説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】新たに光センサを設けることなく、発光部の視認性の向上及び消費電力の抑制を実現することが出来る画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像読取装置が、光センサと、原稿の反射光を光センサの受光面へ向けて導くミラーを有すると共に走査方向に沿って往復移動するキャリッジとを具備する画像読取装置であって、発光部と、筐体の表面に設けられ、外光を取り込む開口部を有する外光取込窓と、筐体に収容され、外光取込窓から取り込まれた外光を光センサへ導く為に当該外光を反射する外光誘導ミラーと、外光誘導ミラーによって反射された外光をミラーが受光できかつミラーが受光した外光を光センサへ向けて導くことができる位置にキャリッジを移動させ、光センサが外光を受光して出力した光検出信号に基づいて外光の光量を判断し、外光の光量に応じて発光部の光量を調節する制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び当該画像読取装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機及びPHS端末(Personal Handy-phone System)等の携帯端末では、光センサが検出した周囲の明るさ応じてディスプレイのバックライトを制御することによって、ディスプレイの明るさを自動調節するものが存在する。このディスプレイの明るさの自動調節機能を有する携帯端末では、暗い場所に位置する場合にディスプレイの明るさを抑制することによって、ディスプレイの視認性を向上させると共に消費電力を抑制している。
このようなディスプレイの明るさを自動調節する発明として、特許文献1には、自動的に液晶上の輝度を調節することによって、容易に液晶上の文字や図形を明確に読み取れるようにすることが出来る液晶表示器が開示されている。この液晶表示器は、液晶の裏面へ光を当てるによって液晶上の文字や図形を明確に見せるバックライト部と、設置された環境の明るさを検出するための検出部と、検出部が検出した明るさに応じて上記バックライト部の明るさを自動的にコントロールするコントロール部を具備する。さらに、下記特許阿文献2、特許文献3及び特許文献4にも、周囲の明るさ、すなわち周囲の光を検出する光センサを具備し、この光センサの検出結果に基づいてディスプレイのバックライトを制御することによってディスプレイの明るさを自動調節する発明が開示されている。
【特許文献1】特開平4−168419号公報
【特許文献2】実開平1−128295号公報
【特許文献3】特開平4−174819号公報
【特許文献4】特開平9−37196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、周囲の光の検出する光センサを具備し、当該光センサの検出結果に基づいてディスプレイのバックライトを制御してディスプレイの明るさを自動的に調節することにより、ディスプレイの視認性を向上させると共に消費電力を抑制している。しかしながら、ディスプレイの明るさを自動的に調節する機能を搭載する為には、周囲の光を検出する光センサが必要であり、この光センサを予め搭載する電子機器は多くない。その為、上記従来技術を各電子機器に適用する場合に、新たに光センサを電子機器に搭載する必要がある。しかし、原稿画像を読み取る機能を有する画像読取装置と、当該画像読装置を備える複写機及び複合機等の画像形成装置には、原稿画像を読み取る為に予め光センサが搭載されており、この画像読取装置及び画像形成装置では、新たに光センサを搭載することなく実現することが可能である。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、新たに光センサを設けることなく、予め搭載されている光センサの検出結果に応じて発光部の明るさを自動的に調節することによって、発光部の視認性の向上及び消費電力の抑制を実現することが出来る画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では、画像読取装置に係る第1の解決手段として、原稿載置台と、光センサと、前記原稿載置台にセットされた原稿の反射光を前記光センサの受光面へ向けて導くミラーを有すると共に走査方向に沿って往復移動するキャリッジと、前記原稿載置台が上面に嵌設されると供に前記光センサ及びキャリッジを収容する筐体とを具備し、走査方向に移動する前記キャリッジの前記ミラーによって導かれた原稿の反射光を受光した前記光センサは光検出信号を出力し、当該光検出信号に基づいて画像データを生成する画像読取装置であって、発光部と、前記筐体の表面に設けられ、外光を取り込む開口部を有する外光取込窓と、前記筐体に収容され、前記外光取込窓から取り込まれた外光を前記光センサへ導く為に当該外光を反射する外光誘導ミラーと、前記外光誘導ミラーによって反射された前記外光を前記ミラーが受光できかつ前記ミラーが受光した前記外光を前記光センサへ向けて導くことができる位置に前記キャリッジを移動させ、前記光センサが前記外光を受光して出力した光検出信号に基づいて前記外光の光量を判断し、外光の光量に応じて発光部の光量を調節する制御部と、を具備するという手段を採用する。
