説明

画素回路、表示装置およびその駆動方法ならびに電子機器

【課題】低コスト化および高画質化の両立を実現し得る画素回路、表示装置およびその駆動方法、ならびに電子機器を提供する。
【解決手段】走査線駆動回路23は、走査線WSL2に対してスイッチング制御パルスを印加することにより閾値補正補助トランジスタTr3をオン状態に設定するオン期間において、以下の動作を行う。走査線WSL1における電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化を、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2を介して駆動トランジスタTr2のゲートへ入力させ、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgを下げるゲート電位補正動作を行う。3値の電圧を用いることなく、駆動トランジスタTr2におけるソース電位Vsの過大な上昇に起因した不十分なVth補正動作を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を含む画素回路、そのような画素回路を用いて画像表示を行う表示装置およびその駆動方法、ならびにそのような表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示を行う表示装置の分野では、発光素子として、流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の光学素子、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた表示装置(有機EL表示装置)が開発され、商品化が進められている。
【0003】
有機EL素子は、液晶素子などと異なり自発光素子である。そのため、有機EL表示装置では光源(バックライト)が必要ないことから、光源を必要とする液晶表示装置と比べ、画像の視認性が高く、消費電力が低く、かつ素子の応答速度が速い。
【0004】
有機EL表示装置では、液晶表示装置と同様に、その駆動方式として、単純(パッシブ)マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とが挙げられる。前者は、構造が単純であるものの、大型かつ高精細の表示装置の実現が難しいなどの問題がある。そのため、現在では、後者のアクティブマトリクス方式の開発が盛んに行なわれている。この方式では、画素ごとに配した有機EL素子に流れる電流を、有機EL素子ごとに設けた駆動回路内の能動素子(一般にはTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ))によって制御するようになっている。
【0005】
ところで、一般に、有機EL素子の電流−電圧(I−V)特性は、時間の経過に従って劣化(経時劣化)することが知られている。有機EL素子を電流駆動する画素回路では、有機EL素子のI−V特性が経時変化すると、駆動トランジスタに流れる電流値が変化することから、有機EL素子自身に流れる電流値も変化し、それに応じて発光輝度も変化する。
【0006】
また、駆動トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μが経時的に変化したり、製造プロセスのばらつきによって、これら閾値電圧Vthや移動度μが画素回路ごとに異なったりする場合がある。駆動トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μが画素回路ごとに異なる場合には、駆動トランジスタに流れる電流値が画素回路ごとにばらつくことになる。そのため、駆動トランジスタのゲートに同じ電圧を印加しても、有機EL素子の発光輝度がばらつき、画面の一様性(ユニフォーミティ)が損なわれる。
【0007】
そこで、有機EL素子のI−V特性が経時変化したり、駆動トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μが経時変化したり画素回路ごとに異なったりしても、それらの影響を受けることなく、有機EL素子の発光輝度を一定に保つようにするための提案がなされている。具体的には、有機EL素子のI−V特性の変動に対する補償機能と、駆動トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μの変動に対する補正機能とを組み込んだ表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−33193号公報
【特許文献2】特許第4306753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、上記特許文献1で提案されている閾値電圧Vthの補正動作(Vth補正動作)では、そのようなVth補正動作が複数回に分けて行われている(分割Vth補正動作)。この場合、Vth補正動作が完全に行われていない(終了していない)段階では、駆動トランジスタにおけるゲート−ソース間電圧Vgsは、その閾値電圧Vthよりも大きくなっている(Vgs>Vth)。したがって、各分割Vth補正期間が短かったり、分割Vth補正期間同士の間の期間(Vth補正休止期間)が長かったりすると、このVth補正休止期間における駆動トランジスタのソース電位の上昇量が過剰に大きくなってしまう場合がある。
【0010】
すると、その後に再び分割Vth補正動作を行う際に、駆動トランジスタのゲート−ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vth未満となり(Vgs<Vth)、それ以降にVth補正動作が正常に行われなくなってしまう。その結果、Vth補正動作が完全に行われる前に終了してしまう(不十分となってしまう)ことから、結局、画素ごとの発光輝度のばらつきが残ってしまうことになる。特に、高速な表示駆動を行う場合には、1水平期間(1H期間)の長さが短くなることから、それに伴ってVth補正を行う時間も短くなるため、このような問題は顕著に現れる。
【0011】
そこで、例えば特許文献2には、このような問題の対応策となる手法が提案されている。具体的には、まず、各分割Vth補正動作の終了時に、信号線に印加する電圧を、所定の基準電圧よりも更に低い電位とする。これにより、駆動トランジスタのゲート電位が、上記基準電圧からその低電位へと低下するため、その直後のVth補正休止期間において、駆動トランジスタのゲート−ソース間電圧Vgsが、その閾値電圧Vth未満となる(Vgs<Vth)。そして、その後の分割Vth補正期間において、駆動トランジスタのゲート電位を再び上記基準電位に設定することにより、正常なVth補正動作を再度行うようにする。この手法により、Vth補正休止期間において、上記した駆動トランジスタのソース電位の上昇量が過剰に大きくなってしまう問題を回避することが可能となる。
【0012】
ところが、この特許文献2の手法では、信号線に対して3値の電圧を印加する(信号電圧として、映像信号電圧、上記基準電圧および上記低電位3値の電圧を用いる)必要が生じることから、駆動回路(特に信号線駆動回路)の耐圧が従来よりも高くなってしまう。一般的に、駆動回路(ドライバ)の耐圧が高くなるとそれに伴って製造コストも上昇してしまうため、この手法は、低コスト化という観点では改善の余地があった。
【0013】
なお、これまで説明した問題は、有機EL表示装置だけには限られず、自発光素子を用いた他の表示装置においても同様に発生し得るものである。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、低コスト化および高画質化の両立を実現し得る画素回路、表示装置およびその駆動方法ならびに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の画素回路は、発光素子と、第1ないし第3のトランジスタと、保持容量素子としての第1の容量素子と、第2の容量素子とを含んだものである。ここで、第1のトランジスタのゲートは、所定のオン電圧およびオフ電圧からなる選択パルスが印加される第1の走査線に接続されている。第1のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方は、所定の基準電圧と映像信号電圧とが交互に印加される信号線に接続されると共に、他方が、第2のトランジスタのゲートおよび第1の容量素子の一端にそれぞれ接続されている。第2のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方は、発光素子の発光動作および消光動作を制御するための電源制御パルスが印加される電源線に接続されると共に、他方は第1の容量素子の他端および発光素子のアノードにそれぞれ接続されている。発光素子のカソードは固定電位に設定されている。第3のトランジスタおよび第2の容量素子は、第1のトランジスタのゲートと第2のトランジスタのゲートとの間に直列接続されると共に、第3のトランジスタのゲートは、この第3のトランジスタのオン・オフ状態を制御するためのスイッチング制御パルスが印加される第2の走査線に接続されている。
【0016】
本発明の表示装置は、各々が、発光素子と、第1ないし第3のトランジスタと、保持容量素子としての第1の容量素子と、第2の容量素子とを含む画素回路を有する複数の画素と、各画素に接続された第1および第2の走査線、信号線ならびに電源線と、第1の走査線に対して、複数の画素を順次選択するために用いられると共に所定のオン電圧およびオフ電圧からなる選択パルスを印加する一方、第2の走査線に対して、第3のトランジスタのオン・オフ状態を制御するためのスイッチング制御パルスを印加する走査線駆動回路と、信号線に対して、所定の基準電圧と映像信号電圧とを交互に印加することにより、走査線駆動回路により選択された画素に対して映像信号の書き込みを行う信号線駆動回路と、電源線に対して、発光素子の発光動作および消光動作を制御するための電源制御パルスを印加する電源線駆動回路とを備えたものである。ここで、画素回路において、第1のトランジスタのゲートは第1の走査線に接続されている。第1のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方は信号線に接続されると共に、他方は、第2のトランジスタのゲートおよび第1の容量素子の一端にそれぞれ接続されている。第2のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方は電源線に接続されると共に、他方は第1の容量素子の他端および発光素子のアノードにそれぞれ接続されている。発光素子のカソードは固定電位に設定されている。第3のトランジスタおよび第2の容量素子は、第1のトランジスタのゲートと第2のトランジスタのゲートとの間に直列接続されると共に、第3のトランジスタのゲートは第2の走査線に接続されている。
【0017】
本発明の電子機器は、上記本発明の表示装置を備えたものである。
【0018】
本発明の画素回路、表示装置および電子機器では、画素回路が上記した回路構成となっていることにより、例えば、第2の走査線に対して上記スイッチング制御パルスが印加されることによって第3のトランジスタがオン状態に設定されるオン期間において、第1の走査線におけるオン電圧からオフ電圧への電圧変化を、第3のトランジスタおよび第2の容量素子を介して第2のトランジスタのゲートへ入力させる動作を実現し得る。このような動作により、この第2のトランジスタのゲート電位を下げるゲート電位補正動作を行うことが可能となる。したがって、第2のトランジスタにおけるゲート−ソース間電圧(Vgs)を小さくすることができ、例えば、第2のトランジスタに対して少なくとも1回の閾値補正動作を行う際に、この第2のトランジスタにおけるソース電位の過大な上昇に起因した不十分な閾値補正動作が回避され得る(十分な(正常な)閾値補正動作が実行され得る)。また、このようなゲート電位補正動作を、第1の走査線におけるオン電圧からオフ電圧への電圧変化(2つの電圧間の電圧変化)を用いて実現することになるため、従来のように3値の電圧を用いる(例えば、信号線に対して3値の電圧を印加する)必要がなくなる。
【0019】
