説明

異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置

【課題】異物が転がり軸受の軌道面・転動面に与えるダメージを試験毎に略一定に保ち、軌道輪に表面起点型剥離が発生する寿命試験の信頼性を向上させるとともに、装置全体のコンパクト化を図りつつも大量の異物を通過可能とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置を提供する。
【解決手段】異物G1を混入した潤滑液L1を貯留する貯留部1と、貯留部内にて回転可能に架け渡される軸部材5と、軸部材と直交する上下方向に所定の間隔をあけて備えられる軸受け部3とを備え、軸部材と軸受け部との間で、かつ潤滑液中で相対回転可能に転がり軸受6を配するとともに、軸部材には、軸部材の回転作動により回転し、貯留部内に貯留された異物を混入した潤滑液を攪拌及び循環させ、異物を混入した潤滑液に、転がり軸受方向に向かう流れF1を発生させる液流発生部材7を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受の軸受内にごみなどの異物が入り込んだ状態での使用における寿命を試験する際に用いられる転がり軸受の寿命試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
玉軸受、ころ軸受等の転がり軸受は、使用態様によっては軸受内にごみなどの異物が入り込みやすい条件下にて用いられることがある。転がり軸受の軸受内に、ごみなどの異物が入り込むと、例えば軌道輪(軌道面や転動面など)にダメージが与えられ、表面起点型剥離等が発生し、軸受寿命(耐久性)に悪影響を及ぼすことがある。従って、転がり軸受の軸受寿命の程度を知るには、軸受内に異物が混入することで軌道輪の軌道面や転動面に剥離を生じさせる程度を正確に知ることが必要である。
【0003】
そこで、従来から異物混入下による転がり軸受の寿命を試験するために、異物を混入した潤滑液中に転がり軸受を回転可能に保持し、該潤滑液中に混入した異物を、外輪と内輪が相対回転している軸受内に積極的に通過させることにより、軌道面や転動面に剥離(ダメージ)を生じさせる様々な試験装置が提供されている。
例えば、図3に示すような試験装置は、異物100を混入した潤滑液(潤滑油)200を所定量貯留した貯留部(試験槽)300と、該貯留部300の向かい合う内壁面に、同軸上に突設する一対のハウジング400,400と、前記一対のハウジング400,400間にわたって回転可能に架け渡された軸部材(回転軸)500とで構成されている。
そして、前記ハウジング400の先端内面401と回転軸500の外面501との間で転がり軸受(供試軸受)600を相対回転可能に保持すると、軸部材500は、この状態で該軸部材500の軸方向(図にて矢印H1にて示す方向)と直交する上下方向略半分くらいまでが潤滑液200中に浸漬されるため、転がり軸受600も貯留部300の潤滑液200中に浸漬される(貯留されている潤滑液200の表面ラインを図3にて一点鎖線S1で示す。)。
【0004】
しかし、図3に示す先行技術によれば、潤滑液200中で回転作動する軸部材500により潤滑液200が僅かに攪拌されるが、積極的に潤滑液200を攪拌する機構を備えているものではないため潤滑液200を攪拌・循環させる機能が弱い。また、貯留部300内に設けられているハウジング400には、転がり軸受の軸受内を通過した潤滑液及び異物が貯留部内で循環する経路が確保されていない。さらに、潤滑液200中に混入される異物100は、一般的には潤滑液200よりも比重が一般的に重いため、貯留部300の底に沈殿してしまい、舞い上がり難い。従って、上述した種々の理由から図3に示すような先行技術では、潤滑液200中に混入した異物100が転がり軸受600の軸受内を通過し難いものであったことから、軸受寿命の正確な試験が図れず寿命試験の信頼性が低かった。
【0005】
そこで、軸受寿命試験の信頼性を向上させるため、特許文献1に開示の試験装置が出願人により先に開示されている。
【0006】
特許文献1に開示の試験装置は、潤滑液(潤滑油)を貯留する貯留部(試験槽)と、該貯留部内に挿入され、中間部外周面に転がり軸受の内輪を外嵌支持する軸部材と、該軸部材の一部の周囲に配置され、該軸部材に対して相対回転する筒部材と、該筒部材内で前記軸部材の外周面に設けられ、前記軸部材と筒部材との相対回転に伴って前記転がり軸受に向かう油の流れを惹起する軸流ポンプとを備えて構成されており、前記転がり軸受はその外輪を、前記筒部材の内周面に内嵌することにより、外輪と内輪が相対回転可能に保持される。
【0007】
