説明

画像読取装置

【課題】狭いスペースから装置全体を取り出すことなく良好な作業性で原稿をセットし、利用する。
【解決手段】複合機1のスキャナ部2は、原稿MSに記録された画像を読み取るCISユニットと、原稿MSをCISユニットへ搬送する分離ローラ31等を備えたADF本体27、及び、分離ローラ31等により搬送される原稿MSがセットされるとともに、前後方向に沿ってADF本体27から引き出し可能に構成された給紙トレイ22、を備えたADF5と、を有する。また、ADF5は、給紙トレイ22を備えるとともに、前後方向に沿ってADF本体27から引き出し可能に構成されたトレイユニット10を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿に記録された画像の読み取りを行う画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿に記録された画像の読み取りを行う画像読取装置として、例えば特許文献1に記載の従来技術がある。この従来技術の複合機は、画像読取装置としてのスキャナ部を備えている。このスキャナ部の原稿押さえカバーには、原稿搬送部としてのAuto Documento Feeder(ADF)が備えられていると共に、給紙トレイ及び排紙トレイが設けられている。ADFの内部に形成された所定の搬送路には、搬送手段としての、吸入ローラ、吸入ニップ片、分離ローラ、分離ニップ片、搬送ローラ、及びピンチローラが配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−311175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ユーザによっては、上記従来技術のように画像読取装置を搭載した装置、又は、画像読取装置自体を、原稿の搬送方向、具体的には、ADFにより給紙トレイから原稿が引き込まれる方向に沿った寸法が小さい狭いスペースに置いて使用する場合があり得る。このような場合、上記搬送方向に沿って原稿を給紙トレイへセットすることは困難であり、ユーザが当該狭いスペースから装置全体を取り出して原稿をセットする必要があるため、良好な作業性を得ることは困難であった。上記従来技術においても、上記のような狭いスペースに装置が置かれている状況において、当該狭いスペースから装置全体を取り出すことなく、良好な作業性で原稿をセットして利用することについては、特に考慮されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、狭いスペースから装置全体を取り出すことなく良好な作業性で原稿をセットし、利用することができる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、原稿に記録された画像を読み取る画像読取手段と、前記原稿を前記画像読取手段へ搬送する搬送手段を備えた原稿搬送部本体、及び、前記搬送手段により搬送される前記原稿がセットされるとともに、前記搬送手段による原稿の搬送方向と交差する交差方向に沿って前記原稿搬送部本体から引き出し可能に構成された給紙トレイ、を備えた原稿搬送部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明においては、原稿が、給紙トレイにセットされると、原稿搬送部本体の搬送手段によって搬送される。搬送された原稿は、画像読取手段によって画像が読み取られる。
【0008】
ここで、ユーザによっては、例えば、上記搬送方向に沿った寸法が小さい狭いスペースに装置を置いて使用する場合があり得る。この場合、上記搬送方向に沿って原稿を給紙トレイへセットすることは難しい。そこで、本願第1発明では、給紙トレイを、原稿搬送部本体より上記搬送方向と交差する方向に引き出し可能に構成する。これにより、原稿をセットするときには、ユーザは、給紙トレイを原稿搬送部本体から引き出し方向手前側に引き出すことで、給紙トレイに原稿を容易にセットすることができる。このようにしてセットした後はユーザが給紙トレイを逆方向に原稿搬送部本体へと押し戻し、もとの位置に復帰させることで、上記の原稿搬送部本体による搬送、及び、原稿読取手段による画像読取が実行される。
【0009】
したがって、上記のような狭いスペースに装置が置かれている状況であっても、ユーザは、当該狭いスペースから装置全体を取り出すことなく良好な作業性で原稿をセットし、利用することができる。
【0010】
第2の発明は、上記第1発明において、前記原稿搬送部は、前記給紙トレイを備えるとともに、前記交差方向に沿って前記原稿搬送部本体から引き出し可能に構成されたトレイユニットを有することを特徴とする。
【0011】
本願第2発明においては、給紙トレイを備えたトレイユニットを、原稿搬送部本体より上記搬送方向と交差する方向に引き出し可能に構成する。これにより、原稿をセットするときには、ユーザは、トレイユニットを原稿搬送部本体から引き出し方向手前側に引き出すことで、トレイユニットの給紙トレイに原稿を容易にセットすることができる。
【0012】
第3の発明は、上記第2発明において、前記トレイユニットは、前記交差方向に沿った手前側に、ユーザが把持可能な取手を備えることを特徴とする。
【0013】
これにより、給紙トレイを備えたトレイユニットの引き出し作業が行いやすくなる。
【0014】