本発明の表示装置の駆動方法は、各々が、発光素子と、第1ないし第3のトランジスタと、保持容量素子としての第1の容量素子と、第2の容量素子とを含む画素回路を有すると共に、第1および第2の走査線、信号線ならびに電源線に接続された複数の画素を表示駆動する際に、第1の走査線に対して、複数の画素を順次選択するために用いられると共に所定のオン電圧およびオフ電圧からなる選択パルスを印加しつつ、信号線に対して所定の基準電圧と映像信号電圧とを交互に印加することにより、選択された画素に対して映像信号の書き込みを行い、電源線に対して電源制御パルスを印加することにより、発光素子の発光動作および消光動作を制御し、第2の走査線に対して所定のスイッチング制御パルスを印加することによって第3のトランジスタをオン状態に設定するオン期間において、第1の走査線におけるオン電圧からオフ電圧への電圧変化を、第3のトランジスタおよび第2の容量素子を介して第2のトランジスタのゲートへ入力させることにより、この第2のトランジスタのゲート電位を下げるゲート電位補正動作を行うようにしたものである。
【0020】
本発明の表示装置の駆動方法では、第2の走査線に対して上記スイッチング制御パルスを印加することによって第3のトランジスタがオン状態に設定されるオン期間において、第1の走査線におけるオン電圧からオフ電圧への電圧変化が、第3のトランジスタおよび第2の容量素子を介して第2のトランジスタのゲートへ入力される。これにより、この第2のトランジスタのゲート電位を下げるゲート電位補正動作が行われる。したがって、第2のトランジスタにおけるゲート−ソース間電圧(Vgs)が小さくなり、例えば、第2のトランジスタに対して少なくとも1回の閾値補正動作を行う際に、この第2のトランジスタにおけるソース電位の過大な上昇に起因した不十分な閾値補正動作が回避される(十分な(正常な)閾値補正動作が実行される)。また、このようなゲート電位補正動作を、第1の走査線におけるオン電圧からオフ電圧への電圧変化(2つの電圧間の電圧変化)を用いて実現しているため、従来のように3値の電圧を用いる(例えば、信号線に対して3値の電圧を印加する)必要がなくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画素回路、表示装置およびその駆動方法ならびに電子機器によれば、上記した第2のトランジスタのゲート電位を下げるゲート電位補正動作を行うことにより、従来のように3値の電圧を用いることなく、第2のトランジスタにおけるソース電位の過大な上昇に起因した不十分な閾値補正動作を回避することができる。よって、駆動回路の耐圧を上げることなく画素ごとの発光輝度のばらつきを抑えることができ、低コスト化および高画質化の両立を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の一例を表す構成図である。
【図2】図1に示した各画素の内部構成の一例を表す回路図である。
【図3】第1の実施の形態に係る表示装置の動作の一例を表すタイミング波形図である。
【図4】図3に示した表示装置の動作の際の動作状態の一例を表す回路図である。
【図5】図4に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図6】図5に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図7】表示装置におけるI−V特性の経時劣化について説明するための特性図である。
【図8】図6に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図9】駆動トランジスタにおけるソース電位の時間変化の一例を表す特性図である。
【図10】図8に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図11】図10に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図12】図11に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図13】駆動トランジスタにおけるソース電位の時間変化と移動度との関係の一例を表す特性図である。
【図14】図12に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図15】比較例1〜4に係る表示装置における各画素の内部構成を表す回路図である。
【図16】比較例1に係る表示装置の動作を表すタイミング波形図である。
【図17】比較例2に係る表示装置の動作を表すタイミング波形図である。
【図18】第2の実施の形態に係る表示装置の動作の一例を表すタイミング波形図である。
【図19】図18に示した表示装置の動作の際の動作状態の一例を表す回路図である。
【図20】図19に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図21】図20に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図22】図21に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図23】図22に続く動作状態の一例を表す回路図である。
【図24】比較例3に係る表示装置の動作を表すタイミング波形図である。
【図25】比較例3に係る表示装置において複数の電源線を共通化した場合の表示画像の一例を表す模式図である。
【図26】比較例4に係る表示装置の動作を表すタイミング波形図である。
【図27】第2の実施の形態の表示装置において複数の電源線を共通化した場合の動作の一例を表すタイミング波形図である。
【図28】第3の実施の形態に係る表示装置の動作の一例を表すタイミング波形図である。
【図29】各実施の形態の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図30】各実施の形態の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図31】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図32】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図33】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図34】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(Vth補正動作の開始後にゲート電位補正動作を行う例)
2.第2の実施の形態(Vth補正動作の開始前にゲート電位補正動作を行う例)
3.第3の実施の形態(第1および第2の実施の形態を組み合わせた例)
4.モジュールおよび適用例
5.変形例
【0024】
<第1の実施の形態>
[表示装置の構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の概略構成をブロック図で表したものである。この表示装置1は、表示パネル10(表示部)および駆動回路20を備えている。
【0025】
(表示パネル10)
表示パネル10は、複数の画素11がマトリクス状に配置された画素アレイ部13を有しており、外部から入力される映像信号20Aおよび同期信号20Bに基づいて、アクティブマトリクス駆動により画像表示を行うものである。ここでは、各画素11は、赤色用の画素11R、緑色用の画素11Gおよび青色用の画素11Bにより構成されている。なお、以下では、画素11R,11G,11Bの総称として、画素11を適宜用いるものとする。
【0026】
画素アレイ部13はまた、各々が行状に配置された複数の走査線WSL1(第1の走査線)および複数の走査線WSL2(第2の走査線)と、列状に配置された複数の信号線DTLと、走査線WSL1,WSL2に沿って行状に配置された複数の電源線DSLとを有している。これらの走査線WSL1,WSL2、信号線DTLおよび電源線DSLの一端側はそれぞれ、後述する駆動回路20に接続されている。また、上記した各画素11R,11G,11Bは、各走査線WSL1,WSL2と各信号線DTLとの交差部に対応して、行列状に配置(マトリクス配置)されている。
【0027】
図2は、画素11R,11G,11Bの内部構成の一例を表したものである。画素11R,11G,11B内には、有機EL素子12R,12G,12B(発光素子)を含む画素回路14が設けられている。なお、以下では、有機EL素子12R,12G,12Bの総称として、有機EL素子12を適宜用いるものとする。
【0028】
画素回路14は、上記した有機EL素子12と、書き込み(サンプリング用)トランジスタTr1(第1のトランジスタ)と、駆動トランジスタTr2(第2のトランジスタ)と、閾値補正補助トランジスタTr3(第3のトランジスタ)と、保持容量素子C1(第1の容量素子)と、閾値補正補助容量素子C2(第2の容量素子)とを用いて構成されている。これらのうち、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2はそれぞれ、後述する閾値補正(Vth補正)の際に所定の補助動作(ゲート電位補正動作)を行うためのものである。ここで、書き込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および閾値補正補助トランジスタTr3はそれぞれ、例えば、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTにより形成されている。なお、TFTの種類は特に限定されるものではなく、例えば、逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)であってもよいし、スタガー構造(いわゆるトップゲート型)であってもよい。
【0029】
この画素回路14では、書き込みトランジスタTr1のゲートが走査線WSL1に接続され、ドレインが信号線DTLに接続され、ソースが、駆動トランジスタTr2のゲート、保持容量素子C1の一端および閾値補正補助容量素子C2の一端にそれぞれ接続されている。駆動トランジスタTr2のドレインは電源線DSLに接続され、ソースは、保持容量素子C1の他端および有機EL素子12のアノードにそれぞれ接続されている。閾値補正補助トランジスタTr3のゲートは走査線WSL2に接続され、ドレインは走査線WSL1および書き込みトランジスタTr1のゲートにそれぞれ接続され、ソースは閾値補正補助容量素子C2の他端に接続されている。すなわち、これらの閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2は、書き込みトランジスタTr1のゲートと駆動トランジスタTr2のゲートとの間に直列接続されている。有機EL素子12のカソードは固定電位に設定されており、ここではグランド線GNDに接続されることにより、グランド(接地電位)に設定されている。なお、この有機EL素子12のカソードは、各有機EL素子12の共通電極として機能しており、例えば、表示パネル10の表示領域全体に渡って連続して形成され、平板状の電極となっている。
【0030】
(駆動回路20)
駆動回路20は、画素アレイ部13(表示パネル10)を駆動する(表示駆動を行う)ものである。具体的には、詳細は後述するが、画素アレイ部13における複数の画素11(11R,11G,11B)を順次選択しつつ、選択された画素11に対して映像信号20Aに基づく映像信号電圧を書き込むことにより、複数の画素11に対する表示駆動を行っている。この駆動回路20は、図1に示したように、映像信号処理回路21、タイミング生成回路22、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25を有している。
【0031】
映像信号処理回路21は、外部から入力されるデジタルの映像信号20Aに対して所定の補正を行うと共に、補正した後の映像信号21Aを信号線駆動回路24に出力するものである。この所定の補正としては、例えば、ガンマ補正や、オーバードライブ補正などが挙げられる。
【0032】
タイミング生成回路22は、外部から入力される同期信号20Bに基づいて制御信号22Aを生成し出力することにより、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25がそれぞれ、連動して動作するように制御するものである。
【0033】
走査線駆動回路23は、制御信号22Aに従って(同期して)複数の走査線WSL1に対して選択パルスを順次印加することにより、複数の画素11(11R,11G,11B)を順次選択するものである。具体的には、書き込みトランジスタTr1をオン状態に設定するときに印加する電圧Von1(オン電圧)と、書き込みトランジスタTr1をオフ状態に設定するときに印加する電圧Voff1(オフ電圧)とを選択的に出力することにより、上記した選択パルスを生成している。なお、電圧Von1は、書き込みトランジスタTr1のオン電圧以上の値(一定値)となっており、電圧Voff1は、この書き込みトランジスタTr1のオン電圧よりも低い値(一定値)となっている。
