画像読取装置及び画像形成装置
【課題】縮小光学系の一体型走査光学ユニットを高さ方向及び副走査方向でコンパクト化し、読取装置全体の薄型化、軽量化、低コスト化を図り、かつ原稿面の光量分布調整を容易化する。
【解決手段】原稿を露光する光源115と、原稿からの反射光を読み取るイメージセンサ122と、原稿からの反射光を順次反射させてイメージセンサ122に導く複数のミラー120a〜120cと、各ミラーで反射された反射光を結像させてイメージセンサ122に導く結像レンズ121を備えた画像読取装置である。光源115、第1ミラー120a、イメージセンサ122を走行体112に搭載し、他のミラーを走行体112の外に配置する。走行体112に結像レンズ121と基板を配置し、基板の第1実装面にイメージセンサ122を配置し、反対側の第2実装面に光源115を配置する。
【解決手段】原稿を露光する光源115と、原稿からの反射光を読み取るイメージセンサ122と、原稿からの反射光を順次反射させてイメージセンサ122に導く複数のミラー120a〜120cと、各ミラーで反射された反射光を結像させてイメージセンサ122に導く結像レンズ121を備えた画像読取装置である。光源115、第1ミラー120a、イメージセンサ122を走行体112に搭載し、他のミラーを走行体112の外に配置する。走行体112に結像レンズ121と基板を配置し、基板の第1実装面にイメージセンサ122を配置し、反対側の第2実装面に光源115を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、結像方式によって縮小光学系と等倍光学系に分類される。縮小光学系は原稿の画像を縮小レンズで縮小し、これをCCD(Charge Coupled Device)などで構成した縮小センサで読み取る。等倍光学系はCCDやCIS(Contact Image Sensor)などで構成した等倍センサを原稿面に近接配置し、原稿面から直接画像を等倍センサで読み取る。
【0003】
縮小光学系は等倍光学系に比べて焦点深度が深く、原稿浮きに対して有利なため、書籍や立体物の画像読取にも対応可能である。このため、コピー、プリンタ、スキャナ、ファックスのうち、2以上の機能を持つ複合機(MFP)や、デジタルスキャナを搭載した高級機は、この縮小光学系の読取装置を搭載することが多い。縮小光学系は光路長が長くなるので、装置をコンパクト化するため、複数のミラーを使用して光路を折り畳む構造を採用する。
【0004】
縮小光学系の画像読取装置は、さらに、原稿を走査する走行体として2つの走行体を有する差動型と、単一の走行体を有する一体型に分類される(例えば特許文献1(特開2010−4365号公報)の図3、図16参照)。
【0005】
差動型は、図10のように、第1走行体511を、光路長(共役長)を一定に維持するため、第2走行体512の倍速で副走査方向に移動させる。そして第1走行体511に搭載した光源513で原稿台ガラス514に載せた原稿を露光し、原稿からの反射光を第1走行体511と第2走行体512の複数のミラーM1、M2、M3で反射させ、装置内に配置した結像レンズ514を通して、読取手段としてのCCDによるイメージセンサ515に導く。
【0006】
差動型は、2つの独立した走行体511、512にミラーM1、M2、M3を搭載するため、相対的なミラーの面倒れが起こりやすいという弱点がある。第1走行体511と第2走行体512は、動滑車の原理により倍速差動を実現するワイヤ方式や、ギア比により倍速差動を実現するタイミングベルト方式で駆動する。
【0007】
一体型は、図11のように、単一の走行体521に光源522、複数のミラーM1〜M5、結像レンズ523、イメージセンサ524を搭載する。一体型は、走行体521が一つであるため駆動機構が差動型より簡単であり、ミラーM1〜M5の面倒れも起こりにくい。
しかし、走行体521内の限られたスペースに多数のミラーM1〜M5を配置して光路長をできるだけ長くしているため、構造的に複雑化し、走行体521が高さ方向と副走査方向に大型化し大重量となる。
【0008】
また、大重量の走行体521の移動による装置全体の揺れを考慮した、副走査方向の移動用モータの制御と、装置の機械的強度設計が不可欠となる。
さらに、走行体521が重いため、通常、走行体521の主走査方向両端に駆動手段を連結し、両側駆動にする必要がある。
走行体521の駆動方式としては、ワイヤ駆動方式とタイミングベルト駆動方式がある。
【0009】
また、一体型は限られたスペースに多数のミラーM1〜M5を配置するため、短焦点の結像レンズ523を使用する。短焦点の結像レンズ523は画角が大きいので、周辺部品の加工誤差による性能劣化を抑制するため、部品の寸法公差を厳しく設定する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
縮小光学系は等倍光学系に比べて構造が複雑であり、とりわけ一体型は、走行体内の限られたスペースに多数のミラーを配置するため走行体が高さ方向と副走査方向に大型化し大重量となる。また、走行体が大重量であるため当該走行体を両側駆動にする必要があり、また副走査方向に駆動するモータの制御が複雑化し、読取装置の筐体も高強度にする必要がある。
【0011】
また、一体型は前述したように部品の寸法公差を厳しく設定しなければならないが、製造上の困難性から実現可能な寸法公差は限界がある。このため、組み合わせる複数の部品の積み上がりによる誤差の累積によって、結像レンズ523からコンタクトガラスまでの距離(光路長)のバラつきが不可避的に存在する。
【0012】
このようなバラツキがあると主走査方向の倍率誤差が大きくなり、MTF(Modulation Transfer Function)が劣化する(特許文献3(特開平1−81468号公報)参照)。その対策として、コンタクトガラスを支持する支持部に可撓性を有する「マイラー(MYLAR)」(商品名、登録商標)(ポリエチレンテレフタレート(PET)等でできた適宜の厚さの薄板状の剛性の低いシート部材)を貼り、その貼り付け枚数を変えたり、イメージセンサであるCCDの高さ位置や、一体型走査ユニットを支持するガイドロッドの高さ位置を、スキャナユニット筐体底面に配置したネジを回すことで調整したりすることが行われている。このような調整作業はすべて手作業であり、手間がかかる上に調整のバラツキは避けがたい。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、縮小光学系の一体型走査光学ユニットを高さ方向及び副走査方向でコンパクト化し、読取装置全体の薄型化、軽量化、低コスト化を図ることを目的とする。
【0014】
また、少数のミラーで光路長を延長することで長焦点の結像レンズを使用可能とし、画角を狭めて、部品の加工誤差による性能劣化の影響が少ない読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、原稿の主走査方向の読取範囲を露光するための光源と、前記原稿の読取範囲からの反射光を読み取る読取手段と、前記原稿の読取範囲からの反射光を順次反射させて前記読取手段に導く複数のミラーを有する反射手段と、前記反射手段で反射された反射光を結像させて前記読取手段に導く結像レンズと、前記光源、前記読取手段、及び前記反射手段の特定のミラーを搭載し、前記原稿を走査するため副走査方向に移動可能な走行体と、を有する画像読取装置であって、前記走行体に搭載した特定のミラーを除く前記反射手段を前記走行体の外に配置し、前記走行体に、前記結像レンズと、前記副走査方向を横断する方向に延びた実装面を有する基板を配置し、当該基板の前記結像レンズ側の第1実装面に前記読取手段を配置すると共に、反対側の第2実装面に前記光源を配置した画像読取装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、原稿の読取範囲からの反射光を順次反射させて読取手段に導く複数のミラーを有する反射手段を、走行体に搭載した特定のミラーを除いて走行体の外に配置したので、走行体を軽量化及びコンパクト化し、読取装置全体を軽量化及び薄型化することができる。
【0017】
また、走行体の外に反射手段を配置することで光路設計の自由度が高まり、少数のミラーによる光路長の延長により、従来の単一の走行体を有する縮小光学系の一体型画像読取装置よりも長焦点の結像レンズを使用可能とし、画角を狭めて部品の加工誤差による性能劣化の影響が少ない読取装置を実現することができる。
【0018】
また、基板の両面に読取手段と光源を配置することで、これらをユニット化して走行体に対する組み付け性を向上させ、また副走査方向のスペースをさらに短縮することができる。
【0019】
また、結像レンズの外径の範囲内に光源を配置できるため、走行体の高さ寸法を結像レンズの外径とほぼ同程度にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の外観を示す斜視図である。