第4の発明は、上記第2又は第3発明において、前記トレイユニットは、前記給紙トレイの上部に配置されるとともに、前記搬送手段により搬送されるためにセットされる前記原稿の幅方向の両端部をガイドするサイドガイドと、前記サイドガイドと一体的に設けられるとともに、前記搬送手段により搬送され前記画像読取手段によって前記画像が読み取られた原稿が排出される排紙トレイと、を備えていることを特徴とする。
【0015】
画像読取装置が、給紙トレイが排紙トレイよりも下側に設けられ給紙トレイから上方の排紙トレイへと原稿が搬送される構造を備えている場合、当該装置が上記のような狭いスペースに配置されると、特に原稿の給紙トレイへのセットが困難である。したがって、このような構造において、上記引き出し可能なトレイユニットを設けることが特に効果的である。
【0016】
第5の発明は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記トレイユニットを、前記交差方向に沿って引き出し可能とするための引き出し機構を有することを特徴とする。
【0017】
これにより、原稿搬送部本体からのトレイユニットの引き出し動作を円滑に実行することができる。
【0018】
第6の発明は、上記第5発明において、前記引き出し機構は、前記原稿搬送部本体と一体的に構成され、前記トレイユニットの下方に位置するベース部と、前記ベース部に設けられ、前記トレイユニットの前記交差方向に沿った引き出し動作を許容するベース側凹部又はベース側凸部と、前記トレイユニットに設けられ、当該トレイユニットの前記交差方向に沿った引き出し動作を許容するように、前記ベース側凹部に係合するユニット側凸部、又は、前記ベース側凸部に係合するユニット側凹部、と、を有することを特徴とする。
【0019】
これにより、ベース部の凹部とトレイユニットの凸部との係合、又は、ベース部の凸部とトレイユニットの凹部との係合、を利用して、簡易な構造で引き出し機構を実現することができる。
【0020】
第7の発明は、上記第5又は第6発明において、前記搬送手段は、前記原稿の搬送経路の上流側部分に上下動可能に設けられ、前記給紙トレイにセットされている前記原稿を一枚ずつ搬送する搬送ローラを含み、前記トレイユニットは、前記引き出し機構による引き出し動作に連動して、前記搬送ローラを上昇可能な上昇手段を備えることを特徴とする。
【0021】
トレイユニットを原稿搬送部本体から引き出す際、原稿搬送部本体の搬送経路に備えられた搬送ローラが給紙トレイの一部と接触し、引き出しの妨げになる可能性がある。そこで、本願第7発明においては、引き出し機構を介したトレイユニットの引き出し動作に連動させて、上昇手段が搬送ローラを上昇させる。これにより、引き出し動作時の上記搬送ローラとの接触を回避可能となるので、トレイユニットをスムーズに引き出すことができる。
【0022】
第8の発明は、上記第7発明において、前記上昇手段は、前記トレイユニットが引き出されない状態では前記搬送ローラを通常位置とし、前記トレイユニットが所定量引き出された状態では前記搬送ローラを上昇位置に上昇させ、その後、少なくとも前記トレイユニットが最大に引き出された状態では前記搬送ローラを前記通常位置に復帰させるように、構成されていることを特徴とする。
【0023】
これにより、引き出し動作の途中での搬送ローラと給紙トレイとの接触の可能性があるときのみ、最小限、搬送ローラを上昇させることができる。
【0024】
第9の発明は、上記第8発明において、前記上昇手段は、前記給紙トレイの前記サイドガイドよりも搬送方向下流側において前記交差方向に沿って延設され、前記搬送ローラの支持部材に接触し前記搬送ローラを上下動するように案内するリブであることを特徴とする。
【0025】
リブを設けるという簡易な構成により搬送ローラを確実に上下動させ、給紙トレイとの接触を回避することができる。
【0026】
第10の発明は、上記第8又は第9発明において、前記トレイユニットは、
前記給紙トレイにセットされた原稿の搬送方向の先端部を位置決め可能に構成されるとともに、前記位置決め機能を果たす第1姿勢と前記位置決め機能を果たさない第2姿勢とに俯仰動可能に構成された先端ガイドを有し、前記引き出し機構は、前記トレイユニットが引き出されない状態では前記先端ガイドを前記第2姿勢とし、前記トレイユニットの引き出し動作に連動して、少なくとも前記トレイユニットが最大に引き出された状態では前記先端ガイドを前記第1姿勢とする、ガイド駆動手段を備えることを特徴とする。
【0027】
本願第10発明においては、トレイユニットに先端ガイドを設けている。これにより、トレイユニットを引き出して給紙トレイに原稿をセットする際、そのセットされた原稿の搬送方向の先端部を位置決めすることができる。但し、このようにしてトレイユニットに先端ガイドを設けると、搬送手段による原稿の搬送の際、先端ガイドが原稿の搬送の妨げになる可能性がある。
【0028】
そこで、本願第10発明においては、先端ガイドを俯仰動可能に構成する。そして、引き出し機構に設けたガイド駆動手段により、トレイユニットが引き出されない状態では先端ガイドを第2姿勢として位置決め機能を果たさない状態とし、上記原稿の搬送の妨げとなることの防止を図る。そして、ガイド駆動手段は、トレイユニットの引き出し動作に連動しつつ、トレイユニットが最大に引き出された状態では先端ガイドを第1姿勢として、位置決め機能を実行させる。
【0029】
以上のようにして、引き出されない状態時の原稿の搬送の妨げとなることを回避しつつ、トレイユニットの引き出し状態で先端ガイドによる原稿の位置決めを確実に実行することができる。
【0030】
