説明

異方導電性シートおよび異方導電性シートの製造方法

【課題】導電部が交換可能であり、またそれぞれの導電部の取り扱いが良好となる異方導電性シートおよび異方導電性シートの製造方法を提供する。
【解決手段】異方導電性シート10Aは、複数のピン挿通孔21を備えると共に電気の導通を防ぐ絶縁性を有するフレーム体20A,20Bと、電気を導通させる導電性を有する導電部312を備え、この導電部311がピン挿通孔21に位置してフレーム体20A,20Bの表面から突出すると共に、フレーム体20A,20Bに対して着脱可能に取り付けられる導電着脱部材30と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方導電性シートおよび異方導電性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板などの電気的性能を検査するために、各種の異方導電性シートが提案されている。たとえば、絶縁シート体の表面と、異方導電性シート体の一部を構成し、絶縁シート体の開口部に突出した導電部の端部の表面とが、ほぼ同一レベルになる形状とした異方導電性シートが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3456235号公報(請求項1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている異方導電性シート体においては、個々の導電部が一体的となっていて、それぞれの導電部を独立して交換ができない状態となっている。一方、個々の導電部を独立して交換する、というニーズも存在しており、そのニーズに応える必要がある(第1の課題)。
【0005】
また、現状の異方導電性シート体においては、個々の導電部の直径がたとえば1mmを下回るものが多い等、当該導電部は非常に小さいものとなっている。そのため、仮に個々の導電部が交換可能であるとしても、交換時、製造時の扱いは非常に困難なものとなっている。
【0006】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、少なくとも第1の課題を解決し、好ましくは第2の課題を解決することにあり、導電部が交換可能であり、またそれぞれの導電部の取り扱いが良好となる異方導電性シートおよび異方導電性シートの製造方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の異方導電性シートの第1の側面は、複数のピン挿通孔を備えると共に電気の導通を防ぐ絶縁性を有するフレーム体と、押圧力が加えられる場合に導電性が発現可能な導電部を備え、この導電部がピン挿通孔に位置してフレーム体の表面から突出すると共に、フレーム体に対して着脱可能に取り付けられる導電着脱部材と、を備えるものである。
【0008】
このように構成する場合、導電着脱部材は、フレーム体に対して着脱自在に設けられている。そのため、導電部を独立して交換する、というニーズに応えることができる。特に、異方導電性シートを使用するにつれて、ある特定の導電部に破損が生じる等により、ある特定の導電部に不具合が生じる場合がある。その場合、破損した導電部を交換できることが望ましいが、上述のように構成する場合、フレーム体に対して導電着脱部材を容易に交換可能となる。また、着脱自在な導電着脱部材であっても、その導電着脱部材をピン挿通孔に位置させると、導電部をフレーム体の表面から突出させることができる。それにより、良好な導電性を確保することが可能となる。
【0009】
また、本発明の異方導電性シートの他の側面は、上述の発明に加えて更に、フレーム体は、平面視した形状が略同一となる第1フレームおよび第2フレームを有し、これら第1フレームと第2フレームとが平面視した場合に重ねられる構成となると共に、第1フレームおよび第2フレームのそれぞれには、これらを貫くピン挿通孔が形成されていて、導電着脱部材は、導電部およびこの導電部よりも外周側にフランジ部を有する導電性ピン部材であり、導電性ピン部材の導電部は、ピン挿通孔に位置すると共に、導電性ピン部材のフランジ部は、ピン挿通孔の周縁部に位置すると共に第1フレームと第2フレームとの間に挟み込まれる、ことが好ましい。
【0010】
このように構成する場合には、導電着脱部材に対応する導電性ピン部材には、フランジ部が設けられていて、そのフランジ部がピン挿通孔の周縁部に位置する。そして、フランジ部は、第1フレームと第2フレームとの間に挟み込まれる。それにより、導電性ピン部材は、ピン挿通孔から外れるのを防止可能となり、異方導電性シートから導電性ピン部材が外れてしまうのを防止可能となる。また、上述のように、フレーム体が第1フレームと第2フレームとから構成されていて、1つのフレームから構成されるものではないため、導電性ピン部材の取り付けおよび取り外しが容易となる。
【0011】
さらに、本発明の異方導電性シートの他の側面は、上述の発明に加えて更に、導電着脱部材は、複数の導電部を長手方向に沿って列状に並べると共にこれら列状の導電部を連結する連結部を有する列状導電性ピンユニットである、ことが好ましい。
【0012】
このように構成する場合には、列状導電性ピンユニットを着脱する場合の扱いが容易となる。すなわち、導電部のそれぞれが非常に小さいもので、それらが互いに独立している場合、着脱の際の扱いが難しくなるものの、上述のように複数の導電部を長手方向に沿って列状に並べる列状導電性ピンユニットの場合、着脱の際の扱いが容易なものとなる。
【0013】
また、本発明の異方導電性シートの他の側面は、上述の発明に加えて更に、フレーム体は、平面視した形状が略同一となる第1フレームおよび第2フレームを有し、これら第1フレームと第2フレームとが平面視した場合に重ねられる構成となると共に、第1フレームおよび第2フレームのそれぞれには、これらを貫くピン挿通孔が形成されていて、列状導電性ピンユニットの導電部はピン挿通孔に位置すると共に、列状導電性ピンユニットの連結部は第1フレームと第2フレームとの間に挟み込まれる、ことが好ましい。
【0014】
このように構成する場合、列状導電性ピンユニットの連結部は、第1フレームと第2フレームとの間に挟み込まれる構成となるため、この列状導電性ピンユニットは、ピン挿通孔から外れるのを防止可能となり、異方導電性シートから列状導電性ピンユニットが外れてしまうのを防止可能となる。また、上述のように、フレーム体が第1フレームと第2フレームとから構成されていて、1つのフレームから構成されるものではないため、列状導電性ピンユニットの取り付けおよび取り外しが容易となる。
【0015】
さらに、本発明の異方導電性シートの他の側面は、上述の発明に加えて更に、導電部を有するピン形状のピン硬化部は、ピン挿通孔の直径と等しいかまたはその直径よりも大きく設けられる部分を有する、ことが好ましい。
【0016】
このように構成する場合には、ピン硬化部の直径がピン挿通孔の直径と等しいか、またはピン挿通孔の直径よりも大きいため、ピン硬化部は、ピン挿通孔に圧入されるか、またはピン硬化部はピン挿通孔から抜け落ち難い状態となる。それにより、列状導電性ピンユニットは、ピン挿通孔から外れるのを防止可能となり、異方導電性シートから列状導電性ピンユニットが外れてしまうのを防止可能となる。
【0017】
また、本発明の異方導電性シートの他の側面は、上述の発明に加えて更に、連結部は、長手方向に沿って延伸すると共に導電部とは別部材の連結部材から構成されると共に、導電部の周囲には、連結部材を保持する連結部材保持部が設けられていて、連結部材は、導電部および連結部材保持部よりも剛性が高い、ことが好ましい。
【0018】
このように構成する場合には、連結部が別部材から構成されているため、列状導電性ピンユニットを容易に作製することが可能となる。すなわち、金型の所定の部位に別部材である連結部材を設置した後に原料混合物を充填し、その原料混合物を硬化させると、その硬化において、連結部材保持部が連結部材を保持する状態で形成される。そのため、列状導電性ピンユニットの作製が容易となる。また、連結部材は、導電部および連結部材保持部よりも剛性が高いため、列状導電性ピンユニットが容易に変形してしまうのを防止でき、列状導電性ピンユニットの取り付けを容易化させることが可能となる。
【0019】
さらに、本発明の異方導電性シートの他の側面は、上述の発明に加えて更に、列状導電性ピンユニットは、列状をなすゴム材料と、このゴム材料中のうち導電部に偏在して分散している導電性粒子と、を有している、ことが好ましい。