【0034】
この走査線駆動回路23はまた、詳細は後述するが、制御信号22Aに従って(同期して)複数の走査線WSL2に対して所定のスイッチング制御パルスを順次印加することにより、閾値補正補助トランジスタTr3のオン・オフ状態を制御するようになっている。具体的には、閾値補正補助トランジスタTr3をオン状態に設定するときに印加する電圧Von2と、閾値補正補助トランジスタTr3をオフ状態に設定するときに印加する電圧Voff2とを選択的に出力することにより、上記したスイッチング制御パルスを生成している。これにより、後述するVth補正の際に、所定のゲート電位補正動作を行うようになっている。なお、電圧Von2は、閾値補正補助トランジスタTr3のオン電圧以上の値(一定値)となっており、電圧Voff2は、この閾値補正補助トランジスタTr3のオン電圧よりも低い値(一定値)となっている。
【0035】
信号線駆動回路24は、制御信号22Aに従って(同期して)、映像信号処理回路21から入力される映像信号21Aに対応するアナログの映像信号を生成し、各信号線DTLに印加するものである。具体的には、この映像信号21Aに基づくアナログの映像信号電圧を各信号線DTLに対して印加することにより、走査線駆動回路23により選択された(選択対象の)画素11(11R,11G,11B)に対して映像信号の書き込みを行うようになっている。なお、映像信号の書き込みとは、駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間に所定の電圧を印加することを意味している。
【0036】
この信号線駆動回路24は、映像信号20Aに基づく映像信号電圧Vsigと、基準電圧Vofsとの2種類の電圧を出力することが可能となっており、これらの2種類の電圧を、1水平(1H)期間ごとに交互に各信号線DTLに対して印加するようになっている。ここで、基準電圧Vofsは、有機EL素子12の消光時に、駆動トランジスタTr2のゲートに印加するための電圧である。具体的には、この基準電圧Vofsは、駆動トランジスタTr2の閾値電圧をVthとすると、(Vofs−Vth)が有機EL素子12における閾値電圧Vthelおよびカソード電圧Vcatを足し合わせた電圧値(Vthel+Vcat)よりも低い電圧値(一定値)となるように設定されている。
【0037】
電源線駆動回路25は、制御信号22Aに従って(同期して)、複数の電源線DSLに対して電源制御パルスを順次印加することにより、各有機EL素子12の発光動作および消光動作の制御を行うものである。具体的には、駆動トランジスタTr2に電流Idsを流すときに印加する電圧Vccと、駆動トランジスタTr2に電流Idsを流さないときに印加する電圧Vssとを選択的に出力することにより、上記した電源制御パルスを生成するようになっている。ここで、電圧Vssは、有機EL素子12における閾値電圧Vthelおよびカソード電圧Vcatを足し合わせた電圧値(Vthel+Vcat)よりも低い電圧値(一定値)となるように設定されている。一方、電圧Vccは、この電圧値(Vthel+Vcat)以上の電圧値(一定値)となるように設定されている。
【0038】
[表示装置の作用・効果]
続いて、本実施の形態の表示装置1の作用および効果について説明する。
【0039】
(1.表示動作の概要)
この表示装置1では、図1および図2に示したように、駆動回路20が、表示パネル10(画素アレイ部13)内の各画素11(11R,11G,11B)に対し、映像信号20Aおよび同期信号20Bに基づく表示駆動を行う。これにより、各画素11内の有機EL素子12へ駆動電流が注入され、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この発光による光は、有機EL素子12における陽極(図示せず)と陰極(図示せず)との間で多重反射され、陰極等を透過して外部に取り出される。その結果、表示パネル10において、映像信号20Aに基づく画像表示がなされる。
【0040】
(2.表示動作の詳細)
図3は、表示装置1における本実施の形態の表示動作の際(駆動回路20による表示駆動の際)の各種波形の一例を、タイミング図で表したものである。ここで、図3(A)〜(D)はそれぞれ、走査線WSL1、電源線DSL、走査線WSL2および信号線DTLの電圧波形を示している。具体的には、走査線WSL1の電圧が、電圧Voff1,Von1の間で周期的に変化している様子(図3(A))と、電源線DSLの電圧が、電圧Vcc,Vssの間で周期的に変化している様子(図3(B))と、走査線WSL2の電圧が、電圧Voff2,Von2の間で周期的に変化している様子(図3(C))と、信号線DTLの電圧が、基準電圧Vofsおよび映像信号電圧Vsigの間で周期的に変化している様子(図3(D))と、をそれぞれ示している。また、図3(E),(F)はそれぞれ、駆動トランジスタTr2におけるゲート電位Vgおよびソース電位Vsの波形を示している。
【0041】
(発光期間T0:t1以前)
まず、有機EL素子12の発光期間T0では、走査線WSL1,WSL2の電圧、電源線DSLの電圧および信号線DTLの電圧がそれぞれ、電圧Voff1,電圧Voff2,電圧Vcc,映像信号電圧Vsigとなっている(図3(A)〜(D))。したがって、図4に示したように、書き込みトランジスタTr1および閾値補正補助トランジスタTr3はそれぞれ、オフ状態に設定されている。このとき、駆動トランジスタTr2は飽和領域で動作するように設定されているため、この駆動トランジスタTr2および有機EL素子12に流れる電流Idsは、以下の(1)式で表すことができる。なお、この(1)式において、μ,W,L,Cox,Vgs,Vthはそれぞれ、駆動トランジスタTr2における移動度,チャネル幅,チャネル長,単位面積あたりのゲート酸化膜容量,ゲート−ソース間電圧(図4参照),閾値電圧を示している。
Ids=(1/2)×μ×(W/L)×Cox×(Vgs−Vth)2 ……(1)
【0042】
(Vth補正準備期間T1:t1〜t4)
次に、駆動回路20は、タイミングt1において発光期間T0を終了させると共に、各画素11内の駆動トランジスタTr2における閾値電圧Vthの補正(Vth補正)の準備を行う。具体的には、まず、タイミングt1において、電源線駆動回路25が、電源線DSLの電圧を電圧Vccから電圧Vssに下げる(図3(B))。すると、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが下降していき、最終的に、電源線DSLの電圧に対応する電圧Vssとなる(図3(F))。また、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgも、このようなソース電位Vsの下降に伴い、保持容量素子C1を介した容量カップリング(容量結合)によって下降する(図3(E),図5中の電流Ia参照)。このため、有機EL素子12のアノード電圧(電圧Vss)が、この有機EL素子12における閾値電圧Vthelとカソード電圧Vcatとを足し合わせた電圧値(Vthel+Vcat)よりも小さくなり、アノード−カソード間に電流Idsが流れなくなる。その結果、このタイミングt1以降、有機EL素子12が消光する(下記の消光期間T10へと移行する)。なお、タイミングt1から、後述する発光動作を開始するタイミングt14までの期間は、有機EL素子12が消光状態である消光期間T10となっている。
【0043】
次に、所定期間後(タイミングt1〜t2間において)、信号線駆動回路24が、信号線DTLの電圧を映像信号電圧Vsigから基準電圧Vofsに下げる(図3(D))。そして、走査線駆動回路23が、信号線DTLの電圧が基準電圧Vofsとなっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧Vssとなっている期間中のタイミングt2〜t3において、走査線WSL1の電圧を、電圧Voff1から電圧Von1へと上げた状態に設定する(図3(A))。これにより、図6に示したように、書き込みトランジスタTr1がオン状態となり、電流Ibが流れることによって、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgは、最終的に、このときの信号線DTLの電圧に対応する基準電圧Vofsとなる(図3(E))。そして、図3中に示したように、このときの駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgs(=Vofs−Vss)が、この駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthよりも大きくなることにより(Vgs>Vth)、後述するVth補正の準備が完了する。
【0044】
(Vofs抑え期間T2:t4〜t6)
次に、走査線駆動回路23は、信号線DTLの電圧が基準電圧Vofsとなっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧Vssとなっている期間中のタイミングt4において、走査線WSL1の電圧を、再び、電圧Voff1から電圧Von1へと上げた状態に設定する(図3(A))。また、その後のタイミングt5において、走査線駆動回路23は、走査線WSL2の電圧を、電圧Voff2から電圧Von2へと上げた状態に設定する(図3(C))。
【0045】
(1回目のVth補正期間T3:t6〜t7)
次に、駆動回路20は、駆動トランジスタTr2における1回目のVth補正を行う。このVth補正は、例えば図7に示したように、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthが、I−V特性の経時劣化等によって画素11ごとにばらついた場合であっても、有機EL素子12の発光輝度がばらついてしまうのを低減もしくは回避するためである。
【0046】
具体的には、まず、信号線DTLの電圧が基準電圧Vofsとなっており、かつ走査線WSL1,WSL2の電圧がそれぞれ電圧Von1,Von2となっている期間中のタイミングt6において、電源線駆動回路25が電源線DSLの電圧を、電圧Vssから電圧Vccに上げる(図3(B))。すると、図8に示したように、駆動トランジスタTr2のドレイン−ソース間に電流Icが流れ、ソース電位Vsが上昇する(図3(F),図9参照)。なお、図8に示したように、有機EL素子12は、ダイオード成分Diと容量成分Celとの並列回路によって等価回路を表すことができる。
【0047】
このとき、図9に示したように、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが、電圧値(Vofs(=Vg)−Vth)よりも低い場合(Vs<(Vg−Vth))、換言すると、ゲート−ソース間電圧Vgsが依然として閾値電圧Vthよりも大きい場合(Vgs>Vth;Vth補正がまだ完了していない場合)には、図8中に示した電流Icにより、保持容量素子C1の両端間の電圧が閾値電圧Vthとなるように充電される。すなわち、駆動トランジスタTr2がカットオフするまで(Vgs=Vthになるまで)、この駆動トランジスタTr2のドレイン−ソース間に電流Icが流れ、ソース電位Vsが上昇する(図3(F))。ただし、ここでは後述するように、Vgs=Vthとなる前に(Vs=(Vofs−Vth)となる前に)、Vth補正を一旦停止させている。
【0048】
この1回目のVth補正期間T3ではまた、図8に示したように、走査線WSL2の電圧がVon2となっているため、閾値補正補助トランジスタTr3もオン状態となっている。これにより、この閾値補正補助トランジスタTr3を介して閾値補正補助容量素子C2の他端側へと、電流Idが流れる。その結果、この閾値補正補助容量素子C2の他端側には、このときの走査線WSL1の電圧に対応する電圧Von1が充電される(図3(C)に示した第1のオン期間ΔT11)。また、この第1のオン期間ΔT11では、図8に示したように、閾値補正補助トランジスタTr3の一端側および駆動トランジスタTr2のゲートには、このときの信号線DTLの電圧に対応する基準電圧Vofsが印加(充電)されている。
【0049】
なお、その後は、信号線DTL、電源線DSLおよび走査線WSL2の電圧がそれぞれ、基準電圧Vofs,電圧Vcc,電圧Von2のまま保持されている期間中のタイミングt7において、走査線駆動回路23が走査線WSL1の電圧を、電圧Von1から電圧Voff1に下げる(図3(A))。これにより、図10に示したように、書き込みトランジスタTr1がオフ状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲートがフローティングとなり、Vth補正が一旦停止する(以下の1回目のVth補正休止期間T4へと移行する)。
