説明

疎水性表面処理組成物、並びにその製造法及び使用法

基体、及び該基体の表面にコートした疎水性膜を有する処理物品。この膜は、シリコーン油と溶剤との混合物又は反応生成物を含む疎水性表面処理組成物から得られる。シリコーン油は、アルキルシラン、又はヒドロキシルと縮合反応可能な官能基を有するポリシロキサンである。疎水性表面処理組成物は、外部硬化剤を実質的に含まない。疎水性表面処理組成物は、補助溶剤又は触媒を含有してよい。処理物品の作製法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性表面処理組成物及び該組成物から作製した、光学部品レンズ及び自動車、航空機、船舶及びビルディング用の窓又は風防を含む物品の分野に向けたものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
各種基体に高度の疎水性を付与できる保護コーティングは、表面の暴露又は劣化を低下させるのに望ましい。劣化の一根源は、水分である。高疎水性コーティングは、水を基体中に浸透させるどころか却って数珠状につなぐことにより、表面を保護する。数珠状にすることは、美的な理由からも望ましいかも知れない。
【0003】
保護コーティングは、通常、液状で基体表面に塗布後、硬化させる防水性組成物の形態を取る。このようなコーティングは、通常、環境と基体表面との間に実質的な物理的なバリヤーを形成するため、基体の表面に比較的厚く塗布される。幾つかの例では、コーティングは、基体の隠された美的特徴を保持する必要に応じて、着色するか又は無色である。例えば、木の表面を保護するため、保護コーティングを用いる際は、木の表面の美的な特徴を保持するため、透明であることが望ましい。
【0004】
前記以外の基体の保護にも、保護コーティングは必要である。例えば、天候、熱及び化学薬品の有害な影響からプラスチック又はガラスで作った物品の表面を保護するには、保護コーティングが望ましいかも知れない。これらの材料から作った物品の目的又は機能に応じて、このような材料に所望の保護を与えるには、特定の保護コーティングは、十分に適合しないかも知れない。
【0005】
プラスチック又はガラスは、通常、特定の美的又は機能的目的のため選択される。例えばガラス又はプラスチック材料は、普通、住宅、ビルディング、自動車又は飛行機等の窓を作るのに使用される。窓は、通常、他方の環境から一方の環境を見る能力を保持しながら、屋内の環境と屋外の環境とを分離するのに設けられる。したがって、窓の少なくとも一方の表面は、天候による害や劣化を起こすことが知られている要素に曝される。疎水性コーティングは、水滴を数珠状につなぎ、これにより空気圧のような力が加わった時、窓を横切る動きを容易にする。
【0006】
プラスチックは、水分の暴露により劣化を一層受けやすいので、プラスチック材料にはコーティングが望ましい。雨で表面に水分が蓄積することにより、或いはその他、水と直接接触することにより、水分に暴露されて、表面が曇ったり、或いはその他、視覚的な歪みが生じると、表面を通して物品を見ることが困難になる。
【特許文献1】USP 6,472,468
【特許文献2】USP 6,482,912
【特許文献3】USP 6,576,734
【特許文献4】USP 5,939,491
【特許文献5】USP 3,919,315
【特許文献6】USP 3,919,351
【特許文献7】USP 4,046,729
【特許文献8】USP 4,681,811
【特許文献9】USP 4,732,790
【特許文献10】USP 4,798,746
【特許文献11】USP 5,468,802
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、天候、熱、化学薬品、その他、水の存在下で表面と望ましくない相互作用を行う要因により、損傷を受け易いガラス、透明プラスチック、又はその他の材料の表面を保護するため、外部硬化剤の更なる使用を必要としないコーティングが有用であり、必要である。また、耐久性があり、しかも長期間に亘って、水に浸漬したり、或いは研磨した際、実質的に保護特性を保持する保護コーティングも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
前記要求は、本発明の各種局面により満足される。一局面では、疎水性表面処理組成物を基体に塗布して、処理物品を形成する。他の一実施態様では、処理表面の作製方法は、少なくとも一方の面にヒドロキシル基を有する基体に疎水性表面処理組成物を塗布する工程、及び該組成物を乾燥する工程を含む。両実施態様の疎水性表面処理組成物は、シリコーン油と溶剤との混合物又は反応生成物である。シリコーン油は、アルキルシラン、又はヒドロキシルと縮合反応可能な官能基を有するポリシロキサンである。特定の実施態様では、この官能基は、アルコキシ、ヒドロキシ又はアミノ基である。他の実施態様では、疎水性表面処理組成物は、更に触媒又は補助溶剤を含有してもよい。幾つかの実施態様では、疎水性表面処理組成物は、外部硬化剤を実質的に含有しない。幾つかの実施態様では、処理表面の接触角は、約80°を超える。特定の実施態様では、組成物は、周囲温度で蒸発により乾燥する。他の実施態様では、組成物は、加熱により乾燥する。
図面の簡単な説明
図1は、接触角の、ワイパーサイクルの関数としてのグラフを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施態様の説明
以下の説明において、開示した全ての数は、これと関連して“約”又は“ほぼ”の語句を使用したかどうかに関係なく、概略値である。これらの値は、1%、2%、5%以下、時には10〜20%まで変化してよい。下限R及び上限Rを持った数値範囲を開示した場合、この範囲内の数Rは、いずれも詳細に開示される。特に、この範囲内の下記数Rは、R=R+k(R−R)で詳細に開示される。但し、kは1%の増加量を持った1%〜100%の範囲の変数である(即ち、kは1%、2%、3%、4%、5%、...、50%、51%、52%、...、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である)。更に、2つの数により前述のように定義した数値範囲Rも、詳細に開示される。