第11の発明は、上記第10発明において、前記ガイド駆動手段は、前記先端ガイドに対し、前記第1姿勢となる向きへの付勢力を作用させるバネと、前記原稿搬送部本体側に前記交差方向に沿って延設され、前記トレイユニットが引き出されない状態では前記トレイユニット内に進入して前記付勢力に打ち勝つ押圧力を前記先端ガイドに作用させ前記第2姿勢とするとともに、前記トレイユニットの引き出し動作に連動して少なくとも前記トレイユニットが最大に引き出された状態では前記トレイユニットから離脱して前記押圧力の作用を消失させる、ユニット進入部材と、を有することを特徴とする。
【0031】
これにより、トレイユニットが引き出されない状態ではトレイユニットにユニット進入部材が進入して強い押圧力を作用させて先端ガイドを第2姿勢とし、上記原稿の搬送の妨げとなることの防止を確実に図ることができる。そして、トレイユニットが最大に引き出された状態では、ユニット進入部材がトレイユニットから離脱して先端ガイドをバネの付勢力により第1姿勢に復帰させ、位置決め機能を確実に実行させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、狭いスペースから装置全体を取り出すことなく良好な作業性で原稿をセットし、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】トレイユニットがADF本体から引き出されていない状態での、本発明の一実施の形態に係る画像読取装置を備えた複合機の外観概略構成を表す斜視図である。
【図2】トレイユニットがADF本体から所定量引き出された状態での、複合機の外観概略構成を表す斜視図である。
【図3】図1中のIII−III断面による縦断面図である。
【図4】図2中のIV−IV断面による縦断面図である。
【図5】図1中のV−V断面による横断面図である。
【図6】図2中のVI−VI断面による横断面図である。
【図7】トレイユニットがADF本体から引き出されていない状態での、フロントガイドの姿勢を表す説明図である。
【図8】トレイユニットがADF本体から最大に引き出された状態での、フロントガイドの姿勢を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各図内に「前」「後」「左」「右」「上」「下」の注記がある場合は、明細書中内の説明における、前方、後方、左方、右方、上方、下方とは、その注記された方向を指す。
【0035】
図1乃至図8に示すように、本実施形態に係る画像読取装置を備えた複合機1は、原稿MSに記録された画像を読み取るスキャナ機能、記録用紙に画像を記録するプリンタ機能、画像データを電送するファクシミリ機能の3つの機能を一体的に備えた多機能装置(Multi Function Device:MDF)である。この複合機1は、図1及び図2に示すように、概略的に幅の広い薄型の略直方体形状を備えており、上部に画像読取装置としてのスキャナ部2を、下部にプリンタ部3を一体的に備えている。
【0036】
スキャナ部2は、複合機1の筐体として構成された原稿載置台4と、この原稿載置台4に対して蝶番(図示せず)を介し開閉自在に取り付けられた原稿押さえカバー6とを有している。
【0037】
原稿載置台4には、その前方側に、Liquid Crystak Display(LCD)85や各種操作ボタン(図示せず)から構成される操作パネル7が設けられている。複合機1は、この操作パネル7からの指示によって動作する。また、複合機1は、例えば有線又は無線のLocal Area Network(LAN)等を介し接続されたコンピュータにインストールされたプリンタドライバやスキャナドライバ等を介し出力される指示によっても動作する。
【0038】
また、原稿載置台4の、上記原稿押さえカバー6と対向する天面には、スキャナ部2をFlatbed Scanner(FBS)として使用する場合に原稿MSがセットされる、透明なガラス板からなるプラテンガラス(図示せず)が配設されている。スキャナ部2においては、原稿押さえカバー6が開かれることにより、プラテンガラスが原稿載置台4の上面として露出され、原稿押さえカバー6が閉じられることにより、プラテンガラスを含めて原稿載置台4の上面全体が覆われる。また、原稿載置台4の内部には、上記プラテンガラスと対向するようにして、原稿MSに記録された画像を読み取る、画像読取手段としてのContact Image Sensor(CIS)ユニット(図示せず)を備えた画像読取ユニット(図示せず)が、配設されている。
【0039】
一方、原稿押さえカバー6には、図1及び図2に示すように、原稿搬送部としてのAuto Documento Feeder(ADF)5が設けられている。このADF5は、図1及び図2に示すように、原稿押さえカバー6と一体的に形成された原稿搬送部本体としてのADF本体27と、このADF本体27から、所定の引き出し方向である、後述の分離ローラ31等による原稿MSの搬送方向(具体的には、後述の給紙方向である左方向)と交差する方向、この例では前後方向に沿って引き出し可能に構成されたトレイユニット10とを有している。
【0040】