【0020】
このように構成する場合には、列状導電性ピンユニットは、ゴム材料およびこのゴム材料の中に偏在する導電性粒子とから構成される。そのため、列状導電性ピンユニットの作製を、一層容易なものとすることが可能となる。
【0021】
また、本発明の他の側面は、異方導電性シートの製造方法であって、複数のピン挿通孔を備えると共に電気の導通を防ぐ絶縁性を有するフレーム体を作製するフレーム作製工程と、押圧力が加えられる場合に導電性が発現可能な導電部を備え、フレーム体に対して着脱可能に取り付けられる導電着脱部材を作製する導電性着脱部材作製工程と、導電部をピン挿通孔に位置させてフレーム体の表面から導電部を突出させるように、フレーム体に対して導電着脱部材を装着する装着工程と、を有し、導電着脱部材作製工程は、金型の下型に存在する下側キャビティと、金型の上型に存在する上側キャビティとを、流動性を有すると共にゴム原料および導電性粒子を含む原料混合物で充填する充填工程と、上型と下型とを押し付けて、加圧する加圧工程と、加圧工程と同時または後に、原料混合物に磁場を印加する磁場印加工程と、を有することが好ましい。
【0022】
このように構成する場合には、フレーム体に対して着脱可能な導電着脱部材を作製することが可能となる。すなわち、導電性シートを使用するにつれて、ある特定の導電部に破損が生じる等により、ある特定の導電部に不具合が生じる場合がある。その場合、破損した導電部を交換できることが望ましいが、上述のようにして作製される導電着脱部材は、フレーム体に対して容易に交換可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、異方導電性シートにおいて導電部が交換可能となる。また、導電部の取り扱いを良好とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る異方導電性シートの構成を示す側断面図である。
【図2】第1の実施の形態の異方導電性シートの形状を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態の導電性ピン部材の形状を示す斜視図である。
【図4】第1の実施の形態の導電性ピン部材の形状を示す側断面図である。
【図5】第1の実施の形態の金型の形状を示す側断面図であり、(A)は下型と上型とが加圧を行う前の状態を示し、(B)は下型と上型とが加圧を行っている状態を示す。
【図6】第1の実施の形態において導電性ピン部材を作製するための処理フローを示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る異方導電性シートの構成を示す側断面図である。
【図8】第2の実施の形態の列状導電性ピンユニットの形状を示す側断面図である。
【図9】第2の実施の形態の列状導電性ピンユニットの形状を示す部分的な平面図である。
【図10】第2の実施の形態の金型の形状を示す側断面図であり、(A)は下型と上型とが加圧を行う前の状態を示し、(B)は下型と上型とが加圧を行っている状態を示す。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る異方導電性シートの構成を示す側断面図である。
【図12】第3の実施の形態の列状導電性ピンユニットの形状を示す側断面図である。
【図13】第3の実施の形態の金型の形状を示す側断面図であり、(A)は下型と上型とが加圧を行う前の状態を示し、(B)は下型と上型とが加圧を行っている状態を示す。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る異方導電性シートの構成を示す部分的な側断面図である。
【図15】第4の実施の形態の列状導電性ピンユニットの形状を示す部分的な側断面図である。
【図16】第4の実施の形態の金型の形状を示す側断面図であり、(A)は下型と上型とが加圧を行う前の状態を示し、(B)は下型と上型とが加圧を行っている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る、異方導電性シート10Aについて、図1〜図6に基づいて説明する。
【0026】
図1および図2に示すように、異方導電性シート10Aは、第1フレーム20Aと、第2フレーム20Bと、導電性ピン部材30とを有している。
【0027】
<第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの構成について>
第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bは、フレーム体を構成するものである。この第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bは、図1におけるY軸方向に沿って、略対称を為す形状に設けられている。また、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとは、互いに位置決めされた状態で取り付け可能となっていて、さらに取り付けられた状態から取り外すことが可能となっている。
【0028】
これら第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bは、それぞれ、シート状を為すように設けられている。第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの厚み寸法は、特に限定されるものではないが、0.1mm〜1.0mmの範囲内が好ましく、0.2mm〜0.5mmの範囲内がより好ましい。第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bのそれぞれの厚み寸法を0.2mm以上とすることにより、本実施の形態の異方導電性シート10Aの製造時における成形の際に生じる成形歪に基づく導電部312の位置ずれを、回路基板の電気的検査に十分に耐える範囲内に収めることができる。また、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bのそれぞれの厚みを0.5mm以下とすることにより、小さな圧力でも有効な導電性が得られる。なお、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bのそれぞれの厚みとは、後述するスペーサ23を除いた、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bのそれぞれのシート状を為す部分の厚み寸法を意味する。
【0029】
なお、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとの間の取り付けは、たとえば、互いに嵌め合わされる構成を有するもの、外れるのを防止するためのロック機構を有するもの、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとを挟み込む構成を有するもの、取り外しが可能なテープまたは接着剤を用いるもの等、種々の態様を用いることが可能である。
【0030】
これら第1フレーム20Aと第2フレーム20Bには、ピン挿通孔21が設けられている。ピン挿通孔21は、導電性ピン部材30の導電部312を挿通させるための、貫通している孔である。このピン挿通孔21は、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bのそれぞれに、所定の個数設けられている。たとえば、図2に示すものでは、7行×17列の合計119個のピン挿通孔21が設けられている。しかしながら、ピン挿通孔21の個数は、導電性ピン部材30を取り付ける個数に応じて、適宜変更可能であり、たとえば1000個以上のピン挿通孔21を有するものとしても良く、50個以下のピン挿通孔21を有するものとしても良い。
【0031】