このとき前記筒部材は、潤滑液中に半分程度まで浸漬されているとともに、筒部材内には、前記潤滑液が浸入しており、軸部材、転がり軸受及び軸流ポンプは該潤滑液に浸漬されている。また、この筒部材内にある潤滑液中には、予め所定量の異物が混入されている。従って、軸部材が回転作動すると、その回転作動によって軸流ポンプが回転し、筒部材内の潤滑液には軸受に向かう流れが生じる。これにより、筒部材内にある異物は強制的に潤滑液とともに軸受内を通過する。このように、特許文献1に開示の技術は、所定量の異物を軸受内に通過させるものとして好適な先行技術である。
【0008】
しかし、この特許文献1の技術を用いて大量の異物を通過させようとすると、その大量の異物を予め貯留しておくために前記筒部材を大型化する必要があるため、筒部材の大型化により試験装置全体の大型化を招くこととなる。
【特許文献1】特開平8−166017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、異物が転がり軸受の軌道面・転動面に与えるダメージを試験毎に略一定に保ち、軌道輪に表面起点型剥離が発生する寿命試験の信頼性を向上させるとともに、装置全体のコンパクト化を図りつつも大量の異物を通過可能とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明の第1の発明は、異物を混入した潤滑液中で転がり軸受を回転可能に保持し、該転がり軸受の軸受内に、前記潤滑液とともに異物を通過させて転がり軸受の寿命を試験する装置であって、異物を混入した潤滑液を貯留する貯留部と、該貯留部内にて回転可能に架け渡される軸部材と、該軸部材と直交する上下方向に所定の間隔をあけて備えられる軸受け部とを備え、前記軸部材と軸受け部との間で、かつ前記潤滑液中で相対回転可能に転がり軸受を配するとともに、前記軸部材には、該軸部材の回転作動により回転し、貯留部内に貯留された前記異物を混入した潤滑液を攪拌及び循環させ、該異物を混入した潤滑液に、前記転がり軸受方向に向かう流れを発生させる液流発生部材を備えたことを特徴とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置としたことである。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、軸受け部は、軸部材を内装し、該軸部材との間で所定間隔をあけて貯留部内に突設され、異物を混入した潤滑液が貯留部内から流入されているハウジングの内面であることを特徴とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置としたことである。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、転がり軸受を回転可能に保持するハウジングの内面と軸部材の外面との間には、軸方向及び軸方向と直交する上下方向に延びた所定の空間領域が形成され、異物を混入した潤滑液は前記空間領域内の所定範囲にまで流入しており、液流発生部材は、前記空間領域に位置する軸部材の外周に備えられていることを特徴とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置としたことである。
【0013】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、ハウジングは、貯留部内にて相対向して一対突設されるとともに、夫々のハウジング内に単一の軸部材が架け渡されており、該夫々のハウジング内に位置する前記軸部材の所定位置には液流発生部材が夫々備えられていることを特徴とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置としたことである。
【0014】
第5の発明は、第2乃至第4のいずれかの発明において、ハウジングの所定領域には、異物を混入した潤滑液がハウジング内へと流入可能とする貫通流路を設けたことを特徴とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置としたことである。
【0015】
第6の発明は、第5の発明において、貫通流路は、液流発生部材の直下又は異物を混入した潤滑液の流れ方向下流側に設けられていることを特徴とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置としたことである。
【0016】
第7の発明は、第6の発明において、液流発生部材は、別体に形成されるとともに軸部材の外周に備えられ、異物を混入した潤滑液に、転がり軸受方向に向かう流れを発生させる羽根構造を備えていることを特徴とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置としたことである。
【0017】
