説明

画像読取装置

【課題】画像読取部に光路を遮るゴミが堆積するのを防止するとともに、画像読取部における原稿のガイド機能を確保することで、読取画像の品質が低下するのを回避することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、厚さ方向を略水平方向に向けた状態の原稿を搬送する搬送路と、該搬送路を搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部110とを備える。画像読取部110は、搬送路を向く側に開口する開口部104aと、該開口部104aに配置され、搬送路を搬送される原稿をガイドする複数の突起部107と、を有し、該突起部107は、下方に傾斜して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、厚さ方向を略水平方向に向けた状態で搬送路を搬送される原稿の画像を読み取るチェックスキャナ等の画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14に、従来のこの種の画像読取装置に搭載される画像読取部の一例を示す。この画像読取部は、センサシャーシ224内に、搬送路を搬送される原稿に光を照射する照射ユニット223と、該照射ユニット223より照射された光の原稿からの反射光をラインセンサ221に導くロッドレンズアレイ225とが配置されている。
【0003】
センサシャーシ224の原稿に対向する側には、開口部224aが形成され、開口部224aには、透明なコンタクトガラス226が取り付けられている。また、センサシャーシ224の搬送路から遠い方の端部には、ラインセンサ221を保持する基板222が取り付けられている。なお、ロッドレンズアレイ225は、搬送路を搬送される原稿の像をラインセンサ221上に結像可能な合焦位置を有する。
【0004】
そして、照射ユニット223からの光がコンタクトガラス226を透過して搬送路を搬送される原稿に照射され、その反射光がコンタクトガラス226を透過し、ロッドレンズアレイ225により集光される。ロッドレンズアレイ225により集光された光は、ラインセンサ221に導かれて電気信号に変換され、これにより、原稿の画像が読み取られる。
【0005】
ところで、コンタクトガラス226は、搬送路を搬送される原稿をガイドする機能や、センサシャーシ224内へのゴミの侵入を防止する機能を有するが、汚れやゴミの付着等により、読取画像に長いスジが入る等、読取画像の品質の低下が問題となっている。
【0006】
このような問題を解決するため、コンタクトガラスの原稿の画像読取位置にスリットと該スリットの奥を閉止するガラス板とを設けた技術が提案されている(特許文献1)。この提案では、搬送される原稿が画像読取位置ではコンタクトガラスに接触しないので、読取画像にゴミによる長いスジ等が発生するのを防止することができる。
【0007】
また、水平に載置された原稿の上方から画像を読み取る画像読取装置において、コンタクトガラスを用いず、画像読取部の原稿の画像読取位置に開口部を形成する技術が提案されている(特許文献2)。この提案では、ゴミの付着や堆積の起きやすいコンタクトガラスを使用しないので、読取画像にゴミによる長いスジ等が発生するのを防止するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−326837号公報
【特許文献2】特開平10−136168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1及び2の構成を、厚さ方向を略水平方向に向けた状態で搬送される原稿の画像を読み取る装置に適用した場合、次に示す問題がある。
【0010】
すなわち、コンタクトガラスのスリットを閉止するガラス板にゴミが堆積したり、画像読取部の開口部からゴミが侵入してセンサシャーシ内のロッドレンズアレイに付着或いは堆積したりする可能性がある。このため、読取画像にゴミによる長いスジ等が発生するのを防止することは難しい。また、画像読取部の開口部の開口面積が大きいと、搬送原稿をガイドする機能が低下するため、原稿の搬送不良が生じて、読取画像に歪みが発生するおそれがある。
【0011】
そこで、本発明は、画像読取部に光路を遮るゴミが堆積するのを防止するとともに、画像読取部における原稿のガイド機能を確保することで、読取画像の品質が低下するのを回避することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、厚さ方向を略水平方向に向けた状態の原稿を搬送する搬送路と、該搬送路を搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部とを備える画像読取装置であって、前記画像読取部は、前記搬送路を向く側に開口する開口部と、該開口部に配置され、前記搬送路を搬送される原稿をガイドする複数の突起部と、を有し、該突起部の少なくとも一部は、原稿の搬送方向の下流側が下がるように傾斜した形状である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像読取部に光路を遮るゴミが堆積するのを防止するとともに、画像読取部における原稿のガイド機能を確保することができるので、読取画像の品質が低下するのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態である画像読取装置を説明するための概略斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】画像読取部の詳細断面図である。