図1および図2に示すように、上述の第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bには、位置決め孔22が設けられている。この位置決め孔22は、異方導電性シート10Aの作製時に、不図示の治具の位置決めピンに差し込まれる部分であり、それによって、金型40Aの内部で、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの位置決めが為される。なお、本実施の形態においては、位置決め孔22は、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bのそれぞれに、2つずつ設けられている。加えて、図2においては、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20BのうちY軸方向に沿う中心線Lに沿って、それぞれの位置決め孔22が設けられている。なお、中心線Lは、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの幅方向(X軸方向)の中心を通るように設けられている。
【0032】
また、図1に示すように、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bのうち少なくとも一方には、スペーサ23が設けられている。スペーサ23は、第1フレーム20A側のみに存在していても良いし、第2フレーム20B側に存在していても良い。また、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bの両方に存在していても良い。また、スペーサ23は、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bとは別体的な部材を第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとの間に配置するようにしても良い。
【0033】
このスペーサ23の厚み寸法は、本実施の形態では、導電性ピン部材30のフランジ部の厚み寸法に対応するものとなっている。すなわち、スペーサ23と導電性ピン部材30は、同等の厚み寸法に設けられている。
【0034】
また、本実施の形態では、スペーサ23には、貫通孔23aが設けられている。この貫通孔23aは、上述の位置決め孔22と同等の直径となるように設けられている。そして、位置決め孔22と貫通孔23aとが位置合わせされた状態で、それらが金型40Aの位置決めピンに差し込まれる。しかしながら、スペーサ23は、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとの位置決め孔22が存在する部分に配置するものとはせずに、他の部分に配置する構成を採用しても良い。たとえば、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bの四隅に近い部分にスペーサ23を配置する構成を採用しても良いが、その場合には合計4つのスペーサ23を用いることが好ましい。なお、図1に示すものでは、スペーサ23が合計2つとなっていて、その個数を低減できる、というメリットがある。
【0035】
なお、上述の説明において、「同等の厚み寸法、同等の直径」とは、両者の厚み寸法または直径が全く等しい場合は勿論のこと、それ以外に多少の誤差を許容するものである。
【0036】
<導電性ピン部材30の構成について>
続いて、導電性ピン部材30の構成について説明する。なお、導電性ピン部材30は、導電着脱部材に対応する。図1、図3および図4に示すように、導電性ピン部材30は、ピン硬化部31と、フランジ部32とを有している。これらのうち、ピン硬化部31は、ゴム材料と、このゴム材料中に偏在して分散する導電性粒子311とを含んでいる。ここで、ピン硬化部31のうち、導電性粒子311が偏在する領域が導電部312を形成している。この導電部312は、Z軸方向に対して押圧力が加わった際に、導電性粒子311同士が接触することにより、Z軸方向に対して導電性(異方導電性)が発現する。なお、導電部312は、金型40Aにおける磁性ピン43A(後述)の直径に対応する直径を有するように設けられている。
【0037】
一方、ピン硬化部31のうち、導電部312の周囲には、導電性粒子311が偏在しない領域が存在する。この領域は、フランジ部32を構成するリング部材33を保持する部分であり、以下の説明では、リング保持部313と称呼する。このリング保持部313は、上述のように導電性粒子311が偏在しておらず(すなわち、導電部312と比較して、導電性粒子311がはるかに少ない密度(分布)となっている)、導電性を備えない部分である。本実施の形態では、リング保持部313のX軸方向における寸法(厚み寸法)は、当該リング保持部313のX軸方向における中心部分が最も大きく、リング保持部313のうちX軸方向の両端に向かうにつれて小さくなるように設けられている。
【0038】
なお、図4において、厚み方向(Z軸方向)に伸びる2本の点線Lは、ゴム材料からなるマトリックス中において導電性粒子311の存在濃度が急激に変化する境界線を意味していて、その境界線がピン硬化部31とリング保持部313とを分け隔てる境界線となっている。すなわち、2本の点線Lで囲まれる領域が導電部312となっていて、点線Lを挟んで導電部312の反対側がリング保持部313となっている。また、導電部312の内部においては、多数の導電性粒子311が密接して存在することにより、導電部312を押圧した場合に導電性が発現する構成となっているが、リング保持部313の内部においては、幾分かの導電性粒子311が存在したとしても、それらは押圧した場合でも密接しては存在せず、それによってリング保持部313の内部は、押圧の有無に関係なく常に絶縁された(導電性が発現しない)状態となっている。
【0039】
なお、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとが取り付けられたものの厚み寸法よりも、ピン硬化部31のY軸方向における長さ寸法の方が十分に大きく設けられている。かかるピン硬化部31の長さ寸法としては、回路基板の電気的検査に適した加圧力範囲内において、電気的検査に適した導電性が得られるようにする観点から、0.3mm〜3.0mmの範囲内が好ましく、0.5mm〜1.5mmの範囲内がより好ましい。なお、本実施の形態におけるピン硬化部31のY軸方向における長さ寸法は、プローブカードにおけるプローブの長さ寸法よりも、小さくすることを可能としている。
【0040】
また、フランジ部32は、リング部材33のうちリング保持部313よりも外周側に向かって突出する部分となっている。フランジ部32およびリング部材33は、導電部312と比較して、はるかに導電性に劣り、たとえばリング保持部313と同程度またはそれ以下の導電性を有している。ここで、上述のように、リング保持部313には導電性粒子311が密接しては存在せず、低密度の分布となっていて、絶縁性を備えている。そのため、導電部312のみで導電性を発現させるためには、第1フレーム20Aと第2フレーム20B、および/またはリング部材33が絶縁体として機能すればよい。
【0041】
なお、フランジ部32およびリング部材33は、上述のピン硬化部31と比較して剛性が高く、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとの間に挟み込まれた場合に、導電性ピン部材30が脱落するのを防止可能となっている。加えて、上述の剛性は、導電性ピン部材30が検査対象に押し付けられた場合でも、導電性ピン部材30が第1フレーム20Aと第2フレーム20Bの間から脱落しない程度のものとなっている。
【0042】
<第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの材料および性質について>
上述の第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの材料としては、有機材料や、有機材料とガラス布等の無機フィラーを含む複合材料等が挙げられる。有機材料としては、具体的には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および、ゴム材料、から選択される少なくとも1種が利用できる。これは、スペーサ23が第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bとは別部材の場合であっても同様である。
【0043】
