説明

画像読取装置

【課題】原稿の画像読取、搬送を緊急に停止させたい際、画像読取装置の動作を停止させるスイッチを押すことなく搬送を停止させても、動作停止前までに読み込んだ画像を取得できる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置の搬送部の開閉機構を開くことにより、動作停止スイッチを押した時と同様に、正常に搬送を停止させることができ、また、情報処理装置に紙無し状態である通知をすることにより、異常メッセージが情報処理装置から出されることなく、正常に読取終了させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路に搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿台に載置された複数枚の原稿を1枚ずつ分離して搬送路に給送し、搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置では、例えば、読み取り原稿を使用者の誤操作により間違えて給紙し、読み取り最中に搬送を停止したい場合、画像読取装置にある読取動作停止スイッチを押すことで搬送を停止することができる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−295420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、例えば、読取動作停止スイッチが使用者にとって見つけにくい箇所に配置してある場合、スイッチを探すという手間が発生し、緊急を要する時、すぐ停止できないという問題がある。また、例えば原稿のジャムが発生した場合、いち早く取り出すために搬送路を開放するという方法に比べて、迅速な停止ができず原稿をいためてしまうという問題がある。また、従来の画像読取装置では搬送路を開放して迅速に対処を行った場合には、情報処理装置に異常終了メッセージが送出される。この場合は正常終了とならないため、エラー回復処理を行う必要があり手間がかかる。また、PC等の情報処理装置で画像を取得するために使用するキャプチャアプリケーション等の種類によっては、原稿束の読み取り中に異常終了になると、異常終了が発生する前までに読み取りを行った画像を取得することができないものもある。本発明の目的は、上記のような課題のうち少なくとも1つを解決することのできる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、積載部に積載された原稿を搬送路に搬送する搬送手段と、搬送路を搬送される原稿の画像を読み取る読取手段と、前記搬送路が開放された開放状態と該搬送路が正常となる閉状態に該搬送路を開閉できる開閉機構と、原稿の搬送中に前記開閉機構を操作して前記搬送路を開放した場合に、前記積載部の原稿無し状態と認識する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、搬送路が開放されたときに、画像読取装置の制御手段が原稿無しを認識するように構成したので、緊急停止させるための搬送路の開放を行った場合に、例えばPC等の情報処理装置へ原稿なし状態であることを通知するようにできる。このようにすれば、情報処理装置が異常終了メッセージを出したりすることなく、正常終了をさせることができる。ユーザが使用するキャプチャアプリケーション等の種類に関係なく、原稿束の画像読み取りを行っている間に搬送路を開放した場合でも、開放する前までに読み取られた原稿画像をユーザは取得することができる。このように、緊急停止時にそれまで読み取った画像データを無駄にせず、読取作業の効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は本発明の第1の実施の形態の一例である画像読取装置の外観斜視図、図2は図1に示す画像読取装置のカバー開時の概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の画像読取装置200は、複数枚の原稿401が積載される積載部としての原稿台402と、排紙された原稿401が載置される排紙台403と、原稿401の載置位置を規制する原稿規制板405、原稿搬送路を開放状態にする開放位置と原稿搬送路を閉じて正常状態(閉状態)とする閉位置とに開閉できるカバー406a、カバーを開閉させる取っ手406bとを開閉機構に備えている。又、原稿401の画像読取を開始させるためのスタートボタン1804と、画像読取を停止させるためのストップボタン1805を備えている。
【0008】
