説明

画像読取装置

【課題】ゴミ等により読取画像の品質が低下するのを防止することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、搬送路を搬送される原稿Sの画像を読み取る画像読取部1と、前記搬送路を挟んで前記画像読取部に対向するように配置されるプラテンローラ1010とを備える。プラテンローラ10は、画像読取部1の原稿Sの画像の読取位置に対向する部位に吸引部57が設けられ、搬送路を搬送される原稿Sが吸引部57を通る際に、吸引ファンユニット62を駆動して吸引部57から気体を吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路を搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部と、搬送路を挟んで画像読取部に対向するように配置されるガイド部材とを備えるスキャナ等の画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取部の原稿の画像の読取位置にコンタクトガラスを設けた画像読取装置では、コンタクトガラスにゴミ等が付着すると、読取画像に縦スジ等が発生し、読取画像の品質を低下させてしまう。
【0003】
この縦スジ等を解消する方法として、画像読取部のコンタクトガラスの上下面に沿ってエアを吹き付けてゴミ等を吹き飛ばし、コンタクトガラスの原稿の画像の読取位置にゴミ等が付着しないようにした技術が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、コンタクトガラスを設けず、画像読取部の原稿の画像の読取位置に開口部を設けることで、コンタクトガラスへのゴミ等の付着による不具合を解消した技術が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−302712号公報
【特許文献2】特開2000−47437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、エアをコンタクトガラスの上下面に沿って吹き付けているので、搬送される原稿がバタつきを起こし、画像読取部による原稿の読取画像が不鮮明になるおそれがある。
【0006】
また、上記特許文献2では、開口部から画像読取部の内部にゴミ等が侵入して光学系や照射部に付着し、原稿の読取画像の質を低下させる原因になる。また、先端が折れたり反ったりした原稿が搬送されると、開口部の下流側の側面にその部分が引っ掛かり、搬送ジャムを起こす可能性が高い。
【0007】
そこで、本発明は、ゴミ等により読取画像の品質が低下するのを防止することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、搬送路を搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記搬送路を挟んで前記画像読取部に対向するように配置されるガイド部材と、を備える画像読取装置において、前記ガイド部材には、前記画像読取部の原稿の画像の読取位置に対向する部位に吸引部が設けられ、前記ガイド部材の前記吸引部から気体を吸引させる気体吸引手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガイド部材の吸引部から気体が吸引されることで、原稿に付着したゴミ等や画像読取部の原稿の画像の読取面に付着したゴミ等も吸引部から気体と共に吸引されるため、ゴミ等により読取画像の品質が低下するのを防止することができる。
【0010】
また、ガイド部材の吸引部から気体が吸引されることで、搬送路を搬送される原稿がガイド部材側に吸い付けられて密着するため、原稿がバタツキを起こすのを防止することができ、鮮明な読取画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である画像読取装置について説明するための概略断面図である。
【0013】
本実施形態の画像読取装置は、図1に示すように、原稿台7に積載された複数枚の原稿Sの最上面がピックアップローラ6に当接するまで原稿台7が上昇し、最上面の原稿Sから順次ピックアップローラ6及び給送ローラ4によって搬送路に給送される。
【0014】
なお、ピックアップローラ6により2枚以上の原稿Sが送り出された場合は、分離ローラ11により原稿Sが一枚ずつに分離されて搬送路に給送される。
【0015】
搬送路に給送された原稿Sは、搬送ローラ対3a,3bにより下流側に搬送されつつ、レジストセンサ14、紙厚センサ17を通過して2台の画像読取部1により表面及び裏面の画像が読み取られる。
【0016】
搬送路を挟んで画像読取部1に対向する位置には、プラテンローラ(ガイド部材)10が配置されており、プラテンローラ10は、原稿Sの種類に応じて白色又は黒色(図1の斜線部)の面を画像読取部1に対向させるように回転する。なお、プラテンローラ10については、後述する。
【0017】
2台の画像読取部1で両面の画像が読み取られた原稿Sは、搬送ローラ対3c〜3fにより下流側に搬送され、排紙ローラ5により排紙トレイ9に排紙される。原稿台7に積載された原稿Sがすべて搬送路に給送されると、原稿台7は下降してホームポジションに戻る。
