説明

画像読取装置

【課題】
原稿の画像読取位置に設定されたプラテン上を原稿が通過する際の原稿搬送の安定性を向上させることで、読み取られた画像のぶれや歪みを抑えるようにした画像読取装置を提供することである。
【解決手段】
原稿の画像読取位置に設定されたプラテン1と、前記プラテン1に隣接して設けられ、該プラテン1を通過した原稿を掬い上げて下流側に案内する掬上ガイド部材62と、前記プラテン1及び前記掬上ガイド部材62に対向して設けられ、両者との間に搬送経路を形成する搬送ガイド部材36とを備えた画像読取装置において、前記搬送ガイド部材36をプラテン1と平行にスライド移動可能に支持する支持部材71と、前記搬送ガイド部材36と前記掬上ガイド部材62との間に設けられ、前記搬送ガイド部材36をスライド移動させることで両者間の隙間を一定に保つ規制部材70とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的に原稿を搬送する原稿搬送装置を備える画像読取装置に係り、特に読取位置における原稿ガイドの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル式の複写機、ファクシミリ、イメージスキャナ等の画像読取装置には、積載された複数枚の原稿を1枚づつ繰り出し、これを読取位置に自動的に搬送する原稿搬送装置が備えられる。画像読取装置は、搬送されてきた原稿を読取位置でそのまま読み取る、いわゆる流し読み方式によって原稿を読み取っている。
【0003】
このような流し読み方式による画像読取装置は、原稿搬送装置によって順次供給される原稿を読み取るための第1のプラテンガラスと、ブック物等の厚手の原稿を載置して読み取るための第2のプラテンガラスを備え、さらにCCDなどの光電変換素子を用いた画像読取手段は、第1のプラテンガラス上を移動する原稿に対しては静止した状態で読み取リ、第2のプラテンガラス上に載置された原稿に対しては画像読取手段を移動させて読み取るように構成されている。
【0004】
一方、原稿搬送装置は画像読取装置の上面に対して開閉自在に取り付けられている。そして、給紙トレイに載置された原稿を搬送経路に沿ってプラテンガラス上に搬送し、第1のプラテンガラスの下流側に隣接して配置された掬い上げ部材で原稿を掬い上げた後、排紙経路に沿って排紙トレイ上に排紙する構成である。また、原稿搬送装置にはプラテンガラスの上面に対向した位置に、プラテンガラス及び掬い上げ部材との間で湾曲状の搬送経路を形成する搬送ガイドが設けられている。この搬送ガイドは、上下動自在に構成されており、搬送ガイドの原稿搬送領域外に設けられた凸部が第1のプラテンガラス上面に当接することによって第1のプラテンガラスの上面との間に所定間隔の搬送経路を形成している(特許文献1参照)。そして、これによって、読取手段の焦点深度内で原稿を搬送し、読取位置における原稿の安定搬送を確保する。
【0005】
しかし、このような原稿搬送装置においては、第1のプラテンガラスと搬送ガイドとの間の間隔を狭くするように規制しても、第1のプラテンガラスから原稿を掬い上げ部材によって掬い上げる際の衝撃や原稿が排出ローラに進入する際の衝撃、さらには搬送ローラから原稿の後端が抜ける際の衝撃が読取画像に影響を与え、画像ぶれ等の問題が発生するおそれがあった。特に、原稿の先端が掬い上げ部材や排出ローラに当接する際に原稿が搬送方向とは反対方向の反力が付与され、読み取り位置で一瞬止まったような現象となり、読取画像に歪みが生じるとの問題は解決し得なかった。
【0006】
このような問題を解決するものとして、第1のプラテンガラスより下流側の搬送経路の間隔を極力狭くして、原稿搬送時の衝撃を緩和して画像ぶれ等を抑えるようにしたものが提案されている(特許文献2、3参照)。特に、特許文献2においては、掬い上げ部材と搬送ガイドの間隔を常に一定にするために、画像読取装置の上面で、かつ第1のプラテンガラスに隣接した位置に設けられた掬い上げ部材を揺動自在に支持し、揺動自在な搬送ガイドに設けられた凸を掬い上げ部材に当接させるように構成している。
【0007】
