説明

異物選別方法および異物選別設備

【課題】形状が不揃いで色が異なるもの同士を確実に選別し得る異物選別方法を提供する。
【解決手段】カメラ装置3で撮影された画像データを異物抽出部21に入力して色彩情報に基づき物体を抽出し、計量的異物判断部23にて、抽出された物体の画像データにおける面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る色彩的特徴量を抽出し、色彩的異物判断部25にて、色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る丸さ・細長さなどの形状を表わす形状的特徴量を抽出し、形状的異物判断部27にて、形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断し、上記各判断において、異物であると判断された物体を、ベルトコンベヤ上から除去する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別対象物体例えば食品中に混入した異物を選別する異物選別方法および異物選別設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食品に対する消費者の嗜好の多様化、食品の流通のグローバル化など、食品を取り巻く環境が大きく変化しており、このような状況の中、消費者のニーズが量から質へと変化し、食品に対する安全性への関心が高まっている。
【0003】
このように、食品に対する安全性という観点から、食品に混入している異物の有無を検査するとともに、発見された異物を取り除く装置が開発されている。
この種の選別装置としては、例えば玄米と、青米とを選別する穀粒選別機がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この穀粒選別機は、玄米と、青米との色の違いを明確にするために、色でもって判断するようにしたものである。
すなわち、玄米および青米のどちらかに近い色の光線を照射するとともに、その反射光を測定するようにしたもので、具体的に説明すれば、照射する光線に近い色の米からの光の反射率が少なくなるとともに、他方の色の米からの光の反射率が多くなることから判別するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−309539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の選別機によると、ほぼ同一形状で被選別物の種類が2つである場合には、より確実に選別することができるが、例えば干した小魚と、この小魚に混入している貝殻、木片、プラスチック片などのように、形状が不揃いで且つ色が異なるものを、より確実に選別するのが難しいという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、形状が不揃いで且つ色が異なるもの同士を、より確実に、選別し得る食品における異物選別方法および異物選別設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る異物選別方法は、搬送経路上を搬送される選別対象物体に含まれている異物を選別する方法であって、
搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データから色彩情報に基づき物体を抽出し、
次にこの抽出された物体の画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断し、
次に異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る色彩的特徴量を抽出し、
次にこの色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断し、
次に異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る丸さ・細長さなどの形状を表わす形状的特徴量を抽出し、
次にこの形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断し、
上記各判断において、異物であると判断された物体を、搬送経路上から除去する方法である。
【0009】
また、請求項2に係る異物選別方法は、搬送経路上を搬送される選別対象物体に含まれている異物を選別する方法であって、
搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データから色彩情報に基づき物体を抽出し、この抽出された物体の画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る色彩的特徴量を抽出し、この色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る丸さ・細長さなどの形状を表わす形状的特徴量を抽出し、この形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断するようにした第1異物判断機能に、
さらに、搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データの輝度情報に基づき物体を抽出し、この抽出された物体の画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る丸さ・細長さなどの形状を表わす形状的特徴量を抽出し、この形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断するようにした第2異物判断機能を付加し、
