説明

画像読取装置

【課題】 原稿の両面を片面づつ読み取り、この読取によって得られた画像データを他の装置に送信する場合、画像データが送信される装置が画像データのページ番号を認識することができるようにする画像読取装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像読取装置は、全ての原稿の一方の面を読み取ってから他方の面を読み取って、全ての原稿の両面の画像データを得る画像読取手段と、上記画像読取手段が読み取った原稿の枚数を検知する枚数検知手段と、得られた順番と検知された枚数に基いて、上記画像データのページ番号を決定するページ番号決定手段と、上記ページ番号決定手段が決定したページ番号に基いて上記画像データのファイル名を作成するファイル名作成手段と、上記画像データと上記ファイル名を対応付けて送信する送信手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の片面のみを読み取る機構を備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿の両面を読み取ることが可能な画像読取装置が商品化されている。両面読取可能な画像読取装置は、原稿の両面を走査できるように、原稿の搬送路の上下に原稿を走査するための読取部が備えられていたり、原稿を反転する機構を備えるものがある。しかし、両面読取可能な画像読取装置は上記の機構が必要なため高価である。
【0003】
両面読取可能な画像読取装置に比べて、片面のみ読み取ることができる画像読取装置は安価であるが、片面読取の画像読取装置は、読み取って得た画像データから順番にページ番号を付していくために、複数枚の原稿の両面を読み取る場合、1枚目の表面、1枚目の裏面、2枚目の表面、2枚目の裏面…の順で原稿の読み取りを行う必要がある。この順番での読み取りは原稿を手作業で裏返す作業が必要であるために、片面読取の画像読取装置で、複数枚の原稿の両面を読み取る作業にADF(Auto Document Feeder)を利用することができないという問題がある。
【0004】
裏返し作業をせずに、片面読取の画像読取装置のADFを用いて原稿の両面を読み取ることに関する記述が特開2003−78732号公報に記載されている。
【0005】
この公報に記述された方法は、まず、3枚の原稿を重ねてADFに載置して、3枚の原稿の一方の読み取りを行い、排紙トレイに3枚の原稿が排紙されると、この3枚の原稿をそのままADFに載置して、3枚の原稿の他方の面のみの読み取りを行う。
【0006】
上記公報に記述された方法では、原稿の各ページの画像データを予め定められた規則に従った領域に記憶し、プリンタは記憶された領域から画像データのページ番号を認識できるになっており、プリンタは、画像データをページ番号順に印刷することができるようになっている。
【特許文献1】特開2003−78732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記公報に記載の方法では、画像データをページ番号順に印刷するために、画像データを記憶する領域の規則を解釈できる手段が印刷装置に必要となる。
【0008】
本発明は、所定の規則に沿って画像データが記憶されなくても、読み取られた画像データを受け取った装置が画像データのページ番号を認識できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像読取装置は、全ての原稿の一方の面を読み取ってから他方の面を読み取る画像読取手段と、上記画像読取手段が読み取った原稿の枚数を検知する枚数検知手段を備える。画像読取装置は、上記画像読取手段にて得られた順番と検知された原稿の枚数に基いて、上記画像データのページ番号を決定するページ番号決定手段を備える。
【0010】
画像読取手段にて得られた順番と、原稿の枚数に基いて、ページ番号を決定することで、原稿がページ番号順に読み取られなくても、画像データのページ番号を原稿と同じページ番号を付すことができる。
【0011】
画像読取装置は、ページ番号決定手段が決定したページ番号に基いて上記画像データのファイル名を作成するファイル名作成手段と、上記画像データと上記ファイル名を対応付けて送信する送信手段を備える。
【0012】
以上のように、画像データは、ページ番号に基いて作成されたファイル名と対応付けて送信されるので、どのような装置でも受け取った画像データのページ番号を認識することができる。