しかしながら、上述の掬い上げ部材を揺動させる構成では、搬送ガイドの掬い上げ部材側への付勢力を掬い上げ部材の搬送ガイド側への付勢力よりも大きくすると搬送ガイドが第1のプラテンガラスに対して浮くこととなり、第1のプラテンガラスと搬送ガイドとの間隔を一定に確保できなくなる。一方、逆に掬い上げ部材の搬送ガイド側への付勢力を掬い上げ部材の搬送ガイド側への付勢力よりも小さくすると、厚紙等のコシの強い原稿を搬送した時に掬い上げ部材が揺動して搬送に支障が生じてしまうのを防ぐために、その都度掬い上げ部材の付勢力及び搬送ガイドの付勢力を調整する必要があり、その調整が煩わしいとの問題がある。また、湾曲した搬送経路においては原稿が外側のガイドに沿って搬送されるので、この外側ガイドの一部を形成する掬い上げ部材を揺動させることは搬送の安定性を考慮すれば好ましくない。
【特許文献1】特開2002−14495号公報
【特許文献2】特開2002−171385号公報
【特許文献3】特開2002−172618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、原稿の画像読取位置に設定されたプラテン上を原稿が通過する際の原稿搬送の安定性を向上させることで、読み取られた画像のぶれや歪みを抑えるようにした画像読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像読取装置は、原稿の画像読取位置に設定されたプラテンと、前記プラテンに隣接して設けられ、該プラテンを通過した原稿を掬い上げて下流側に案内する掬上ガイド手段と、前記プラテン及び前記掬上ガイド手段に対向して設けられ、両者との間に搬送経路を形成する搬送ガイド手段とを備えた画像読取装置において、前記搬送ガイド手段を前記プラテンと平行にスライド移動可能に支持する支持手段と、前記搬送ガイド手段と前記掬上ガイド手段との間に設けられ、前記搬送ガイド手段をスライド移動させることで両者間の隙間を一定に保つ規制手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像読取装置によれば、搬送ガイド手段とプラテンとの隙間及び搬送ガイド手段と掬上ガイド手段との隙間が常時一定に保たれるので、原稿搬送が安定して良好な画像が得られるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明に係る画像読取装置の実施形態を詳細に説明する。図1には本発明に係る画像読取装置の全体構成が示されており、画像読取装置本体Hと、その上に搭載された原稿搬送装置Aとで構成される。原稿搬送装置Aの給紙装置Kから繰り出された原稿は、画像読取装置本体Hの読取位置を通過したのち排紙トレイに排紙される。
【0012】
前記原稿搬送装置Aは、複数の原稿を載置する給紙トレイ10を備える給紙装置Kと、画像読取装置本体Hで読み取られた原稿を収納する第1の排紙トレイ18及び第2の排紙トレイ19を備えており、第1の排紙トレイ18では主に大サイズの原稿を収納し、第2の排紙トレイ19では小サイズの原稿を収納する。
【0013】
また、原稿搬送装置Aには、前記給紙装置Kから画像読取装置本体Hを介して排紙トレイに至るシート搬送用の経路が設けられており、給紙トレイ10から繰り出された原稿を給送する給紙経路11と、この給紙経路11から画像読取装置Hの第1のプラテンガラス1に延びる搬送経路12と、この搬送経路12から前記第1の排紙トレイ18の排紙口に連なる第1の排紙経路13と、第1の排紙経路13と分岐して形成される中間経路15と、この中間経路15から第2の排紙トレイ19の排紙口に連なる第2の排紙経路16と、第2の排紙経路16と分岐して形成され前記中間経路15からの原稿をスイッチバックさせるスイッチバック経路17aと、スイッチバックされた原稿を表裏反転して第2の排紙トレイ19の排紙口に導く反転経路17bと、中間経路15にてスイッチバックされた原稿を給紙経路11と搬送経路12との接続部に戻し、再び搬送経路12に送る循環経路14とで原稿搬送用経路が構成されている。前記搬送経路12には大径の搬送ローラ27と、その搬送ローラ27の周面に圧接された複数の従動ローラ28、29、30が配置されており、搬送ローラ27は搬送モータによって駆動される。
【0014】