【図4】画像読取部を搬送路側から見た斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態である画像読取装置における画像読取部周辺の断面図である。
【図6】可動ユニットを説明するための平面図である。
【図7】清掃ユニットを説明するための斜視図である。
【図8】凹部を説明するための斜視図である。
【図9】清掃手段の変形例を説明するための断面図である。
【図10】清掃手段の変形例を説明するための斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態である画像読取装置の要部断面図である。
【図12】画像読取部と画像読取部の対向面との間に十分な距離がある場合、もしくは対向面が黒色である場合における、清掃タイミングの通知処理を説明するためのグラフ図である。
【図13】画像読取部と画像読取部の対向面との間に十分な距離がない場合、もしくは対向面が黒色以外である場合における、清掃タイミングの通知処理を説明するためのグラフ図である。
【図14】従来の画像読取装置に搭載される画像読取部の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態である画像読取装置を説明するための概略斜視図、図2は図1の平面図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態の画像読取装置100は、給紙部201に複数枚の原稿Sがその厚さ方向を略水平方向に向けた状態でセットされ、セットされた複数枚の原稿Sは押圧板202によりピックアップローラ205に押し付けられる。なお、本実施形態では、原稿Sを略垂直に立ててセットしているが、原稿Sの厚さ方向を略水平方向とする本発明には、原稿Sを垂直を0°として概ね40°までの範囲で搬送する場合も含まれるものとする。
【0018】
給紙部201にセットされた原稿Sは、原稿検知センサ203により検知されると、ピックアップローラ205により搬送面213に沿って給紙される。給紙された原稿Sは、フィードローラ206及びリタードローラ207により1枚ずつ分離されて搬送路に給送され、搬送路に給送された原稿は、搬送ローラ対208により一対の画像読取部110,120側に搬送される。一対の画像読取部110,120は、画像読取部110が画像読取部120より上流側に配置されている。
【0019】
画像読取部110の上流側の近傍には、原稿Sの先端を検知するレジストセンサ204が配置され、不図示の制御部は、レジストセンサ204の検知信号を基に、一対の画像読取部110,120の画像読取タイミングを調整する。そして、レジストセンサ204を通過した原稿Sは、一対の画像読取部110,120によって表裏の画像が読み取られ、その後、排紙ローラ対211によって排紙部212に排紙される。
【0020】
次に、図3及び図4を参照して、画像読取部110について説明する。図3は画像読取部110の下側から見た詳細断面図、図4は画像読取部110を搬送路側から見た斜視図である。なお、画像読取部120については、画像読取部110と左右が逆の構造であること以外は略同一であるため、その説明を省略する。
【0021】
図3及び図4に示すように、画像読取部110は、原稿に対向する側に開口部104aを有するセンサシャーシ104を備えており、開口部104aは、原稿Sの幅方向(図4の上下方向)の画像読取範囲より広い範囲に渡って形成されている。センサシャーシ104の開口部104aの搬送路上流側位置には、搬送路を搬送される原稿Sをガイドするガイド板106が搬送路に沿って取り付けられている。
【0022】
また、センサシャーシ104内には、照射ユニット103、ロッドレンズアレイ105、及びラインセンサ101が設けられている。
【0023】
ロッドレンズアレイ105は、原稿Sの幅方向の画像読取範囲より広い範囲に渡って原稿の幅方向に沿って延設されている。また、ロッドレンズアレイ105は、光軸が開口部104aを介して搬送路を搬送される原稿Sの読取面に対して略垂直となるように配置されている。ロッドレンズアレイ105の搬送路に近い方の端面、及び搬送路から遠い方の端面が、それぞれ搬送路に対して略平行になるように画像読取部110は配置されている。
【0024】
なお、センサシャーシ104とロッドレンズアレイ105の間にシーリング部材124を配置し、センサシャーシ104とロッドレンズアレイ105との隙間からラインセンサ101側にゴミが侵入するのを防止することが望ましい。このシーリング部材124は、弾性部材又は弾性部材と組み合わせた部材でもよく、粘着材等の不定形部材でも良い。
【0025】
照射ユニット103は、ロッドレンズアレイ105よりも搬送方向の上流側に配置され、開口部104aを介して搬送路を搬送される原稿Sの読取面に光を照射する。
【0026】
ラインセンサ101は、センサシャーシ104の搬送路から遠い方の端部に取り付けられた基板102に保持されており、かかる保持状態においては、ロッドレンズアレイ105の搬送路から遠い方の端面に対して対向するように配置されている。ロッドレンズアレイ105は、搬送路を搬送される原稿Sの像をラインセンサ101上に結像可能な合焦位置を有する。
【0027】