第8の発明は、第1乃至第7のいずれかの発明において、軸部材には、ラジアル方向の荷重が負荷されていることを特徴とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置としたことである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、異物が転がり軸受の軌道面・転動面に与えるダメージを試験毎に略一定に保ち、軌道輪に表面起点型剥離が発生する寿命試験の信頼性を向上させることができる。また、装置全体のコンパクト化を図りつつも、軸受内に大量の異物を通過させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る試験装置の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
なお、本実施形態は本発明の一実施形態にすぎず何等これに限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
【実施例1】
【0020】
図1は実施例1の試験装置に係る概略断面図で、図中1は、貯留部を示す。
貯留部1は、例えば相対向する側面の夫々の上下方向略半分程度の位置に円筒状の開口1a,1aを同軸上に設けた内部中空の箱形状に形成され、所定量の異物G1を混入した潤滑液(潤滑油)L1が、貯留部1内の貯留空間1bの上下方向略半分程度まで貯留されている。
前記開口1a,1aには、略円筒状のハウジング2,2が、貯留部1内の貯留空間1bに夫々突出するように取り付け固定されている。夫々のハウジング2,2は、相対向する先端2a,2a間に所定の距離をあけて、貯留空間1bにて同軸上に配設されている。
【0021】
潤滑液L1は、本試験装置と同様の試験装置にて用いられる周知の潤滑油が採用されるが、特に限定されるものではなく、水などの液体も採用可能である(貯留されている潤滑液200の表面ラインを図にて一点鎖線S1で示す。)。
異物G1は、例えば所定粒径の金属粉末・セラミック粉末、シリカ粉末などを使用する。なお、本実施例で使用される異物の比重は、何れも潤滑液L1の比重よりも大きいものとする。
【0022】
ハウジング2は、例えば貯留部1の外側面1cに当てつけて密着固定する円盤状のフランジ2bと、該フランジ2bから突設され、前記開口1aの内径に嵌合される円筒部2cで構成されており、該円筒部2cの先端側内周面を、後述する軸部材5と直交する上下方向に所定の間隔をあけて備えた軸受け部3としている。
ハウジング2は、後述する軸部材5の外径との間に、軸方向及び軸方向と直交する上下方向に延びた円筒状の所定の空間領域A1を有しており、一方のハウジング2(図にて向かって右側のハウジング2)は、先端面2aと後端面2dを開口して前記空間領域A1と貫通させており、他方のハウジング2(図にて向かって左側のハウジング2)は先端面2aのみを開口して前記空間領域A1と貫通させている。
また、本実施例によれば、ハウジング2の下方領域の所定位置に、前記空間領域A1と貯留空間1bとを連通する貫通流路4を設けている。
本実施例によれば、貫通流路4を通って貯留部1内の貯留空間1bとハウジング2内の空間領域A1とが連通し、潤滑液L1の循環経路が形成される。
なお、図中10は、ハウジング2の円筒部2c外径と開口1aの内径との間で潤滑液漏れ防止を図るOリングなどのシール材である。
【0023】
貫通流路4は、本実施例では、前記空間領域A1において、後述する液流発生部材7よりも上流側に穿設されるようにハウジング2の外面から内面に向けて所定径の円筒状に貫通形成されている。なお、本実施例では、単一の貫通流路4をもって説明するが、貫通流路4は複数本設けるものであってもよく、また複数本設ける場合には、その穿設位置も特定されず任意に設計変更可能であるとともに、夫々の貫通流路4の形状なども限定されず任意である。
【0024】
軸部材5は、前記両ハウジング2,2内にわたって貯留部1外から貫通して配設された回転軸で、各軸受け部3,3との間に夫々供試軸受6,6を介して両ハウジング2,2内面との間で所定間隔をあけて保持されている。
また、夫々のハウジング先端面2a,2a間に位置する軸部材5の所定領域は、貯留空間1bにて露呈し、潤滑液L1にその上下方向中央位置程度までを浸漬させている。
そして、貯留部1の外方に位置する軸部材5の一端には、例えば図示しない駆動源(モータ)が連結されており、供試条件にあった所定方向への回転作動が伝達可能に構成されている。
【0025】
供試軸受6としての転がり軸受は、外輪6aと、内輪6bと、該外輪6aと内輪6bの間に多数個組み込まれる転動体(球)6cとで構成されている周知の転がり玉軸受構成であって、内輪6bの内径面を前記軸部材5の外径面に嵌合させるとともに、外輪6aの外径面を軸受け部3の内径面に嵌合させ、かつ前記潤滑液L1中で相対回転可能に配されている。なお、本実施例では供試軸受6の一例として転がり玉軸受を採用しているが、本発明の範囲内でころ軸受など周知軸受構成が採用可能である。
