説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】複写機等の画像読取装置において、熱せられた空気をより効率よく装置外に排出することのできる技術を提供する。
【解決手段】画像読取部4を収容する本体ハウジング30の上方に原稿搬送装置2が配置された複写機において、本体ハウジング30はその上面に通気口301a・301bを備える。そして、原稿搬送装置2のハウジング20はその下面に、通気口301a・301bのそれぞれと対向する吸気口201a・201bを備え、さらに、吸気口201a・201bのそれぞれと通気状態にある排気口202a・202bを備える。そして、吸気口201aと排気口202aとの間、吸気口201bと排気口202bとの間に、ファン61a・61bがそれぞれ設けられることで、本体ハウジング30内で熱せられ、上昇した空気が、ファン61a・61bによって、排気口202a・202bから排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿上の画像を読み取る画像読取装置、及びそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置において、原稿を照明する光源等の発熱部材を備えるために、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、本体とこの本体の上部に配置された原稿送り装置とを備える複写機が記載されている。この複写機の本体は、原稿を照明するランプを備える露光装置を備えると共に、露光装置を冷却するために、露光装置に向けて空気を吹き付ける冷却用ブロアを備える。また、この複写機は、本体内のエアガイド及び本体上面に設けられた開口によって、原稿が通過する露光ガラスや、原稿送り装置の原稿ガイド板等にも、冷却用ブロアから噴出される空気の一部を案内することができる。
【特許文献1】特開平3-226776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、熱せられた空気の装置内から装置外への排出効率が充分でなく、改良の余地があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑みたものであり、その目的は、熱せられた空気を装置外に排出する新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の画像読取装置は、上面に通気口を備える第1ハウジングと、上記第1ハウジング内に配され、原稿上の画像を読み取る読取部と、上記通気口と通気可能に配された吸気口を底面に有し、上記吸気口と通気可能に配された排気口を有すると共に、上記第1ハウジング上方に配される第2ハウジングと、上記第2ハウジング内に配され、上記原稿を上記読取部に対して移動させる原稿搬送部と、上記第2ハウジング内に配され、上記吸気口から上記排気口へと空気を送る送風機と、を備える。
【0007】
熱せられた空気は上昇するので、この画像読取装置の構成によると、第1ハウジング内で熱せられた空気は、第1ハウジングの上面に設けられた通気口、及びこの通気口と通気可能な第2ハウジングの吸気口に向かって流れる。そして、送風機により、吸気口から排気口へと向かう空気の流れが生じるので、この流れによって第1ハウジング内の熱い空気は最終的に第2ハウジング外に排出される。このように、熱せられて第1ハウジングから上昇する空気を、第1ハウジング上方に設けられた送風機によって排出することで、熱せられた空気を第1ハウジング内から効率よく排出することができる。
【0008】
請求項2に記載するように、請求項1の画像読取装置において、上記送風機は、上記吸気口と上記排気口との間に配されることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、吸気口を通って第2ハウジング内に移動した熱い空気が、送風機により生じた空気の流れによって、排出口側に引き込まれる。そのため、熱い空気の流れる方向を、排出口側に向けて制御しやすいという利点がある。
【0010】
また、請求項3に記載するように、請求項1又は2の画像読取装置は、上記第2ハウジング内に配された発熱体をさらに備え、上記送風機は、上記発熱体から上記排気口に向かう空気の流れを作るように配されてもよい。
【0011】
この構成によれば、発熱体により熱せられた第2ハウジング内の空気が、この送風機によって排出される。
【0012】
また、請求項4に記載するように、請求項3の発熱体は、原稿搬送部によって搬送中の原稿に対向するように配されたイメージセンサであってもよい。
