説明

画像読取装置

【課題】画像読取面の汚れている部分をユーザーに通知するための技術を提供する。
【解決手段】原稿を読み取るための画像読取面を備える画像読取装置は、原稿がない状
態で画像データを読み取り、前記画像データを用いて異常画素を検知し、当該異常画素を
前記画像読取面の汚れの位置として特定し、前記汚れの位置を示す情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置の清掃に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナーを備える複合機やコピー機、スキャナー等の画像読取装置は、原稿とイメー
ジセンサーを隔てる画像読取面(例えば、コンタクトガラスと呼ばれる。)を、筐体に備
えている。画像読取面としては、原稿が載置され、イメージセンサーを移動させながら読
み取りを行うための画像読取面や、ADF(Auto Document Feeder)により搬送される原
稿を、イメージセンサーを移動させずに読み取りを行うための画像読取面がある。これら
の2つの画像読取面は一体となっている場合もある。
【0003】
上記のような画像読取面は、指紋などの汚れが付着することがある。このような汚れは
、読み取り画質に影響を与えることがある。そこで、原稿の読み取りの前に画像読取面の
汚れの有無を検知し、ユーザーに通知するという技術がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−68168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の従来技術は、汚れの有無(読み取り異常の有無)が検知され、その有
無がユーザーに通知されるだけである。そのため、ユーザーは、汚れに関する詳しい情報
(例えば、汚れの位置、汚れの大きさ)を何ら知ることができず、画像読取面のどこを清
掃すべきかの判断をすることが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、画像読取面の汚れている部分をユーザーに通知するための技術を提
供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、原稿を読み取るための画像読取面を備
える画像読取装置であって、原稿がない状態で画像データを読み取る読取手段と、前記画
像データを用いて異常画素を検知し、当該異常画素を前記画像読取面の汚れの位置として
特定する検知手段と、前記汚れの位置を示す情報を出力する出力手段と、を有する。
【0008】
ここで、上記の画像読取装置において、前記出力手段は、前記画像読取面を示す画像と
ともに、前記汚れの位置を示す画像を出力する、ようにしてもよい。
【0009】
また、上記の画像読取装置において、前記画像読取面として、原稿を載せるための第1
の画像読取面およびADF用の第2の画像読取面の少なくとも一方を備え、前記読取手段
は、前記第1の画像読取面もしくは前記第2の画像読取面に対応する画像データを読み取
り、前記出力手段は、前記第1の画像読取面を示す画像もしくは前記第2の画像読取面を
示す画像とともに、前記汚れの位置を示す画像を出力する、ようにしてもよい。
【0010】
また、上記のいずれかの画像読取装置において、ディスプレイおよび印刷部の少なくと
も一方を備え、前記出力手段は、前記汚れの位置を示す情報を、前記ディスプレイに表示
、もしくは、前記印刷部に印刷させる、ようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の一例である画像読取装置のハードウェアの概略構成を示すブロック図。
【図2】スキャナーおよび画像読取面を説明する図。
【図3】画像読取装置の異常検知処理に関連するコントローラーの機能構成の一例を示すブロック図。
【図4】画像読取装置における異常検知処理を示すフロー図。
【図5】異常画素位置と出力画像(通常の画像読取面)の一例を説明する図。
【図6】異常画素位置と出力画像(ADF用の画像読取面)の一例を説明する図。
【図7】異異常画素位置と出力画像(通常およびADF用の画像読取面)の一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の一例である画像読取装置1のハードウェアの概略構成を
示すブロック図である。図2は、スキャナー20の画像読取面を説明する図である。本実
