説明

画像読取装置及び画像記録装置

【課題】画像読取や画像記録に使用される薄板部材を内部に収納することができ、しかも当該収納に必要なユーザの操作が必要最小限で済む構造を提供する。
【解決手段】上面に原稿が載置されるプラテンガラス23が設けられた原稿台22と、原稿台22に設けられており、プラテンガラス23を介して原稿の画像読取りを行うイメージセンサと、原稿台22に設けられており、プラテンガラス23を露出する開姿勢、及びプラテンガラス23を覆う閉姿勢の間で姿勢変化可能な原稿カバー24と、を備える。原稿カバー24は、ケーシング27と、閉姿勢のケーシング27の下面側に設けられた収納部材28とを有する。収納部材28は、ケーシング27の側面よりも下面側に突出してメディアトレイ71を収納可能な空間の開口48が露出される露出姿勢、及び開口48がケーシング27に没入される没入姿勢に姿勢変化自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明部材に載置された原稿の画像の読み取りが可能な画像読取装置、及び当該画像読取装置を備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス板などの透明部材に原稿を載置して、当該原稿の画像を読み取る画像読取装置が知られている。また、入力信号に基づいて被記録媒体に画像記録を行う画像記録装置が知られている。
【0003】
上述の画像読取装置には、フィルムなどの透過原稿を読み取ることができるものがある。この場合、透過原稿は、薄板形状のフィルムホルダに保持されて、透明部材に載置される。
【0004】
また、上述の画像記録装置において画像記録が行われる被記録媒体には、記録用紙などのシート状の被記録媒体の他、CDやDVDなどの剛性の高い被記録媒体も提案されている。一般に、剛性の高い被記録媒体に画像記録が行われる際、当該被記録媒体は薄板形状のトレイにセットされる。当該トレイは、画像記録装置に設けられた開口から挿入され、画像記録装置内を搬送される。このような画像記録装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−42384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したフィルムホルダやトレイなどの薄板部材は、透過原稿を読み取るとき、或いは剛性の高い被記録媒体に画像を記録するときにのみ使用される。また、薄板部材は、画像読取装置や画像記録装置とは別個の物体である。よって、通常、薄板部材は、不使用時に、画像読取装置や画像記録装置とは異なる場所に保管される必要がある。そのため、薄板部材は紛失される可能性が高くなってしまう。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像読取或いは画像記録に使用される薄板部材を、当該薄板部材が使用される装置内に収納することができ、しかも当該収納に必要なユーザの操作が必要最小限で済む構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の画像読取装置は、上面に原稿が載置される透明部材が設けられた原稿載置台と、上記原稿載置台に設けられており、上記透明部材を介して原稿の画像読取りを行う読取部と、上記原稿載置台に設けられており、上記透明部材を露出する第1姿勢、及び上記透明部材を覆う第2姿勢の間で姿勢変化可能なカバー部材と、を備えている。上記カバー部材は、ケーシングと、上記第2姿勢における上記ケーシングの下面側に設けられており、上記ケーシングの側面よりも下面側に突出して薄板部材を収納可能な空間の開口が露出される第3姿勢、及び当該開口が上記ケーシングに没入される第4姿勢に姿勢変化自在な収納部材と、を有する。
【0009】
カバー部材が第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化されると、収納部材は自重によって第4姿勢から第3姿勢に姿勢変化される。これにより、ケーシングの下側に、収納部材の開口が露出される。画像読取装置のユーザは露出された開口に薄板部材を挿入することができる。つまり、本構成によれば、画像読取装置のユーザは、カバー部材を第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化させる簡易な操作のみで、画像読取装置の状態を、薄板部材を収納部材に収納可能な状態とすることができる。つまり、本構成によれは、薄板部材を装置内に収納するための操作性を良好にすることができる。
【0010】
(2) 上記収納部材は、上記ケーシングと係合可能な第1係合部を備えている。上記ケーシングは、上記第1係合部を上下方向に摺動可能であって、上記第3姿勢の上記収納部材の上記第1係合部と係合可能な第1被係合部を備えている。上記カバー部材が上記第1姿勢において、上記第1係合部と上記第1被係合部とが係合して、上記収納部材は上記第3姿勢を維持し、上記カバー部材が上記第2姿勢において、上記原稿載置台と上記収納部材とが当接して、上記収納部材は上記第4姿勢を維持する。
【0011】
本構成によれば、第1係合部は上下方向に摺動する。これにより、カバー部材が第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化された場合に、収納部材は自重によって第4姿勢から第3姿勢に姿勢変化可能である。また、カバー部材が第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化された場合、収納部材は原稿載置台の上面に押されることによって第3姿勢から第4姿勢に姿勢変化される。つまり、本構成は、上記(1)の作用及び効果を実現するための好適な構成である。