これら有機材料としては公知のものが利用できる。ここで、熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂などが利用でき、熱硬化性樹脂としては、たとえば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などが利用でき、ゴム材料としては、たとえば、上述のピン硬化部31を構成するマトリックス材料として、後に例示するものと同様のゴム材料が利用できる。なお、本願明細書において、「ガラス布」とは、正確には、ガラス布(glass fabric)、ガラス不織布(Unwoven glass fabric)、または、これらの混合物、を意味する。
【0044】
<導電性ピン部材30の材料について>
図3は、導電性ピン部材30の斜視図であり、図4は、導電性ピン部材30の側面断面図である。この導電性ピン部材30は、ゴム材料(ゴムマトリックス)と、そのゴム材料の中に偏在して分散すると共に導電部312を形成する導電性粒子311とを、材料としている。導電性ピン部材30のピン硬化部31を構成する、マトリックス材料であるゴム材料としては、公知のゴム材料が利用でき、たとえば、シリコーンゴム、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴムなどを挙げることができる。なお、これらの中でもゴム材料としてはシリコーンゴムが好ましい。
【0045】
導電部312内に密集して偏在している導電性粒子311としては、少なくともその表面が導電性材料から構成されると共に、粒子全体としては磁性を有するものであれば特に限定されないが、通常は、芯材粒子と、この芯材粒子を被覆する被覆層とを有するものであることが好ましい。ここで、芯材粒子としては、磁性を示す材料を含む磁性粒子、あるいは、非磁性材料のみからなる非磁性粒子を用いることができる。ここで、磁性粒子としては、たとえば、ニッケル、鉄、コバルト等の金属やこれらの合金からなる粒子が利用でき、非磁性粒子としては、非磁性金属粒子、ガラスビーズ、樹脂粒子などが利用できる。一方、被覆層としては、芯材粒子として磁性粒子を用いる場合には、たとえば、金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性材料が用いられ、芯材粒子として非磁性粒子を用いる場合には、たとえば、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性材料を用いられる。ここで、被覆層は、メッキ法などの公知のコーティング方法により芯材粒子表面に形成することができる。なお、コスト、導電性能および耐腐食性をバランス良く両立させることができる観点からは、芯材粒子としてニッケル粒子を用い、被覆層としては銀を用いることが好ましい。
【0046】
上述の導電性粒子311の平均粒径としては、特に限定されないが、導電部312における導電性粒子311間の電気的接触を確保する等の実用上の観点から、10μm〜100μmの範囲内が好ましく、20μm〜80μmの範囲内がより好ましい。
【0047】
また、導電部312の中に占める導電性粒子311の体積割合は、導電部312がその厚み方向(Z軸方向)に対して加圧された際に抵抗値が減少する導電特性(加圧導電性)が発揮できるのであれば特に限定されないが、3体積%以上30体積%以下が好ましく、5体積%以上20体積%以下がより好ましい。体積割合を上記範囲内とすることにより、回路基板の電気的検査に適した加圧力範囲内で加圧導電性が発現できる。
【0048】
また、フランジ部32を構成するリング部材33は、上述のピン硬化部31とは別の材質から構成されていると共に、このリング部材33は、ピン硬化部31よりも剛性が高く、導電性を備えない材料から構成されている。このような材質としては、上述の第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの材料と同じものを挙げることが可能である。具体的には、リング部材33の材料としては、有機材料や、有機材料とガラス布等の無機フィラーを含む複合材料等が挙げられる。有機材料としては、具体的には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および、ゴム材料、から選択される少なくとも1種が利用できる。
【0049】
これら有機材料としては公知のものが利用できる。ここで、熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂などが利用でき、熱硬化性樹脂としては、たとえば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などが利用でき、ゴム材料としては、たとえば、上述のピン硬化部31を構成するマトリックス材料として、後に例示するものと同様のゴム材料が利用できる。なお、本願明細書において、「ガラス布」とは、正確には、ガラス布(glass fabric)、ガラス不織布(Unwoven glass fabric)、または、これらの混合物、を意味する。
【0050】
<異方導電性シート10Aの製造方法について>
次に、図1に示す異方導電性シート10Aの製造方法について説明する。本実施の形態における異方導電性シート10Aの製造は、たとえば、特許文献1に開示された製造技術をそのまま利用、または、適宜変形して利用することができる。以下には、異方導電性シート10Aのうち導電性ピン部材30を作製するフローを、図6に示しつつ説明する。
【0051】
まず、図5に示すような金型40Aを用いて、導電性ピン部材30を作製する。この場合、金型40Aを構成する下型41Aに、リング部材33を載置する。図5に示すように、下型41Aには、導電性ピン部材30の下側半分とフランジ部32との形状に対応する下側キャビティ部411Aが設けられている。この下側キャビティ部411Aは、フランジ部32の形状にも対応している。すなわち、下側キャビティ部411Aには、フランジ部32を形成するためのリング部材33を載置する載置部412Aが設けられている。そのため、導電性ピン部材30を作製する場合、まず、載置部412Aに、リング部材33を載置する(ステップS01)。
【0052】
また、金型40Aを構成する上型42Aには、上側キャビティ部421Aが設けられている。この上側キャビティ部421Aは、導電性ピン部材30のうちフランジ部32を除いた形状に対応している。そして、ステップS01のリング部材33の載置の後に、流動性のある原料混合物にて、下側キャビティ部411Aと上側キャビティ部421Aとを充填する(ステップS02)。ここで、原料混合物とは、ゴム原料および導電性粒子311を含み、流動性を有するものである。
【0053】
その充填の後に、不図示の掻き取り部材を用いて、余分な原料混合物を掻き取るようにする(ステップS03)。その後に、下型41Aと上型42Aとを押し付けて、加圧する(ステップS04)。その加圧と同時または後に、原料混合物に磁場を印加する(ステップS05)。図5に示すように、下型41Aと上型42Aのそれぞれには、磁性ピン43Aが設けられている。下型41Aにおいては、下側キャビティ部411Aと磁性ピン43Aとが、同一の中心線P上に位置するように設けられている。同様に上型42Aにおいても、上側キャビティ部421Aと磁性ピン43Aとが、同一の中心線P上に位置するように設けられている。ただし、磁性ピン43Aの直径は、導電部312に対応するものとなっている。すなわち、下型41Aおよび上型42Aのそれぞれにおいて、磁性ピン43Aの直径が、作製される導電性ピン部材30の直径よりも大きい場合には、導電性粒子311を導電部312に対応する位置に偏在させることが困難となり、導電性ピン部材30の全体に導電性粒子311が混在する状態となる。そのため、導電性ピン部材30は、導電部312に対応する直径に設けられている。
【0054】
なお、対向する一対の磁性ピン43Aの間に磁場を印加すると、それぞれの磁力線は略平行を為す状態となる。しかしながら、磁性ピン43Aの端部での磁力線の向きを勘案すると、磁性ピン43Aの直径は、作製される導電部312の直径よりも小さいものとすることができる。また、磁性ピン43Aは、原料混合物に磁場を印加可能であれば、永久磁石を用いても良く、電磁石を用いても良い。
【0055】
以上のようにして、原料混合物に対して磁場を印加して導電性粒子311を導電部312に対応する部位に偏在させつつ、原料混合物を硬化させる(ステップS06)。それにより、フランジ部32を有する導電性ピン部材30が作製される。
【0056】