図2に示すように、画像読取装置200は、原稿401を搬送路に給送する給送ローラ503と、原稿が重送した際に給送方向に対し逆回転し原稿を分離する分離ローラ502と、原稿台の原稿401の有無を検知する給紙センサ504とを備える。
【0009】
また、画像読取装置200は、原稿401の通過を検知するレジストセンサ506と、原稿401の表面の画像を読み取る表面読取センサ507と、原稿401の裏面の画像を読み取る裏面読取センサ508、カバー開閉検知センサ513a、突起部材513bとを備える。カバー406a側の突起部材513bが、カバー開閉検知センサ513aの開口部に入ることにより、カバー開閉検知センサがONになり、突起部材513bが、開口部から外れることによりOFFになる。
【0010】
更に、画像読取装置200は、給送ローラ503、分離ローラ502および排紙ローラ510等を駆動するメインモータ509と、排紙ローラ510に追従して回転する排紙従動ローラ512と、排紙される原稿401を検知する排紙センサ511とを備える。更に、図1に示す取っ手406bを手前に引くことにより、カバー406aを開くことができるようになっている。尚、上述のようにカバーを閉じた状態でセンサはON、カバーが開いた状態でセンサはOFFとなり、カバー開閉検知センサからカバーの開閉を表す信号が出力される。
【0011】
図4は、画像読取装置200の制御系を説明するためのブロック図である。図4に示すように、画像読取装置200は、表面読取センサ507および裏面読取センサ508で読み取った画像データに対して色調補正などの所定の画像処理を行う画像処理部203と、画像処理された画像データを記憶する画像メモリ204とを有する。また、画像読取装置200は、原稿搬送用のローラ等を駆動するための駆動モータを制御する駆動制御部205と、給紙センサ504、レジストセンサ506、排紙センサ511を制御する原稿検知センサ制御部206と、装置全体を制御するCPU208、フォトインタラプタ等からなるカバー開閉検知センサを発光させ、受光した光の有無を表す信号をCPU208に向けて出力する等の制御を行うカバー開閉検知センサ制御部211とを有する。
【0012】
更に、画像読取装置200は、CPU208が実行する各種制御プログラムを保持するフラッシュメモリ207と、駆動制御部205などの制御タイミング信号を発生するタイマ209と、画像データを送信するSCSI制御部210と、スタートボタン1804、ストップボタン1805の押下を認識するためのスイッチ制御部213とを有する。画像読取装置200には、SCSI制御部210を介してホストコンピュータ214が外部接続されている。ホストコンピュータ214には、画像読取装置200を制御するためのスキャナドライバや画像キャプチャアプリケーションがインストールされている。また、PC等のホストコンピュータ214には、マウス/キーボード221やディスプレイ220が接続されている。
【0013】
また、画像読取装置200では、読み取り開始前に、SCSI制御部210経由でホストコンピュータ214からの原稿の読み取り設定を受信したり、画像読み取り開始の指示を受信すること等が可能である。また、スタートボタン1804と、ストップボタン1805の操作により、画像読み取り開始/停止を可能とする設定をホストコンピュータ214から行うことも可能である。
【0014】
次に、図5〜図7を参照して、画像読取装置200における原稿401の画像読取処理を説明する。フラッシュメモリ207に格納されたプログラムがCPU208により読み出されて実行される。なお、これらの処理の一部または全てをハードウエアで実現してもよい。
【0015】
図5は、画像読取装置200におけるスキャン処理を例示して説明するためのフローチャート図である。図5において、画像読取装置200は、まずステップS600でホストコンピュータ214からSCSI制御部210を介して画像読み取り開始が通知されたか、もしくは、スタートボタン1804が押されたかどうかを判別する。この判別の結果、スキャン開始の通知や指示がされず(ステップS600でNO)、かつカバーが開かれたときは(ステップS601でYES)、ステップS610へ進み、図7に例示するスキャン終了処理を実行する。
【0016】
スキャン開始通知があったときは(ステップS600でYES)、給紙センサ504からの信号により原稿401が存在することを確認した後(ステップS602でYES)、メインモータ509を駆動して原稿401の給紙を開始する(ステップS603)。原稿台402に載置された原稿401は、給送ローラ503と分離ローラ502とにより1枚ずつ分離され、搬送路に給送される。
【0017】