【0050】
(1回目のVth補正休止期間T4:t7〜t8)
このVth補正休止期間T3では、上記のように書き込みトランジスタTr1がオフ状態となる一方、図10に示したように、閾値補正補助トランジスタTr3は依然としてオン状態となっている。また、上記したようにタイミングt7において、走査線WSL1の電圧が、電圧Von1から電圧Voff1へと下がるように電圧変化している。これにより、図中の矢印P1で示したように、この走査線WSL1における電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化が、駆動トランジスタTr2のゲートへと入力される(図3(C)に示した第2のオン期間ΔT12)。具体的には、この電圧変化が、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2を介して、容量結合(負のカップリング結合)により、駆動トランジスタTr2のゲートへと入力される。したがって、この駆動トランジスタTr2のゲート電位が、基準電圧Vofsから(Vofs−ΔV1)へと、電位差ΔV1の分だけ低下することになる(ゲート電位補正動作)。
【0051】
すると、駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsが小さくなり、好ましくは、図3中に示したように、Vgs<Vthとなる。ただし、駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsが小さくなればよく、Vgs<Vthとなるまで駆動トランジスタTr2のゲート電位が低下しなくてもよい。このようにして、ゲート−ソース間電圧Vgsが小さくなる結果、駆動トランジスタTr2には電源線DSLから電流がほとんど流れなくなるため、このVth補正休止期間T4において、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsおよびゲート電位Vgはほとんど変化しない。
【0052】
(2回目のVth補正期間T3:t8〜t9)
次に、駆動回路20は、駆動トランジスタTr2におけるVth補正を再び行う(2回目のVth補正を行う)。具体的には、まず、信号線DTLの電圧が基準電圧Vofsとなっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧Vccとなっている期間中のタイミングt8において、走査線駆動回路23が、走査線WSL1の電圧を電圧Voff1から電圧Von1に上げる(図3(A))。これにより、図11に示したように、書き込みトランジスタTr1が再びオン状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgが再び、このときの信号線DTLの電圧に対応する基準電圧Vofsとなる(図3(E))。これにより、この2回目のVth補正期間T3において、図3中に示したように、再びVgs>Vthとなり、正常なVth補正動作が再度実行されることになる。
【0053】
なお、この2回目のVth補正期間T3においても、走査線WSL2の電圧は電圧Von2のまま保持されているため、図11に示したように、閾値補正補助トランジスタTr3もオン状態のままとなっており、前述した電流Idが流れることになる。
【0054】
また、この期間では、1回目のVth補正期間T3と同様に、駆動トランジスタTr2のドレイン−ソース間に電流Icが流れるため、ソース電位Vsが再び上昇する(図3(F))。ただし、ここでは以下のようにして、Vgs=Vthとなる前に、Vth補正を再び一旦停止させている。すなわち、その後、信号線DTL、電源線DSLおよび走査線WSL2の電圧がそれぞれ、基準電圧Vofs,電圧Vcc,電圧Von2のまま保持されている期間中のタイミングt9において、走査線駆動回路23が走査線WSL1の電圧を、電圧Von1から電圧Voff1に下げる(図3(A))。これにより、書き込みトランジスタTr1がオフ状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲートがフローティングとなり、Vth補正が再び一旦停止する(以下の2回目のVth補正休止期間T4へと移行する)。
【0055】
(2回目のVth補正休止期間T4:t9〜t10)
次に、タイミングt9から後述するタイミングt10までの期間は、上記したように、Vth補正が再び一旦停止している。具体的には、この2回目のVth補正休止期間T3では、上記のように書き込みトランジスタTr1がオフ状態となる一方、閾値補正補助トランジスタTr3は依然としてオン状態となっている。これにより、1回目のVth補正休止期間T4と同様にしてゲート電位補正動作がなされ、駆動トランジスタTr2のゲート電位が、基準電圧Vofsから低下する(第2のオン期間ΔT12)。したがって、この2回目のVth補正休止期間T4においても、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsおよびゲート電位Vgはほとんど変化しない。なお、ここでは1回目のVth補正休止期間T4と同様に、Vgs<Vthとなるものとする。
【0056】
(3回目のVth補正期間T3および3回目のVth補正休止期間T4:t10〜t13)
次に、駆動回路20は、駆動トランジスタTr2におけるVth補正を再び行う(3回目のVth補正を行う)。具体的には、まず、信号線DTLの電圧が基準電圧Vofsとなっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧Vccとなっている期間中のタイミングt10において、走査線駆動回路23が、走査線WSL1の電圧を電圧Voff1から電圧Von1に上げる(図3(A))。これにより、書き込みトランジスタTr1が再びオン状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgが再び、このときの信号線DTLの電圧に対応する基準電圧Vofsとなる(図3(E))。これにより、2回目のVth補正期間T3と同様に再びVgs>Vthとなり、正常なVth補正動作が再度実行されることになる。
【0057】
そして、これまでのVth補正期間T3と同様に、駆動トランジスタTr2がカットオフするまで(Vgs=Vthになるまで)、この駆動トランジスタTr2のドレイン−ソース間に電流Icが流れ、ソース電位Vsが上昇する(図3(F))。ここでは、図3中に示したように、この3回目のVth補正期間T3の終了時(タイミングt12)にVgs=Vthとなり、Vth補正が完了するものとする。すなわち、保持容量素子C1の両端間の電圧が閾値電圧Vthとなるように充電され、その結果、駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsが、閾値電圧Vthとなる。
【0058】
なお、この期間中のタイミングt11において、走査線駆動回路23は、走査線WSL2の電圧を電圧Von2から電圧Voff2へと下げる(図3(C))。これにより、図12に示したように、閾値補正補助トランジスタTr3がオフ状態となる。
【0059】
その後は、電源線DSL、走査線WSL2および信号線DTLの電圧がそれぞれ、電圧Vcc,電圧Voff2,基準電圧Vofsのまま保持されている期間中のタイミングt12において、走査線駆動回路23が走査線WSL1の電圧を、電圧Von1から電圧Voff1に下げる(図3(A))。これにより、書き込みトランジスタTr1がオフ状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲートがフローティングとなり、その結果、その後の信号線DTLの電圧の大きさによらず、ゲート−ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthのまま保持される。なお、ここでは上記したように、閾値補正補助トランジスタTr3が書き込みトランジスタTr1よりも先にオフ状態となるため、走査線WSL1の電圧変化が、駆動トランジスタTr2のゲートに入力されることはない。
【0060】
なお、その後は、走査線WSL1,WSL2の電圧がそれぞれ電圧Voff1,Voff2となっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧Vccとなっている期間(タイミングt12〜t13間)において、信号線駆動回路24が信号線DTLの電圧を、基準電圧Vofsから映像信号電圧Vsigへと上げる(図3(D))。また、タイミングt12から後述するタイミングt13までの期間は、3回目のVth補正休止期間T4となっている。
【0061】
このようにして、Vth補正期間T3およびVth補正休止期間T4を数回ずつ(ここでは、3回ずつ)繰り返してゲート−ソース間電圧Vgsを閾値電圧Vthに設定することにより(Vth補正を行うことにより)、以下のような効果が得られる。すなわち、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthが画素11(11R,11G,11B)ごとにばらついた場合であっても、有機EL素子12の発光輝度がばらつくのを回避することができる。
【0062】
(移動度補正・信号書き込み期間T5:t13〜t14)
次に、駆動回路20は、以下説明するようにして、映像信号電圧Vsigの書き込み(映像信号の書き込み)を行いつつ、駆動トランジスタTr2における移動度μの補正(移動度補正)を行う。具体的には、まず、信号線DTLの電圧が映像信号電圧Vsigとなっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧Vccとなっている期間中のタイミングt13において、走査線駆動回路23が、走査線WSL1の電圧を電圧Voff1から電圧Von1に上げる(図3(A))。これにより、図12に示したように、書き込みトランジスタTr1がオン状態となるため、電流Ibによって、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgが、基準電圧Vofsから、このときの信号線DTLの電圧に対応する映像信号電圧Vsigへと上昇する(図3(E))。
【0063】
このとき、有機EL素子12のアノード電圧は、この段階ではまだ、有機EL素子12における閾値電圧Vthelとカソード電圧Vcatとを足し合わせた電圧値(Vthel+Vcat)よりも小さいため、有機EL素子12はカットオフ状態となっている。すなわち、この段階ではまだ、有機EL素子12のアノード−カソード間には電流が流れない(有機EL素子12が発光しない)。したがって、駆動トランジスタTr2から供給される電流Icは、有機EL素子12のアノード−カソード間に並列に存在する容量成分Celへと流れ、この容量成分Celが充電される。その結果、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが電位差ΔVだけ上昇し(図3(F))、ゲート−ソース間電圧Vgsが(Vsig+Vth−ΔV)となる。
【0064】
このとき、例えば図13に示したように、駆動トランジスタTr2の移動度μが大きいものは、ソース電位Vsの上昇分(電位差ΔV)も大きくなる。そのため、上記のように、ゲート−ソース間電圧Vgsが、後述する発光前にこの電位差ΔVの分だけ小さくなることにより(フィードバックがかかることにより)、画素11ごとの移動度μのばらつきを取り除くことができる。
【0065】
(発光期間T6(T0):t14以降)
次に、信号線DTL、電源線DSLおよび走査線WSL2の電圧がそれぞれ、映像信号電圧Vsig,電圧Vcc,電圧Voff2のまま保持されている期間中のタイミングt14において、走査線駆動回路23が、走査線WSL1の電圧を電圧Von1から電圧Voff1に下げる(図3(A))。これにより、図14に示したように、書き込みトランジスタTr1がオフ状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲートがフローティングとなる。すると、この駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsが一定に保持された状態で、駆動トランジスタTr2のドレイン−ソース間に電流Idsが流れる。その結果、この駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが上昇する(図3(F))と共に、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgもまた、保持容量素子C1を介した容量カップリングにより、連動して上昇する(図3(E))。