施形態の画像読取装置1は、スキャン機能および印刷機能を有する、いわゆるコピー機で
ある。
【0014】
画像読取装置1は、コントローラー10と、スキャナー20と、印刷エンジン30と、
操作パネル40とを有する。
【0015】
コントローラー10は、CPU11と、RAM12と、ROM13、メモリー制御AS
IC(Application Specific Integrated Circuit)14と、スキャナー制御ASIC1
5と、印刷制御ASIC16と、入出力(I/O)制御ASIC17と、ネットワークイ
ンターフェイス(I/F)18とを有する。
【0016】
CPU11は、所定のプログラムを実行して、画像読取装置1の各種機能を制御する。
RAM12は、データおよびプログラム等を一時的に記憶する揮発性メモリーであり、例
えば、SDRAMである。ROM13は、データやプログラム等を格納している不揮発性
メモリーであり、例えば、フラッシュメモリーである。ROM13は、メモリー制御AS
IC14ではなく、I/O制御ASIC17に接続されていてもよい。
【0017】
メモリー制御ASIC14は、接続されているRAM12およびROM13へのアクセ
スを制御するユニットである。メモリー制御ASIC23は、例えば、スキャナー制御A
SIC15から出力された画像データを、RAM12に格納する。また、例えば、RAM
12に格納された画像データを、印刷制御ASIC16に出力する。また、例えば、ネッ
トワークI/F18およびI/O制御ASIC17を介してネットワーク上のホストPC
から送られてきた、印刷対象の画像データをRAM12に格納する。
【0018】
スキャナー制御ASIC15は、スキャナー20による画像読み取りを制御し、コント
ローラー10において処理可能な形式の画像データを生成するユニットである。スキャナ
ー制御ASIC15は、例えば、スキャナー20が有するイメージセンサー、モーター、
A/D変換器、ADFなどを制御して、原稿の画像読み取りを行う。また、例えば、スキ
ャナー20から出力された画像データに、所定の画像処理(例えば、シェーディング補正
、ガンマ補正など)を施し、RAM12に出力する。
【0019】
印刷制御ASIC16は、印刷エンジン30において処理可能な印刷データを生成し、
印刷エンジン30による印刷を制御するユニットである。印刷制御ASIC16は、例え
ば、RAM12から画像データを読み出し、所定の画像処理(例えば、色変換、圧縮、伸
張、2値化)を施して印刷データを生成する。そして、生成した印刷データを印刷エンジ
ン30に送信して印刷を実行させる。
【0020】
I/O制御ASIC17は、I/O装置やI/F装置を制御するユニットである。I/
O装置としては、例えば、操作パネル40、ハードディスク装置等がある。I/F装置と
しては、ネットワークI/F18、USBI/F、パラレルI/F等がある。I/O制御
ASIC17は、例えば、ネットワークI/F18を介して受信した画像データを、RA
M12にDMA(Direct Memory Access)転送する。また、例えば、操作パネル40から
出力される信号をCPU11に転送したり、CPU11から送られた描画データを操作パ
ネル40に転送したりする。
【0021】
ネットワークI/F18は、ホストPCなどのネットワーク上の装置と各種データの送
受信を行うユニットである。ネットワークI/F18は、例えば、ホストPCから受信し
た印刷ジョブをRAM12に転送する。
【0022】
スキャナー20は、筐体の上面に画像読取面を備えたいわゆるフラットベッド型イメー
ジスキャナーである。また、スキャナー20は、ADFを備える。すなわち、ADFを使
用しない場合、スキャナー20は、画像読取面上に固定された原稿に下から光を当てて、
イメージセンサーを移動させながら画像を読み取る。また、ADFを使用する場合、スキ
ャナー20は、イメージセンサーを所定の位置に固定し、ADFにより原稿を搬送しなが
ら画像を読み取る。
【0023】
以下、図2を参照しながらスキャナー20について説明する。スキャナー20および画
像読取面を説明する図である。図2(A)は、画像読取装置1を副走査方向と直交する方
向(主走査方向)から見た図である。図2(B)は、原稿台60をZ方向から見た図であ
る。
【0024】
スキャナー20は、被読取媒体である原稿を載せるための上向きの原稿台60と、原稿
台60を上から覆うカバー63とを備える。また、カバー63の開閉状態を検出する開閉
センサー(不図示)を有する。カバー63は、原稿台60にヒンジ機構を介して結合して