【0012】
(3) 上記収納部材は、上記第1係合部よりも上記開口から離間した位置において上記ケーシングと係合可能な第2係合部を備えている。上記ケーシングは、上記第2係合部を上下方向に摺動可能であって、上記第3姿勢の上記収納部材の上記第2係合部と係合可能な第2被係合部を備えている。上記カバー部材が上記第3姿勢から上記第4姿勢に姿勢変化する場合における、上記第1係合部及び上記第2係合部の摺動量は、上記第1係合部の摺動量が上記第2係合部の摺動量よりも大きい。
【0013】
本構成によれば、第1係合部の摺動量は第2係合部の摺動量よりも大きい。これにより、収納部材は、開口から離間した側を軸として回動する。これにより、カバー部材が第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化された場合に、収納部材は自重によって第4姿勢から第3姿勢に姿勢変化される。つまり、本構成は、上記(1)の作用及び効果を実現するための好適な構成である。
【0014】
(4) 上記第1係合部及び上記第2係合部は、上記薄板部材の上記開口への挿入向きに沿って延びた側面であって、上記薄板部材の側端をガイド可能な側面に設けられいてもよい。このような構成も、上記(3)と同様に、上記(1)の作用及び効果を実現するための好適な構成である。
【0015】
(5) 上記収納部材において上記開口が形成された側端部は、上記ケーシングの側面と上記薄板部材の上記開口への挿入向きにおいて間隔を空けて設けられている。
【0016】
本構成によれば、薄板部材は、収納部材に収納された状態で、その一部が開口から突出されることが可能である。これにより、画像読取装置のユーザは、薄板部材の突出された部分を摘むことによって、薄板部材を収納部材から容易に取り出すことができる。
【0017】
(6) 上記カバー部材は、上記開口に対して上記薄板部材の上記開口への挿入向きとは反対側を軸として上記原稿載置台に回動可能に設けられている。上記カバー部材が上記第1姿勢において、上記第3姿勢の上記収納部材に収納された上記薄板部材の上記挿入向き先端部は、上記ケーシングの側面部によって支持される。
【0018】
本構成によれば、カバー部材が第1姿勢のときに、薄板部材は、収納部材によって支持されるとともに、ケーシングによっても支持される。これにより、薄板部材は、収納部材の内部において安定して保持される。そのため、薄板部材が変形する可能性を低くすることができる。
【0019】
(7) 上記ケーシングには、上記開口が形成されている側面と同じ側に、上記カバー部材を姿勢変化させるために把持される把持部が形成されている。
【0020】
把持部と開口が異なる側に形成されている場合、画像読取装置のユーザは、把持部を把持してカバー部材を姿勢変化させた後、薄板部材を開口から挿入するために、立ち位置をかえたり、薄板部材を持つ手を動かしたりする動作をする必要がある。しかし、本構成によれば、把持部と開口が同じ側に形成されている。よって、画像読取装置のユーザは、把持部を把持してカバー部材を姿勢変化させた後、上記よりも少ない動作で薄板部材を収納部材に収納したり、薄板部材を収納部材から取り出したりすることができる。
【0021】
(8) 上記ケーシングは、上記収納部材が設けられていない領域に、上記読取部による画像の読み取り位置まで用紙を搬送する搬送装置を備えていてもよい。
【0022】
(9) 本発明の画像記録装置は、上記画像読取装置と、上記画像読取装置によって読み取られた上記原稿の画像を被記録媒体に記録する記録部と、を備えている。上記薄板部材は、上記記録部によって画像が記録される被記録媒体を載置可能なトレイである。上記トレイの挿入向きの先端部及び後端部の上面及び下面の少なくとも1面には、凹部が設けられている。
【0023】
近年の画像記録装置の多くは、CDやDVDなど剛性の高い被記録媒体に画像を記録可能である。一般に、剛性の高い被記録媒体に画像記録が行われる際、当該被記録媒体は薄板形状のトレイにセットされる。当該トレイは、画像記録装置とは別個の物体であり、紛失し易い。つまり、本構成は、上記(1)乃至(6)の作用及び効果を実現するための好適な構成である。
【0024】
また、本構成によれば、トレイの挿入向きの先端部及び後端部の上面及び下面の少なくとも1面には、凹部が設けられている。よって、トレイが、先端部を先頭として収納部材に挿入された場合はもちろん、後端部を先頭として収納部材に挿入された場合であっても、画像記録装置のユーザは、収納部材に収納されたトレイを、凹部を掴むことによって容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、画像記録装置のユーザは、カバー部材を第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化させる簡易な操作のみで、画像記録装置の状態を、薄板部材を装置内に収納可能な状態とすることができる。つまり、本発明においては、画像読取或いは画像記録に使用される薄板部材を、当該薄板部材が使用される装置内に収納することができ、しかも当該収納に必要なユーザの操作が必要最小限で済む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10が示されており、(A)は外観斜視図であり、(B)は縦断面図である。
【図2】図2は、メディアトレイ71の平面図である。
【図3】図3は、複合機10の平面図である。
【図4】図4は、メディアトレイ71が収納されていない状態で原稿カバー24が開かれた複合機10が示されており、(A)は外観斜視図であり、(B)は縦断面図である。