【0013】
また、画像読取装置は、画像データをページ番号と対応付けて送信することに代えて、ページ番号に基いて画像データを連結して、連結した画像データを送信してもよい。この場合、画像読取装置は、画像データを連結する連結手段と、連結した画像データを送信する送信手段を備える。
【0014】
このように、連結された画像データが送信されるので、画像データを受け取った装置は
、連結順序に基いて画像データのページ番号を認識することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、画像データのページ番号を送信先の装置が認識できるように画像データにページ番号を対応付けてから送信する画像読取装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の画像読取装置100の外観図である。画像読取装置100は、原稿束を載置する原稿台101と、原稿台101に載置された原稿束の上側から1枚づつ原稿をピックアップして、搬送路の下流へ搬送させるシートフィーダ102と、上記搬送路を搬送中の原稿を読み取る読取部103と、搬送路の最下流に設けられた排紙トレイ104を備える。
【0017】
上記読取部103は、搬送中の原稿を照射する光源131と、原稿からの反射光を導くミラー132、133、134と、ミラー132、133、134によって導かれた反射光を受光するCCD135を備える。CCD135から出力される信号は、図2に示す画像読取手段201に入力され、この画像読取手段201によって画像データが形成される。画像読取手段201は、形成した画像データにページ番号を対応付けて記憶手段203に記憶させる。
【0018】
本実施の形態では、上記画像読取手段201にて行われる画像データとページ番号の対応付けの方式は複数あり、どの方式を採用するかはユーザが指定できるようになっている。画像読取装置100には、操作パネル又は複数のハードキーから構成される操作部202が設けられており、ユーザは操作部202を操作することによって、画像データとページ番号の対応付けの方式を指定することができる。画像データとページ番号の対応付けの方式として、例えば、読み取られた順番でページ番号を付す方式や下記にて説明する両面原稿方式等が有る。
【0019】
両面原稿方式は、複数枚の原稿の両面を読み取るときに便利である。複数枚の原稿の両面を読み取る場合、ユーザは、まず操作部202で両面原稿方式を画像読取装置100に指示する(図3、S301)。ユーザにて両面原稿方式が指示されると、両面原稿方式が指示された旨が画像読取手段201に入力される。
【0020】
両面原稿方式を指示すると、ユーザは、原稿を原稿台101に載置する。本実施の形態では、原稿台101に載置される原稿は表面、裏面が1ページ、2ページとなった1枚目の原稿、表面、裏面が3ページ、4ページとなった2枚目の原稿、表面、裏面が5ページ、6ページとなった3枚目の原稿、表面、裏面が7ページ、8ページとなった4枚目の原稿の4枚とする。また、本実施の形態では、原稿台101に原稿を載置するときは、ユーザは、図4に示すように、各原稿の奇数ページ(1、3、5、7ページ)を上に向けて、上から1、2、3、4枚目の順となるように原稿を重ねる。
【0021】
原稿台101に原稿を載置すると、ユーザは、操作部202に設けられたスタートキーを押下する。スタートキーが押下されると、シートフィーダ102は、原稿台101に載置された最上位に載置された1枚目の原稿を排紙トレイ104に向けて搬送する。原稿は、この搬送途中で光源131にて照射される位置を通過する際に上記読取部103によって読み取られて(図3、S302)、上記画像読取手段201にて画像データが形成される。
【0022】
上記画像読取手段201は、画像データを形成すると、図5(a)に示すように、画像データに、スタートボタンが押下されてから何枚目に読み取られた原稿であるかを示す値mを対応付けて記憶手段203に記憶させる(図3、S303)。従って、上記画像読取手段201は、1枚目の原稿の画像データに1を対応付けて記憶手段203に記憶させる。
【0023】
シートフィーダ102は、1枚目の原稿を搬送した後、原稿台101にまだ原稿が載置されている場合(図3、S304)、1枚目の原稿と同様に原稿の搬送を行い、上記画像読取手段201は、1枚目の原稿と同じように画像データを形成して、図5(a)に示すように、2枚目の原稿の画像データと2を、3枚目の原稿の画像データと3を、4枚目の原稿の画像データと4を対応付けて記憶手段203に記憶させる。
