説明

画面内の対象が押圧によって操作可能なユーザインタフェース装置、対象操作方法及びプログラム

【課題】タッチパネルに対して、画面内の対象の多様な動作を実行させ得る、直感的な操作を行うことが可能なユーザインタフェース装置を提供する。
【解決手段】本ユーザインタフェース装置は、指の接触位置に応じて、仮想空間内に表示された又は仮想空間内に存在すると想定された操作すべき対象を決定する対象決定手段と、決定された対象の奥行き方向での変位量を、指による押圧力の大きさに応じて決定する動作決定手段と、決定された対象を、決定された変位量だけ奥行き方向に変位させる動作制御手段とを有している。ここで、動作決定手段は、決定された当該対象の奥行き方向での速度を、指による押圧力の大きさの変化率に応じて決定することも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ及びタッチパネルを備えたユーザインタフェース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報表示として3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)を採用し、入力手段としてタッチパネルを搭載したユーザインタフェース装置が広く普及している。
【0003】
ここで、3DCGは、仮想の立体物(3次元空間内の対象)を、ディスプレイ画面(2次元平面)上の情報に変換して、奥行き感を持たせた画像として表示する技術である。一方、タッチパネルは、例えば、ディスプレイの画面上に設けられており、この画面(タッチパネル)に指、スタイラス等で触れることによって指示入力が可能となるデバイスである。これらを具備したユーザインタフェース装置としては、携帯型ゲーム機や、スマートフォン、タブレット型コンピュータといった携帯型情報機器が挙げられる。
【0004】
このような装置では、タッチパネルへの入力操作に応じて、3DCGで表示された画像をどのように処理するかが種々工夫されてきた。例えば、特許文献1には、スティック等を画面に接触させて、対応する3次元ゲーム空間内のオブジェクトを変化させるゲーム装置が開示されている。具体的には、この画面上の接触位置に対応する3次元ゲーム空間内での位置と、仮想カメラの位置とを通る直線を算出し、この直線と交わるオブジェクトをズームアップ表示する。
【0005】
また、特許文献2には、必ずしも3DCGではないが、野球ゲーム用の装置が開示されている。ここでは、表示されたキャラクタに、指示手段(指、タッチペン等)を接触させると、このキャラクタにボールが送球される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−11846号公報
【特許文献2】特開2006−87493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、入力用デバイスとしてタッチパネルを用いた場合、装置に指示できる入力パラメータの数は限定されてしまう。具体的には、指(又はスタイラス等)を接触させた位置(及びその変位)と、接触させた時間(タイミング)とが入力パラメータとして、アプリケーションの動作指示に利用されるだけであった。
【0008】
そこで、入力操作の種類を増やすため、物理的な押下ボタンや十字キー等を併用することも行われてきた。しかしながら、この場合、操作が複雑になっていた。また、入力操作と対象の応答動作とが対応している感覚が得られ難く、直感的に操作を行うことが困難となっていた。
【0009】
特に、3DCGによる情報表示では、表示された画像内の対象は、より多様な動作の可能性を有する場合が多い。このため、この対象に対して、より多くの動作指示を行い得ることが求められる。さらに、画像に奥行き感を持たせているので、情報表示そのものに臨場感があり、リアルな感覚が引き出される場合も多い。このような3DCGの特性を活かすために、入力操作を、タッチパネルを介して直感的に行い得ることも求められる。
【0010】
そこで、本発明は、タッチパネルに対して、画面内の対象の多様な動作を実行させ得る、直感的な操作を行うことが可能なユーザインタフェース装置、対象操作方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、画面の奥行き方向を含む仮想空間を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置であって、
当該指の接触位置に応じて、仮想空間内に表示された又は仮想空間内に存在すると想定された操作すべき対象を決定する対象決定手段と、
決定された対象の奥行き方向での変位量を、押圧力の大きさに応じて決定する動作決定手段と、
決定された対象を、決定された変位量だけ奥行き方向に変位させる動作制御手段と
を有するユーザインタフェース装置が提供される。
【0012】
また、本発明のユーザインタフェース装置における他の実施形態として、動作制御手段は、ユーザの操作から見て、
仮想空間内の当該対象又はその近傍を指でより強く押し込むほど、該対象を奥行き方向により大きく変位させることも好ましい。
【0013】
また、本発明のユーザインタフェース装置における他の実施形態として、動作決定手段は、決定された当該対象の奥行き方向での速度を、押圧力の大きさの変化率に応じて決定し、
動作制御手段は、決定された当該対象を、決定された速度で奥行き方向に変位させることも好ましい。
【0014】
この直前に述べた実施形態の場合、動作制御手段は、ユーザの操作から見て、
仮想空間内の当該対象又はその近傍を指でより素早く押し込むほど、該対象を奥行き方向により速い速度で変位させることも好ましい。
【0015】
また、本発明のユーザインタフェース装置における他の実施形態として、当該対象の仮想空間内での奥行き方向の変位量に応じて、又は変位量及び速度に応じて、該仮想空間内に表示されており該対象の変位に応答する客体の状態を変化させる客体応答制御手段を更に有することも好ましい。
【0016】
さらに、本発明のユーザインタフェース装置における他の実施形態として、制御すべき物理的な客体に又は制御すべき客体イメージを表示する情報機器に送信される制御情報を生成する制御情報生成手段と、