【図5】図5は、メディアトレイ71が収納されている状態で原稿カバー24が開かれた複合機10が示されており、(A)は外観斜視図であり、(B)は縦断面図である。
【図6】図6は、原稿カバー24が最大限開かれた複合機10の外観斜視図である。
【図7】図7は、収納部材28の外観斜視図である。
【図8】図8は、原稿カバー24の縦断面図であり、(A)には収納部材28が没入姿勢である状態が示されており、(B)には収納部材28が露出姿勢である状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1(A)の状態)を基準として上下方向7が定義され、本体開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0028】
[複合機10]
図1に示されるように、複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されている。複合機10は、その上部に、記録用紙などの原稿(本発明の原稿の一例)に記録された画像をイメージセンサ(不図示、本発明の読取部の一例)によって読み取って画像データを取得するスキャナ部12(本発明の画像読取装置の一例)を備えている。また、複合機10は、その下部に、上記画像データなどに基づいて、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア(不図示、本発明の被記録媒体の一例)の盤面上に画像を記録するプリンタ部11(本発明の画像記録装置の一例)を備えている。複合機10は、正面に本体開口13が形成された筐体14を有している。給紙トレイ20及び排紙トレイ21が、本体開口13から前後方向8に挿抜可能である。給紙トレイ20には、所望のサイズの記録用紙が載置される。
【0029】
[プリンタ部11]
プリンタ部11は、記録メディアが載置されたメディアトレイ71(図2参照、本発明の薄板部材の一例であり、且つ本発明の薄板部材の一例であるトレイに相当)が通過する搬送路(不図示)と、搬送路に設けられており、メディアトレイ71を搬送する少なくとも一つのローラ対(不図示)と、外部機器から受信した画像データ、或いはスキャナ部12によって原稿から読み取られた画像データなどに基づいて、記録メディア(不図示、本発明の被記録媒体の一例)の盤面上に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部(不図示、本発明の記録部の一例)と、を備えている。なお、記録部は、インクジェット記録方式に限らず、例えば電子写真方式であってもよい。
【0030】
[メディアトレイ]
図2に示されるように、メディアトレイ71は薄板形状の樹脂板である。メディアトレイ71は、上面72を上側にして本体開口13から後向きに複合機10に挿入される。メディアトレイ71は、ローラ対によって、本体開口13から搬送路に沿って搬送される。なお、図2においては、メディアトレイ71が本体開口13から複合機10に挿入された状態で、前後方向8及び左右方向9が定義される。
【0031】
メディアトレイ71の上面72側には、記録メディアを載置可能なメディア載置部70が形成されている。メディア載置部70は、円形状の凹みである。当該凹みの直径は、載置される記録メディア(円形のCD−ROMやDVD−ROMなど)の直径と同一または少しだけ大きい。また、円形の嵌合部73が、当該凹みの中央部から上側に突出して形成されている。円形のCD−ROMやDVD−ROMなどには、通常、中央部分に円形の孔が設けられている。嵌合部73は、当該孔と略同一の大きさであり、当該孔と嵌合する。これにより、記録メディアがメディア載置部70に載置された場合に、記録メディアは前後方向8及び左右方向9にずれない。
【0032】
メディアトレイ71の上面72の前端部及び後端部には、上面72から下面側に凹んだ凹部74(本発明の凹部の一例)が形成されている。本実施形態において、凹部74は、メディアトレイ71の左右方向9における中央部に形成されている。なお、凹部74は、メディアトレイ71の下面の前端部及び後端部に形成されていてもよい。この場合、凹部74は、下面から上面側に凹んでいる。また、凹部74は、メディアトレイ71の上面72及び下面の双方に形成されていてもよい。つまり、凹部74は、メディアトレイ71の上面72または下面の少なくとも一方に形成されている。
【0033】
[搬送路]
搬送路は、本体開口13から後向きに延設された直線状の通路である。搬送路は、所定間隔を隔てて互いに対向する2つのガイド部材(不図示)によって上下方向7の空間が区画されることにより形成されている。
【0034】
[ローラ対]
ローラ対は、搬送路の上側に配置された上側ローラ(不図示)と、搬送路の下側に上側ローラに対向して配置された下側ローラとを備えている。ローラ対は、メディアトレイ71を挟持して、メディアトレイ71を搬送路に沿って前後方向8に搬送する。
【0035】
[記録部]
記録部は、搬送路の上側に配置されている。記録部は、搬送路に対向可能な位置に設けられた記録ヘッド(不図示)と、記録ヘッドを搭載したキャリッジ(不図示)とを備えている。記録ヘッドには、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインクを搬送路に向けて吐出するための複数のノズルが形成されている。キャリッジは、左右方向9に往復移動可能に構成されている。キャリッジが左右方向9へ往復移動されながら、インクがノズルから搬送路に沿って搬送される記録メディアに吐出される。これにより、記録メディアに画像が記録される。
【0036】
[スキャナ部12]