【図2B】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の筐体を構成するスキャナフレーム部とスキャナカバー部を分離した状態で示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の全体概略側面図である。
【図4A】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部の平面図である。
【図4B】図4AのB−B線矢視断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の走行体の中央断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の走行体の副走査方向正面図である。
【図7】走行体の基板に対する、光源と導光板の別の配置例を示す断面図である。
【図8】図7の基板の副走査方向から見た正面図である。
【図9】原稿の読取範囲の光量分布と第1ミラーの光軸との関係を示す図である。
【図10】従来の縮小光学系の差動型の走行体を有する画像読取装置の全体概略側面図である。
【図11】従来の縮小光学系の一体型の走行体を有する画像読取装置の要部概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図9を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(画像形成装置)
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部101と、用紙供給装置40と、画像読取部104とを備える。画像読取部104は、画像形成部101の上に固定された画像読取装置102と、これに支持される原稿搬送装置としてのADF(Auto Document Feeder)103とを有する。
【0023】
用紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセット42から記録媒体としての用紙を送り出す送出ローラ43、送り出された用紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有する。また、画像形成装置100の給紙路37に用紙を搬送する複数の搬送ローラ46等を有する。そして、給紙カセット42内の用紙を画像形成装置100内の給紙路37に給紙するようになっている。
【0024】
画像形成部101は、光書込装置2や、K、Y、M、C色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K、3Y、3M、3C、中間転写ベルト25を有する転写ユニット24、紙搬送ユニット28、タイミングローラ対33、定着装置34、排紙ローラ対35、スイッチバック装置36、給紙路37等を備える。
【0025】
そして、光書込装置内2に配設された図示しないレーザダイオードやLED等の光源を駆動して、プロセスユニット3K、3Y、3M、3Cの感光体4K、4Y、4M、4Cに向けてレーザ光Lを照射する。
【0026】
このレーザ光Lの照射により、ドラム状の感光体4K、4Y、4M、4Cの表面には静電潜像が形成され、この静電潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。符号の後のK、Y、M、Cの添字は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン用の仕様であることを示している。
【0027】
上記構成の画像形成装置100において、各感光体4K、4Y、4M、4Cの表面に形成されたトナー像は、図1で時計回り方向に無端移動する中間転写ベルト25に順次重ね併せて一次転写される。
【0028】
この一次転写により、中間転写ベルト25には4色重ね合わせのカラートナー像が形成される。また、用紙供給装置40から供給された用紙が、タイミングローラ対33により所定のタイミングで、紙搬送ユニット28と中間転写ベルト25との間に形成された二次転写ニップに送り出され、中間転写ベルト25上のカラートナー像が用紙に一括二次転写される。
【0029】
二次転写ニップを通過した用紙は、中間転写ベルト25から離間して定着装置34へ搬送される。定着装置34に搬送された用紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着された後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。画像形成部101は、図1に示す構成に限定されるものではなく、インクジェット記録方式等の構成であってもよい。
【0030】
(画像読取装置)
画像形成部101の上に配置された画像読取装置102は、図2A、図2Bに示すように、画像読取装置102の側面および下面を構成する筐体としてのスキャナフレーム部102aと、このスキャナフレーム部102aの上部開口に取り付けられるスキャナカバー部102bを備える。
【0031】
画像読取装置102のスキャナカバー部102bは、画像読取装置102の上面を構成し、原稿を載置する原稿台ガラス110と、ADF使用時に原稿が通過する帯状の流し読みガラス111を備える。
【0032】
画像読取装置102のスキャナフレーム部102aの内部には、走行体112と、この走行体112の副走査方向の移動をガイドするガイド部材としての互いに平行なガイドロッド113、114が設けられている。そして、スキャナカバー部102bの原稿台ガラス110の上に原稿を載せ、当該原稿台ガラス110の直下で、走行体112を副走査方向(矢印A方向)に移動させることにより原稿を読み取る。
【0033】
(画像読取装置の基本構造)
走行体112は、図3のように、原稿の主走査方向の読取範囲を露光するための光源115と、原稿の読取範囲からの反射光を順次反射させて読取手段に導く複数のミラーを有する反射手段120としての、第1ミラー120a、第2ミラー120b、第3ミラー120c、第4ミラー120d、第5ミラー120eと、反射手段120で反射された反射光を結像させて読取手段に導く結像レンズ121と、原稿の読取範囲からの反射光を読み取る読取手段としてのイメージセンサ122を搭載する。
【0034】
第1ミラー120aだけは走行体112に搭載されているが、その他の4つのミラー120b〜120eは、スキャナフレーム部102aの副走査方向に対向した一対の側板102a1、102a2に配置されている。
【0035】
従来の一体型の画像読取装置は全てのミラーを走行体に搭載していたので、走行体の振動がミラーに伝達することによるドットズレなどの画質低下を防止するため、各ミラーに防振部材を取り付ける必要があった。しかし、この実施の形態では、第1ミラー120aのみを走行体112に搭載するので、当該第1ミラー120aにのみ防振部材を取り付ければよい。
【0036】
他の第2〜第5ミラー120b〜120eは、スキャナフレーム部102aの側板102a1、102a2に固定的に配置するので、防振部材を取り付ける必要がない。このため、第2〜第5ミラー120b〜120eのための防振部材を省略して部品点数、組立工数、製造コストを低減することができる。
【0037】
各ミラー120a〜120eの配置は、詳しくは、第1ミラー120aが走行体112の後端部(図3では走行体112の左端)に配置され、副走査方向に対して45°で傾斜し、これによって、原稿台ガラス110に載置される原稿、或いは流し読みガラス111の上を通過する原稿からの反射光を、後方側(図3で左側すなわち副走査方向と逆方向)に反射するようにしている。
【0038】
第2ミラー120bは、第1ミラー120aに対して、副走査方向と反対側の左側板102a1の内側に第1ミラー120aと同じ高さで配置され、副走査方向に対して45°で傾斜している。
【0039】
第3ミラー120cは、第2ミラー120bに対して、垂直方向下方の左側板102a1の内側に配置され、副走査方向に対して、第2ミラー120bとは逆方向に45°で傾斜している。
【0040】
従って、第2ミラー120bと第3ミラー120cによって、第1のダハミラーが構成されている。
【0041】
第4ミラー120dは、第3ミラー120cに対して、副走査方向の右側板102a2の内側に配置され、第2ミラー120bと同じように、副走査方向に対して45°で傾斜している。
【0042】
第5ミラー120eは、第4ミラー120dに対して、垂直方向上方の右側板102a2の内側に配置され、第3ミラー120cと同じように、副走査方向に対して45°で傾斜している。
【0043】
従って、第4ミラー120dと第5ミラー120eによって、第2のダハミラーが構成されている。第1のダハミラーと、第2のダハミラーは、光学的に同等であり、共通のダハミラーを使用可能であるが、図4Aのように、第2のダハミラー(第4ミラー120dと第5ミラー120e)は、第1のダハミラー(第2ミラー120bと第3ミラー120c)よりも主走査方向に短いものを使用することも可能である。