且つ上記各異物判断機能部にて、異物であると判断された物体を、搬送経路上から除去する方法である。
【0010】
また、請求項3に係る選別方法は、請求項1または2に記載の異物選別方法において、
搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データの色彩情報または輝度情報に基づき物体を抽出した後、この抽出された物体から線状物体を抽出し、この線状物体を除いた残りの画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断するようにした異物判断機能を、さらに付加する方法である。
【0011】
また、請求項4に係る選別方法は、請求項1または2に記載の異物選別方法において、
色彩的特徴量を、選別対象物体の想定し得る色範囲以外の画素数、選別対象物体の想定し得る色範囲との差、選別対象物体の想定し得る色範囲の画素数および選別対象物体の想定し得る色範囲の割合の少なくとも一つ以上とする方法である。
【0012】
さらに、本発明の請求項5に係る異物選別設備は、選別対象物体に含まれている異物を選別する異物選別設備であって、
選別対象物体を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤ装置と、このコンベヤ装置上の選別対象物体を撮影するカメラ装置と、このカメラ装置にて撮影した画像データを入力して選別対象物体から異物を検出する異物検出装置と、この異物検出装置により検出された異物をコンベヤ装置から除去する異物除去装置とを具備し、
上記異物検出装置に、
上記カメラ装置にて撮影された画像データにおける色彩情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部と、この計量的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその色彩的特徴量を算出する色彩的特徴量算出部と、この色彩的特徴量算出部にて算出された色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する色彩的異物判断部と、この色彩的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその形状的特徴量を算出する形状的特徴量算出部と、この形状的特徴量算出部にて算出された形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する形状的異物判断部とから成る異物判断機能部を設けたものである。
【0013】
また、請求項6に係る異物選別設備は、選別対象物体に含まれている異物を選別する異物選別設備であって、
選別対象物体を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤ装置と、このコンベヤ装置上の選別対象物体を撮影するカメラ装置と、このカメラ装置にて撮影した画像データを入力して選別対象物体から異物を検出する異物検出装置と、この異物検出装置により検出された異物をコンベヤ装置から除去する異物除去装置とを具備し、
上記異物検出装置に、
上記カメラ装置にて撮影された画像データにおける色彩情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部と、この計量的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその色彩的特徴量を算出する色彩的特徴量算出部と、この色彩的特徴量算出部にて算出された色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する色彩的異物判断部と、この色彩的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその形状的特徴量を算出する形状的特徴量算出部と、この形状的特徴量算出部にて算出された形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する形状的異物判断部とから成る第1異物判断機能部を設けるとともに、
上記カメラ装置にて撮影された画像データにおける輝度情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部と、この計量的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその形状的特徴量を算出する形状的特徴量算出部と、この形状的特徴量算出部にて算出された形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する形状的異物判断部とから成る第2異物判断機能部を設けたものである。
【0014】
また、請求項7に係る異物選別設備は、請求項5または6に記載の異物選別設備において、
異物検出装置に、
カメラ装置にて撮影された画像データにおける色彩情報または輝度情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部にて抽出された物体から線状物体を抽出する線状物体抽出部と、上記物体抽出部および線状物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部とから成る異物判断機能部をさらに具備させたものである。
【発明の効果】
【0015】
上記異物選別方法および異物選別設備の構成によると、少なくとも、選別対象物体の画像データから色彩情報に基づき抽出された物体に対して、面積・長さなどの大きさの計量的特徴量、色彩的特徴量、丸さ・細長さなどの形状的特徴量に基づき、異物であるか否かを判断するようにしているので、異物の除去を確実に行うことができる。
【0016】