ADF本体27の内部には、図3及び図4に示すように、トレイユニット10の給紙トレイ22(後述)及び排紙トレイ23(後述)を連結するようにして、原稿MSの搬送経路26(矢印ア、イ、ウを参照)が形成されている。また、ADF本体27の内部には、図1乃至図6に示すように、原稿MSをガイドするガイド部材30が設けられている。ガイド部材30には、図3乃至図6に示すように、その前後方向に沿った略中央部の、上記搬送経路26の上流側部分に、上方に凹んだ凹部30Aが形成されている。この凹部30Aには、図示しないバネ部材により下方へ弾性付勢されると共に、前後方向に沿った所定の軸心AX2を中心に上下方向に揺動可能な、搬送ローラの支持部材としての揺動部材74が、配設されている。
【0041】
揺動部材74には、図3乃至図6に示すように、前後方向に沿った所定の軸心AX3を中心に回転可能な、搬送ローラとしての分離ローラ31が、そのローラ面の一部を上記凹部30Aから露出するようにして、この例では2つ取り付けられている。分離ローラ31は、搬送モータ(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって回転駆動され、トレイユニット10の給紙トレイ22(後述)にセットされている原稿MSを軸心AX3と交差する方向に沿って1枚ずつ搬送する。また、分離ローラ31は、上記揺動部材74が上下動した場合に、これに従動して上下動するように構成されている(詳細は後述)。
【0042】
また、特に図示はしていないが、上記搬送経路26には、その上流側部分に設けられた上記2つの分離ローラ31の他にも、トレイユニット10の給紙トレイ22(後述)にセットされた原稿MSを上記CISユニットへ搬送するローラやニップ片が、複数個配設されている。なお、上記2つの分離ローラ31、及び、搬送経路26に配設された図示しない各ローラや各ニップ片(以下適宜、これらを総称して「分離ローラ31等」と称する)が、各請求項記載の搬送手段に相当する。給紙トレイ22にセットされた原稿は、分離ローラ31等によって、当該分離ローラ31等の軸方向である前後方向と交差する方向に搬送される。なお、分離ローラ31等によって原稿MSが搬送される、前後方向と交差する方向は、搬送手段による原稿の搬送方向に相当する。すなわち、トレイユニット10の引き出し方向である前後方向は、搬送方向と交差する交差方向の一例に相当する。なお、トレイユニット10の引き出し方向、すなわち交差方向は、前後方向に限られない(詳細は後述)。
【0043】
また、原稿押さえカバー6には、図1乃至図6に示すように、上記トレイユニット10の下方に位置し、上記ADF本体27と一体的に構成されたベース部12が設けられている。ベース部12には、図1、図3、及び図4に示すように、下方に凹んだ前面視で倒立台形状の、ベース側凹部としての凹部13が設けられている。この凹部13は、トレイユニット10の前後方向に沿った引き出し動作を許容するための横向きの四角柱状の凹部である。
【0044】
一方、トレイユニット10には、図1乃至図4及び図6乃至図8に示すように、下方に突出した前面視で倒立台形状の、ユニット側凸部としての凸部14が設けられている。この凸部14は、トレイユニット10の前後方向に沿った引き出し動作を許容するための横向きの四角柱状の凸部であり、その左面14a側に、前後方向に沿って形成されたスリット73を備えている。また、この凸部14は、上記引き出し動作を許容するように、上記ベース部12の凹部13に係合する(図1、図3、及び図4を参照)。すなわち、トレイユニット10の凸部14と、上記ベース部12の凹部13とは、互いに係合する構造となっている。このような構造となっていることにより、トレイユニット10を、ADF本体27から前後方向に沿って引き出す又は押し込むことができ、左右方向に位置決めがなされるのである。したがって、ベース部12、このベース部12の凹部13、及び、トレイユニット10の凸部14は、トレイユニット10を、前後方向に沿って引き出し可能とするための機構、すなわち各請求項記載の引き出し機構の一部に相当する。
【0045】
また、トレイユニット10は、図7及び図8に示すように、給紙トレイ22と、ユーザが把持可能な取手11と、一対のサイドガイド24,24と、一対の排紙トレイ23,23と、リブであるローラリフター15と、一対の、先端ガイドとしてのフロントガイド16,16とを備えている。
【0046】
給紙トレイ22には、図1乃至図8に示すように、上記ADF本体27の内部の分離ローラ31等により搬送される原稿MSがセットされる。この例では、原稿MSの幅方向が、前後方向に沿うようにセットされる。すなわち、この給紙トレイ22には、ADF本体27を使用して搬送及び画像の読み取りを行う場合に原稿MSがセットされる。
【0047】
取手11は、図1、図2、図7、及び図8に示すように、トレイユニット10の前方側(交差方向に沿った手前側に相当)に、配設されている。
【0048】
一対のサイドガイド24は、図1、図2、図7、及び図8に示すように、上記給紙トレイ22の上部に、前後方向に隔てるように対向して配置されている。これら一対のサイドガイド24は、互いに協働して、上記分離ローラ31等により搬送されるために給紙トレイ22にセットされる原稿MSの幅方向の両端部、すなわち前端部及び後端部をガイドする。
【0049】
また、一対のサイドガイド24は、この例では、前後方向に沿ってスライド移動可能に構成されている。具体的には、これら一対のサイドガイド24は、周知の連動機構により、いずれか一方のサイドガイド24をスライド移動させると、他方のサイドガイド24も相反する方向にスライド移動するように構成されている。すなわち、原稿MSのサイズ(幅)に応じて、一対のサイドガイド24を互いに近づく方向、あるいは離れる方向にスライド移動させることにより、位置を調節することができる。
【0050】
