説明

瘻孔カテーテル

【課題】消化管壁に対する侵襲の少ない体内固定部Bを備えた瘻孔カテーテルを得る。
【解決手段】カテーテル部Aと体内固定部Bとを有する瘻孔カテーテル1において、体内固定部Bは、内チューブ10と、内チューブ10の外側に設けられた外チューブ20とを備え、内チューブ10、外チューブ20は、チューブ壁を周方向に複数に分割して形成されたベルト12、ベルト22により構成され、径方向外側に向かって延びる部分を有する翼部13、翼部23を有しており、内チューブ10の翼部13と外チューブ20の翼部23は、軸方向に対応する位置に設けられているとともに、周方向に沿って互い違いに配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の消化管内に流動食や栄養剤等の流体物を供給するために用いられる瘻孔カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢や疾病により自力で口から食べ物を摂取する機能が低下した人(以下、患者と記す。)に対して、瘻孔カテーテルを用いて流動食や栄養剤等を供給する経腸栄養投与が行われている。経腸栄養投与においては、患者の腹部に瘻孔(胃瘻)を造設し、この瘻孔に瘻孔カテーテルを装着し、瘻孔カテーテルを通じて患者に流動食等を供給する。
【0003】
このような経腸栄養投与に用いられる瘻孔カテーテルは、体内側に設置される体内固定部の形状によって、いわゆるバルーン型とバンパー型とに大別できる。
バンパー型の体内固定部として、チューブの外周に形成された複数のスリットにより翼部を形成し、この翼部が伸長/圧潰されることにより体内固定部が形成されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−541842号公報(第6頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の体内固定部は、圧潰されたときに翼部が折れ曲がって放射状に花弁のように広がることで、チューブの直径よりも大きい直径を有する部分(バンパー)を形成している。そして、このバンパーにより、瘻孔カテーテルを胃壁などの消化管壁内に固定するよう構成されている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の瘻孔カテーテルは、その翼部と翼部との間に大きな隙間がある。このため、体表側から瘻孔カテーテルが引っ張られた場合には、各翼部の長辺が消化管壁に食い込み、消化管壁に潰瘍を発生させたりいわゆるバンパー埋没症候群を発症させたりするおそれがあった。
【0007】
翼部と翼部との隙間は、翼部の幅を小さくする(すなわち、チューブに形成されるスリットの本数を増加させる)ことで、小さくすることは可能である。このようにすると、翼部と翼部との隙間が大きい場合よりも、翼部が消化管壁に食い込みにくくなることも想定される。しかしながら、翼部の幅が小さいために消化管壁に対する抵抗が少なくなり、例えば体表側から引っ張られたときに、容易に翼部が伸長して瘻孔カテーテルが瘻孔から抜けてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、消化管壁に対する侵襲の少ない体内固定部を備えた瘻孔カテーテルを提供するものである。また、体表側から引っ張られた場合でも固定状態が解除されにくい体内固定部を備えた瘻孔カテーテルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る瘻孔カテーテルは、カテーテル部と、カテーテル部の遠位端側に形成され、消化管壁内に留置される体内固定部とを有する瘻孔カテーテルにおいて、体内固定部は、内チューブと、内チューブの外側に設けられた外チューブとを備え、内チューブ及び外チューブは、チューブ壁を周方向に複数に分割して形成されたベルトにより構成され、径方向外側に向かって延びる部分を有する翼部を有しており、内チューブの翼部と外チューブの翼部は、軸方向に対応する位置に設けられているとともに、周方向に沿って互い違いに配置されているものである。
【0010】
本発明に係る瘻孔カテーテルの外チューブ及び内チューブの翼部は、ベルトの遠位端側と近位端側とを軸方向に近づけることでベルトの少なくとも一部が屈曲あるいは湾曲して構成されているものである。
【0011】
本発明に係る瘻孔カテーテルの外チューブ及び内チューブは、その近位端と遠位端とを離すように伸展させることでほぼまっすぐの状態となり、伸展状態を解除すると遠位端と近位端とが近づいて、径方向外側に向かって延びる部分が形成されるよう変形可能に成形されているものである。
【0012】
本発明に係る瘻孔カテーテルの外チューブ及び内チューブの翼部は、軸方向に遠位端側あるいは近位端側に向かって湾曲する湾曲部を有するものである。