【0010】
ここでは、疎水性表面処理組成物及びこのような組成物から作った疎水性物品を開示する。疎水性表面処理組成物は、シリコーン油と溶剤との混合物又は反応生成物を含有する。幾つかの実施態様は、疎水性表面処理組成物中に補助溶剤又は触媒、補助溶剤及び触媒の両方を含有する。このような疎水性表面処理を採用する物品としては、例えばガラス及びプラスチックの窓、金属及び木が挙げられる。このような組成物及び物品の製造方法も説明する。幾つかの実施態様では、疎水性表面処理組成物は、外部硬化剤を実質的に含まない。
【0011】
ここで用いた用語“外部硬化剤を実質的に含まない”は、疎水性表面処理組成物が、外部硬化剤を約5重量%未満含有することを意味する。幾つかの実施態様では、“実質的に含まない”は、3重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満を意味する。
幾つかの実施態様では、少なくとも一方の表面にヒドロキシル基又は加水分解性基を有する基体に疎水性表面処理組成物を塗布する。好適な基体としては、ガラス、金属、木又は重合体が挙げられる。好ましくは基体は、自動車、飛行機、又はその他の乗り物の風防である。
【0012】
ここで疎水性表面処理組成物は、シリコーン油と溶剤と補助溶剤と触媒との混合物又は反応生成物である。好適なシリコーン油としては、限定されるものではないが、ポリシロキサン、アルキルシラン油又はそれらの組合わせが挙げられる。ヒドロキシル基又は加水分解性基と縮合反応可能な官能基を有するシリコーン油は、いずれも使用してよい。疎水性表面処理組成物と基体との縮合反応により、組成物と基体間に共有結合が生じる。
【0013】
ポリシロキサンは、好ましくは下記式に従う。
【化1】


式中、R及びRは、各々別個に水素、及び置換又は非置換で飽和又は不飽和の炭素原子数1〜40のアルキル又はアリールヒドロカルビル基よりなる群から選ばれ、R及びRの少なくとも1つは、ヒドロキシルと縮合反応可能な官能基を有し、nは、0より大で、約150以下の範囲である。全てのRが同じである必要はない。全てのRが同じである必要はない。R又はRの少なくとも1つは、水素ではない。幾つかの好ましいヒドロカルビル基としては、メチル、エチル、プロピル、ビニルアリル及びフェニル基が挙げられる。他の好適なヒドロカルビル基は、加水分解性官能基を有する。このような加水分解性官能基としては、アルコキシ基、又は例えばメトキシエトキシ基のような炭素原子数1〜40のエステル誘導体がある。更に、幾つかのヒドロカルビル基は、弗化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物で置換される。好ましい実施態様では、ポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンのようなポリジアルキルシロキサンである。好ましい実施態様では、R又はRは、アルコキシ、ヒドロキシ又はアミノ−官能化(functionalized)基である。
【0014】
幾つかの実施態様では、ポリシロキサンの少なくとも1つのRは、アミノ官能化ヒドロカルビル基である。アミノ官能化ヒドロカルビル基の炭素原子数は、1〜約40であってよい。1つの特定のアミノ官能化ヒドロカルビル基は、1−アミノプロピル基である。しかし、このアミノ官能価は、第一アミンである必要はなく、例えば2−アミノプロピル基も好適である。他の好適なアミノ官能化ヒドロカルビル基は、エチルアミノプロピル(CHCHCHNHCHCHNH)基である。他の好適なアミノ官能化ヒドロカルビル基は、他の官能基であってもよいし、或いは−CHCH(NHR)CHCH(但し、Rは、炭素原子数1〜40のいずれかのアルキル又はアリール基である)のような置換アミノ基であってもよい。以上のようなシリコーン油のアミノ官能価は、疎水性表面処理組成物で形成されたコーティングの疎水性及び耐久性を改良するように設計した他の多くの化学部分と反応してよい。このような化合物の例としては、限定されるものではないが、例えば長鎖エポキシド、イソシアネート、及び適切な塩基(base)−当量比でアミノ置換シリコーンと反応する脂肪酸誘導体が挙げられる。これら化合物の製造は、簡単で、特定の目的に合う注文とおりの広範な各種のポリシロキサンを製造できる。これら化合物の製造方法は、限定されるものではないが、USP 6,472,468、同6,482,912、同6,576,734に記載されている。これら特許の全ては、全体を援用した。
【0015】
好適なポリシロキサンとしては、限定されるものではないが、線状の分岐鎖又は環式ポリジメチルシロキサン;分子鎖中にヒドロキシル基を有するポリシロキサン、例えばシラノール末端ポリジメチルシロキサン、シラノール末端ポリジフェニルシロキサン、ジフェニルシラノール末端ポリジメチルフェニルシロキサン、カルビノール末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン及びポリジメチルヒドロキシアルキレンオキシドメチルシロキサン;分子鎖中にアミノ基を有するポリシロキサン、例えばビス(アミノプロピルジメチル)シロキサン、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン、アミノアルキル基含有T−構造ポリジメチルシロキサン、ジメチルアミノ末端ポリジメチルシロキサン及びビス(アミノプロピルジメチル)シロキサン;分子鎖中にグリシドキシアルキル基を有するポリシロキサン、例えばグリシドキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、グリシドキシプロピル含有T−構造ポリジメチルシロキサン、ポリグリシドキシプロピルメチルシロキサン及びポリグリシドキシプロピルメチルジメチルシロキサン共重合体;分子鎖中に塩素原子を有するポリシロキサン、例えばクロロメチル末端ポリジメチルシロキサン、クロロプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリジメチル−クロロプロピルメチルシロキサン、クロロ末端ポリジメチルシロキサン及び1,3−ビス(クロロメチル)テトラメチルジシロキサン;分子鎖中にメタクリロキシアルキル基を有するポリシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル含有T−構造ポリジメチルシロキサン及びポリジメチル−メタクリロキシプロピルメチルシロキサン;分子鎖中にメルカプトアルキル基を有するポリシロキサン、例えばメルカプトプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリメルカプトプロピルメチルシロキサン及びメルカプトプロピル含有T−構造ポリジメチルシロキサン;分子鎖中にアルコキシ基を有するポリシロキサン、例えばエトキシ末端ポリジメチルシロキサン、一端にトリメトキシシリルを有するポリジメチルシロキサン、及びポリジメチルオクチロキシメチルシロキサン共重合体;分子鎖中にカルボキシアルキル基を有するポリシロキサン、例えばカルボキシルプロピル末端ポリジメチルシロキサン、カルボキシルプロピル含有T構造ポリジメチルシロキサン及びカルボキシルプロピル含有T構造ポリジメチルシロキサン;分子鎖中にビニル基を有するポリシロキサン、例えばビニル末端ポリジメチルシロキサン、テトラメチルジビニルジシロキサン、メチルフェニルビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ポリジメチル−ポリフェニルシロキサン共重合体、ビニル末端ポリジメチル−ポリジフェニルシロキサン共重合体、ポリジメチル−ポリメチルビニルシロキサン共重合体、メチルジビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ポリジメチルメチルビニルシロキサン共重合体、ビニル含有T−構造ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ポリメチルフェネチルシロキサン及び環式ビニルメチルシロキサン;分子鎖中にフェニル基を有するポリシロキサン、例えばポリジメチル−ジフェニルシロキサン共重合体、ポリジメチル−フェニルメチルシロキサン共重合体、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニル−ジフェニルシロキサン共重合体、ポリジメチルシロキサン−トリメチルシロキサン共重合体、ポリジメチル−テトラクロロフェニルシロキサン共重合体及びテトラフェニルジメチルシロキサン;分子鎖中にシアノアルキル基を有するポリシロキサン、例えばポリビス(シアノプロピル)シロキサン、ポリシアノプロピルメチルシロキサン、ポリシアノプロピル−ジメチルシロキサン共重合体及びポリシアノプロピルメチル−メチルフェニルシロキサン共重合体;分子鎖中に長鎖アルキル基を有するポリシロキサン、例えばポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルオクチルシロキサン、ポリメチルオクタデシルシロキサン、ポリメチルデシル−ジフェニルシロキサン共重合体及びポリメチルフェネチルシロキサン−メチルヘキシルシロキサン共重合体、分子鎖中にフルオロアルキル基を有するポリシロキサン、例えばポリメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン及びポリメチル−1,1,2,2−テトラヒドロフルオロオクチルシロキサン;分子鎖中に水素原子を有するポリシロキサン、例えば水素末端ポリジメチルシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン及びテトラメチルジシロキサン;ヘキサメチルジシロキサン;及びポリジメチルシロキサン−アルキレンオキシド共重合体が挙げられる。多くのポリシロキサンは、はっ水剤として市販され、例えばポリジメチルシロキサンを主成分とするSuper Rain X(供給者:Unelko)及び末端基を塩素原子で置換したポリジメチルシロキサンを主成分とするGlass Clad 6C(供給者:Petrarch Systems Inc.)がある。
【0016】
以上のポリシロキサンは、単独で又は組合せて使用してよい。他の好適なポリシロキサンは、USP 5,939,491に開示された有機ポリシロキサンである。この特許は、ここに援用した。USP 5,939,491の硬化剤は、ここに開示した疎水性表面処理組成物には必要ない。
【0017】
ここで有用な幾つかのシリコーン油の25℃での粘度は、約1〜約100,000cPの範囲である。他のシリコーン油は、この範囲外の粘度でもよい。幾つかの好ましい実施態様では、シリコーン油の粘度は、約2〜約50,000cPである。他の幾つかの好適なシリコーン油の25℃での粘度は、約5〜約10,000cPの範囲である。更に他の実施態様では、シリコーン油の粘度は、約25、約50、約100又は約500cPである。粘度が約1000、約2000、約5000又は約7500cPの油も好適である。
【0018】
好適なアルキルシランは、下記一般式:
SiX(4−a)
で表わされる。式中、Rは、炭素原子数3〜20の1価炭化水素基である。このような基の特定例は、プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、n−デシル基又は同様のアルキル基;シクロヘキシル基又は同様のシクロアルキル基である。式中のXは、加水分解性基、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又は同様のアルコキシ基である。しかし、Xは、フェノキシ基、ケトオキシム基又はイソプロペノキシ基であってもよい。式中、aは、1〜3の整数、好ましくは1である。以上のようなオルガノシランの例は、限定されるものではないが、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン及びシクロヘキシルメチルジメトキシシランである。この種のアルキルシランは、別々に、又は2種以上の混合物で使用してよい。