一対の排紙トレイ23は、図1、図2、図7、及び図8に示すように、上記給紙トレイ22の上方に位置するようにして、上記一対のサイドガイド24と一体的に設けられている。この排紙トレイ23には、上記分離ローラ31等により上記搬送経路26に沿って搬送され、上記CISユニットによって画像が読み取られた原稿MSが排出される。すなわち、本実施形態における複合機1のスキャナ部2は、排紙トレイ23が給紙トレイ22よりも上側に(言い換えれば給紙トレイ22が排紙トレイ23よりも下側に)設けられ、下方の給紙トレイ22から上記搬送経路26を経て上方の排紙トレイ23へと原稿MSが搬送される構造を備えている。したがって、給紙トレイ22にセットされた原稿MSは、分離ローラ31等による搬送方向上流側(給紙トレイ22からADF本体27に引き込まれるとき)では、給紙方向(搬送方向の一例)である左方向に搬送され、分離ローラ31等による搬送方向下流側(ADF本体27から排紙トレイ23に排出されるとき)では、排紙方向(搬送方向の一例)である右方向に搬送される。
【0051】
また、ADF本体27から排出された原稿MSは、その前端部及び後端部が排紙トレイ23に担持されることによって、給紙トレイ22上の原稿MSと分離した状態で保持される。なお、排紙トレイ23は、この例では、その左右方向の寸法が原稿MSの左右方向の寸法よりも短くなっており、ADF本体27から排出された原稿MSの排紙方向である右方向の先端部、すなわち右端部は、当該排紙トレイ23から垂れ下がるようにして、給紙トレイ22上に保持される。したがって、給紙トレイ22上の原稿MSの給紙方向である左方向の後端部分、すなわち右端部分の上に、排紙トレイ23から垂れ下がった原稿MSの右端部分が重なることとなる。しかしながら、給紙トレイ22上の原稿MSの左端部分と、排紙トレイ23上の原稿MSの左端部分とが、当該給紙トレイ22及び排紙トレイ23により上下2段に保持されているので、これらの原稿MSが混同することはない。また、排紙トレイ23を短くすることにより、原稿押さえカバー6上に必要な空間を小さくして、複合機1を薄型かつ小型にすることができる。
【0052】
ローラリフター15は、図3乃至図8に示すように、上記給紙トレイ22の、上記サイドガイド24よりも左側(搬送方向下流側に相当)において、当該給紙トレイ22の後端部から前方側へ向かって前後方向に沿って延設されている。このローラリフター15は、上記ベース部12、凹部13、及び凸部14を介したトレイユニット10の引き出し動作に連動して、上記揺動部材74の先端部74Aに接触し、当該揺動部材74に取り付けられている上記分離ローラ31を上下動するように案内する。これは、トレイユニット10をADF本体27から引き出す際、分離ローラ31が給紙トレイ22の一部(又は給紙トレイ22にセットされている原稿MS)と接触して、引き出しの妨げになる可能性があり、これを回避可能とするためである。
【0053】
具体的には、図1に示すような、トレイユニット10がADF本体27から引き出されていない状態(言い換えればADF本体27に押し込まれている状態)では、ローラリフター15は、揺動部材74の先端部74Aに接触しない、言い換えれば先端部74Aを当該ローラリフター15の上に乗り上げさせないことにより、分離ローラ31を通常位置(図3及び図5に示す分離ローラ31の位置)とする。そして、トレイユニット10がADF本体27から引き出されていき(言い換えればトイレユニット10の引き出し動作に連動して)、所定量引き出された状態となった場合に、ローラリフター15は、後下側から上記先端部74Aに接触し、先端部74を当該ローラリフター15の上に乗り上げさせることにより、分離ローラ31を上記通常位置から一定量だけ高い位置である上昇位置(図4及び図6に示す分離ローラ31の位置)に上昇させる。その後、トレイユニット10がADF本体27から少なくとも最大に引き出された状態となるまで、この例ではADF本体27から一定量(ローラリフター15の最後部が分離ローラ31よりも前方側に至るまでの量)引き出された状態となるまでは、ローラリフター15は、先端部74を当該ローラリフター15の上に乗り上げさせておくことにより、分離ローラ31を上記上昇位置とする。そして、トレイユニット10がADF本体27からさらに引き出されていき、上記一定量以上引き出された状態となった場合に、ローラリフター15は、上記先端部74Aとの接触を解除する、言い換えれば先端部74を当該ローラリフター15の上から降ろすことにより、分離ローラ31を上記通常位置に復帰させる。すなわち、ローラリフター15は、トレイユニット10の引き出し動作に連動して、分離ローラ31を上昇可能な、各請求項記載の上昇手段に相当する。
【0054】
一対のフロントガイド16は、図2、図3、及び図6乃至図8に示すように、トレイユニット10の上記凸部14に配設されている。このフロントガイド16は、上記給紙トレイ22にセットされた原稿MSの左端部(搬送方向の先端部に相当)を位置決め可能に構成されるとともに、上記位置決め機能を果たす起立した姿勢である第1姿勢(図8に示すフロントガイド16の姿勢)と上記位置決め機能を果たさない前方側に転倒した姿勢である第2姿勢(図3及び図7に示すフロントガイド16の姿勢)とに俯仰動可能に構成されている。そして、このフロントガイド16は、その回転軸16Aが軸支持部17A,17Bにより所定の軸心AX1周りに回動可能に軸支されると共に、図示しないバネ(以下適宜、「フロントガイド用バネ」と称する)により、上記第1姿勢となる向きである上方へ弾性付勢されている。なお、図7及び図8においては、一対のフロントガイド16のうち、後方側に配設されたフロントガイド16及びその近傍の軸支持部17A,17B等については、符号を省略して図示している。
