説明

画像読取装置と画像形成装置

【課題】被写体を読み取れなくなったとき、読取部に異常が発生したのか、読取部と他の回路との伝達経路に通信異常が発生したのかを判別できるようにする。
【解決手段】画像読取装置は、光源10による被写体の反射光を受光して電気信号に変換するイメージセンサユニット108を有する読取ユニット50と、読取ユニットからの出力値と閾値とを比較して読取ユニットの正常、異常を判断するメインCPUと、読取ユニットの電源をOFF/ONする読取部共通電源部26とを備えている。メインCPUは、異常であると判断したとき、読取部共通電源部によって読取ユニットの電源をOFF/ONして、読取ユニットが正常か否かを再度判断するリトライ処理を所定回数繰り返すまでに、正常であると判断した場合、読取ユニットが正常である正常信号を発し、リトライ処理を所定回数繰り返しても、異常であると判断した場合、読取ユニットが異常である異常信号を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
読取部の光を被写体に照射して被写体の画像を読み取る画像読取装置と、この画像読取装置を装置本体に備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDを光源に用いた読取装置は、カラー、モノクロを含めて提案されている。読取装置は、カラー読取の場合は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の光源を使用し、モノクロ読取の場合は、単色、例えばG(緑)の光源を使用している。読取装置は、各色を点灯制御して被写体としての原稿を照射し、受光センサを通じて、カラー及びモノクロの画像信号を得て、原稿等を読み取っている。
【0003】
ところが、読取時の受光センサの受光値は、LED自体の光量のバラツキや受光センサの感度のバラツキによって一定でない。このため、画像読取装置は、バラツキを制御する必要があり、読取時の受光レベルが一定になるように、受光レベルを調整している。
【0004】
また、特許文献1に記載の画像読取装置のように、読取部としての読取ユニットを他のユニットと切り離したものもある。この場合、読取ユニットの光源、受光センサ及び光電変換回路は、直接サブコントローラによって制御され、通信によってサブコントローラを介してメインコントローラによって制御されるようになっている。このような画像読取装置は、サブコントローラとメインコントローラとを別々に設計することができるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2007−235441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の画像読取装置は、LEDの光量が受光レベルの調整範囲を外れた場合や、正常に調整できない場合、調整エラーとして読取動作を中断して、作動を停止するようになっている。このため、従来の画像読取装置は、ユーザにとっては使い勝手が悪かった。
【0007】
また、従来の画像読取装置は、メインコントローラとサブコントローラと間に外部の影響を受けて一時的に通信エラーが発生したり、調整値の設定ミス等が発生したりすることがある。この場合、従来の画像読取装置は、読取部が読取動作を正常に行なえるにもかかわらず、読取動作を中断、停止することがあり、読取効率が悪かった。
【0008】
本発明は、被写体を読み取ることができなくなったとき、読取部に異常が発生したのか、読取部と他の回路との伝達経路に通信異常が発生したのかを判別できる画像読取装置と、この画像読取装置を装置本体に備えた画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像読取装置は、被写体を照射する光源と、前記光源によって照射された被写体の反射光を受光して電気信号に変換する光電変換素子とを備えた読取部によって被写体の画像を読み取るようになっており、前記読取部からの出力値と閾値とを比較して前記読取部が正常であるか異常であるかを判断する判断手段と、前記読取部の電源をON/OFFするリトライ制御手段と、を備え、前記判断手段は、前記異常であると判断したとき、前記リトライ制御手段によって前記読取部の電源をOFF/ONして、前記読取部が正常であるか異常であるかを再度判断するリトライ処理を所定回数繰り返すまでに、正常であると判断した場合、前記読取部が正常であるという正常信号を発し、前記リトライ処理を所定回数繰り返しても、異常であると判断した場合、前記読取部が異常であるという異常信号を発する、ことを特徴としている。