【0013】
また、請求項5に記載するように、請求項1〜4のいずれかの画像読取装置は、上記第1ハウジング内の温度を検出する温度検出部と、上記温度検出部の検出温度が所定値を超えると上記送風機を稼動させる送風開始部と、をさらに備えてもよい。
【0014】
また、請求項6に記載するように、請求項1〜4のいずれかの画像読取装置は、上記第1ハウジング内に配された発熱体と、上記発熱体が通電状態となると上記送風機を稼動させる送風開始部と、をさらに備えてもよい。
【0015】
また、請求項7に記載するように、請求項1〜6のいずれかの画像読取装置は、上記第1ハウジング内の温度を検出する温度検出部と、上記温度検出部の検出温度が所定値以下となると上記送風機の動作を停止させる送風停止部と、をさらに備えてもよい。
【0016】
また、請求項8に記載するように、請求項1〜6のいずれかの画像読取装置は、上記第1ハウジング内に配された発熱体と、上記発熱体が非通電状態となると上記送風機の動作を停止させる送風停止部と、をさらに備えてもよい。
【0017】
また、請求項9に記載するように、請求項1〜4のいずれかの画像読取装置は、上記第1ハウジング内の温度を検出する温度検出部と、上記第1ハウジング内に配された発熱体と、上記温度検出部の検出温度が所定値を超え、かつ上記発熱体が通電状態となると上記送風機を稼動させ、上記発熱体が非通電状態となると上記送風機を停止させる送風制御部と、をさらに備えてもよい。
【0018】
このように、温度の上昇及び/又は発熱体の通電に応じて送風機を稼動させることで、排気に用いる電力を低減することができる。
【0019】
請求項10に記載するように、発熱体は光源であってもよい。
【0020】
また、請求項11に記載するように、請求項1〜10のいずれかの読取装置において、上記第2ハウジングは、上記吸気口が上記通気口と通気状態となる第1姿勢と、上記吸気口が上記通気口と非通気状態となる第2姿勢と、を取ることができるように、上記第1ハウジングに対して移動可能に連結されていてもよい。この場合、読取装置は、上記通気口を開閉する開閉部と、上記第2姿勢にあるときに上記通気口を閉じるよう上記開閉部を制御する開閉制御部と、をさらに備えることが好ましい。
【0021】
この構成によると、通気口を介して第1ハウジング内に埃等の微細な異物が入ることを防ぐことができる。
【0022】
請求項11に記載するように、上記課題は、上面に通気口を備える第1ハウジングと、上記第1ハウジング内に配され、原稿上の画像を読み取る読取部と、上記第1ハウジング内に配され、記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、上記通気口と通気可能に配された吸気口を底面に有し、上記吸気口と通気可能に配された排気口を有すると共に、上記第1ハウジング上方に配される第2ハウジングと、上記第2ハウジング内に配され、上記原稿を上記読取部に対して移動させる原稿搬送部と、上記第2ハウジング内に、上記吸気口から上記排気口へ向かう空気の流れを作るように配される送風機と、を備える画像形成装置によっても解決可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像読取装置によると、第1ハウジング内で熱せられて上昇した空気を、第1ハウジング上方に配された第2ハウジング内の送風機によって、装置外部に排出することができる。よって、熱せられた空気の排出効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
〔1〕第1実施形態
本発明の実施の一形態について、図面を参照して以下に説明する。
【0025】
<1.複写機1の概要>
図1は本実施形態の複写機1の外観を示す斜視図である。
【0026】
図1に示すように、複写機1は、原稿(図2等に原稿Mとして示す)を搬送する原稿搬送装置2と、本体部3とを備える。
【0027】
原稿搬送装置2は、原稿Mを後述の画像読取部4に対して移動させる装置である。原稿搬送装置2は、搬送ハウジング20、搬送ハウジング20の外側に設けられた原稿載置トレイ21及び原稿排出トレイ23、並びに、搬送ハウジング20内に設けられた原稿搬送部22等を備える。
【0028】
本体部3は、略直方体の本体ハウジング30を備え、本体ハウジング30内に、原稿M上の画像を読み取って画像データを取得する画像読取部4、画像データに基づいて用紙上に画像を印刷する画像形成部5、用紙を載置するための手差しトレイ31、用紙を収容する用紙カセット32、画像形成後の用紙が排出される用紙排出トレイ33、ユーザからの指示を受け付けたりユーザに種々の情報を提示したりする操作パネル34等を備える。また、本体3は、原稿搬送装置2に対向する面に、第1プラテンガラス35、及び第2プラテンガラス36を備える。