また、上述の導電性ピン部材30とは別途に、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bを作製する。その作製においては、たとえば、市販の有機材料とガラス布とを含むシートを用いて、レーザ加工などにより複数のピン挿通孔21を形成する。併せて、位置決め孔22も形成するが、別途の方法により形成しても良い。これにより、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bが得られる。
【0057】
続いて、上述のようにして作製された導電性ピン部材30を、第1フレーム20Aまたは第2フレーム20Bのいずれか一方のピン挿通孔21に挿通させる。そして、全ての、または所定の個数の導電性ピン部材30を、第1フレーム20Aまたは第2フレーム20Bのいずれか一方のピン挿通孔21に挿通させた後に、第1フレーム20Aまたは第2フレーム20Bのいずれか他方を、当該いずれか一方に対して取り付ける。この取り付けに際しては、位置決め孔22を利用して、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとの間の位置決めを行い、第1フレーム20Aのピン挿通孔21と第2フレーム20Bのピン挿通孔21との間で位置ずれを生じさせないようにする。
【0058】
以上のようにして、異方導電性シート10Aが作製される。
【0059】
<効果>
以上のような異方導電性シート10Aによると、導電性ピン部材30は、第1フレーム20Aおよび/または第2フレーム20Bに対して着脱自在に設けられている。そのため、導電部312を有する導電性ピン部材30を、他の導電性ピン部材30から独立した状態で交換可能となる。すなわち、導電部312を他の導電部312から独立した状態で交換する、というニーズに応えることができる。
【0060】
特に、異方導電性シート10Aにおいては、使用するにつれて、ある特定の導電部312に破損が生じる等により、ある特定の導電部312に不具合が生じる場合がある。その場合において、破損した導電部312を交換可能となり、異方導電性シート10Aの全体を交換する必要がなくなる。そのため、異方導電性シート10Aの全体の交換に要するコストと比較して、導電性ピン部材30のみを交換するため、交換に要するコストを大幅に低減可能となる。また、導電性ピン部材30を第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bに取り付けると、導電部312を第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bのそれぞれの表面から突出させることが可能となる。それにより、導電部312の頂面や底面と、回路基板や検査テスター等の電極との電気的接続を、より確実化させることが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態においては、異方導電性シート10Aは、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bを備えると共に、導電性ピン部材30は、フランジ部32を有している。そして、ピン挿通孔21にピン硬化部31を挿通させて、フランジ部32をピン挿通孔21の周縁部に位置させる状態とした後に、そのフランジ部32を第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとの間に挟み込んでいる。それにより、導電性ピン部材30は、ピン挿通孔21から外れるのを防止可能となり、異方導電性シート10Aから導電性ピン部材30が外れてしまうのを防止可能となる。また、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとを取り付ける構成を採用し、1つのフレームから構成されるものではないため、導電性ピン部材30の取り付けおよび取り外しが容易となる。
【0062】
また、本実施の形態においては、異方導電性シート10Aの平面方向において電気的特性および/または突出長さが異なる導電性ピン部材30を、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bに取り付けることも可能である。また、本実施の形態においては、異方導電性シート10Aの平面方向の所定位置において、導電性ピン部材30を配置しない構成を採用することも可能である。そのため、様々な形態および/または様々な電気的特性を備える回路基板に対応させて、導電性ピン部材30を配置した異方導電性シート10Aを用いて、回路基板の電気的性能を検査可能となる。
【0063】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について、図7から図10に基づいて説明する。なお、本実施の形態においては、上述の第1の実施の形態で述べたのと同様の構成については、適宜同じ符号を用いて説明する。本実施の形態における異方導電性シート10Bは、第1フレーム20Aと、第2フレーム20Bと、列状導電性ピンユニット50と、を備えている。
【0064】
<第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの構成について>
図6に示すように、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bは、上述した第1の実施の形態における第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bと同様の構成であり、ピン挿通孔21と、位置決め孔22とを有している。なお、位置決め孔22を設けない構成を採用しても良い。また、上述の第1の実施の形態においては、フランジ部32とスペーサ23とによって、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとの間の間隔が所定の間隔に保たれる構成となっている。一方、本実施の形態においては、列状導電性ピンユニット50の連結部52とスペーサ23とによって、第1フレーム20Aと第2フレーム20Bとの間の間隔が、所定の間隔に保たれる構成となっている。なお、本実施の形態においては、異方導電性シート10Bを平面視した場合において、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bに対して、列状導電性ピンユニット50が占める面積が上述の第1の実施の形態におけるものよりも大きい場合、スペーサ23を設けずに省略する構成を採用しても良い。
【0065】
<第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの材料および性質について>
本実施の形態においては、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの材料および性質は、上述の第1の実施の形態における、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bと同様となっている。そのため、本実施の形態においては、第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bの材料および性質の詳細に関する説明を省略する。
【0066】
<列状導電性ピンユニット50の構成について>
続いて、列状導電性ピンユニット50の構成について説明する。なお、列状導電性ピンユニット50は、導電着脱部材に対応する。図7および図8に示すように、列状導電性ピンユニット50は、ピン硬化部51と、連結部52とを有している。ピン硬化部51は、上述の第1の実施の形態におけるピン硬化部31と同様のものであるが、本実施の形態におけるピン硬化部51は、導電部511のみから構成されていても良い。すなわち、本実施の形態においては、上述の第1の実施の形態の導電性ピン部材30のような、別部材から構成されるリング部材33を設けない構成とすることも可能であるため、上述の第1の実施の形態のようなリング部材33を設ける場合に必要である、リング保持部313のような導電部以外の部分を設ける必要がなく、かかる導電部511以外の部分を設けないようにしても良い。
【0067】
また、本実施の形態における導電部511は、上述の第1の実施の形態における導電部312と同様のものであり、この導電部511の内部には導電性粒子512が大きく偏在している。なお、導電性粒子512は、上述の第1の実施の形態における導電性粒子311と同様である。
