポジション(HP)に位置している。
【0023】
その後、原稿がセットされたことをセットフィラ4および原稿セットセンサ5によって検知されると、その検知情報を受けたコントローラ部100が、底板上昇モータ105を正転させて、原稿束1の最上面がピックアップローラ7と接触する位置まで可動原稿テーブル3を上昇させる。
ピックアップローラ7は、ピックアップモータ101によりカム機構で図1に示すc,d方向に動作すると共に、可動原稿テーブル3が上昇し、可動原稿テーブル3上の原稿上面により押されてc方向に上がり、給紙適正位置センサ8により上限が検知可能となっている。
【0024】
本体操作部108上のプリントキーが押下され、その旨がI/F106を介して本体制御部111へ通知され、その本体制御部111からI/F107を介してコントローラ部100へ原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ7は給紙モータ102の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル2上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送(給紙)する方向である。
給紙ベルト9は給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動され、分離給送部Bのリバースローラ10は給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿とを分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。
【0025】
さらに詳しく説明すると、リバースローラ10は給紙ベルト9と所定圧で接し、給紙ベルト9と直接接している時、又は原稿1枚を介して接している状態では給紙ベルト9の回動につられて反時計方向に連れ回りし、原稿が万が一2枚以上給紙ベルト9とリバースローラ10との間に侵入した時には、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ10は本来の駆動方向である時計方向に回転駆動して、余分な原稿を押し戻す働きをし、重送が防止される。
【0026】
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用によって1枚に分離された原稿は、給紙ベルト9によって更に送られ、レジスト部Cの突き当てセンサ11によって先端が検知され、更に進んで停止しているプルアウトローラ12に突き当たる。
そのプルアウトローラ12に突き当たった原稿は、突き当てセンサ11の検知時点から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、プルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ102を停止させることにより、給紙ベルト9の駆動が停止し、待機状態となる。
【0027】
このとき、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ7を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト9の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ12の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
プルアウトローラ12は、上記スキュー補正の機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのローラであり、給紙モータ102の逆転により駆動される。また、この時(給紙モータ102逆転時)、プルアウトローラ12と中間ローラ14は駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9は駆動されていない。
【0028】
原稿幅センサ13は、奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿の搬送方向(副走査方向)に直交する幅方向(主走査方向)のサイズを検知する。
また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端と後端を突き当てセンサ11で検知し、その先端検知時点から後端検知時点まで給紙モータ102の出力パルスをカウントすることによって検知する。
プルアウトローラ12および中間ローラ14の駆動により、レジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して原稿を第1読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。