第1〜第5ミラー120a〜120eは、幾何学的精度を確保するために、角度調整可能に配置することができる。
【0044】
第5ミラー120eによって反射された光は、走行体112に向かって副走査方向を逆に進み、結像レンズ121によってイメージセンサ122の上に結像される。そして、イメージセンサ122によって原稿画像を読み取り、この読み取った原稿画像を、図示しない画像処理部と電子ソート部によって信号処理し、図1の光書込装置2に供給する。
【0045】
また、図1のADF103によって搬送される原稿の画像を走行体112のイメージセンサ122で読み取る場合、走行体112を図1のAの位置よりやや左側(図2A、図2B、図3の流し読みガラス111の直下)に移動する。走行体112をこの位置に停止した状態で、ADF103によって搬送される原稿が流し読みガラス111の上を通過する際に、光源115から発した光を原稿面で順次反射させながら、イメージセンサ122で原稿の画像を読み取る。
【0046】
図3において、原稿から反射された反射光の光路長(共役長)は、原稿読取開始位置での共役長をL1とすると、以下のように表される。
L1=a+b+c+d+e+f
ここで、a:原稿面〜第1ミラー501の距離、b:1ミラー〜第2ミラーの距離、c:第2ミラー〜第3ミラーの距離、d:第3ミラー〜第4ミラーの距離、e:第4ミラー〜第5ミラーの距離、f:第5ミラー〜イメージセンサ122の距離
【0047】
図3において、走行体112の副走査方向の移動量をαとすると、走行体112がα進んだ後の共役長L2は、以下のように表される。
L2=a+(b+α)+c+d+e+(f−α)=a+b+c+d+e+f
このように、走行体112が副走査方向αだけ移動しても、移動の前後でL1=L2となって共役長が変わらないことが分かる。
【0048】
従来の一体型走査光学ユニットは、共役長を確保するため、多数のミラーを単一の走行体内に配置して光路を折り返すことで共役長を確保していたが、ミラーの搭載数や折り返し光路のスパンによって、走行体のサイズが高さ方向と副走査方向で大型化するという問題があった。
この実施の形態では、走行体112には反射手段としてのミラーは特定のミラーのみを搭載し、他のミラーは走行体112の外に配置したので、走行体112のサイズ(高さ方向と副走査方向)が大きくなることがないし、走行体112の重量が過大になることもない。
【0049】
一方、走行体の外に配置したミラーの少なくとも2つのミラーを副走査方向の両端に配置することで、共役長を一定にしたまま、光路長を容易に長くすることができる。
【0050】
以上のように、一体型走査光学ユニットのミラーを減らし、走行体112の外の両端にミラーを配置することによって、走行体112の高さ方向と副走査方向のサイズを小さくし、画像読取装置を小型化、薄型化することができる。
【0051】
(画像読取装置の具体的構成)
次に、画像読取装置の具体的構成について説明する。
図4A、図4Bに示すように、スキャナフレーム部102a内に、副走査方向に延びる2本のガイドロッド113、114が互いに平行に配置されている。この2本のガイドロッド113、114は、図5、図6に示す走行体112が副走査方向に移動するのをガイドするためのもので、走行体112の両端部に、図6のように2つのロッド穴112a、112bが形成されている。そして2つのこのロッド穴112a、112bに、2本のガイドロッド113、114がスライド自在に挿入されている。各ガイドロッド113、114は、スキャナフレーム部102aの左右の側板102a1、102a2の内側に、できるだけ寄せた位置に配置されている。
【0052】
一方(図4Aの上側)のガイドロッド114と側板102a3の間に、副走査方向で左右一対をなすプーリ125、126が配置されている。図4Aで右側が駆動プーリ126で、左側が従動ブーリ125である。両プーリ125、126の間に、タイミングベルト127が掛け渡されている。側板102a3の外側に、モータ128が配置され、このモータ128の軸にモータギア129が取り付けられている。また、駆動プーリ126と同軸で駆動ギア130が配置され、この駆動ギア130とモータギア129との間に、タイミングベルト131が掛け渡されている。
【0053】
そして、モータ128の回動により、モータギア129、タイミングベルト131、駆動ギア130を介して、駆動プーリ126が回動する。これにより、2つのプーリ125、126の間に掛け渡されたタイミングベルト127が回転し、走行体112が副走査方向に移動するようになっている。走行体112の移動方向は、モータ128の回転方向を逆転することで切り替えることができる。この実施の形態では、搭載ミラー数の低減により走行体112を軽量化することが容易なので、前述のように走行体112の片側駆動を容易化することができる。
【0054】
走行体112は、図5、図6のように、主走査方向に延びた走行体フレーム135を有する。この走行体112フレーム135は、水平板部135aと垂直板部135bが一体成形された板金製で、走行体112フレーム135の幅方向中央部の副走査方向側に、前記水平板部135aを延長するように、副走査方向に延びた支持板136が取り付けられている。
【0055】
この支持板136の上に、光軸を副走査方向に向けた結像レンズ121が搭載されている。結像レンズ121は、その上方から板バネで成形したレンズバンド137を装着し、このレンズバンド137の両端を、ネジ138で支持板136に固定することで位置決めされる。このように、結像レンズ121を走行体112に組み込むことで、部品点数削減と組立工数削減を図ることができる。
【0056】
図5のように、走行体112フレームの垂直板部135bの左側面に、当該走行体112の副走査方向に対して垂直をなす基板141が、両端の一対のネジ142によって固定されている。この基板141は走行体112の主走査方向に連続して延びており、図5で右側すなわち結像レンズ121側の第1実装面の高さ方向ほぼ中央に、結像レンズ121と光軸を一致させて、CCDを有するイメージセンサ122が実装されている。走行体フレーム135の垂直板部135bは、このイメージセンサ122が副走査方向に突出可能なように、所定の大きさの穴135cが形成されている。
【0057】
走行体フレーム135の水平板部135aに、走行体フレーム135と幅方向にほぼ同じ長さを有するブラケット145が、両端の一対のネジ146で取り付けられている。このブラケット145は導光板150と第1ミラー120aを取り付けるためのもので、ネジ146で固定される基部145aと、この基部145aの近くから垂直に立ち上がった支持部145bを有する。この支持部145bに、導光板150の両端を嵌め込むための切欠き穴147と、第1ミラー120aの両端を嵌め込むための切欠き穴148が形成されている。
【0058】
図5で基板141の左側すなわちイメージセンサ122と反対側の第2実装面に、基板141の高さ方向中央よりもやや上側に偏位した位置に、主走査方向に等間隔に配列された複数のLEDからなる光源115が実装されている。当該LEDはトップビュータイプで構成され、その発光面115a側に導光板150が配置されている。トップビュータイプとは、基板に実装した光源が当該基板の実装面と垂直な方向に光を放射する型式をいう。すなわち、LEDの光は基板141の第2実装面に対して垂直方向(副走査方向と反対方向)に放射され、この光が導光板150の入射面に垂直に入射するようになっている。
【0059】
光源115を、結像レンズ121がある側の基板141の第1実装面に配置しようとすると、結像レンズ121からイメージセンサ122に至る光路を遮らないように、光源115を結像レンズ121の外径よりも外側(上側)にズラして配置する必要がある。しかし、そうすると、その分だけ画像読取装置102の高さ寸法が大きくなってしまう。結像レンズ121及びイメージセンサ122と反対側に光源115を配置することで、結像レンズ121の外径の範囲内に、光源115を配置できるため、走行体112の高さ寸法を、結像レンズ121の外径とほぼ同程度にすることができる。
【0060】
また、光源115とイメージセンサ122を同一基板141の表裏両面に背中合わせで実装することにより、組立部品点数を削減して、コストダウンを図ることができる。
【0061】
導光板150は光源115としてのLEDの光を効率的に原稿に導くためのもので、断面形状において、幅に対する長さの比(矩形比と呼ぶ)が1以上の長方形に内接(一部一致を含む)する多角形状をなすものである。このような導光板150は、例えば特開2006−67551に開示されて公知である。導光板150の両端は、ブラケット145の両端支持部145bの切欠き穴147に嵌め込まれた状態で支持されている。導光板150の両端の位置ズレを防止するため、切欠き穴147の内側に、板金製のクリップを配置することができる。このようなクリップは、例えば図13(b)に示すような板バネ174を利用することができる。
【0062】