【0029】
搬送ハウジング20は、第1プラテンガラス35及び第2プラテンガラス36を覆うことのできる形状であり、第1プラテンガラス35上に原稿を押し付ける原稿押さえとしても機能する。
【0030】
<2.原稿搬送装置2>
原稿搬送装置2の詳細について、図2を参照して説明する。図2は、原稿搬送装置2及び画像読取部4、並びに画像読取部4の周囲の構成を示す正面図である。
【0031】
図2に示すように、原稿搬送装置2は、上述の部材に加えて、CIS(Contact Image Sensor)24をさらに備える。
【0032】
CIS24は、原稿搬送部22による原稿Mの搬送経路上に配置され、搬送中の原稿Mの裏面に対向するように設けられる。
【0033】
また、上述の原稿搬送部22は、複数のローラからなる原稿搬送ローラ群22aと、原稿押圧部22bと、を備える。原稿搬送ローラ群22aは、回転することで、原稿載置トレイ21上に載置された原稿Mを一枚ずつ引き出し、第2プラテンガラス36上を経て原稿排出トレイ23へと排出する。原稿押圧部22bは、画像読取部4が第2プラテンガラス36を介して原稿Mの一方の面(以下、表面と称する)から画像を読み取れるように、原稿搬送ローラ群22aによって搬送される原稿Mを第2プラテンガラス36に押し付ける。
【0034】
<3.画像読取部4>
画像読取部4の詳細について、図2を参照して説明する。
【0035】
図2に示すように、画像読取部4は、本体ハウジング30内で第1プラテンガラス35の近傍に配される。画像読取部4は、第1プラテンガラス35と平行になるように配されたレール41、レール41上を矢印方向に移動可能なキャリッジ42、キャリッジ42を移動させるキャリッジ駆動部(図示せず)、及びインバータ48等を備える。キャリッジ駆動部はモータ及びギア等を備える。レール41に垂直かつ第1プラテンガラス35に平行な方向を主走査方向、レール41に平行な方向を副走査方向と呼ぶ。
【0036】
キャリッジ42内の構成について、図3を参照してより具体的に説明する。図3は画像読取部4の副走査方向に平行な平面における、キャリッジ42の断面図である。
【0037】
図3に示すように、画像読取部4は、キャリッジ42内に、光源ユニット43、ミラー群44、集光レンズ46、及びCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ47等を備える。
【0038】
光源ユニット43は、主走査方向に沿って複数の光源が並べられた構成となっている。光源としては、LED、キセノンランプ等の各種ランプを用いることができる。
光源ユニット43がオンとなると、第1プラテンガラス35及び第2プラテンガラス36を介して、原稿Mの表面に光が照射される。
【0039】
ミラー群44は、ミラー44a〜44c等の複数のミラーを備える。各ミラー44a〜44bにより、原稿Mからの反射光は順次反射され、集光レンズ46に導かれる。この反射光は、集光レンズ46によってCCD47に集められる。CCD47は、受けた光をアナログの電気信号に変換する。なお、CCD47はイメージセンサの一例に過ぎず、CMOSイメージセンサ等の他のイメージセンサに置換可能である。
【0040】
第1プラテンガラス35上に載置された原稿の画像を読み取るときは、キャリッジ42がキャリッジ駆動部によって副走査方向に移動されて、原稿Mの全面が走査される。
【0041】
また、原稿搬送装置22で搬送される原稿の表面の画像を読み取るときは、キャリッジ42はキャリッジ駆動部によって第2プラテンガラス36に対向する位置(図中に静止位置P1として示す)に移動される。この静止位置P1でキャリッジ42が静止している間に上述の原稿搬送部22によって原稿Mがキャリッジ42に対して移動されることによって、副走査方向における走査が行われる。
【0042】
画像の非読み取り時には、キャリッジ42は、副走査方向における第1プラテンガラス35の一端の近傍で静止した待機状態となる。待機状態におけるキャリッジ42の位置を、待機位置P2として図中に示す。
【0043】
<4.排気機構>
図2及び図4を参照して、本体ハウジング30及び搬送ハウジング20の排気機構(61a・61b等)の機構について説明する。図4は、本体ハウジング30の上面図である。
【0044】
図2及び図4に示すように、本体ハウジング30は、その上面に、より具体的にはその上面の搬送ハウジング20と対向する領域に、2つの通気口301a・301bを備える。通気口301aは、本体ハウジング30の内部(画像読取部4が設けられている空間)から、本体ハウジング30の外部まで通じている。