【0006】
本発明では、画像読取装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記外光取込窓には、開口部を開閉する外光取込窓開閉機構が設けられており、前記制御部は、原稿の読み取りを実行している時に、前記外光取込窓開閉機構に前記外光取込窓の開口部を閉じさせ、原稿の読み取りを実行していない時に、前記外光取込窓開閉機構に前記外光取込窓の開口部を開けさせるという手段を採用する。
【0007】
本発明では、画像読取装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記発光部は、液晶ディスプレイのバックライトを含むという手段を採用する。
【0008】
本発明では、画像読取装置に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの解決手段において、前記発光部は、LED(Light Emitting Diode)を含むという手段を採用する。
【0009】
また、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、上記第1〜第4のいずれかの解決手段を採用する画像読取装置を具備するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像読取装置が、光センサと、前記原稿載置台にセットされた原稿の反射光を光センサの受光面へ向けて導くミラーを有すると共に走査方向に沿って往復移動するキャリッジとを具備する画像読取装置であって、筐体の表面に設けられ、外光を取り込む開口部を有する外光取込窓と、筐体に収容され、外光取込窓から取り込まれた外光を光センサへ導く為に当該外光を反射する外光誘導ミラーと、外光誘導ミラーによって反射された外光をミラーが受光できかつミラーが受光した外光を光センサへ向けて導くことができる位置にキャリッジを移動させ、光センサが外光を受光して出力した光検出信号に基づいて外光の光量を判断し、外光の光量に応じて発光部の光量を調節する制御部と、を具備する。
【0011】
このように、画像読取装置に装備される光センサを利用することによって、新たに光センサを設ける必要がなく、外光取込窓から取り込んだ外光を光センサへ受光させ、光センサの光検出信号に基づいて、外光の光量を判断し、当該判断に基づいて発光部の光量を調節する為、発光部の視認性の向上及び消費電力の抑制を実現することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の画像形成装置の一つである複写機能、プリント機能及びファクシミリ機能を併せ持つ複合機に関する。
図1は、本実施形態に係る複合機Aの外観構成を示す正面図である。
【0013】
この図1に示すように、複合機Aは、原稿の画像を読み取る画像読取機能を有する画像読取部1と、画像読取部1が生成した原稿画像データ、ローカルエリアネットワークを介して外部のクライアントコンピュータ(図示略)から受信したプリント画像データ、さらに公衆網を介してファクシミリ(図示略)から受信したファクシミリ画像データに基づいて印刷用紙に画像を形成する画像形成機能と、外部とローカルエリアネットワークまたは公衆網を介して通信する通信機能と、複合機Aの全体動作を制御する主制御機能を有する主制御本体部2及び各種キーによって操作指示を受け付ける操作機能と、画面を表示する表示機能とを有する操作表示部3から構成されている。
【0014】
画像読取部1は、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿送り装置)10及びフラットベット読取部20及びから構成されている。
ADF10は、原稿載置トレイ12にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ順次自動給紙するものであり、プラテンカバー11、原稿載置トレイ12、プラテンカバー11に収納される図示しないピックアップローラ、レジストローラ、プラテンローラ及び排紙ローラ等から構成されている。
【0015】
プラテンカバー11は、ヒンジ構造によってフラットベット読取部20に連結されることによって、フラットベット読取部20に対して開閉可能に設置されている。このプラテンカバー11は、フラットベット読取部20上に原稿をセットして読み取りを行う場合における原稿押さえカバーとしての役割と、ピックアップローラ、レジストローラ、プラテンローラ及び排紙ローラ等の自動給紙機構を収容する筐体としての役割を担っている。なお、図1に示すプラテンカバー11は、閉じられた状態を示している。