【0029】
原稿の先端が読取入口センサ15によって検出されると、読取入口ローラ16の上下ローラ対のニップに原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ16,第1読取ローラ19,読取出口ローラ23,第2読取ローラ26,およびCIS出口ローラ27を駆動する。
原稿の先端をレジストセンサ17にて検知すると、コントローラ部100が、所定の搬送距離をかけて減速させ、表面読取手段である第1読取部20による読取位置の手前で一時停止させると共に、本体制御部111へI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。
【0030】
その後、コントローラ部100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、第1読取部20による読取位置に先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速されて搬送される。
そして、読取モータ103の出力パルスをカウントすることによって検出された原稿の先端が第1読取部20による読取位置に到達するタイミングで、コントローラ部100により本体制御部111に対して原稿の第1面(表面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始され、第1読取部20による読取位置を原稿の後端が抜けるまで送信される。
【0031】
片面原稿の画像読み取りを行う場合には、第1読取搬送部Eを通過した原稿は第2読取搬送部Fの第2読取部25を経て排紙部Gへ搬送される。この際、コントローラ部100が排紙センサ24により原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を回転させる。また、排紙センサ24による原稿の先端検知からの排紙モータ104の出力パルスをカウントすることにより、原稿の後端が排紙ローラ28の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させて、スタック部Hを構成する排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないように制御される。
【0032】
両面原稿の画像読み取りを行う場合には、コントローラ部100が排紙センサ24にて原稿の先端を検知してから読取モータ103の出力パルスをカウントすることにより、裏面読取手段である第2読取部25による読取位置に原稿先端が到達するタイミングで、コントローラ部100により本体制御部111に対して原稿の第2面(裏面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始され、第2読取部25の読取位置を原稿の後端が抜けるまで送信される。
【0033】
ここで、第1読取ローラ19は、第1読取部20における原稿の浮きを抑えるためのものである。搬送ガイド32は、第1読取ローラ19による搬送をガイドすると共に、第1読取部20におけるシェーディング補正データ(シェーディング補正用の基準白データ)を取得するための基準白部を兼ねる背景部材である。第2読取ローラ26は、第2読取部25における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部25におけるシェーディング補正データを取得するための基準白部を兼ねる背景部材である。
なお、図1には図示を省略したが、原稿の搬送路には、図2の原稿紙厚検知センサが設置されている。この紙厚検知センサ34は、厚み検知手段であり、搬送中の原稿の厚みを検知することができる。
【0034】
次に、図2の紙厚検知センサ34の構成およびその信号出力の一例について説明する。
図3は、図2の紙厚検知センサ34の構成を説明するための図である。
図4は、図2の紙厚検知センサ34によって検知される原稿の厚み(紙厚)と紙厚検知センサ34の信号出力との関係例を示す線図である。
【0035】
紙厚検知センサ34は、例えば接触型の紙厚検知センサである。そして、例えば図3に示すように、機械的に(メカニカルに)距離を検出するものであって、画像読取動作時において、原稿Pが搬送路と紙厚検知センサ34との間を通過することによって、その紙厚検知センサ34が接触部34aによって原稿Pを検出する距離が変化する。この距離は、原稿Pが搬送中でない場合および搬送中の原稿Pの紙厚に応じて接触部34aの位置が異なるため、その位置から検知センサ34が検知することができる。
【0036】
紙厚検知センサ34の出力と原稿Pの紙厚(検出距離)とは、例えば図4に示すように、比例関係にある。
紙厚検知センサ34の出力信号(検知結果)としては、例えば、電圧値で出力するものであっても、周波数で出力するものであっても構わない。