次に、搬送路に給紙された原稿401の先端がレジストセンサ506を通過していないときは(ステップS604でNO)、カバー開閉検知センサ513aによりカバーが開いたか否かを判別し(ステップS611)、カバーが開いていると検知した時は(ステップS611でYES)、図6に例示するカバーオープン後処理を行う(ステップS613)。尚、例示したカバーオープン後処理は、モータを停止し(ステップS801)、画像を消去し(ステップS802)、次原稿が無い旨をホストコンピュータ214に通知し(ステップS803)、ステップS600へ戻って処理を繰り返すという動作である。カバーが開いていないと検知した時は、(ステップS611でNO)、ステップS604へ戻る。
【0018】
一方、搬送路に給紙された原稿401の先端がレジストセンサ506を通過した(ステップS604でYES)場合、その一定時間後に表面読取センサ507および裏面読取センサ508を制御して原稿401の画像読取を開始する(ステップS605)。ステップS605の画像読み取りが開始された後、原稿401の後端がレジストセンサ506を通過していないときは(ステップS606でNO)、所定の画像読取処理を続けながら、カバー開閉検知センサ513によりカバーが開いたか否かを判断し(ステップS615)、カバーが開いていると検知した時は(ステップS615でYES)、カバーオープン後処理を行う(ステップS617)。また、カバーが開いていないと検知した時は(ステップS615でNO)、ステップS606へ戻る。
【0019】
一方、原稿401の後端がレジストセンサ506を通過した場合(ステップS606でYES)、その一定時間後に表面読取センサ507および裏面読取センサ508を制御して原稿401の読み取りを終了する(ステップS607)。
【0020】
次に、原稿401の後端がレジストセンサ511を通過していないときは(ステップS608でNO)、所定の画像読取処理を続けながら、カバー開閉検知センサ513aによりカバーが開いたか否かを判断し(ステップS618)、カバーが開いていると検知した時は(ステップS618でYES)、カバーオープン後処理を行う(ステップS619)。また、カバーが開いていないと検知した時は(ステップS618でNO)、ステップS608へ戻る。
【0021】
一方、原稿401の後端が排紙センサ511を通過したら(ステップS608でYES)、画像をホストコンピュータ214に転送し(ステップS609)、原稿401が排紙台403に排紙して(ステップS620)、メインモータ509を停止し(ステップS621)、ステップS600へ戻って処理を繰り返す。原稿台402に載置された複数枚の原稿401を全て読み取り終わって、給紙センサ504により原稿401を検知しなくなったときは、(ステップS602でNO)、ステップS610へ進み、スキャン終了処理を実行する。
【0022】
図6は、図5のステップS619における原稿搬送中のカバーオープンに対する後処理を例示して説明するためのフローチャート図である。図6において、スキャン終了処理としてメインモータ509を停止(ステップS801)した後、メモリ204内の画像を消去し(ステップS802)、原稿が無い旨を通知し(ステップS803)、スキャン開始を待機するステップS600へ戻る。
【0023】
図7は、図5のステップS610におけるスキャン終了処理を例示して説明するためのフローチャート図である。図7において、スキャン終了処理としてメインモータ509を停止(ステップS901)した後、次の原稿がない旨をホストコンピュータ214に通知して(ステップS902)、本処理を終了する。
【0024】
以上説明したように本実施形態では、画像読取装置のカバーを開くことにより、ホストコンピュータ側へは紙無し状態である通知をするようになっている。この処理により、ホストコンピュータ214が画像読取装置を制御して行う読取処理異常終了とならずに、それまでに読み取られた原稿の画像データをむだにすることなく正常終了させることができる。
【実施例2】
【0025】
図3は、搬送路を開放する為にカバーを開くための取っ手を、スライドレバー式に変更したものである。本実施例は、図3(A)に例示するカバー開閉操作部407a内の図3(B)に例示するスライドレバー407bを、機体中心方向に水平方向にスライドさせることにより、不図示のストッパーが解除され、カバーを開いて搬送路を開放できる構成となっている。
【0026】
図3(B)は、図3の407bの裏面側から見たセンサ407cを例示する図である。スライドレバー407bを中心に水平方向にスライドさせることで、フォトインタラプタ等のセンサ407cがON状態になる。このセンサがONにされたことにより、カバーが開かれた状態であることを表す信号がカバー開閉検知センサ制御部211からCPU208に入力され、CPU208は搬送、画像読取を停止し、ホストコンピュータ側へは紙無し状態であることを通知する。