図6に示されるように、スキャナ部12は、フラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)として機能する原稿台22(本発明の原稿載置台の一例)を備える。原稿台22は、原稿が載置されるプラテンガラス23(本発明の透明部材の一例)を有している。FBSを用いて読み取られる原稿は、プラテンガラス23に載置される。
【0037】
スキャナ部12には、原稿台22の上側に配置されており、プラテンガラス23を覆うように原稿台22に対して開閉自在な原稿カバー24(本発明のカバー部材の一例)が設けられている。原稿カバー24は、原稿台22の背面側の蝶番25を介して原稿台22と連結されている。
【0038】
原稿台22の上面には、原稿が載置されるプラテンガラス23が設けられている。プラテンガラス23は、1枚の透明なガラス板やアクリル板などからなる透過板である。原稿台22の内部、つまりプラテンガラス23の下側には、イメージセンサが設けられている。プラテンガラス23に載置された原稿の画像は、イメージセンサによって読み取られる。
【0039】
図1、図4、及び図6に示されるように、原稿カバー24は、原稿台22に開閉自在に設けられている。原稿カバー24は、原稿台22に対して閉じられる閉姿勢(図1参照、本発明の第2姿勢に相当)、及び原稿台22に対して開かれる開姿勢(図4及び図6参照、本発明の第1姿勢に相当)の間で姿勢変化可能である。例えば、原稿カバー24は、蝶番25を軸として矢印16(図4(B)参照)の方向に回動することによって、姿勢変化される。
【0040】
図1に示されるように、原稿カバー24が閉姿勢をとると、プラテンガラス23は原稿カバー24に覆われる。図4及び図6に示されるように、原稿カバー24が開姿勢をとると、プラテンガラス23の上面が開放される。つまり、プラテンガラス23が露出される。この状態で、ユーザは、原稿の読取面が下向きとなるようにプラテンガラス23に原稿を載置する。原稿カバー24の下面(詳細には後述される収納部材28の下面)には、プラテンガラス23を覆うように原稿押さえ26(図6参照)が設けられている。原稿押さえ26は、プラテンガラス23上に載置された原稿を押さえるために、スポンジ及び白板等から構成されている。原稿カバー24が閉じられると、プラテンガラス23に載置された原稿は、原稿カバー24により原稿押さえ26を介してプラテンガラス23へ向けて押圧される。この状態で、イメージセンサがプラテンガラス23に沿って走査され、原稿の画像読み取りが行われる。
【0041】
図1及び図6に示されるように、原稿カバー24のケーシング27(本発明のケーシングの一例)には、ADF(Auto Document Feeder)19(本発明の搬送装置の一例)が設けられている。ADF19は、ケーシング27において、後述される収納部材28が設けられていない領域に設けられている。換言すると、ADF19は、ケーシング27の内部空間のうち、収納部材28が配置されている空間以外の空間に設けられている。ADF19は、原稿カバー24が閉じられた状態で使用される。ADF19は、原稿カバー24の上板29の一部を上方に回動させることによって露出される原稿搬送口(不図示)から挿入された原稿を、原稿カバー24の内部に形成された原稿搬送路(不図示)に沿って、原稿台22の上面に形成されたイメージセンサによる画像の読み取り位置18(図6参照、本発明の読み取り位置に相当)へ搬送するものである。なお、原稿は、搬送ローラ17(図6参照)によって原稿搬送路に沿って搬送される。ADF19により搬送される原稿の読み取りが行われる場合、後述するCIS(不図示)が読み取り位置18の下方に待機する。この状態で、原稿が上記原稿搬送路に沿って搬送される。その過程でイメージセンサによる原稿の読取動作が行われる。
【0042】
原稿台22の内部にイメージセンサが配置されている。イメージセンサは、プラテンガラス23を介して原稿の画像を読取る。イメージセンサは、CIS、キャリッジ、及び走査機構から構成されている。CISは、光源、レンズ、及び受光素子を備える。CISは、光源から原稿へ時分割に光を照射して原稿からの反射光を読み取る。具体的には、CISは、光源からプラテンガラス23を介して原稿に光を照射し、当該原稿からの反射光をレンズにより受光素子に集光して電気信号(画像信号)に変換する。受光素子は、例えばチップ単位で原稿の主走査方向(前後方向8)に並べて配置されている。光源及びレンズは、受光素子と同方向に配列されている。本実施形態において、光源は、レッド(R)・グリーン(G)・ブルー(B)の3色の発光素子(発光ダイオード:LED)を備えている。CISは、これら3色の発光素子を順に点灯させて原稿へ時分割に光を照射し、原稿からの反射光を原稿のカラー画像として読み取る。このように構成されたCISは、プラテンガラス23に沿って原稿の副走査方向(左右方向9)へ往復動するキャリッジに搭載されている。キャリッジの移動により、CISがプラテンガラス23上の原稿に対して相対的に移動される。
【0043】
[原稿カバー24]
図3〜図5、及び図8に示されるように、原稿カバー24は、ケーシング27と、ケーシング27に取り付けられており、内部にメディアトレイ71を収納可能な収納部材28(本発明の収納部材の一例)とを備えている。
【0044】
[ケーシング27]
図3〜図5、及び図8に示されるように、ケーシング27は、下側が開放された概ね薄型の直方体に形成されている。ケーシング27は、上板29と、上板29の下面から概ね下向きに立設された複数の側板とを備えている。本実施形態において、複数の側板は、上板29の前端において左右方向9に沿って概ね下向きに立設された前側板30、上板29の右端において前後方向8に沿って概ね下向きに立設された右側板31、上板29の左端において前後方向8に沿って概ね下向きに立設された左側板32、及び上板29の後端において左右方向9に沿って概ね下向きに立設された後側板33である。前側板30の右端は、右側板31の前端と接合されている。前側板30の左端は、左側板32の前端と接合されている。後側板33の右端は、右側板31の後端と接合されている。後側板33の左端は、左側板32の後端と接合されている。