【0045】
図4に示すように、通気口301a・301bは、主走査方向において長い、長方形状である。一方の通気口301aは副走査方向において第2プラテンガラス36より外側に配置され、他方の通気口301bは、主走査方向において第1プラテンガラス35よりも外側に配される。つまり、通気口301a・301bは、副走査方向における本体ハウジング30の両端にそれぞれ設けられる。また、図4に示すように、通気口301a・301bは、複数の小孔303が集合してなる。
【0046】
さらに具体的には、図2に示すように、一方の通気口301aは、インバータ48の上方に配置される。インバータ48は、静止位置P1の近傍に配されるので、通気口301aは、静止位置P1の上方に配されるともいえる。また、他方の通気口301bは、画像の非読取時のキャリッジ42の位置である待機位置P2の上方に配置される。ここで、通気口301a・301bの配置位置について、「上方」とは、垂直方向だけでなく、斜め上方向も含む。
【0047】
一方、搬送ハウジング20は、図2に示すように、吸気口201a・201b、排気口202a・202bを備える。
【0048】
吸気口201a・201bは、搬送ハウジング20の下面に、搬送ハウジング20が閉姿勢をとるときに、それぞれ、通気口301a・301bに対向するように配される。閉姿勢とは、搬送ハウジング20の下面が本体ハウジング30の上面に重なる姿勢(閉姿勢)である。搬送ハウジング20の開閉については後述する。
【0049】
排気口202a・202bは、搬送ハウジング20の側面に設けられる。吸気口201aと排気口202aとは、搬送ハウジング20内の同一の空間に通じるように配される。吸気口201bと排気口202bについても同様である。つまり、吸気口201aと排気口202aとの間、及び、吸気口201bと排気口202bとの間は、通気状態となっている。
【0050】
第1ファン61a及び第2ファン61bは、送風機の一例である。第1ファン61a及び第2ファン61bは、搬送ハウジング20内に配置され、それぞれ、吸気口201aと排気口202aとの間、及び吸気口201bと排気口202bとの間に配される。第1ファン61aは、空気の吸い込み側を吸気口201aに、吐き出し側を排気口202aに向けるように配される。同様に、第2ファン61bも、空気の吸い込み側を吸気口201bに、吐き出し側を排気口202bに向けて配される。
【0051】
エアガイド62は、CIS24から第1ファン61aへと空気を導くように配置される。
【0052】
次に、図2を参照して、上述の機構による排気について説明する。
【0053】
本体ハウジング30内に配置された種々の部材の中には、熱を発する発熱体が含まれる。発熱体としては、インバータ48、並びにキャリッジ42内の光源43及びCCD47等が挙げられる。
【0054】
図2中に波型の白矢印で示すように、これらの発熱体によって熱せられた空気は、本体ハウジング30内を上昇する。そして、この熱せられた空気は、通気口301aから、この通気口301aに対向する吸気口201aを通って、搬送ハウジング20内に移動する。第1ファン61aが稼動することで、この空気はさらに排気口202aを通って搬送ハウジング20外、つまり複写機1外に排出される(図2の白矢印)。同様に、他方の通気口301bからも、吸気口201bを通って搬送ハウジング20内へ、熱せられた空気が移動し、この空気は、第2ファン61bの稼動により排気口202bを通って搬送ハウジング20外に排出される。こうして、本体ハウジング30内の熱い空気が、装置外に排出される(図2の白矢印)。
【0055】
このように、本実施形態では、通気口301a・301b、吸気口201a・201b、排気口202a・202b、及びファン61a・61bが、発熱体の上方、すなわち発熱体によって熱せられた空気が自ら移動する方向に設けられているので、熱い空気を効率よく排出することができる。
【0056】
また、熱せられた空気が通気口301a・301bを通って上昇するので、埃等の微小な異物が通気口301a・301bから本体ハウジング30内に入り込みにくい。
【0057】
さらに発熱体に空気を吹き付けるよりも、本実施形態のように、発熱体によって熱せられた空気をファンによって吸い上げる方が、空気の進行方向をより正確に制御することができる。そのため、熱い空気を不要に他の部材に吹き付けることなく、装置外に排出することができる。
【0058】