そして、照射ユニット103から開口部104aを介して搬送路を搬送される原稿Sの読取面に光が照射されると、その反射光が開口部104aを介してロッドレンズアレイ105により集光される。ロッドレンズアレイ105により集光された光は、ラインセンサ101に導かれて電気信号に変換され、これにより、原稿Sの画像が読み取られる。なお、本実施形態では、一対の画像読取部110,120を左右が逆であることを除き、同一構成としているが、いずれか一方の画像読取部を本実施形態とは異なる構成としてもよい。
【0028】
センサシャーシ104のロッドレンズアレイ105よりも搬送方向下流側の位置には、下流側になるにつれて次第に搬送路に近づく略垂直な壁面108が設けられている。壁面108の上流端は、ロッドレンズアレイ105の搬送路に近い方の端面近傍に配置され、壁面108の下流端は、搬送路近傍に配置されている。
【0029】
また、壁面108には、搬送路を搬送される原稿Sをガイドするリブ(突起部)107が、原稿Sの幅方向に所定の間隔で複数箇所突設されている。複数のリブ107は、図4に示すように、原稿Sの搬送方向の下流側ほど本装置の底部に近づくように傾斜させて配置されている。なお、リブ107の全体が傾斜している構造が好適であるが、少なくとも一部が傾斜している場合も本発明に含まれる。また、リブ107は、壁面108から遠くなるほど本装置の底部に近づくように傾斜させてもよく、このようにすると、リブ107へのゴミの付着、堆積が起きにくくなり、好適である。
【0030】
以上説明したように、本実施形態では、コンタクトガラスを全て除去して画像読取部110,120の原稿Sの画像読取位置に開口部104aを形成しているので、コンタクトガラスにゴミが付着、堆積して読取画像の品質が低下するのを回避することができる。
【0031】
また、開口部104aに原稿Sの搬送をガイドする複数のリブ107を設けているため、搬送不良等により原稿Sのたわみが生じて原稿Sの読取面がロッドレンズアレイ105の合焦位置からずれるのを防止でき、読取画像に歪が発生するのを回避できる。
【0032】
また、傾斜面108に設けられたリブ107は、原稿Sの搬送方向の下流側ほど下がるように傾斜させて配置されているので、リブ107に付着しようとするゴミを落下させることができる。これにより、画像読取部110,120の開口部104aにゴミが堆積するのを防止することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、図5〜図8を参照して、本発明の第2の実施形態である画像読取装置について説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複又は相当する部分については、各図に同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
図5は画像読取部110の周辺の断面図、図6は可動ユニットを説明するための平面図である。
【0035】
本実施形態の画像読取装置は、図5、図6及び図8に示すように、搬送面213における画像読取部110,120の設置領域に、凹部131が形成されている。そして、画像読取部110,120の各センサシャーシ104の下端が搬送面213よりも下方の位置にくるように画像読取部110,120は下部を凹部131内に差し込まれて配置される。凹部131には、画像読取部110,120のリブ107から落下したゴミが収容される。すなわち、画像読取部110,120は、下部が搬送面213よりも下方に突出するように配置される。
【0036】
また、本実施形態の画像読取装置には、図6に示すように、搬送路を開放状態にできるように可動ユニット140が回動可能に支持されている。可動ユニット140には、画像読取部120並びに該画像読取部120と同じ側のローラ群206,208,211及びレジストセンサ204が配置される。また、図6及び図7に示すように、可動ユニット140の下側部には、清掃ユニット132,133が設けられている。
【0037】
清掃ユニット132,133は、凹部131の底面に接触するブラシ等の清掃部材134を有しており、可動ユニット140の閉動作により凹部131に挿入され、可動ユニット140の開動作により凹部131から離脱する。これにより、凹部131に溜まったゴミをかき出して外部に排出することができる。
【0038】
図9及び図10は、清掃手段の変形例を示す図である。この変形例では、可動ユニット140の下方に凹部131に連通する開口部141を形成し、開口部141の反対側に設置されたファン等の送風装置135により凹部131に対して送風を行う。これにより、凹部131に溜まったゴミを外部に排出することができる。その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、図11〜図13を参照して、本発明の第3の実施形態である画像読取装置について説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複又は相当する部分については、各図に同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
本実施形態の画像読取装置は、図11に示すように、画像読取部110,120のロッドレンズアレイ105が、搬送面213よりも下方に延長配置されている。また、図示は省略するが、ロッドレンズアレイ105の延長に応じて、ラインセンサ101及び照明ユニット103も同様に延長配置されており、これらの延長部分を有効読取領域の延長部136とする。