また、上記選別に加えて、選別対象物体の画像データから輝度情報に基づき抽出された物体に対して、面積・長さなどの大きさの計量的特徴量、および丸さ・細長さなどの形状的特徴量に基づき、異物であるか否かの判断を行うことにより、異物の除去をより確実に行うことができる。すなわち、形状が不揃いで且つ色が異なるもの同士から、より確実に異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例に係る異物選別設備の概略構成を示す側面図である。
【図2】同異物選別設備における異物検出装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】同異物検出装置における物体の抽出を説明する平面図である。
【図4】同異物検出装置における物体の抽出を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る異物選別方法および異物選別設備を具体的に示した実施例に基づき説明する。
本実施例に係る異物選別方法および異物選別設備は、選別対象物体、例えば食品、より具体的には、かえりちりめんなどの乾燥小魚に混入している貝殻、木片、プラスチック片などの異物を選別するためのものでる。勿論、その選別対象物体は、乾燥小魚の他に、例えばわかめなどの海産物、乾燥野菜、菓子、豆類などの食品の素材原料、および加工食品などであってもよい。これらは、元来、自然界に存在するもので、大きさ、形、色などにばらつきが大きいものである。また、異物としては、食品の素材原料に由来するもの、収穫(捕獲)時に混入するもの、加工工程で発生する不良品などがある。
【0019】
まず、異物選別設備について説明する。
この異物選別設備は、図1に示すように、選別対象物体である食品Sを供給する食品供給装置1と、この食品供給装置1により供給された食品Sを所定経路上で搬送するコンベヤ装置例えばベルトコンベヤ2と、このベルトコンベヤ2の上方の所定位置に設けられて当該ベルトコンベヤ2上の食品Sを撮影する例えば複数のカメラ装置(例えば、CCDカメラなどが用いられる)3と、このカメラ装置3で撮影された撮影画像データを入力して食品Sに混入している異物を検出する異物検出装置4と、この異物検出装置4により異物が検出されると、当該異物検出装置4からの異物の検出信号を入力してベルトコンベヤ2上で異物を除去し得る異物除去装置5とから構成されている。なお、上記カメラ装置3としては、複数台の、例えばカラー用の第1カメラ装置3Aと、白黒用の第2カメラ装置3Bがある。また、異物除去装置5としては、例えばエアノズルまたはロボットハンドなどが用いられる。
【0020】
次に、本発明の要旨である異物検出装置4について詳しく説明する。
この異物検出装置4における異物の判断手法として、選別対象物体である食品Sと判断し得る面積・長さなどの大きさに基づく計量的特徴量と、同じく選別対象物体である食品Sと判断し得る色彩に基づく色彩的特徴量と、同じく選別対象物体である食品Sと判断し得る形状に基づく形状的特徴量とを用いる第1判断手法、および選別対象物体である食品Sと判断し得る面積・長さなどの大きさに基づく計量的特徴量と、同じく選別対象物体である食品Sと判断し得る形状に基づく形状的特徴量とを用いる第2判断手法、並びに選別対象物体である食品Sとは異なる細長いつまり線状の形状に基づく線状特徴量と、同じく選別対象物体である食品Sと判断し得る面積・長さなどの大きさに基づく計量的特徴量とを用いる第3判断手法が具備されている。
【0021】
したがって、上記各判断手法に応じた異物判断機能部が具備されており、具体的には、図2に示すように、第1判断手法を実行する第1異物判断機能部11が、第2判断手法を実行する第2異物判断機能部12が、第3判断手法を実行する第3異物判断機能部13が具備されており、以下、これら各異物判断機能部について説明する。
【0022】
第1異物判断機能部11には、色彩・形状検査機能が具備されており、食品の色彩および形状の特徴に基づき食品S中の異物を検出するものである。
この第1異物判断機能部11は、カラー用の第1カメラ装置3Aにより撮影されたカラーの画像データにおける色彩情報を用いて物体を抽出する物体抽出部21と、この物体抽出部21により抽出された物体の少なくとも面積および長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部22と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部23と、この計量的異物判断部23で異物でないと判断された物体に対して色彩的特徴量(後述する)を算出する色彩的特徴量算出部24と、この色彩的特徴量算出部24にて算出された色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する色彩的異物判断部25と、この色彩的異物判断部25で異物でないと判断された物体に対して形状的特徴量(後述する)を算出する形状的特徴量算出部26と、この形状的特徴量算出部26にて算出された形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する形状的異物判断部27とから構成されている。
【0023】
上記物体抽出部21においては、予め、設定されたパラメータの範囲内にある画素だけを抽出するとともに、この抽出された画素に対して連結されている画素を一塊にすることにより、つまりラベリング処理を行うことにより、物体が抽出される。勿論、パラメータは、選別対象物体に応じて、つまり食品である場合には、食品であると想定し得る色範囲を表わすような値が設定される。
【0024】
また、上記計量的特徴量算出部22では、色彩情報により抽出された物体の面積、長さなどの大きさの計量的特徴量(言い換えれば、一次元的および二次元的数値に基づく特徴量であり、大きさ的特徴量ともいえる)が求められる。