また、本実施形態では、2つの通気口301a・301bが、発熱体の1つであるインバータ48、並びに発熱体を収容するキャリッジ42が停止する位置P1・P2の近傍に、それぞれ配置されている。このように発熱体毎に通気口が設けられていることで、熱い空気をより効率よく排出することができる。
【0059】
さらに、上述のエアガイド62が設けられていることで、本体ハウジング30内の空気及びCIS24によって熱せられた搬送ハウジング20内の空気を、第1ファン61aによって排出することができる。このように、第1ファン61aは、本体ハウジング30及び搬送ハウジング20の両方の排気を実現することができる。
【0060】
<5.シャッタ38>
また、複写機1は、本体ハウジング30内に、シャッタ38を備える。図5に、一方の通気口301aに対して設けられたシャッタ38を示す。他方の通気口301bにも同様のシャッタ38が設けられる。
【0061】
図5に示すように、シャッタ38は、通気口301a全体を覆うことのできる形状であり、後述のシャッタ駆動部381によって、画像読取部4の副走査方向に移動可能である。このように移動されることで、通気口301aは、塞がれたり、開放されたりする。
【0062】
<5.搬送ハウジング20の開閉>
搬送ハウジング20の本体ハウジング30への固定について、図6を参照して説明する。図6に示すように、搬送ハウジング20には回転軸26が固定されており、回転軸26は、L字部材27の一端に、回転可能に固定されている。L字部材27は、本体ハウジング30に固定されている。
【0063】
搬送ハウジング20は、本体ハウジング30にこのように固定されていることで、回転軸26を中心に回転することができる。搬送ハウジング20の下面は、この回転によって本体ハウジング30の上面に対して開閉可能となっている。
【0064】
従って、搬送ハウジング20が閉状態(第1姿勢)となっているときは、吸気口201a・201bがそれぞれ、通気口301a・301bと対向するので、通気口301a・301bから吸気口201a・201bのそれぞれへ、空気が移動可能である。一方、搬送ハウジング20が開状態(第2姿勢)であるときは、吸気口201a・201bは、通気口301a・301bと通気可能な位置から外れる。
【0065】
図6に示すように、本体ハウジング30には、本体ハウジング30上面から突出するようにボタン39が配される。ボタン39は、搬送ハウジング20が閉まることで押下され、開くことで押下が解除される。ボタン39は、後述の開閉センサ391に接続されている。
【0066】
<6.画像形成部5>
図7を参照して、画像形成部5について簡単に説明する。図7は画像形成部5の要部構成を示す正面図である。
【0067】
図7に示すように、画像形成部5は、回転可能に設けられた円柱状の感光体ドラム10を備えると共に、感光体ドラム10の回転方向(図5中に矢印で示す)に沿って、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電装置11、帯電した感光体ドラム10に光を照射することで感光体ドラム10上に静電潜像を描く露光装置12、静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置13、トナー像が用紙に転写された後に感光体ドラム10を除電する除電装置14、及び、転写後も感光体ドラム10上に残るトナーを除去するクリーニング装置15等を備える。なお、複写機1は、複数の画像形成部5、特に複数の現像装置13を備える構成であってもよい。また、本実施形態では、現像剤としてトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いるが、これ以外にも、1成分及びその他の現像剤を適宜用いることができる。
【0068】
画像形成部5は、さらに、感光体ドラム10上のトナー像を用紙へ転写する転写部51、転写後の用紙に熱圧着によりトナー像を定着させる定着装置52、並びに、手差しトレイ31又は用紙カセット32から転写部51及び定着装置52を経て用紙排出トレイ33に至るまで、用紙を搬送する用紙搬送部53を備える。なお、転写部51は、感光体ドラム10の回転方向において、現像装置13より下流、かつ除電装置14より上流に配置される。
【0069】
<7.制御系>
図8のブロック図を参照して、複写機1の制御系について説明する。以下では特に、機内の空気の排出に関連する機能部について説明する。
【0070】
図8に示すように、複写機1は、光源駆動部431、シャッタ駆動部381、温度計63、開閉センサ391、及び制御装置100等をさらに備える。
【0071】
光源駆動部431は、光源43を駆動して光を出射させる。
【0072】
シャッタ駆動部381は、シャッタ38を通気口301a・301bに対して移動させる。