【0045】
図1(A)に示される状態において、ケーシング27の上板29の左右方向9の長さは、メディアトレイ71(図2参照)の左右方向9の長さよりも長い。また、ケーシング27の上板29の前後方向8の長さは、メディアトレイ71の前後方向8の長さよりも長い。また、ケーシング27の各側板30、31、32、33の上下方向7の長さは、メディアトレイ71の上下方向7の長さよりも長い。つまり、ケーシング27は、メディアトレイ71よりも大きく構成されている。
【0046】
図3〜図5に示されるように、ケーシング27の前側板30には、前側板30から概ね後向きに凹んだ把持部34(本発明の把持部の一例)が形成されている。把持部34は、左右方向9において、前側板30の中央部に形成されている。また、把持部34は、上下方向7において、前側板30の中央から下端までに亘って形成されている。複合機10のユーザは、原稿カバー24を閉姿勢及び開姿勢の間で姿勢変化させる際に、把持部34に手を入れることによって、原稿カバー24を把持する。これにより、上記姿勢変化が容易に実行可能となる。
【0047】
[収納部材28]
図1(B)、図4〜図6、及び図8に示されるように、収納部材28が、ケーシング27の下側、詳細にはケーシング27の上板29の下面側に取り付けられている。
【0048】
図7には、収納部材28がケーシング27から取り外された状態が示されている。なお、図7においては、収納部材28が、原稿カバー24が閉姿勢の状態で、ケーシング27に取り付けられた状態であるとして、上下方向7、前後方向8、及び左右方向9が定義される。
【0049】
図7に示されるように、収納部材28は、底板35と、底板35の上面から上向きに立設された複数の立設板とを備えている。本実施形態において、複数の立設板は、底板35の右端において前後方向8に沿って上向きに立設された第1立設板36、底板35の左右方向9における中央やや左において前後方向8に沿って上向きに立設された第2立設板37、底板35の前端において左右方向9に沿って上向きに立設された第3立設板38、及び底板35の後端において左右方向9に沿って上向きに立設された第4立設板39である。第3立設板38及び第4立設板39は、第2立設板37よりも左側に形成されている。なお、図7において、第2立設板37及び第4立設板39が複数形成されているが、第2立設板37及び第4立設板39は1つであってもよい。
【0050】
第1立設板36の前端近傍及び前後方向8における中央部には、第1立設板36の上端近傍から左向きに突設された突起49が形成されている。また、第2立設板37の前端には、第2立設板37の上端近傍から右向きに突設された突起50が形成されている。
【0051】
第1立設板36の前端近傍には、第1立設板36の上端から立設された鉤爪状の第1係合部40(本発明の第1係合部の一例)が形成されている。また、第1立設板36の後端近傍には、第1立設板36の上端から立設された鉤爪状の第2係合部41(本発明の第2係合部の一例)が形成されている。換言すると、第2係合部41は、第1係合部40よりも後述される開口48(図4参照)から離間した位置に形成されている。また、第3立設板38の右端近傍及び左右方向9における中央やや左には、第3立設板38の上端から立設された鉤爪状の第3係合部42(本発明の第1係合部の一例)が形成されている。また、第4立設板39の左右方向9における中央付近には、第4立設板39の上端から立設された鉤爪状の第4係合部43(本発明の第2係合部の一例)が形成されている。
【0052】
[収納部材28のケーシング27への取り付け]
図6及び図8に示されるように、ケーシング27の右側板31の左側には、上板29から右側板31と平行に立設された第2右側板44が形成されている。第2右側板44の前端近傍には、第1前側開口45(本発明の第1被係合部の一例)が形成されている。第2右側板44の後端近傍には、第1後側開口46(本発明の第2被係合部の一例)が形成されている。また、ケーシング27の前側板30の左後側には、上板29から前側板30と平行に立設された第2前側板(不図示)が形成されている。第2前側板には、第2前側開口(不図示、本発明の第1被係合部の一例)が形成されている。ケーシング27の後側板33の左前側には、上板29から後側板33と平行に立設された第2後側板(不図示)が形成されている。第2後側板には、第2後側開口(不図示、本発明の第2被係合部の一例)が形成されている。
【0053】
そして、図8に示されるように、第1係合部40が第1前側開口45に挿通され、第2係合部41が第1後側開口46に挿通される。また、第3係合部42が第2前側開口に挿通され、第4係合部43が第2後側開口に挿通される。これにより、図1(B)、図4〜図6、及び図8に示されるように、収納部材28がケーシング27に取り付けられる。
【0054】
[収納部材28へのメディアトレイ71の収納]
収納部材28がケーシング27に取り付けられた状態においては、収納部材28の底板35、第1立設板36、及び第2立設板37(図7参照)と、ケーシング27の上板29(図3参照)の下面によって、空間(本発明の空間に相当)が区画される。また、図4及び図8に示されるように、当該空間への開口48(本発明の開口に相当)が形成される。開口48は、複合機10の前側に形成される。つまり、開口48は、ケーシング27の把持部34(図4参照)が形成されている側面である前側板30と同じ側に形成されている。
