説明

画面作成方法および画面作成装置

【課題】制御画面の作成作業の負担を軽減すること。
【解決手段】本画面作成方法は、画面作成装置の作画領域上に複数の部品を配置して画面を作成する方法であって、複数の画面に共通の部品配置画面を作成するステップと、この画面を背景スクリーンとして登録するステップと、各画面の作成においてはその背景スクリーンを作画領域に呼び出し、この呼び出した背景スクリーンに各画面に個別に対応する部品配置画面を合成するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面作成装置の作画領域上に部品の配置画面を作成する画面作成方法およびコンピュータ等の画面作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば複数の外部機器をPLCでシーケンス制御し、その外部機器の状況表示や外部機器の操作制御をPLCに接続された表示器の制御画面上で配置表示した部品により行うとともに、各表示器をホストコンピュータに共通接続し、このホストコンピュータでシステム全体を一括管理可能とした電力制御や工場設備等の制御システムがある。このような制御システムにおいて前記外部機器としては例えば操作盤、センサ、スイッチ、アクチュエータ、メータ、表示灯等がある。このような制御システムにおいて表示器の制御画面には外部機器の状況表示や外部機器の操作のための部品が配置されて表示されている。この部品はHMI(マン・マシーン・インターフェース)表示部品と定義されるものである。このHMI部品にはメータ表示部品、グラフ表示部品、スイッチ表示部品、その他の表示部品がある。
【0003】
近年では表示器の制御画面をタッチパネル式としてこの制御画面上に表示されている部品へのタッチ操作で外部機器を制御することができるようになっている(特許文献1ないし7参照)。
【0004】
このような表示器ではその目的に応じて制御画面上の表示部品の種類、その配置形態は各種あり、パーソナルコンピュータの作画領域上での制御画面の作成は表示器毎に行う必要がある。しかしながら、近年のごとく工場設備等においてPLCの設置数の増大に伴い、表示器数が増加してくるような状況では、画面作成作業者からの画面作成作業の時間短縮、作業上の負担軽減への要求が高くなっている。
【特許文献1】特開平7−129364号公報
【特許文献2】特開平9−288477号公報
【特許文献3】特開平7−146792号公報
【特許文献4】特開2002−108422号公報
【特許文献5】特開2002−324245号公報
【特許文献6】特開2000−276339号公報
【特許文献7】特開2001−202128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、制御画面の作成における作業時間の短縮と作業上の負担軽減とを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による画面作成方法は、画面作成装置の作画領域上に複数の部品を配置して画面を作成する画面作成方法において、作画領域上に各画面共通の部品配置画面を背景スクリーンとして作成するステップと、背景スクリーン以外の部品配置画面を作成するステップとを含むことを特徴とするものである。背景スクリーンは各画面において部品形状、部品数、部品配置等で共通する構成である。
【0007】
本発明によると、複数の画面作成においては背景スクリーンを構成する部品の配置等の作成手間が該背景スクリーンにより軽減されるので、画面作成数が増加するほど、画面作成作業の負担が大きく軽減されるようになる。
【0008】
なお、特開2002−108327号公報には、背景画面に部品画面を貼り付ける技術が開示されているが、その背景画面は部品画面ではなく、本発明とは相違する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の画面を作成するに際して画面作成の作業時間短縮および作業負担の軽減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係る制御システムを詳細に説明する。図1は制御システム全体の構成を示す。図1において、10は外部PC、20は表示器、30はPLC、40は外部機器である。外部PC10と複数の表示器20とは共通の通信プロトコルで通信が可能な共通ネットワーク50を介して互いに接続され、複数の表示器20と複数のPLC30それぞれは固有の通信プロトコルで通信が可能な専用ネットワーク60で個々に接続されている。共通ネットワーク50はLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)が用いられており、共通ネットワーク50での通信プロトコルとしてTCP/IPを採用することができる。なお、共通ネットワーク50には他の電子機器、例えば、マウス、キーボード、スピーカ、バーコードリーダ、等を接続することができる。
【0011】
外部PC10は、ホストコンピュータとして、一般の汎用パーソナルコンピュータと同様に、デスクトップ本体10a、キーボード10b、マウス10cを備え、内蔵ソフトまたは外部からインストールされた作画ツールにより、表示器20の制御画面を作成することができるようになっている。
【0012】
デスクトップ本体10aは、インターフェース(IF)10a1、作画(画面作成)ツール10a2、表示装置10a3、メモリ10a4、外部記憶装置10a5、CPU10a6、およびインターフェース10a7を備える。
【0013】