【0073】
温度計63は、本体ハウジング30内で、静止位置P1の近傍に配置される(図2を併せて参照)。
【0074】
開閉センサ391は、上述のボタン39の押下によって、搬送ハウジング20の開閉を検知する。
【0075】
制御装置100は、読取制御部101、排気制御部102、シャッタ制御部103等を備える。
【0076】
読取制御部101は、光源駆動部431を始めとする画像読取部4の各部の動作を制御する。
【0077】
排気制御部102は、温度計63から受け取った本体ハウジング30内の気温の検出結果、及び読取制御部101から受け取った光源43のオン/オフ情報に基づいて、第1ファン61a及び第2ファン61bのオン/オフを制御する。つまり、排気制御部102は、ファン61a・61bによる送風を開始、又は停止させる送風制御部として機能する。
【0078】
具体的には、排気制御部102は、搬送ハウジング20が本体ハウジング30に対して閉状態であるときに、図9に示すフローチャートに沿った制御を行う。すなわち、排気制御部102は、温度計63の検出結果が所定温度を超え(ステップS1でYes)、かつ光源43が点灯中であれば(ステップS2でYes)、第1ファン61a及び第2ファン61bを稼動させる(ステップS3)。各ファンが稼動することによる空気の排出については、図2を参照して上述した通りである。
【0079】
また、排気製著部102は、光源43が消灯すると(ステップS4でYes)、第1ファン61a及び第2ファン61bを停止させる(ステップS5)。
【0080】
この構成によると、機内の温度が所定温度を超え、かつ光源43が点灯している間のみファンが稼動されるので、排気に要する電力を低減することができる。
【0081】
シャッタ制御部103は、開閉センサ391の出力が、搬送ハウジング20が開状態にあることを示すときには、シャッタ駆動部381を制御して、通気口301a・301bを閉鎖する。そして、シャッタ制御部103は、開閉センサ391の出力が、搬送ハウジング20が閉状態にあることを示すときには、シャッタ駆動部381を制御して、通気口301a・301bを開放する。
【0082】
この構成によると、搬送ハウジング20が通気口301a・301bから離れているときも、シャッタ38によって通気口301a・301bが閉鎖されるので、異物が本体ハウジング30内に入りにくいという利点がある。
【0083】
なお、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びその他記憶媒体によって構成可能である。ROMは、図9に示す制御についての制御プログラム等の種々のプログラムを格納し、CPUは、ROM内のプログラムを読み出して実行可能である。RAMは、CPUの作業領域として機能する。ROM内のプログラムを読み出すことによって、CPUは、制御装置100内の各機能部(101、102、103)として機能することができる。
【0084】
〔2〕その他の実施形態

(1)第1実施形態の複写機1において、CIS24及びCCD47に代えて、他のイメージセンサを用いてもよい。
【0085】
(2)図9のフローにおいて、ステップS1又はステップS2のいずれか一方は省略可能である。すなわち、排気制御部102は、ステップS1又はステップS2のいずれか一方が“Yes”となったときに、ステップS3に進んでファン61a・61bをオンとするようになっていてもよい。
【0086】
(3)排気制御部102は、ファン61a・61bを停止させるか否かを、温度計63の検出結果に基づいて判断することもできる。つまり、排気制御部102は、図9のステップS4に代えて、“温度計63の検出結果が所定温度以下となった?”との判断を行い、この判断が“Yes”であれば、ステップS5に進んでファン61a・61bをオフとするようになっていてもよい。
【0087】
また、排気制御部102は、温度計63の検出結果が所定温度以下となり、かつ光源43が消灯したときに、ステップS5に進むようになっていてもよい。
【0088】
(4)図9のステップS2及びS4において、光源43は発熱体の一例に過ぎない。すなわち、排気制御部102は、ステップS2に代えて、光源43以外の発熱体(例えばCIS、CCD等)が通電状態であるかどうかを判断し、通電状態であると判断すれば、ステップS3に進むようになっていてもよい。
【0089】
また、排気制御部102は、ステップS4に代えて、光源43以外の発熱体がオフとされたとき、つまりこの発熱体への電力供給が停止されたときに、ステップS5に進むようになっていてもよい。
【0090】