待機時の出力を基準(原点)として、原稿搬送時の出力の変化量を、紙厚量に変換して取り扱えば良い。
【0037】
なお、紙厚検知センサ34を使用せず、次のようにして原稿Pの紙厚を検知することもできる。つまり、本体制御部111が、コントローラ部100経由で第1読取部20によって原稿の表面画像の読み取りを行わせた時に、コントローラ部100経由で受信した第1読取部20の出力(読み取り画像)から地肌レベル(第1地肌レベル)を検出する。また、コントローラ部100経由で第2読取部25によって原稿の裏面画像の読み取りを行わせた時に、コントローラ部100経由で受信した第2読取部25の出力から地肌レベル(第2地肌レベル)を検出する。そして、検出した第1地肌レベルと第2地肌レベルとに基づいて原稿表裏のR,G,Bの出力比率(RGBバランス)を算出し、その出力比率に基づいて表裏画像の読み取りを行った原稿の厚みを算出する。
【0038】
次に、図1,図2の第1読取部20および第2読取部25を含む読取部の制御系の要部構成について説明する。
図5は、その読取部の制御系の要部構成例を示すブロック図である。
第1読取部20および第2読取部25は、いずれもCISによる読み取り方式を用いた画像読取部であり、LEDアレイ,蛍光灯,又は冷陰極管などからなる照明手段である光源部200,212をそれぞれ備えている。
【0039】
また、主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に並ぶ複数のセンサチップ201,213、その各センサチップ201,213に個別に接続された複数のアンプ回路202,214、およびその各アンプ回路202,214に個別に接続された複数のA/Dコンバータ203,215もそれぞれ備えている。
さらに、その各A/Dコンバータ203,215の出力信号(デジタル画像信号)にはそれぞれ信号成分以外に黒レベルオフセットがあり、これを除去する複数の黒補正部204,216もそれぞれ備えている。
さらにまた、画像処理部205,217もそれぞれ備えている。
【0040】
また、第1読取部20および第2読取部25の外部に、フレームメモリ206、出力制御回路207、およびI/F回路208を備えているが、第1読取部20および第2読取部25にそれぞれ備えるようにしても構わない。
複数のセンサチップ201,213はそれぞれ、等倍密着イメージセンサと称される光電変換素子と集光レンズとを備えたものである。
【0041】
ここで、第1読取部20,第2読取部25による読取位置にそれぞれ原稿が進入するのに先立って、コントローラ部100から光源部200,212にそれぞれ点灯ON信号が送られる。
これにより、光源部200,212がそれぞれ点灯して、その各光をそれぞれ副走査方向に搬送中の原稿表裏の各画像面に向けて照射することにより、その各画像面を照明し、その各画像面を主走査方向(ライン方向)に光走査する。このとき、原稿の各画像面で反射された反射光は、各センサチップ201,213においてそれぞれ、集光レンズによって光電変換素子に集光されてライン毎に光電変換され、アナログ画像信号として読み取られる。
各センサチップ201,213でそれぞれ読み取られたアナログ画像信号は、対応する各アンプ回路202,214によってそれぞれ増幅された後、対応する各A/Dコンバータ(A/D変換手段)203,215によってそれぞれデジタル画像信号に変換される。
【0042】
これらデジタル画像信号(以下「画像データ」ともいう)は、対応する各黒補正部204,216でそれぞれオフセット成分を除去するオフセット補正(黒レベル補正)が行われ、画像処理部205,217に入力されてシェーディング補正などが施される。
なお、第1読取部20,第2読取部25では、それぞれ画像処理部205,217がシェーディング補正を行うため、光源部200,212をそれぞれ含む各部を用いてシェーディング補正用の基準白データ(シェーディング補正データ)を生成する処理も行う。
【0043】
原稿の読み取り動作開始前に、図2の紙厚検知センサ34からの出力信号がそれぞれ画像処理部205,217へ入力されており、その各画像処理部205,217では、それぞれ紙厚検知センサ34からの出力信号に応じて、シェーディング補正後の画像データ(出力レベル)に対して、背景部材からの影響を補正するための処理が行われる。そのため、各画像処理部205,217が第1,第2の出力レベル補正手段および第1,第2の補正係数選択手段としての機能を果す。
画像データに対する補正処理が完了した後、第1読取部20,第2読取部25でそれぞれ読み取られた画像データは、フレームメモリ206に一時記憶される。
【0044】
フレームメモリ206に一時記憶された画像データは、出力制御回路207によって本体制御部111に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路208を経由して本体制御部111に出力される。
なお、コントローラ部100からは原稿の先端が第1読取部20,第2読取部25による読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号や光源部200,212の点灯信号、電源等が出力されるようになっている。
【0045】
この実施形態では、第1読取部20,第2読取部25は、いずれも等倍密着イメージセンサを用いた(CISによる読み取り方式を用いた)構成例として記載しているが、例えば縮小光学系を用いた(CCDによる読み取り方式を用いた)構成であっても何ら問題は無い。
そこで、図1の第1読取部20の代わりに使用する、図1のスタック部Hの下方に設置される縮小光学系を用いた第1読取部について説明する。
【0046】
図6は、その縮小光学系を用いた第1読取部の機構部の構成例を示す図である。
この第1読取部301は、スキャナ装置であり、搬送中の原稿の画像を読み取るための読取窓に相当するコンタクトガラス18と、原稿を載置する原稿ガラスであるコンタクトガラス(プラテンガラス)303と、原稿の露光用の光源部304および第1反射ミラー305とからなる第1キャリッジ306と、第2反射ミラー307および第3反射ミラー308からなる第2キャリッジ309と、イメージセンサであるCCD(Charge Coupled Devices)310と、CCD310に結像するためのレンズユニット311とを備えている。
【0047】
CCD310は、センサ基板313上に設けられている。このセンサ基板313は、CCD310が出力する画像信号(読み取り画像データ)に対して各種の信号処理を施す信号処理回路(図5と同様な回路)が搭載された図示しない信号処理基板と、図示しない接続ケーブルによって接続されている。
光源部304、第1,第2,第3反射ミラー305,307,308、およびレンズユニット311は、走査光学系を構成する。
【0048】
光源部304は、コンタクトガラス18,303の読み取り面に対して、所定角度で光を照射し、背景部材である図1の搬送ガイド32又は原稿で反射した光は、第1,第2,第3反射ミラー305,307,308およびレンズユニット311を経由してCCD310に入射する。
CCD310は、入射光量に対応する電圧をアナログ画像信号として出力する。
第1,第2キャリッジ306,309は、搬送中の原稿の読み取り時には停止しているが、スキャンモード時には、図示しないステッピングモータの駆動により、コンタクトガラス303上に載置された原稿の読み取り面とCCD310との間の距離を一定に保ちながら副走査方向(矢印A方向)に移動し、原稿を露光走査する。
【0049】
次に、図1の第1読取部20を図6に示した第1読取部301に変更した画像読取装置(両面同時読取装置)を搭載した画像形成装置について説明する。
図7は、その画像形成装置の機構部の構成例を示す図である。
この画像形成装置は、プリンタ機能、コピー機能、およびファクシミリ機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であり、画像読取装置300と、プリンタを構成する本体装置500とを備えている。
【0050】
この画像形成装置の本体装置500は、画像読取装置300によって読み取った画像データ(カラー画像データ又はモノクロ画像データ)を可視画像として用紙(他の記録媒体でもよい)に印刷する。
また、通信機能を介して外部からファクシミリ受信した画像データ、あるいはインターネットを介して受信した画像データを可視画像として用紙に印刷することもできる。
さらに、画像読取装置300によって読み取った画像データをファクシミリ送信、あるいはインターネットを介した通信によって外部のファクシミリ装置や情報処理装置へ送ることもできる。
【0051】
この本体装置500は、コントローラ部100からの画像データに基づく指示により、4個の感光体(ドラム状の感光体の場合「感光体ドラム」とも呼ぶ)51y〜51kのそれぞれの表面上に静電潜像を形成する複数のミラーやレンズを含む露光部を備えた露光装置55を備えている。各感光体51y〜51kは、それぞれ表面にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナー画像が書き込まれる像担持体である。
【0052】
各感光体51y〜51kの周りには、各感光体51y〜51kのそれぞれの表面を帯電処理する各帯電装置52y〜52kと、各感光体51y〜51kのそれぞれの表面に形成された静電潜像をそれぞれの色のトナーで可視像化してトナー画像を形成する各現像装置53y〜53kと、各感光体51y〜51k上にそれぞれ形成されたトナー画像を中間転写ベルト50上に重ねるように転写した後に、各感光体51y〜51kに残ったトナーを回収する各クリーニング装置54y〜54kを設けている。
【0053】