【0066】
そして、これにより、有機EL素子12のアノード電圧が、この有機EL素子12における閾値電圧Vthelとカソード電圧Vcatとを足し合わせた電圧値(Vthel+Vcat)よりも大きくなる。言い換えると、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが所定の電圧まで上昇する(図3(F))。よって、有機EL素子12のアノード−カソード間に電流Idsが流れ、有機EL素子12が所望の輝度で発光する(発光期間T6(T0))。
【0067】
(繰り返し)
なお、その後は、駆動回路20は、これまで説明した各期間T1〜T6(T0)がフレーム期間ごとに周期的に繰り返されるように、表示駆動を行う。また、それと共に、駆動回路20は、例えば1水平期間(1H期間)ごとに、電源線DSLに印加する電源制御パルス、走査線WSL1に印加する選択パルスおよび走査線WSL2に印加するスイッチング制御パルスをそれぞれ、行方向に走査させる。以上のようにして、表示装置1における表示動作(駆動回路20による表示駆動)がなされる。
【0068】
(3.ゲート電位の補正動作(Vth補正の補助動作))
続いて、本実施の形態の表示装置1における表示動作の際の特徴的部分の1つである、走査線駆動回路23による走査線WSL2を用いた駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgの補正動作について、比較例(比較例1,2)と比較しつつ詳細に説明する。
【0069】
(比較例の画素回路構成)
まず、図15を参照して、以下説明する比較例1,2(および後述する比較例3,4)に共通の画素回路構成について説明する。図15は、これらの比較例に係る従来の画素101の内部構成を表したものである。この画素101内には、有機EL素子12を含む画素回路104が設けられている。
【0070】
この比較例に係る従来の画素回路104は、上記した有機EL素子12と、書き込みトランジスタTr1と、駆動トランジスタTr2と、保持容量素子C1とを用いて構成されており、いわゆる「2Tr1C」の回路構成となっている。すなわち、図2に示した本実施の形態の画素回路14において、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2が設けられていない(省かれた)回路構成に対応している。また、これに伴い、本実施の形態のように2種類の走査線WSL1,WSL2が設けられておらず、1種類の走査線WSL(本実施の形態の走査線WSL1に対応)のみが設けられている。
【0071】
(比較例1)
図16は、比較例1の表示装置における表示動作の際の各種波形の一例を、タイミング図で表したものである(タイミングt101〜t107)。ここで、図16(A)〜(C)はそれぞれ、走査線WSL、電源線DSLおよび信号線DTLの電圧波形を示している。具体的には、走査線WSLの電圧が、電圧Voff,Vonの間で周期的に変化している様子(図16(A))と、電源線DSLの電圧が、電圧Vcc,Vssの間で周期的に変化している様子(図16(B))と、信号線DTLの電圧が、基準電圧Vofsおよび映像信号電圧Vsigの間で周期的に変化している様子(図3(C))と、をそれぞれ示している。また、図16(D),(E)はそれぞれ、駆動トランジスタTr2におけるゲート電位Vgおよびソース電位Vsの波形を示している。
【0072】
この比較例1の表示動作では、図3に示した本実施の形態と同様に、Vth補正動作が複数回(ここでは3回)に分けて行われている(分割Vth補正動作)。すなわち、Vth補正期間T3とVth補正休止期間T4とがここでは3回ずつ連続して設けられている。このとき、前述したように、Vth補正動作が完全に行われていない(終了していない)段階では、駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsは、閾値電圧Vthよりも大きくなっている(Vgs>Vth:図16参照)。
【0073】
ここで、この比較例1のように、Vth補正期間T3が短かったり(例えば、タイミングt102〜t103の期間)、Vth補正休止期間T4が長かったり(例えば、タイミングt103〜t104の期間)すると、以下の問題が生じ得る。すなわち、図16中の符号P101で示したように、Vth補正休止期間T4における駆動トランジスタTr2のソース電位Vsの上昇量が過剰に大きくなってしまう場合がある。
【0074】
すると、その後に再びVth補正動作を行う際に、駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vth未満となり(Vgs<Vth)、それ以降にVth補正動作が正常に行われなくなってしまう(例えば、タイミングt104〜t106の期間)。その結果、Vth補正動作が完全に行われる前に終了してしまう(不十分となってしまう)ことから、結局、画素11ごとの発光輝度のばらつきが残ってしまうことになる。なお、特に高速な表示駆動を行う場合には、1H期間の長さが短くなることから、それに伴ってVth補正を行う時間も短くなるため、このような問題は顕著に現れる。
【0075】
(比較例2)
一方、図17(A)〜(E)に示した比較例2の表示動作(タイミングt201〜t209)では、以下のようにして、上記比較例1の問題が解決できるようになっている。具体的には、この比較例2では、まず、各Vth補正期間T3の終了時(各Vth補正休止期間T4の開始前)に、信号線DTLに印加する電圧を、所定の基準電圧Vofsよりも更に低い電圧Vofs2とする(期間ΔT202)。これにより、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgが、基準電圧Vofsから上記低電圧Vofs2へと低下する(図中の矢印P201参照)。そのため、その直後のVth補正休止期間T4において、駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsが、その閾値電圧Vth未満となる(Vgs<Vth)。そして、その後のVth補正期間T3において、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgを再び基準電位Vofsに設定する。これにより比較例2では、Vth補正休止期間T4において、上記比較例1における、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsの上昇量が過剰に大きくなってしまう問題を回避することができ、正常なVth補正動作を再度行うことが可能となっている。
【0076】
ところが、この比較例2では、上記したように信号線DTLに対して3値の電圧を印加する(映像信号電圧Vsig、基準電圧Vofsおよび上記低電圧Vofs2の3値の電圧を用いる)必要が生じることから、駆動回路(特に信号線駆動回路)の耐圧が高くなってしまう。一般的に、駆動回路(ドライバ)の耐圧が高くなるとそれに伴って製造コストも上昇してしまうため、この比較例2の手法は、低コスト化を図るのが困難となる。
【0077】
(本実施の形態)
これに対して、本実施の形態の表示装置1では、図3等に示したように、走査線駆動回路23において、以下説明するゲート電位補正動作(Vth補正の補助動作)を行うことにより、上記比較例1,2における問題をいずれも解決することが可能となっている。
【0078】
具体的には、走査線駆動回路23は、走査線WSL2に対してスイッチング制御パルスを印加することにより閾値補正補助トランジスタTr3をオン状態に設定するオン期間(図3中の第1のオン期間ΔT11および第2のオン期間ΔT12)において、以下の動作を行う。すなわち、走査線WSL1における電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化を、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2を介して駆動トランジスタTr2のゲートへ入力させることにより、この駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgを下げるゲート電位補正動作を行う。
【0079】
より詳細には、走査線駆動回路23は、まず、閾値補正補助容量素子C2の一端および駆動トランジスタTr2のゲートに対して、基準電圧Vofsをそれぞれ印加すると共に、閾値補正補助容量素子C2の他端に対して電圧Von1を印加する第1のオン期間ΔT11を設ける。また、この第1のオン期間ΔT11の後において、閾値補正補助容量素子C2の他端に対して電圧Voff1を印加することにより、上記した電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化を駆動トランジスタTr2のゲートへ入力させる第2のオン期間ΔT12を設ける。そして、これら第1のオン期間ΔT11および第2のオン期間ΔT12を少なくとも1回ずつ(ここでは3回ずつ)設けることにより、ゲート電位補正動作を行う。
【0080】
ここで、このような第1のオン期間ΔT11は、複数回のVth補正期間T3のうち、少なくとも最初の1回の期間に対応して設けられる(ここでは、3回のVth補正期間T3のぞれぞれに対応して設けられている)。また、第2のオン期間ΔT12は、この第1のオン期間ΔT11とその次のVth補正期間ΔT12との間に設けられている。そして、ここでは、これらの第1のオン期間ΔT11および第2のオン期間ΔT12同士が連続して設けられている。
【0081】
このようにして、オン期間ΔT11,ΔT12において、走査線WSL1における電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化が、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2を介して駆動トランジスタTr2のゲートへ入力される。これにより、この駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgを下げるゲート電位補正動作が行われる。したがって、駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsが小さくなるため、Vth補正動作を行う際に、上記比較例1における問題が回避される。すなわち、駆動トランジスタTr2におけるソース電位Vsの過大な上昇に起因した不十分なVth補正動作が回避される(十分な(正常な)Vth補正動作が実行される)。また、このようなゲート電位補正動作を、走査線WSL1における電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化(2つの電圧間の電圧変化)を用いて実現しているため、上記比較例2のように3値の電圧を用いる必要もなくなる。
【0082】
以上のように本実施の形態では、このような駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgを下げるゲート電位補正動作を行うようにしたので、上記比較例2のように3値の電圧を用いることなく、上記比較例1において生じ得る、駆動トランジスタTr2におけるソース電位Vsの過大な上昇に起因した不十分なVth補正動作を回避することができる。よって、駆動回路20(特に信号線駆動回路24)の耐圧を上げることなく画素11ごとの発光輝度のばらつきを抑えることができ、低コスト化および高画質化の両立を実現することが可能となる。
【0083】
また、Vth補正期間T3を短く設定した場合であっても、上記比較例1とは異なり、画素11ごとの発光輝度のばらつきを抑えることができるため、表示駆動動作の高速化を実現することができる。したがって、表示パネル10内の水平ライン数(画素11の数)が増加する場合にも対応することができるため、表示パネル10の大画面化や画素11の高精細化を図ることも可能となる。
【0084】
なお、本実施の形態では、図3に示したように、第1のオン期間ΔT11と第2のオン期間ΔT12とが連続的に設けられている場合について説明したが、これらの期間が互いに非連続となっていてもよい。
【0085】
続いて、本発明の他の実施の形態(第2および第3の実施の形態)について説明する。なお、上記第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0086】
<第2の実施の形態>