【0025】
そして、この計量的特徴量が計量的異物判断部23に入力され、ここで、予め、想定される食品Sの面積、長さなどの大きさの許容範囲と比較され、許容範囲外にある物体については、異物であると判断される。
【0026】
さらに、上記色彩的特徴量算出部24では、カラーの画像データから得られる色彩に基づく色彩的特徴量が求められる。以下、色彩的特徴量について説明する。なお、以下の説明においては、食品の良品に含まれる色を食品色といい、また特定の色とは、良品と異物の両方に含まれている色の中で、特に、異物に多く含まれている色をいう(単に、色の有無だけで異物を判断することができないため、その色が占める割合により異物を判断するためである)。
【0027】
色彩的特徴量としては、下記に示す4つの項目が用いられる。
a.食品色以外の画素数
b.食品色との色の差(色空間上での距離)
c.特定の色範囲の画素数
d.特定の色範囲の割合
上記色彩的特徴量を採用した理由について簡単に説明しておく。
【0028】
選別対象物体である食品が、上述したように乾燥小魚である場合、良品には、背、眼球の黒色の部分や、腹の茶褐色の部分、さらには、えらの銀色の部分など、様々な色、つまり良品色が含まれている。
【0029】
このような微妙な色の違いをとらえるため、良品および異物が有する色を、色相・明度・彩度をパラメータとしたHLS(H:Hue,L:Lightness,S:Saturation)色空間にて示す。
【0030】
この色空間において、良品と異物の違いを分析した結果、良品以外の色であっても良品色との色の差の大小に関係する特徴、良品色を含んでいてもその画素数や割合による特徴に着目することにより、良品と異物とを区別することが可能であることが判明した。このようなことから、上記4つの色彩に関する特徴を用いて判別、すなわち選別を行うようにしたものである。なお、これら4つの特徴を全て用いる必要もなく、適宜、任意の特徴、1つ、2つまたは3つを選択することもできる。
【0031】
例えば、図3は、食品Sをカメラ装置(CCDカメラである)により撮影した画像であり、良品および異物の色を示している。図3中、aは青色であり良品色であることを示しており、bは桃色であり良品色以外の色つまり異物の色を示している。
【0032】
このように良品と異物とには、色彩の違いがあることがわかる。
そして、この色彩的特徴量が色彩的異物判断部25に入力され、ここで、食品であることを示す色彩であるか否かが、つまり異物であるか否かが判断される。
【0033】
上記形状的特徴量算出部26では、カメラ装置3からのカラーの画像データに基づき、物体の外形が抽出されるとともに、その外形の特徴、例えば丸み・細長さ・輪郭の凹凸の度合いなどの形状を表わす形状的特徴量が求められる。
【0034】
そして、この形状的特徴量が形状的異物判断部27に入力され、ここで、予め、想定される食品の形状データの許容範囲と比較され、許容範囲外にある物体については、異物であると判断される。
【0035】
この第1異物判断機能部11により、物体のカラー画像データに基づき、計量的特徴量、色彩的特徴量および形状的特徴量を求め、これらの特徴量からそれぞれ異物であるか否かが判断される。
【0036】
次に、第2異物判断機能部12について説明する。
この第2異物判断機能部12は、白黒用の第2カメラ装置3Bにより撮影された白黒の画像データから輝度情報(濃淡情報、具体的には白黒画像データの輝度データである)を用いて物体を抽出する物体抽出部31と、この物体抽出部31により抽出された物体の少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部32と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部33と、この計量的異物判断部33で異物でないと判断された物体に対して形状的特徴量を算出する形状的特徴量算出部34と、この形状的特徴量算出部34にて算出された形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する形状的異物判断部35とから構成されている。なお、計量的特徴量算出部32、計量的異物判断部33、形状的特徴量算出部34および形状的異物判断部35については、第1異物判断機能部11で説明したものと同じものが用いられている。
【0037】
ところで、上記物体抽出部31においては、白黒用の第2カメラ装置3Bにて撮影された白黒画像データにおける輝度情報(輝度データ)を用いて物体が抽出される。なお、この輝度情報については、例えば赤外線カメラ装置にて得られる赤外線画像データから得るようにしてもよい。勿論、この場合、赤外線カメラ装置が設けられている。
【0038】
そして、第1異物判断機能部11で説明したように、物体抽出部31で抽出された物体に対して計量的特徴量算出部32で計量的特徴量が求められ、この計量的特徴量に基づき計量的異物判断部33にて異物であるか否かが判断され、さらに形状的特徴量算出部34にて求められた形状的特徴量が形状的異物判断部35に入力され、予め、想定される食品の形状データの許容範囲と比較されて、許容範囲外である物体については、異物であると判断される。
【0039】
したがって、物体の白黒の画像データに基づき、計量的特徴量および形状的特徴量を求めた後、これらの特徴量からそれぞれ異物であるか否かが判断される。
この第2異物判断機能部12により、物体の白黒画像データに基づき、計量的特徴量および形状的特徴量を求め、これらの特徴量からそれぞれ異物であるか否かが判断される。
【0040】
次に、第3異物判断機能部13について説明する。