デスクトップ本体10aは、インターフェース10a1を介してキーボード10b、マウス10cに接続されて、キーボード10b、マウス10cの画面作成操作入力をCPU10a6に取り込むことができ、また、インターフェース10a7を介して共通ネットワーク50に接続されて、画面作成による画面データを表示器20に転送することができるようになっている。表示装置10a3は汎用パーソナルコンピュータと同様の表示画面を備えて各種データや情報を表示したりする一方、作画ツール10a2により画面上に作画領域を表示することができるようになっている。この作画領域上に制御画面の作成作業が行われる。メモリ10a4や外部記憶装置10a5はその画面作成作業に用いることができるようになっている。
【0014】
表示器20は、RAM、ROM、フラッシュROM、VRAMなどのメモリ20aや、演算処理であるCPU20b、表示装置20c、入力装置20d、インターフェース(I/F)20e,20fを有しており、これらによって表示器20の各部の動作を制御している。表示器20は、CPU20bにおいて制御画面の表示制御、プロトコル変換およびデータ配信の処理を行うために各種のデータ処理を行うことができる。表示器20は、外部PC10の作画ツール10a2で作成された制御画面に基づいてVRAMなどのメモリ20aを用いて表示装置20cの画面上に制御画面を描画させることができる。制御画面には、HMI表示部品やタグが画像ブロックとして合成されている。制御画面においては、HMI表示部品やタグが入出力用外部機器40の動作に応じて動くようになっており、入力用および出力用の外部機器40の動作状況が視覚化されている。
【0015】
表示器20は、共通ネットワーク50から送信される外部PC10の画面作成データに含まれる送信先のIPアドレスを解析し、そのIPアドレスが自己のものであれば外部PC10からのデータに含まれるコマンドを読み取り、画面作成データに対応して必要な表示動作を行うことができる。
【0016】
PLC30は、制御シーケンスにしたがって、入力用外部機器40から入力される信号に基づいて出力用外部機器40に与える制御データの演算処理を行う。入力用外部機器40としては、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような機器が用いられる。出力用外部機器40としては、アクチュエータ、リレー、電磁弁、などが用いられる。これらの入力用外部機器40および出力用外部機器40は、製造ラインなどの所要各部に配置される。
【0017】
図2ないし図8を参照して外部PC10を画面作成装置としこれを用いた画面作成方法を説明する。図2ないし図4は画面上の背景スクリーン作成の説明のための模式図であり、図5ないし図7は画面上で背景スクリーン以外の部品配置画面(個別画面)作成の説明のための模式図であり、図6は共通画面と個別画面とを合成して表示器用の制御画面作成の説明のための模式図である。
【0018】
まず、背景スクリーンの作成について説明すると、図2で示すようにキーボード、マウス等の入力装置を操作して外部PC10の画面に作画ツールソフトにより編集画面70を呼び出す。編集画面70には作画領域80であるウインドウが配置されている。作画領域80のサイズ等はメニューバー操作等により適宜に設定することができる。次に、図3で示すようにメニューバーの「部品」メニューをクリックして編集画面70内に部品リストウインドウ90を呼び出す。部品リストウインドウ90内に収納されている部品作画に必要なテンプレート部品のうち、背景スクリーンの作成に必要なテンプレート部品を作画領域80にドラッグアンドドロップし、マウス操作で所要の部品形状、部品配置に作画する。もちろん、ツールバーやその他の領域等に目的とする部品をアイコン表示しこの部品をワンクリックして作画領域80に貼り付けられるようにしてもよい。これら部品のプロパティ設定の説明は省略する。こうして作画領域80に図4で示すような背景スクリーン100を作成する。背景スクリーン100の作成が完成すると、メニューバーの「登録」をクリックして背景スクリーン100を登録する。背景スクリーン100の登録はユーザーの視覚による確認および頻繁な利用を容易にするため編集画面70に登録内容表示領域(背景スクリーンギャラリ領域)102を設け、この背景スクリーンギャラリ領域102に背景スクリーン100を表示する。こうして背景スクリーンギャラリ領域102に上記作成した背景スクリーン100を確認可能にする。
【0019】
次に、個別画面の作成を説明すると、この個別画面の作成モードにおいては上記登録した背景スクリーン100が低コントラスト状態で表示される。この背景スクリーン100の表示に代えて、背景スクリーンギャラリ領域102から他の背景スクリーン100を選択して、低コントラスト状態で表示してもよい。この低コントラスト状態は図解の都合で仮想線で示している。この低コントラスト表示により作業者は背景スクリーン100に対する個別画面の配置関係を認識することができて画面作成を、より正確に、かつ、より容易に行うことができる。次いで、図6で示すようにメニューバーの「部品」メニューをクリックして編集画面70内に部品リストウインドウ90を呼び出す。部品リストウインドウ90内に収納されているテンプレート部品のうち、個別画面作成に必要なテンプレート部品を作画領域80にドラッグアンドドロップし、マウス操作で所要の部品形状、部品配置に作画する。もちろん、背景スクリーン100の作成と同様に、ツールバー等に目的とする部品をアイコン表示し、この部品をクリックして作画領域に貼り付けられるようにしてもよい。これら部品のプロパティ設定の説明も省略する。こうして図7の作画領域80にレベルメータが配置された個別画面11の作成が終了する。レベルメータはデータを棒グラフで表示するメータである。この個別画面110が完成すると、メニューバーの「登録」をクリックしてこの個別画面110を登録する。この個別画面110も編集画面70に個別画面表示領域(個別画面ギャラリ領域)を設け、この個別画面ギャラリ領域に個別画面を表示可能とすることができる。こうすれば、背景スクリーン100と個別画面110との組み合わせを種々に選択することができる。