図18は、第2の実施の形態に係る表示動作の際の各種波形の一例を、タイミング図で表したものである(タイミングt21〜t32)。ここで、図18(A)〜(F)に示した電圧波形の種類はそれぞれ、第1の実施の形態における図3(A)〜(F)に示したものと同様となっている。以下、この図18および図19〜図23を参照して、本実施の形態の表示動作について詳細に説明する。
【0087】
なお、表示装置1のブロック構成および画素11における画素回路14の構成はそれぞれ、上記第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。また、表示動作の基本部分についても、図3等に示した第1の実施の形態における表示動作と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0088】
(1.表示動作の詳細)
(Vofs抑え期間T2:t21〜t23)
まず、走査線駆動回路23は、信号線DTLの電圧が基準電圧Vofsとなっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧Vccとなっている期間中のタイミングt21において、走査線WSL1の電圧を、電圧Voff1から電圧Von1へと上げた状態に設定する(図18(A))。また、それと共にこのタイミングt21において、走査線駆動回路23は、走査線WSL2の電圧も、電圧Voff2から電圧Von2へと上げた状態に設定する(図18(C))。
【0089】
これにより、図18中に示したように、駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsが、閾値電圧Vth未満となる(Vgs<Vth)。その結果、図19に示したように、有機EL素子12に電流Idsが流れなくなるため、有機EL素子12は消光する(タイミングt21以降は消光期間T10となる)。
【0090】
また、このタイミングt21〜t22の期間では、書き込みトランジスタTr1および閾値補正補助トランジスタTr3がそれぞれ、オン状態となっている。これにより、閾値補正補助トランジスタC2の他端側には、このときの走査線WSL1の電圧に対応する電圧Von1が充電される(図18(C)に示した第1のオン期間ΔT21)。また、この第1のオン期間ΔT21では、図19に示したように、閾値補正補助トランジスタTr3の一端側および駆動トランジスタTr2のゲートには、このときの信号線DTLの電圧に対応する基準電圧Vofsが印加(充電)されている。
【0091】
なお、その後は、走査線駆動回路23は、タイミングt22において、走査線WSL2の電圧を電圧Von2から電圧Voff2へと下げる(図18(C))と共に、タイミングt23において、走査線WSL1の電圧を電圧Von1から電圧Voff1へと下げる(図18(A))。これにより、書き込みトランジスタTr1および閾値補正補助トランジスタTr3がそれぞれ、オフ状態となる。
【0092】
また、その後のタイミングt23〜t24の期間において、有機EL素子12のアノード−カソード間に印加される電圧は、この有機EL素子12の閾値電圧Vthelとなる。このため、有機EL素子12のアノード電圧(駆動トランジスタTr2のソース電位Vs)は、この有機EL素子12の閾値電圧Vthelとカソード電圧Vcatの和、つまり(Vthel+Vcat)となる。
【0093】
(Vth補正準備期間T1:t24〜t28)
次に、駆動回路20は、各画素11内の駆動トランジスタTr2におけるVth補正の準備を行う。具体的には、まず、タイミングt24において、電源線駆動回路25が、電源線DSLの電圧を電圧Vccから電圧Vssに下げる(図18(B))。すると、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが時間とともに下降していく(図18(F))。また、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgも、このようなソース電位Vsの下降に伴い、保持容量素子C1を介した容量カップリング(容量結合)によって下降する(図18(E),図20中の電流Ia参照)。すなわち、図18に示したように、時間とともに駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsが小さくなっていく。
【0094】
このとき、駆動トランジスタTr2が飽和領域において動作する場合、つまり、(Vgs−Vthd)≦Vdsである場合には、一定時間経過後のタイミングt25において、図21に示したように、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgは、(Vss+Vthd)となる。なお、Vthdは、駆動トランジスタTr2におけるゲート−電源間の閾値電圧であり、Vdsは、駆動トランジスタTr2におけるソース−ドレイン間の電圧である。
【0095】
次に、走査線駆動回路23は、走査線WSL1の電圧が電圧Voff1となっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧Vssとなっている期間中のタイミングt25において、走査線WSL2の電圧を、電圧Voff2から電圧Von2へと上げる(図18(C))。これにより、図22に示したように、書き込みトランジスタTr1がオフ状態である一方、閾値補正補助トランジスタTr3がオン状態となる。すると、図22中の矢印P2で示したように、走査線WSL1(閾値補正補助容量素子C2の他端側)における電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化が、駆動トランジスタTr2のゲートへと入力される(図18(C)に示した第2のオン期間ΔT22)。具体的には、この電圧変化が、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2を介して、容量結合(負のカップリング結合)により、駆動トランジスタTr2のゲートへと入力される。したがって、この駆動トランジスタTr2のゲート電位が、(Vss+Vthd)から(Vss+Vthd−ΔV2)へと、電位差ΔV2の分だけ低下することになる(ゲート電位補正動作)。
【0096】
すると、駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsが小さくなり、好ましくは、図18中に示したように、Vgs<<Vthとなる。このようにして、ゲート−ソース間電圧Vgsが小さくなる結果、駆動トランジスタTr2には電源線DSLから電流がほとんど流れなくなるため、その後のタイミングt26までの期間において、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsおよびゲート電位Vgはほとんど変化しない。
【0097】
次に、タイミングt26において、走査線駆動回路23が走査線WSL2の電圧を電圧Von2から電圧Voff2へと下げることにより、閾値補正補助トランジスタTr3をオフ状態に設定する。また、その後のタイミングt27において、電源線駆動回路25が、電源線DSLの電圧を電圧Vssから電圧Vccへと上げる。
【0098】
これにより、図23中の矢印P3で示したように、駆動トランジスタTr2のゲートには、電源線DSLにおける電圧VssからVccへの電圧変化が入力される。具体的には、この電圧変化が、図中に示したカップリング容量成分C0を介して、容量結合(正のカップリング結合)により、駆動トランジスタTr2のゲートへと入力される。したがって、この駆動トランジスタTr2のゲート電位が、(Vss+Vthd−ΔV2)から上昇する。このときの電位の上昇分が、電位差ΔV2よりも小さくなるように予め設定しておくことにより、図18に示したように、これらの正負全体としての容量結合による電位差ΔV3の分だけ、ゲート電位Vgが(Vss+Vthd)から(Vss+Vthd−ΔV3)へと低下することになる。
【0099】
また、図18に示したように、このときの有機EL素子12のアノード電位をVxとしている。すると、電源線DSLの電圧が電圧Vccとなることによって駆動トランジスタTr2のソースは有機EL素子12のアノードとなることから、この駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsは、閾値補正補助容量素子C2からの容量結合によって小さくなる。具体的には、ここではVgs<<Vthとなっている。これにより、駆動トランジスタTr2にはオフ電流のみが流れることになり、これ以降のタイミングt28まで(1回目のVth補正期間T3が開始するまで)の間、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgおよびソース電位Vsはほとんど上昇しない。
【0100】
このようにして、その後の1回目のVth補正期間T3において、第1の実施の形態と同様に、図18中に示したように、再びVgs>Vthとなり、正常なVth補正動作が実行されることになる。
【0101】
(その後の期間:t29〜t32)
なお、その後は、第1の実施の形態と同様に、複数回のVth補正期間T3およびVth補正休止期間T4を経たのち、移動度補正・信号書き込み期間T5および発光期間T6(T0)となる。これにより、発光動作がなされる。
【0102】
(2.ゲート電位補正動作)
続いて、本実施の形態のゲート電位補正動作(Vth補正の補助動作)について、比較例(比較例3,4)と比較しつつ詳細に説明する。なお、これらの比較例3,4における画素回路の構成は、前述した比較例1,2における画素回路104(「2Tr1C」の回路;図15参照)と同一であるため、説明を省略する。
【0103】
(比較例3)
図24は、比較例3の表示装置における表示動作の際の各種波形の一例を、タイミング図で表したものである(タイミングt301〜t305)。なお、図24(A)〜(E)に示した電圧波形の種類はそれぞれ、上記比較例1における図16(A)〜(E)に示したものと同様となっている。
【0104】
この比較例3の表示動作では、Vth補正準備期間T1内のタイミングt303〜t304の期間において、前述した本実施の形態におけるタイミングt25〜t28の期間と比べ、駆動トランジスタTr2のゲートソース電圧Vgsが大きくなっている。そのため、電圧Vccが印加されている電源線DSLからのリーク電流が無視できない程度の大きさとなり、図24中の矢印P301で示したように、駆動トランジスタTr2のソース電圧Vsが過大に上昇してしまう場合が生じる。
【0105】
すると、その後にVth補正動作を行う際に、駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vth未満となり(Vgs<Vth)、それ以降にVth補正動作が正常に行われなくなってしまうことがある(例えば、タイミングt304〜t305の期間)。その結果、前述した比較例1と同様に、Vth補正動作が完全に行われる前に終了してしまう(不十分となってしまう)ことから、結局、画素11ごとの発光輝度のばらつきが残ってしまうことになる。
【0106】
また、この比較例3では、上記のようにVth補正動作を行う前の期間において、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが過大に上昇してしまうため、例えば低コスト化を図るために電源線DSLを複数の水平ライン間で共通化する場合には、以下の問題も生じる。すなわち、このように電源線DSLを共通化した場合、各水平ライン間においてVth補正動作を行うまでの期間の長さが互いに異なることから、各水平ライン間におけるソース電位Vsの上昇量も互いに異なってしまう。したがって、各水平ライン間におけるVth補正量も互いに異なることになり、例えば図25に示した表示パネル100のように、共通化された水平ライン領域100A内において、水平ライン間の発光輝度のばらつきが生じてしまう。すなわち、この共通化された水平ライン領域100A内において、垂直ライン方向に沿って発光輝度が徐々に変化するスジ模様が発生してしまう。
【0107】
(比較例4)