制御情報を当該物理的な客体又は当該客体イメージに送信する通信部と
を更に備えており、
制御情報生成手段は、当該対象の仮想空間内での奥行き方向の変位量に応じた変位量だけ、当該物理的な客体又は当該客体イメージにおける当該対象に対応した部分を変位させる制御情報を生成することも好ましく、当該対象の仮想空間内での奥行き方向の変位量に応じた変位量だけ、当該対象の仮想空間内での奥行き方向の速度に応じた速度で、当該物理的な客体又は当該客体イメージにおける当該対象に対応した部分を変位させる制御情報を生成することも好ましい。
【0017】
本発明によれば、さらに、画面の奥行き方向を含む仮想空間を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置に搭載されたプログラムであって、
当該指の接触位置に応じて、仮想空間内に表示された又は仮想空間内に存在すると想定された操作すべき対象を決定する対象決定手段と、
決定された対象の奥行き方向での変位量を、押圧力の大きさに応じて決定する動作決定手段と、
決定された対象を、決定された変位量だけ奥行き方向に変位させる動作制御手段と
してコンピュータを機能させる、ユーザインタフェース装置用のプログラムが提供される。
【0018】
本発明によれば、さらにまた、画面の奥行き方向を含む仮想空間を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置における、仮想空間内の対象を操作する方法であって、
当該指の接触位置に応じて、仮想空間内に表示された又は仮想空間内に存在すると想定された操作すべき対象を決定する第1のステップと、
決定された対象の奥行き方向での変位量を、押圧力の大きさに応じて決定する第2のステップと、
決定された対象を、決定された変位量だけ奥行き方向に変位させる第3のステップと
を有する、仮想空間内の対象を操作する方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明のユーザインタフェース装置、対象操作方法及びプログラムによれば、タッチパネルに対して、画面内の対象の多様な動作を実行させ得る、直感的な操作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による携帯型情報機器の一実施形態における前面図、及び指による操作の概略図である。
【図2】本発明による携帯型情報機器の他の実施形態における前面図、及び指による操作の概略図である。
【図3】本発明による携帯型情報機器の更なる他の実施形態における前面図、及び指による操作の概略図である。
【図4】本発明による携帯型情報機器の更なる他の実施形態における前面図、制御を行う物理的な客体の概略図、及び指による操作の概略図である。
【図5】本発明による携帯型情報機器の一実施形態を示す機能構成図である。
【図6】本発明による仮想空間内の対象を操作する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によるユーザインタフェース装置は、画面の奥行き方向を含む仮想空間を表示するディスプレイと、このディスプレイの画面上に配置されたタッチパネルと、指によりタッチパネルに与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを備えている。本発明は、指の接触位置に応じて決定された仮想空間内の対象を、指による押圧力の大きさに応じて決定された変位量だけ、画面奥行き方向に変位させる点に特徴を有する。
【0022】
ここで、画面の「奥行き方向」の意味を明確にする。「奥行き方向」とは、画面に表示される仮想空間内で、ユーザから遠ざかる(ように感じられる)向きを含む方向である。具体的には、仮想空間を表示しているユーザインタフェース装置が、ユーザに対向する(ように表示される)客体に向かって、ユーザの操作する対象を、入力操作に応じて変位させる。この場合、対象が変位する向きを含む方向が「奥行き方向」となる。
【0023】
本発明では、指による押し込みの程度に応じて、対象が「奥行き方向」に変位する。ここで、指による押し込みは、通常、ユーザに、押圧対象を自身から離れる向きに移動させる感覚を持たせる。その結果、本発明では、直感的な操作を行うことが可能となるのである。
【0024】
ここで、更に「直感的」の意味を明確にする。「直感的」な操作とは、操作における入力動作と対象の応答動作とが、物理的な作用の結果として関連している、との感覚を生じさせる操作である。対象が押し込まれることによって自身から離れていく(「奥行き方向」に変位する)操作は、「直感的」である。
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
尚、タッチパネルは、当然に、装置が持つ3DCG機能以外の機能の発動をも可能にし得る。このため、本発明の如く、タッチパネルを備えたユーザインタフェース装置は、スマートフォン、タブレット型コンピュータ等の携帯型情報機器であることも少なくない。従って、以下、本発明の実施形態として、3DCG機能付きの携帯型情報機器(以下、携帯型情報機器と称する)を説明する。但し、本発明は、同機器に限定されるものではなく、例えば、携帯型ゲーム機等のゲーム用機器であってもよい。
【0027】
(ボクシングゲーム)
図1は、本発明による携帯型情報機器の一実施形態における前面図、及び指による操作の概略図である。
【0028】
図1(A)は、ボクシングゲーム用アプリケーションが起動した携帯型情報機器1の前面図である。この前面図によれば、ディスプレイ101の画面に、仮想空間としてのボクシング対戦用のリング104が表示されている。また、この画面に、操作すべき対象としてのプレイヤの右拳105と、この右拳105の変位に応答する客体としての対戦相手107とが表示されている。さらに、この画面上に、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネル100が配置されている。
【0029】