この導光板150の光軸は、原稿面に対し所定角度傾斜して配置され、上下の側面は反射面とし、導光板150の右側の入射面150aにLEDの発光面115aを密接している。そして原稿面に向いた放射面150bからの直接光と、周囲に配置された図示しない反射面(主反射面や補助反射面)からの反射光とによる、光量分布の合成曲線の高光量部を最大読取幅として、この中に読取領域を設定するようにしている。
【0063】
基板141よりも左側の走行体フレーム135上に、前記導光板150の下方かつ後方に位置して、第1ミラー120aが45°の傾斜角で配置されている。この第1ミラー120aは主走査方向に延びており、その両端は走行体112のブラケット145の支持部145bに形成された切欠き穴148に嵌め込まれた状態で支持されている。そして、第1ミラー120aの真上から第1ミラー120aに入射した光の反射光が、当該第1ミラー120aによって、副走査方向と反対方向(水平方向)に直角に反射されるようになっている。
【0064】
第1ミラー120aの両端に走行体112の振動が伝わるのを防止するため、及び位置ズレを防止するため、切欠き穴148の内側に、板金製のクリップを配置することができる。このようなクリップは、例えば図13(b)に示すような板バネ174を利用することができる。
【0065】
この実施の形態では、LEDによる光源115、導光板150及び第1ミラー120aを、結像レンズ121の外径の範囲内に配置することで、走行体112の上下方向高さを、結像レンズ121の外径とほぼ同程度にすることができる。
【0066】
また、走行体112を含む画像読取装置102の上下方向高さHは、H=L+M/√2+N+O+P+Qと表すことができる。
L:レンズ403の外径
M:第3ミラー120c、第4ミラー120dの幅
N:走行体112の上端と原稿台ガラス110の下面との間の隙間
O:第3ミラー120c、第4ミラー120dと、スキャナフレーム部102aの底板との間の隙間
P:スキャナフレーム部102aの底板の厚み
Q:原稿台ガラス110の厚さ
【0067】
ここで、L、M、N、O、P、Qの大きさは自ずと決まってくるが、45°に傾斜した第3ミラー120c、第4ミラー120dの下端部に、その有効反射面を変えない範囲で水平なC面(面取面)を形成することで、第3ミラー120c、第4ミラー120dの高さ(M/√2)を低減できるので、画像読取装置の高さHを低減できる。
【0068】
(基板に対する光源と導光板の配置)
次に、基板に対する光源と導光板の配置の変形例について説明する。
図7は、走行体112に配置した基板141に対する光源115と導光板150の配置状態を示したものである。図5と異なり、光源115をサイドビュータイプで構成し、結像レンズ121及びイメージセンサ122の光軸よりも下側位置で基板141に実装している。そして光源115から放射された光を、基板141に沿って上向きに、すなわち基板141の第2実装面と平行にして上向きに照射するようにしている。サイドビュータイプとは、基板141に実装した光源115が当該基板141の実装面と平行な方向に光を放射する型式をいう。
【0069】
また、導光板150を光源の上側で基板141に実装している。導光板150の下端入射面150aは光源115の放射面に近接配置され、上端放射面150bはその光軸を基板141の第2実装面に対して傾斜させ、原稿に向かって垂直ではなく傾斜した方向から光を照射するようにしている。導光板150の両端は、ブラケット145の両端の支持部145bに形成した切欠き穴149に、上下方向の遊びを持たせて挿入してある。
【0070】
このように、この実施の形態では共通の基板141の両側にイメージセンサ122、光源115及び導光板150を実装しているが、イメージセンサ122の光軸と結像レンズ121の光軸の高さ位置が互いにズレている時、基板141を上下方向に調節する必要がある。このような調節を行うと、光源115及び導光板150の高さも変化してしまう。
【0071】
導光板150の放射面の光軸は原稿に対して傾斜しているので、導光板150の高さが変わると原稿の読み取り範囲の光量分布が副走査方向にズレる。そうすると、原稿からの反射光が入射する第1ミラー120aの光軸が前記光量分布の中心からズレてしまい、読み取り原稿の濃度ムラや、原稿写りが悪いいわゆる「飛び」の現象を引き起こす。
【0072】
この実施の形態では、基板141に対して導光板150を高さ調節可能に配置することで、このような問題を解決している。導光板150は基板141に対して電気的接続部がないので、このような上下動可能な配置が容易である。
【0073】
すなわち、図8のように、導光板150の左右両端はネジ151によって基板141にネジ止め固定されているが、導光板150の左右両端のネジ151を通す穴は縦長穴152とされている。従って、ネジ151を緩めることによって、基板141の左右両端を上下方向に移動することができる。
【0074】
また、基板141は、イメージセンサ122の光軸の高さを調節するため、走行体フレーム135の垂直板部135bに対して上下動可能に取り付けられている。このため、イメージセンサ122を通す垂直板部135bの穴135cは、上下方向に余裕を持たせておく。
【0075】
なお、光源115をサイドビュータイプではなくトップビュータイプにして基板141に実装すると、導光板150を基板141から離さなければならないので、走行体112の副走査方向のスペースが大きくなる。また、導光板150だけを上下移動させると光源115との間の光路がズレるので、導光板150の移動に合わせて光源115も同じように移動させる複雑な構造が必要となる。図7の構造はこのような問題がなく、導光板150を基板141に実装することにより、導光板150が縦形配置になることもあって、図5と比べて分かるように、走行体112を副走査方向に大幅にコンパクト化することができる。
【0076】
図9(a)のように、光量分布の中心が原稿の読み取り位置に一致している正常な状態から、基板を図9(b)のように少し下げてイメージセンサ122の光軸を下げた場合、導光板150から原稿までの距離Aが距離Bに拡大し、原稿の読み取り範囲の光量分布の中心が左側にズレる。そこで、このような光量分布のズレが生じた場合、導光板150の左右両端を固定しているネジ151を緩め、基板141を下げた分(距離h=B−A)だけ導光板150を上げた後にネジ151を締め直す。これにより、導光板150から原稿までの距離がAに戻り、光量分布の中心と第1ミラー120aの光軸とが一致し、原稿の読み取り位置に対する光量分布のずれを容易に修正することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述した形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0078】
100:画像形成装置
102:画像読取装置
102a:スキャナフレーム部
102b:スキャナカバー部
112:走行体
113、114:ガイドロッド
115:光源
120a:第1ミラー(反射手段)
120b:第2ミラー(反射手段)
120c:第3ミラー(反射手段)
120d:第4ミラー(反射手段)
120e:第5ミラー(反射手段)
121:結像レンズ
122:イメージセンサ(読取手段)
127:タイミングベルト
128:モータ
141:基板
150:導光板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開2010−4365号公報(図3、図16)
【特許文献2】特開2010−2731号公報
【特許文献3】特開平1−81468号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、結像方式によって縮小光学系と等倍光学系に分類される。縮小光学系は原稿の画像を縮小レンズで縮小し、これをCCD(Charge Coupled Device)などで構成した縮小センサで読み取る。等倍光学系はCCDやCIS(Contact Image Sensor)などで構成した等倍センサを原稿面に近接配置し、原稿面から直接画像を等倍センサで読み取る。
【0003】
縮小光学系は等倍光学系に比べて焦点深度が深く、原稿浮きに対して有利なため、書籍や立体物の画像読取にも対応可能である。このため、コピー、プリンタ、スキャナ、ファックスのうち、2以上の機能を持つ複合機(MFP)や、デジタルスキャナを搭載した高級機は、この縮小光学系の読取装置を搭載することが多い。縮小光学系は光路長が長くなるので、装置をコンパクト化するため、複数のミラーを使用して光路を折り畳む構造を採用する。
【0004】
縮小光学系の画像読取装置は、さらに、原稿を走査する走行体として2つの走行体を有する差動型と、単一の走行体を有する一体型に分類される(例えば特許文献1(特開2010−4365号公報)の図3、図16参照)。
【0005】