【0041】
凹部131にゴミが無く、原稿Sが通過しない場合は、延長部136の照明ユニット103から照射された光の反射光量は極小さい。従って、延長部136のラインセンサ101からの出力は黒い色の原稿から画像を読み取った場合と略同じ出力になる。
【0042】
凹部131にゴミが堆積し始めると、延長部136の照明ユニット103からの照射光がゴミによって反射し、反射した光がロッドレンズアレイ105を通じてラインセンサ101に入る。これにより、延長部136のラインセンサ101からの出力は、黒画像出力から徐々に明るい画像出力へとゴミの堆積量に応じて変化する。
【0043】
従って、延長部136のラインセンサ101の出力に基づき、不図示の制御部は、凹部131のゴミの堆積状態を監視することができ、正確な清掃タイミングをユーザに知らせる事が可能になる。なお、この延長部136のラインセンサ101からの出力データは、画像データとして扱わないようにすることが好適である。
【0044】
図12は、画像読取部110,120と画像読取部110,120に対向する対向部材との間に十分な距離がある場合、もしくは対向部材が黒色である場合における、清掃タイミングの通知処理を説明するためのグラフ図である。
【0045】
図12(a)は、凹部131にゴミがない場合の延長部136のラインセンサ101からの出力データの一例を示すグラフ図である。図12(b)は、凹部131にゴミが溜まっている場合の延長部136のラインセンサ101からの出力に基づく画素データの一例を示すグラフ図である。図12(a)及び図12(b)において、横軸は延長部136のラインセンサ101の受光素子の位置を示し、横軸の原点は搬送面213に相当する。
【0046】
図12(a)では、凹部131にゴミがないため、照明ユニット103から照射された光は反射されないので、ラインセンサ101に殆ど入射せず、ラインセンサ101の延長部136に対応する画素近傍で微増減する程度しか変化しない。図12(b)では、凹部131でのゴミの増加と共に、照明ユニット103から照射されゴミにより反射された反射光のラインセンサ101への入射量が増え、延長部136に対応する画素データが増大しているのが判る。
【0047】
図12(c)は、延長部136のラインセンサ101からの出力に基づく画素データの平均値と凹部131でのゴミの堆積量との関係を示すグラフ図である。
【0048】
図12(c)から判るように、凹部131にゴミがない場合は、延長部136のラインセンサ101からの出力に基づく画素データの値は小さく、凹部131でのゴミの増加と共に延長部136に対応する画素データの平均値が増加する。
【0049】
ここで、画素データのとりうる範囲を例えば0〜255とすると、不図示の制御部は、ラインセンサ101の延長部136の出力に基づく画素データの平均値が例えば閾値150の一例の数値である128を越えた場合に、清掃要求の通知を行うか、又は画像読取動作を停止する。なお、清掃要求の通知は、例えば不図示の表示部に表示される。これにより、画像読取部110,120のリブ107から凹部131に落下したゴミが画像読取部110,120に読み取られないようにすることができる。
【0050】
図13は、画像読取部110,120と画像読取部110,120の対向面との間に十分な距離がないか、もしくは対向面が黒色以外である等の、対向面等からの反射を考慮する必要がある場合における、清掃タイミングの通知処理を説明するためのグラフ図である。
【0051】
図13(a)は、凹部131にゴミがない場合の延長部136のラインセンサ101からの出力に基づく画素データの一例を示すグラフ図である。図13(b)は、凹部131にゴミがある場合の延長部136のラインセンサ101からの出力に基づく画素データの一例を示すグラフ図である。図13(a)及び図13(b)において、横軸は延長部136のラインセンサ101の受光素子の位置を示し、横軸の原点は搬送面213に相当する。
【0052】
図13(a)では、凹部131にゴミがない場合で、照明ユニット103から照射された光は対向面で反射してラインセンサ101に入射し、ラインセンサ101からの出力データが略一定に推移しているのが判る。
【0053】
ここで、対向面からの反射光の強度に対してゴミからの反射光の強度が強ければ、容易に判別できる。しかし、黒色のゴミも存在し、対向面より反射率が低いゴミの場合もある。このため、図13(b)では、ゴミが増加するに従って、円筒部136に対応する各画素データにバラツキが発生し、ゴミの増加と画素データの平均値とに比例関係が無い。
【0054】
そこで、この例では、延長部136に対応する画素データに関して、隣接する画素データの差分値を求め、この差分値の絶対値の平均値を用いる。
【0055】
図13(c)は、延長部136に対応する部分における隣接する画素データの差分値の絶対値の平均値と凹部131でのゴミの堆積量との関係を示すグラフ図である。
【0056】
図13(c)に示すように、画素データのとりうる範囲を例えば0〜255とし、隣接する画素データの差分値の絶対値を平均した値が例えば閾値151の一例の数値である100を越えた場合に、不図示の制御部は、清掃要求の通知を行うか、または、画像読取動作を停止する。なお、清掃要求の通知は、例えば不図示の表示部に表示される。これにより、画像読取部110,120のリブ107から凹部131に落下したゴミが画像読取部110,120に読み取られないようにすることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、ロッドレンズアレイ105、ラインセンサ101及び照明ユニット103の延長部136がある場合を例示したが、図5に示すように、延長部136がない場合でも清掃タイミングの通知処理を行うことができる。