また、画面内には、右拳選択範囲108及び左拳選択範囲109が設けられている。ユーザの指が右拳選択範囲108に接触すると(指の接触位置が右拳選択範囲108と重畳すると)、右拳105が操作すべき対象に決定される。また、ユーザの指が左拳選択範囲109に接触すると、左拳106が操作すべき対象に決定される。さらに、指の右拳選択範囲108(左拳選択範囲109)内での接触位置、又は当該位置から所定分ずれた位置が、右拳105(左拳106)が繰り出される際のスタートする位置に決定される。
【0030】
尚、右拳105(左拳106)は、指の接触位置に、又は当該位置から所定分ずれた位置に、表示されてもよい。または、右拳105(左拳106)は、指が右拳選択範囲108(左拳選択範囲109)に接触して初めて表示されてもよい。さらに、右拳105(左拳106)は、後述するように指が押し込まれて右拳105(左拳106)が繰り出されて初めて表示されてもよく、全く表示されない状態(存在すると想定された状態)のままであってもよい。また、右拳選択範囲108及び左拳選択範囲109も表示されなくともよく、操作の障害にならない程度に表示されてもよい。
【0031】
ユーザは、図1(B)に示すように、指を右拳選択範囲108に接触させて右拳105を選択した後、その指をその位置でタッチパネル100に押し込む。この押し込みに応じて、図1(C)に示すように、右拳105が、対戦相手107に向かって繰り出される。すなわち、奥行き方向に変位する。この際、右拳105は、指の接触位置又は当該位置から所定分ずれた位置からスタートし、対戦リング104内において対戦相手107(の右頬)に向かって奥行き方向に変位する。
【0032】
ここで、右拳105の繰り出された量、すなわち対戦リング104(仮想空間)内における奥行き方向での変位量dは、指による押圧力pの大きさに応じて決定される。例えば、変位量dは、次式
(1) d=C・(p−pTH
により決定される。ここで、Cは所定の比例係数であり、pTHは所定の閾値である。閾値pTHを設けることにより、指が単に接触しただけで拳が繰り出されてしまう事態を回避できる。尚、閾値pTHは、例えば、0.5N(ニュートン)乃至2.0Nの範囲内の値に設定可能である。また、指の押圧力pは、後述する押圧力検出部103(図5)で検出される。
【0033】
変位量dは、当然に式(1)以外の関係で決定可能であるが、押圧力pの単調増加関数であることが好ましい。この場合、ユーザの操作から見ると、右拳105又はその近傍を指でより強く押し込むほど、右拳105を奥行き方向により大きく変位させることができる。
【0034】
さらに、図1(B)に示すように、ユーザの指による押圧力pの変化率gに応じて、右拳105の奥行き方向での速度vが決定される。これにより、右拳105は、奥行き方向に、速度vをもって変位する。ここで、押圧力がpである時刻tでの変化率gは、直前に押圧力を測定した時刻tでの押圧力をpC0として、例えば、次式
(2) g=(p−pC0)/(t−t
により決定される。尚、時刻tは、指による押し込みの開始時であってもよい。この場合、pC0=0であって、押し込み開示時点からの平均的な変化率gが決定される。さらに、速度vは、例えば、次式
(3) v=C・g
により決定される。ここで、Cは所定の比例係数である。速度vは、当然に式(3)以外の関係で決定可能であるが、変化率gの単調増加関数であることが好ましい。この場合、ユーザの操作から見ると、右拳105又はその近傍を指でより素早く押し込むほど、右拳105を奥行き方向により速い速度で変位させることができる。
【0035】
尚、右拳105は、スタート位置が適切であって変位量dが十分に大きい場合、対戦相手107をヒットする。この場合、対戦相手107は、衝撃を受けて仰け反ったり、又はダウンしたりする。すなわち、対戦相手107は、変位量dに応答して、右拳105から作用を受ける形で、自身の状態を変化させられる。
【0036】
ここで、右拳105が対戦相手107にヒットした時点での速度vに応じて、対戦相手107が仰け反る程度の決定、さらにはダウンするか否かの判定がなされる。例えば、速度vに比例した変位量dだけ、対戦相手107の頭が後ろに移動してもよい。すなわち、変位量dが、次式
(4) d=C・v
で決定されてもよい。ここで、Cは所定の比例係数である。
【0037】
さらに、対戦相手107は、速度vに比例したダメージ量qを蓄積してもよい。この場合、ヒットされる度に蓄積されたダメージ量qの合計Σqが、所定の閾値qTH以上となった時点で、対戦相手107はダウンする。
【0038】
また、右拳105が対戦相手107にヒットした時点で、さらには、対戦相手がダウンした時点で、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に振動を与えてもよい。例えば、ヒットした際の反作用又は対戦相手107がダウンした際の衝撃を感じさせるような振動を与えることができる。これにより、ユーザは、実戦を体験しているかのような触覚応答を受け、リアルな操作感を得ることができる。
【0039】
さらに、右拳105及び対戦相手107の画面内での動きは、次のように表示可能である。すなわち、後述するアプリケーション処理部112(図5)が、(押圧力p及びその変化率gから決定された)変位量d及び速度vを受け取り、これらの値に基づいて各時点でレンダリングを行う。これにより、ボクシングゲームの進行に合わせて仮想空間が展開され、右拳105及び対戦相手107の動きがリアルタイムで表現される。
【0040】
尚、左拳106を繰り出して対戦相手107にヒットさせる操作、及びそれによる対戦相手107の応答も、以上に述べた右拳105に係る内容と同様にすることができる。
【0041】
以上述べたように、本実施形態では、指の接触位置のみならず、指による押圧力p(押し込み量)、さらには押圧力pの変化率g(押し込み速度)をパラメータとして、入力操作を行うことができる。その結果、画面内の両拳及び対戦相手107の多様な動作を実行させ得る。
【0042】
また、本実施形態では、指による押し込みの程度(押圧力p及びその変化率g)に応じて、拳が奥行き方向に変位する。ここで、指による押し込みは、通常、ユーザに、押圧対象を自身から離れる向きに移動させる感覚を持たせる。その結果、本実施形態では、直感的な操作を行うことが可能となるのである。
【0043】