一方、給紙装置Kは、前述した給紙トレイ10と、給紙トレイ10から原稿を一枚ずつ繰り出して給紙経路11に給紙する給紙手段9とを備える。給紙トレイ10には載置された原稿の側端部を規制するサイドガイド20が設けられ、さらに給紙トレイ10の先端近傍には載置された原稿の先端を規制するストッパ部材21が配置されている。なお、給紙トレイ10は、原稿の給紙方向の先端側を支点として、回動自在に取り付けられている。
【0015】
前記給紙手段9は、原稿を繰り出すための繰出ローラ23と、給紙トレイ10上に載置された原稿の先端を持ち上げて繰出ローラ23に接触させる昇降板22と、繰出ローラ23で繰り出された原稿を給送する給紙ローラ24と、給紙トレイ10に載置された原稿の最上位の1枚のみを通過させ2枚目以降の原稿の給送を阻止する分離ローラ25と、分離ローラ25で分離された給送原稿の先端を突き当てて整合した後に下流側に送るレジストローラ対26とを備える。
【0016】
また、画像読取装置本体Hは、第1のプラテンガラス1を介して光源2からのランプ光を搬送原稿に照射し、その反射光を複数のミラー3で反射させ、レンズ4を介してCCDなどの読取手段5により光電変換して原稿画像を読み取る。すなわち、第1のプラテンガラス1の上面が画像読取装置本体Hの読取部を構成している。なお、画像読取装置本体Hは原稿を載置可能な面積の第2のプラテンガラス6も備えており、原稿搬送装置Aを開閉してプラテンガラス6上に載置されたブック物等の厚い原稿に対して、光源2やミラー3などからなる光源ユニットを副走査方向に移動させることによって、第2のプラテンガラス6を通じて原稿の画像を読み取ることができる。
【0017】
図2は、本発明に係る画像読取装置の要部を拡大して示したものである。第1のプラテンガラス1の近傍の搬送経路12には、第1のプラテンガラス1の上流側に位置する従動ローラ29から下流側の従動ローラ30に至る区間に原稿を読み取るための読取部60が設けられている。
【0018】
この読取部60は、第1のプラテンガラス1と、この第1のプラテンガラス1から原稿を掬い上げて下流側の排紙経路13または中間経路15に原稿を案内する掬上ガイド部材62と、搬送ローラ27と従動ローラ29とによって搬送される原稿を第1のプラテンガラス1の上面に案内する搬入ガイド部材61と、この搬入ガイド部材61、第1のプラテンガラス1及び掬い上げガイド部材62に対向して設けられ、これらの部材との間で搬送経路12の一部を形成する搬送ガイド部材36とで構成されている。また、この読取部60の搬送ガイド部材36側には、搬送経路12内に突出する複数の遊動コロ65、66、67が搬送経路12の屈曲部の近傍に配置されている。
【0019】
前記掬上ガイド部材62は、図2及び図3に示されるように、前記第1のプラテンガラス1の下流側に隣接して配置され、その上面には第1のプラテンガラス1を通過した原稿を上方に掬い上げる原稿案内面62aが形成されている。この原稿案内面62aは、第1のプラテンガラス1側の一端が第1のプラテンガラス1の上面よりも低い位置になるように配置され、原稿搬送方向と直交する方向(以下、原稿幅方向という。)に沿って最大原稿幅よりも長く形成されている。また、掬上ガイド部材62の両端には原稿案内面62aの外側位置に、後述する搬送ガイド部材36と掬上ガイド部材62の原稿案内面62との隙間を一定に規制・保持するための規制部材70が突き当たる当接面62bが傾斜して設けられている。
【0020】
前記搬送ガイド部材36は、図3及び図4に示されるように、原稿幅方向に長く延びた湾曲状の板状部材で形成され、搬送ローラ27の配設位置に対応して切欠部37,38が設けられている。また、搬送ガイド部材36の左右両端には、搬送ガイド部材36の端部を上下から挟み込むようにして取り付けられた規制部材70が搬送ガイド部材36の原稿幅方向の両端にそれぞれ設けられている。
【0021】
前記規制部材70には前後2箇所に上下に貫通する長孔74が形成される。この長孔74は原稿搬送方向に長く形成されており、その中に段付きネジ72が挿入されている。一方、装置本体の左右の側板85,86にそれぞれ固定された支持部材71は、前記規制部材70の上面に載置され、支持部材71に設けられた留め孔75内に前記段付きネジ72の先端部が嵌入される。そのため、搬送ガイド部材36は、支持部材71に対して長孔72の範囲内で第1のプラテンガラス1と平行に、即ち、原稿搬送方向に沿って前後方向にスライド移動が可能である。さらに、規制部材70の上面には係止片76が突設されている、そして、この係止片76と、この係止片76より下流側の支持部材71との間に引張りバネ73が掛け渡される。この引張りバネ73は、規制部材70を掬上ガイド部材62側に常時付勢するように作用する。なお、規制部材70は、搬送ガイド部材36や複数の遊動コロ65、66、67と一体の搬送ガイドユニット80を構成しているため、結局はこの搬送ガイドユニット80が掬上ガイド部材62側に常時付勢される。さらに、この実施形態では、前記規制部材70の掬上ガイド部材62側の端部には、該掬上ガイド部材62の当接面62bに突き当たる第1の規制部77が設けられている。この第1の規制部77は、少なくとも前記掬上ガイド部材62の当接面62bに当接する対向面に形成された樹脂製の部材であり、当接面62bに突き当てることで搬送ガイド部材36と掬上ガイド部材62の案内面62との間の隙間を一定に保持する。また、前記規制部材70の下面側には第1のプラテンガラス1の上面に当接して、画像読取装置本体Hの上面に対する原稿搬送装置Aの高さ方向を規制するとともに、第1のプラテンガラス1の上面と搬送ガイド部材36との隙間を規制・保持する第2の規制部78が設けられている。
【0022】
したがって、図3(a)に示すように、画像読取装置本体Hの上面に対して原稿搬送装置Aが開状態にあるときには、規制部材70と支持部材71との間に掛け渡された引張りバネ73の作用によって、搬送ガイドユニット80が原稿搬送方向に付勢され、規制部材70の長孔74の端部が段ネジ72の段部に規制された状態となる。そのような状態から原稿搬送装置Aを画像読取装置本体Hの上面側に移動、すなわち閉動作させると、規制部材70の第1の規制部77が掬上ガイド部材62の当接面62bに当接し、搬送ガイドユニット80が原稿搬送方向の上流側にスライド移動する。そして、規制部材70の第2の規制部78が第1のプラテンガラス1の上面に当接した時点で原稿搬送装置Aの下方への移動が規制され、原稿搬送装置Aは画像読取装置本体Hの上面に対して開状態となる。このとき、図3(b)に示すように、第2の規制部78が第1のプラテンガラス1に当接して、第1のプラテンガラス1とこれに対向する搬送ガイド部材36の下面との隙間を約1mm程度に規制する。また、第1の規制部77が掬上ガイド部材62の当接面62bに当接して搬送ガイドユニット80をスライド移動させているので、掬上ガイド部材62の原稿案内面62aとそれに対向する搬送ガイド部材36の下面との間も約1mm程度の微小な間隔に規制されることとなる。つまり、原稿搬送装置Aを閉状態としたときに搬送ガイド部材36は、その垂直方向が第2の規制部78によって位置決めされ、水平方向が第1の規制部77によって位置決めされることになる。
【0023】
前記搬送ガイドユニット80を構成している遊動コロ65、66、67は、図4及び図5に示されるように、複数の搬送ローラ27の間に複数配置される。この実施形態では前記搬送ガイド部材36による原稿幅方向の原稿搬送領域中央を基準として、その両外側に向かって均等な箇所に2個ずつ配置され、合計4個が配置されている。そして、図2に示されるように、上流側から遊動コロ65,66,67の順に配置される。詳細には遊動コロ65は原稿が第1のプラテンガラス1の上面に搬入される直前の屈曲部の近傍に配置され、遊動コロ66は第1のプラテンガラス1の上面から原稿が掬い上げられる屈曲部の近傍に配置され、遊動コロ67は掬上ガイド部材62の原稿案内面62aから従動ローラ30の上流側ガイドに案内される屈曲部の近傍に配置されている。また、遊動コロ65、66、67は、図2及び図5に示されるように、遊動コロを両側から支えるように、搬送ガイド部材36からそれぞれ延びるアーム部材65a、66a、67aによって揺動可能に支持されている。各アーム部材65a、66a、67aの各基端が、搬送ガイド部材36の上流側を内側に折り曲げた折曲部36aに固着された回動ピン36bに回動自在に取り付けられている。さらに、各アーム部材65a、66a、67aには、遊動コロ65、66、67を搬送経路12側に揺動可能に付勢するための錘68が取り付けられてる。この錘68は、各遊動コロ65、66、67に対してそれぞれ適切な付勢力に調整されている。なお、図2に示されるように、小さな錘片を複数重ねることで、重さの調整を容易に行なうことができる。