【0019】
シリコーン油は、一般に溶剤と混合する。溶剤は、シリコーン油と混和できることが好ましい。好適な溶剤としては、限定されるものではないが、アルキル又はアリール置換又は非置換のアルコール、エーテル、エステル、又は炭素原子数1〜40の炭化水素が挙げられる。幾つかの実施態様では、溶剤は水である。その他の溶剤は、約100°F〜約400°Fの範囲の沸点を有する。溶剤の沸点は、好ましくは約150°F〜約350°Fの範囲である。しかし、使用したシリコーン油と混和できるものであれば、いかなる溶剤も使用してよい。
溶剤として使用される幾つかの好適なアルコールとしては、限定されるものではないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はイソブタノールがある。他の幾つかの実施態様では、溶剤は、1−プロパノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、tert−ブチルアルコール、メチルブタノール、ジメチルブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、3−プロパノール、シクロヘキサノール、フェノール、tert−ブチルフェノール、2−エチルヘキサノール、2−エトキシエタノール、1−ドデカノール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0020】
幾つかの実施態様では、溶剤は、エチレングリコール誘導体、例えばエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル及びエチレングリコールアセテートモノエチルエーテル;ジエチレングリコール誘導体、例えばジエチレングリコール及びジエチレングリコールモノブチルエーテル;及びジアセトンアルコール等である。幾つかの実施態様では、溶剤は、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等であり、これら溶剤は組合せて使用してもよい。好適な一溶剤は、ARCOSOLV(登録商標)PTB,CAS No.57018−52−7として市販されている(モノ)プロピレングリコールtert−ブチルエーテルである。他の好適な一溶剤は、Lyondell Chemical Companyから市販のARCOSOLV(登録商標)PNPである。
【0021】
いずれの溶剤も使用してよいが、特定の実施態様は、溶剤としてミネラルスピリットを使用する。他の実施態様では、この炭化水素溶剤は、Exon Cemical Companyから得られるISOPAR(登録商標)溶剤のようなイソパラフィン溶剤である。
組成物の製造に使用される溶剤量は、変化できる。溶剤の使用量は、一般に組成物に対し約0.5重量%から約100重量%未満の範囲である。幾つかの実施態様では、溶剤は、組成物に対し約99.5重量%、約95重量%、約90重量%、約75重量%又は約50重量%含有する。他の実施態様では、溶剤は、組成物に対し約40重量%、約30重量%又は約20重量%含有する。更に他の実施態様では、溶剤は、組成物に対し約70〜約85重量%、又は約80〜約95重量%含有する。更に他の実施態様では、溶剤は、全組成物に対し多少のフラクションを含有してよい。
【0022】
補助溶剤を使用する実施態様では、補助溶剤は、いかなる都合のよい量で存在してもよい。所望ならば、補助溶剤は、任意に使用してよい。好適な補助溶剤としては、ここで溶剤として説明した化合物、即ち、アルキル又はアリール置換又は非置換のアルコール、エーテル、エステル、又は炭素原子数1〜40の炭化水素、及び水が挙げられるが、これらに限定されるものではない。通常、補助溶剤を用いた実施態様では、補助溶剤は、溶剤よりも少量、存在してよい。しかし、幾つかの実施態様では、補助溶剤は、溶剤よりも多量、存在してよい。幾つかの実施態様では、補助溶剤は、疎水性膜組成物に対し、0重量%より多く、約20重量%以下の範囲で含有する。他の実施態様では、補助溶剤は、疎水性膜組成物に対し、約1重量%より多く、約15重量%以下の範囲か、2重量%より多く、約10重量%以下の範囲で含有する。
【0023】
幾つかの実施態様では、触媒を使用してよい。触媒は、シリコーン油の官能基と基体上のヒドロキシル基との反応が周囲温度で起こり得るように、反応の活性化エネルギーを低下させることが好ましい。触媒は、化学的化合物であっても、或いは熱、又は組成物の他のいずれの成分の存在下でも触媒に反応を起こさせる1つ以上の光周波数のような物理現象であってもよい。通常、触媒は、シリコーン油としてポリシロキサン、特にアルコキシ置換ポリシロキサンを用いた実施態様で使用される。幾つかの実施態様では、触媒は、酸、又は有機酸の金属塩である。通常、好適な触媒は、pH約6.5未満の溶液として供給される。しかし、溶液のpHが、約5.0未満、約4.0未満又は約3.0未満でも酸の溶液は、使用できる。他の好適な酸溶液は、これよりも低いpHであってよい。他の実施態様では、酸は、溶液の形態でなくてもよい。幾つかの好ましい酸としては、限定されるものではないが、酢酸、硫酸、硝酸、燐酸及び塩酸が挙げられる。触媒が有機酸の金属塩である実施態様では、金属は、元素の周期表の第IIB、IIIB、IVB、IIIA及びIVA族のいずれかの元素であってよい。
【0024】
触媒の量は、通常、疎水性膜組成物に対し、0重量%より多く、約10重量%以下の範囲であるが、この範囲外の量も使用できる。触媒は、疎水性膜組成物に対し、0重量%より多く、約5重量%以下の範囲か、或いは疎水性膜組成物に対し、0.5重量%から、約1又は2重量%以下の範囲、含有することが好ましい。