【0018】
なお、本実施形態の画像読取装置は、下部ユニット12に対して上部ユニット2がヒンジ13を介して開閉可能に支持されている。
【0019】
上部ユニット2の開状態では、搬送ローラ対3a〜3f、プラテンローラ10、画像読取部1、レジストセンサ14、紙厚センサ17、ピックアップローラ6、給送ローラ4、及び分離ローラ11等の清掃、及び搬送路に詰まった原稿Sを取り出すことができる。
【0020】
上部ユニット2の開閉は、不図示の開閉検知センサによって検知され、制御部110(図7)は、上部ユニット2が閉まったことを開閉検知センサの検知情報を基に確認して給送待機モードに入る。
【0021】
次に、図2を参照して、画像読取部1について説明する。
【0022】
図2に示すように、画像読取部1は、センサケース50内に、照射部51、レンズアレイ52、及び受光部53が設けられている。なお、本実施形態では、レンズアレイを用いてコンタクトイメージセンサを構成し、画像読取部1としているが、縮小光学系とCCD等を用いて画像読取部を構成してもよい。
【0023】
センサケース50は、搬送路を向く側に面が原稿Sのガイド面とされており、ガイド面の原稿Sの画像の読取位置には、コンタクトガラス56が搬送路と略平行に設けられている。
【0024】
レンズアレイ52は、搬送路を搬送される原稿Sをコンタクトガラス56を介して指向するように配置されている。照射部51は、レンズアレイ52の搬送路の上流側でセンサケース50に取り付けられており、コンタクトガラス56を介して搬送路を搬送される原稿Sに光を照射する。
【0025】
受光部53は、センサケース50のコンタクトガラス56の反対側の壁部にレンズアレイ52の下面に対して対向するように配置されている。なお、レンズアレイ52は、搬送路を搬送される原稿Sの像を受光部53上に結像させるため、原稿S上に合焦位置を有する。
【0026】
そして、照射部51からコンタクトガラス56を介して搬送路を搬送される原稿Sに光が照射されると、その反射光がコンタクトガラス56を介してレンズアレイ52により集光される。レンズアレイ52により集光された光は、受光部53に導かれて電気信号に変換され、これにより、原稿Sの画像が読み取られる。
【0027】
次に、図3〜図5を参照して、プラテンローラ10について説明する。
【0028】
図3に示すように、プラテンローラ10は、中空円筒状に形成されており、その一端部には、プラテンローラ10の中空部に連通する中空軸64が略同心に固定され、他端部には、プラテンローラ10の中空部を閉塞する中実軸65が略同心に固定されている。
【0029】
中空軸64及び中実軸65は、装置筐体の不図示の側板等に回転可能に支持される。また、中空軸65には、ギアG2が固定されており、ギアG2は、制御部110によって駆動が制御されるパルスモータMのモータ軸に固定されたギアG1に噛合している。
【0030】
ここで、本実施形態では、中空軸64の外端部には、吸引ファンユニット(気体吸引手段)62が接続されている。なお、本実施形態では、吸引ファンユニットをプラテンローラ10と一体に接続しているが、吸引ファンユニットをプラテンローラ10から離れた位置に配置し、流体管等を介して接続してもよい。
【0031】
また、図3及び図5に示すように、プラテンローラ10の外周部において、画像読取部1の原稿Sの画像の読取位置に対向する部位には、軸方向に沿って連続するスリット状の吸引口(吸引部)57がプラテンローラ10の中空部に連通するように形成されている。
【0032】
吸引口57のプラテンローラ10の軸方向の長さ寸法は、原稿Sの幅方向の寸法と同等か若干長くなっており、また、吸引口57の開口の搬送路下流側には、搬送される原稿Sの引っ掛かりを防止するための逃げ面57aが設けられている。
【0033】
そして、吸引ファンユニット62が駆動されると、プラテンローラ10の吸引口57から外部のエアが吸引され、吸引されたエアは、プラテンローラ10の中空部、中空軸64の内部を通って吸引ファンユニット62に引き込まれる。
【0034】
吸引ファンユニット62に引き込まれたエアは、フィルタ63でゴミ等が取り除かれた後、装置外に排気される。
【0035】
ここで、制御部110は、紙厚センサ17に検知された原稿Sの厚さ情報、及び原稿Sの搬送位置情報に基づいて、吸引ファンユニット62による吸引口57からのエアの吸引の開始及び停止タイミング、並びに吸引するエアの風量を制御する。詳細については、後述する。
【0036】
なお、本実施形態では、プラテンローラ10の黒色部分又は白色部分に吸引口57を設けているが、プラテンローラ10の黒色部分及び白色部分の両方向に吸引口57を設けてもよい。
【0037】
次に、図4(a)を参照して、プラテンローラ10の回転制御の一例について説明する。
【0038】
図4(a)に示すように、プラテンローラ10の中実軸65には、羽根8が取り付けられている。羽根8の回転角は、プラテンローラ10の回転角として位置センサ20によって検出され、検出された回転角は制御部110に出力される。
【0039】
