説明

病状に起因する性的機能不全の治療方法

本発明は、治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる性的機能不全の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関係する出願)
本出願は、2005年5月19日に出願した米国仮出願第60/682758号の優先権を主張し、その内容を参照により完全に取り込むものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる性的機能不全の治療方法に関する。
【0003】
(本発明の説明)
いくつかの病状、例えば糖尿病及び高血圧症(P. Zemel, American journal of cardiology 61 (16): 27H-33H, 1988)、てんかん(L.Long, Epilepsy & behavior 6 (1): 90-93, 2005)、HIV((D. Richardson, HIV Med. 5, Suppl. 2: 21-24, 2004; E. Florence, AIDS care 16 (5): 550-557, 2004)、うつ病、パーキンソン病等は、非常に多くの場合、性的機能不全を伴う。
化合物1−[2−(4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−2−オン(フリバンセリン)は、欧州特許出願EP-A-526434にそのハイドロクロライドの形態で開示され、以下の化学構造を有する:
【化1】

【0004】
フリバンセリンは、5-HT1A及び5-HT2-受容体に対する親和性を示す。従って、フリバンセリンは、種々の病気、例えばうつ病、統合失調症及び不安の治療に対する有望な治療薬である。
任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にその水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよいフリバンセリンは、病状により起こる性的機能不全の治療において使用できる。
従って、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの前記患者に対する投与を含む、病状に起因する性的機能不全の治療方法を対象とする。
【0005】
本明細書で使用するものとして、用語“性的機能不全”は、the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition, (DSM-IV), Washington DC, American Psychiatric Association, 1996に従う医学的症状を意味し、そこに列挙された性的機能不全の特徴、種類、疾患及びサブタイプを含む。
性的機能不全の医学的症状は、the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition, (DSM-IV), Washington DC, American Psychiatric Association, 1996 において明確に記載される(参照により本明細書に取り込む)。該医学的症状は、性的欲求障害、例えば性的欲求低下障害及び性嫌悪障害;性的刺激障害、例えば女性の性的刺激障害及び男性の勃起障害;オルガスムス障害、例えば女性のオルガスムス障害(かつては、阻害された女性のオルガスムス)、男性のオルガスムス障害(かつては、阻害された男性のオルガスムス)及び早漏;性的な痛みの障害、例えば性交疼痛症、非性交の性的な痛みの障害(noncoital sexual pain disorder)及び膣痙を含む。病状に起因する性的機能不全は、DSM-IVにも含まれる。
【0006】
本発明における用語“病状に起因する性的機能不全”は以下を意味する;a)性的欲求障害、例えば女性の性的欲求低下障害、男性の性的欲求低下障害、女性の性嫌悪障害及び男性の性嫌悪障害、これらの全ては病状により起こる、b)性的刺激障害、例えば女性の性的刺激障害及び男性の勃起障害、これらの全ては病状により起こる、c)オルガスムス障害、例えば女性のオルガスムス障害(かつては、阻害された女性のオルガスムス)、男性のオルガスムス障害(かつては、阻害された男性のオルガスムス)及び早漏、これらの全ては病状により起こる、加えてd)性的な痛みの障害、例えば性交疼痛症、非性交の性的な痛みの障害及び膣痙、これらの全ては病状により起こる。
フリバンセリンの有益な効果が、該治療を必要とする患者の性別にかかわらず観察できる。
【0007】
従って、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる性的機能不全の治療方法に関する。
好ましい態様において、本発明は、病状により起こる性的欲求障害、病状により起こる性的刺激障害、病状により起こるオルガスムス障害及び病状により起こる性的な痛みの障害から成る群より選択される、病状により起こる性的機能不全の治療方法に関する。
より好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる女性の性的欲求低下障害(HSDD)、病状により起こる男性の性的欲求低下障害、病状により起こる女性の性嫌悪障害及び病状により起こる男性の性嫌悪障害から成る群より選択される、病状により起こる性的欲求障害の治療方法に関する。
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる女性の性的欲求低下障害の治療方法に関する。
【0008】
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる男性の性的欲求低下障害の治療方法に関する。
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる女性の性嫌悪障害の治療方法に関する。
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる男性の性嫌悪障害の治療方法に関する。
他のより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる女性の性的刺激障害及び病状により起こる男性の勃起障害の治療方法に関する。
【0009】
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる女性の性的刺激障害の治療方法に関する。
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる男性の勃起障害の治療方法に関する。
他のより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる女性のオルガスムス障害、病状により起こる男性のオルガスムス障害及び病状により起こる男性の早漏の治療方法に関する。
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる女性のオルガスムス障害の治療方法に関する。
【0010】
さらにより好ましくは、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる男性のオルガスムス障害の治療方法に関する。
より好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる、男性の早漏の治療方法に関する。
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる性交疼痛症、病状により起こる非性交の性的な痛みの障害及び病状により起こる膣痙から成る群より選択される、病状により起こる性的な痛みの障害の治療方法に関する。
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる性交疼痛症の治療方法に関する。
【0011】
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる非性交の性的な痛みの障害の治療方法に関する。
さらにより好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる膣痙の治療方法に関する。
特に好ましい態様において、本発明は、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる女性の性的欲求低下障害の治療方法に関する。