【0010】
本発明の画像形成装置は、上記の画像読取装置と、前記画像読取装置の画像読取情報に基づいてシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像読取装置は、リトライ処理を所定回数繰り返すまでに、正常であると判断した場合、読取部が正常であるという正常信号を発するので、読取部の故障でない場合、読取動作を継続して、読取効率を高めることができる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、読取効率を高めた画像読取装置を備えているので、シートへの画像形成効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の画像読取装置と、この画像読取装置を備えた画像形成装置とを図に基づいて説明する。
【0014】
画像読取装置が装備される画像形成装置には、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機能を備えたものがある。本実施形態の画像読取装置は、ファクシミリに装備されている場合について説明するが、複写機、プリンタ等に装備されて使用されてもよい。また、画像読取装置は、画像形成装置に装備されることなく、単独で、スキャナの様に使用される場合もある。
【0015】
図1は、本発明の実施形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。図2は、図1の画像形成装置の外観斜視図である。図3は、画像形成装置に装備された本発明の実施形態における画像読取装置の一部分を示したものであり、原稿搬送方向に沿った断面図である。
【0016】
(画像形成装置)
画像形成装置100は、装置本体101と、装置本体101の上部に設けられた画像読取装置103と、画像読取装置103の上部に設けられた自動原稿供給装置(ADF、オートドキュメントフィーダ)126とを備えている。
【0017】
自動原稿供給装置126は、原稿載置台106に置かれた被写体としての例えばシート原稿Dを1枚ずつ分離して画像読取装置103に供給するようになっている。
【0018】
画像読取装置103は、自動原稿供給装置126によって流し読みガラス109上に送り込まれるシート原稿Dを移動停止しているイメージセンサユニット108で読み取るようになっている。また、画像読取装置103は、原稿台ガラス107に置かれた被写体としての例えばシート原稿D或いはブック原稿Eをイメージセンサユニット108の副走査方向への移動によって読み取るようになっている。副走査方向は、図1、図3の左右方向である。主走査方向は、副走査方向に対して直交する方向であり、図2、図5において矢印B方向である。
【0019】
画像形成装置の装置本体101は、画像読取装置103の画像読取情報に基づいてシートに画像を形成するようになっているので記録装置でもある。
【0020】
画像読取装置103は、読み取った画像の情報を装置本体101に組み込まれた記録装置本体104に送るようになっている。記録装置本体104は、LEDアレイを使用した電子写真プリンタである。操作部105(図2)は、表示部、入力キー等を備えて、ユーザが画像形成装置100を操作する部分である。
【0021】
また、装置本体101は、LEDヘッドユニット110、画像形成部111、カセット給紙部112、記録装置本体104の上部にシートPを複数枚積載することができるように構成された記録シート排紙部113、カートリッジカバー部114を備えている。さらに、装置本体101は、画像読取装置103と記録装置本体104とを接合する接合部119、ファクシミリ装置の制御部120、両面搬送部カバー122、搬送方向切換部123、レジスト搬送部124も備えている。また、装置本体101は、記録装置本体104内部に配置されたMP(マルチペーパー)給紙部125、両面搬送部150を備えている。
【0022】
自動原稿供給装置126は、ADF分離部115、排紙搬送部116、原稿排紙部117、ブック原稿を押圧する原稿押え板118、シート原稿搬送部121等を備えている。
【0023】
(ブック原稿の読み取りに関係する画像読取装置とADFとの部分説明)
図2において、ADF圧板102は、ヒンジ部102aによって画像読取装置103に回動自在に取り付けられて図1の原稿台ガラス107と流し読みガラス109とを図2の両矢印A方向に開閉できるようになっている。ヒンジ部102aは、装置本体101の背面側の左右に各1個設けられて、ユーザがADF圧板102の手前側を持ち上げたとき、ADF圧板102を後方に開けることができるようにしている。ヒンジ部102aは、ダンパやカム、ばね部材などの組合せによりADF圧板102を所定の角度(例えば、70度)に開いた状態に保持できるようになっている。ADF圧板102が開いた状態では、原稿台ガラス107上に原稿をセットすることができる。