【0058】
この場合、ロッドレンズアレイ105は、搬送面213と略同等の位置まで有効読取領域を持つ。原稿Sを搬送していない状態で、且つ搬送面213にゴミがない状態では、対向部材が黒色である等の場合、照明ユニット103の照明光はほとんど反射されないため、搬送面213の近傍に位置するラインセンサ101の受光画素には、僅かな光しか入射しない。従って、ラインセンサ101の出力に基づく画素データは微小な値となる。
【0059】
これに対して、搬送面213に達するまでにゴミが溜まった状態では、照明ユニット103の照明光をゴミが反射し始める為、搬送面213の近傍に位置するラインセンサ101の受光素子には多少の光が入射する。このときのラインセンサ101の出力に基づく画素データの変化により、不図示の制御部がゴミの存在を検出して、不図示の表示部に清掃要求の通知表示を行うか、または、画像読取動作を停止する。その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0060】
なお、本発明の構成は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0061】
例えば、本発明における演算や判断等の処理の一部又は全てをハードウェアによる処理に置き換えてもよい。また、本発明における演算や判断等の処理は、画像読取装置に各種インターフェース、無線インターフェース、光インターフェース等を介して接続されたPC等の外部装置において実行してもよい。この場合、画像読取装置と外部装置とを含むシステムが本発明の画像読取装置に相当する。また、上記各実施形態の構成要素を他の実施形態に追加してもよく、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 画像読取装置
101 ラインセンサ
102 基板
103 照明ユニット
104 センサシャーシ
104a 開口部
105 ロッドレンズアレイ
106 ガイド板
107 リブ
108 傾斜面
110 画像読取部
120 画像読取部
201 給紙部
202 押圧板
203 原稿検知センサ
204 レジストセンサ
205 ピックアップローラ
206 フィードローラ
207 リタードローラ
208 搬送ローラ対
211 排紙ローラ対
212 排紙部
213 搬送面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向を略水平方向に向けた状態の原稿を搬送する搬送路と、該搬送路を搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部とを備える画像読取装置であって、
前記画像読取部は、前記搬送路を向く側に開口する開口部と、該開口部に配置され、前記搬送路を搬送される原稿をガイドする複数の突起部と、を有し、該突起部の少なくとも一部は、原稿の搬送方向の下流側が下がるように傾斜した形状である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記開口部は、原稿の幅方向の画像読取範囲より広い範囲で形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記開口部に、原稿の搬送方向のより下流側の部分ほど前記搬送路により近づく略垂直の壁面を有し、前記突起部は前記壁面に配置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記突起部は、その先端部が、原稿の搬送方向のより下流側の部分ほど前記搬送路により近づく形状を有する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
原稿の搬送面における前記画像読取部の設置領域に、前記突起部から落下したゴミを収容する凹部が形成され、前記画像読取部の下端が前記搬送面より下方に突出して前記凹部に配置される、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記凹部に堆積したゴミを清掃する清掃手段を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記画像読取部を用いて前記搬送面の近傍にて読み取られた画素データに基づき、前記凹部のゴミの堆積状態を監視する監視手段を備える
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記画像読取部の有効読取領域を前記搬送面より下方に延長配置し、該画像読取部の前記搬送面よりも下方の読取領域で読み取られた画素データに基づき、前記凹部のゴミの堆積状態を監視する監視手段を備える
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−260692(P2010−260692A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113289(P2009−113289)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】