中間転写ベルト50は、各感光体51y〜51kのいずれか1つに書き込まれた単色のトナー画像が転写、又は各感光体51y〜51kにそれぞれ書き込まれた各色のトナー画像が重ねて転写される転写体である。この中間転写ベルト50は転写手段に相当する。
この本体装置500は、カラー印刷の場合、中間転写ベルト50に、各感光体51y〜51kに書き込まれた各トナー画像を重ねるように転写し、カラーのトナー画像を形成する。また、モノクロ印刷の場合、中間転写ベルト50に、感光体51kに書き込まれたブラックのトナー画像を転写し、モノクロのトナー画像を形成する。
【0054】
一方、それぞれ異なるサイズの用紙を収納している複数の給紙カセット部56のいずれかから対応する給紙ローラ57によって給紙された用紙Sは、レジストローラ部58において一旦停止し、中間転写ベルト50の回動と同期をとって再給紙され、転写ローラ部59によって中間転写ベルト50上のトナー画像を用紙Sに転写する。トナー画像が転写された用紙Sは定着装置60によって定着処理され、最後に排紙ロ―ラ61によって排紙収納部62に排出される。
なお、この画像形成装置の画像読取装置300を、図1に示したものに変更することも勿論できる。
【0055】
次に、それぞれ同一濃度で且つ紙厚が異なる複数枚の原稿を読み取った場合におけるR,G,Bそれぞれの出力レベル(シェーディング補正後)変化の様子について説明する。なお、「R」はレッド(Red)を、「G」はグリーン(Green)を、「B」はブルー(Blue)をそれぞれ示す。
図8は、それぞれ同一濃度で且つ紙厚が異なる複数枚の原稿の紙厚とその各原稿の読み取り時にそれぞれ得られるR,G,B毎の出力レベルとの関係例を示す線図である。
【0056】
R,G,Bのいずれも、紙厚が薄いほど、原稿からの反射光成分が減少するため、出力レベルは減少方向に向かう。但し、背景部材の僅かな色付きによって、背景部材から戻ってくる反射光成分の量は、R,G,Bでそれぞれ異なる性質を示すため、結果として、出力レベルの減少の挙動はR,G,Bで異なってしまう。
また、上述のように、両面原稿を1度の通紙で同時に読み取ることができる、例えば図1に示したような両面同時読み取り型の画像読取装置(両面同時読取装置)の場合、第1読取部20、第2読取部25それぞれのシェーディング補正データ取得のために背景部材(搬送ガイド32,第2読取ローラ26)が設けられるが、背景部材は、原稿搬送性能(原稿搬送速度ムラ)や、周囲の構成部品との配置(レイアウト)等を考慮した場合に、第1読取部20、第2読取部25それぞれの背景部材の材質を異なるものにする必要がある場合があり、その場合、その色味にも差異がある可能性が高い。
【0057】
したがって、第1読取部20および第2読取部25の一方(例えば第1読取部20)でのR,G,Bの出力レベルの挙動が、例えば図8に示すような特性を示しても、第1読取部20および第2読取部25の他方(例えば第2読取部25)では、その特性とは異なる特性を示すことになる。よって、原稿の紙厚が薄い場合には、第1読取部20、第2読取部25それぞれからの画像データが背景部材からの反射光の影響を受けて、本来のR,G,Bの出力が得られず、更に、原稿の両面に同一濃度箇所がある場合、その箇所の画像データのR,G,B出力レベルが異なってしまうという不具合がある。
【0058】
原稿の紙厚によらず、画像読取装置として本来得たいR,G,Bの出力レベルは、背景部材からの反射光の影響を受けないレベルであり、これは、紙厚が厚い場合のR,G,B出力レベルである。
そこで、原稿の紙厚が薄い場合の(背景部材からの反射光の影響を受けてしまう場合の)R,G,Bの出力レベルを、原稿の紙厚が厚い場合のR,G,Bの出力レベルに一致するように補正することによって、原稿の紙厚によらず、本来のR,G,Bの出力を得ることが可能となる。
【0059】
次に、それぞれ同一濃度で且つ紙厚が異なる複数枚の原稿の読み取り時にそれぞれ得られるR,G,B毎の出力レベル(シェーディング補正後)およびそれらを所定の紙厚時の出力レベルに一致するように補正係数を算出した実験データについて説明する。その実験データの一例を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
この実施形態では、例えば、開発・設計段階において、例えば表1に示すような実験データを取得して図示しないROM又は不揮発性メモリに記憶しておき、原稿の紙厚が十分に厚く、背景部材の影響を受けない原稿の出力レベルの値(所定の目標値)に補正するための補正係数をR,G,B個々に算出する。
表1の例の場合には、紙厚が110〔g/m〕より厚い場合には、R,G,Bのいずれも出力レベルに差異が無くなっているので、110〔g/m〕で得られた出力レベル=200〔digit〕(R,G,B共通)に補正するための補正係数を算出している。その算出式は、以下に示す。
【0062】
補正係数(*)=200〔digit〕/ある原稿紙厚での出力レベル
但し、「*」はR,G,Bのいずれかを示す。