本発明の他の態様は、前記機能不全の治療に対する薬物の調製のための、任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩及び/又は任意にそれらの水和物及び/又は溶媒和物の形態であってもよいフリバンセリンの使用に関する。
【0012】
他の好ましい態様において、本発明は、前記機能不全が、アンドロゲン機能不全、アドレーンアレクトミー(adrenealectomy)、関節炎、慢性疲労、冠状動脈性心臓病、うつ病、糖尿病(タイプI及びII)、てんかん、HIV−感染、高プラクチン血症、性腺機能低下症、下垂体機能低下症、子宮切除、直腸切除、良性前立腺肥大症により起こる下部尿路症状(LUTS)、過活動膀胱、腹圧性尿失禁、膣前庭炎、間質性膀胱炎、多発性硬化症、卵巣摘除術、パーキンソン病、閉経前後の状態、閉経後の状態、分娩後の状態、前立腺摘除術、子宮頸ガンの放射線治療、統合失調症、脊髄損傷、脳梗塞、尿毒症、不安障害、身体化障害、不眠症、慢性疼痛症候群、下肢静止不能症候群、睡眠時無呼吸、慢性の形態の肝炎、過敏性腸症候群、リンパ腫及び白血病を含む全ての形態のガン;骨髄線維症及び全ての形態の貧血症及び全身の身体障害を伴う季節性アレルギーから成る群より選択される病状により起こる機能不全の治療方法に関する。
好ましい態様において、本発明は、機能不全がアンドロゲン機能不全により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
好ましい態様において、本発明は、機能不全がアドレーンアレクトミーにより起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
【0013】
好ましい態様において、本発明は、機能不全が関節炎により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
好ましい態様において、本発明は、機能不全が慢性疲労により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
好ましい態様において、本発明は、機能不全が冠動脈性心臓病により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
好ましい態様において、本発明は、機能不全がうつ病により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が糖尿病(タイプI及びII)により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全がてんかんにより起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
【0014】
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全がHIV−感染により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が高プラクチン血症により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が汗腺機能低下症により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が下垂体機能低下症により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が子宮切除により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が直腸切除により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が良性前立腺肥大症により起こる下部尿路症状(LUTS)により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
【0015】
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が過活動膀胱により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が腹圧性尿失禁により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が膣前庭炎により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が間質性膀胱炎により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が多発性硬化症により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が卵巣摘除術により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
【0016】
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全がパーキンソン病により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が閉経前後の状態により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が閉経後の状態により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が分娩後の状態により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が前立腺摘除術により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が子宮頸ガンの放射線治療により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
【0017】
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が統合失調症により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が脊髄損傷により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が脳梗塞により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が尿毒症により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が不安障害により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が身体化障害により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
【0018】
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が不眠症により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が慢性疼痛症候群により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が下肢静止不能症候群により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が睡眠時無呼吸により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が慢性の形態の肝炎により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が過敏性腸症候群により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
【0019】
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全がリンパ腫及び白血病を含む全ての形態のガンにより起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が骨髄線維症及び全ての形態の貧血症により起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、機能不全が全身の身体障害を伴う季節性アレルギーにより起こる、前記機能不全の治療方法に関する。