さらに、本実施形態では、(押圧力p及びその変化率gに対応した)拳の変位量d及び速度vに応じて、拳から作用を受ける対戦相手107の状態が、多様に変化させられる。その結果、実戦を体験しているかのような視覚応答を受け、リアルな操作感を得ることができる。
【0044】
(レースゲーム)
図2は、本発明による携帯型情報機器の他の実施形態における前面図、及び指による操作の概略図である。
【0045】
図2(A)はレースゲーム用アプリケーションが起動した携帯型情報機器2の前面図である。この前面図によれば、ディスプレイ201の画面に、仮想空間としての、フロントガラスを介した車窓画像204が表示されている。また、この画面に、操作すべき対象としてのアクセルペダル205及びブレーキペダル206が表示されている。さらに、この画面上に、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネル200が配置されている。
【0046】
ユーザは、図2(B)に示すように、指をアクセルペダル205に接触させて(指の接触位置をアクセルペダル205の表示位置範囲と重畳させて)、アクセルペダル205を選択する。その後、その指をその位置でアクセルペダル205に押し込む。この押し込みに応じて、図2(C)に示すように、アクセルペダル205が、踏み込まれたように奥に移動する。すなわち、奥行き方向に変位する。
【0047】
ここで、アクセルペダル205の踏み込まれた量、すなわち奥行き方向での変位量dは、指による押圧力pの大きさに応じて決定される。例えば、変位量dは、上述した式(1):d=C・(p−pTH)により決定される。ここで、閾値pTHを設けることにより、指が単に接触しただけでアクセルペダル205が踏み込まれてしまう事態を回避できる。
【0048】
変位量dは、当然に式(1)以外の関係で決定可能であるが、押圧力pの単調増加関数であることが好ましい。この場合、ユーザの操作から見ると、アクセルペダル205を指でより強く押し込むほど、アクセルペダル205をより奥側に踏み込む(より大きく奥行き方向に変位させる)ことができる。さらに、車窓画像204は、アクセルペダル205が奥行き方向に変位するのに応じて、道路の奥側の位置が手前に向かってくる形で変化する。
【0049】
ここで、アクセルペダル205の変位量dに応じて、操作されている想定上のレースカーの時刻tでの加速度α及び速度vが決定される。例えば、時刻t=t+Δtとし、時刻tでの速度をvC0とすると、加速度α及び速度vは、それぞれ次式
(5) α=C・d−k・vC0
(6) v=vC0+Δt・α
で決定されてもよい。ここで、Cは所定の比例係数であり、kは空気抵抗係数である。このように加速度α及び速度vを決定することによって、レースカーは、アクセルペダル205をより奥側に踏み込むほど(指をアクセルペダル205により強く押し込むほど)、より加速され、より高い速度で走行する。尚、vには、上限値(最高到達速度)が設けられていてもよい。
【0050】
また、想定上のレースカーの速度vに応じて、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に、例えば、速度vをもたらすエンジンの駆動に起因するような振動を与えることができる。これにより、ユーザは、実際にレースカーを運転しているかのような触覚応答を受け、リアルな操作感を得ることができる。
【0051】
尚、指をブレーキペダル206に押し込む操作、及びそれによる車窓画像204の応答は、以上に述べたアクセルペダル205に係る内容において、次の点を変更したものと同様にすることができる。すなわち、ブレーキペダル206の変位量eに応じて、操作されている想定上のレースカーの時刻tでの加速度α及び速度vが決定される。例えば、時刻t=t+Δtとし、時刻tでの速度をvC0とすると、加速度α及び速度vは、それぞれ次式
(7) α=−C・e−k・vC0
(8) v=vC0+Δt・α
で決定されてもよい。ここで、Cは所定の比例係数であり、kは空気抵抗係数である。
【0052】
このように加速度α及び速度vを決定することによって、レースカーは、ブレーキペダル206をより奥側に踏み込むほど(指をアクセルペダル205により強く押し込むほど)、より減速され、より低い速度で走行する。尚、vは、負の値をとることがないように設定可能である。
【0053】
車窓画像204は、このように決定された各時刻tでの速度vに応じて、道路の奥側の位置が手前に向かってくる形で変化する。具体的には、後述するアプリケーション処理部112(図5)が、(押圧力pから決定された)変位量dを受け取り、この値に基づいて各時点でレンダリングを行う。これにより、想定上のレースカーの走行に合わせて仮想空間が展開され、車窓画像204の動きがリアルタイムで表現される。これにより、ユーザは、自身の操作する想定上のレースカーが仮想空間を走行している感覚を得る。
【0054】
以上述べたように、本実施形態では、指の接触位置のみならず、指による押圧力p(押し込み量)をパラメータとして、入力操作を行うことができる。その結果、画面内のアクセルペダル205、ブレーキペダル206及び車窓画像204の多様な動作を実行させ得る。
【0055】
また、本実施形態では、指による押し込みの程度(押圧力p)に応じて、アクセルペダル205(ブレーキペダル206)が、奥行き方向に変位する。ここで、指による押し込みは、通常、ユーザに、押圧対象を自身から離れる向きに移動させる感覚を持たせる。その結果、本実施形態では、直感的な操作を行うことが可能となるのである。
【0056】
さらに、本実施形態では、(押圧力pに対応した)アクセルペダル205(ブレーキペダル206)の変位量d(変位量e)に応じて、アクセルペダル205(ブレーキペダル206)の変位に応答する車窓画像204の状態が、多様に変化させられる。その結果、実際の運転を体験しているかのような視覚応答を受け、リアルな操作感を得ることができる。
【0057】
(野球ゲーム)
図3は、本発明による携帯型情報機器の更なる他の実施形態における前面図、及び指による操作の概略図である。
【0058】