おり、開閉可能である。原稿台60には、原稿を載置するための透明な画像読取面61と
、ADF70により搬送された原稿を読み取るための透明なADF用画像読取面62が設
けられている。本実施形態では、画像読取面61とADF用画像読取面62は、別々に構
成されている。
【0025】
また、ADF用画像読取面62の上側に、カバー63と一体となってADF70が設け
られている。ADF70は、読み取り対象の原稿を載せるための給紙トレイ71、ADF
70内部に形成された搬送路72、給紙トレイ71上の原稿を搬送路72に沿って搬送し
て排紙トレイ74へ排出するための複数の搬送ローラー73、排紙された原稿を載せるた
めの排紙トレイ74、上記の各ローラーを回転させる駆動モーター(不図示)、給紙トレ
イ71に原稿が載せられているか否かを検出する原稿センサー(不図示)等を有する。
【0026】
また、スキャナー20は、原稿台60の下に、イメージセンサー52、光源ランプ(不
図示)、イメージセンサー52および光源ランプを搭載したキャリッジ51、キャリッジ
51の往復移動をモーターにより制御するキャリッジ駆動部53、イメージセンサー52
からのアナログ信号をデジタル信号に変換してコントローラー10へ出力するA/D変換
器54、画像読取面61に原稿が載せられているか否かを検出する原稿センサー(不図示
)等を有する。
【0027】
キャリッジ51は、イメージセンサー52を副走査方向およびその逆方向に運搬する。
キャリッジ51は、画像読取面61およびADF用画像読取面62に対し平行なガイド用
のシャフト等にスライド自在に取り付けられており、キャリッジ駆動部53のモーターに
より回転するベルトにより牽引され、往復移動をする。ADF70により原稿を搬送させ
ながら読み取りを行う場合、キャリッジ51は、ADF用画像読取面62の下の所定位置
に固定される。
【0028】
図1に戻って、印刷エンジン30は、印刷制御ASIC16から供給されたデータを、
印刷媒体に印刷するユニットである。印刷エンジン30は、例えば、トナーカートリッジ
、感光体ドラム、レーザー光照射機構、転写機構、紙送り機構、給排紙機構などを有する
レーザー方式のエンジンである。もちろん、印刷エンジン30は、レーザー方式に限られ
ず、インクジェット方式であってもよい。
【0029】
操作パネル40は、ユーザーと画像読取装置1との間の入出力インターフェイスとして
、画像読取装置1の筐体に設けられているユニットである。操作パネル40は、例えば、
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ(Electro-Lumine
scence Display)などのディスプレイと、タッチパネルと、ハードスイッチ等を有する。
【0030】
ディスプレイは、コントローラー10で生成されたグラフィックス情報を表示するユニ
ットである。タッチパネルは、ディスプレイの表示面に貼られた透過性のあるパネルであ
る。タッチパネルは、ディスプレイに表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を
特定し、タッチ位置を座標に変換してコントローラー10に出力する。タッチパネルは、
感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。ハードスイッチは、例えば、
ダイヤルスイッチ、スクロールキー、キーボード、ボタンなどである。
【0031】
上記の画像読取装置1の構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明
したのであって、上記に限られない。また、一般的な画像読取装置が備える他の構成を排
除するものではない
【0032】
図3は、画像読取装置の異常検知処理に関連するコントローラーの機能構成の一例を示
すブロック図である。
【0033】
本図に示すように、コントローラー10は、異常検知部100、画像読取部110、検
知結果出力部120を有する。これらの機能部は、例えば、CPU11がROM13から
RAM12にロードした所定のプログラムを実行することにより実現される。この所定の
プログラムは、例えば、インターネットなどのネットワークからインストールもしくは更
新可能であってもよい。
【0034】
異常検知部100は、画像読取装置1における異常検知処理を制御する。
【0035】
具体的には、異常検知部100は、ユーザーにより清掃モードが設定された場合に、異