既に前に述べたように、フリバンセリンは遊離塩基の形態、任意に医薬品として許容される酸付加塩の形態及び/又は任意にその水和物及び/又は溶媒和物の形態で使用しても良い。適切な酸付加塩は、例えば、コハク酸、臭化水素酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、酒石酸及びクエン酸から選択される酸の塩を含む。前記酸付加塩の混合物も使用して良い。前記酸付加塩から、塩酸及び臭化水素酸、特に塩酸塩が好ましい。フリバンセリンを遊離塩基の形態で使用する場合、フリバンセリンは、WO03/014079に開示されるように、フリバンセリン多形体A(flibanserin polymorph A)の形体で好ましく使用される。
【0020】
任意にその医薬品として許容される酸付加塩の形態及び/又は任意にその水和物及び/又は溶媒和物の形態で、又はフリバンセリン多形体Aの形態で使用されてもよいフリバンセリンを、固形物、液体又はスプレー形態で、通常の医薬品中に取り込んで良い。例えば、該組成物は、経口、直腸、非経口の投与のため又は鼻孔吸入のために適切な形態で存在して良い;好ましい形態は、例えばカプセル、錠剤、被覆錠剤、アンプル、坐剤及びスプレー式点鼻薬を含む。
活性成分を、医薬品組成物で通常使用する賦形剤又はキャリアー、例えばタルク、アラビアゴム、ラクトース、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、水性又は非水性のビヒクル、ポリビニルピロリドン、脂肪酸の半合成のグリセリド、塩化ベンザルコニウム、ナトリウムホスフェート、EDTA、ポリソルベート80中に取り込んで良い。該組成物は、投与単位で有利に調合され、各投与単位を適応させて、活性成分の1回投与を提供する。1日当たりに許容されるフリバンセリンの投与範囲は、0.1〜400、好ましくは1.0〜300、より好ましくは2〜200mgである。各投与単位は、通常は、0.01mg〜100mg、好ましくは0.1〜50mg含んでも良い。
【0021】
適切な錠剤は、例えば、該活性成分(群)を、公知の賦形剤、例えば不活性希釈剤、例えばカルシウムカーボネート、カルシウムホスフェート又はラクトース、錠剤分解物質、例えばトウモロコシデンプン又はアルギン酸、結合剤、例えばデンプン又はゼラチン、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク、及び/又は遅延放出のための薬剤、例えばカルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、又はポリビニルアセテートと混合することにより得ても良い。該錠剤は、いくつかの層を含んでも良い。
被覆錠剤は、錠剤をコーティングするために通常用いられる物質、例えばコリドン又はシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖を用いて、錠剤と同じように製造したコアをコーティングすることにより調製して良い。遅延放出を達成するため又は不適合を防ぐために、該コアは、複数の層から成っても良い。同様に、該錠剤コーティングは、複数の層から成って、場合により錠剤に対して上記賦形剤を用いて、遅延放出を達成してもよい。
【0022】
本発明の活性物質又はそれらの組み合わせを含むシロップ又はエリキシルは、付加的に、甘味料、例えばサッカリン、チクロ、グリセロール又は糖、及び調味料、例えばバニリン又はオレンジエキスを含んでも良い。これらは、懸濁補助又はシックナー、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、濡れ剤、例えばエチレンオキシドと脂肪族アルコールの縮合生成物、又は防腐剤、例えばp−ヒドロキシベンゾエートを含んでも良い。
注射のための溶液は、通常の方法、例えば防腐剤、例えばp−ヒドロキシベンゾエート、又は安定化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩を用いて調製し、注射バイアル又はアンプルに移す。
1以上の活性物質又は活性物質の組み合わせを含むカプセルは、例えば、該活性物質を不活性なキャリアー、例えばラクトース又はソルビトールと混合し、それらをゼラチンカプセルに充填することにより調製しても良い。
適切な坐剤は、例えば、この目的で提供されるキャリアー、例えば天然脂肪又はポリエチレングリコール又はこれらの誘導体と混合することにより調製しても良い。
【0023】
以下の例は、本発明の範囲を制限することなく本発明を説明する:
医薬品調合物の例
A) 錠剤 錠剤当たり
フリバンセリンハイドロクロライド 100mg
ラクトース 240mg
トウモロコシデンプン 340mg
ポリビニルピロリドン 45mg
ステアリン酸マグネシウム 15mg
____
740mg
細かく粉砕した活性物質、ラクトース及びいくらかのトウモロコシデンプンを共に混合する。該混合物をふるいにかけ、次いでポリビニルピロリドンの水溶液で湿らせ、練り、湿式造粒し次いで乾燥する。該粒、残りのトウモロコシデンプン及びステアリン酸マグネシウムをふるいにかけ、次いで共に混合する。該混合物を圧縮し、適切な形状及びサイズの錠剤を製造する。
【0024】
B) 錠剤 錠剤当たり
フリバンセリンハイドロクロライド 80mg
トウモロコシデンプン 190mg
ラクトース 55mg
微結晶セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 23mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
____
400mg
細かく粉砕した活性物質、いくらかのトウモロコシデンプン、ラクトース、微結晶セルロース及びポリビニルピロリドンを共に混合し、該混合物をふるいにかけ、残りのトウモロコシデンプン及び水と共に操作して、粒を形成し、該粒を乾燥してふるいにかける。ナトリウムカルボキシメチルデンプン及びステアリン酸マグネシウムを添加し、混合し、次いで該混合物を圧縮して、適切なサイズの錠剤を形成する。
【0025】
C) 被覆錠剤 被覆錠剤当たり
フリバンセリンハイドロクロライド 5mg
トウモロコシデンプン 41.5mg
ラクトース 30mg
ポリビニルピロリドン 3mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
_____
80mg
活性物質、トウモロコシデンプン、ラクトース及びポリビニルピロリドンを完全に混合し、水で湿らせる。該湿った塊を、1mmメッシュサイズのふるいに押し通して、約45℃で乾燥し、次いで該粒を同じスクリーンに押し通す。ステアリン酸マグネシウムを混合した後、6mmの直径を有する凸状の錠剤コアを、打錠機で圧縮する。次いで、製造した該錠剤コアを、本質的に糖及びタルクから成る被覆材を用いて、公知の方法で被覆する。出来上がった被覆錠剤を、ワックスを用いてつや出しする。
【0026】
D) カプセル カプセル当たり
フリバンセリンハイドロクロライド 150mg
トウモロコシデンプン 268.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
_____
420mg
該物質及びトウモロコシデンプンを混合し、水で湿らせる。該湿った塊をふるいにかけ、乾燥する。該乾燥した粒をふるいにかけ、ステアリン酸マグネシウムと混合する。出来上がった混合物を、サイズ1硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0027】
E) アンプル溶液
フリバンセリンハイドロクロライド 50mg
塩化ナトリウム 50mg
注射のための水 5ml
該活性物質を、それ自身のpH又は任意でpH5.5〜6.5で水に溶解し、次いで塩化ナトリウムを添加して等張にする。該得られた溶液を、濾過してピロゲンを除き、次いで該濾液を無菌状態下でアンプルに移し、次いで滅菌して、溶融により密封する。
【0028】
F) 坐剤
フリバンセリンハイドロクロライド 50mg
固形脂肪 1650mg
____
1700mg
固い脂肪を溶融する。40℃で、粉砕した活性物質を均一に分散する。これを38℃まで冷却し、わずかに冷やした坐剤の型に注ぐ。
【0029】
本発明の特に好ましい態様において、フリバンセリンは、特定のフィルムコートされた錠剤の形態で投与される。これら好ましい調合物の例を、以下に列挙する。以下に列挙するフィルムコート錠剤は、本技術で公知の方法に従って製造できる(ここではWO03/097058を参照されたい)。
G)フィルムコート錠剤
コア
【表1】