差動型は、図10のように、第1走行体511を、光路長(共役長)を一定に維持するため、第2走行体512の倍速で副走査方向に移動させる。そして第1走行体511に搭載した光源513で原稿台ガラス514に載せた原稿を露光し、原稿からの反射光を第1走行体511と第2走行体512の複数のミラーM1、M2、M3で反射させ、装置内に配置した結像レンズ514を通して、読取手段としてのCCDによるイメージセンサ515に導く。
【0006】
差動型は、2つの独立した走行体511、512にミラーM1、M2、M3を搭載するため、相対的なミラーの面倒れが起こりやすいという弱点がある。第1走行体511と第2走行体512は、動滑車の原理により倍速差動を実現するワイヤ方式や、ギア比により倍速差動を実現するタイミングベルト方式で駆動する。
【0007】
一体型は、図11のように、単一の走行体521に光源522、複数のミラーM1〜M5、結像レンズ523、イメージセンサ524を搭載する。一体型は、走行体521が一つであるため駆動機構が差動型より簡単であり、ミラーM1〜M5の面倒れも起こりにくい。
しかし、走行体521内の限られたスペースに多数のミラーM1〜M5を配置して光路長をできるだけ長くしているため、構造的に複雑化し、走行体521が高さ方向と副走査方向に大型化し大重量となる。
【0008】
また、大重量の走行体521の移動による装置全体の揺れを考慮した、副走査方向の移動用モータの制御と、装置の機械的強度設計が不可欠となる。
さらに、走行体521が重いため、通常、走行体521の主走査方向両端に駆動手段を連結し、両側駆動にする必要がある。
走行体521の駆動方式としては、ワイヤ駆動方式とタイミングベルト駆動方式がある。
【0009】
また、一体型は限られたスペースに多数のミラーM1〜M5を配置するため、短焦点の結像レンズ523を使用する。短焦点の結像レンズ523は画角が大きいので、周辺部品の加工誤差による性能劣化を抑制するため、部品の寸法公差を厳しく設定する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
縮小光学系は等倍光学系に比べて構造が複雑であり、とりわけ一体型は、走行体内の限られたスペースに多数のミラーを配置するため走行体が高さ方向と副走査方向に大型化し大重量となる。また、走行体が大重量であるため当該走行体を両側駆動にする必要があり、また副走査方向に駆動するモータの制御が複雑化し、読取装置の筐体も高強度にする必要がある。
【0011】
また、一体型は前述したように部品の寸法公差を厳しく設定しなければならないが、製造上の困難性から実現可能な寸法公差は限界がある。このため、組み合わせる複数の部品の積み上がりによる誤差の累積によって、結像レンズ523からコンタクトガラスまでの距離(光路長)のバラつきが不可避的に存在する。
【0012】
このようなバラツキがあると主走査方向の倍率誤差が大きくなり、MTF(Modulation Transfer Function)が劣化する(特許文献3(特開平1−81468号公報)参照)。その対策として、コンタクトガラスを支持する支持部に可撓性を有する「マイラー(MYLAR)」(商品名、登録商標)(ポリエチレンテレフタレート(PET)等でできた適宜の厚さの薄板状の剛性の低いシート部材)を貼り、その貼り付け枚数を変えたり、イメージセンサであるCCDの高さ位置や、一体型走査ユニットを支持するガイドロッドの高さ位置を、スキャナユニット筐体底面に配置したネジを回すことで調整したりすることが行われている。このような調整作業はすべて手作業であり、手間がかかる上に調整のバラツキは避けがたい。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、縮小光学系の一体型走査光学ユニットを高さ方向及び副走査方向でコンパクト化し、読取装置全体の薄型化、軽量化、低コスト化を図ることを目的とする。
【0014】
また、少数のミラーで光路長を延長することで長焦点の結像レンズを使用可能とし、画角を狭めて、部品の加工誤差による性能劣化の影響が少ない読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、原稿の主走査方向の読取範囲を露光するための光源と、前記原稿の読取範囲からの反射光を読み取る読取手段と、前記原稿の読取範囲からの反射光を順次反射させて前記読取手段に導く複数のミラーを有する反射手段と、前記反射手段で反射された反射光を結像させて前記読取手段に導く結像レンズと、前記光源、前記読取手段、及び前記反射手段の特定のミラーを搭載し、前記原稿を走査するため副走査方向に移動可能な走行体と、を有する画像読取装置であって、前記走行体に搭載した特定のミラーを除く前記反射手段を前記走行体の外に配置し、前記走行体に、前記結像レンズと、前記副走査方向を横断する方向に延びた実装面を有する基板を配置し、当該基板の前記結像レンズ側の第1実装面に前記読取手段を配置すると共に、反対側の第2実装面に前記光源を配置した画像読取装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、原稿の読取範囲からの反射光を順次反射させて読取手段に導く複数のミラーを有する反射手段を、走行体に搭載した特定のミラーを除いて走行体の外に配置したので、走行体を軽量化及びコンパクト化し、読取装置全体を軽量化及び薄型化することができる。
【0017】
また、走行体の外に反射手段を配置することで光路設計の自由度が高まり、少数のミラーによる光路長の延長により、従来の単一の走行体を有する縮小光学系の一体型画像読取装置よりも長焦点の結像レンズを使用可能とし、画角を狭めて部品の加工誤差による性能劣化の影響が少ない読取装置を実現することができる。
【0018】
また、基板の両面に読取手段と光源を配置することで、これらをユニット化して走行体に対する組み付け性を向上させ、また副走査方向のスペースをさらに短縮することができる。
【0019】
また、結像レンズの外径の範囲内に光源を配置できるため、走行体の高さ寸法を結像レンズの外径とほぼ同程度にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の外観を示す斜視図である。
【図2B】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の筐体を構成するスキャナフレーム部とスキャナカバー部を分離した状態で示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の全体概略側面図である。
【図4A】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部の平面図である。
【図4B】図4AのB−B線矢視断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の走行体の中央断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の走行体の副走査方向正面図である。
【図7】走行体の基板に対する、光源と導光板の別の配置例を示す断面図である。
【図8】図7の基板の副走査方向から見た正面図である。
【図9】原稿の読取範囲の光量分布と第1ミラーの光軸との関係を示す図である。
【図10】従来の縮小光学系の差動型の走行体を有する画像読取装置の全体概略側面図である。
【図11】従来の縮小光学系の一体型の走行体を有する画像読取装置の要部概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図9を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(画像形成装置)
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部101と、用紙供給装置40と、画像読取部104とを備える。画像読取部104は、画像形成部101の上に固定された画像読取装置102と、これに支持される原稿搬送装置としてのADF(Auto Document Feeder)103とを有する。
【0023】
用紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセット42から記録媒体としての用紙を送り出す送出ローラ43、送り出された用紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有する。また、画像形成装置100の給紙路37に用紙を搬送する複数の搬送ローラ46等を有する。そして、給紙カセット42内の用紙を画像形成装置100内の給紙路37に給紙するようになっている。
【0024】
画像形成部101は、光書込装置2や、K、Y、M、C色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K、3Y、3M、3C、中間転写ベルト25を有する転写ユニット24、紙搬送ユニット28、タイミングローラ対33、定着装置34、排紙ローラ対35、スイッチバック装置36、給紙路37等を備える。
【0025】