【0024】
図1,4のイメージセンサユニット108はLEDと樹脂製導光体となどからなる光源から原稿の画像情報面に光を照射して、画像情報面で反射した反射光をセルフォックレンズ(商標)で一次元センサ素子アレイに結像して原稿の画像情報を読み取るものである。
【0025】
図4において、イメージセンサユニット108は、タイミングベルト103a、不図示の駆動モータによって回転する駆動プーリ103b、従動プーリ103fなどにより、ガイド軸103cの案内によって、装置の左右方向に移動する移動型に構成されている。また、イメージセンサユニット108は、キャリッジ103dによってガイド軸103cに支持されるとともに、スプリング103eによって上方へ付勢されている。タイミングベルト103aとキャリッジ103dは、連結部材103gによって連結されている。
【0026】
イメージセンサユニット108と原稿台ガラス107の間にはスペーサ108aが介挿されている。イメージセンサユニット108(図1)は、ブック読取範囲開始位置107aからブック読取範囲終了位置107bまでの所定の範囲の原稿台ガラス107上に置かれた原稿の画像を等速移動して読み取るようになっている。
【0027】
図3において、原稿台ガラス107の上部に張り出したジャンプ台109bの下面には、白色シート109cが配設されている。画像読取装置103は、イメージセンサユニット108の読取位置がその下部にあるときにイメージセンサユニット108のシェーディング補正を行なうようになっている。画像読取装置103は、本を読み取るブックスキャンを行なう場合、1回のスキャンのたびにイメージセンサユニット108がジャンプ台109bの下部を通過するためスキャンのたびにシェーディング補正を行なうことができる。このことは光源の経時変化に応じて光量が変化する移動型イメージセンサ108の光源の影響を減らすために有効である。
【0028】
図1において、原稿押え板118は、原稿台ガラス107上に置かれた原稿の浮きを防止するため、白色シート、スポンジなどを積層して形成されている。原稿押え板118は、左端118aがブック読取範囲開始位置107aの左側、右端118bがブック読取読取範囲終了位置107bの右側まで延設されている。
【0029】
(シート原稿の読み取りについての説明)
図1、図2において、原稿載置台106は、ADF圧板102に設けられている。原稿載置台106には、1対のスライダ106aがシート原稿Dの搬送方向と直角方向(シート原稿Dの幅方向、矢印B方向)にスライド自在に設けられている。この1対のスライダ106aによって原稿載置台106上に積載されたシート原稿Dの両サイドを揃えることができるようになっている。すなわち、1対のスライダ106aによってシート原稿Dの幅整合をすることができる。原稿載置台106上には原稿長さセンサ106bが配設され、セットされたシート原稿Dの長さを検知できるようになっている。
【0030】
図3において、ADF分離部115には、シート原稿Dの有無と幅を検知する原稿幅センサ115dがシート原稿Dの幅方向に複数配設されている。原稿幅センサ115dは、図3において、重なって見えるため、1つだけ示してある。原稿幅センサ115dと原稿長さセンサ106bの検知出力の組合せにより原稿のサイズとセットの方向とを検知することができる。
【0031】
図3において、シート原稿搬送部121には、原稿給送センサ121hと原稿端センサ121iが配設されている。原稿給送センサ121hは、ADF分離部115からシート原稿Dが繰り出されたか否かや、シート原稿Dの後端の通過を検知するようになっている。原稿端センサ121iは、シート原稿Dの先端及び後端の通過を検知するようになっている。その出力は読取のタイミング制御に使用される。
【0032】
ADF分離部115は、不図示のアクチュエータにより上下動するピックアップローラ115aと、分離ローラ115bと、分離ローラ115bに圧接されて逆方向に回転するリタードローラ115cなどで構成されている。
【0033】