上述のようにして得られた補正係数に基づいて、図2の紙厚検知センサ34の出力値を変数:Lとした補正近似式を以下に定義する。
<補正近似式一例(変数:Lの3次関数の場合)>
補正係数(R)=R1×L+R2×L+R3×L+R4
補正係数(G)=G1×L+G2×L+G3×L+G4
補正係数(B)=B1×L+B2×L+B3×L+B4
但し、R1〜R4、G1〜G4、B1〜B4は、実験データから決まる定数である。
【0063】
上述のように、R,G,B個々に、背景部材の影響を受けない、原稿の紙厚が厚い場合の出力レベルに補正するための補正近似式を定義しておくことによって、いかなる原稿の紙厚であっても、常に最適な出力レベルに補正することが可能となる。
また、両面同時読取装置の場合には、第1読取部20、第2読取部25それぞれに対して、上記のような補正を実行することによって、第1読取部20、第2読取部25それぞれの背景部材の色味が異なる場合であっても、画像データ上での色味差の低減を実現することができる。
【0064】
次に、想定される原稿の紙厚を任意の紙厚幅で区分し、各区分毎に、背景部材からの反射光の影響を受けない原稿を読み取って得られたR,G,Bの出力レベルに一致するように、画像データを補正するための補正係数テーブルについて説明する。その補正係数テーブルの一例を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
表1で説明したような補正近似式を用いた場合には、いかなる原稿の紙厚であっても最適な補正係数を設定することが可能となる一方で、原稿の読み取りの度に補正係数をアクティブに演算を実行する必要があるが、システム構成によっては、この演算実行が読み取りの生産性(スループット)の低下を招く可能性も考えられる。
【0067】
そこで、画像処理部205,217のそれぞれに、例えば表2に示すような補正係数テーブルを格納しておくことにより、図2の紙厚検知センサ34の出力に応じて、適宜、補正係数テーブルから補正係数を選択して、R,G,Bの出力レベルの補正を行う構成にすることができる。
この構成の場合には、補正精度という面では補正近似式を用いたアクティブな補正に比べて劣るが、紙厚検知センサ34の出力によって、即座に補正係数設定が可能となるため(演算実行の必要が無いため)、読み取りの生産性への影響は少なくて済むというメリットがある。
【0068】
ここで、この実施形態による作用効果を(1)〜(5)にまとめて示す。
(1)原稿の厚みを検知し、画像読取装置の第1読取部(表面読取手段)および第2読取部(裏面読取手段)による各画像読み取り時の出力レベルをそれぞれ各色(R,G,B)毎に補正する際に、その検知結果に応じてその補正に必要な補正係数を選択することにより、原稿を透過して背景部材から反射してくる光成分の影響による画像データの変化を低減することができる。また、第1読取部と第2読取部で異なる背景部材が使用されている場合でも、その各背景部材からの反射光成分の影響が低減可能となり、結果的に第1読取部と第2読取部との間の出力レベル差(表裏画像の色味差)を低減することもできる。
【0069】
(2)それぞれ同一濃度で且つ厚みが異なる複数枚の原稿の画像読み取り時にそれぞれ得られる各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための近似式から補正係数を算出することにより、検知した原稿の紙厚に応じて高精度な画像データの補正を実現できる。
(3)それぞれ同一濃度で且つ厚みが異なる複数枚の原稿の画像読み取り時にそれぞれ得られる各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための補正係数テーブルから補正係数を選択することにより、補正係数演算を実行することなく、簡易な構成での補正実行を実現できる。
【0070】
(4)上記所定の目標値を、原稿の画像読み取り面の裏側に配置されている背景部材からの反射光成分の影響を受けない、原稿の画像読み取り時に得られる各色毎の出力レベルの値とすることにより、原稿の紙厚によらず、原稿濃度を忠実に再現した画像データを出力することが可能となる。
(5)画像形成装置本体が、画像読取装置からのR,G,Bの画像データを画像形成用のイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の画像データに変換し、可視画像として用紙等の記録媒体に画像形成することにより、高品質の画像を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、原稿を透過して背景部材から反射してくる光成分の影響による画像データの変化を低減することができる。よって、その画像データの変化を低減可能な画像読取装置を提供できる。また、高品質画像を画像形成可能な画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0072】