【0020】
次に、背景スクリーン100と個別画面110とを合成するときは、メニューバーの合成をクリックして背景スクリーン100と個別画面110とを合成する。この合成のプロパティの説明も省略する。合成操作は、図7の段階で行うようにしてもよいし、すべての個別画面110の作成後に、背景スクリーン100と個別画面110との組み合わせを選択し、この選択の後で行うようにしてもよい。
【0021】
また、合成状態は例えば、図示略のシミュレーション画面で確認可能にしてもよい。こうして、制御画面の作成が終了すると、外部PC10から目的とする表示器20に転送する。
【0022】
図9は図4の背景スクリーン100にボリューム表示部品が配置された他の個別画面110が合成された制御画面120を示す。図10は背景スクリーン100にデータを表で表示するテーブル部品のさらに他の個別画面110が合成された制御画面120を示す。図8、図9、図10はいずれも背景スクリーン100が共通であり、その背景スクリーン100に棒グラフ表示部品、ボリューム表示部品、テーブル表示部品という個別画面110が合成された制御画面120を示している。もちろん、これら表示部品に限らず、他の表示部品についても背景スクリーン100との組み合わせを選択することができる。
【0023】
以上説明したように本実施の形態では、複数の画面作成においては背景スクリーンを各画面において共通して用いることができるから、背景スクリーンを構成する画面を作成する手間が不要となり、その分、画面作成作業の時間を短縮することができ、また作業者の負担も大幅に軽減される。
【0024】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で、種々な変更ないしは変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】外部PC、表示器およびPLCからなる制御システムの構成図である。
【図2】背景スクリーンの作図の説明に供する編集画面を示す図である。
【図3】編集画面に部品ウインドウが重ね表示されている状態を示す図である。
【図4】背景スクリーンの表示画面を示す図である。
【図5】個別画面の作図の説明に供する編集画面を示す図である。
【図6】編集画面に部品ウインドウが重ね表示されている状態を示す図である。
【図7】個別画面を示す図である。
【図8】背景スクリーンに個別画面を合成した画面を示す図である。
【図9】背景スクリーンに他の個別画面を合成した例を示す図である。
【図10】背景スクリーンにさらに他の個別画面を合成した例を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
10 外部PC
20 表示器
30 PLC
40 外部機器
50 共通ネットワーク
60 専用ネットワーク
70 編集画面
80 作画領域
90 部品リストウインドウ
100 背景スクリーン
110 個別画面
120 制御画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面作成装置の作画領域上に複数の部品を配置して画面を作成する画面作成方法において、作画領域上に各画面共通の部品配置画面を背景スクリーンとして作成するステップと、背景スクリーン以外の部品配置画面を作成するステップとを、含むことを特徴とする画面作成方法。
【請求項2】
画面作成装置の作画領域上に複数の部品を配置して画面を作成する画面作成方法において、作画領域上に各画面共通の部品配置画面を背景スクリーンとして作成するステップと、作画領域上に前記背景スクリーンを低コントラスト状態で表示しておき、その表示状態で背景スクリーン以外の部品配置画面を作成するステップとを、含むことを特徴とする画面作成方法。
【請求項3】
画面作成装置の作画領域上に複数の部品を配置して画面を作成する画面作成方法において、複数の画面に共通した部品の配置画面を作成し、前記配置画面を背景スクリーンとして作成するステップと、前記背景スクリーンを登録するステップと、作画領域上に前記登録されている背景スクリーンを表示しておき、この表示状態で背景スクリーン以外の部品配置画面を作成するステップと、を含むことを特徴とする画面作成方法。
【請求項4】
背景スクリーンをギャラリ表示し、ギャラリ表示されている背景スクリーンから作画対象である背景スクリーンを選択可能にする、ことを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載の画面作成方法。
【請求項5】
前記画面が、PLCにより制御される外部機器の状況表示および制御操作を行うためのHMI表示部品が配置される制御画面である、ことを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の画面作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−301729(P2006−301729A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118747(P2005−118747)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(501088257)株式会社ウィン・システム (37)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】