【0026】
液流発生部材7は、例えば前記各供試軸受6,6よりも下流側の各空間領域A1,A1にて軸部材5の外径に一体的に固定されて夫々配設されており、軸部材5が回転作動することにより一緒に回転し、前記貯留空間1bと連通して前記夫々の空間領域A1,A1に貯留されている前記異物G1を混入した潤滑液L1を攪拌及び循環させ、該異物G1を混入した潤滑液L1に、前記各供試軸受(転がり軸受)6,6方向に向かう流れ(図にて矢印F1で示す方向)を発生させる構造が採用されている。
【0027】
液流発生部材7の構造は、上述した流れを潤滑液L1に発生させる構造が採用可能で、例えば、はすば歯車やかさば歯車などを軸部材5の外径に取り付け固定することで液流発生部材7とすることが可能である。なお、本実施例では、一方のハウジング2(図にて向かって右側のハウジング2)内の空間領域A1にて軸部材5の外径所定領域に、はすば歯車からなる液流発生部材7が固定して配設されており、他方のハウジング2(図にて向かって左側のハウジング2)内では、その空間領域A1に位置する軸部材5の先端に、はすば歯車からなる液流発生部材7が固定して配設されている。
このように、はすば歯車やかさば歯車を採用すれば、既存の部品をそのまま採用可能であるため、コスト安価でもある。
なお、液流発生部材7の構造は本発明の範囲内で他の構造が任意に選択可能で特に限定解釈されない。また、本実施例では、夫々の空間領域A1,A1に1つずつ配設するものとしているが、軸方向に複数個ずつ配設する形態も採用可能である。
また、軸部材5と別体に形成されることにより、軸部材5から着脱も可能である。これにより、液流発生部材7の大きさや歯の枚数などを変えることで液流状態を変化させることも可能である。なお、軸部材5の外径所定領域に直接液流発生部材を一体成形することも本発明の範囲内である。
【0028】
本実施例では、軸部材5の中央付近に密封形の軸受8が備えられており、該軸受8は、内輪8aを軸部材5の外径に嵌合させるとともに、外輪8bを短尺円筒状の筒部材9の内径に嵌合して取り付けられている。
そして、この筒部材9の上部には図示しない油圧ピストンが当接しており、図示しない油圧装置が油圧ピストンを介して筒部材9に、供試条件にあったラジアル方向の荷重(図にて矢印R1で示す方向)を負荷するように構成されている。なお、本実施例では、この密封形軸受8の一例として、例えば、両側に図示しない円環状の密封板(シール又はシールド)が配されている転がり玉軸受が採用されている。
本発明によれば、例えば油圧装置などによって軸部材5にラジアル方向の荷重R1が負荷されるため、供試軸受6,6には実際の使用状態と同様に所定の荷重が掛かった状態で相対回転する。
【0029】
本実施例によれば、軸部材5の回転作動によって回転する夫々の液流発生部材7,7の回転作動により、各ハウジング2,2の空間領域A1,A1内で潤滑液L1を攪拌するとともに、該潤滑液L1には各供試軸受6,6方向に向かう流れ(図にて矢印F1で示す方向、図にて向かって右側のハウジング2内では右方向から左方向への流れ、左側のハウジング2内では左方向から右方向への流れ)が発生し、各ハウジング2,2の空間領域A1,A1から各供試軸受6,6内を通過して貯留部1内へと異物G1を混合した潤滑液L1が夫々循環するため(図にて矢印C1で示す循環方向、図にて向かって右側では反時計回り方向への流れ、左側では時計回り方向への流れ)、その流れによって積極的に略定量の異物G1が供試軸受6,6内を通過することとなる。
【0030】
なお、本実施例では、軸受け部3は、軸部材5を内装し、該軸部材5との間で所定間隔をあけて貯留部1内に突設され、異物G1を混入した潤滑液L1が貯留部1内から流入されているハウジング2の先端内面としたが、軸受け部3は本実施例の構成に限定されるものではなく、貯留部1内の貯留空間1bに備えられ、供試軸受6,6を軸部材5との間で相対回転可能に保持できるものであればよく、例えば前記ラジアル荷重R1を受けている密封形転がり軸受8を保持する筒部材9と同様に単なる短尺円筒状の筒部材構成を採用することも可能である。
【実施例2】
【0031】
図2は実施例2の概略断面図である。
本実施例は、実施例1の試験装置における貫通流路4の配設位置を変えた実施の一例である。なお、貫通流路4を除く本実施例の試験装置のその他の構成及び作用効果にあっては、実施例1と同一であり特に限定解釈されるものではないため、実施例1を援用しここでの詳細な説明は省略する。
【0032】
実施例1の貫通流路4は、液流発生部材7の配設位置よりも上流側(液流発生部材7を対象として供試軸受6寄り)に、その穿設部分を空間領域A1に開口して設けているが、本実施例の貫通流路4は、液流発生部材7の直下の領域に開口して設けられている実施の一例である。