【0013】
本発明に係る瘻孔カテーテルの内チューブは、外チューブよりも近位端側に長く、かつ、瘻孔に留置された状態において内チューブの近位端が体表側に突出する長さに構成されているものである。
【0014】
本発明に係る瘻孔カテーテルの外チューブは、内チューブよりも近位端側に長く、かつ、瘻孔に留置された状態において外チューブの近位端が体表側に突出する長さに構成されているものである。
【0015】
本発明に係る瘻孔カテーテルは、内チューブ内に挿入され、内チューブの翼部より近位端側の位置における内チューブの内周面に軸方向に移動可能に固定される固定部と、内チューブのスリット又は切れ目の遠位端側端部よりも遠位端側の位置において内チューブの内周面に固着される固着部と、を有する内筒を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る瘻孔カテーテルは、内チューブ又は外チューブの翼部と翼部との隙間に、他方の翼部の少なくとも一部が位置するように、内チューブの翼部と外チューブの翼部とが周方向に沿って互い違いに配置した。このため、消化管壁に接する隙間の面積が小さくなり、翼部が消化管壁に食い込みにくくなって、患者への侵襲を抑制できる。また、体表側から瘻孔カテーテルが引っ張られた場合でも、外チューブの翼部が閉じようとするのを内チューブの翼部が抑制し、瘻孔から瘻孔カテーテルが抜けにくい。
【0017】
本発明に係る瘻孔カテーテルの外チューブ及び内チューブの翼部は、ベルトの遠位端側と近位端側とを軸方向に近づけることでベルトの少なくとも一部が屈曲あるいは湾曲して構成されている。チューブの一部を屈曲あるいは湾曲させるという比較的単純な構造であり、部品点数も少ないことから製造コストの小さい瘻孔カテーテルを得ることができる。
【0018】
本発明に係る瘻孔カテーテルは、伸展させるだけでほぼまっすぐの状態となるので、この状態で瘻孔への挿入/抜去が行える。ほぼまっすぐの状態となるので挿入/抜去時の抵抗が低くなり、瘻孔を傷つけるリスクを低減できる。また、伸展/伸展の解除により、瘻孔カテーテルの挿入/抜去と留置とが行えるので、手技が簡便であり、術者の負担を軽減できる。
【0019】
本発明に係る瘻孔カテーテルの外チューブ及び内チューブの翼部は、軸方向に遠位端側あるいは近位端側に向かって湾曲する湾曲部を有している。このため、瘻孔カテーテルを瘻孔に留置した状態では、翼部の湾曲部を中心に消化管壁に当接するので消化管壁に対する当たりがやわらかくなり、より消化管壁への侵襲を低減できる。
【0020】
本発明に係る瘻孔カテーテルの内チューブは、外チューブよりも近位端側に長く、かつ、瘻孔に留置された状態において内チューブの近位端が体表側に突出する長さに構成されている。このため、仮に体表側に突出している内チューブが引っ張られたとしても、消化管壁内においてこれよりも径の大きい外チューブの翼部が抜け止めとなり、瘻孔から瘻孔カテーテルが抜けにくい。
【0021】
本発明に係る瘻孔カテーテルの外チューブは、内チューブよりも近位端側に長く、かつ、瘻孔に留置された状態において外チューブの近位端が体表側に突出する長さに構成されている。このため、瘻孔カテーテルの外表面に内チューブの外径差による段差がなく、瘻孔への挿入/抜去時の抵抗を低減でき、瘻孔への侵襲リスクを低減できる。
【0022】
本発明に係る瘻孔カテーテルは、内筒が、翼部の近位端側及び遠位端側における内チューブの内周面に固定されるので、内チューブの翼部の屈曲状態の保持が強化され、瘻孔から抜けにくい瘻孔カテーテルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態1に係る瘻孔カテーテルの斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る瘻孔カテーテルの側面図である。
【図3】実施の形態1に係る瘻孔カテーテルの平面図である。
【図4】実施の形態1に係る瘻孔カテーテルの底面図である。
【図5】実施の形態1に係る瘻孔カテーテルの内チューブの側面模式図である。
【図6】実施の形態1に係る瘻孔カテーテルの伸展状態を示す側面模式図である。
【図7】実施の形態1に係る瘻孔カテーテルの伸展状態における要部の断面模式図である。
【図8】図6のA−A矢視断面模式図である。
【図9】実施の形態1に係る瘻孔カテーテルの挿入/抜去動作を説明する図である。
【図10】実施の形態1に係る瘻孔カテーテルの留置状態を説明する図である。
【図11】実施の形態2に係る瘻孔カテーテルの要部模式図である。
【図12】実施の形態2に係る瘻孔カテーテルの動作を説明する断面模式図である。
【図13】実施の形態3に係る瘻孔カテーテルの斜視図である。