常検知処理を実行する。ここで、「清掃モード」は、画像読取面61およびADF用画像
読取面62の少なくとも一方について汚れを検知し、汚れの位置を示す情報を出力するモ
ードである。なお、「清掃モード」に対し、画像読取装置1における通常の機能(例えば
、スキャン、コピー、プリント等)を実行するための「通常モード」がある。
【0036】
異常検知部100は、例えば、操作パネル40や、ネットワークに接続されたホストP
Cのドライバープログラム、等を介して、清掃モードの設定を受け付けることができる。
なお、異常検知部100は、清掃モードの設定の際、異常検知処理の対象である画像読取
面(画像読取面61およびADF用画像読取面62の少なくとも一方)と、異常検知結果
の出力方法(印刷もしくは表示)との設定をユーザーから受け付ける。
【0037】
異常検知部100は、異常検知処理を開始した場合、カバー63(図2参照)が閉じら
れていること、および画像読取面61に原稿が載せられていないことをチェックし、その
後、画像読取部110に画像読取処理を要求する。このとき、異常検知処理の対象である
画像読取面(画像読取面61およびADF用画像読取面62の少なくとも一方)を示す情
報を、画像読取部110に通知する。
【0038】
異常検知部100は、画像読取処理が終了した場合、画像読取部110により読み取ら
れた画像読取面の画像データをRAM12から取得し、当該画像データを解析して異常画
素の位置を特定する。そして、異常画素の位置を、画像読取面上の汚れの位置として特定
する。
【0039】
ここで、異常画素の位置の特定方法について、図5および図6を参照しながら説明する
。画像読取面に汚れが付着していない場合、原稿がない状態で読み取られた画像データに
含まれる各画素の階調値は、所定の範囲内(例えば、予め測定した全画素の階調値の平均
値を基準として上下に所定範囲内)に属する。しかし、画像読取面に汚れ付着している場
合、汚れはその周辺と色などが異なるため、画像読取面の汚れの位置に対応する画素の階
調値は、上述した所定の範囲外に属することとなる。
【0040】
そこで、本実施形態では、異常検知部100は、画像読取面の画像データを解析し、階
調値が所定の範囲外である画素を特定し、その画素の位置を、画像読取面上の汚れの位置
として特定する。例えば、カバー63の画像読取面61側の色が白である場合、汚れの位
置に対応する画素の階調値は、周辺よりも低くなるため、その画素の位置に汚れが付着し
ていると判定することができる。異常検知部100は、特定した汚れの位置を示す情報を
RAM12に格納する。なお、異常画素の検知方法は、上記に限定されるものではない。
【0041】
異常検知部100は、画像読取面の汚れを検知した場合、検知結果出力部120に検知
結果の出力を要求する。このとき、異常検知処理の対象である画像読取面(画像読取面6
1およびADF用画像読取面62の少なくとも一方)を示す情報と、出力方法(印刷もし
くは表示)を示す情報とを、検知結果出力部120に通知する。
【0042】
画像読取部110は、異常検知部100の要求に応じて、画像読取処理を行う。なお、
画像読取部110は、スキャナー制御ASIC16を制御して画像読取処理を実行する。
【0043】
具体的には、画像読取面61について画像読取処理が要求された場合、画像読取部11
0は、通常モードで原稿を読み取るのと同様に、キャリッジ51を副走査方向に移動させ
ながら画像の読み取りを行う。この場合、画像読取部110は、画像読取装置1が読み取
り可能な最大の領域の画像データを読み取る。ADF用画像読取面62について画像読取
処理が要求された場合、画像読取部110は、通常モードでADF70を用いて原稿を読
み取るのと同様に、キャリッジ51をADF用画像読取面62の下の所定位置に固定した
まま画像の読み取りを行う。この場合、画像読取部110は、ADF70を停止したまま
とする。また、画像読取部110は、読み取った画像データをRAM12に格納する。
【0044】
検知結果出力部120は、異常検知部100の要求に応じて、画像読取面61およびA
DF用画像読取面62の少なくとも一方について、汚れの位置を示す情報を出力(印刷も
しくは表示)する。なお、検知結果出力部120は、印刷制御ASIC16を制御して汚
れの位置を示す情報を印刷する。また、操作パネル40を制御して汚れの位置を示す情報
を表示する。
【0045】
具体的には、検知結果出力部120は、RAM12に格納された、汚れの位置を示す情