原稿載置トレイ12は、読み取り対象の原稿をセットするためのトレイである。このセットされた原稿は、ピックアップローラ、レジストローラ、プラテンローラ及び排紙ローラ等によって搬送され、搬送された原稿は、搬送の途中にフラットベット読取部20によって原稿画像が読み取られる。
【0016】
フラットベット読取部20について、図2及び図3を参照して、説明する。図2は、本実施形態に係る複合機Aのプラテンカバー11が開かれた状態のフラットベット読取部20の外観図であり、図3は、本実施形態に係る複合機Aのフラットベット読取部20の構成概略図である。図3における(a)は、フラットベット読取部20の構成の概略を示す平面図であり、(b)は、フラットベット読取部20の内部の構成の概略を示す正面方向の断面図であり、(c)は、フラットベット読取部20の内部の構成の概略を示す右側面方向の断面図である。
【0017】
フラットベット読取部20は、プラテンガラス21上にセットされた原稿、またはADF20によって自動給紙される原稿の読み取りを行うものであり、図2及び図3に示すようにプラテンガラス21、白色基準板22、原稿サイズ指示板23、フルレートキャリッジ24、ハーフレートキャリッジ25、キャリッジ移動用レール26、集光レンズ27、CCDセンサ28、外光取込窓29、外光誘導ミラー30及び読取部筐体31を備えている。
【0018】
プラテンガラス21は、読み取り対象の原稿を1枚ずつセットするためのガラス板である。白色基準板22は、シェーディング補正用の白色基準データの基になる白色板である。原稿サイズ指示板23は、ユーザがプラテンガラス21上に各種サイズの原稿をセットする際の原稿のセット位置を示したものである。フルレートキャリッジ24は、プラテンガラス21の下方において、キャリッジ移動用レール26上を移動することによりプラテンガラス21に沿って左右方向(走査方向)に往復移動する。このフルレートキャリッジ24は、照明光を斜め上方に向けて出射するランプ24a(図3(b)参照)と、照明光の反射光を後述するハーフレートキャリッジ25に向けて反射する第1ミラー24bを備えている。
【0019】
ハーフレートキャリッジ25は、フルレートキャリッジ24と同様に、キャリッジ移動用レール26上を移動することによりプラテンガラス21に沿って左右方向(走査方向)に往復移動する。このハーフレートキャリッジ25は、フルレートキャリッジ24の第1ミラー24bからの入射光を下方に向けて反射する第2ミラー25a(図3(b)参照)と、該第2ミラー25aからの入射光を後述する集光レンズ27に向けて反射する第3ミラー25b(図3(b)参照)とを備えている。そして、フルレートキャリッジ24の移動量とハーフレートキャリッジ25の移動量との比率は1:0.5となるように制御されている。これにより、集光レンズ27に達するまでの照明光の光路長が一定になる。
【0020】
なお、プラテンガラス21上にセットされた原稿を読み取る場合は、フルレートキャリッジ24及びハーフレートキャリッジ25を走査方向に移動することによって原稿を読み取るが、ADF10によって原稿を自動給紙する場合には、フルレートキャリッジ24及びハーフレートキャリッジ25を所定の原稿読取位置に待機させ、ADF10が原稿を移動(搬送)することによって原稿をスキャンする。
【0021】
集光レンズ27は、ハーフレートキャリッジ25の第3ミラー25bからの入射光を集光してCCDセンサ28の受光面に結像させる。CCDセンサ28は、CCD駆動部(図示略)から供給されるタイミング信号に同期して作動し、受光面にて受光した光を光電変換することにより、読み取った原稿の画像に応じたアナログ電圧信号を生成して、当該アナログ電圧信号を出力する。
【0022】
外光取込窓29は、操作表示部3が設置されている側の読取部筐体31の表面に設けられ、外光を取り込むことを目的する開口部を有している。そして、この外光取込窓29には、複合機Aの動作に応じて外光を取り込む為の開口部を開閉する外光取込窓開閉機構が設けられている。この外光取込窓開閉機構によって外光取込窓29からの外光の取り込みの実施と中止とを切り替えることが出来る。外光誘導ミラー30は、外光取込窓29から取り込んだ外光を第1ミラーに向けて反射するものであり、原稿サイズ指示板の下に設けられている。
【0023】
図4は、上記複合機Aの機能ブロック図である。なお、この図4において、図1〜3と同じ構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。上記主制御本体部2は、図4に示すCPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、用紙搬送部44、キャリッジ駆動回路45、AFE(アナログフロントエンド)46、画像データ記憶部47、画像形成部48、通信I/F部49及び外光取込窓開閉駆動回路50を備えている。
【0024】