そして、光書込装置内2に配設された図示しないレーザダイオードやLED等の光源を駆動して、プロセスユニット3K、3Y、3M、3Cの感光体4K、4Y、4M、4Cに向けてレーザ光Lを照射する。
【0026】
このレーザ光Lの照射により、ドラム状の感光体4K、4Y、4M、4Cの表面には静電潜像が形成され、この静電潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。符号の後のK、Y、M、Cの添字は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン用の仕様であることを示している。
【0027】
上記構成の画像形成装置100において、各感光体4K、4Y、4M、4Cの表面に形成されたトナー像は、図1で時計回り方向に無端移動する中間転写ベルト25に順次重ね併せて一次転写される。
【0028】
この一次転写により、中間転写ベルト25には4色重ね合わせのカラートナー像が形成される。また、用紙供給装置40から供給された用紙が、タイミングローラ対33により所定のタイミングで、紙搬送ユニット28と中間転写ベルト25との間に形成された二次転写ニップに送り出され、中間転写ベルト25上のカラートナー像が用紙に一括二次転写される。
【0029】
二次転写ニップを通過した用紙は、中間転写ベルト25から離間して定着装置34へ搬送される。定着装置34に搬送された用紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着された後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。画像形成部101は、図1に示す構成に限定されるものではなく、インクジェット記録方式等の構成であってもよい。
【0030】
(画像読取装置)
画像形成部101の上に配置された画像読取装置102は、図2A、図2Bに示すように、画像読取装置102の側面および下面を構成する筐体としてのスキャナフレーム部102aと、このスキャナフレーム部102aの上部開口に取り付けられるスキャナカバー部102bを備える。
【0031】
画像読取装置102のスキャナカバー部102bは、画像読取装置102の上面を構成し、原稿を載置する原稿台ガラス110と、ADF使用時に原稿が通過する帯状の流し読みガラス111を備える。
【0032】
画像読取装置102のスキャナフレーム部102aの内部には、走行体112と、この走行体112の副走査方向の移動をガイドするガイド部材としての互いに平行なガイドロッド113、114が設けられている。そして、スキャナカバー部102bの原稿台ガラス110の上に原稿を載せ、当該原稿台ガラス110の直下で、走行体112を副走査方向(矢印A方向)に移動させることにより原稿を読み取る。
【0033】
(画像読取装置の基本構造)
走行体112は、図3のように、原稿の主走査方向の読取範囲を露光するための光源115と、原稿の読取範囲からの反射光を順次反射させて読取手段に導く複数のミラーを有する反射手段120としての、第1ミラー120a、第2ミラー120b、第3ミラー120c、第4ミラー120d、第5ミラー120eと、反射手段120で反射された反射光を結像させて読取手段に導く結像レンズ121と、原稿の読取範囲からの反射光を読み取る読取手段としてのイメージセンサ122を搭載する。
【0034】
第1ミラー120aだけは走行体112に搭載されているが、その他の4つのミラー120b〜120eは、スキャナフレーム部102aの副走査方向に対向した一対の側板102a1、102a2に配置されている。
【0035】
従来の一体型の画像読取装置は全てのミラーを走行体に搭載していたので、走行体の振動がミラーに伝達することによるドットズレなどの画質低下を防止するため、各ミラーに防振部材を取り付ける必要があった。しかし、この実施の形態では、第1ミラー120aのみを走行体112に搭載するので、当該第1ミラー120aにのみ防振部材を取り付ければよい。
【0036】
他の第2〜第5ミラー120b〜120eは、スキャナフレーム部102aの側板102a1、102a2に固定的に配置するので、防振部材を取り付ける必要がない。このため、第2〜第5ミラー120b〜120eのための防振部材を省略して部品点数、組立工数、製造コストを低減することができる。
【0037】
各ミラー120a〜120eの配置は、詳しくは、第1ミラー120aが走行体112の後端部(図3では走行体112の左端)に配置され、副走査方向に対して45°で傾斜し、これによって、原稿台ガラス110に載置される原稿、或いは流し読みガラス111の上を通過する原稿からの反射光を、後方側(図3で左側すなわち副走査方向と逆方向)に反射するようにしている。
【0038】
第2ミラー120bは、第1ミラー120aに対して、副走査方向と反対側の左側板102a1の内側に第1ミラー120aと同じ高さで配置され、副走査方向に対して45°で傾斜している。
【0039】
第3ミラー120cは、第2ミラー120bに対して、垂直方向下方の左側板102a1の内側に配置され、副走査方向に対して、第2ミラー120bとは逆方向に45°で傾斜している。
【0040】
従って、第2ミラー120bと第3ミラー120cによって、第1のダハミラーが構成されている。
【0041】
第4ミラー120dは、第3ミラー120cに対して、副走査方向の右側板102a2の内側に配置され、第2ミラー120bと同じように、副走査方向に対して45°で傾斜している。
【0042】
第5ミラー120eは、第4ミラー120dに対して、垂直方向上方の右側板102a2の内側に配置され、第3ミラー120cと同じように、副走査方向に対して45°で傾斜している。
【0043】
従って、第4ミラー120dと第5ミラー120eによって、第2のダハミラーが構成されている。第1のダハミラーと、第2のダハミラーは、光学的に同等であり、共通のダハミラーを使用可能であるが、図4Aのように、第2のダハミラー(第4ミラー120dと第5ミラー120e)は、第1のダハミラー(第2ミラー120bと第3ミラー120c)よりも主走査方向に短いものを使用することも可能である。
第1〜第5ミラー120a〜120eは、幾何学的精度を確保するために、角度調整可能に配置することができる。
【0044】
第5ミラー120eによって反射された光は、走行体112に向かって副走査方向を逆に進み、結像レンズ121によってイメージセンサ122の上に結像される。そして、イメージセンサ122によって原稿画像を読み取り、この読み取った原稿画像を、図示しない画像処理部と電子ソート部によって信号処理し、図1の光書込装置2に供給する。
【0045】
また、図1のADF103によって搬送される原稿の画像を走行体112のイメージセンサ122で読み取る場合、走行体112を図1のAの位置よりやや左側(図2A、図2B、図3の流し読みガラス111の直下)に移動する。走行体112をこの位置に停止した状態で、ADF103によって搬送される原稿が流し読みガラス111の上を通過する際に、光源115から発した光を原稿面で順次反射させながら、イメージセンサ122で原稿の画像を読み取る。
【0046】
図3において、原稿から反射された反射光の光路長(共役長)は、原稿読取開始位置での共役長をL1とすると、以下のように表される。
L1=a+b+c+d+e+f
ここで、a:原稿面〜第1ミラー501の距離、b:1ミラー〜第2ミラーの距離、c:第2ミラー〜第3ミラーの距離、d:第3ミラー〜第4ミラーの距離、e:第4ミラー〜第5ミラーの距離、f:第5ミラー〜イメージセンサ122の距離
【0047】
図3において、走行体112の副走査方向の移動量をαとすると、走行体112がα進んだ後の共役長L2は、以下のように表される。
L2=a+(b+α)+c+d+e+(f−α)=a+b+c+d+e+f
このように、走行体112が副走査方向αだけ移動しても、移動の前後でL1=L2となって共役長が変わらないことが分かる。
【0048】
従来の一体型走査光学ユニットは、共役長を確保するため、多数のミラーを単一の走行体内に配置して光路を折り返すことで共役長を確保していたが、ミラーの搭載数や折り返し光路のスパンによって、走行体のサイズが高さ方向と副走査方向で大型化するという問題があった。
この実施の形態では、走行体112には反射手段としてのミラーは特定のミラーのみを搭載し、他のミラーは走行体112の外に配置したので、走行体112のサイズ(高さ方向と副走査方向)が大きくなることがないし、走行体112の重量が過大になることもない。
【0049】
一方、走行体の外に配置したミラーの少なくとも2つのミラーを副走査方向の両端に配置することで、共役長を一定にしたまま、光路長を容易に長くすることができる。
【0050】
以上のように、一体型走査光学ユニットのミラーを減らし、走行体112の外の両端にミラーを配置することによって、走行体112の高さ方向と副走査方向のサイズを小さくし、画像読取装置を小型化、薄型化することができる。
【0051】
(画像読取装置の具体的構成)
次に、画像読取装置の具体的構成について説明する。