そして、制御部110が、PC140等からの原稿Sの背景色の指示に基づいて、プラテンローラ10が所定の回転角で停止するようにパルスモータMを制御し、これにより、画像読取部1に対向するプラテンローラ10の色が白色又は黒色に切り替えられる。
【0040】
例えば、印刷字濃度が薄くて透ける原稿の場合には、プラテンローラ10の白色部分を画像読取部1に対向させて印刷文字を強調し、両面印刷で透ける原稿の場合には、プラテンローラ10の黒色部分を画像読取部1に対向させて裏写りし難くすることが出来る。
【0041】
なお、プラテンローラ10は、黒色のみまたは白色のみの構成で、原稿の種類に応じて交換するようにしても良い。
【0042】
また、プラテンローラ10に代えて、図4(b)に示すように、画像読取部1に対向して板状のガイド部材10Aを原稿の搬送方向に移動可能に配置し、原稿の種類に応じてガイド部材10Aをソレノイド59等で移動させるような構成としてもよい。この場合、ガイド部材10Aに上記同様の吸引口を設け、また、ガイド部材10Aに吸引ファンユニットが接続される。
【0043】
次に、図6を参照して、画像読取部1より下流側において、搬送路を搬送される原稿Sの厚さを検知する紙厚センサ17の一例について説明する。
【0044】
図6に示すように、紙厚センサ17は、搬送路を搬送される原稿Sが検知レバー15に到達すると、原稿Sの厚さに応じて検知レバー15が回転中心15aを支点に回動し、この回動量の変化をフォトインタラプタ16で検知する。
【0045】
フォトインタラプタ16は、光電変換素子を有し、光量の変化を電気信号に置き換えて原稿Sの紙厚を判定し、判定した原稿Sの厚さ情報を制御部110に出力する。なお、本実施形態では、レバー式の紙厚センサ17としているが、赤外線や超音波等のセンサで透過式や反射式のものを紙厚センサに採用してもよい。
【0046】
図7は、本実施形態の画像読取装置の制御系の一例を示す概略ブロック図である。
【0047】
画像読取装置の制御系は、操作部100、装置全体を制御する制御部110、レジストセンサ14、紙厚センサ17、位置センサ20等を含むセンサ類120、各種ローラ対や原稿台7、プラテンローラ10等を駆動するモータ類130を備える。
【0048】
次に、図8を参照して、制御部110による吸引ファンユニット62の駆動制御の一例について説明する。図8での各処理は、画像読取装置の不図示のROM等の記憶手段に記憶された制御プログラムが不図示のRAMにロードされて、制御部110のCPU等により実行される。
【0049】
まず、ステップS1では、制御部110は、PC140からの読取指示或いは画像読取装置の不図示のスタートボタン等の押下による読取指示により原稿Sが搬送路に給送されると、ステップS2に進む。
【0050】
ステップS2では、制御部110は、紙厚センサ17からの原稿Sの厚さ情報を取得し、ステップS3に進む。
【0051】
なお、本実施形態では、原稿Sの厚さ情報を紙厚センサ17から取得しているが、これに代えて、操作部100でユーザ操作により設定された原稿Sの厚さ情報を取得するようにしてもよい。
【0052】
ステップS3では、制御部110は、吸引ファンユニット62によるプラテンローラ10の吸引口57からのエア吸引の開始タイミング及び停止タイミングを決定する。
【0053】
ここで、制御部110は、原稿Sの搬送速度を監視している。このため、レジストセンサ14により原稿Sが検知された時点からの時間をカウントすることで、何秒後に原稿Sが搬送路のどの位置に到達しているのか、即ち、原稿Sの搬送位置情報を計算によって検出することができる。
【0054】
従って、例えば、原稿Sが吸引口57に到達したタイミングを吸引ファンユニット62によるエア吸引開始タイミングとし、原稿Sが吸引口57を通過したタイミングをファンユニット60によるエア供給停止タイミングとすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、ステップS2で取得した原稿Sの厚さ情報に応じて、吸引ファンユニット62によるエア吸引の開始タイミング及び停止タイミングを変更する。
【0056】
例えば、原稿Sの厚さが所定の厚さより薄い場合は、制御部110は、吸引ファンユニット62によるエア吸引開始タイミングを、原稿Sの先端が吸引口57に到達してから所定距離進んだ後になるよう決定する。
【0057】
具体的には、原稿Sが通常の厚さであれば、搬送ローラ対3cに原稿Sの先端が到達したタイミングを、図1の上流側(上側)のプラテンローラ10の吸引口57からのエア吸引開始タイミングとすることができる。また、搬送ローラ対3dに原稿Sの先端が到達したタイミングを、図1の下流側(下側)のプラテンローラ10の吸引口57からのエア吸引開始タイミングとすることができる。
【0058】
一方、原稿Sの厚さが薄い場合は、搬送ローラ対3cに原稿Sの先端が挟持されたタイミングを、図1の上流側(上側)のプラテンローラ10の吸引口57からのエア吸引開始タイミングとすることができる。また、搬送ローラ対3dに原稿Sの先端が挟持されたタイミングを、図1の下流側(下側)のプラテンローラ10の吸引口57からのエア吸引開始タイミングとすることができる。
【0059】
続いて、ステップS3では、制御部110は、ステップS2で取得した原稿Sの厚さ情報に応じて、吸引ファンユニット62により吸引口57から吸引されるエアの風量を決定し、ステップS4に進む。