CPU41は、ROM42に記憶されている制御プログラム、画像データ記憶部47に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データまたはファクシミリ画像データ、操作表示部3から入力される操作指示、通信I/F部49を介して外部から受信する各種信号に基づいて複合機Aの全体動作を制御する。なお、このCPU41の制御処理の詳細については、以下に複合機Aの動作として説明する。
ROM42は、CPU41で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。
RAM43は、CPU41が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。
【0025】
用紙搬送部44は、用紙トレイに収納されている印刷用紙を画像形成部48に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の印刷用紙を排紙トレイに搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。
キャリッジ駆動回路45は、CPU41の制御の下、フラットベット読取部20のフルレートキャリッジ24及びハーフレートキャリッジ25を走査方向に沿って移動させるためのキャリッジ駆動信号を生成し、該キャリッジ駆動信号をフルレートキャリッジ24及びハーフレートキャリッジ25へ出力する。
【0026】
AFE46は、増幅器48a及びA/D変換器46bを備えている。増幅器46aは、CPU41の制御によってゲイン設定値を変更可能な可変ゲイン型増幅器であり、CCDセンサ28から入力されるアナログ電圧信号を現在のゲイン設定値に応じて増幅し、増幅後のアナログ電圧信号をA/D変換器46bに出力する。A/D変換器46bは、増幅器46aから入力されるアナログ電圧信号をデジタル変換し、読み取った原稿の画像データを生成してCPU41へ出力する。そして、CPU41は、原稿画像データを画像データ記憶部7に記憶させる。
【0027】
画像データ記憶部47は、例えばフラッシュメモリまたはハードディスクであり、CPU41の指示の下、原稿画像データ、通信I/F部49がクライアントコンピュータから受信するプリント画像データ及び通信I/F部49がファクシミリから受信するファクシミリ画像データを記憶する。
【0028】
画像形成部48は、CPU41の制御の下、画像データ記憶部47に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データまたはファクシミリ画像データに基づいて用紙搬送部44から搬送される印刷用紙にトナーによって形成される画像形成画像を転写し、定着ローラによって当該画像形成画像の定着処理を行う。
通信I/F部49は、外部のクライアントコンピュータ及びファクシミリ等に接続し、このクライアントコンピュータ及びファクシミリとの間で各種信号の送受信を行う。
外光取込窓開閉駆動回路50は、CPU41の制御の下、外光取込窓29の開口部を閉じる為の閉駆動信号または開口部を開ける為の開駆動信号を生成し、当該閉駆動信号または開駆動信号を外光取込窓29に設けられた外光取込窓開閉機構へ出力する。
【0029】
操作表示部3は、スタートキー、ストップキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)、タッチパネル3a、クリアキーやその他の各種操作キー、を備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU41に出力すると共に、CPU41の制御の下、タッチパネル3aに種々の画面を表示する。このタッチパネル3aは、液晶ディスプレイによって構成されており、バックライトによって画面の明るさを調節する。
【0030】
次に、上記構成の本実施形態に係る複合機Aの動作について図5を参照して詳しく説明する。図5は、本実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
複合機Aの外光取込窓29の開口部が開いている状態である場合に、CPU41は、複写指示を操作表示部3が受け付けたか否か判定し(ステップS1)、ステップS1において『NO』と判定した場合には、すなわち複写指示を操作表示部3が受け付けていない場合には、外光取込窓29から取り込んだ外光をCCDセンサ28へ誘導する為に、図6に示す位置P2へ、すなわち外光誘導ミラー30の真下へフルレートキャリッジ24をキャリッジ駆動回路45に移動させる(ステップS2)。
【0031】
図6は、本実施形態に係る複合機Aの動作に応じた画像読取部1のフルレートキャリッジ24の位置を示す模式図である。この図6には、シェーディング補正において白色板を読み込む時のフルレートキャリッジ24の位置P1と、外光取込窓29から取り込んだ外光をCCDセンサ28まで誘導する時のフルレートキャリッジ24の位置P2とを示している。
【0032】