図4A、図4Bに示すように、スキャナフレーム部102a内に、副走査方向に延びる2本のガイドロッド113、114が互いに平行に配置されている。この2本のガイドロッド113、114は、図5、図6に示す走行体112が副走査方向に移動するのをガイドするためのもので、走行体112の両端部に、図6のように2つのロッド穴112a、112bが形成されている。そして2つのこのロッド穴112a、112bに、2本のガイドロッド113、114がスライド自在に挿入されている。各ガイドロッド113、114は、スキャナフレーム部102aの左右の側板102a1、102a2の内側に、できるだけ寄せた位置に配置されている。
【0052】
一方(図4Aの上側)のガイドロッド114と側板102a3の間に、副走査方向で左右一対をなすプーリ125、126が配置されている。図4Aで右側が駆動プーリ126で、左側が従動ブーリ125である。両プーリ125、126の間に、タイミングベルト127が掛け渡されている。側板102a3の外側に、モータ128が配置され、このモータ128の軸にモータギア129が取り付けられている。また、駆動プーリ126と同軸で駆動ギア130が配置され、この駆動ギア130とモータギア129との間に、タイミングベルト131が掛け渡されている。
【0053】
そして、モータ128の回動により、モータギア129、タイミングベルト131、駆動ギア130を介して、駆動プーリ126が回動する。これにより、2つのプーリ125、126の間に掛け渡されたタイミングベルト127が回転し、走行体112が副走査方向に移動するようになっている。走行体112の移動方向は、モータ128の回転方向を逆転することで切り替えることができる。この実施の形態では、搭載ミラー数の低減により走行体112を軽量化することが容易なので、前述のように走行体112の片側駆動を容易化することができる。
【0054】
走行体112は、図5、図6のように、主走査方向に延びた走行体フレーム135を有する。この走行体112フレーム135は、水平板部135aと垂直板部135bが一体成形された板金製で、走行体112フレーム135の幅方向中央部の副走査方向側に、前記水平板部135aを延長するように、副走査方向に延びた支持板136が取り付けられている。
【0055】
この支持板136の上に、光軸を副走査方向に向けた結像レンズ121が搭載されている。結像レンズ121は、その上方から板バネで成形したレンズバンド137を装着し、このレンズバンド137の両端を、ネジ138で支持板136に固定することで位置決めされる。このように、結像レンズ121を走行体112に組み込むことで、部品点数削減と組立工数削減を図ることができる。
【0056】
図5のように、走行体112フレームの垂直板部135bの左側面に、当該走行体112の副走査方向に対して垂直をなす基板141が、両端の一対のネジ142によって固定されている。この基板141は走行体112の主走査方向に連続して延びており、図5で右側すなわち結像レンズ121側の第1実装面の高さ方向ほぼ中央に、結像レンズ121と光軸を一致させて、CCDを有するイメージセンサ122が実装されている。走行体フレーム135の垂直板部135bは、このイメージセンサ122が副走査方向に突出可能なように、所定の大きさの穴135cが形成されている。
【0057】
走行体フレーム135の水平板部135aに、走行体フレーム135と幅方向にほぼ同じ長さを有するブラケット145が、両端の一対のネジ146で取り付けられている。このブラケット145は導光板150と第1ミラー120aを取り付けるためのもので、ネジ146で固定される基部145aと、この基部145aの近くから垂直に立ち上がった支持部145bを有する。この支持部145bに、導光板150の両端を嵌め込むための切欠き穴147と、第1ミラー120aの両端を嵌め込むための切欠き穴148が形成されている。
【0058】
図5で基板141の左側すなわちイメージセンサ122と反対側の第2実装面に、基板141の高さ方向中央よりもやや上側に偏位した位置に、主走査方向に等間隔に配列された複数のLEDからなる光源115が実装されている。当該LEDはトップビュータイプで構成され、その発光面115a側に導光板150が配置されている。トップビュータイプとは、基板に実装した光源が当該基板の実装面と垂直な方向に光を放射する型式をいう。すなわち、LEDの光は基板141の第2実装面に対して垂直方向(副走査方向と反対方向)に放射され、この光が導光板150の入射面に垂直に入射するようになっている。
【0059】
光源115を、結像レンズ121がある側の基板141の第1実装面に配置しようとすると、結像レンズ121からイメージセンサ122に至る光路を遮らないように、光源115を結像レンズ121の外径よりも外側(上側)にズラして配置する必要がある。しかし、そうすると、その分だけ画像読取装置102の高さ寸法が大きくなってしまう。結像レンズ121及びイメージセンサ122と反対側に光源115を配置することで、結像レンズ121の外径の範囲内に、光源115を配置できるため、走行体112の高さ寸法を、結像レンズ121の外径とほぼ同程度にすることができる。
【0060】
また、光源115とイメージセンサ122を同一基板141の表裏両面に背中合わせで実装することにより、組立部品点数を削減して、コストダウンを図ることができる。
【0061】
導光板150は光源115としてのLEDの光を効率的に原稿に導くためのもので、断面形状において、幅に対する長さの比(矩形比と呼ぶ)が1以上の長方形に内接(一部一致を含む)する多角形状をなすものである。このような導光板150は、例えば特開2006−67551に開示されて公知である。導光板150の両端は、ブラケット145の両端支持部145bの切欠き穴147に嵌め込まれた状態で支持されている。導光板150の両端の位置ズレを防止するため、切欠き穴147の内側に、板金製のクリップを配置することができる。このようなクリップは、例えば図13(b)に示すような板バネ174を利用することができる。
【0062】
この導光板150の光軸は、原稿面に対し所定角度傾斜して配置され、上下の側面は反射面とし、導光板150の右側の入射面150aにLEDの発光面115aを密接している。そして原稿面に向いた放射面150bからの直接光と、周囲に配置された図示しない反射面(主反射面や補助反射面)からの反射光とによる、光量分布の合成曲線の高光量部を最大読取幅として、この中に読取領域を設定するようにしている。
【0063】
基板141よりも左側の走行体フレーム135上に、前記導光板150の下方かつ後方に位置して、第1ミラー120aが45°の傾斜角で配置されている。この第1ミラー120aは主走査方向に延びており、その両端は走行体112のブラケット145の支持部145bに形成された切欠き穴148に嵌め込まれた状態で支持されている。そして、第1ミラー120aの真上から第1ミラー120aに入射した光の反射光が、当該第1ミラー120aによって、副走査方向と反対方向(水平方向)に直角に反射されるようになっている。
【0064】
第1ミラー120aの両端に走行体112の振動が伝わるのを防止するため、及び位置ズレを防止するため、切欠き穴148の内側に、板金製のクリップを配置することができる。このようなクリップは、例えば図13(b)に示すような板バネ174を利用することができる。
【0065】
この実施の形態では、LEDによる光源115、導光板150及び第1ミラー120aを、結像レンズ121の外径の範囲内に配置することで、走行体112の上下方向高さを、結像レンズ121の外径とほぼ同程度にすることができる。
【0066】
また、走行体112を含む画像読取装置102の上下方向高さHは、H=L+M/√2+N+O+P+Qと表すことができる。
L:レンズ403の外径
M:第3ミラー120c、第4ミラー120dの幅
N:走行体112の上端と原稿台ガラス110の下面との間の隙間
O:第3ミラー120c、第4ミラー120dと、スキャナフレーム部102aの底板との間の隙間
P:スキャナフレーム部102aの底板の厚み
Q:原稿台ガラス110の厚さ
【0067】
ここで、L、M、N、O、P、Qの大きさは自ずと決まってくるが、45°に傾斜した第3ミラー120c、第4ミラー120dの下端部に、その有効反射面を変えない範囲で水平なC面(面取面)を形成することで、第3ミラー120c、第4ミラー120dの高さ(M/√2)を低減できるので、画像読取装置の高さHを低減できる。
【0068】
(基板に対する光源と導光板の配置)
次に、基板に対する光源と導光板の配置の変形例について説明する。
図7は、走行体112に配置した基板141に対する光源115と導光板150の配置状態を示したものである。図5と異なり、光源115をサイドビュータイプで構成し、結像レンズ121及びイメージセンサ122の光軸よりも下側位置で基板141に実装している。そして光源115から放射された光を、基板141に沿って上向きに、すなわち基板141の第2実装面と平行にして上向きに照射するようにしている。サイドビュータイプとは、基板141に実装した光源115が当該基板141の実装面と平行な方向に光を放射する型式をいう。