【図14】実施の形態1〜3に係る瘻孔カテーテルの変形例を説明する図である。
【図15】実施の形態1〜3に係る瘻孔カテーテルの変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る瘻孔カテーテル1の斜視図、図2は同じく瘻孔カテーテル1の側面図、図3は同じく瘻孔カテーテル1の平面図、図4は同じく瘻孔カテーテル1の底面図である。また、図5は、実施の形態1に係る瘻孔カテーテル1の内チューブ10の側面図である。また、図6は実施の形態1に係る瘻孔カテーテル1の伸展状態を示す側面模式図、図7は同じく瘻孔カテーテル1の伸展状態における要部の断面模式図、図8は図6のA−A矢視断面模式図である。なお、各図においては、各部材の大小関係が実際の物とは異なる場合がある。
【0025】
瘻孔カテーテル1は、患者の腹壁71と消化管壁72(図10参照)とを貫通するように形成された瘻孔73に装着されるものである。
図1に示すように、瘻孔カテーテル1は、カテーテル部Aと体内固定部Bとを備える。カテーテル部Aは瘻孔に挿入され、栄養剤等の流体を通過させる機能を有する。体内固定部Bは、瘻孔カテーテル1が患者の瘻孔73に留置されたときに胃壁等の消化管壁72内に位置し、瘻孔カテーテル1が患者の瘻孔73から抜けるのを抑制する機能を有する。
【0026】
なお、以降の説明において、「近位」とは、瘻孔73に設置された状態における瘻孔カテーテル1のカテーテル部Aの端部側をいい、図1における図面上側を示す。また、「遠位」とは近位の反対側をいい、図1における図面下側を示す。
【0027】
図6に示すように、瘻孔カテーテル1は、内チューブ10と、この内チューブ10の外側に設けられた外チューブ20とを備える。
内チューブ10及び外チューブ20は、例えばポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料で構成され、内部に流体物を通過させるための内腔を有している。内チューブ10の材料を上記材料に限定するものではないが、熱賦形が可能であり、熱賦形後においても可撓性を有する材料を用いる。
【0028】
図6、図7に示すように、内チューブ10は、その遠位端15が外チューブ20の遠位端25と同じ高さに位置するようにして外チューブ20内に挿入されている。内チューブ10の内腔は、栄養剤等の流体の流通が可能である。また、内チューブ10の遠位端15近傍の内周面には、径方向内側に向かって突出する突起部18が形成されている。この突起部18は、後述する伸展具50の先端部を係止させる機能を有する。
【0029】
外チューブ20の内径は、内チューブ10の外径とほぼ同じか若干大きく構成されている。外チューブ20内に挿入された内チューブ10の外周面は、外チューブ20の内周面に接触している。本実施の形態1では、内チューブ10が外チューブ20よりも長く、かつ、瘻孔73に留置された状態において内チューブ10の近位端14が体表側に突出する長さに構成されている(図10参照)。
【0030】
図7に示すように、外チューブ20の内周面と内チューブ10の外周面とは、近位端側固定部31と遠位端側固定部32の2箇所において、接着剤等の固定手段により固定されている。なお、図7では、説明のため、近位端側固定部31と遠位端側固定部32とを太線で記している。近位端側固定部31と遠位端側固定部32との間は、軸方向に所定距離だけ離れている。ここで、近位端側固定部31と遠位端側固定部32との間の部分を、便宜上、中間部33と称する。この中間部33においては、外チューブ20の内周面と内チューブ10の外周面とが固定されていない状態である。
【0031】
図6〜図8に示すように、内チューブ10の中間部33には、チューブ内外を連通する複数のスリット11が軸方向に沿って設けられている。また、外チューブ20の中間部33にも、チューブ内外を連通する複数のスリット21が軸方向に沿って設けられている。スリット11及びスリット21の本数は、本実施の形態1では、ともに3本ずつである。スリット11、スリット21の長さは、中間部33の長さ以下であればよい。スリット11、スリット21は、チューブの軸方向に平行に設けることができるが、軸方向に対して斜めに設けてもよい。また、本実施の形態1では、3本の各スリット11は、内チューブ10の周壁をほぼ三等分する位置に設けられている。3本のスリット21についても同様に、外チューブ20の周壁をほぼ三等分する位置に設けられている。
【0032】
そして、図8に示すように、内チューブ10のスリット11と、外チューブ20のスリット21は、周方向に異なる位置になるよう互い違いに設けられている。
【0033】