この第3異物判断機能部13には、線状検査機能が具備されて食品とは異なる釣り糸、魚網などの線状物体を検出するとともに食品の形状の特徴量に基づき、食品中の異物を検出するものである。
【0041】
この第3異物判断機能部13は、上述した第1異物判断機能部11と同じように色彩に基づきまたは第2異物判断機能部12と同じように輝度情報(濃淡情報、具体的には白黒画像データまたは赤外線画像データの輝度データである)に基づき物体を抽出する物体抽出部41と、この物体抽出部41で抽出された物体の中から異物として線状の物体を抽出する線状物体抽出部42と、この線状物体抽出部42により抽出された線状物体以外の物体に対して面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部43と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部44とから構成されている。なお、上記計量的特徴量算出部43および計量的異物判断部44は、第1異物判断機能部11で説明したものと同じものである。
【0042】
したがって、上述したように、物体抽出部41にて、物体の白黒画像データから輝度情報に基づき物体を抽出するとともに、線状物体抽出部42において、図4に示すように、上記抽出された物体の中から食品Sではない細長い線状物体cを抽出し、次に計量的特徴量算出部43にて計量的特徴量が求められるとともに、この計量的特徴量から異物であるか否かが判断される。
【0043】
この第3異物判断機能部13により、物体の白黒画像データに基づき、食品ではない線状物体が抽出されるとともにそれぞれの計量的特徴量が求められて、異物であるか否かが判断される。
【0044】
ここで、上記構成における全体的な異物除去方法を概略的に説明する。
ベルトコンベヤ2にて搬送されてくる選別対象物体、具体的には、乾燥小魚に混入している貝殻、木片、プラスチック片などの異物が、まず第1異物判断機能部11にて特定され、引き続き、第2異物判断機能部12にて異物が特定され、最後に、第3異物判断機能部13にて異物が特定される。
【0045】
そして、これら3つの異物判断機能部11〜13により異物が特定されると、その旨の信号が異物排除装置5に送られ、ここで、異物がベルトコンベヤ2上から除去される。
このように、3つの異物判断機能部11〜13により、異物を除去するようにしているので、食品から異物を確実に除去することができる。
【0046】
具体的に言えば、第1異物判断機能部11では、3つの観点を考慮して異物を判断するようにしており、第2異物判断機能部12では、2つの観点を考慮して異物を判断するようにしており、さらに第1異物判断機能部11では、1つの観点を考慮して異物を判断するようにしているので、これら3つの異物判断機能を併用することにより、確実に異物を検出して取り除くことができる。
【0047】
簡単に言えば、色彩情報に基づき抽出された物体から、例えば乾燥小魚の大きさなどの計量的的特徴量、乾燥小魚の色彩的特徴量、および乾燥小魚でないと想定し得る形状的特徴量に基づき、異物を取り除くようにしたので、乾燥小魚に混入している異物を殆ど、つまり、確実に取り除くことができ、また輝度情報などにより抽出された物体から、計量的特徴量および形状的特徴量に基づき異物を除去し、さらに、線状物体などを検出して乾燥小魚ではあり得ないような線状物体についても異物として検出し除去するようにしているので、より確実に、異物を取り除くことができる。すなわち、形状が不揃いで且つ色が異なるもの同士から、より確実に、異物を除去することができる。
【0048】
ところで、上記実施例においては、第1〜第3異物判断機能部11〜13を用いて、選別対象物体から異物を除去するように説明したが、第1異物判断機能部11だけを用いることもでき、また第1異物判断機能部11と第2異物判断機能部12を用いてもよく、また第1異物判断機能部11と第3異物判断機能部13とを用いてもよい。
【0049】
なお、第1異物判断機能部11と第3異物判断機能部13とを用いた場合の異物選別方法および異物選別設備の概略構成を下記に示しておく。
すなわち、この異物選別方法は、ベルトコンベヤなどの搬送経路上を搬送される選別対象物体に含まれている異物を選別する方法であって、
搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データから色彩情報に基づき物体を抽出し、この抽出された物体の画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る色彩的特徴量を抽出し、この色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る丸さ・細長さなどの形状を表わす形状的特徴量を抽出し、この形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する、第1異物判断機能に、
さらに搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データの色彩情報または輝度情報に基づき物体を抽出した後、この抽出された物体から線状物体を抽出し、この線状物体を除去した後、残りの画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断する第2異物判断機能を付加し、
上記各異物判断機能により、異物であると判断された物体を、搬送経路上から除去する方法である。
【0050】
また、この異物選別設備は、選別対象物体に含まれている異物を選別する異物選別設備であって、
選別対象物体を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤ装置と、このコンベヤ装置上の選別対象物体を撮影するカメラ装置と、このカメラ装置にて撮影した画像データを入力して選別対象物体から異物を検出する異物検出装置と、この異物検出装置により検出された異物をコンベヤ装置から除去する異物除去装置とを具備し、