図3(A)は、野球ゲーム用アプリケーションが起動した携帯型情報機器3の前面図である。この前面図によれば、ディスプレイ301の画面に、仮想空間としてのグラウンド304が表示されている。また、この画面に、操作すべき対象としてのボール305と、このボール305の変位に応答する客体としてのバット306とが表示されている。さらに、この画面上に、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネル300が配置されている。
【0059】
また、画面内には、リリース位置指定範囲307が設けられている。ユーザの指がリリース位置指定範囲307に接触すると(指の接触位置がリリース位置指定範囲307と重畳すると)、ボール305が操作すべき対象に決定される。さらに、指のリリース位置指定範囲307内での接触位置が、ボール305が投げ出される際のスタートする位置に決定される。
【0060】
尚、ボール305は、指の接触位置に表示されてもよい。または、指がリリース位置指定範囲307に接触して初めて表示されてもよい。さらに、ボール305は、後述するように指が押し込まれてボール305が投げ出されて初めて表示されてもよい。また、リリース位置指定範囲307も表示されなくともよく、操作の障害にならない程度に表示されてもよい。
【0061】
ユーザは、図3(B)に示すように、指をリリース位置指定範囲307に接触させてボール305を選択した後、その指をその位置でタッチパネル300に押し込む。この押し込みに応じて、図3(C)に示すように、ボール305が、キャッチャーに向かって投げ出される。すなわち、奥行き方向に変位する。この際、ボール305は、指の接触位置からスタートする(リリースされる)。
【0062】
また、図3(B)に示すように、ユーザの指による押圧力pに応じて、ボール305の到達距離(ボール305の変位量)d、すなわち、ボール305がホームベース位置まで届くか否かが決定される。例えば、押圧力pに比例した到達距離dが、閾値(ピッチャーマウンドからホームベースまでの距離)dTH以上であれば、ボール305がホームベース位置まで届くとすることができる。
【0063】
さらに、ユーザの指による押圧力pの変化率gに応じて、ボール305の速度vが決定される。これにより、ボール305は、奥行き方向に、速度vをもって変位する。
【0064】
この変化率gは、指による押し込みの開始時刻tから所定の押圧力閾値pTH1に達する時刻tTHまでの時間での変化率としてもよい。または、指による押し込みの開始時刻tから押圧力が最初に極大値pMAXを示す時刻tTHまでの時間での変化率としてもよい。後者の場合、変化率g及び速度vは、例えば、次式
(9) g=pMAX/(tTH−t
(10) v=C・g
により決定される。ここで、Cは所定の比例係数である。
【0065】
ボール305の速度vは、当然に式(10)以外の関係で決定可能であるが、変化率gの単調増加関数であることが好ましい。この場合、ユーザの操作から見ると、ボール305を指でより素早く押し込むほど、ボール305をより速い速度で、キャッチャーに向かって投げ込むことができる(奥行き方向に変位させることができる)。
【0066】
尚、ボール305は、スタート位置が適切であって変位量dが十分に大きい場合、バッターの手元(ストライクゾーン)に速度vで到達する。この場合、図3(C)のように、バット306が、これに応答して、ボール305に向かって振られてもよい。すなわち、バット306は、変位量d及び速度vに応じて、自身の状態を変化させる。
【0067】
また、バット306の動き(変化)は、前もって準備されている多数のパターンのいずれかに決定されてもよい。この決定は、後述するアプリケーション処理部112(図5)によって、変位量d及び速度vと、各パターンに割り振られた所定の確率とを勘案して、行われてもよい。
【0068】
さらに、指でボール305を押し込み始めてからボール305が投げ出されるまでの間、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に、例えば、ボール305を投げる際の負荷を感じさせるような振動を与えることができる。これにより、ユーザは、実際に投球しているかのような触覚応答を受け、リアルな操作感を得ることができる。
【0069】
以上述べたように、本実施形態では、指の接触位置のみならず、指による押圧力p(押し込み量)、さらには押圧力pの変化率g(押し込み速度)をパラメータとして、入力操作を行うことができる。その結果、画面内のボール305及びバット306の多様な動作を実行させ得る。
【0070】
また、本実施形態では、指による押し込みの程度(押圧力p及びその変化率g)に応じて、ボール305が奥行き方向に変位する。ここで、指による押し込みは、通常、ユーザに、押圧対象を自身から離れる向きに移動させる感覚を持たせる。その結果、本実施形態では、直感的な操作を行うことが可能となるのである。
【0071】
さらに、本実施形態では、(押圧力p及びその変化率gに対応した)ボール305の変位量d及び速度vに応じて、ボール305の変位に応答するバット306の状態が、多様に変化させられる。その結果、実戦を体験しているかのような視覚応答を受け、リアルな操作感を得ることができる。
【0072】
(ロボット遠隔操作)
図4は、本発明による携帯型情報機器の更なる他の実施形態における前面図、制御を行う物理的な客体の概略図、及び指による操作の概略図である。
【0073】
図4(A)は、ロボット遠隔操作用アプリケーションが起動した携帯型情報機器4の前面図、及び制御を行うロボット5の概略図である。この前面図によれば、ディスプレイ401の画面に、仮想空間内に位置するロボットイメージ404が表示されている。さらに、この画面上に、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネル400が配置されている。
【0074】
ロボットイメージ404は、本実施形態において、背中を向けて(奥側に向いて)二足直立している。また、ロボットイメージ404は、操作すべき対象としての右拳405及び左拳406を有している。
【0075】