このスリット11、スリット21により内チューブ10及び外チューブ20の周壁が複数に分割され、分割されたことによりそれぞれ3つのベルト12、ベルト22が形成されている。スリット11、スリット21は中間部33にのみ設けられているので、各ベルト12、22はその上端部及び下端部においてチューブの周壁として一つにつながった状態である。また、ベルト12の径方向外側にベルト22が位置しており、ベルト12とベルト22とは軸方向に対応する位置関係にある。そして、ベルト12、ベルト22の遠位端側と近位端側とを軸方向に近づけるようにして、内チューブ10の遠位端及び外チューブ20の遠位端が近位端側に向かって押されると、ベルト12、ベルト22がその弾性により曲がり、図1、図2に示すような翼部13、翼部23が形成される。
【0034】
図1〜図4に示すように、外チューブ20は、3つの翼部23を備えている。翼部23は、外チューブ20の近位端側から径方向外側に向かって延び、さらにこれと反対方向に屈曲する屈曲部26を有し、この屈曲部26に連続して径方向内側に向かって延びる形状を有している。すなわち、各ベルト22が屈曲部26において屈曲することで、各ベルト22が二つ折りになって上下に重なるような形状をなしている。実施の形態1において、屈曲部26は、断面がU字形状となるよう弧を描くように屈曲しているが、鋭角に屈曲してもよい。
【0035】
また、翼部23は、屈曲部26よりも外チューブ20の外壁に近い位置で、軸方向に遠位端側に向かって湾曲する湾曲部27を備えている。
【0036】
また、内チューブ10も、3つの翼部13を備えている。翼部13は、外チューブの翼部23と同様の形状であり、内チューブ10の近位端側から径方向外側に向かって延び、さらにこれと反対方向に屈曲する屈曲部16を有し、この屈曲部16に連続して径方向内側に向かって延びる形状を有している。なお、内チューブ10は、外チューブ20よりも外径が小さいため、ベルト12の幅も外チューブ20のベルト22よりも小さく、したがって、翼部13の幅も外チューブ20の翼部23の幅よりも小さい。
【0037】
図1〜図4に示すように、外チューブ20の翼部23と、内チューブ10の翼部13は、周方向に互い違いに配置されている。すなわち、外チューブ20の各翼部23は、内チューブ10の隣り合う翼部13と翼部13との隙間に配置され、内チューブ10の各翼部13は、外チューブ20の隣り合う翼部23と翼部23との隙間に配置されている。なお、「周方向に互い違いに配置されている」とは、外チューブ20又は内チューブ10の隣り合う翼部と翼部との隙間に、他方の翼部の少なくとも一部が重なるように配置されていればよいことを意味し、必ずしも隣り合う翼部と翼部の中間に他方の翼部が位置しなくともよい。
また、翼部13、翼部23は、瘻孔カテーテル1の軸方向に互いに対応する位置に設けられている。ここで、「軸方向に対応する位置に設けられている」とは、翼部13と翼部23とが、瘻孔カテーテル1の軸方向においてほぼ同じ位置に配置されていることを意味する。
【0038】
図6〜図8に示す状態の内チューブ10の遠位端及び外チューブ20の遠位端を、近位端側に近づけるようにして押し、ベルト12、ベルト22を径方向外側に向かって屈曲させることで、翼部13、翼部23を形成し、湾曲部17、湾曲部27を設ける。そうすると、図1〜図4に示すような形状の体内固定部Bが形成されるので、この状態で熱賦形することにより、瘻孔カテーテル1が作製されている。
【0039】
内チューブ10及び外チューブ20は、熱賦形後においても可撓性を有する材料で構成されている。したがって、内チューブ10の遠位端15及び外チューブ20の遠位端25を、近位端14、近位端24側から軸方向に離すことで、内チューブ10及び外チューブ20は、ほぼまっすぐに伸びた伸展状態となる(図6参照)。そして、この伸展状態を解除すると、再び図1に示すように翼部13、翼部23が形成された状態となる。
【0040】
次に、このように構成された瘻孔カテーテル1の、瘻孔73への留置動作について説明する。図9は実施の形態1に係る瘻孔カテーテル1の挿入/抜去動作を説明する図、図10は同じく瘻孔カテーテル1の留置状態を説明する図である。
【0041】
ここで、瘻孔カテーテル1の体内固定部Bを伸展させ、この体内固定部Bを胃壁や腸壁等の消化管壁72内に挿入するために用いる伸展具50について説明する。
図9に示すように、伸展具50は、先端側に設けられたチューブ係合部51と、チューブ係合部51とは反対側の端部に設けられた操作部52と、操作部52とチューブ係合部51との間に設けられた軸部53とを有する。チューブ係合部51及び軸部53は、内チューブ10の内腔に挿入可能に構成されている。操作部52は、例えば合成樹脂や金属で構成されており、術者が指をかけることができるような形状を有している。
【0042】