前記成分の他、疎水性表面処理組成物は、当該技術分野で周知の、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、防かび剤及び殺菌剤、洗剤及び流れ調整剤のような任意成分を含有してもよい。
【0025】
前述のように、疎水性表面処理組成物は、幾つかの実施態様では、シリコーン油の官能基と縮合反応可能ないかなる外部硬化剤を実質的に又は全く含有しない。このような硬化剤としては、限定されるものではないが、アミノプラスト樹脂及びフェノプラスト樹脂並びにそれらの混合物、ポリイソシアネート及びブロックトポリイソシアネート、無水物、ポリエポキシド、ポリ酸、ポリオール、及びポリアミンが挙げられる。これら硬化剤は、USP 3,919,315、同3,919,351、同4,046,729、同4,681,811、同4,732,790、同4,798,746及び同5,468,802に更に詳細に記載されている。これらの特許は全て、ここに援用した。
【0026】
一般に以上の成分は、組成物の形成に、いかなる順序でも混合される。幾つかの実施態様では、混合すると、反応が起こる。しかし、他の場合、組成物は、これら成分の実質的に未反応の混合物を含有する。
混合後の疎水性表面処理組成物は、限定されるものではないが、ガラス、プラスチック、金属及び木のような表面に塗布できる。特定の実施態様では、疎水性表面処理組成物は、モーター駆動乗り物の風防のようなガラス又はプラスチック窓に塗布する。疎水性表面処理組成物は、表面に組成物を拭う(wipe)か又はスプレーする方法を含むいずれの好適な方法でも塗布してよい。シリコーン油の官能基と基体のヒドロキシル基又は加水分解性基との縮合反応により、疎水性表面処理組成物は、基体に結合する。表面に塗布後の組成物は、乾燥させ、これにより膜を形成する。幾つかの実施態様では、組成物は、基体上で大気条件で乾燥させる。他の実施態様では、表面塗布後の組成物の乾燥に、熱源を使用してもよい。幾つかの実施態様では、組成物の成分は、混合又は乾燥段階中、化学反応により変換する。他の実施態様では、組成物の成分は、混合又は乾燥段階中、実質的に未反応のままである。こうして、疎水性表面処理組成物の製造に初めに使用した成分は、組成物が処理表面上に存在するように、膜中に存在しても存在しなくてもよい。
【0027】
乾燥後、組成物は、表面上に透明な疎水性膜を形成する。処理表面の疎水性は、ASTM D5725−99に従って、表面上の水滴の接触角を測定することにより求められる。一般にこの測定には、試薬水が使用される。好適なストローク長さは、この膜組成物に依存し、ASTM D5725−99のProcedure Aに従って測定できる。一般に、ストローク長さは、約0.6mm〜約2mmが好適である。表面を2滴以上の液滴でテストする場合、個々の液滴は、少なくとも約2cm離す。幾つかの実施態様では、以上の組成物から形成した膜についての平均接触角は、約80°から、約105°を超えるまでの範囲である。幾つかの実施態様では、接触角は、約85°、90°、95°又は100°を超える。サンプルの平均値からの偏差は、一般に約10%である。大きい接触角は、一般に膜の疎水性向上を示す。
【0028】
表面に塗布した膜は、比較的高い耐摩耗性を有することが好ましい。膜は、通常の自動車用風防ワイパーによる繰り返し摩耗に耐えるのに十分な耐久性を有する。耐摩耗性は、10インチの移動に亘って一定速度で1分当り37.0±1サイクルで往復直線運動するAG−8100 Byk−Gardener Abrasion Testerを用いるASTM D−2486の変形により測定した。この摩耗テスト装置の駆動機構は、モーター駆動プーリーギアを駆動するギアヘッドモーターからなる。このギアの回転運動は、タイミングベルトを用いて、小ギア、チェーン駆動プーリーを駆動する。小ギアは、1組の、スプロケット及び連続ループ機構を駆動する。ケーブル対端部をチェーンの瞬間中心に取付け、チェーンの回転運動を往復直線運動に変形させる。ガラス基体は、サンプルホルダーに合わせるため、切断し、前述の組成物で処理した。普通の風防ワイパーブレードをこの装置に取付け、表面上のワイパー張力又は圧力 約1.5オンス/インチでガラスと接触させ、実際のワイパー操作をシミュレートする方法で操作した。操作時、ワイパーブレードの1回の往復運動を“ワイパーサイクル”とみなす。水滴の接触角は、摩耗テストの種々の段階で測定した。
【0029】
実施例
本発明の各種実施態様を説明するため、以下に実施例を示す。これらの実施例は、別に説明し、特許請求した本発明を制限することを意図しない。数値は全て、概略値である。数値範囲を示した場合は、特に指定しない限り、この範囲外の実施態様もなお本発明の範囲内であると理解すべきである。以下の実施例において、種々の組成物は、多くの方法によることを特徴とする。これら組成物の性能データも得られた。これら方法又はテストの殆どは、適用できれば、ASTM規格又は公知の方法に従って行った。
【実施例1】
【0030】
実施例1
25℃での粘度が約10cPのポリシロキサン約5.0重量%、エタノール約78重量%及びイソプロピルアルコール約16重量%を有する疎水性表面処理組成物を製造した。触媒として酢酸を約1.0重量%の量、添加した。この組成物をガラス表面に塗布した。この表面上の水滴の接触角は、95°であった。
【0031】
この組成物の耐摩耗性を前述の摩耗テスト法に従って測定した。図1に、接触角をワイパーサイクルの関数として示す。組成物は、表面上の水滴の接触角が60°未満に落ちる前に、少なくとも約1,000、約5,000又は約10,000のワイパーサイクルに耐えることが好ましい。幾つかの実施態様では、組成物は、ガラス表面上の水の接触角が、約15,000を超えるか、又は約20,000を超えるワイパーサイクルに耐えるのに十分な耐久性があり、その後、ガラス表面上の水の接触角が少なくとも約60°に留まる膜を形成する。他の実施態様では、液滴の接触角は、約65°、約70°、約75°に留まる。更に他の実施態様では、接触角は、約5,000、約10,000、約15,000、約20,000又はそれ以上のワイパーサイクル後、約80°、約85°又は約90°に留まる。