フルレートキャリッジ24が位置P2に位置する時に、外光取込窓29から取り込んだ外光が、CCDセンサ28へ誘導されるまでに通過する誘導経路について、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る複合機Aの画像読取部1のフルレートキャリッジ24が位置P2に位置する時に、外光取込窓29から取り込まれた外光が通過する誘導経路を示す模式図である。図7の(a)は、フルレートキャリッジ24が位置P2に位置する時に、外光が通過する誘導経路を示す画像読取部1の右側面方向の断面図であり、図7の(b)は、フルレートキャリッジ24が位置P2に位置する時に、外光が通過する誘導経路を示す画像読取部1の正面方向の断面図である。なお、図7における矢印は、外光が通過する誘導経路を示している。
【0033】
まず、図7の(a)に示すように、外光取込窓29から取り込まれた外光は、外光誘導ミラー30によって反射される。外光誘導ミラー30は、位置P2に位置するフルレートキャリッジ24の第1ミラー24bに向けて外光を反射するように角度が設定されている為、外光誘導ミラー30によって反射された外光は、第1ミラーへ入射する。そして、第1ミラーによって反射された外光は、図7の(b)示すようにハーフレートキャリッジの第2ミラー25a及び第3ミラー25bを経由して、集光レンズに達する。そして、CCDセンサ28は、集光レンズによって集光された外光を受光する。なお、このとき、ハーフレートキャリッジ25は、原稿の読み取り動作を実行していない時と同じ位置に固定されている。
【0034】
そして、CPU41は、ステップS2の後に、AFE46のA/D変換器46bから入力されるデジタル電圧信号に基づいて、外光の光量を判断し、当該外光の光量に応じてタッチパネル3aのバックライトの光量を調節する(ステップS3)。例えば、CPU41は、外光の光量が所定のしきい値より高い場合、すなわち周囲が明るい場合には、タッチパネル3aに表示させる画面を見易くする為に、バックライトを明るくし、また、外光の光量が所定のしきい値より低い場合、すなわち周囲が暗い場合には、画面を見易くすると供に無駄な消費電力を抑える為に、バックライトの明るさを暗くする。
【0035】
また、CPU41は、ステップS1において『YES』と判定した場合には、すなわち複写指示を操作表示部3が受け付けた場合には、外光取込窓開閉駆動回路50に閉駆動信号を出力させることによって、外光取込窓29の開口部を外光取込窓開閉機構に閉じさせる(ステップS4)。そして、CPU41は、複写指示を操作表示部3が受け付けると、原稿の読み取りを画像読取部1に実行させ、画像読取部1による原稿の読み取りが終了すると、外光取込窓開閉駆動回路50に開駆動信号を出力させることによって、外光取込窓29の開口部を外光取込窓開閉機構に開けさせる(ステップS5)。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る複合機Aにおいて、CPU1が、原稿の読み取りを画像読取部1に実行させていない時に、外光取込窓29の開口部を外光取込窓開閉機構駆動回路に開けさせ、フルレートキャリッジ24を外光誘導ミラー31の真下に移動させることによって、外光取込窓29から取り込んだ外光を第1ミラー24b、第2ミラー25a及び第3ミラー25bを経由してCCDセンサ28に受光させる。そして、CPU1は、CCDセンサ28が外光を受光することによって、A/D変換器46bから入力されるデジタル電圧信号に基づいて外光の光量を判断し、外光の光量に応じてタッチパネル3aのバックライトの光量を調節する。
【0037】
すなわち、従来から搭載されている画像読取部1のCCDセンサ28によって外光を検出し、当該検出結果に基づいてタッチパネル3aのバックライトの光量を調節する為、新たに光センサを設けることなく、タッチパネル3a視認性の向上及び消費電力の抑制を実現することが出来る。
また、CPU1は、原稿の読み取りを画像読取部1が実行している時には、外光取込窓29の開口部を外光取込窓開閉機構駆動回路に閉じさせることによって、原稿の読み取りが外光によって邪魔されることを防ぐことが出来る。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、CPU1が、CCDセンサ28が外光を受光すると、A/D変換器46bから入力されるデジタル電圧信号に基づいて外光の光量を判断し、外光の光量に応じてタッチパネル3aのバックライトの光量を調節したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、操作表示部3が備える警告、または電源の投入等を通知するLED(Light Emitting Diode)の光量を、CPU41が、外光の光量に応じて判断するようにしてもよい。
【0039】
(2)上記実施形態では、フラットベット読取部20の読取部筐体31の操作表示部3が設けられた側に外光取込窓29を設けたが、発明はこれに限定されない。