【0055】
ここで、第1立設板36及び第2立設板37(図7参照)の左右方向9の距離は、メディアトレイ71(図2参照)の左右方向9の長さと同じまたは若干大きい。また、突起49、50の下端と底板35との距離(図7参照)は、メディアトレイ71の厚さ、つまり上下方向7の長さと同じまたは若干大きい。これにより、メディアトレイ71は、収納部材28に対して、開口48から挿抜可能である。
【0056】
また、収納部材28がケーシング27に取り付けられた状態において、ケーシング27の後側板33(本発明のケーシング27の側面部の一例)は、収納部材28の底板35(図7参照)の後端近傍に位置する。これにより、開口48から収納部材28に挿入されたメディアトレイ71の当該挿入の向きの先端部は、後側板33に当接する。この状態において、原稿カバー24が開姿勢(図4参照)に姿勢変化されると、メディアトレイ71は、その先端を後側板33に支持され、その下面を底板35に支持された状態となる。
【0057】
また、底板35の前後方向8の長さは、メディアトレイ71の前後方向8の長さよりも若干短い。また、図8(A)に示されるように、収納部材28がケーシング27に取り付けられた状態において、収納部材28の前端部(底板35の前端及び第3立設板38の前面、本発明の側端部に相当)とケーシング27の前側板30との間には、メディアトレイ71が収納部材28に挿入される向きに、間隔A(本発明の間隔に相当)が形成される。以上より、図8に示されるように、メディアトレイ71が収納部材28に収納された状態において、メディアトレイ71の後端部分が開口48から前側に突出する。
【0058】
[収納部材28の回動]
図8に示されるように、収納部材28がケーシング27に取り付けられた状態において、第1係合部40及び第2係合部41は、第1前側開口45及び第1後側開口46に沿って摺動される。また、第3係合部42及び第4係合部43は、第2前側開口及び第2後側開口に沿って摺動される。また、第1前側開口45及び第2前側開口は、第1後側開口46及び第2後側開口よりも上下方向7に長い。これにより、第1係合部40及び第3係合部42の摺動量は、第2係合部41及び第4係合部43の摺動量よりも大きくなる。その結果、図8(A)に示されるように、ケーシング27に取り付けられた収納部材28は、矢印47の方向に回動可能となる。
【0059】
なお、第1係合部40及び第2係合部41が形成されている第1立設板36は、メディアトレイ71の開口48への挿入向きに沿って延びた側面であって、メディアトレイ71の側端をガイド可能な側面に相当する。つまり、第1係合部40及び第2係合部41は、当該側面に備えられている。
【0060】
原稿カバー24が、閉姿勢(図1及び図8(A)参照)から開姿勢(図4、図5、及び図8(B)参照)に姿勢変化される場合、収納部材28の各係合部40〜43は、自重によって、第1前側開口45、第1後側開口46、第2前側開口、及び第2後側開口に沿って下方へ摺動される。その結果、各係合部40〜43は、第1前側開口45、第1後側開口46、第2前側開口、及び第2後側開口の下端において、第2右側板44、第2前側板、及び第2後側板と当接する。換言すると、各係合部40〜43と、第2右側板44、第2前側板、及び第2後側板とは、互いに係合される。
【0061】
つまり、図8(A)に示されるように、収納部材28は、矢印51の向きに回動される。その結果、図8(B)に示されるように、収納部材28は、露出姿勢(本発明の第3姿勢に相当)の状態となる。
【0062】
図4、図5、及び図8(B)に示されるように、収納部材28が露出姿勢である場合、収納部材28は、ケーシング27の前側板30、右側板31、左側板32、第2右側板44、及び第2前側板(以上の5つが本発明のケーシングの側面の一例)よりもケーシング27の下面側に突出する。これにより、収納部材28の開口48が露出される。以上より、原稿カバー24が開姿勢において、第1係合部40と第1前側開口45とが係合して、収納部材28は露出姿勢を維持する。
【0063】
原稿カバー24が開姿勢(図4、図5、及び図8(B)参照)から閉姿勢(図1及び図8(A)参照)に姿勢変化されると、原稿カバー24の下面が原稿台22の上面に当接した状態となる。以下に詳述する。原稿カバー24が下方に回動されると、最初に、収納部材28の下面に設けられた原稿押さえ26が、原稿台22の上面に露出されているプラテンガラス23に当接する。これ以降、原稿カバー24が下方に回動されても、収納部材28は回動されず、ケーシング27のみが回動される。そして、ケーシング27が更に下方に回動されると、第1前側開口45、第1後側開口46、第2前側開口、及び第2後側開口が、収納部材28の各係合部40〜43に対して摺動する。当該摺動は、ケーシング27の下端(詳細にはケーシング27の各側板30〜33の下端)が原稿台22の上面に当接するまで、つまり原稿カバー24が閉姿勢の状態となるまで、換言すると図1に示される状態となるまで継続される。
【0064】
その結果、図8(A)に示されるように、収納部材28は、没入姿勢(本発明の第4姿勢に相当)の状態となる。
【0065】
図1(B)及び図8(A)に示されるように、収納部材28が没入姿勢である場合、収納部材28は、ケーシング27の開放された下面側からケーシング27の内部空間に入り込んでいる。つまり、収納部材28に形成された開口48は、ケーシング27に没入されている。以上より、原稿カバー24が閉姿勢において、原稿台22と収納部材28とが当接して、収納部材28は没入姿勢を維持する。
【0066】