報を用いて、予め用意された画像読取面の形状を示す画像に、汚れの位置を示す画像を組
み合わせた画像データを生成する。そして、出力方法として印刷が指定されている場合、
検知結果出力部120は、生成した画像データを印刷媒体へ印刷する。出力方法として表
示が指定されている場合、生成した画像データを操作パネル40のディスプレイに表示す
る。なお、汚れの位置を示す画像は、例えば、円形のマークのイメージデータである。ま
た、汚れの位置を示す画像は、検知された異常画素の集合の大きさ(面積)と同等でなく
てもよい。すなわち、ユーザーが汚れのおおよその位置を認識し易いように、例えば、実
際に検知された異常画素の集合の大きさよりも大きい画像を、汚れの位置を示す画像とし
て用いることができる。
【0046】
以上の各構成要素は、画像読取装置1の構成を理解容易にするために、主な処理内容に
応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限され
ることはない。画像読取装置1の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分
類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類す
ることもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし
、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0047】
次に、図4〜図7を参照して、画像読取装置1において実現される特徴的な異常検知処
理について説明する。
【0048】
図4は、画像読取装置1における異常検知処理を示すフロー図である。本フローは、画
像読取装置1の通常モードにおいて繰り返し実行される。
【0049】
S10では、異常検知部100は、清掃モードが設定されたか否かを判定する。具体的
には、異常検知部100は、操作パネル40を介してユーザーが「清掃モード」を設定し
たか否かを判定する。なお、ユーザーにより指定された所定時間(例えば、1ヶ月)毎に
、清掃モードが自動的に設定されるようにしてもよい。
【0050】
清掃モードが設定された場合(S10:YES)、異常検知部100は、処理をS20
に進める。清掃モードが設定されていない場合(S10:NO)、異常検知部100は、
本フローを終了する。なお、清掃モードの設定の際、異常検知処理の対象である画像読取
面(画像読取面61およびADF用画像読取面62の少なくとも一方)と、異常検知結果
の出力方法(印刷もしくは表示)とが、ユーザーにより設定される。
【0051】
S20では、異常検知部100は、カバー63が閉じられた状態であるか否か、また、
原稿が原稿台60に置かれているか否か、を判定する。具体的には、異常検知部100は
、スキャナー20の開閉センサーの出力信号を参照して、カバー63が閉じられているか
否かを判定する。また、異常検知部100は、スキャナー20の画像読取面61の原稿セ
ンサーの出力信号を参照して、画像読取面61に原稿が置かれているか否かを判定する。
【0052】
カバー63が開いている状態、および原稿が画像読取面61に置かれている状態、の少
なくとも一方の状態である場合(S20:NO)、異常検知部100は、処理をS30に
進める。カバー63が閉じられた状態、かつ原稿が画像読取面61に置かれていない状態
の場合(S20:YES)、異常検知部100は、画像読取部110に画像読取処理を要
求し、処理をS40に進める。
【0053】
S30では、異常検知部100は、原稿を原稿台から取り除き、かつカバーを閉じるよ
うにユーザーを促すメッセージを出力する。具体的には、異常検知部100は、例えば「
原稿を取り除き、カバーを閉じてください。」などと、原稿を画像読取面61から取り除
いてカバー63を閉じるようにユーザーを促すメッセージを、操作パネル40のディスプ
レイに表示する。そして、異常検知部100は、処理をS20に戻す。
【0054】
S40では、画像読取部110は、画像読取処理を行う。具体的には、画像読取部11
0は、異常検知部100から通知された画像読取面(画像読取面61およびADF用画像
読取面62の少なくとも一方)について、スキャナー制御ASIC16を制御して画像読
み取りを行う。また、画像読取部110は、読み取った画像データをRAM12に格納す
る。そして、処理をS50に進める。