一方、図26に示した比較例4の表示動作(タイミングt401〜t406)では、前述した比較例2と同様にして、上記比較例3の問題が解決できるようになっている。具体的には、この比較例4では、Vth補正準備期間T1内のタイミングt402〜t403の期間において、走査線WSL1の電圧を、電圧Voff1から電圧Von1に上げる。これにより、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgが、基準電圧Vofsから所定の基準電圧Vofsよりも更に低い電圧Vofs2へと低下する。そのため、タイミングt403〜t404の期間において、駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsが、その閾値電圧Vth未満となる(Vgs<<Vth)。そして、その後のVth補正期間T3において、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgを再び基準電位Vofsに設定する。これにより比較例4では、Vth補正準備期間T1において、上記比較例3における、電圧Vccが印加されている電源線DSLからのリーク電流により駆動トランジスタTr2のソース電位Vsの上昇量が過剰に大きくなってしまう問題を回避することができ、正常なVth補正動作を行うことが可能となっている。
【0108】
ところが、この比較例4においても比較例2と同様に、信号線DTLに対して3値の電圧を印加する(映像信号電圧Vsig、基準電圧Vofsおよび上記低電圧Vofs2の3値の電圧を用いる)必要が生じる。このため、駆動回路(特に信号線駆動回路)の耐圧が高くなることに伴って製造コストも上昇してしまい、同様に低コスト化を図るのが困難となる。
【0109】
(本実施の形態)
これに対して、本実施の形態では、図18等に示したように、走査線駆動回路23において、第1の実施の形態と同様に以下説明するゲート電位補正動作を行うことにより、上記比較例3,4における問題をいずれも解決することが可能となっている。
【0110】
具体的には、走査線駆動回路23は、走査線WSL2に対してスイッチング制御パルスを印加することにより閾値補正補助トランジスタTr3をオン状態に設定するオン期間(図18中の第1のオン期間ΔT21および第2のオン期間ΔT22)において、以下の動作を行う。すなわち、走査線WSL1(閾値補正補助容量素子C2の他端側)における電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化を、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2を介して駆動トランジスタTr2のゲートへ入力させる。これにより、この駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgを下げるゲート電位補正動作を行う。
【0111】
より詳細には、走査線駆動回路23は、まず、閾値補正補助容量素子C2の一端および駆動トランジスタTr2のゲートに対して、基準電圧Vofsをそれぞれ印加すると共に、閾値補正補助容量素子C2の他端に対して電圧Von1を印加する第1のオン期間ΔT21を設ける。また、この第1のオン期間ΔT21の後において、閾値補正補助容量素子C2の他端に対して電圧Voff1を印加することにより、上記した電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化を駆動トランジスタTr2のゲートへ入力させる第2のオン期間ΔT22を設ける。そして、これら第1のオン期間ΔT21および第2のオン期間ΔT22を1回ずつ設けることにより、ゲート電位補正動作を行う。
【0112】
ここで、このような第1のオン期間ΔT21および第2のオン期間ΔT22はそれぞれ、少なくとも1回(ここでは3回)のVth補正期間T3が開始する前の期間内に設けられる。また、ここでは、これらの第1のオン期間ΔT11および第2のオン期間ΔT12同士は、所定の間隔をおいて(非連続に)設けられている。
【0113】
このようにして、オン期間ΔT21,ΔT22において、走査線WSL1における電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化が、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2を介して駆動トランジスタTr2のゲートへ入力される。これにより、この駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgを下げるゲート電位補正動作が行われる。したがって、駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsが小さくなるため、Vth補正動作を行う際に、上記比較例1における問題が回避される。すなわち、駆動トランジスタTr2におけるリーク電流によるソース電位Vsの過大な上昇に起因した不十分なVth補正動作が回避される(十分な(正常な)Vth補正動作が実行される)。また、このようなゲート電位補正動作を、走査線WSL1における電圧Von1から電圧Voff1への電圧変化(2つの電圧間の電圧変化)を用いて実現しているため、上記比較例4のように3値の電圧を用いる必要もなくなる。
【0114】
以上のように本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、駆動回路20(特に信号線駆動回路24)の耐圧を上げることなく画素11ごとの発光輝度のばらつきを抑えることができ、低コスト化および高画質化の両立を実現することが可能となる。
【0115】
また、特に本実施の形態では、上記比較例3とは異なり、複数の水平ラインに属する画素11間において電源線DSLを共通化した場合であっても、図25に示したような水平ライン間での発光輝度のばらつきがほとんど生じないようにすることができる。具体的には、例えば図27(A)〜(O)に示したように、複数(ここでは3つ)の水平ライン間において、電源線DSLを共通化した場合について考えると、以下のことが言える。なお、電源線DSL(1〜3),DSL(4〜6)はそれぞれ、1〜3番目,4〜6番目の水平ライン間において共通化された電源線を示している。また、走査線WSL1(1)〜WSL1(6),WSL2(1)〜WSL2(6)はそれぞれ、1〜6番目の水平ラインにおける走査線WSL1,WSL2を示している。この場合、各水平ライン間においてVth補正動作を行うまでの期間の長さが互いに異なることになるが、各水平ラインにおけるソース電位Vsの上昇量は元々無視できる程度に小さいため、各水平ライン間におけるVth補正量の際もほとんど無視できる程度である。したがって、このように複数の水平ラインに属する画素11間において電源線DSLを共通化した場合であっても、水平ライン間での発光輝度のばらつきがほとんど生じないようにすることができる。よって、上記した効果に加え、本実施の形態では電源線DSLの数を減らすことができるため、更に低コスト化および高歩留まり化を図ることが可能となる。
【0116】
<第3の実施の形態>
図28は、第3の実施の形態に係る表示動作の際の各種波形の一例を、タイミング図で表したものである。ここで、図28(A)〜(F)に示した電圧波形の種類はそれぞれ、第1の実施の形態における図3(A)〜(F)に示したものと同様となっている。なお、表示装置1のブロック構成および画素11における画素回路14の構成はそれぞれ、上記第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。また、第1または第2の実施の形態における表示動作と同様である部分についても、適宜説明を省略する。
【0117】
本実施の形態では、上記第1および第2の実施の形態で説明したゲート電位補正動作を組み合わせたものに対応している。すなわち、第1のオン期間ΔT11,ΔT21の双方、および第2のオン期間ΔT12,ΔT22の双方をそれぞれ設けている。
【0118】
これにより、本実施の形態においても、上記第1および第2の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、駆動回路20(特に信号線駆動回路24)の耐圧を上げることなく画素11ごとの発光輝度のばらつきを抑えることができ、低コスト化および高画質化の両立を実現することが可能となる。
【0119】
また、第1および第2の実施の形態のゲート電位補正動作を組み合わせているため、各実施の形態と比べ、ソース電位Vsの過大な上昇に起因した不十分なVth補正動作をより効果的に抑えることができ、更に高画質化を図ることが可能となる。
【0120】
<モジュールおよび適用例>
続いて、図29〜図34を参照して、上記第1〜第3の実施の形態で説明した表示装置の適用例について説明する。上記各実施の形態の表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、これらの表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0121】
(モジュール)
上記各実施の形態の表示装置は、例えば、図29に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板31の一辺に、封止用基板32から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、駆動回路20の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0122】
(適用例1)
図30は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300が上記各実施の形態の表示装置により構成されている。
【0123】
(適用例2)
図31は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、この表示部420が上記各実施の形態の表示装置により構成されている。
【0124】
(適用例3)
図32は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、この表示部530が上記各実施の形態の表示装置により構成されている。
【0125】
(適用例4)
図33は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。そして、この表示部640が上記各実施の形態の表示装置により構成されている。
【0126】
(適用例5)
図34は、上記各実施の形態の表示装置が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そして、これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ750が、上記各実施の形態の表示装置により構成されている。
【0127】
<変形例>
以上、いくつかの実施の形態および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0128】
例えば、上記実施の形態等では、表示装置1がアクティブマトリクス型である場合について説明したが、アクティブマトリクス駆動のための画素回路14の構成は、上記実施の形態等で説明したものに限られない。例えば、閾値補正補助トランジスタTr3および閾値補正補助容量素子C2はそれぞれ、書き込みトランジスタTr1のゲートと駆動トランジスタTr2のゲートとの間に直列接続されているのであれば、それらの配置関係が逆となっていてもよい。そのように構成した場合であっても、上記実施の形態等と同様の効果を得ることが可能である。また、必要に応じて容量素子やトランジスタ等を画素回路14に追加するようにしてもよい。その場合、画素回路14の変更に応じて、上述した走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25の他に、必要な駆動回路を追加するようにしてもよい。
【0129】
また、上記実施の形態等では、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25における駆動動作を、タイミング生成回路22が制御する場合について説明したが、他の回路がこれらの駆動動作を制御するようにしてもよい。また、このような走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25に対する制御は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。
【0130】
更に、上記実施の形態等では、書き込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および閾値補正補助トランジスタTr3がそれぞれ、nチャネルトランジスタ(例えば、nチャネルMOS型のTFT)により形成されている場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、これらのトランジスタがそれぞれ、pチャネルトランジスタ(例えば、pチャネルMOS型のTFT)により形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0131】