上記異物検出装置に、
上記カメラ装置にて撮影された画像データにおける色彩情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部と、この計量的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその色彩的特徴量を算出する色彩的特徴量算出部と、この色彩的特徴量算出部にて算出された色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する色彩的異物判断部と、この色彩的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその形状的特徴量を算出する形状的特徴量算出部と、この形状的特徴量算出部にて算出された形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する形状的異物判断部とから成る第1異物判断機能部と、
カメラ装置にて撮影された画像データにおける色彩情報または輝度情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部にて抽出された物体から線状物体を抽出する線状物体抽出部と、上記物体抽出部および線状物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部とから成る第2異物判断機能部とを具備させたものである。
【0051】
さらに、上記実施例においては、食品の素材原料に含まれる異物の除去や、食品の製造工程、加工工程で混入した異物の除去を行う場合について説明したが、食品以外の製造分野における粉末、固形の原材料の選別にも適用することができる。
【0052】
さらに、上述した説明においては、異物であるか否かを各特徴量に基づき判断する際に、その順番を特定して説明したが、その順番については任意に変更することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 食品供給装置
2 ベルトコンベヤ
3 カメラ装置
4 異物検出装置
5 異物除去装置
11 第1異物判断機能部
12 第2異物判断機能部
13 第3異物判断機能部
21 物体抽出部
22 計量的特徴量算出部
23 計量的異物判断部
24 色彩的特徴量算出部
25 色彩的異物判断部
26 形状的特徴量算出部
27 形状的異物判断部
31 物体抽出部
32 計量的特徴量算出部
33 計量的異物判断部
34 形状的特徴量算出部
35 形状的異物判断部
41 物体抽出部
42 線状物体抽出部
43 計量的特徴量算出部
44 計量的異物判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路上を搬送される選別対象物体に含まれている異物を選別する方法であって、
搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データから色彩情報に基づき物体を抽出し、
次にこの抽出された物体の画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断し、
次に異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る色彩的特徴量を抽出し、
次にこの色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断し、
次に異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る丸さ・細長さなどの形状を表わす形状的特徴量を抽出し、
次にこの形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断し、
上記各判断において、異物であると判断された物体を、搬送経路上から除去することを特徴とする異物選別方法。
【請求項2】
搬送経路上を搬送される選別対象物体に含まれている異物を選別する方法であって、
搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データから色彩情報に基づき物体を抽出し、この抽出された物体の画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る色彩的特徴量を抽出し、この色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る丸さ・細長さなどの形状を表わす形状的特徴量を抽出し、この形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断するようにした第1異物判断機能に、
さらに、搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データの輝度情報に基づき物体を抽出し、この抽出された物体の画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断し、異物でないと判断された残りの物体の画像データから選別対象物体であると判断し得る丸さ・細長さなどの形状を表わす形状的特徴量を抽出し、この形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断するようにした第2異物判断機能を付加し、
且つ上記各異物判断機能部にて、異物であると判断された物体を、搬送経路上から除去することを特徴とする異物選別方法。
【請求項3】