【0024】
上記シートフィーダ102は、原稿台101に原稿がないと判断すると、その旨を上記画像読取手段201に通知する(図3、S305)。
【0025】
4枚の原稿が搬送されると、排紙トレイ104には、図6に示すように各原稿の偶数ページ(8、6、4、2ページ)が上に向いて、上から4、3、2、1枚目の原稿の順となって原稿が重なっている。
【0026】
ユーザは4枚の原稿が排紙トレイ104に排紙されると、4枚の原稿の重なった状態を変えずに、そのまま原稿台101に4枚の原稿を原稿台101に載置する。
【0027】
ユーザによって再び原稿台101に原稿が載置されると、シートフィーダ102は、上記のように原稿台101に載置された最上位に載置された4枚目の原稿を排紙トレイ104に向けて搬送する。原稿は、この搬送途中で光源131にて照射される位置を通過する際に上記読取部103によって読み取られて(図3、S306)、上記画像読取手段201にて画像データが形成される。
【0028】
上記画像読取手段201は、画像データを形成すると、図5(a)に示すように、画像データに、ステップS305の通知後において何枚目に読み取られた原稿であるかを示す値m´を対応付けて記憶手段203に記憶させる(図3、S307)。即ち、上記画像読取手段201は、4枚目の原稿の画像データに1を対応付けて記憶させる。
【0029】
シートフィーダ102は、4枚目の原稿を搬送した後、原稿台101にまだ原稿が載置されている場合(図3、S308)、4枚目の原稿と同様に原稿の搬送を行い、上記画像読取手段201は、4枚目の原稿と同じように画像データを形成して、図5(a)に示すように、3枚目の原稿の画像データと2を、2枚目の原稿の画像データと3を、1枚目の原稿の画像データと4を対応付けて記憶手段203に記憶させる。
【0030】
上記シートフィーダ102は、原稿台101に原稿がないと判断すると、その旨を上記画像読取手段201に通知する(図3、S309)。
【0031】
ステップS309における原稿台101に原稿がなくなった旨の通知によって、画像読取手段201には、ステップS305の原稿台101に原稿がなくなった旨と合わせて2度原稿台101に原稿がなくなった旨のが通知されたことになる。上記画像読取手段201は、2度原稿台101に原稿がなくなった旨が通知されると、枚数検知手段204に枚数検知の指示を出す。
【0032】
枚数検知の指示があると、上記枚数検知手段204は、上記記憶手段203に記憶された値mの最大値を検出する(図3、S310)。上記枚数検知手段204は、検出した最大値をページ番号決定手段205に通知する。
【0033】
最大値が通知されると、上記ページ番号決定手段205は、記憶手段203に記憶された各画像データのページ番号Pを決定する(図3、S311)。
【0034】
まず、上記ページ番号決定手段205は、値mが対応付けられた画像データのページ番号Pを下記の式を用いて決定する。
【0035】
P=2(m−1)
この式のmに各画像データに対応付けられた値mを代入した時のPの値がページ番号Pとなる。
【0036】
次に、上記ページ番号決定手段205は、値m´が対応付けられた画像データのページ番号Pを下記の式を用いて決定する。
【0037】
P=2(n−m´−1)
この式のnに上記枚数決定手段204から通知された最大値を、m´に各画像データに対応付けられた値m´を代入したときのPの値がページ番号Pが決定される。
【0038】
各画像データのページ番号Pを決定すると、各画像データのページ番号Pが原稿のページ番号と一致する。即ち、原稿の1ページ目の画像データのページ番号Pは1となり、同様に原稿の2〜8ページ目の画像データのページ番号Pは2〜8となる。
【0039】
上記ページ番号決定手段205は、各画像データのページ番号Pを決定すると、各画像データのページ番号をファイル名作成手段206に入力する。
【0040】
ページ番号が入力されると、ファイル名作成手段206は、入力されたページ番号Pと関連するような名称のファイル名を作成する(図3、S312)。例えばページ番号Pが1である場合、「0001.jpeg」や「scan0001.jpg」等である。ファイル名を作成すると、ファイル名作成手段206は、作成したファイル名とページ番号を上記ページ番号決定手段205に通知する。
【0041】
