説明

異物分離タンク付の液体圧送装置

【課題】液体中に含まれる鉄さびやスケール等の異物が密閉容器中に流入しにくい液体圧送装置を提供する。
【解決手段】 復水供給管1を異物分離タンク2の右槽と接続する。異物分離タンク2に、しきり板4により左右両槽を設けると共に、上部にオーバーフロー部5を形成する。異物分離タンク2の左槽を、連通管11によって、液体圧送装置3の液体流入口10と連通する。液体圧送装置3の液体排出口12に復水圧送管17を接続する。液体圧送装置3の上部の作動流体導入口13に高圧蒸気管18を接続する。
復水供給管1から異物分離タンク2内へ供給される復水に混入している鉄さび等の異物は、タンク2の左右両槽の底部に沈殿することによって、液体圧送装置3へ流下することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に関する。本発明の液体圧送装置は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る装置として特に適するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体圧送装置は、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体と作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送するものである。
【0003】
上記従来の液体圧送装置は、液体流入口から復水が直接に密閉容器内へ流入するために、復水中に混入した鉄さびやスケール等の異物が密閉容器内へ流入し易くなり、密閉容器内の機械的な摺動部に付着して、液体圧送装置としての作動不良を来たす問題があった。
【特許文献1】特開2005−325772
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、液体中に含まれる鉄さびやスケール等の異物が密閉容器中に流入しにくい液体圧送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口を開閉する給気弁体と作動流体排出口を開閉する排気弁体の開閉を切り換えて、初めに作動流体排出口を開き作動流体導入口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで作動流体排出口を閉じ作動流体導入口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、液体流入口の一次側に、液体中の異物を分離する異物分離タンクを配置したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液体圧送装置は、液体流入口の一次側、すなわち、入口側に、液体中の異物を分離する異物分離タンクを配置したことにより、この異物分離タンクで異物を分離して、異物の混入していないきれいな液体だけを液体流入口から密閉容器へ供給することができる。そのため、密閉容器内で鉄さびやスケール等の異物に起因する作動不良を起こしにくいという優れた効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、液体中の異物を分離する異物分離タンクを配置するものであるが、異物分離タンクとしては、タンクの上部にオーバーフロー部を介して縦方向に2槽を形成して、1槽に復水を供給すると共に、オーバーフロー部を通って他槽へ流下した液体を液体流入口から密閉容器へ供給するものが適する。
【実施例1】
【0008】
本実施例においては、図示しない蒸気使用装置で発生した復水を、復水供給管1から異物分離タンク2へ供給して、液体圧送装置3で所定箇所へ圧送する、異物分離タンク付の液体圧送装置の例を示す。
【0009】
異物分離タンク2は、円筒状タンクで内部中央にしきり板4を取り付けて左右2槽に分離槽を設ける。しきり板4の上部にオーバーフロー部5を設ける。タンク2の右槽に復水供給管1を底部まで挿入して接続する。復水供給管1の上端は図示しない蒸気使用装置と接続する。蒸気使用装置で発生した復水が、復水供給管1から異物分離タンク2の右槽内へ流入し、その水位がしきり板4の上端を越えると、オーバーフロー部5から左槽へ流入するものである。
【0010】
異物分離タンク2の左右両槽の下端には、それぞれ、異物ブロー管6,7を接続する。異物ブロー管6,7にはそれぞれ開閉弁8,9を取り付けて、この開閉弁8,9を開弁することによって、タンク2底部に溜った鉄さびやスケール等の異物を外部へ排除することができるものである。
【0011】
タンク2の左槽の中段に、液体圧送装置3の液体流入口10と連通する連通管11を取り付ける。液体圧送装置3は、液体流入口10と液体排出口12、及び、高圧の作動流体導入口13と作動流体排出口14を有し、液体流入口10に逆止弁15を介して連通管11を接続する。逆止弁15は、連通管11から液体圧送装置3内への液体の流下を許容し、反対の液体流れは阻止するものである。同様に、液体排出口12に逆止弁16を介して復水圧送管17を接続する。この逆止弁16は、液体圧送装置3から復水圧送管17への液体の流下を許容し、反対の流れは阻止する機能を有する。
【0012】
作動流体導入口13には、高圧蒸気管18を接続して、液体圧送装置3へ作動用の高圧蒸気を供給できるようにする。また、作動流体導入口13の内側には図示しない給気弁体を取り付け、作動流体排出口14の内側には同じく図示しない排気弁体を取り付ける。作動流体排出口14は、連通管19により異物分離タンク2の上部と連通する。
【0013】
液体圧送装置3は、内部に配置した図示しないフロートが下方部に位置する場合に、作動流体導入口13を閉口し、一方、作動流体排出口14を開口して、連通管11から異物分離タンク2内の復水を逆止弁15と液体流入口10を通して液体圧送装置3内に流下させるものである。
【0014】
液体圧送装置3内に復水が溜って図示しないフロートが所定上方部に位置すると、作動流体排出口14を閉口し、作動流体導入口13を開口して、高圧蒸気管18から高圧圧送用蒸気を液体圧送装置3の内部に流入させることにより、内部に溜った復水を液体流出口12と逆止弁16と復水圧送管17を通して所定箇所へ圧送する。
【0015】
復水が圧送されて液体圧送装置3内の水位が低下すると、再度、作動流体導入口13を閉口し、作動流体排出口14を開口することにより、液体流入口10から復水を内部へ流下させる。このような作動サイクルを繰り返すことにより、液体圧送装置3は、連通管11からの復水を所定箇所へ圧送する。
【0016】
復水供給管1から異物分離タンク2内へ供給される復水に混入している鉄さびやスケール等の異物は、異物分離タンク2の左右両槽の底部に沈殿することによって、連通管11から液体圧送装置3内へ流入することがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る異物分離タンク付の液体圧送装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【0018】
1 復水供給管
2 異物分離タンク
3 液体圧送装置
4 しきり板
5 オーバーフロー部
10 液体流入口
11 連通管
12 液体排出口
13 作動流体導入口
14 作動流体排出口
15 逆止弁
16 逆止弁
17 復水圧送管
18 高圧蒸気管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口を開閉する給気弁体と作動流体排出口を開閉する排気弁体の開閉を切り換えて、初めに作動流体排出口を開き作動流体導入口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで作動流体排出口を閉じ作動流体導入口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、液体流入口の一次側に、液体中の異物を分離する異物分離タンクを配置したことを特徴とする異物分離タンク付の液体圧送装置。


【図1】
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【公開番号】特開2009−97369(P2009−97369A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267621(P2007−267621)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】