【実施例2】
【0032】
実施例2
25℃での粘度が約50cPのポリシロキサン約8.5重量%、エチレングリコールモノブチルエーテル約80.0重量%及び炭化水素溶剤(沸点〜260°F)約11.0重量%を有する疎水性表面処理組成物を製造した。触媒として硫酸を約0.5重量%の量、添加した。この組成物をガラス表面に塗布した。この表面上の水滴の接触角は、104°であった。
【実施例3】
【0033】
実施例3
25℃での粘度が約20cPのメトキシ官能化ポリシロキサン約2.0重量%、炭化水素溶剤(沸点〜320°F)約97.4重量%及び酢酸約0.6重量%を有する疎水性表面処理組成物を製造した。この組成物をガラス表面に塗布した。この表面上の水滴の接触角は、100°であった。
【実施例4】
【0034】
実施例4
パーフルオロアルキルトリクロロシラン約0.8重量%を、炭化水素溶剤(沸点〜300°F)約99.2重量%及びイソプロピルアルコール約16重量%と配合することにより、疎水性表面処理組成物を製造した。触媒として酢酸を約1.0重量%の量、添加した。この組成物をガラス表面に塗布した。この表面上の水滴の接触角は、103°であった。
【実施例5】
【0035】
実施例5
25℃での粘度が20cPで、油(fluid)1g当り塩基1.5当量有するアミノ官能化ポリジメチルシロキサン100gを1,2−エポキシテトラデカン32gと混合し、50℃で3日間反応させる。
【実施例6】
【0036】
実施例6
実施例5の組成物約1重量%をイソプロピルアルコール約93.9重量%、エチレングリコールモノブチルエーテル約5重量%及びオクタン酸第一錫約0.1重量%と配合することにより、疎水性表面処理組成物を製造した。次いで実施例5の疎水性組成物を透明ガラス板に塗布した。処理表面の水との接触角は、塗布3時間後に測定し、103°の値を得た。
【0037】
以上、説明した組成物は、いかに多数の物品の塗布にも好適な疎水性保護コーティングを形成するのに便利な供給源を提供する。しかも、この組成物は、塗布容易である。組成物は、エアゾール、又はその他の加圧又はポンプ式の容器により物品や表面に塗布できるが、このような複雑な塗布手段は必ずしも必要とはしない。他の幾つかの疎水性組成物とは異なり、ここで説明した組成物は、布又はその他の好適なアプリケーターで簡単に塗布できる。
【0038】
以上、本発明を小数の実施態様について説明したが、一実施態様の特定の特徴は、本発明の他の実施態様に起因させるべきではない。単一の実施態様が、本発明の全局面を示すものではない。幾つかの実施態様では、組成物は、ここでは述べていない多数の成分を含有してよい。他の実施態様では、組成物は、ここでは列挙しなかったいずれの化合物も含有しないか、或いは実質的に含まない。更に、これら組成物の変化や変形が存在する。例えば組成物及びこれから作った膜の1つ以上の特性を強化するため、種々の添加物を更に使用してもよい。組成物は、表面処理の使用に限られるものではなく、こうして、疎水性組成物から利益が得られるいかなる製品も作製できることも理解すべきである。したがって、組成物を内部に吸収した物品、或いは前述の組成物を取り入れるようにして作製される物品が予想される。ここでは、本発明方法は、1以上の工程を含むものとして説明したが、特に指定しない限り、これらの工程は、以下なる順序又は連続でも実施できると理解すべきである。これらの工程は、組合せても分離してもよい。最後に、ここに開示したいずれの数も“約”又は“ほぼ”の語句を使用したかどうかに関係なく、概略値を意味するものと解釈すべきである。付属の特許請求の範囲は、このような全ての変化及び変形が、本発明の範囲内にあるものとして、保護することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】接触角の、ワイパーサイクルの関数としてのグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.基体、及び
b.該基体の表面にコートした疎水性膜、
を有する処理物品であって、該膜は、
i.アルキルシラン、又は下記式:
【化1】


(但し、R及びRは、各々別個に水素、及び置換又は非置換で飽和又は不飽和の炭素原子数1〜40のアルキル又はアリール基よりなる群から選ばれ、R及びRの少なくとも1つは、ヒドロキシルと縮合反応可能な官能基を有し、nは0より大で、約150以下の範囲である)
で示されるポリシロキサン、
からなるシリコーン油と、
ii.溶剤
との混合物又は反応生成物を含む疎水性表面処理組成物から得られる該処理物品。
【請求項2】
a.表面にヒドロキシル基を付着させた基体の該表面に、
i.アルキルシラン、又は下記式:
【化2】


(但し、R及びRは、各々別個に水素、及び置換又は非置換で飽和又は不飽和の炭素原子数1〜40のアルキル又はアリール基よりなる群から選ばれ、R及びRの少なくとも1つは、ヒドロキシルと縮合反応可能な官能基を有し、nは0より大で、約150以下の範囲である)
で示されるポリシロキサン、
からなるシリコーン油と、
ii.溶剤
との混合物又は反応生成物を含む疎水性表面処理組成物を塗布する、
ことを特徴とする処理表面の作製方法。
【請求項3】
前記疎水性表面処理組成物が、外部硬化剤を実質的に含有しない請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記疎水性膜組成物が、更に補助溶剤を含有する請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記疎水性膜組成物が、更に触媒を含有する請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記疎水性膜組成物が、更に補助溶剤及び触媒を含有する請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒドロカルビル基が、メチル、エチル、プロピル、ビニルアルキル及びフェニル基よりなる群から選ばれる請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒドロカルビル基が、加水分解可能な官能基である請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記加水分解可能な官能基が、炭素原子数1〜40のアルコキシ基を含む請求項8に記載の処理物品又は方法。