1…表示装置、10…表示パネル、11,11R,11G,11B…画素、12,12R,12G,12B…有機EL素子、13…画素アレイ部、14…画素回路、20…駆動回路、20A,21A…映像信号、20B…同期信号、21…映像信号処理回路、22…タイミング生成回路、22A…制御信号、23…走査線駆動回路、24…信号線駆動回路、25…電源線駆動回路、WSL1,WSL1(1)〜WSL1(6),WSL2,WSL2(1)〜WSL2(6)…走査線、DTL…信号線、DSL,DSL(1〜3),DSL(4〜6)…電源線、Tr1…書き込みトランジスタ、Tr2…駆動トランジスタ、Tr3…閾値補正補助トランジスタ、C0…カップリング容量成分、C1…保持容量素子、C2…閾値補正補助容量素子、Di…ダイオード成分、Cel…容量成分、Ids,Ia〜Id…電流、Vg…ゲート電位、Vs…ソース電位、Vgs…ゲート−ソース間電圧、Vth…閾値電圧、Vsig…映像信号電圧、Vofs,Von1,Voff1,Von2,Voff2,Vcc,Vss,Vx…電圧、ΔV,ΔV1,ΔV2,ΔV3…電位差、t1〜t14,t21〜t32…タイミング、T0,T6…発光期間、T1…Vth補正準備期間、T2…Vofs抑え期間、T3…Vth補正期間、T4…Vth補正休止期間、T5…移動度補正・信号書き込み期間、T10…消光期間、ΔT11,ΔT21…第1のオン期間、ΔT12,ΔT22…第2のオン期間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、発光素子と、第1ないし第3のトランジスタと、保持容量素子としての第1の容量素子と、第2の容量素子とを含む画素回路を有する複数の画素と、
各画素に接続された第1および第2の走査線、信号線ならびに電源線と、
前記第1の走査線に対して、前記複数の画素を順次選択するために用いられると共に所定のオン電圧およびオフ電圧からなる選択パルスを印加する一方、前記第2の走査線に対して、前記第3のトランジスタのオン・オフ状態を制御するためのスイッチング制御パルスを印加する走査線駆動回路と、
前記信号線に対して、所定の基準電圧と映像信号電圧とを交互に印加することにより、前記走査線駆動回路により選択された画素に対して映像信号の書き込みを行う信号線駆動回路と、
前記電源線に対して、前記発光素子の発光動作および消光動作を制御するための電源制御パルスを印加する電源線駆動回路と
を備え、
前記画素回路において、
前記第1のトランジスタのゲートが前記第1の走査線に接続され、
前記第1のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方が前記信号線に接続されると共に、他方が、前記第2のトランジスタのゲートおよび前記第1の容量素子の一端にそれぞれ接続され、
前記第2のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方が前記電源線に接続されると共に、他方が前記第1の容量素子の他端および前記発光素子のアノードにそれぞれ接続され、
前記発光素子のカソードが固定電位に設定され、
前記第3のトランジスタおよび前記第2の容量素子が、前記第1のトランジスタのゲートと前記第2のトランジスタのゲートとの間に直列接続されると共に、前記第3のトランジスタのゲートが前記第2の走査線に接続されている
表示装置。
【請求項2】
前記走査線駆動回路は、
前記第2の走査線に対して前記スイッチング制御パルスを印加することにより前記第3のトランジスタをオン状態に設定するオン期間において、
前記第1の走査線における前記オン電圧から前記オフ電圧への電圧変化を、前記第3のトランジスタおよび前記第2の容量素子を介して前記第2のトランジスタのゲートへ入力させることにより、この第2のトランジスタのゲート電位を下げるゲート電位補正動作を行う
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記走査線駆動回路は、
前記第2の容量素子の一端および前記第2のトランジスタのゲートに対して、前記基準電圧それぞれ印加すると共に、前記第2の容量素子の他端に対して前記オン電圧を印加する第1のオン期間と、
前記第1のオン期間の後において、前記第2の容量素子の他端に対して前記オフ電圧を印加することにより、前記電圧変化を前記第2のトランジスタのゲートへ入力させる第2のオン期間と
を少なくとも1回ずつ設けることにより、前記ゲート電位補正動作を行う
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記走査線駆動回路、前記信号線駆動回路および前記電源線駆動回路によりなされる、各画素における前記第2のトランジスタに対する少なくとも1回の閾値補正動作の開始前の期間内に、前記第1および第2のオン期間がそれぞれ、所定の間隔をおいて1回ずつ設けられている
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の水平ラインに属する画素間において、前記電源線が共通化されている
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記走査線駆動回路、前記信号線駆動回路および前記電源線駆動回路によりなされる、各画素における前記第2のトランジスタに対する複数回の分割閾値補正動作のうち、少なくとも最初の1回の分割閾値補正動作の期間に対応して前記第1のオン期間が設けられ、
この第1のオン期間とその次の分割閾値補正動作の期間との間に、前記第2のオン期間が設けられている
請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1および第2のオン期間同士が連続して設けられている
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記走査線駆動回路は、前記第2のトランジスタにおけるゲート−ソース間電圧Vgsが、この第2のトランジスタにおける閾値電圧Vth未満となるように、前記ゲート電位補正動作を行う
請求項2ないし請求項7いずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記発光素子が、有機電界発光素子である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
各々が、発光素子と、第1ないし第3のトランジスタと、保持容量素子としての第1の容量素子と、第2の容量素子とを含む画素回路を有すると共に、第1および第2の走査線、信号線ならびに電源線に接続された複数の画素を表示駆動する際に、
前記第1の走査線に対して、前記複数の画素を順次選択するために用いられると共に所定のオン電圧およびオフ電圧からなる選択パルスを印加しつつ、前記信号線に対して所定の基準電圧と映像信号電圧とを交互に印加することにより、選択された画素に対して映像信号の書き込みを行い、
前記電源線に対して電源制御パルスを印加することにより、前記発光素子の発光動作および消光動作を制御し、
前記第2の走査線に対して所定のスイッチング制御パルスを印加することによって前記第3のトランジスタをオン状態に設定するオン期間において、
前記第1の走査線における前記オン電圧から前記オフ電圧への電圧変化を、前記第3のトランジスタおよび前記第2の容量素子を介して前記第2のトランジスタのゲートへ入力させることにより、この第2のトランジスタのゲート電位を下げるゲート電位補正動作を行う
表示装置の駆動方法。
【請求項11】
前記画素回路において、
前記第1のトランジスタのゲートを前記第1の走査線に接続させ、
前記第1のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方を前記信号線に接続させると共に、他方を、前記第2のトランジスタのゲートおよび前記第1の容量素子の一端にそれぞれ接続させ、
前記第2のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方を前記電源線に接続させると共に、他方を前記第1の容量素子の他端および前記発光素子のアノードにそれぞれ接続させ、
前記発光素子のカソードを固定電位に設定し、
前記第3のトランジスタおよび前記第2の容量素子を、前記第1のトランジスタのゲートと前記第2のトランジスタのゲートとの間に直列接続させると共に、前記第3のトランジスタのゲートを前記第2の走査線に接続させる
請求項10に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項12】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
各々が、発光素子と、第1ないし第3のトランジスタと、保持容量素子としての第1の容量素子と、第2の容量素子とを含む画素回路を有する複数の画素と、
各画素に接続された第1および第2の走査線、信号線ならびに電源線と、
前記第1の走査線に対して、前記複数の画素を順次選択するために用いられると共に所定のオン電圧およびオフ電圧からなる選択パルスを印加する一方、前記第2の走査線に対して、前記第3のトランジスタのオン・オフ状態を制御するためのスイッチング制御パルスを印加する走査線駆動回路と、
前記信号線に対して、所定の基準電圧と映像信号電圧とを交互に印加することにより、前記走査線駆動回路により選択された画素に対して映像信号の書き込みを行う信号線駆動回路と、
前記電源線に対して、前記発光素子の発光動作および消光動作を制御するための電源制御パルスを印加する電源線駆動回路と
を有し、
前記画素回路において、
前記第1のトランジスタのゲートが前記第1の走査線に接続され、
前記第1のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方が前記信号線に接続されると共に、他方が、前記第2のトランジスタのゲートおよび前記第1の容量素子の一端にそれぞれ接続され、
前記第2のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方が前記電源線に接続されると共に、他方が前記第1の容量素子の他端および前記発光素子のアノードにそれぞれ接続され、
前記発光素子のカソードが固定電位に設定され、
前記第3のトランジスタおよび前記第2の容量素子が、前記第1のトランジスタのゲートと前記第2のトランジスタのゲートとの間に直列接続されると共に、前記第3のトランジスタのゲートが前記第2の走査線に接続されている
電子機器。
【請求項13】
発光素子と、第1ないし第3のトランジスタと、保持容量素子としての第1の容量素子と、第2の容量素子とを含み、
前記第1のトランジスタのゲートが、所定のオン電圧およびオフ電圧からなる選択パルスが印加される第1の走査線に接続され、
前記第1のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方が、所定の基準電圧と映像信号電圧とが交互に印加される信号線に接続されると共に、他方が、前記第2のトランジスタのゲートおよび前記第1の容量素子の一端にそれぞれ接続され、
前記第2のトランジスタにおけるドレインおよびソースのうち、一方が、前記発光素子の発光動作および消光動作を制御するための電源制御パルスが印加される電源線に接続されると共に、他方が前記第1の容量素子の他端および前記発光素子のアノードにそれぞれ接続され、
前記発光素子のカソードが固定電位に設定され、
前記第3のトランジスタおよび前記第2の容量素子が、前記第1のトランジスタのゲートと前記第2のトランジスタのゲートとの間に直列接続されると共に、前記第3のトランジスタのゲートが、この第3のトランジスタのオン・オフ状態を制御するためのスイッチング制御パルスが印加される第2の走査線に接続されている
画素回路。
【請求項14】
前記第2の走査線に対して前記スイッチング制御パルスが印加されることにより前記第3のトランジスタがオン状態に設定されるオン期間において、
前記第1の走査線における前記オン電圧から前記オフ電圧への電圧変化が、前記第3のトランジスタおよび前記第2の容量素子を介して前記第2のトランジスタのゲートへ入力されることにより、この第2のトランジスタのゲート電位を下げるゲート電位補正動作がなされる
請求項13に記載の画素回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−175103(P2011−175103A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39270(P2010−39270)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】