さらに、携帯型情報機器4による制御対象として、物理的な客体としてのロボット5が設けられている。ロボット5は通信機能を有しており、例えば無線通信網としてのアクセスネットワークを介して、携帯型情報機器4からの制御情報を受信することができる。ここで、ロボットイメージ404は、ロボット5の表現となっている。すなわち、ロボット5は、ロボットイメージ404の右拳405及び左拳406にそれぞれ相当する、右拳部501及び左拳部502を備えている。
【0076】
また、画面内には、右拳選択範囲407及び左拳選択範囲408が設けられている。ユーザの指が右拳選択範囲407に接触すると(指の接触位置が右拳選択範囲407と重畳すると)、右拳405が操作すべき対象に決定される。また、ユーザの指が左拳選択範囲408に接触すると、左拳406が操作すべき対象に決定される。尚、右拳選択範囲108及び左拳選択範囲109は、表示されなくともよく、操作の障害にならない程度に表示されてもよい。
【0077】
ユーザは、図4(B)に示すように、指を右拳選択範囲407に接触させて右拳405を選択した後、その指をその位置でタッチパネル400に押し込む。この押し込みに応じて、図4(C)に示すように、右拳405が、仮想空間内で奥側に繰り出される。すなわち、奥行き方向に変位する。また、これに対応して、ロボット5の右拳部501も、ロボット5から見て前方に繰り出される。
【0078】
ここで、右拳405の繰り出された量、すなわち奥行き方向での変位量dは、指による押圧力pの大きさに応じて決定される。変位量dは、例えば、上述した式(1):d=C・(p−pTH)により決定される。ここで、閾値pTHを設けることにより、指が単に接触しただけで拳が繰り出されてしまう事態を回避できる。また、この場合、ユーザの操作から見ると、右拳405又はその近傍を指でより強く押し込むほど、右拳405を奥行き方向により大きく変位させることができる。
【0079】
さらに、図4(B)に示すように、ユーザの指による押圧力pの変化率gに応じて、右拳405の奥行き方向での速度vが決定される。これにより、右拳405は、奥行き方向に、速度vをもって変位する。ここで、変化率g及び速度vは、例えば、それぞれ上述した式(2):g=(p−pC0)/(t−t)及び(3):v=C・gにより決定されることができる。この場合、ユーザの操作から見ると、右拳405又はその近傍を指でより素早く押し込むほど、右拳405を奥行き方向により速い速度で変位させることができる。
【0080】
次いで、制御情報生成部131(図5)によって、制御すべきロボット5に送信する制御情報が、決定された変位量d及び速度vに応じて生成される。ここで、制御情報生成部131は、後述する動作制御部124(図5)から決定された変位量d及び速度vの情報を入力して制御情報を生成する。この制御情報は、変位量dに応じた変位量dだけ、速度vに応じた速度vで、ロボット5における右拳405に対応した右拳部501を変位させる内容を含む。尚、ロボット5の右拳部501での変位量d及び速度vは、例えば、それぞれ変位量d及び速度vに比例した値とすることができる。
【0081】
生成された制御情報は、携帯型情報機器4の通信部11(図5)から、無線通信網等のアクセスネットワークを介して、ロボット5に送信される。ロボット5は、この制御情報を受信し、その内容に従って、右拳部501を変位量dだけ速度vで繰り出す。
【0082】
尚、左拳406を繰り出す操作、及びそれに対応した左拳部502を繰り出す動作も、以上に述べた右拳405及び右拳部501での内容と同様にすることができる。
【0083】
尚、変更態様として、携帯型情報機器4が制御する対象は、ロボット5のような物理的な実体ではなく、他の携帯型情報機器6に表示された客体イメージであるロボットイメージ601であってもよい。この態様においても、制御すべきロボットイメージ601を表示する携帯型情報機器6に送信する制御情報が、決定された変位量d及び速度vに応じて生成される。この制御情報は、変位量dに応じた変位量dだけ、速度vに応じた速度vで、ロボットイメージ601における右拳602(左拳603)を変位させる内容を含む。
【0084】
さらに、上記の態様において、携帯型情報機器6は、ロボットイメージ601とは別に、操作すべき対象としてのロボットイメージを更に表示していてもよい。また、このロボットイメージに対応したイメージが、携帯型情報機器4に、ロボットイメージ404と共に表示されていてもよい。この場合、機器4及び6のユーザはそれぞれ、自身のロボットイメージを、指による押し込み動作によって操作して、相手の操作するロボットイメージに作用を及ぼすことが可能となる。
【0085】
以上述べたように、本実施形態では、指の接触位置のみならず、指による押圧力p(押し込み量)、さらには押圧力pの変化率g(押し込み速度)をパラメータとし、制御対象の制御にあたって直感的な入力操作を行うことができる。さらに、この入力操作の結果を、通信によって制御対象に送信し、制御対象の多様な動作を実行させることが可能となる。
【0086】
図5は、本発明による携帯型情報機器の一実施形態を示す機能構成図である。
【0087】
図5によれば、携帯型情報機器1は、タッチパネル100と、ディスプレイ101と、触覚応答機構部102と、押圧力検出部103と、プロセッサ・メモリとを備えている。尚、図4に示した実施形態の携帯型情報機器4は、更に、通信部11を備えている。
【0088】
また、プロセッサ・メモリは、対象決定部121と、スタート位置決定部122と、動作決定部123と、動作制御部124と、客体応答制御部125と、触覚応答制御部126と、表示制御部111と、アプリケーション処理部112とを有する。ここで、プロセッサ・メモリは、プログラムを実行することによってその機能を実現させる。尚、図4に示した実施形態の携帯型情報機器4では、プロセッサ・メモリは、更に、制御情報生成部131を有している。
【0089】
ディスプレイ101は、画面の奥行き方向を含む仮想空間を表示する。また、タッチパネル100は、ディスプレイ101の画面上に配置されており、ユーザの指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力する。このタッチパネル100として、投影型静電容量方式タッチパネル、表面型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜方式タッチパネル、超音波表面弾性波方式タッチパネル、又は赤外線走査方式タッチパネル等を採用することができる。