チューブ係合部51は、内チューブ10の内径と同じか、内チューブ10の内径よりも若干大きな径となるよう構成されている。またチューブ係合部51の軸方向の長さは、内チューブ10における近位端側固定部31、遠位端側固定部32、及び中間部33を合わせた以上の長さとなるよう構成されている。
【0043】
このように構成されたチューブ係合部51を、伸展させた状態の内チューブ10の近位端側固定部31、遠位端側固定部32、及び中間部33に渡る内腔内に位置させる。内チューブ10の遠位端15近傍には突起部18が設けられているので、伸展具50の先端部は突起部18に係止される。このようにすると、チューブ係合部51の外面と内チューブ10の内周面とが密着し、チューブ係合部51の外面と内チューブ10の内周面とに生じる摩擦力により、内チューブ10の伸展状態が保持される。
外チューブ20は、近位端側固定部31及び遠位端側固定部32において内チューブ10に固定されているので、内チューブ10の伸展に伴って外チューブ20も伸展され、瘻孔カテーテル1は図9に示すような状態となる。
【0044】
なお、ここで説明した伸展具50の構成は一例であり、その形状や瘻孔カテーテル1を伸展させるための構造を限定するものではない。
例えば、内チューブ10の内腔に挿入可能な棒状部材を伸展具として用い、内チューブ10の内腔に挿入した棒状部材の先端部で内チューブ10の突起部18を押すことで、内チューブ10を伸展させてもよい。
また、伸展具の先端部を係合させるための構造として、内チューブ10に突起部18を設ける例を示したが、この突起部18に代えて、内チューブ10の遠位端側の内腔にリング状の部材を取り付けて、リング状の部材に伸展具の先端部を係止させるようにしてもよい。
【0045】
図9に示すように、伸展具50により伸展された状態の瘻孔カテーテル1を、腹壁71と消化管壁72とに形成された瘻孔73に挿入する。瘻孔カテーテル1の径は、最大でも外チューブ20の径と同じであり、瘻孔73を通過する際の抵抗が低い。このため、瘻孔73を傷つけるリスクが少ない。
【0046】
そして、適度な挿入深度となったところで、カテーテル部Aが抜けないように腹壁71側に押さえつつ、術者が伸展具50を手前側に引っ張る。チューブ係合部51と内チューブ10との摩擦力を超える力で引っ張ることで、チューブ係合部51と内チューブ10内周面との密着状態が解除され、伸展具50が内チューブ10内から引き抜かれる。瘻孔カテーテル1は、熱賦形されているため、伸展具50が引き抜かれて伸展状態が解除されると、図10に示すように体内固定部Bが形成された状態になる。伸展具50を引き抜くだけで、伸展状態の瘻孔カテーテル1を体内固定部Bが形成された状態にすることができ、手技が簡便である。
【0047】
瘻孔73に留置されたカテーテルのカテーテル部Aの近位端は体外に位置し、このカテーテル部Aの近位端側には、体外固定部が取り付けられる。例えば、いわゆるボタン型では、体表側にほとんど露出しない長さに形成されたカテーテル部Aの近位端に、体外固定部が取り付けられる。また、いわゆるチューブ型では、体表側に所定長さが突出するように形成されたカテーテル部Aの体表近傍に位置する部分に、体外固定部が脱着可能に取り付けられる。
【0048】
図10に示すように、体内固定部Bが形成された状態となり消化管壁内に留置された瘻孔カテーテル1は、翼部13、翼部23の上面(近位端側の面)が消化管壁に接触する。
内チューブ10の翼部13と外チューブ20の翼部23は、周方向に互い違いに配置されているので、各翼部間の隙間は小さくなる。特に、図3に示すように、翼部13、翼部23の中心部(すなわち、外チューブ20及び内チューブ10の外周面近傍)には、内チューブ10の翼部13と外チューブ20の翼部23とでほぼ円形の面Sが形成される。この面Sが、消化管壁72の瘻孔73の周囲に当接する。面Sで消化管壁72に接触するので、消化管壁72に対する侵襲が少ない。
【0049】
また、翼部13及び翼部23には湾曲部17、湾曲部27が設けられているので、翼部13及び翼部23は、消化管壁72に対して丸みを帯びた形状となる。このため、消化管壁に対する当たりがやわらかく、消化管壁72への侵襲を低減できる。
【0050】
また、例えば腹壁71側から瘻孔カテーテル1が引っ張られた場合、翼部23の上面が消化管壁72に押し当てられ、放射状に広がった状態の外チューブ20の翼部23には、閉じようとする方向に力が働く。すなわち、外チューブ20の翼部23は、屈曲部26が径方向内側に移動して翼部23の外径が小さくなろうとする。
しかし、外チューブ20の隣り合う翼部23と翼部23との間に内チューブ10の翼部13が入り込んでいるので、外チューブ20の翼部23が閉じようとしても内チューブ10の翼部13が抵抗となり、外チューブ20の翼部23が閉じようとするのを抑制できる。すなわち、体内固定部Bによる固定状態が維持され、自己抜去等の意図しない瘻孔カテーテル1の抜去を抑制することができる。