【0055】
フロントガイド用バネは、上記フロントガイド16に対し、上方への付勢力を作用させるバネである。
【0056】
また、ADF本体27には、図2乃至図4に示すように、トレイユニット10の上記凸部14の左面14aと左右方向に対向する位置に、ユニット進入部材としての爪部材75が、前後方向に沿って延設されている。この爪部材75は、上記凸部14の左面14a側に形成されたスリット73内に進入して、上記フロントガイド16を上記第2姿勢とする。
【0057】
具体的には、図1に示すような、トレイユニット10がADF本体27から引き出されていない状態では、爪部材75は、上記スリット73内に進入して、上記フロントガイド用バネによる上方への付勢力に打ち勝つ押圧力をフロントガイド16に作用させ、言い換えれば前方側へ向かってフロントガイド16を押圧して、フロンドガイド16を前方へ転倒させることにより、当該フロントガイド16を上記第2姿勢とする(図3及び図7を参照)。その後、トレイユニット10がADF本体27から引き出されていき、トレイユニット10がADF本体27から少なくとも最大に引き出された状態となるまで、この例ではADF本体27から一定量(フロントガイド16が爪部材75の前端部よりも前方側に至るまでの量)引き出された状態となるまでは、爪部材75は、その下面によりフロントガイド16を押圧して、フロントガイド16を転倒させておく(言い換えれば起立させないでおく)ことにより、当該フロントガイド16を上記第2姿勢とする。そして、トレイユニット10がADF本体27からさらに引き出されていき、上記一定量以上引き出された状態となった場合に、爪部材75は、上記スリット73から離脱して、上記押圧力の作用を消失させ、フロンドガイド16を起立させることにより、当該フロントガイド16を上記第1姿勢とする(図2、図6、及び図8を参照)。すなわち、爪部材75、スリット73、及びフロントガイド用バネは、各請求項記載の、ガイド駆動手段に相当すると共に、上記引き出し機構の一部にも相当する。
【0058】
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。すなわち、ユーザによっては、分離ローラ31等による原稿MSの搬送方向(具体的には給紙方向)である左方向に沿った寸法が小さい狭いスペースに複合機1を置いて使用する場合があり得る。この場合、複合機1の左右が壁等によって囲まれているため、当該左方向に沿って原稿MSを給紙トレイ22へセットすることは難しい。そこで、特に本実施形態では、給紙トレイ22を備えたトレイユニット10を、ADF本体27から左方向と交差する方向(上記の例では前後方向)に引き出し可能に構成する。これにより、原稿MSをセットするときには、ユーザは、トレイユニット10をADF本体27から引き出し方向手前側(上記の例では前方側)に引き出すことで、トレイユニット10の給紙トレイ22に原稿MSを容易にセットすることができる。このようにして給紙トレイ22に原稿MSをセットした後は、ユーザが給紙トレイ22を逆方向にADF本体27へと押し戻し、もとの位置に復帰させる。これにより、上記のADF本体27による搬送、及び、CISユニットによる画像読取が実行される。
【0059】
したがって、上記のような狭いスペースに複合機1が置かれている状況であっても、ユーザは、当該狭いスペースから複合機1全体を取り出すことなく良好な作業性で原稿MSをセットし、利用することができる。
【0060】
また、本実施形態では特に、トレイユニット10は、前方側に、ユーザが把持可能な取手11を備えている。これにより、給紙トレイ22を備えたトレイユニット10の引き出し作業が行いやすくなる。
【0061】
また、本実施形態では特に、複合機1のスキャナ部2は、給紙トレイ22が排紙トレイ23よりも下側に設けられ、下方の給紙トレイ22から上記搬送経路26を経て上方の排紙トレイ23へと原稿MSが搬送される構造を備えている。このような場合、複合機1が上記のような狭いスペースに配置されると、特に原稿MSの給紙トレイ22へのセットが困難である。したがって、このような構造において、上記引き出し可能なトレイユニット10を設けることが特に効果的である。
【0062】
また、本実施形態では特に、トレイユニット10を前後方向に沿って引き出し可能とするために、ベース部12と、このベース部12に設けられた凹部13と、この凹部13に係合するトレイユニット10の凸部14とを有している。これにより、ベース部12の凹部13とトレイユニット10の凸部14との係合を利用して、簡易な構造で引き出し機構を実現することができ、ADF本体27からのトレイユニット10の引き出し動作を円滑に実行することができる。
【0063】
また、本実施形態では特に、上記ベース部12、凹部13、及び凸部14を介したトレイユニット10の引き出し動作に連動させて、ローラリフター15が分離ローラ31を上昇させる。これにより、引き出し動作時の上記分離ローラ31との接触を回避可能となるので、トレイユニット10をスムーズに引き出すことができる。
【0064】