搬送経路を撮影し得るカメラ装置で撮影された画像データの色彩情報または輝度情報に基づき物体を抽出した後、この抽出された物体から線状物体を抽出し、この線状物体を除いた残りの画像データにおける少なくとも面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量に基づき物体が異物であるか否かを判断するようにした異物判断機能を、さらに付加することを特徴とする請求項1または2に記載の異物選別方法。
【請求項4】
色彩的特徴量が、
選別対象物体の想定し得る色範囲以外の画素数、選別対象物体の想定し得る色範囲との差、選別対象物体の想定し得る色範囲の画素数および選別対象物体の想定し得る色範囲の割合の少なくとも一つ以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の異物選別方法。
【請求項5】
選別対象物体に含まれている異物を選別する異物選別設備であって、
選別対象物体を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤ装置と、このコンベヤ装置上の選別対象物体を撮影するカメラ装置と、このカメラ装置にて撮影した画像データを入力して選別対象物体から異物を検出する異物検出装置と、この異物検出装置により検出された異物をコンベヤ装置から除去する異物除去装置とを具備し、
上記異物検出装置に、
上記カメラ装置にて撮影された画像データにおける色彩情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部と、この計量的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその色彩的特徴量を算出する色彩的特徴量算出部と、この色彩的特徴量算出部にて算出された色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する色彩的異物判断部と、この色彩的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその形状的特徴量を算出する形状的特徴量算出部と、この形状的特徴量算出部にて算出された形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する形状的異物判断部とから成る異物判断機能部を設けたことを特徴とする異物選別設備。
【請求項6】
選別対象物体に含まれている異物を選別する異物選別設備であって、
選別対象物体を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤ装置と、このコンベヤ装置上の選別対象物体を撮影するカメラ装置と、このカメラ装置にて撮影した画像データを入力して選別対象物体から異物を検出する異物検出装置と、この異物検出装置により検出された異物をコンベヤ装置から除去する異物除去装置とを具備し、
上記異物検出装置に、
上記カメラ装置にて撮影された画像データにおける色彩情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部と、この計量的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその色彩的特徴量を算出する色彩的特徴量算出部と、この色彩的特徴量算出部にて算出された色彩的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する色彩的異物判断部と、この色彩的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその形状的特徴量を算出する形状的特徴量算出部と、この形状的特徴量算出部にて算出された形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する形状的異物判断部とから成る第1異物判断機能部を設けるとともに、
上記カメラ装置にて撮影された画像データにおける輝度情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部と、この計量的異物判断部にて異物でないと判断された物体に対してその形状的特徴量を算出する形状的特徴量算出部と、この形状的特徴量算出部にて算出された形状的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する形状的異物判断部とから成る第2異物判断機能部を設けたことを特徴とする異物選別設備。
【請求項7】
異物検出装置に、
カメラ装置にて撮影された画像データにおける色彩情報または輝度情報を用いて物体を抽出する物体抽出部と、この物体抽出部にて抽出された物体から線状物体を抽出する線状物体抽出部と、上記物体抽出部および線状物体抽出部により抽出された物体の面積・長さなどの大きさを表わす計量的特徴量を求める計量的特徴量算出部と、この計量的特徴量に基づき異物であるか否かを判断する計量的異物判断部とから成る異物判断機能部をさらに具備させたことを特徴とする請求項5または6に記載の異物選別設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−227892(P2010−227892A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80763(P2009−80763)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年11月1日 日立造船株式会社事業・製品開発センター発行の「Hitz技報(No.1 2008 VOL.69)」に発表
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【出願人】(505097538)株式会社エムテック (3)
【Fターム(参考)】