【0068】
また、図7および図8に示す構成では、連結部52は、多数のピン硬化部51を列状に連結している部分である。本実施の形態では、連結部52は、ゴム材料(ゴムマトリックス)の中で、導電性粒子512が偏在しない領域となっている。すなわち、連結部52には、導電部511と比較して、導電性粒子512がはるかに少ない密度(分布)となっていて、導電性を備えない部分となっている。また、連結部52の厚み寸法(Y軸方向における寸法)は、上述の第1の実施の形態におけるフランジ部32と同等となっている。しかしながら、連結部52の厚み寸法を、上述の第1の実施の形態におけるフランジ部32と異なるものとしても良い。
【0069】
<列状導電性ピンユニット50の材料および性質について>
次に、列状導電性ピンユニット50の材料および性質について説明する。本実施の形態における列状導電性ピンユニット50は、ゴム材料(ゴムマトリックス)と、そのゴム材料の中に偏在して分散すると共に導電部511を形成する導電性粒子512とを、材料としている。なお、かかる材料は、上述の第1の実施の形態におけるピン硬化部31と同様であるため、その詳細についての説明を省略する。また、列状導電性ピンユニット50の性質も、上述の第1の実施の形態におけるピン硬化部31と同様であるため、その説明を省略する。
【0070】
<異方導電性シート10Bの製造方法について>
次に、本実施の形態における異方導電性シート10Bの製造方法について説明する。本実施の形態における異方導電性シート10Bの製造においては、図10に示す金型40Bを用いて、列状導電性ピンユニット50を作製する。なお、本実施の形態においては、金型40Bを用いて、列状導電性ピンユニット50の作製を行っている。金型40Bは、列状導電性ピンユニット50の作製に対応した下型41B、上型42B、下側キャビティ部411B、上側キャビティ部421B、磁性ピン43Bを備えている。しかしながら、金型40Bにおける各構成要素は、上述の第1の実施の形態における金型40Aの各構成要素と同様であるため、それらの詳細についての説明は省略する。
【0071】
かかる列状導電性ピンユニット50を作製する際の工程は、基本的には、上述した図6におけるものと同様である。本実施の形態において、図6において異なる部分は、ステップS01において、載置部412Aに対応する部分にリング部材を載置する必要がないことから、ステップS01が不要となる、という点である。
【0072】
また、本実施の形態においては、連結部52は、ゴム材料(ゴムマトリックス)の中で、導電性粒子512が偏在しない領域となるが、かかる連結部52を形成するために、ステップS02においては、上述の第1の実施の形態の場合よりも多くの原料混合物を充填する必要がある。
【0073】
なお、本実施の形態において列状導電性ピンユニット50を作製するための、その他の工程については、上述の第1の実施の形態と同様であるため、詳細についての説明は省略する。
【0074】
また、本実施の形態においては、作製された列状導電性ピンユニット50を第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bに取り付ける際、そのピン挿通孔21が並ぶ列方向と列状導電性ピンユニット50のピン硬化部51の並びの方向を一致させ、それぞれのピン硬化部51をピン挿通孔21に挿通させる。なお、その他の列状導電性ピンユニット50の取り付けは、上述した第1の実施の形態における導電性ピン部材30と同様であるため、詳細についての説明は省略する。
【0075】
<効果>
本実施の形態における異方導電性シート10Bは、列状導電性ピンユニット50を有する構成のため、第1フレーム20Aおよび/または第2フレーム20Bへの着脱における取り扱いが容易となる。すなわち、導電部のそれぞれが非常に小さいもので、それらが互いに独立しているものである場合、着脱の際の扱いが難しくなる。しかしながら、複数の導電部を長手方向に沿って列状に並べる列状導電性ピンユニット50においては、着脱の際の扱いが容易なものとなる。
【0076】
また、本実施の形態では、列状導電性ピンユニット50は、ゴム材料(ゴムマトリックス)と、そのゴム材料の中に偏在して分散すると共に導電部511を形成する導電性粒子512とを、材料としている。そのため、列状導電性ピンユニット50を作製する際に、別部材を金型40Bの内部に設置する等の工程が不要となり、作製の際の工数を削減することが可能となる。
【0077】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態について、図11から図13に基づいて説明する。なお、本実施の形態においては、上述の第1の実施の形態で述べたのと同様の構成については、適宜同じ符号を用いて説明する。本実施の形態における異方導電性シート10Cは、図11に示すように、第1フレーム20Aと、第2フレーム20Bと、列状導電性ピンユニット60と、を備えている。
【0078】
なお、本実施の形態は、上述した第2の実施の形態の列状導電性ピンユニット50のうち、連結部52に係る部分の構成を変更したものである。そのため、本実施の形態では、第2の実施の形態に対する変更点について説明するため、第1フレーム20A、第2フレーム20Bに関する説明は省略する。
【0079】
本実施の形態における列状導電性ピンユニット60は、ピン硬化部61と、連結部62を有している。なお、列状導電性ピンユニット60は、導電着脱部材に対応する。列状導電性ピンユニット60のピン硬化部61は、上述の第1の実施の形態におけるピン硬化部31と同様の構成となっており、ゴム材料と、このゴム材料中に偏在して分散する導電性粒子611とを含んでいる。また、ピン硬化部61のうち、導電性粒子611が偏在して電気を導通可能な領域が導電部612を形成している。
【0080】
一方、ピン硬化部61のうち、導電部612の周囲には、上述の第1の実施の形態におけるリング保持部313に対応する、連結部材保持部613を有している。この連結部材保持部613は、連結部材63を保持する部分となっている。連結部材保持部613には、導電性粒子611が偏在しておらず(すなわち、導電部612と比較して、導電性粒子311がはるかに少ない密度(分布)となっている)、導電性を備えない部分である。
【0081】
また、本実施の形態における連結部62は、上述の第2の実施の形態における連結部52のようにゴム材料から構成されているものではなく、別部材である連結部材63から構成されるものである。すなわち、本実施の形態における連結部62は、上述の第1の実施の形態におけるフランジ部32を延長した態様に類似している。
【0082】
<列状導電性ピンユニット60の材料および性質について>
列状導電性ピンユニット60のうちピン硬化部61は、上述の第1の実施の形態におけるピン硬化部31と同様の材料から構成されている。また、連結部62(連結部材63)は、上述の第1の実施の形態におけるフランジ部32(リング部材33)と同様の材料から構成されている。すなわち、連結部62(連結部材63)は、ピン硬化部61よりも剛性が高く、導電性を備えない材料から構成されている。なお、その材質としては、上述の第1の実施の形態におけるフランジ部32(リング部材33)と同様の物を用いることができるため、詳細についての説明は省略する。
【0083】
<異方導電性シート10Cの製造方法について>
次に、本実施の形態における異方導電性シート10Cの製造方法について説明する。本実施の形態における異方導電性シート10Cの製造においては、図13に示す金型40Cを用いて、列状導電性ピンユニット60を作製する。この金型40Cは、列状導電性ピンユニット60の作製に対応した下型41C、上型42C、下側キャビティ部411C、載置部412C、上側キャビティ部421C、磁性ピン43Cを備えている。しかしながら、金型40Cにおける各構成要素は、上述の第1の実施の形態における金型40Aの各構成要素と同様であるため、それらの詳細についての説明は省略する。
【0084】
かかる列状導電性ピンユニット60を作製する際の工程は、基本的には、上述した図6におけるものと同様である。なお、本実施の形態では、図6において、ステップS01において、載置部にリング部材を載置する代わりに、連結部材63を載置している、という点が、上述の第1の実施の形態の場合と異なっている。
【0085】