本発明によれば、液流発生部材7の直下に貫通流路4が設けられているものであるため、貯留空間1bにある潤滑液L1を効率よくハウジング2内の空間領域A1へと吸い上げて循環させることができる。
また液流発生部材7は、例えば軸部材5とは別体に形成されるとともに、軸部材5の外周に固定して備えられる図示しないプロペラなどの羽根部材構造を採用することも可能であり、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0033】
なお、本実施例で示す貫通流路4の位置は実施例1・2で説明する位置に限定解釈されるものではなく、例えば液流発生部材7よりも下流側(後端面寄り)に設けるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明転がり軸受の寿命試験装置の一実施例を示す概略断面図。
【図2】実施例2の寿命試験装置の概略断面図。
【図3】従来の転がり軸受の寿命試験装置の概略断面図。
【符号の説明】
【0035】
1 貯留部
3 軸受け部
5 軸部材
6 転がり軸受(供試軸受)
7 液流発生部材
F1 軸受方向に向かう流れ
G1 異物
L1 潤滑液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物を混入した潤滑液中で転がり軸受を回転可能に保持し、該転がり軸受の軸受内に、前記潤滑液とともに異物を通過させて転がり軸受の寿命を試験する装置であって、
異物を混入した潤滑液を貯留する貯留部と、
該貯留部内にて回転可能に架け渡される軸部材と、
該軸部材と直交する上下方向に所定の間隔をあけて備えられる軸受け部とを備え、
前記軸部材と軸受け部との間で、かつ前記潤滑液中で相対回転可能に転がり軸受を配するとともに、
前記軸部材には、該軸部材の回転作動により回転し、貯留部内に貯留された前記異物を混入した潤滑液を攪拌及び循環させ、該異物を混入した潤滑液に、前記転がり軸受方向に向かう流れを発生させる液流発生部材を備えたことを特徴とする異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置。
【請求項2】
軸受け部は、
軸部材を内装し、該軸部材との間で所定間隔をあけて貯留部内に突設され、異物を混入した潤滑液が貯留部内から流入されているハウジングの内面であることを特徴とする請求項1に記載の異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置。
【請求項3】
転がり軸受を回転可能に保持するハウジングの内面と軸部材の外面との間には、軸方向及び軸方向と直交する上下方向に延びた所定の空間領域が形成され、
異物を混入した潤滑液は前記空間領域内の所定範囲にまで流入しており、
液流発生部材は、前記空間領域に位置する軸部材の外周に備えられていることを特徴とする請求項2に記載の異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置。
【請求項4】
ハウジングは、貯留部内にて相対向して一対突設されるとともに、夫々のハウジング内に単一の軸部材が架け渡されており、該夫々のハウジング内に位置する前記軸部材の所定位置には液流発生部材が夫々備えられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置。
【請求項5】
ハウジングの所定領域には、異物を混入した潤滑液がハウジング内へと流入可能とする貫通流路を設けたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置。
【請求項6】
貫通流路は、液流発生部材の直下又は異物を混入した潤滑液の流れ方向下流側に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置。
【請求項7】
液流発生部材は、別体に形成されるとともに軸部材の外周に備えられ、異物を混入した潤滑液に、転がり軸受方向に向かう流れを発生させる羽根構造を備えていることを特徴とする請求項6に記載の異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置。
【請求項8】
軸部材には、ラジアル方向の荷重が負荷されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の異物混入下による転がり軸受の寿命試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−3196(P2007−3196A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180135(P2005−180135)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】