【0055】
S50では、異常検知部100は、読み取られた画像データに基づいて異常画素を検知
する。具体的には、S40で画像読取部110により読み取られた画像データをRAM1
2から取得し、当該画像データを解析して異常画素の位置(汚れの位置)を特定する。ま
た、特定した汚れの位置を示す情報をRAM12に格納する。そして、処理をS60に進
める。
【0056】
S60では、異常検知部100は、読み取られた画像データに異常があったか否かを判
定する。具体的には、S50で汚れの位置が少なくとも1つ以上特定されたか否かを判定
する。異常があった場合(S60:YES)、異常検知部100は、検知結果出力部12
0に異常の検知結果の出力を要求し、処理をS70に進める。異常がなかった場合(S6
0:NO)、異常検知部100は、本フローを終了する。なお、「汚れは発見されません
でした。清掃モードを終了します。」などと、清掃モードを終了するメッセージをディス
プレイに表示するようにしてもよい。
【0057】
S70では、検知結果出力部120は、検知された異常箇所の出力を行う。具体的には
、検知結果出力部120は、S50で異常検知部100により検知された画像読取面の汚
れの位置を示す情報をRAM12から取得する。また、異常検知部100から通知された
画像読取面(画像読取面61およびADF用画像読取面62の少なくとも一方)に対応す
る、予め用意された画像読取面の形状を示す画像に、汚れの位置を示す情報に基づく汚れ
の位置を示す画像を組み合わせ、出力のための画像データを生成する。そして、異常検知
部100から通知された出力方法(印刷または表示)に応じて、生成した画像データを印
刷もしくは表示する。そして、処理をS80に進める。
【0058】
ここで、画像読取面の汚れの位置の出力画像例を、図5〜図7を参照して説明する。
【0059】
異常検知処理の対象が画像読取面61である場合(図5)、検知結果出力部120は、
画像読取面61に対応する形状の画像500に、異常画素の位置情報に基づいて特定され
た画像読取面61上の汚れの位置を示す画像510を組み合わせた画像データを生成する
。そして、検知結果出力部120は、生成した画像データに基づいて、印刷もしくは表示
を行う。
【0060】
異常検知処理の対象がADF用画像読取面62である場合(図6)、検知結果出力部1
20は、ADF用画像読取面62に対応する形状の画像600に、異常画素の位置情報に
基づいて特定されたADF用画像読取面62上の汚れの位置を示す画像510を組み合わ
せて画像データを生成する。そして、検知結果出力部120は、生成した画像データに基
づいて、印刷もしくは表示を行う。
【0061】
異常検知処理の対象として画像読取面61およびADF用画像読取面62が設定されて
いる場合(図7)、検知結果出力部120は、画像読取面61に対応する画像500とA
DF用画像読取面62に対応する画像600とを、原稿台60における実際の位置関係と
なるように並べて、画像データを生成すればよい。
【0062】
上記のようにして出力された画像読取面上の汚れの位置情報を見ることにより、ユーザ
ーは、汚れの位置を認識し、布などで清掃を行うことができる。
【0063】
図4に戻って、S80では、異常検知部100は、清掃モードが終了したか否かを判定
する。具体的には、異常検知部100は、操作パネル40を介してユーザーが「清掃モー
ド」の終了を指示したか否かを判定する。清掃モードの終了の指示を検知した場合(S8
0:YES)のみ、異常検知部100は、本フローを終了する。
【0064】
以上の図4の各ステップは、画像読取装置1の処理を理解容易にするために、主な処理
内容に応じて分割したものである。ステップの分割の仕方や名称によって、本願発明が制
限されることはない。画像読取装置1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くのステッ
プに分割することもできる。また、1つのステップがさらに多くの処理を含むように分割
することもできる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本実施形態によれば、画像読取面の汚れ
ている部分をユーザーに通知することができる。
【0066】
すなわち、本実施形態では、画像読取装置は、原稿がない状態で画像データの読み取り
を行い、異常画素の位置を特定する。また、特定した異常画素の位置情報に基づいて、画