例えば、操作表示部3が設けられた側に対して読取部筐体31の左側面に外光取込窓29を設け、その外光取込窓29を設けた位置に応じて外光誘導ミラー30の位置及び傾き角度を調節することによって、外光をCCDセンサ28へ受光させるようにしてもよい。すなわち、CCDセンサ28に集光レンズ27によって集光された外光を受光させることができれば、読取部筐体31における外光取込窓29の位置と、外光誘導ミラー30の設置場所及び傾き角度は、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機Aの外観構成を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機Aのプラテンカバー11が開かれた状態のフラットベット読取部20の外観図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る複合機Aのフラットベット読取部20の構成概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る複合機Aの動作に応じた画像読取部1のフルレートキャリッジ24の位置を示す模式図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る複合機Aの画像読取部1のフルレートキャリック25が位置P2に位置する時に、外光取込窓29から取り込まれた外光が通過する経路を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
A…複合機、1…画像読取部、2…主制御本体部、3…操作表示部、3a…タッチパネル、11…プラテンカバー、12…原稿載置トレイ、20…フラットベット読取部、21…プラテンガラス、22…白色基準板、23…原稿サイズ指示板、24…フルレートキャリッジ、24a…ランプ、24b…第1ミラー、25…ハーフレートキャリッジ、25a…第2ミラー、25b…第3ミラー、26…キャリッジ移動用レール、27…集光レンズ、28…CCDセンサ、29…外光取込窓、30…外光誘導ミラー、31…読取部筐体、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…用紙搬送部、45…キャリッジ駆動回路、46…AFE、47…画像データ記憶部、48…画像形成部、49…通信I/F部、50…外光取込窓開閉駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿載置台と、光センサと、前記原稿載置台にセットされた原稿の反射光を前記光センサの受光面へ向けて導くミラーを有すると共に走査方向に沿って往復移動するキャリッジと、前記原稿載置台が上面に嵌設されると供に前記光センサ及びキャリッジを収容する筐体とを具備し、走査方向に移動する前記キャリッジの前記ミラーによって導かれた原稿の反射光を受光した前記光センサは光検出信号を出力し、当該光検出信号に基づいて画像データを生成する画像読取装置であって、
発光部と、
前記筐体の表面に設けられ、外光を取り込む開口部を有する外光取込窓と、
前記筐体に収容され、前記外光取込窓から取り込まれた外光を前記光センサへ導く為に当該外光を反射する外光誘導ミラーと、
前記外光誘導ミラーによって反射された前記外光を前記ミラーが受光できかつ前記ミラーが受光した前記外光を前記光センサへ向けて導くことができる位置に前記キャリッジを移動させ、前記光センサが前記外光を受光して出力した光検出信号に基づいて前記外光の光量を判断し、外光の光量に応じて発光部の光量を調節する制御部と、
を具備することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記外光取込窓には、開口部を開閉する外光取込窓開閉機構が設けられており、
前記制御部は、原稿の読み取りを実行している時に、前記外光取込窓開閉機構に前記外光取込窓の開口部を閉じさせ、原稿の読み取りを実行していない時に、前記外光取込窓開閉機構に前記外光取込窓の開口部を開けさせることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記発光部は、液晶ディスプレイのバックライトを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記発光部は、LED(Light Emitting Diode)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像読取装置を具備することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−87740(P2010−87740A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253184(P2008−253184)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】