【請求項10】
前記疎水性膜組成物が、更にエポキシド、イソシアネート、及びそれらの脂肪酸誘導体、(但し、Rはアミノ基を含む)、よりなる群から選ばれた化合物を含む請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒドロカルビル基が、弗化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物よりなる群から選ばれたハロゲン化物で置換される請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記溶剤が、アルキル又はアリール置換又は非置換のアルコール、エーテル、エステル、又は炭素原子数1〜40の炭化水素、及び水であり、含む請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記補助溶剤が、アルキル又はアリール置換又は非置換のアルコール、エーテル、エステル、又は炭素原子数1〜40の炭化水素、及び水よりなる群から選ばれる請求項4に記載の処理物品又は方法。
【請求項14】
前記補助溶剤が、アルキル又はアリール置換又は非置換のアルコール、エーテル、エステル、又は炭素原子数1〜40の炭化水素、及び水よりなる群から選ばれる請求項6に記載の処理物品又は方法。
【請求項15】
前記触媒が、酸、又は有機酸の金属塩である請求項5に記載の処理物品又は方法。
【請求項16】
前記触媒が、酸、又は有機酸の金属塩である請求項6に記載の処理物品又は方法。
【請求項17】
前記酸が、酢酸、硫酸、硝酸、燐酸及び塩酸よりなる群から選ばれる請求項15に記載の処理物品又は方法。
【請求項18】
前記酸が、酢酸、硫酸、硝酸、燐酸及び塩酸よりなる群から選ばれる請求項16に記載の処理物品又は方法。
【請求項19】
前記金属が、元素の周期表の第IIB、IIIB、IVB、IIIA及びIVA族のいずれかの元素から選ばれる請求項15に記載の処理物品又は方法。
【請求項20】
前記金属が、元素の周期表の第IIB、IIIB、IVB、IIIA及びIVA族のいずれかの元素から選ばれる請求項16に記載の処理物品又は方法。
【請求項21】
前記処理表面の接触角が、約80°から、約105°を超えるまでの範囲である請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記処理表面の接触角が、約85°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記処理表面の接触角が、約90°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記処理表面の接触角が、約95°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記基体が、ガラス、金属、木及び重合体よりなる群から選ばれる請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項26】
乾燥が、周囲温度での蒸発により行われる請求項2に記載の方法。
【請求項27】
乾燥が、加熱により行われる請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記処理表面の接触角が、約1,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記処理表面の接触角が、約5,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記処理表面の接触角が、約10,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項31】
前記処理表面の接触角が、約15,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項32】
前記処理表面の接触角が、約20,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.基体、及び
b.該基体の表面にコートした疎水性膜、
を有する処理物品であって、該膜は、
iiiパーフルオロアルキルトリクロロシラン、又は下記式:
【化1】


(但し、R及びRは、各々別個に水素、及び置換又は非置換で飽和又は不飽和の炭素原子数1〜40のアルキル又はアリール基よりなる群から選ばれ、R及びRの少なくとも1つは、ヒドロキシルと縮合反応可能な官能基を有し、nは0より大で、約150以下の範囲である)
で示されるポリシロキサン、
からなるシリコーン油と、
iv.溶剤
との混合物又は反応生成物を含む疎水性表面処理組成物から得られる該処理物品。
【請求項2】
a.表面にヒドロキシル基を付着させた基体の該表面に、
iiiパーフルオロアルキルトリクロロシラン、又は下記式:
【化2】


(但し、R及びRは、各々別個に水素、及び置換又は非置換で飽和又は不飽和の炭素原子数1〜40のアルキル又はアリール基よりなる群から選ばれ、R及びRの少なくとも1つは、ヒドロキシルと縮合反応可能な官能基を有し、nは0より大で、約150以下の範囲である)
で示されるポリシロキサン、
からなるシリコーン油と、
iv.溶剤
との混合物又は反応生成物を含む疎水性表面処理組成物を塗布する、
ことを特徴とする処理表面の作製方法。
【請求項3】