なお、本実施形態においては、原稿カバー24が閉姿勢である状態において、収納部材28の各係合部40〜43は、第1前側開口45、第1後側開口46、第2前側開口、及び第2後側開口の上端に達していない。これにより、厚みのある原稿がプラテンガラス23に載置された場合に、ケーシング27が原稿台22の上面に当接した状態を維持しつつ、収納部材28は、プラテンガラス23に載置された原稿の厚み分だけ上方に回動可能となる。
【0067】
[実施形態の効果]
原稿カバー24が閉姿勢から開姿勢に姿勢変化されると、収納部材28は自重によって没入姿勢から露出姿勢に姿勢変化される。これにより、ケーシング27の下側に、収納部材28の開口48が露出される。複合機10のユーザは露出された開口48にメディアトレイ71を挿入することができる。つまり、本実施形態によれば、複合機10のユーザは、原稿カバー24を閉姿勢から開姿勢に姿勢変化させる簡易な操作のみで、複合機10の状態を、メディアトレイ71を収納部材28に収納可能な状態とすることができる。つまり、本実施形態によれは、メディアトレイ71を複合機10の内部に収納するための操作性を良好にすることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、第1係合部40は上下方向7に摺動する。これにより、原稿カバー24が閉姿勢から開姿勢に姿勢変化された場合に、収納部材28は自重によって没入姿勢から露出姿勢に姿勢変化可能である。また、原稿カバー24が開姿勢から閉姿勢に姿勢変化された場合、収納部材28は原稿台22の上面に押されることによって露出姿勢から没入姿勢に姿勢変化可能である。
【0069】
また、本実施形態によれば、第1係合部40の摺動量は第2係合部41の摺動量よりも大きい。これにより、収納部材28は、開口48から離間した側を軸として回動する。これにより、原稿カバー24が閉姿勢から開姿勢に姿勢変化された場合に、収納部材28は自重によって没入姿勢から露出姿勢に姿勢変化可能である。
【0070】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71は、収納部材28に収納された状態で、その一部が開口48から突出されることが可能である。これにより、複合機10のユーザは、メディアトレイ71の突出された部分を摘むことによって、メディアトレイ71を収納部材28から容易に取り出すことができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、原稿カバー24が開姿勢のときに、メディアトレイ71は、収納部材28によって支持されるとともに、ケーシング27によっても支持される。これにより、メディアトレイ71は、収納部材28の内部において安定して保持される。そのため、メディアトレイ71が変形する可能性を低くすることができる。
【0072】
把持部34と開口48が異なる側に形成されている場合、複合機10のユーザは、把持部34を把持して原稿カバー24を姿勢変化させた後、メディアトレイ71を開口48から挿入するために、立ち位置をかえたり、メディアトレイ71を持つ手を動かしたりする動作をする必要がある。しかし、本実施形態によれば、把持部34と開口48が同じ側に形成されている。よって、複合機10のユーザは、把持部34を把持して原稿カバー24を姿勢変化させた後、上記よりも少ない動作でメディアトレイ71を収納部材28に収納したり、メディアトレイ71を収納部材28から取り出したりすることができる。
【0073】
近年の複合機10の多くは、CDやDVDなど剛性の高い被記録媒体に画像を記録可能である。一般に、剛性の高い被記録媒体に画像記録が行われる際、当該被記録媒体はメディアトレイ71にセットされる。メディアトレイ71は、複合機10とは別個の物体であり、紛失し易い。しかし、本実施形態によれば、メディアトレイ71を収納部材28に収納することによって、上記紛失の可能性を低くすることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71の挿入向きの先端部及び後端部の上面には、凹部74が設けられている。よって、メディアトレイ71が、先端部を先頭として収納部材28に挿入された場合はもちろん、後端部を先頭として収納部材28に挿入された場合であっても、複合機10のユーザは、収納部材28に収納されたメディアトレイ71を、凹部74を掴むことによって容易に取り出すことができる。
【0075】
[実施形態の変形例1]
収納部材28を回動させるための複合機10の構成は、上述の実施形態において説明した構成に限らない。例えば、第1後側開口46が円形孔であり、第2係合部41が当該円形孔に挿通可能な円形の突起であってもよい。これにより、収納部材28は、当該円形の突起を中心軸として回動可能となる。
【0076】
[実施形態の変形例2]
上述の実施形態においては、収納部材28は回動することによって姿勢変化した。しかし、収納部材28は回動以外によって姿勢変化してもよい。例えば、収納部材28は、ケーシング27の上板29の下面と直交する方向に移動することによって、姿勢変化してもよい。このような姿勢変化は、例えば、第1係合部40及び第3係合部42の摺動量が第2係合部41及び第4係合部43の摺動量と同じにされることによって、実現可能である。
【0077】
[実施形態の変形例3]
上述の実施形態のおいては、メディアトレイ71が収納部材28に収納される構成が説明された。しかし、収納部材28に収納される部材は、メディアトレイ71に限らない。例えば、収納部材28に収納される部材は、フィルムホルダであってもよい。ここで、フィルムホルダは、薄板形状であり、フィルムなどの透過原稿がセットされるものである。当該透過原稿がセットされたフィルムホルダは、プラテンガラス23に載置される。その状態において、透過原稿がイメージセンサによって読み取られる。つまり、変形例3におけるフィルムホルダも、メディアトレイ71と同様に、本発明の薄板部材の一例である。