(5)排気制御部102は、2つのファン61a・61bを別々に制御するようになっていてもよい。
【0091】
すなわち、排気制御部102は、キャリッジ42が静止位置P1にあり、かつ光源43が点灯しているときは第1ファン61aのみを稼動させ、一方、キャリッジ42が待機位置P2にあり、かつ光源43が点灯しているときは第2ファン61bのみを稼動させるようになっていてもよい。
【0092】
また、他の例として、静止位置P1の近傍の温度計63の他に、本体ハウジング30内で待機位置P2の近傍にも温度計が設けられている場合、排気制御部102は、それぞれの温度計の検出結果に基づいて、各ファンを別々にオン/オフするようになっていてもよい。つまり、静止位置P1近傍の温度計の検出結果のみが所定温度を超えた場合は、第1ファン61aのみを稼動させ、待機位置P2の近傍の温度計の検出結果のみが所定温度を超えた場合は、第2ファン61bのみを稼動させることも可能である。
【0093】
さらに、搬送ハウジング20内の温度を検出可能な温度計を設け、この温度計の検出結果が処置温度を超えたときに、第1ファン61aが稼動されてもよい。
【0094】
(6)第1実施形態では、発熱体として、インバータ48、光源43等にしか言及しなかったが、発熱体はこれに限定されるものではない。さらに、発熱体は画像読取部4内の部材にも限定されず、画像形成部5内の部材(定着装置52等)であってもよい。
【0095】
(7)第1実施形態では、光源43及びCCD47がキャリッジ42によって移動されるものとしたが、これらの部材は固定されていてもよい。例えば、複数のミラー等の光学部材をキャリッジによって移動させることによっても、副走査方向の走査は可能である。
【0096】
(8)エアガイド62は、CIS24以外にも、図示しない光源から第1ファン61aまで空気を導くように設けられてもよい。つまり、搬送ハウジング20内の発熱体も、CIS24に限定されるものではない。この光源は、搬送中の原稿Mを照明するように設けられ、CIS24で画像を読み取るために原稿Mを照明することができる。
【0097】
(9)第1実施形態のシャッタ38に代えて、通気口301a・301bを開閉可能な他の開閉部を用いてもよい。他の開閉部としては、例えば、回転可能に設けられた複数のスラットが用いられる。この場合、開閉部は、スラットを回転させる駆動部をさらに備え、このスラットを回転させることで、スラット同士を重ね合わせて通気口301a・301bを閉鎖したり、スラット間に隙間を生じさせることで通気口301a・301bを開放したりすることができる。
【0098】
(10)第1実施形態では、複写機1は、通気口、吸気口、排気口、及びファンを、2組備えるものとした。しかし、発熱体が設けられた箇所に応じて、通気口等の数は適宜増減可能である。
【0099】
(11)本発明は、複写機だけでなく、画像形成機能を備えない画像読取装置や、複写のみでなく、プリンタ及びファクシミリ等の機能を備えた複合機に適用することもできる。
【0100】
(12)以上、異なる欄に述べた構成を組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態に係る複写機1の外観を示す斜視図。
【図2】複写機1の一部、特に原稿搬送装置2及び画像読取部4の要部構成を示す正面図。
【図3】画像読取部4の副走査方向に平行な平面における、キャリッジ42の断面図。
【図4】本体ハウジング30の上面図。
【図5】シャッタ38による通気口の開閉を示す断面図。
【図6】複写機1の側面図。
【図7】画像形成部5の要部構成を示す正面図。
【図8】複写機1の制御系を示すブロック図。
【図9】排気制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0102】
1 複合機
2 原稿搬送装置
20 搬送ハウジング
201a、201b 吸気口
202a、202b 排気口
21 原稿載置トレイ
22 原稿搬送部
23 原稿排出トレイ
24 CIS
3 本体部
30 本体ハウジング
301a、301b 通気口
35 第1プラテンガラス
36 第2プラテンガラス
38 シャッタ
381 シャッタ駆動部
39 ボタン
391 開閉センサ
4 画像読取部
42 キャリッジ
43 光源
431 光源駆動部
47 CCD
48 インバータ
P2 待機位置
P1 静止位置
5 画像形成部
61a 第1ファン
62a 第2ファン
63 温度計
100 制御装置
101 読取制御部101
102 排気制御部
103 シャッタ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に通気口を備える第1ハウジングと、