まず、シート原稿Dは、ユーザによって、原稿載置台106上に表(おもて)面を上にして積載される。そして、ピックアップローラ115aが下降して、シート原稿を原稿載置台106に押圧し、分離ローラ115bとリタードローラ115cとの間に送り込む。リタードローラ115cと分離ローラ115bは、シート原稿を1枚ずつに分離して搬送する。次に、不図示の押圧ばねにより読取搬送ローラ121cに押圧された分離搬送ころ121a,121bと、読取搬送ローラ121cとが、シート原稿を原稿ガイド121dに沿ったUターン紙パスを搬送して、流し読みガラス109上に搬送する。
【0034】
不図示の付勢ばねで押圧されたシート原稿押え板121eは、流し読みガラス109を搬送されたシート原稿Dを流し読みガラス109に押圧して密着させる。この間、シート原稿Dは搬送を継続されている。このとき、イメージセンサユニット108は、既に、シート原稿読取位置109aに移動して停止しており、シート原稿読取位置109a上を通過するシート原稿Dの表面の画像情報を読み取る。次に、ジャンプ台109bは、搬送を継続されているシート原稿DをADF圧板102側にすくい上げる。そして、不図示の押圧ばねにより読取搬送ローラ121cに押圧された読取搬送ころ121fと、読取搬送ローラ121cとがシート原稿を搬送する。
【0035】
さらに、押圧ばねによって排紙ローラ117bに押圧された排紙ころ117aと排紙ローラ117bとが、シート原稿Dを原稿排紙トレイ117cに排出する。このとき、排紙ローラ117bの上流側に設けられた読取済みスタンプ121gが、シート原稿Dの表面に画像読取済み印を押圧する。
【0036】
(イメージセンサユニット等について)
図4乃至図6は、本実施形態に係るイメージセンサユニット108の具体的構成例を示す図である。
【0037】
イメージセンサユニット108は、LED10と樹脂製の導光体11と等からなる光源からの光を原稿の画像に照射しする。その反射光は、結像光学系であるセルフォックレンズアレイ12で一次元センサ素子アレイである受光センサ13に結像されるようになっている。これによって、イメージセンサユニット108は、原稿の画像情報を読み取ることができる。なお、光源は、主走査方向の向きに配設された軸状のランプでもよい。
【0038】
光源は、カラー読み取りの場合、複数色のカラーであるR(赤)、G(緑)、B(青)の3色のLEDにより構成され、モノクロ読取の場合は、単色、例えばG(緑)の光源を使用する。3色のLEDは、互いに異なる波長分布を有している。図には、LEDが後述する1つの導光体11に1個しか設けられていないが、3つ設けられているものとする。
【0039】
イメージセンサユニット108は、光源の発光素子であるLED10と、LED10で発せられた光を原稿へと導く導光体11とからなる1対の導光体光源を、結像光学系の役目をするセルフォックレンズアレイ12の両側に配設した構造になっている。セルフォックレンズアレイ12の直下には、受光センサ13が配設されている。イメージセンサユニット108は枠体14内に配置されている。受光センサ13は、イメージセンサユニット108の主走査方向に沿って配列された複数の受光素子13aを有している。LED10は、一方の導光体11の一端と他方の導光体11の他端にそれぞれ1個設けられている。
【0040】
イメージセンサユニット108は、構成部材が中心軸Cに対して点対称の位置に配置された構成になっている。
【0041】
各LED10から発せられた光は、それぞれの導光体11内で反射を繰り返しながらシートの幅方向(矢印B方向、主走査方向)に進行して、導光体11の全長の発光面11aから出射する。導光体11から出射した光は、図6のように原稿台ガラス107上のブック原稿Eを照射して、セルフォックレンズアレイ12を通って受光センサ13に受光される。光電変換素子、撮像素子(CIS)としての受光センサ13は、ブック原稿Eの反射光を受光して、反射光を電気信号に変換するようになっている。
【0042】
図7は、本発明におけるイメージセンサユニット108における導光体光源による光量分布を示している。図において、一方の導光体側のLED10からの距離を基準にその光量分布が実線で示され、他方の導光体側の光量分布が点線で示されている。イメージセンサユニット108全体としての光量分布は、一点鎖線で示されるように各々のLED10の光量を加算したものとなり、すなわち図示のように光量が増大するとともに平均化されている。
【0043】
この実施形態のイメージセンサユニット108によれば、上記のように2つの導光体11の間でLED10を反対側に設けることで、導光体光源が相互に補完し合うかたちの光量分布が得られる。これにより、画像読取装置103は、ムラのない良好な読取画像が得られる。
【0044】
なお、LED10は、導光体11の両端に設けられていても良い。また、LED10、導光体11は、図8に示すように、片側だけに設けられていても良い。