また、本実施形態では特に、ローラリフター15は、トレイユニット10が引き出されない状態では、分離ローラ31を上記通常位置とし(図3及び図5を参照)、トレイユニット10が所定量引き出された状態では、分離ローラ31を上記上昇位置に上昇させ(図4及び図6を参照)、その後、トレイユニット10が一定量以上引き出された状態では、分離ローラ31を上記通常位置に復帰させるように、構成されている。これにより、引き出し動作の途中での分離ローラ31と給紙トレイ22との接触の可能性があるときのみ、最小限、分離ローラ31を上昇させることができる。
【0065】
また、本実施形態では特に、ローラリフター15は、給紙トレイ22のサイドガイド24よりも左方側において前後方向に沿って延設され、上記揺動部材74の先端部74Aに接触し分離ローラ31を上下動するように案内するリブである。このようなリブを設けるという簡易な構成により、分離ローラ31を確実に上下動させ、給紙トレイ22との接触を回避することができる。
【0066】
また、本実施形態では特に、トレイユニット10にフロントガイド16を設けている。これにより、トレイユニット10を引き出して給紙トレイ22に原稿MSをセットする際、そのセットされた原稿MSの左端部を位置決めすることができる。但し、このようにしてトレイユニット10にフロントガイド16を設けると、分離ローラ31等による原稿MSの搬送の際、フロントガイド16が原稿MSの搬送の妨げになる可能性がある。そこで本実施形態では特に、フロントガイド16を俯仰動可能に構成する。そして、上記ベース部12、凹部13、及び凸部14に設けた爪部材75、スリット73、及びフロントガイド用バネにより、トレイユニット10が引き出されない状態では、フロントガイド16を上記第2姿勢として位置決め機能を果たさない状態とし(図7を参照)、上記原稿MSの搬送の妨げとなることの防止を図る。そして、トレイユニット10の引き出し動作に連動しつつ、トレイユニット10が最大に引き出された状態では、フロントガイド16を上記第1姿勢として(図8を参照)、位置決め機能を実行させる。
【0067】
以上のようにして、引き出されない状態時の原稿MSの搬送の妨げとなることを回避しつつ、トレイユニット10の引き出し状態でフロントガイド16による原稿MSの位置決めを確実に実行することができる。また特に、上記ベース部12、凹部13、及び凸部14が爪部材75、スリット73、及びフロントガイド用バネを備えていることにより、トレイユニット10が引き出されない状態では、トレイユニット10のスリット73に爪部材75が進入して強い押圧力を作用させてフロントガイド16を上記第2姿勢とし、上記原稿MSの搬送の妨げとなることの防止を確実に図ることができる。そして、トレイユニット10が最大に引き出された状態では、爪部材75がトレイユニット10のスリット73から離脱してフロントガイド16をフロントガイド用バネの付勢力により上記第1姿勢に復帰させ、位置決め機能を確実に実行させることができる。
【0068】
なお、以上においては、トレイユニット10の引き出し方向、すなわち交差方向を、前後方向としていたが、これに限られない。すなわち、交差方向は、分離ローラ31等による原稿MSの搬送方向(具体的には給紙方向である左方向)と交差する方向であればよく、例えば斜め前後方向でもよい。
【0069】
また、以上においては、ベース部12側に凹部13を設け、トレイユニット10側に凸部14を設けて、これら凹部13及び凸部14が係合することにより、トレイユニット10の引き出し動作を許容していたが、これに限られない。すなわち、ベース部12側に凸部(ベース側凸部に相当)を設け、トレイユニット10側に凹部(ユニット側凹部に相当)を設けて、これら凸部及び凹部が係合することにより、トレイユニット10の引き出し動作を許容するようにしてもよい。この場合には、ベース部12、このベース部12の凸部、及びトレイユニット10の凹部が、各請求項記載の引き出し機構に相当する。
【0070】
また、以上においては、給紙トレイ22、サイドガイド24、及び排紙トレイ23等を備えたトレイユニット10が、ADF本体27から引き出し可能に構成されていたが、これに限られない。すなわち、少なくとも給紙トレイが、ADF本体から引き出し可能に構成されていればよい。
【0071】
また、以上においては、本発明に係る画像読取装置が、スキャナ機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能の3つの機能を一体的に備えた複合機1のスキャナ部2として実現されているが、プリンタ機能やファクシミリ機能は本発明において任意の機構であり、例えば、スキャン機能のみのスキャナ単体として本発明に係る画像読取装置を実現してもよい。
【0072】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0073】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0074】
1 複合機
2 スキャナ部(画像読取装置)
5 ADF(原稿搬送部)
27 ADF本体(原稿搬送部本体)
10 トレイユニット
11 取手
12 ベース部
13 凹部(ベース側凹部)
14 凸部(ユニット側凸部)
15 ローラリフター(リブ、上昇手段)
16 フロントガイド(先端ガイド)
22 給紙トレイ
23 排紙トレイ
24 サイドガイド
26 搬送経路
31 分離ローラ(搬送ローラ)
73 スリット
74 揺動部材(搬送ローラの支持部材)
75 爪部材(ユニット進入部材)
MS 原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に記録された画像を読み取る画像読取手段と、