【0051】
なお、留置状態の瘻孔カテーテル1を瘻孔73から抜去する際には、挿入時と同様の手技により瘻孔カテーテル1の体内固定部を伸展させた状態にして引き抜く。
【0052】
このように、本実施の形態1によれば、内チューブ10の翼部13と外チューブ20の翼部23とが周方向に沿って互い違いに配置されているので、翼部13と翼部23との隙間が小さくなり、消化管壁に対する体内固定部の接触面積が大きくなるため、消化管壁への侵襲を低減できる。したがって、消化管壁の潰瘍やバンパー埋没症候群のリスクを低減できる。
【0053】
また、内チューブ10の翼部13と外チューブ20の翼部23とが周方向に沿って互い違いに配置されているので、留置時において瘻孔カテーテル1が体外側から引っ張られた場合における翼部13、翼部23の縮径を抑制できる。このため、消化管壁72内における体内固定部Bの固定状態が解除されにくく、自己抜去等の意図しない抜去を抑制することができる。
【0054】
また、瘻孔カテーテル1は、内チューブ10を外チューブ20に挿入して構成されていて、伸展状態においてその外径は外チューブ20の外径である。このため、一般的な合成樹脂製の消化管壁内において拡径するよう構成されたバンパーと比較して、伸展時における外径が小さい。したがって、挿入/抜去時における瘻孔に対する抵抗が少なく、瘻孔73を傷つけるリスクを低減できる。
また、瘻孔カテーテル1は、内チューブ10と外チューブ20という2本のチューブで構成されており、部品点数が少ない。このため、製造コストの増加を抑制できる。
【0055】
また、瘻孔カテーテル1は、遠位端側と近位端側とを引き離すことで容易に伸展状態となるので、挿入/抜去時の手技が容易であり、術者の負担を軽減できる。
【0056】
また、内チューブ10は、外チューブ20よりも近位端側に長く、かつ、瘻孔73に留置された状態において内チューブ10の近位端14が体表側に突出する長さに構成されている。このため、仮に体表側に突出している内チューブ10が引っ張られたとしても、消化管壁内においてこれよりも径の大きい外チューブ20の翼部23が抜け止めとなり、瘻孔73から瘻孔カテーテル1が抜けにくい。
【0057】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る瘻孔カテーテル1の要部模式図である。図12は、実施の形態2に係る瘻孔カテーテル1の要部断面模式図であり、瘻孔カテーテル1の体内固定部Bを伸展させる動作を示している。なお、図12では、説明の都合上、外チューブを図示していない。また、本実施の形態2及びこれ以降の実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一又は対応する構成には同一の符号を付す。
【0058】
図11、図12に示すように、実施の形態2に係る瘻孔カテーテル1は、内チューブ10内に挿入された内筒60を備える。
内筒60は、ステンレス、チタン等で構成され、内部に流体物を通過させるための内腔を有している。
【0059】
図11、図12(a)に示すように、内筒60は、内チューブ10の翼部13の形状を維持させる機能を有するものである。すなわち、内筒60の固着部63が内チューブ10の遠位端側の内周面と固着され、内筒60の固定部64が、翼部13の開始端Pよりも近位端側の内周面と固定される。これにより、固着部63と固定部64とが、内チューブ10の近位端と遠位端とが近づくことにより形成される翼部13の状態を維持させるようになっている。そして、内チューブ10に固着された外チューブ20もまた、内チューブ10と同様に翼部23の形状が維持される。
【0060】
内筒60の遠位端側の先端近傍には、径方向外側に向かって拡径するつば状の先端拡径部62が形成されている。先端拡径部62は、先端に向かって緩やかに縮径する形状を有し、挿入/抜去時や留置時に先端拡径部62によって瘻孔や消化管壁を傷つけにくいように構成されている。先端拡径部62は、内チューブ10の遠位端15から突出した位置に配置される。
【0061】
内筒60の軸方向の長さは、伸展させた状態の近位端側固定部31、遠位端側固定部32、及び中間部33とを合わせた以上の長さとなるよう構成されている。
【0062】
内筒60の外周面の先端拡径部62よりも近位端側の領域には固着部63が設けられ、内筒60遠位端の外周面の近位端側の領域には固定部64が設けられている。なお、図11、図12では、説明のため、固着部63及び固定部64を太線で記している。