【0090】
触覚応答機構部102は、タッチパネル100に接触した指に対して、タッチパネル100を振動させることにより、触覚応答を与える。触覚応答機構部102は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料を用いて形成された圧電アクチュエータとすることができる。
【0091】
押圧力検出部103は、指によってタッチパネル100に与えられる押圧力pを検出する。押圧力検出部103は、例えば、タッチパネル100の四隅下に設置されており、指を押し付けられ僅かに撓んだタッチパネル100が自身に及ぼす押圧の合計を、押圧力pとして検出する。
【0092】
押圧力検出部103は、例えば、PZT等の圧電材料を用いて形成された圧電センサとすることができる。また、圧電アクチュエータで構成された触覚応答機構部102を設ける代わりに又は設けると共に、この押圧力検出部103を触覚応答機構部として利用することも可能である。
【0093】
対象決定部121は、タッチパネル100から出力される指の接触位置信号を入力する。更に、この指の接触位置に応じて、仮想空間内に表示された又は仮想空間内に存在すると想定された操作すべき対象(例えば、拳105、106、405若しくは406、アクセルペダル205、ブレーキペダル206、又はボール305)を決定する。また、この決定結果を、動作制御部124に出力する。
【0094】
スタート位置決定部122は、タッチパネル100から出力される指の接触位置信号を入力し、指の接触位置に応じて、操作すべき対象が仮想空間内で奥行き方向に変位する際のスタート(変位開始)位置を決定する。また、この決定結果を、動作制御部124に出力する。
【0095】
動作決定部123は、押圧力検出部103から出力される押圧力信号を入力し、操作すべき対象の奥行き方向での変位量dを、指による押圧力pの大きさに応じて決定する。また、操作すべき対象の奥行き方向での速度vを、押圧力pの大きさの変化率gに応じて決定する。さらに、これらの決定結果を、動作制御部124に出力する。
【0096】
動作制御部124は、対象決定部121と、スタート位置決定部122と、動作決定部123とから、決定結果を含む信号を入力する。その後、入力した決定結果に基づき、操作すべき対象を、決定された変位量dだけ、決定された速度vで奥行き方向に変位させるように、アプリケーション処理部112に指示する。また、操作すべき対象の変位情報(変位量d及び速度v)を、客体応答制御部125に出力する。
【0097】
客体応答制御部125は、操作すべき対象の仮想空間内での奥行き方向の変位量d及び速度vに応じて、この対象の変位に応答する客体(例えば、対戦相手107、車窓画像204、又はバット306)の状態を変化させるように、アプリケーション処理部112に指示する。
【0098】
触覚応答制御部126は、動作制御部124及び/又は客体応答制御部125から出力される操作すべき対象及び客体の動作指示情報を入力する。さらに、この情報に基づいて、タッチパネル100に接触した指に対して触覚応答を与えるべく、触覚応答機構部102を制御する。
【0099】
表示制御部111は、アプリケーション処理部112からのアプリケーション処理情報を入力して、動作制御部124及び/又は客体応答制御部125からの指示情報に応じた画像、さらにはアプリケーションの実行に応じた画像を、ディスプレイ101に表示させる。
【0100】
図6は、本発明による仮想空間内の対象を操作する方法の一実施形態を示すフローチャートである。これらのフローチャートを用いて、プロセッサ・メモリで実施される対象操作方法の一実施形態を説明する。
【0101】
図6によれば、最初に、タッチパネル100が、指の接触位置を測定する(ステップS61)。次いで、対象決定部121によって、指の接触位置が、操作すべき対象に対応した位置範囲(例えば、拳選択範囲108、109、407若しくは408、アクセルペダル205若しくはレーキペダル206の表示位置範囲、又はリリース位置指定範囲307)のいずれかと重畳したか否かが判定される(ステップS62)。
【0102】
ここで真の判定がなされた場合、対象決定部121は、指の接触位置が重畳した位置範囲に対応した対象を、操作すべき対象に決定する(ステップS63)。次いで、スタート位置決定部122は、指の接触位置に基づいて、操作すべき対象のスタート位置(変位開始位置)を決定する(ステップS64)。
【0103】
次いで、押圧力検出部103が、指による押圧力pを検出する(ステップS65)。その後、動作決定部123が、検出された押圧力pの大きさに応じて、操作すべき対象の奥行き方向での変位量dを決定し(ステップS66)、さらに、検出された押圧力pの大きさの変化率gに応じて、操作すべき対象の奥行き方向での速度vを決定する(ステップS67)。
【0104】
その後、動作制御部124が、操作すべき対象を、決定された変位量dだけ、決定された速度vで奥行き方向に変位させる(ステップS68)。その後、対象の操作が継続するか否かを判断すべく、ステップS61に戻る。
【0105】
一方、対象決定部121によって、指の接触位置が、対象に対応した位置範囲のいずれとも重畳しなかったと判定された場合(ステップS62)、対象の操作は終了する。
【0106】
以上、詳細に説明したように、本発明のユーザインタフェース装置、対象操作方法及びプログラムによれば、指の接触位置に応じて決定された仮想空間内の対象を、指による押圧力pの大きさに応じて決定された変位量dだけ、画面奥行き方向に変位させる。また、この対象を、押圧力pの大きさの変化率gに応じて決定された速度vで、画面奥行き方向に変位させる。その結果、タッチパネルに対して、画面内の対象の多様な動作を実行させ得る、直感的な操作を行うことが可能となる。
【0107】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0108】
1、2、3、4、6 携帯型情報機器(ユーザインタフェース装置)
100、200、300、400 タッチパネル
101、201、301、401 ディスプレイ
102 触覚応答機構部
103 押圧力検出部