像読取面における汚れの位置を示す情報を出力する。このような構成により、ユーザーは
、汚れに関する詳しい情報を知ることができ、画像読取面のどこを清掃すべきかを簡単に
判断することができる。
【0067】
なお、上記の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定
するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。
【0068】
例えば、画像読取装置1は、イメージセンサー自体の異常を検知して、その検知結果を
出力するようにしてもよい。具体的には、通常、故障したセンサー素子により読み取られ
た画素の階調値は、周辺と異なる。そのため、一部のセンサー素子が故障した状態で画像
データの読み取りを行った場合、副走査方向に延びる線状のノイズが画像データ中に発生
する。そこで、異常検知部100は、線状に並ぶ異常画素が画像データにあるか否かを解
析する。そして、線状に並ぶ異常画素が画像データにある場合、検知結果出力部120は
、汚れの位置を示す画像データを出力するとともに、イメージセンサーの故障を示す情報
を出力する。
【0069】
また、例えば、画像読取装置1は、清掃モードの終了の際に、再度異常画素の検知を行
っても良い。具体的には、異常検知部100は、清掃モードの終了を指示された場合に(
S80:YES)、S40に処理を戻す。このようにすれば、画像読取面に汚れが残りに
くくなる。
【0070】
なお、本発明は、上記の実施形態のコピー機に限られず、スキャナー(スキャナー単体
)、複合機、ファクシミリなどの画像読取装置にも適用することができる。また、本発明
は、ADF機能を有さない画像読取装置にも適用できる。また、本発明は、原稿を置くた
めの画像読取面を有さない、すなわち、ADF機能のみを有する画像読取装置にも適用で
きる。
【符号の説明】
【0071】
1:画像読取装置、10:コントローラー、11:CPU、12:RAM、13:ROM
、14:メモリー制御ASIC、15:スキャナー制御ASIC、16:印刷制御ASI
C、17:I/O制御ASIC、18:ネットワークI/F、20:スキャナー、30:
印刷エンジン、40:操作パネル、51:キャリッジ、52:イメージセンサー、53:
キャリッジ駆動部、54:A/D変換器、60:原稿台、61:画像読取面、62:AD
F用画像読取面、63:カバー、71:給紙トレイ、72:搬送路、73:搬送ローラー
、74:排紙トレイ、100:異常検知部、110:画像読取部、120:検知結果出力
部、500:画像、510:画像、600:画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取るための画像読取面を備える画像読取装置であって、
原稿がない状態で画像データを読み取る読取手段と、
前記画像データを用いて異常画素を検知し、当該異常画素を前記画像読取面の汚れの位
置として特定する検知手段と、
前記汚れの位置を示す情報を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記出力手段は、前記画像読取面を示す画像とともに、前記汚れの位置を示す画像を出
力する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記画像読取面として、原稿を載せるための第1の画像読取面およびADF用の第2の
画像読取面の少なくとも一方を備え、
前記読取手段は、前記第1の画像読取面もしくは前記第2の画像読取面に対応する画像
データを読み取り、
前記出力手段は、前記第1の画像読取面を示す画像もしくは前記第2の画像読取面を示
す画像とともに、前記汚れの位置を示す画像を出力する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項に記載の画像読取装置であって、
ディスプレイおよび印刷部の少なくとも一方を備え、
前記出力手段は、
前記汚れの位置を示す情報を、前記ディスプレイに表示、もしくは、前記印刷部に印刷
させる、
ことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−29880(P2011−29880A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172866(P2009−172866)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】