なお、本実施の形態において列状導電性ピンユニット60を作製するための、その他の工程については、上述の第1の実施の形態と同様であるため、詳細についての説明は省略する。
【0086】
また、作製された列状導電性ピンユニット60を第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bに取り付ける方法も、上述の第2の実施の形態におけるものと同様であるため、その説明は省略する。
【0087】
<効果>
本実施の形態における異方導電性シート10Cは、列状導電性ピンユニット60を有する構成のため、第1フレーム20Aおよび/または第2フレーム20Bへの着脱における取り扱いが容易となる。すなわち、導電部のそれぞれが非常に小さいもので、それらが互いに独立しているものである場合、着脱の際の扱いが難しくなる。しかしながら、複数の導電部612を長手方向に沿って列状に並べる列状導電性ピンユニット60においては、着脱の際の扱いが容易なものとなる。
【0088】
また、本実施の形態では、列状導電性ピンユニット60のうち、ピン硬化部61は、ゴム材料(ゴムマトリックス)と、そのゴム材料の中に偏在して分散すると共に導電部612を形成する導電性粒子611とを、材料としている。また、連結部62(連結部材63)は、ピン硬化部61とは別部材から構成されている。しかも、連結部62(連結部材63)は、ピン硬化部61よりも剛性が高いため、列状導電性ピンユニット60が容易に変形してしまうのを防止でき、列状導電性ピンユニット60の取り付けを容易化させることが可能となる。
【0089】
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態について、図14から図16に基づいて説明する。本実施の形態における異方導電性シート10Cは、図14に示すように、基材70と、列状導電性ピンユニット80と、を備えている。
【0090】
<基材70の構成について>
基材70は、フレーム体に対応する。この基材70は、上述の第1の実施の形態における第1フレーム20Aおよび第2フレーム20Bと同様に、シート状を為すように設けられている。この基材70の厚み寸法は、特に限定されるものではないが、0.1mm〜2.0mmの範囲内が好ましく、0.2mm〜1.5mmの範囲内がより好ましい。基材70の厚み寸法を0.2mm以上とすることにより、本実施の形態の異方導電性シート10Bの製造時における成形の際に生じる成形歪に基づく導電部811の位置ずれを、回路基板の電気的検査に十分に耐える範囲内に収めることができる。また、基材70の厚みを1.5mm以下とすることにより、小さな圧力でも有効な導電性が得られる。
【0091】
この基材70にも、ピン挿通孔71が形成されていて、後述する列状導電性ピンユニット80の導電部811がこのピン挿通孔71に差し込まれるようになっている。ここで、本実施の形態においては、ピン挿通孔71には、後述するピン硬化部81が圧入される。そのため、ピン挿通孔71の直径は、ピン硬化部81と等しいか、またはピン硬化部81の少なくとも一部の直径よりも若干小さく設けられている。また、基材70にも、上述の第1の実施の形態における位置決め孔22と同様の位置決め孔が形成されている(図示省略)。しかしながら、基材70に位置決め孔が形成されていない構成を採用しても良い。
【0092】
<基材70の材料および性質について>
本実施の形態においては、基材70は、後述する列状導電性ピンユニット80を保持する必要がある。加えて、基材70のピン挿通孔71にピン硬化部81が圧入された際に、当該ピン挿通孔71がピン硬化部81の圧入に対応して、当該ピン挿通孔71の直径が若干拡がるのが好ましい。そのため、基材70は、弾性を有するゴム系の材料から形成されている。かかるゴム系の材料としては、公知のゴム材料が利用でき、たとえば、シリコーンゴム、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴムなどを挙げることができる。なお、かかる基材70のゴム系の材料は、列状導電性ピンユニット80のゴム材料(ゴムマトリックス)と同じものとしても良く、異なるものとしても良い。
【0093】
<列状導電性ピンユニット80の構成について>
続いて、列状導電性ピンユニット80の構成について説明する。列状導電性ピンユニット80は、導電着脱部材に対応する。この列状導電性ピンユニット80は、ピン硬化部81と、連結部82とを有している。ピン硬化部81は、上述の第2の実施の形態におけるピン硬化部51と類似した構成となっている。すなわち、本実施の形態におけるピン硬化部81は、導電部811のみから構成されていても良い。これは、上述の第2の実施の形態と同様に、本実施の形態においては、別部材から構成されるリング部材33、連結部材63を設けない構成とすることも可能であるからである。そのため、本実施の形態では、上述の第1の実施の形態のようなリング保持部313、第3の実施の形態のような連結部材保持部613のような導電部811以外の部分を設ける必要がなく、かかる導電部811以外の部分を設けないようにしても良い。
【0094】
また、本実施の形態におけるピン硬化部81(導電部811)は、上述の第2の実施の形態におけるピン硬化部51(導電部511)と類似した構成となっている。なお、ピン硬化部81は、円柱形状を為すものとしても良いが、ピン硬化部81のうち連結部82付近(付け根付近)が、最も直径が大きくなるような形状を採用しても良い。また、ピン硬化部81においては、そのZ軸方向のいずれかの部位の直径が最も大きくなるような形状を採用しても良い。
【0095】
ここで、第2の実施の形態のピン硬化部51(導電部511)は、連結部52の両面のそれぞれから離間する方向に向かって突出する形態を為している。一方、本実施の形態におけるピン硬化部81(導電部811)は、連結部82の一方の面のみから突出する構成となっている。しかしながら、ピン硬化部81(導電部811)は、連結部82の両面側から突出する構成を採用しても良い。
【0096】
なお、ピン硬化部81(導電部811)が連結部82の両面側から突出する構成を採用する場合であっても、ピン硬化部81(導電部811)のうち、ピン挿通孔71に挿入される連結部82の一方の面側が、その連結部82の他方の面側よりも長く突出する構成となる。
【0097】
また、連結部82は、上述の第2の実施の形態における連結部52と同様であり、その詳細についての説明は省略する。
【0098】
<列状導電性ピンユニット80の材料および性質について>
列状導電性ピンユニット80の材料は、上述の第2の実施の形態における列状導電性ピンユニット50と同様の材料から構成されている。そのため、その詳細についての説明は省略する。
【0099】
<異方導電性シート10Dの製造方法について>
次に、本実施の形態における異方導電性シート10Dの製造方法について説明する。本実施の形態における異方導電性シート10Dの製造においては、図16に示す金型40Dを用いて、列状導電性ピンユニット80を作製する。金型40Dは、列状導電性ピンユニット80の作製に対応した下型41D、上型42D、下側キャビティ部411D、上側キャビティ部421D、磁性ピン43Dを備えている。しかしながら、金型40Dにおける各構成要素は、上述の第1の実施の形態における金型40Aの各構成要素と同様であるため、それらの詳細についての説明は省略する。
【0100】
列状導電性ピンユニット80を作製する際の工程は、基本的には、上述の第2の実施の形態における列状導電性ピンユニット50を作製するのと同様である。すなわち、載置部にリング部材を載置する必要がないことから、図6のステップS01が不要となる。
【0101】
また、連結部82は、ゴム材料(ゴムマトリックス)の中で、導電性粒子512が偏在しない領域となるが、かかる連結部82を形成するために、ステップS02においては、上述の第1の実施の形態の場合よりも多くの原料混合物を充填する必要がある、という点も、上述第2の実施の形態の場合と同様である。
【0102】
また、本実施の形態においては、作製された列状導電性ピンユニット80は、基材70のピン挿通孔71に圧入される、という点で、上述の第2の実施の形態と異なっている。すなわち、本実施の形態における列状導電性ピンユニット80は、2つのフレームによって挟み込まれずに、基材70のピン挿通孔71に圧入される。それによって、基材70に列状導電性ピンユニット80が保持されている。
【0103】
<効果>