【0027】
なお、上記各実施例は、スタートボタン1804、ストップボタン1805が画像読取装置200に無くてもよい。
【0028】
なお、本発明は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えばカバー開閉検知センサ513aを設けない場合等では、給紙センサを用いて搬送路の開放時に原稿無しを検知するようにしてもよい。このような構成にするために、給紙センサをメカニカルスイッチや反射型光センサ等とし、カバー406a側に設ける等の方法が考えられる。また、搬送路の開放時に原稿無しと認識するのではなく、原稿無し状態と同等の処理を行うべき状態と認識するようにしてもよい。上記各実施例に他の実施例の構成要素を追加してもよく、本発明に含まれる。
【0029】
また、上記実施形態では、ホストコンピュータ214との画像転送インターフェースにSCSIを用いたが、USBやFireWire(商標)有線LAN、無線LAN、その他の無線通信、赤外線通信等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1の画像読取装置の外観斜視図
【図2】実施例1の画像読取装置の概略断面図
【図3】本発明の実施例2の画像読取装置の外観斜視図及び、スライド式カバー開閉レバーの裏面図
【図4】画像読取装置の制御系を説明するためのブロック図
【図5】画像読取装置におけるスキャン処理を説明するためのフローチャート
【図6】カバーオープン後処理を説明するためのフローチャート
【図7】スキャン終了処理を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0031】
200 画像読取装置203 画像処理部
204 画像メモリ
205 駆動制御部
206 原稿検知センサ制御部
207 フラッシュメモリ
208 CPU(制御手段)
209 タイマ
210 SCSI制御部
211 カバー開閉検知センサ制御部213 スイッチ制御部
214 ホストコンピュータ
220 ディスプレイ
221 マウス/キーボード
401 原稿
402 原稿台(積載部)
403 排紙台
405 原稿規制板
406a 本体カバー
406b カバー開閉用取っ手
407a カバー開閉操作部
407b カバー開閉スライドレバー
407c センサ
502 分離ローラ
503 給送ローラ(給送手段)
504 給紙センサ
506 レジストセンサ
507 表面読取センサ(読取手段)
508 裏面読取センサ(読取手段)
509 メインモータ
510 排紙ローラ
511 排紙センサ
512 排紙従動ローラ
513a カバー開閉検知センサ
513b センサ用部材
1804 スタートボタン
1805 ストップボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載部に積載された原稿を搬送路に搬送する搬送手段と、
搬送路を搬送される原稿の画像を読み取る読取手段と、
前記搬送路が開放された開放状態と該搬送路が正常となる閉状態に該搬送路を開閉できる開閉機構と、
原稿の搬送中に前記開閉機構を操作して前記搬送路を開放した場合に、前記積載部の原稿無し状態と認識する制御手段と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記積載部の原稿の有無を検知するための原稿検知手段を更に有し、
原稿の搬送中に前記搬送路を開口した場合に、前記原稿無し状態と前記制御手段により認識されるように、前記原稿検知手段は構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記搬送路の開閉操作を検知するための開閉検知手段を更に有し、
前記制御手段は、原稿の搬送中に、前記開閉検知手段の出力により前記搬送路の開閉操作を検知した場合に、前記原稿無し状態の認識とみなすことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、原稿の搬送中に前記原稿無し状態を認識した場合、外部接続された情報処理装置に通知することを特徴とする画像読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−119014(P2010−119014A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292159(P2008−292159)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】