【0060】
本実施形態では、制御部110は、通常の厚さ(基準厚さ)の原稿をデフォルト値の風量とし、基準厚さより薄い原稿の場合の風量をデフォルト値より減じ、基準厚さより厚い原稿の場合の風量をデフォルト値より増すように決定する。なお、ここでは、3種類の風量にしているが、これに限定されるものではない。
【0061】
ステップS4では、制御部110は、レジストセンサ14により原稿Sが検知された時点からの時間のカウント値を基に、ステップS3で決定したエア吸引開始タイミングの位置に原稿Sが到達したか否かを判断する。
【0062】
そして、制御部110は、エア吸引開始タイミングの位置に原稿Sが到達したと判断した場合は、ステップS5に進む。
【0063】
ステップS5では、制御部110は、ステップS3で決定した風量で、上述したように、吸引ファンユニット62によるプラテンローラ10の吸引口57からのエア吸引を開始し、ステップS6に進む。
【0064】
ステップS6では、制御部110は、レジストセンサ14により原稿Sが検知された時点からの時間のカウント値を基に、ステップS3で決定したエア吸引停止タイミングの位置に原稿Sが到達したか否かを判断する。
【0065】
そして、制御部110は、エア吸引停止タイミングの位置に原稿Sが到達したと判断した場合は、ステップS7に進む。
【0066】
ステップS7では、制御部110は、吸引ファンユニット62によるプラテンローラ10の吸引口57からのエア吸引を停止し、ステップS8に進む。
【0067】
ステップS8では、制御部110は、原稿台7に設けられた不図示の原稿検知センサからの信号を基に、原稿台7に原稿Sがあるか否かを判断する。
【0068】
そして、制御部110は、原稿台7に原稿Sがあると判断した場合は、ステップS4に戻って、上述したステップS4〜ステップS8の処理を繰り返し、原稿台7に原稿Sがないと判断した場合は、処理を終了する。なお、原稿一枚ごとに厚さ情報を取得する場合は、ステップS2に戻るようにしてもよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態では、プラテンローラ10の吸引口57からエアが吸引されることで、原稿Sに付着したゴミ等や画像読取部1のコンタクトガラス56に付着したゴミ等も吸引口57からエアと共に吸引される。このため、ゴミ等により読取画像の品質が低下するのを防止することができる。
【0070】
また、本実施形態では、プラテンローラ10の吸引口57からエアが吸引されることで、搬送路を搬送される原稿Sがプラテンローラ10側に吸い付けられて密着するため、原稿Sがバタツキを起こすのを防止することができ、鮮明な読取画像を得ることができる。
【0071】
更に、本実施形態では、原稿Sの厚さに応じて吸引ファンユニット62によりプラテンローラ10の吸引口57から吸引されるエアの風量を増減制御している。このため、吸引口57を通る原稿Sの厚さが異なる場合でも、該原稿Sをプラテンローラ10に確実に吸い付けて密着させることができる。
【0072】
更に、本実施形態では、搬送される原稿Sがプラテンローラ10に吸い付けられて密着することから、原稿Sの画像読取時のピントを合いやすくするために画像読取部1のガイド面とプラテンローラ10との隙間を狭くしなくて済む。これにより、ジャムや異音の発生を防止することができる。
【0073】
更に、本実施形態では、プラテンローラ10に設けた吸引口57により、搬送される原稿Sがプラテンローラ10を擦って該プラテンローラ10の表面に擦りキズや摩耗が発生するのを防止することができる。このため、メンテナンス費用やランニングコスト等の低減を図ることができる。
【0074】
更に、本実施形態では、プラテンローラ10に設けた吸引口57により、原稿Sの印刷部分がプラテンローラ10に転写して汚れる等の不具合を防止することができる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第2の実施形態である画像読取装置について説明する。なお、上記第1の実施形態に対して、重複又は相当する部分については符号等を流用して説明する。
【0076】
本実施形態の画像読取装置は、図9に示すように、プラテンローラ10の全周面が白色系材料で構成されている。
【0077】
このように構成することで、図9に実線で図示したプラテンローラ10の吸引口57が原稿Sの画像の読取位置(コンタクトガラス56)に対向しない離間した位置に移動させて画像の読取を行えば、原稿Sの背景色を白色とすることが可能になる。この状態で吸引口57からエアを吸引してゴミ等を吸引することもできる。
【0078】
一方、図9の二点鎖線で示した位置にプラテンローラ10の吸引口57を移動させて原稿Sの画像の読取位置に対向させ、この状態で画像の読取を行えば、吸引口57の凹形状によって照明部51から照射された光のうち、プラテンローラ10が反射する光量が減る。従って、原稿の背景色を黒にして読み取りたいときに吸引口57を読取位置に対向させるように設定しておけば、白色系材料のみで形成されたプラテンローラ10で原稿の背景色を白又は黒に切り替えることが可能になる。
【0079】