本実施の形態では、ピン硬化部81の直径がピン挿通孔71の直径と等しいか、またはピン挿通孔の直径よりも大きいため、ピン硬化部81は、ピン挿通孔71に圧入されるか、またはピン硬化部81はピン挿通孔71から抜け落ち難い状態となる。それにより、列状導電性ピンユニット80は、ピン挿通孔71から外れるのを防止可能となり、異方導電性シート10Dから列状導電性ピンユニット80が外れてしまうのを防止可能となる。
【0104】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態に係る、異方導電性シート10A〜10Dおよび異方導電性シート10A〜10Dの製造方法について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0105】
上述の第1の実施の形態においては、導電着脱部材として、導電性ピン部材30を用いる場合について説明している。しかしながら、第1の実施の形態における導電性ピン部材においては、たとえばピン硬化部が円柱形状、角柱形状等のような、種々の形状に変形可能である。また、導電性ピン部材のフランジ部も、リング状には限られず、周方向において間欠的に外周側に突出するもの等、種々変形可能である。
【0106】
また、上述の第2〜第4の実施の形態においては、導電着脱部材として、列状導電性ピンユニット50,60,80を用いる場合について説明している。しかしながら、これらに代えて、導電着脱部材として、縦横方向に複数の導電部を有するものを用いるようにしても良い。
【0107】
また、上述の各実施の形態における、第1フレーム20A、第2フレーム20B、リング部材33および連結部52,62,82は、上述の各実施の形態で述べたものには限られず、どのようなものを用いても良い。そのような材料の具体例としては、金属の表面を絶縁材料で被覆したもの、ガラスエポキシ等の半導体等が挙げられる。金属の表面を絶縁材料で被覆したもののうち、金属としては、アルミニウム、ステンレス、その他鉄鋼材料などが用いられる。また、表面を被覆する絶縁材料としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが用いられる。また、表面を被覆する絶縁材料の体積固有抵抗は、105 Ω・cm以上であることが好ましい。このようにすると、金属の表面を絶縁材料で被覆されたものは、導電部に対して電気の導電性が顕著に劣るものとなる。
【0108】
また、上述の第2の実施の形態の連結部52、上述の第3の実施の形態の連結部62、上述の第4の実施の形態の連結部82に代えて、初めから導電性粒子512が混入していないゴム材料(たとえばシリコーンゴム)を用いることも可能である。また、リング部材33の表面(一方の面)からZ軸方向に沿う導電部312の突出長さと、リング部材33の裏面(他方の面)からZ軸方向に沿う導電部312の突出長さとは、それぞれ異なるものとしても良い。また、連結部52,62,82の表面(一方の面)からZ軸方向に沿う導電部511,612,811の突出長さと、連結部52,62,82の裏面(他方の面)からZ軸方向に沿う導電部511,612,811の突出長さとは、それぞれ異なるものとしても良い。
【符号の説明】
【0109】
10A〜10E…異方導電性シート
20A…第1フレーム(フレーム体の一部に対応)
20B…第2フレーム(フレーム体の一部に対応)
21,71…ピン挿通孔
22…位置決め孔
23…スペーサ
30…導電性ピン部材(導電着脱部材に対応)
31,51,61,81…ピン硬化部
32…フランジ部
33…リング部材
40A〜40D…金型
41A〜41D…下型
42A〜42D…上型
43A〜43D…磁性ピン
50,60,80…列状導電性ピンユニット(導電着脱部材に対応)
52,62,82…連結部
70…基材(フレーム体に対応)
311,512,611,811…導電性粒子
312,511,612…導電部
313…リング保持部
411A〜411D…下側キャビティ部
412A,412C…載置部
421A〜421D…上側キャビティ部
511,611…導電部
613…連結部材保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピン挿通孔を備えると共に電気の導通を防ぐ絶縁性を有するフレーム体と、
押圧力が加えられる場合に導電性が発現可能な導電部を備え、この導電部が上記ピン挿通孔に位置して上記フレーム体の表面から突出すると共に、上記フレーム体に対して着脱可能に取り付けられる導電着脱部材と、
を備えることを特徴とする異方導電性シート。
【請求項2】
請求項1記載の異方導電性シートであって、
前記フレーム体は、平面視した形状が略同一となる第1フレームおよび第2フレームを有し、これら第1フレームと第2フレームとが平面視した場合に重ねられる構成となると共に、
上記第1フレームおよび上記第2フレームのそれぞれには、これらを貫く前記ピン挿通孔が形成されていて、
前記導電着脱部材は、前記導電部およびこの導電部よりも外周側にフランジ部を有する導電性ピン部材であり、
上記導電性ピン部材の導電部は、上記ピン挿通孔に位置すると共に、上記導電性ピン部材の上記フランジ部は、上記ピン挿通孔の周縁部に位置すると共に上記第1フレームと上記第2フレームとの間に挟み込まれる、
ことを特徴とする異方導電性シート。
【請求項3】
請求項1記載の異方導電性シートであって、
前記導電着脱部材は、複数の前記導電部を長手方向に沿って列状に並べると共にこれら列状の導電部を連結する連結部を有する列状導電性ピンユニットである、
ことを特徴とする異方導電性シート。
【請求項4】
請求項3記載の異方導電性シートであって、
前記フレーム体は、平面視した形状が略同一となる第1フレームおよび第2フレームを有し、これら第1フレームと第2フレームとが平面視した場合に重ねられる構成となると共に、
上記第1フレームおよび上記第2フレームのそれぞれには、これらを貫くピン挿通孔が形成されていて、
前記列状導電性ピンユニットの前記導電部は上記ピン挿通孔に位置すると共に、前記列状導電性ピンユニットの前記連結部は上記第1フレームと上記第2フレームとの間に挟み込まれる、
ことを特徴とする異方導電性シート。
【請求項5】
請求項3記載の異方導電性シートであって、
前記導電部を有するピン形状のピン硬化部は、前記ピン挿通孔の直径と等しいかまたはその直径よりも大きく設けられる部分を有する、
ことを特徴とする異方導電性シート。
【請求項6】
請求項4記載の異方導電性シートであって、
前記連結部は、長手方向に沿って延伸すると共に前記導電部とは別部材の連結部材から構成されると共に、
前記導電部の周囲には、上記連結部材を保持する連結部材保持部が設けられていて、
上記連結部材は、前記導電部および上記連結部材保持部よりも剛性が高い、
ことを特徴とする異方導電性シート。
【請求項7】
請求項4記載の異方導電性シートであって、
前記列状導電性ピンユニットは、列状をなすゴム材料と、このゴム材料中のうち前記導電部に偏在して分散している導電性粒子と、を有している、
ことを特徴とする異方導電性シート。
【請求項8】
異方導電性シートの製造方法であって、
複数のピン挿通孔を備えると共に電気の導通を防ぐ絶縁性を有するフレーム体を作製するフレーム作製工程と、
押圧力が加えられる場合に導電性が発現可能な導電部を備え、上記フレーム体に対して着脱可能に取り付けられる導電着脱部材を作製する導電性着脱部材作製工程と、
上記導電部を上記ピン挿通孔に位置させて上記フレーム体の表面から上記導電部を突出させるように、上記フレーム体に対して上記導電着脱部材を装着する装着工程と、
を有し、
上記導電着脱部材作製工程は、
金型の下型に存在する下側キャビティと、金型の上型に存在する上側キャビティとを、流動性を有すると共にゴム原料および導電性粒子を含む原料混合物で充填する充填工程と、
上記上型と上記下型とを押し付けて、加圧する加圧工程と、
上記加圧工程と同時または後に、上記原料混合物に磁場を印加する磁場印加工程と、
を有することを特徴とする異方導電性シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−33288(P2012−33288A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169533(P2010−169533)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】