【0045】
次に、CISユニット21から出力される画像信号を処理する画像信号処理部を図9のブロック図に基づいて説明する。CISユニット21は、光電変換装置であり、LED10、受光センサ13で構成されている。
【0046】
CISユニット21から出力される画像データであるアナログ信号は、AMP・A/D変換機23のAMPによって増幅され、A/D変換器によってデジタル信号に変換されて、メインCPU・メモリ24のメモリに保存される。なお、以下の説明において、メインCPU・メモリ24に関する事柄において、メインCPUに関係することについては「メインCPU24」と言い、メモリに関係することについては「メモリ24」と言う。
【0047】
AMP・A/D変換器23のデジタルデータは、並べ替え回路40において1ラインの信号に並べ替えられて、シェーディング補正回路41においてシェーディング補正される。その後、デジタルデータである画像情報は、I/F回路(インターフェース回路)42を介して、画像形成装置の画像形成部111に出力されるか、あるいはホストコンピュータ等によって画像再生される。
【0048】
サブCPU30は、LED駆動回路25の点灯時間を制御したり、シェーディングデータ等の演算や読取ユニット50を制御したりするようになっている。さらに、サブCPU30は、メインCPU24からの設定値に基づいて、AMP・A/D変換器23を制御するようになっている。
【0049】
読取部共通電源26は、読取ユニット50の不図示の電源をON/OFFするようになっている。
【0050】
画像読取装置の操作部105(図2も参照)は、画像読取装置の状態表示や、画像形成装置全体の動作状態の表示を行なうようになっている。また、操作部105は、ユーザによる読み取り命令が入力されるようになっている。
【0051】
読取ユニット50内のLED駆動回路25は、読取部共通電源26からの電力を受けて、サブCPU30の制御により、CISユニット21の各LEDを作動させるようになっている。AMP・A/D変換器23も、読取部共通電源26からの電力を受け、サブCPU30の制御により作動するようになっている。
【0052】
AMP・A/D変換器23は、アナログ信号をデジタル信号に変換するのに加えて、変換するレベルを設定して、画像の輝度レベル(画像のデジタルデータ)である読取レベルを調整できるようになっている。
【0053】
メインCPU24は、サブCPU30との通信I/F51を介して、メモリ24に記憶された設定データ等を読取ユニット50に送信するようになっている。設定データには、AMP・A/D変換器23の設置値、読取ユニット50の制御用の設定値などがある。メモリ24からの設定データ等を受けたサブCPU30は、その設定データに基づいて、AMP・A/D変換器23の読取レベルの調整や、読取ユニット50を制御するようになっている。
【0054】
メインCPU24は、読取ユニット50の読取部共通電源26のON/OFFの切り替えができ、読取ユニット50への電源供給の有無を制御するようになっている。
【0055】
メインCPU24は、シェーディング補正、及び読取レベル調整の際の画像データにより、CISユニット21のLED10の故障、あるいはAMP・A/D変換器23の異常を検出するようになっている。
【0056】
図10、図11のフローチャートは、電源投入及びスリープ復帰時処理の制御シーケンス(図10)と、LED異常検出でのリトライ制御シーケンス(図11)を示したフローチャートであり、メモリ24に格納されている。メインCPU24は、フローチャートに基づいて各部を制御する。
【0057】
図10に示すフローチャートを説明する。
【0058】
画像読取装置に電源が投入されたとき、又は画像形成装置がスリープ復帰したとき(S2001)、メインCPU24は、オフセット調整を行い、所定の黒レベルへ黒データを黒側へシフトする(S2002)。オフセット調整は、画像の黒レベル調整のことである。また、オフセット調整では、白色シート109cの黒レベルが共通の黒レベル値となるように、読取レベルのデフォルトを調整する。黒レベル調整は、LED10を消灯して行なう必要がある。
【0059】
次に、メインCPU24は、読取部共通電源26をONにして、白色シート109cの下でLEDを点灯させ(S2003)、ゲイン調整を行なう(S2004)。ゲイン調整では、白色基準板の白レベルが共通の白レベル値となるように、読取レベルのデフォルトを調整する。
【0060】