【0024】
上記のように、遊動コロ65,66,67を読取部60付近の各屈曲部近傍に配置したことで、読取部60に搬送される原稿には搬送に支障のない程度に押圧力が付与され、読取部60付近での原稿のばたつきが有効に抑えられる。なお、上記の遊動コロの設置箇所が上記実施例の3箇所に限定されないこと勿論であり、屈曲部に応じて設置箇所を決定することができる。
【0025】
次に、第1のプラテンガラス1に対する搬送ガイド部材36の原稿幅方向での傾き調整を図6に基づいて説明する。搬送ガイド部材36の傾き調整は、画像読取装置本体Hに原稿搬送装置Aを回動可能に支持するヒンジ装置90によって行なわれる。このヒンジ装置90は、画像読取装置本体Hの上面に固定された取付部材91と、この取付部材91にその一端側が回動自在に軸支された回動部材92と、回動部材92の自由側に回動自在に軸支されたリフト部材93とで構成される。また、リフト部材93には回動部材92に軸支される位置と異なる位置に作動ピン93aが設けられおり、この作動ピン93aと取付部材91との間には圧縮スプリング94が掛け渡されている。そして、原稿搬送装置Aの一方の側板85がリフト部材93の一端側に取り付けられており、リフト部材93は原稿搬送装置Aを支持している。なお、原稿搬送装置Aの両側板85、86は、ステー等の連結部材(図示せず)で一体に連結されている。すなわち、ヒンジ装置90は、圧縮スプリング94の作用で、回動部材92を取付部材91から離れる方向に回動させ、またリフト部材93の自由端側を回動部材92側に付勢し、原稿搬送装置Aを画像読取装置本体Hの上面に対して開閉自在に支持する。そして、このヒンジ装置90のリフト部材93の自由端側には回動部材92の背面92aと当接して原稿搬送装置Aの傾きを調整するための調整ネジ95が設けられている。そして、この調整ネジ95で原稿搬送装置Aの傾きを調整することによって、搬送ガイド部材36の原稿幅方向の両端に設けられた各規制部材70の第2の規制部78が確実に第1のプラテンガラス1の上面に当接するようにし、第1のプラテンガラス1と搬送ガイド部材36との間の間隔を常に一定となるように規制・保持している。
【0026】
具体的には、図6(a)に示すように、装置の寸法誤差、組立誤差、ゆがみ、或は各部材誤差等によりヒンジ装置90に取り付けた原稿搬送装置Aの高さを規制する第2の規制部材78の一方が片当たりして、原稿搬送装置A、すなわち搬送ガイド部材36が傾いて設置された場合、ヒンジ装置90の調整ネジ95を回転させ、回動部材92の背面92aに対するリフト部材94の自由端との距離を大きくすることによって、片側の第2の規制部78の片当たり位置を支点として原稿搬送装置Aが回動する。そして、図6(b)に示すように、他方側の第2の規制部78が確実に第1のプラテンガラス1の上面に当接する位置に原稿搬送装置Aの傾きを調整する。このように調整することによって、原稿搬送装置を閉状態とした際に搬送ガイド部材70の両端の各規制部78が第1のプラテンガラス1の上面に確実に当接するようになり、第1のプラテンガラス1と搬送ガイド部材70との間が常に設定された間隔に規制・保持される。
【0027】
上述した実施形態の構成によれば、以下のような作用効果を奏する。
先ず、ヒンジ装置90に設けた調整ネジ95で第1のプラテンガラス1と搬送ガイド部材36との間が常に一定の間隔となるように、搬送ガイド部材36の垂直方向の位置を確定し、次いで、その状態で第1の規制部77を掬上ガイド部材62の当接面62bに当接させて搬送ガイド部材36を水平方向にスライド移動するように構成したので、第1のプラテンガラス1と搬送ガイド部材36の下面との間隔、並びに掬上ガイド部材62の原稿案内面62aと搬送ガイド部材36の下面との間隔を、常に一定の間隔に規制・保持することが可能になり、原稿を安定して搬送することができる。そして、これによって、原稿先端のガイドやローラへの突き当たり時等に生じる読取画像への影響を抑えることができる。
【0028】