20,301:第1読取部 25:第2読取部 32:搬送ガイド
26:第2読取ローラ 34:紙厚検知センサ 100:コントローラ部
111:本体制御部 200,212,304:光源部
201,213:センサチップ 202,214:アンプ回路
203,215:A/Dコンバータ 204,216:黒補正部
205,217:画像処理部 206:フレームメモリ 207:出力制御回路
208:I/F回路 300:画像読取装置 305:第1反射ミラー
306:第1キャリッジ 307:第2反射ミラー 308:第3反射ミラー
309:第2キャリッジ 310:CCD 500:本体装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特許第4379488号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の表面を照明して、該被写体の表面からの反射光をアナログ画像信号に変換し、該アナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して出力することにより、前記被写体の表面画像を読み取る表面読取手段を有する画像読取装置であって、
前記表面読取手段による画像読み取り時の出力レベルを各色毎に補正する第1の出力レベル補正手段と、
前記被写体の厚みを検知する厚み検知手段と、
該厚み検知手段による検知結果に応じて、前記第1の出力レベル補正手段による前記各色毎の補正に必要な補正係数を選択する第1の補正係数選択手段とを設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記被写体の裏面を照明して、該被写体の裏面からの反射光をアナログ画像信号に変換し、該アナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して出力することにより、前記被写体の裏面画像を読み取る裏面読取手段と、
前記裏面読取手段による画像読み取り時の出力レベルを各色毎に補正する第2の出力レベル補正手段と、
前記厚み検知手段による検知結果に応じて、前記第2の出力レベル補正手段による前記各色毎の補正に必要な補正係数を選択する第2の補正係数選択手段とを設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記第1の補正係数選択手段は、それぞれ同一濃度で且つ厚みが異なる複数枚の被写体の画像読み取り時にそれぞれ得られる前記各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための近似式から前記補正係数を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1の補正係数選択手段は、それぞれ同一濃度で且つ厚みが異なる複数枚の被写体の画像読み取り時にそれぞれ得られる前記各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための補正係数テーブルから前記補正係数を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1,第2の補正係数選択手段は、それぞれ同一濃度で且つ厚みが異なる複数枚の被写体の画像読み取り時にそれぞれ得られる前記各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための近似式から前記補正係数を算出することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第1,第2の補正係数選択手段は、それぞれ同一濃度で且つ厚みが異なる複数枚の被写体の画像読み取り時にそれぞれ得られる前記各色毎の出力レベルを所定の目標値に補正するための補正係数テーブルから前記補正係数を選択することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記所定の目標値は、前記被写体の画像読み取り面の裏側に配置されている背景部材からの反射光成分の影響を受けない、前記被写体の画像読み取り時に得られる前記各色毎の出力レベルの値であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像読取装置を備え、該画像読取装置から出力されるデジタル画像信号に基づいて画像形成を行うようにしたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−195881(P2012−195881A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59837(P2011−59837)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】