104 リング
105、106、405、406、602、603 拳
107 対戦相手
108、109、407、408 拳選択範囲
11 通信部
111 表示制御部
112 アプリケーション処理部
121 対象決定部
122 スタート位置決定部
123 動作決定部
124 動作制御部
125 客体応答制御部
126 触覚応答制御部
131 制御情報生成部
204 車窓画像
205 アクセルペダル
206 ブレーキペダル
304 グラウンド
305 ボール
306 バット
307 リリース位置指定範囲
404、601 ロボットイメージ
5 ロボット
501、502 拳部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面の奥行き方向を含む仮想空間を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置であって、
当該指の接触位置に応じて、前記仮想空間内に表示された又は前記仮想空間内に存在すると想定された操作すべき対象を決定する対象決定手段と、
決定された前記対象の奥行き方向での変位量を、前記押圧力の大きさに応じて決定する動作決定手段と、
決定された前記対象を、決定された前記変位量だけ奥行き方向に変位させる動作制御手段と
を有することを特徴とするユーザインタフェース装置。
【請求項2】
前記動作制御手段は、ユーザの操作から見て、
前記仮想空間内の当該対象又はその近傍を指でより強く押し込むほど、該対象を奥行き方向により大きく変位させる
ことを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項3】
前記動作決定手段は、決定された当該対象の奥行き方向での速度を、前記押圧力の大きさの変化率に応じて決定し、
前記動作制御手段は、決定された当該対象を、決定された前記速度で奥行き方向に変位させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項4】
前記動作制御手段は、ユーザの操作から見て、
前記仮想空間内の当該対象又はその近傍を指でより素早く押し込むほど、該対象を奥行き方向により速い速度で変位させる
ことを特徴とする請求項3に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項5】
当該対象の前記仮想空間内での奥行き方向の変位量に応じて、該仮想空間内に表示されており該対象の変位に応答する客体の状態を変化させる客体応答制御手段を更に有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項6】
当該対象の前記仮想空間内での奥行き方向の変位量及び速度に応じて、該仮想空間内に表示されており該対象の変位に応答する客体の状態を変化させる客体応答制御手段を更に有することを特徴とする請求項3又は4に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項7】
制御すべき物理的な客体に又は制御すべき客体イメージを表示する情報機器に送信される制御情報を生成する制御情報生成手段と、
前記制御情報を当該物理的な客体又は当該客体イメージに送信する通信部と
を更に備えており、
前記制御情報生成手段は、当該対象の前記仮想空間内での奥行き方向の変位量に応じた変位量だけ、当該物理的な客体又は当該客体イメージにおける当該対象に対応した部分を変位させる制御情報を生成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項8】
制御すべき物理的な客体に又は制御すべき客体イメージを表示する情報機器に送信される制御情報を生成する制御情報生成手段と、
前記制御情報を当該物理的な客体又は当該客体イメージに送信する通信部と
を更に備えており、
前記制御情報生成手段は、当該対象の前記仮想空間内での奥行き方向の変位量に応じた変位量だけ、当該対象の前記仮想空間内での奥行き方向の速度に応じた速度で、当該物理的な客体又は当該客体イメージにおける当該対象に対応した部分を変位させる制御情報を生成することを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項9】
画面の奥行き方向を含む仮想空間を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置に搭載されたプログラムであって、
当該指の接触位置に応じて、前記仮想空間内に表示された又は前記仮想空間内に存在すると想定された操作すべき対象を決定する対象決定手段と、
決定された前記対象の奥行き方向での変位量を、前記押圧力の大きさに応じて決定する動作決定手段と、
決定された前記対象を、決定された前記変位量だけ奥行き方向に変位させる動作制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするユーザインタフェース装置用のプログラム。
【請求項10】
画面の奥行き方向を含む仮想空間を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置における、仮想空間内の対象を操作する方法であって、
当該指の接触位置に応じて、前記仮想空間内に表示された又は前記仮想空間内に存在すると想定された操作すべき対象を決定する第1のステップと、
決定された前記対象の奥行き方向での変位量を、前記押圧力の大きさに応じて決定する第2のステップと、
決定された前記対象を、決定された前記変位量だけ奥行き方向に変位させる第3のステップと
を有することを特徴とする仮想空間内の対象を操作する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−58136(P2013−58136A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197016(P2011−197016)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【復代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
【Fターム(参考)】