固着部63は、内チューブ10の内周面に固着される。固着部63は、内チューブ10の、スリット11の遠位端よりも遠位端側の内周面と固着される。固着部63における内チューブ10との固着手段として、本実施の形態2では接着剤を用いている。なお、固着部63における内チューブ10との固着手段は任意の手段を用いることができ、例えば、内筒60の外周面に形成した突起と内チューブ10の内周面に形成した突起とを係合させてもよいし、内筒60の外周面に形成した突起と内チューブ10内周面の摩擦力により固着するようにしてもよい。
【0063】
固定部64は、内チューブ10の内周面に、軸方向に移動可能に固定される。なお、ここで、軸方向に移動可能に固定されるとは、固定部64が、内チューブ10の状態、すなわち、伸展状態か伸展状態が解除された状態(翼部13が形成された状態)かによって、内チューブ10の内周面の異なる位置と固定されることを意味する。本実施の形態2では、固定部64の外径は内チューブ10の内径と同じか若干大きく構成されており、固定部64と内チューブ10の内周面との間に生じる摩擦力により、固定部64が内チューブ10の内周面に固定されている。
また、内筒60の近位端61から固定部64に至る外周には、テーパー部66が形成されている。
【0064】
内筒60の内周面には、径方向内側に向かって突出する内部突起65が設けられている。内部突起65は、後述する伸展具50の先端部と係合する機能を有する。
なお、内部突起65は、実施の形態1における内チューブ10の突起部18と同様の機能を有するため、本実施の形態2に係る内チューブ10は、突起部18を備えていない。
【0065】
次に、図12(a)〜図12(c)を参照して、瘻孔カテーテル1の伸展動作を説明する。
まず、図12(a)に示すように、瘻孔カテーテル1の内チューブ10には翼部13が形成された状態であるものとする。このような状態で、伸展具50を内チューブ10及び内筒60の内腔に挿入する。ここで、本実施の形態2に係る伸展具50は、内筒60の内周面と着脱可能に固定される内筒係合部54を有し、実施の形態1で示したチューブ係合部51は備えていない。本実施の形態2では、内筒60に設けられた内部突起65の内周面と、内筒係合部54の外周面との間に生じる摩擦力により、両者が固定される構成となっている。すなわち、伸展具50を内筒60内の適当な位置まで挿入すると、内筒係合部54と内筒60の内部突起65との間に摩擦力が働き、内筒60内における伸展具50の進行が停止される。
【0066】
この状態で伸展具50がさらに押し込まれることにより、固定部64における内チューブ10内周面との摩擦力を超える力が加えられると、両者の固定はいったん解除される。そうすると、図12(b)に示すように、伸展具50の内筒係合部54と係合された内筒60は、伸展具50に伴って遠位端側に進む。そして、この内筒60と固着部63により固着された内チューブ10の先端部もまた遠位端側に進むこととなる。このようにして、伸展具50を押し込むことで、内チューブ10の翼部13が伸び、図12(c)のような状態となる。このような動作を実現するため、内筒係合部54と内筒60の内部突起65との間に生じる摩擦力は、固定部64と内チューブ10内周面との間に生じる摩擦力よりも大きくなるよう構成されている。また、図12には図示していないが、外チューブ20の翼部23もまた、内チューブ10の翼部13の伸展に伴って同じようにして伸展状態となる。
【0067】
このようにすることで、瘻孔カテーテル1は伸展状態となり、瘻孔73への挿入/抜去が可能となる。
【0068】
このように、本実施の形態2によれば、内チューブ10内に挿入される内筒60を備えた。そして、この内筒60は、内チューブ10のスリット11の近位端側端部よりも近位端側における内チューブ10内周面に軸方向に移動可能に固定される固定部64を備え、内チューブ10のスリット11の遠位端側端部よりも遠位端側における内チューブ10内周面に固着される固着部63を備えた。翼部13、翼部23が形成された状態で、固定部64と固着部63が内チューブ10内周面と固定されることで、翼部13、翼部23の形状を維持することができる。このため、動きが激しく内容物や体液に晒される消化管壁72内においても、体内固定部Bの形状がより保たれやすくなる。したがって、瘻孔カテーテル1の留置状態を良好に保つことができ、自己抜去等の意図しない抜去を抑制することができる。
【0069】
なお、内筒60と伸展具50との着脱可能な固定構造は、上記した内筒係合部54と内部突起65による摩擦力を利用したものに限定されず、瘻孔カテーテル1の翼部13、翼部23を伸展させるべく伸展具50を押し込んだときに伸展具50と内筒60とを固定可能であって、伸展状態を解除すべく伸展具50を取り除くときに両者が離れる構成であればよい。例えば、内筒60の内周面と伸展具50の先端近傍の外周面に互いに螺合するネジを設けてもよい。
【0070】
実施の形態3.