これにより、2色のプラテンローラ10に比べてプラテンローラ10の構造が簡単になるため、コストダウンを図ることができる。なお、図4(b)に示す板状のガイド部材10Aであっても、同様の吸引口を設けることで同様な効果を得ることができる。その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0080】
なお、本発明の構成は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、上記各実施形態と他の実施形態の構成要素とを組み合わせてもよく、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態である画像読取装置について説明するための概略断面図である。
【図2】画像読取装置を説明するための断面図である。
【図3】プラテンローラを説明するための斜視図である。
【図4】(a)はプラテンローラの回転制御の一例について説明するための斜視図、(b)はガイド部材を説明するための斜視図である。
【図5】プラテンローラの吸引口からのエアの吸引動作を説明するための断面図である。
【図6】紙厚センサの一例について説明するための斜視図である。
【図7】画像読取装置の制御系の一例を示す概略ブロック図である。
【図8】制御部による吸引ファンユニットの駆動制御の一例について説明するためのフローチャート図である。
【図9】本発明の第2の実施形態である画像読取装置について説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 画像読取部
2 上部ユニット
3a〜3f 搬送ローラ対
4 給送ローラ
5 排紙ローラ
6 ピックアップローラ
7 原稿台
8 羽根
9 排紙トレイ
10 プラテンローラ
10A ガイド部材
11 分離ローラ
12 下部ユニット
13 ヒンジ
14 レジストセンサ
15 検知レバー
16 フォトインタラプタ
17 紙厚センサ
20 位置センサ
50 センサケース
51 照明部
52 レンズアレイ
53 受光部
56 コンタクトガラス
57 吸引口
57a 逃げ面
59 ソレノイド
62 吸引ファンユニット
63 フィルタ
64 中空軸
65 中実軸
100 操作部
110 制御部
140 PC
M パルスモータ
S 原稿
G1,G2 ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記搬送路を挟んで前記画像読取部に対向するように配置されるガイド部材と、を備える画像読取装置において、
前記ガイド部材には、前記画像読取部の原稿の画像の読取位置に対向する部位に吸引部が設けられ、
前記ガイド部材の前記吸引部から気体を吸引させる気体吸引手段を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記ガイド部材を駆動して、前記吸引部を前記画像読取部の原稿の画像の読取位置に対向する位置と該読取位置から離間する位置とに移動させる駆動手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、白色系の部材で構成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
原稿の厚さ情報に基づいて、前記気体吸引手段による気体の吸引の開始及び停止タイミング、並びに吸引する気体の風量を決定する決定手段と、該決定手段により決定された前記開始及び停止タイミング、並びに前記風量に基づいて前記気体吸引手段を制御する制御手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
ユーザ操作により原稿の厚さを設定する操作部を備え、前記決定手段は、前記操作部で設定された原稿の厚さ情報に基づいて、前記気体吸引手段による気体の吸引の開始及び停止タイミング、並びに吸引する気体の風量を決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記画像読取部より上流側で前記搬送路を搬送される原稿の厚さを検知する検知手段を備え、前記決定手段は、前記検知手段で検知された原稿の厚さ情報に基づいて、前記気体吸引手段による気体の吸引の開始及び停止タイミング、並びに吸引する気体の風量を決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記搬送路を搬送される原稿の位置を検出する検出手段を備え、前記制御手段は、前記検出手段により検出された原稿の位置情報に基づいて前記気体吸引手段を制御する、
ことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記ガイド部材が、プラテンローラである、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−109813(P2010−109813A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281024(P2008−281024)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】