前記原稿を前記画像読取手段へ搬送する搬送手段を備えた原稿搬送部本体、及び、前記搬送手段により搬送される前記原稿がセットされるとともに、前記搬送手段による原稿の搬送方向と交差する交差方向に沿って前記原稿搬送部本体から引き出し可能に構成された給紙トレイ、を備えた原稿搬送部と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像読取装置において、
前記原稿搬送部は、
前記給紙トレイを備えるとともに、前記交差方向に沿って前記原稿搬送部本体から引き出し可能に構成されたトレイユニットを有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像読取装置において、
前記トレイユニットは、
前記交差方向に沿った手前側に、ユーザが把持可能な取手を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の画像読取装置において、
前記トレイユニットは、
前記給紙トレイの上部に配置されるとともに、前記搬送手段により搬送されるためにセットされる前記原稿の幅方向の両端部をガイドするサイドガイドと、
前記サイドガイドと一体的に設けられるとともに、前記搬送手段により搬送され前記画像読取手段によって前記画像が読み取られた原稿が排出される排紙トレイと、
を備えていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の画像読取装置において、
前記トレイユニットを、前記交差方向に沿って引き出し可能とするための引き出し機構を有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像読取装置において、
前記引き出し機構は、
前記原稿搬送部本体と一体的に構成され、前記トレイユニットの下方に位置するベース部と、
前記ベース部に設けられ、前記トレイユニットの前記交差方向に沿った引き出し動作を許容するベース側凹部又はベース側凸部と、
前記トレイユニットに設けられ、当該トレイユニットの前記交差方向に沿った引き出し動作を許容するように、前記ベース側凹部に係合するユニット側凸部、又は、前記ベース側凸部に係合するユニット側凹部、と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6記載の画像読取装置において、
前記搬送手段は、
前記原稿の搬送経路の上流側部分に上下動可能に設けられ、前記給紙トレイにセットされている前記原稿を一枚ずつ搬送する搬送ローラを含み、
前記トレイユニットは、
前記引き出し機構による引き出し動作に連動して、前記搬送ローラを上昇可能な上昇手段を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像読取装置において、
前記上昇手段は、
前記トレイユニットが引き出されない状態では前記搬送ローラを通常位置とし、前記トレイユニットが所定量引き出された状態では前記搬送ローラを上昇位置に上昇させ、その後、少なくとも前記トレイユニットが最大に引き出された状態では前記搬送ローラを前記通常位置に復帰させるように、構成されている
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像読取装置において、
前記上昇手段は、
前記給紙トレイの前記サイドガイドよりも搬送方向下流側において前記交差方向に沿って延設され、前記搬送ローラの支持部材に接触し前記搬送ローラを上下動するように案内するリブである
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9記載の画像読取装置において、
前記トレイユニットは、
前記給紙トレイにセットされた原稿の搬送方向の先端部を位置決め可能に構成されるとともに、前記位置決め機能を果たす第1姿勢と前記位置決め機能を果たさない第2姿勢とに俯仰動可能に構成された先端ガイドを有し、
前記引き出し機構は、
前記トレイユニットが引き出されない状態では前記先端ガイドを前記第2姿勢とし、前記トレイユニットの引き出し動作に連動して、少なくとも前記トレイユニットが最大に引き出された状態では前記先端ガイドを前記第1姿勢とする、ガイド駆動手段を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項10記載の画像読取装置において、
前記ガイド駆動手段は、
前記先端ガイドに対し、前記第1姿勢となる向きへの付勢力を作用させるバネと、
前記原稿搬送部本体側に前記交差方向に沿って延設され、前記トレイユニットが引き出されない状態では前記トレイユニット内に進入して前記付勢力に打ち勝つ押圧力を前記先端ガイドに作用させ前記第2姿勢とするとともに、前記トレイユニットの引き出し動作に連動して少なくとも前記トレイユニットが最大に引き出された状態では前記トレイユニットから離脱して前記押圧力の作用を消失させる、ユニット進入部材と、
を有することを特徴とする画像読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−74831(P2012−74831A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216985(P2010−216985)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】