上記第1ハウジング内に配され、原稿上の画像を読み取る読取部と、
上記通気口と通気可能に配された吸気口を底面に有し、上記吸気口と通気可能に配された排気口を有すると共に、上記第1ハウジング上方に配される第2ハウジングと、
上記第2ハウジング内に配され、上記原稿を上記読取部に対して移動させる原稿搬送部と、
上記第2ハウジング内に、上記吸気口から上記排気口へ向かう空気の流れを作るように配される送風機と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
上記送風機は、上記吸気口と上記排気口との間に配される、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記第2ハウジング内に配された発熱体をさらに備え、
上記送風機は、上記発熱体から上記排気口に向かう空気の流れを作るように配される、
請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記発熱体は、上記原稿搬送部によって搬送中の原稿に対向するように配されたイメージセンサである、
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
上記第1ハウジング内の温度を検出する温度検出部と、
上記温度検出部の検出温度が所定値を超えると上記送風機を稼動させる送風開始部と、
をさらに備える、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
上記第1ハウジング内に配された発熱体と、
上記発熱体が通電状態となると上記送風機を稼動させる送風開始部と、
をさらに備える、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
上記第1ハウジング内の温度を検出する温度検出部と、
上記温度検出部の検出温度が所定値以下となると上記送風機の動作を停止させる送風停止部と、
をさらに備える、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
上記第1ハウジング内に配された発熱体と、
上記発熱体が非通電状態となると上記送風機の動作を停止させる送風停止部と、
をさらに備える、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
上記第1ハウジング内の温度を検出する温度検出部と、
上記第1ハウジング内に配された発熱体と、
上記温度検出部の検出温度が所定値を超え、かつ上記発熱体が通電状態となると上記送風機を稼動させ、上記発熱体が非通電状態となると上記送風機の動作を停止させる送風制御部と、
をさらに備える、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
上記発熱体は、原稿を照明するように配された光源である、
請求項6、8、又は9のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
上記第2ハウジングは、上記吸気口が上記通気口と通気状態となる第1姿勢と、上記吸気口が上記通気口と非通気状態となる第2姿勢と、を取ることができるように、上記第1ハウジングに対して移動可能に連結されており、
上記通気口を開閉する開閉部と、
上記第2姿勢にあるときに上記通気口を閉じるよう上記開閉部を制御する開閉制御部と、
をさらに備える、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項12】
上面に通気口を備える第1ハウジングと、
上記第1ハウジング内に配され、原稿上の画像を読み取る読取部と、
上記第1ハウジング内に配され、記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、
上記通気口と通気可能に配された吸気口を底面に有し、上記吸気口と通気可能に配された排気口を有すると共に、上記第1ハウジング上方に配される第2ハウジングと、
上記第2ハウジング内に配され、上記原稿を上記読取部に対して移動させる原稿搬送部と、
上記第2ハウジング内に、上記吸気口から上記排気口へ向かう空気の流れを作るように配される送風機と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−229984(P2009−229984A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77549(P2008−77549)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】