また、読取部60における搬送経路の各屈曲部の近傍に複数の遊動コロ65、66、67を設け、その遊動コロ65、66、67を各アーム部材65a、66a、67aで独立して揺動自在に支持し、さらに錘68によって付勢力のばらつきを調整できるようにしたので、原稿の搬送負荷が低減されるとともに原稿のばたつきをなくすことができる。これによって、原稿の安定搬送が可能となり、原稿先端のガイドやローラへの突き当たり時等に生じる読取画像への影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る画像読取装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る画像読取装置の主要部の構成を示す断面図である。
【図3】搬送ガイド部材の支持構造を示す断面図である。
【図4】搬送ガイド部材の構成及び両端の支持構造を示す平面図である。
【図5】遊動コロの構成を示す平面図である。
【図6】プラテンに対する搬送ガイド部材の原稿幅方向の位置決め手段を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 第1のプラテンガラス
12 搬送経路
36 搬送ガイド部材
62 掬上ガイド部材
65,66,67 遊動コロ
68 錘
70 規制部材
71 支持部材
73 引張りバネ
77 第1の規制部
78 第2の規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像読取位置に設定されたプラテンと、
前記プラテンに隣接して設けられ、該プラテンを通過した原稿を掬い上げて下流側に案内する掬上ガイド手段と、
前記プラテン及び前記掬上ガイド手段に対向して設けられ、両者との間に搬送経路を形成する搬送ガイド手段とを備えた画像読取装置において、
前記搬送ガイド手段を前記プラテンと平行にスライド移動可能に支持する支持手段と、
前記搬送ガイド手段と前記掬上ガイド手段との間に設けられ、前記搬送ガイド手段をスライド移動させることで両者間の隙間を一定に保つ規制手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記支持手段は、前記搬送ガイド手段を前記掬上ガイド手段側に常時付勢する付勢手段を有する請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記支持手段は、前記規制手段を介して前記搬送ガイド手段が前記付勢手段の付勢力に抗してスライド移動するように支持してなる請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記規制手段は、前記搬送ガイド手段と前記掬上ガイド手段のいずれか一方に設けられ、他方側に当接する部材である請求項1記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記プラテンの前記画像読取位置を含む前後の前記搬送経路の屈曲部近傍に配置される遊動コロと、
前記遊動コロを揺動自在に支持する揺動手段と、
前記遊動コロを前記搬送経路側に付勢する手段とを設けた請求項1記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記揺動手段が前記遊動コロの配置より上流側に回動支点が設けられたアーム部材からなり、
また、前記遊動コロを前記搬送経路側に付勢する手段が重さ調整可能な錘からなる請求項5記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記プラテンと前記搬送ガイド手段との間が所定の間隔になるように、前記搬送ガイド手段の原稿搬送方向に直交する方向における傾きを調整して保持する調整手段が設けられる請求項1記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−60588(P2006−60588A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241193(P2004−241193)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】