【0078】
[実施形態の変形例4]
上述の実施形態のおいては、開口48及び把持部34が複合機10の前側に形成された構成が説明されたが、開口48及び把持部34は複合機10の前側以外に設けられてもいてもよい。例えば、開口48及び把持部34は、複合機10の左側または右側に形成されてもよい。また、開口48及び把持部34は異なる側に形成されていてもよい。例えば、把持部34が複合機10の左側に設けられ、その一方で、開口48が複合機10の前側において露出されるように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0079】
11・・・プリンタ部
12・・・スキャナ部
19・・・ADF
22・・・原稿台
23・・・プラテンガラス
24・・・原稿カバー
27・・・ケーシング
28・・・収納部材
34・・・把持部
40・・・第1係合部
41・・・第2係合部
45・・・第1前側開口
46・・・第2前側開口
48・・・開口
71・・・メディアトレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に原稿が載置される透明部材が設けられた原稿載置台と、
上記原稿載置台に設けられており、上記透明部材を介して原稿の画像読取りを行う読取部と、
上記原稿載置台に設けられており、上記透明部材を露出する第1姿勢、及び上記透明部材を覆う第2姿勢の間で姿勢変化可能なカバー部材と、を備えており、
上記カバー部材は、
ケーシングと、
上記第2姿勢における上記ケーシングの下面側に設けられており、上記ケーシングの側面よりも下面側に突出して薄板部材を収納可能な空間の開口が露出される第3姿勢、及び当該開口が上記ケーシングに没入される第4姿勢に姿勢変化自在な収納部材と、を有する画像読取装置。
【請求項2】
上記収納部材は、
上記ケーシングと係合可能な第1係合部を備え、
上記ケーシングは、
上記第1係合部を上下方向に摺動可能であって、上記第3姿勢の上記収納部材の上記第1係合部と係合可能な第1被係合部を備え、
上記カバー部材が上記第1姿勢において、上記第1係合部と上記第1被係合部とが係合して、上記収納部材は上記第3姿勢を維持し、上記カバー部材が上記第2姿勢において、上記原稿載置台と上記収納部材とが当接して、上記収納部材は上記第4姿勢を維持する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記収納部材は、
上記第1係合部よりも上記開口から離間した位置において上記ケーシングと係合可能な第2係合部を備え、
上記ケーシングは、
上記第2係合部を上下方向に摺動可能であって、上記第3姿勢の上記収納部材の上記第2係合部と係合可能な第2被係合部を備え、
上記カバー部材が上記第3姿勢から上記第4姿勢に姿勢変化する場合における、上記第1係合部及び上記第2係合部の摺動量は、上記第1係合部の摺動量が上記第2係合部の摺動量よりも大きい請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記第1係合部及び上記第2係合部は、上記薄板部材の上記開口への挿入向きに沿って延びた側面であって、上記薄板部材の側端をガイド可能な側面に設けられた請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
上記収納部材において上記開口が形成された側端部は、上記ケーシングの側面と上記薄板部材の上記開口への挿入向きにおいて間隔を空けて設けられている請求項1から4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
上記カバー部材は、上記開口に対して上記薄板部材の上記開口への挿入向きとは反対側を軸として上記原稿載置台に回動可能に設けられており、
上記カバー部材が上記第1姿勢において、上記第3姿勢の上記収納部材に収納された上記薄板部材の上記挿入向き先端部は、上記ケーシングの側面部によって支持される請求項1から5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
上記ケーシングには、上記開口が形成されている側面と同じ側に、上記カバー部材を姿勢変化させるために把持される把持部が形成されている請求項1から6のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項8】
上記ケーシングは、上記収納部材が設けられていない領域に、上記読取部による画像の読み取り位置まで用紙を搬送する搬送装置を備えている請求項1から7のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の画像読取装置と、
上記画像読取装置によって読み取られた上記原稿の画像を被記録媒体に記録する記録部と、を備え、
上記薄板部材は、上記記録部によって画像が記録される被記録媒体を載置可能なトレイであって、
上記トレイの挿入向きの先端部及び後端部の上面及び下面の少なくとも1面には、凹部が設けられている画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−151703(P2012−151703A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9423(P2011−9423)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】