AMP・A/D変換器23は、白色シートの白データを所定の白データに一致するようにおいて増幅する。そして、メインCPU24は、ゲイン調整によりオフセット状態が変化するので、読取部共通電源26をOFFにしてLEDを消灯させ(S2005)、再度、オフセット調整を行なう(S2006)。
【0061】
次に、メインCPU24が、LEDが消えた状態で黒データのサンプリングを行い、主走査方向の所定領域に対して、黒シェーディング補正データの演算及びセットを行なう(S2007)。そして、メインCPU24は、LED10を点灯させ(S2008)、白色シート109cの下にごみが存在するか否かを検知する(S2009)。
【0062】
次に、メインCPU24は、白色シート109cの白データをサンプリングし、白シェーディング補正データを演算してメモリ24にセットする(S2010)。その後、メインCPU24は、このシェーディング補正データのうち、主走査方向の中央200の受光素子13a(図5)をサンプリングし(S2011)、読取ユニット50の出力値と閾値(シェーディングターゲット値の1/2レベル)と比較する(S2012)。メインCPU24は、閾値以下の受光素子13aの数が10未満の場合(S2013でN)、読取ユニット50に異常がないと判断して、LED10をOFFにして(S2014)、処理を終了する(S2015)。
【0063】
閾値以下の受光素子13aの数が10以上の場合、メインCPU24は、読取ユニット50に異常がある可能性があると判断して(S2013でY)、シェーディングリトライ処理を行なうか否かを判断する(S2016)。この判断は、リトライ処理回数に基づいて判断する。リトライ処理は、S2017(後述するS3001乃至S3005)、S2002乃至S2013であり、これを1回とする。
【0064】
メインCPU24は、読取ユニット50に異常がある可能性があると判断した場合(S2013でYES)、第1回目のリトライ処理を行なう(S2017、S2002乃至S2013)。そして、メインCPU24は、閾値以下の受光素子13aの数が10未満であるか否かを再度判断する(S2013)。このとき、閾値以下の受光素子13aの数が10未満になっていれば、メインCPU24は、リトライ処理を終了し(S2014,S2015)、閾値以下の受光素子13aの数が10以上であれば、再度、リトライ処理を行なう。そして、メインCPU24は、閾値以下の受光素子13aの数が10未満の状態で、リトライ処理を、4回目を行なうような場合(S2016でN)、読取ユニット50が異常であると判断して、異常信号を操作部105に送信する(S2018)。報知手段としての操作部105は、エラー(光量不足、シェーディングエラー)であることを表示(報知)する。この場合、LED10が異常であることを表示してもよい。そして、画像読取装置は、停止する。
【0065】
メインCPUは、リトライ処理を3回以内返す間(所定回数繰り返す間)に、閾値以下の受光素子13aの数が10未満になったとき、図9における各回路間においての信号の授受に外部の障害電波等によって異常が一時的に生じて、解消されたものと判断する。所定回数は3回に限定されない。この場合、メインCPU24は、正常信号を発して、異常状態を検知した前の状態に画像読取装置全体を戻す。
【0066】
次に、シェーディングリトライ処理(S2017)を、図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0067】
メインCPU24は、リトライ処理を開始すると(S3001)、読取部共通電源26をOFFにして、読取ユニット50の電源をOFFにし(S3002)、読取ユニット50への電源供給を遮断する。メインCPU24は、1秒のウェイト(S3003)が経過すると、再度、読取ユニット50の電源をONに切り替える(S3004)。すると、サブCPU30がAMP・A/D変換器23を初期化する。これによって、読取ユニット50は初期化される(S3005)。なお、ウェイト時間は、1秒に限定されない。
【0068】
読取ユニット50が初期化されると、メインCPU24は、図10の電源投入時のフローチャートに戻り、再度、調整処理を行なう(S2002乃至S2013)。
【0069】
メインCPU24は、内部カウンタ27でリトライ回数をカウントしており、異常を検知した場合でもリトライ回数が3回以内であれば、同様のリトライ処理を行なう。
【0070】