前記疎水性表面処理組成物が、外部硬化剤を実質的に含有しない請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記疎水性膜組成物が、更に補助溶剤を含有する請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記疎水性膜組成物が、更に触媒を含有する請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記疎水性膜組成物が、更に補助溶剤及び触媒を含有する請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒドロカルビル基が、メチル、エチル、プロピル、ビニルアルキル及びフェニル基よりなる群から選ばれる請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒドロカルビル基が、加水分解可能な官能基である請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記加水分解可能な官能基が、炭素原子数1〜40のアルコキシ基を含む請求項8に記載の物品又は方法。
【請求項10】
前記疎水性膜組成物が、更にエポキシド、イソシアネート、及びそれらの脂肪酸誘導体、(但し、Rはアミノ基を含む)、よりなる群から選ばれた化合物を含む請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒドロカルビル基が、弗化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物よりなる群から選ばれたハロゲン化物で置換される請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記溶剤が、アルキル又はアリール置換又は非置換のアルコール、エーテル、エステル、又は炭素原子数1〜40の炭化水素、及び水含む請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記補助溶剤が、アルキル又はアリール置換又は非置換のアルコール、エーテル、エステル、又は炭素原子数1〜40の炭化水素、及び水よりなる群から選ばれる請求項4に記載の処理物品又は方法。
【請求項14】
前記補助溶剤が、アルキル又はアリール置換又は非置換のアルコール、エーテル、エステル、又は炭素原子数1〜40の炭化水素、及び水よりなる群から選ばれる請求項6に記載の処理物品又は方法。
【請求項15】
前記触媒が、酸、又は有機酸の金属塩である請求項5に記載の処理物品又は方法。
【請求項16】
前記触媒が、酸、又は有機酸の金属塩である請求項6に記載の処理物品又は方法。
【請求項17】
前記酸が、酢酸、硫酸、硝酸、燐酸及び塩酸よりなる群から選ばれる請求項15に記載の処理物品又は方法。
【請求項18】
前記酸が、酢酸、硫酸、硝酸、燐酸及び塩酸よりなる群から選ばれる請求項16に記載の処理物品又は方法。
【請求項19】
前記金属が、元素の周期表の第IIB、IIIB、IVB、IIIA及びIVA族のいずれかの元素から選ばれる請求項15に記載の処理物品又は方法。
【請求項20】
前記金属が、元素の周期表の第IIB、IIIB、IVB、IIIA及びIVA族のいずれかの元素から選ばれる請求項16に記載の処理物品又は方法。
【請求項21】
前記処理表面の接触角が、約80°から、約105°を超えるまでの範囲である請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記処理表面の接触角が、約85°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記処理表面の接触角が、約90°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記処理表面の接触角が、約95°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記基体が、ガラス、金属、木及び重合体よりなる群から選ばれる請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項26】
乾燥が、周囲温度での蒸発により行われる請求項2に記載の方法。
【請求項27】
乾燥が、加熱により行われる請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記処理表面の接触角が、約1,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記処理表面の接触角が、約5,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記処理表面の接触角が、約10,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項31】
前記処理表面の接触角が、約15,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項32】
前記処理表面の接触角が、約20,000を超えるワイパーサイクル後、約60°を超える請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。
【請求項33】
の少なくとも1つが、アミノ官能化ヒドロカルビル基である請求項1に記載の処理物品又は請求項2に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−502837(P2006−502837A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−523244(P2004−523244)
【出願日】平成15年7月23日(2003.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/022806
【国際公開番号】WO2004/009505
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】