コーティング



【0030】
H)フィルムコート錠剤
コア
【表2】

コーティング












【0031】
I) フィルムコート錠剤
コア
【表3】

コーティング



【0032】
J) フィルムコート錠剤
コア
【表4】








コーティング



【0033】
K)フィルムコート錠剤
コア
【表5】

コーティング











【0034】
L) フィルムコート錠剤
コア
【表6】

コーティング




【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意に遊離塩基、医薬品として許容される酸付加塩、水和物又はその溶媒和物の形態であってもよい治療効量のフリバンセリンの投与を含む、病状により起こる性的機能不全の治療方法。
【請求項2】
病状により起こる性的欲求障害、病状により起こる性的刺激障害、病状により起こるオルガスムス障害及び病状により起こる性的な痛みの障害から成る群より選択される、病状により起こる性的機能不全の治療のための、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
性的機能不全が、病状により起こる性的欲求障害である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
性的機能不全が、病状により起こる性的刺激障害である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
性的機能不全が、病状により起こるオルガスムス障害である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
性的機能不全が、病状により起こる性的な痛みの障害である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
性的機能不全が、アンドロゲン機能不全、アドレーンアレクトミー、関節炎、慢性疲労、冠状動脈性心臓病、うつ病、糖尿病(タイプI及びII)、てんかん、HIV−感染、高プラクチン血症、性腺機能低下症、下垂体機能低下症、子宮切除、直腸切除、良性前立腺肥大症により起こる下部尿路障害(LUTS)、過活動膀胱、腹圧性尿失禁、膣前庭炎、間質性膀胱炎、多発性硬化症、卵巣摘除術、パーキンソン病、閉経前後の状態、閉経後の状態、分娩後の状態、前立腺摘除術、子宮頸ガンの放射線治療、統合失調症、脊髄損傷、脳梗塞、尿毒症、不安障害、身体化障害、不眠症、慢性疼痛症候群、下肢静止不能症候群、睡眠時無呼吸、慢性型の肝炎、過敏性腸症候群、リンパ腫及び白血病を含む全ての型のガン;骨髄線維症及び全ての形態の貧血症及び全身の身体障害を伴う季節性アレルギーから成る群より選択される病状により起こる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
フリバンセリンが、コハク酸、臭化水素酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、酒石酸、クエン酸及びこれらの混合物から選択される酸により形成された塩から選択される医薬品として許容される酸付加塩の形態で適用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
フリバンセリンが、フリバンセリン多形体Aの形態で適用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2008−540672(P2008−540672A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512486(P2008−512486)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/019154
【国際公開番号】WO2006/125041
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】