上記ページ番号決定手段205は、図5(b)に示すように、ファイル名作成手段206から通知されたファイル名をファイル名作成手段206から通知されたページ番号Pと対応する画像データに対応付けて上記記憶手段203に記憶させる。
【0042】
送信手段207は、ファイル名と対応付けて上記記憶手段203に記憶された画像データをファイル名と共に画像読取装置100と通信可能に接続された装置に送信される(図3、S313)。
【0043】
以上のように、ページ番号順に原稿の読み取りが行われなくても、各ページの画像データは、ページ番号Pに基いて作成されたファイル名と共に送信されるので、送信された画像データを受け取った装置は、画像データに対応する原稿のページ番号を認識することができる。
【0044】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記ページ番号決定手段205がページ番号Pを決定するまでの手順は、実施の形態1と同じである。上記ページ番号決定手段205は、各画像データのページ番号Pを決定すると、図7に示すように、各画像のページ番号Pを対応する画像データに対応付けて上記記憶手段203に記憶させる。ファイル名作成手段206に入力する。
【0045】
上記ページ番号決定手段205は、ページ番号Pを全ての画像データに対応付けて記憶手段203に記憶させると、図8に示す連結手段801に画像データの連結を指示する。
【0046】
連結が指示されると、上記連結手段801は、上記記憶手段203に記憶された各画像データをページ番号Pの順で連結する。画像データを連結すると、上記連結手段801は、連結した画像データを送信手段207に入力する。
【0047】
上記送信手段207は、連結された画像データを画像読取装置100と通信可能に接続された装置に送信する。
【0048】
以上のように、上記送信手段207から送信されるファイルは、ページ番号Pに基いて連結された複数の画像データであるので、送信されたファイルを受け取った装置が、画像データをページ番号順に並び替えたりする必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の画像読取装置の外観図。
【図2】実施の形態1の本発明の画像読取装置の機能ブロック図。
【図3】画像データがページ番号に基いて作成されたファイル名と共に送信される手順をしめすフロー図。
【図4】原稿台に原稿を載置した状態を示す図。
【図5】記憶手段が記憶する情報を模式的に示す図。
【図6】排紙トレイに原稿が排紙された状態を示す図。
【図7】記憶手段が記憶する情報を模式的に示す図。
【図8】実施の形態2の本発明の画像読取装置の機能ブロック図。
【符号の説明】
【0050】
100 画像読取装置
201 画像読取手段
203 記憶手段
204 枚数検知手段
205 ページ番号決定手段
206 ファイル名作成手段
207 送信手段
801 連結手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての原稿の一方の面を読み取ってから他方の面を読み取って、全ての原稿の両面の画像データを得る画像読取手段と、
上記画像読取手段が読み取った原稿の枚数を検知する枚数検知手段と、
得られた順番と検知された枚数に基いて、上記画像データのページ番号を決定するページ番号決定手段と、
上記ページ番号決定手段が決定したページ番号に基いて上記画像データのファイル名を作成するファイル名作成手段と、
上記画像データと上記ファイル名を対応付けて送信する送信手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
全ての原稿の一方の面を読み取ってから他方の面を読み取って、全ての原稿の両面の画像データを得る画像読取手段と、
上記画像読取手段が読み取った原稿の枚数を検知する枚数検知手段と、
得られた順番と検知された枚数に基いて、上記画像データのページ番号を決定するページ番号決定手段と、
上記ページ番号決定手段が決定したページ番号に基いて上記画像データを連結する連結手段と、
連結された画像データを送信する送信手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−25151(P2006−25151A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201060(P2004−201060)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】