したがって、メインCPU24は、LED10を有する読取ユニット50からの信号の値が閾値を超えていないとき、LED10を再度点滅させて信号の値を検知するリトライ処理を最大3回繰り返えす。そして、メインCPU24は、リトライ処理を3回行なっても、信号の値が閾値を超えていないとき、読取ユニット50に異常があったものと判断する。しかし、メインCPU24は、リトライ処理を3回行なうまでに、信号の値が閾値を超えたとき、各回路間の信号の授受が外部から何らかの障害を受けたことが原因で、閾値が一時的に低くなり、その後、その障害が解消されたものと判断する。したがって、画像読取装置103が読取動作を行なうとき、或いは行なっているとき、画像読取情報が異常値を示したとき、読取ユニット50、特に、LED10に異常が発生したものと誤判断して、LEDを交換するようなことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図2】図1の画像形成装置の外観斜視図である。
【図3】画像形成装置に装備された本発明の実施形態における画像読取装置の一部分を示したものであり、原稿搬送方向に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施形態における画像読取装置の断面図である。(A)副走査方向に沿った断面図である。(B)主走査方向に沿った断面図である。
【図5】イメージセンサユニットの斜視図である。
【図6】図5のイメージセンサユニットの副走査方向に沿った断面図である。
【図7】本発明の実施形態におけるイメージセンサユニットによる光量分布を示す図である。
【図8】他の実施形態におけるイメージセンサユニットの図であり、図6に相当する図である。
【図9】本発明の実施形態における制御回路を示す図である。
【図10】本発明の実施形態における電源投入及びスリープ復帰時の制御シーケンスのフローチャートを示す図である。
【図11】本発明の実施形態における読取異常検出でのリトライシーケンスのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0072】
D シート原稿(被写体)
E ブック原稿(被写体)
10 LED(光源)
11 導光体(光源)
12 セルフォックレンズアレイ
13 受光センサ(=CIS)(光電変換素子)
13a 受光素子
21 CISユニット(光電変換装置)
24 メインCPU(判断手段)・メモリ
26 読取部共通電源(リトライ制御手段)
27 カウンタ
30 サブCPU
50 読取ユニット(読取部)
100 画像形成装置
101 装置本体
103 画像読取装置
104 記録装置本体
105 操作部(報知手段)
108 イメージセンサユニット(=CISユニット)
111 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を照射する光源と、前記光源によって照射された被写体の反射光を受光して電気信号に変換する光電変換素子とを備えた読取部によって被写体の画像を読み取る画像読取装置において、
前記読取部からの出力値と閾値とを比較して前記読取部が正常であるか異常であるかを判断する判断手段と、
前記読取部の電源をON/OFFするリトライ制御手段と、を備え、
前記判断手段は、前記異常であると判断したとき、前記リトライ制御手段によって前記読取部の電源をOFF/ONして、前記読取部が正常であるか異常であるかを再度判断するリトライ処理を所定回数繰り返すまでに、正常であると判断した場合、前記読取部が正常であるという正常信号を発し、前記リトライ処理を所定回数繰り返しても、異常であると判断した場合、前記読取部が異常であるという異常信号を発する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記異常信号に基づいて、前記読取部が異常であることを報知する報知手段を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記リトライ処理の回数をカウントするカウンタを備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記光電変換素子は、前記読取部の主走査方向に沿って配列された複数の受光素子を備え、
前記出力値は、前記受光素子の出力値である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置の画像読取情報に基づいてシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−296045(P2009−296045A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144778(P2008−144778)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】