【0069】
また、導光板150を光源の上側で基板141に実装している。導光板150の下端入射面150aは光源115の放射面に近接配置され、上端放射面150bはその光軸を基板141の第2実装面に対して傾斜させ、原稿に向かって垂直ではなく傾斜した方向から光を照射するようにしている。導光板150の両端は、ブラケット145の両端の支持部145bに形成した切欠き穴149に、上下方向の遊びを持たせて挿入してある。
【0070】
このように、この実施の形態では共通の基板141の両側にイメージセンサ122、光源115及び導光板150を実装しているが、イメージセンサ122の光軸と結像レンズ121の光軸の高さ位置が互いにズレている時、基板141を上下方向に調節する必要がある。このような調節を行うと、光源115及び導光板150の高さも変化してしまう。
【0071】
導光板150の放射面の光軸は原稿に対して傾斜しているので、導光板150の高さが変わると原稿の読み取り範囲の光量分布が副走査方向にズレる。そうすると、原稿からの反射光が入射する第1ミラー120aの光軸が前記光量分布の中心からズレてしまい、読み取り原稿の濃度ムラや、原稿写りが悪いいわゆる「飛び」の現象を引き起こす。
【0072】
この実施の形態では、基板141に対して導光板150を高さ調節可能に配置することで、このような問題を解決している。導光板150は基板141に対して電気的接続部がないので、このような上下動可能な配置が容易である。
【0073】
すなわち、図8のように、導光板150の左右両端はネジ151によって基板141にネジ止め固定されているが、導光板150の左右両端のネジ151を通す穴は縦長穴152とされている。従って、ネジ151を緩めることによって、基板141の左右両端を上下方向に移動することができる。
【0074】
また、基板141は、イメージセンサ122の光軸の高さを調節するため、走行体フレーム135の垂直板部135bに対して上下動可能に取り付けられている。このため、イメージセンサ122を通す垂直板部135bの穴135cは、上下方向に余裕を持たせておく。
【0075】
なお、光源115をサイドビュータイプではなくトップビュータイプにして基板141に実装すると、導光板150を基板141から離さなければならないので、走行体112の副走査方向のスペースが大きくなる。また、導光板150だけを上下移動させると光源115との間の光路がズレるので、導光板150の移動に合わせて光源115も同じように移動させる複雑な構造が必要となる。図7の構造はこのような問題がなく、導光板150を基板141に実装することにより、導光板150が縦形配置になることもあって、図5と比べて分かるように、走行体112を副走査方向に大幅にコンパクト化することができる。
【0076】
図9(a)のように、光量分布の中心が原稿の読み取り位置に一致している正常な状態から、基板を図9(b)のように少し下げてイメージセンサ122の光軸を下げた場合、導光板150から原稿までの距離Aが距離Bに拡大し、原稿の読み取り範囲の光量分布の中心が左側にズレる。そこで、このような光量分布のズレが生じた場合、導光板150の左右両端を固定しているネジ151を緩め、基板141を下げた分(距離h=B−A)だけ導光板150を上げた後にネジ151を締め直す。これにより、導光板150から原稿までの距離がAに戻り、光量分布の中心と第1ミラー120aの光軸とが一致し、原稿の読み取り位置に対する光量分布のずれを容易に修正することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述した形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0078】
100:画像形成装置
102:画像読取装置
102a:スキャナフレーム部
102b:スキャナカバー部
112:走行体
113、114:ガイドロッド
115:光源
120a:第1ミラー(反射手段)
120b:第2ミラー(反射手段)
120c:第3ミラー(反射手段)
120d:第4ミラー(反射手段)
120e:第5ミラー(反射手段)
121:結像レンズ
122:イメージセンサ(読取手段)
127:タイミングベルト
128:モータ
141:基板
150:導光板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開2010−4365号公報(図3、図16)
【特許文献2】特開2010−2731号公報
【特許文献3】特開平1−81468号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の主走査方向の読取範囲を露光するための光源と、
前記原稿の読取範囲からの反射光を読み取る読取手段と、
前記原稿の読取範囲からの反射光を順次反射させて前記読取手段に導く複数のミラーを有する反射手段と、
前記反射手段で反射された反射光を結像させて前記読取手段に導く結像レンズと、
前記光源、前記読取手段、及び前記反射手段の特定のミラーを搭載し、前記原稿を走査するため副走査方向に移動可能な走行体と、を有する画像読取装置であって、
前記走行体に搭載した特定のミラーを除く前記反射手段を前記走行体の外に配置し、
前記走行体に、前記結像レンズと、前記副走査方向を横断する方向に延びた実装面を有する基板を配置し、
当該基板の前記結像レンズ側の第1実装面に前記読取手段を配置すると共に、反対側の第2実装面に前記光源を配置した画像読取装置。
【請求項2】
前記基板の第2実装面に、前記光源をサイドビュータイプで配置し、かつ、当該光源の放射光を一端導入面から導入し他端放射面から前記原稿に向けて放射する導光板を配置した請求項1の画像読取装置。
【請求項3】
前記導光板の他端放射面の光軸を、前記基板の第2実装面に対して傾斜させた請求項2の画像読取装置。
【請求項4】
前記導光板を、前記基板に対して、高さ方向に位置調整可能に取り付けた請求項3の画像読取装置。
【請求項5】
前記基板の前記光源を配置した側に前記特定のミラーを配置し、前記結像レンズを副走査方向から見たときの高さ方向の範囲内に、前記光源、前記特定のミラー、前記基板及び前記導光板を配置した請求項4の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5の画像読取装置を有する画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置に自動原稿送り装置を取り付けた画像形成装置。
【請求項1】
原稿の主走査方向の読取範囲を露光するための光源と、
前記原稿の読取範囲からの反射光を読み取る読取手段と、
前記原稿の読取範囲からの反射光を順次反射させて前記読取手段に導く複数のミラーを有する反射手段と、
前記反射手段で反射された反射光を結像させて前記読取手段に導く結像レンズと、
前記光源、前記読取手段、及び前記反射手段の特定のミラーを搭載し、前記原稿を走査するため副走査方向に移動可能な走行体と、を有する画像読取装置であって、
前記走行体に搭載した特定のミラーを除く前記反射手段を前記走行体の外に配置し、
前記走行体に、前記結像レンズと、前記副走査方向を横断する方向に延びた実装面を有する基板を配置し、
当該基板の前記結像レンズ側の第1実装面に前記読取手段を配置すると共に、反対側の第2実装面に前記光源を配置した画像読取装置。
【請求項2】
前記基板の第2実装面に、前記光源をサイドビュータイプで配置し、かつ、当該光源の放射光を一端導入面から導入し他端放射面から前記原稿に向けて放射する導光板を配置した請求項1の画像読取装置。
【請求項3】
前記導光板の他端放射面の光軸を、前記基板の第2実装面に対して傾斜させた請求項2の画像読取装置。
【請求項4】
前記導光板を、前記基板に対して、高さ方向に位置調整可能に取り付けた請求項3の画像読取装置。
【請求項5】
前記基板の前記光源を配置した側に前記特定のミラーを配置し、前記結像レンズを副走査方向から見たときの高さ方向の範囲内に、前記光源、前記特定のミラー、前記基板及び前記導光板を配置した請求項4の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5の画像読取装置を有する画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置に自動原稿送り装置を取り付けた画像形成装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−98910(P2013−98910A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242394(P2011−242394)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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