前述の実施の形態1では、外チューブよりも内チューブの方が長い構成であったが、本実施の形態3では、内チューブよりも外チューブの方を長く構成した瘻孔カテーテルについて説明する。
【0071】
図13は、実施の形態3に係る瘻孔カテーテル1Aの斜視図である。
図13に示すように、外チューブ20Aは、内チューブ10Aよりも近位端側に長く、かつ、瘻孔に留置された状態において、外チューブ20Aの近位端24が瘻孔よりも体表側に突出する長さに構成されている。外チューブ20Aよりも短く構成された内チューブ10Aは、外チューブ20A内に挿入された状態である。そのほかの構成は実施の形態1と同様である。
【0072】
このように、本実施の形態3によれば、外チューブ20Aを内チューブ10Aより長くしても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、外チューブ20Aを、内チューブ10Aよりも近位端側に長く、かつ、瘻孔に留置された状態において外チューブ20Aの近位端24が瘻孔よりも体表側に突出する長さに構成することにより、瘻孔カテーテル1の体内固定部Bよりも上側においては、外チューブ20Aのみが露出することとなる。このため、内チューブ10Aと外チューブ20Aの外径差による段差ができないので、挿入/抜去時の瘻孔に対する抵抗が低減できる。したがって、挿入/抜去時に瘻孔を傷つけるリスクを低減できる。
【0073】
なお、上記実施の形態1〜3で述べた構成のほか、以下のような応用も可能である。
【0074】
実施の形態1では、翼部13、翼部23に、それぞれ湾曲部17、湾曲部27を設ける例を示したが、例えば図14に示すように、湾曲部を設けない構成としてもよい。
また、実施の形態1では、軸方向に遠位端側に向かって湾曲する湾曲部17、湾曲部27を示したが、他の形状の湾曲部を設けてもよい。すなわち、例えば図15に示すように、翼部13(翼部23)を、軸方向に近位端側に向かって湾曲させ、さらに、屈曲部16(屈曲部26)が内チューブ10(外チューブ20)の外壁に近づくように湾曲させる。このように横から見ると”U”字状になるように翼部13(翼部23)を湾曲させて湾曲部17(湾曲部27)を形成することで、翼部13(翼部23)の湾曲した部分で消化管壁に当接するので、消化管壁に対する当たりがやわらかくなって消化管壁への侵襲を低減できる。
【0075】
また、実施の形態1では、外チューブ20の内周面と内チューブ10の外周面とを、近位端側固定部31と遠位端側固定部32の2箇所において、接着剤等の固定手段により固定する例を示したが、固定手段は接着剤に限らない。例えば、内チューブ10の外周面に突起を設けるとともに、外チューブ20の内周面あるいは壁部分には突起に係合する係合穴を設け、内チューブ10の突起を外チューブ20の係合穴に挿入する。このようにしても、内チューブ10と外チューブ20とを固定することができる。
また、上記説明では、外チューブ20の内周面と内チューブ10の外周面とが、近位端側固定部31と遠位端側固定部32において固定されている例を示した。しかし、必ずしも外チューブ20の内周面と内チューブ10の外周面とが、翼部13、翼部23を挟んだ2箇所で固定されていなくともよい。すなわち、翼部13、翼部23を軸方向に対応する位置に設けることで、これら翼部が、外チューブ20と内チューブ10の軸方向への移動を規制するので、実施の形態1で述べたのと同等の効果を奏することができる。
【0076】
スリット11、スリット21の数は、上記説明では内チューブ10と外チューブ20ともに3本ずつとしたが、2本以上の任意の数とすることができる。
また、スリット11、スリット21は、それぞれ、内チューブ10又は外チューブ20の周壁を径方向に三等分する位置に設けた例を示したが、三等分ではない位置に設けてもよい。
また、スリット11、スリット21は、軸方向の長さが異なっていてもよい。
【0077】
また、上記説明では、内チューブ10及び外チューブ20にベルト12、ベルト22を形成するためにスリット11、スリット21を設けた例を示した。このスリットは、内チューブ10及び外チューブ20に細い隙間を形成するものであるが、このようなスリットではなく、切れ目を設けてもよい。
【0078】
また、内チューブ10と外チューブ20とで同じ材料を使用してもよいし、異なる材料を使用してもよい。
【0079】
また、内チューブ10の厚みと外チューブ20の厚みは、同じ厚みにしてもよいし、異なる厚みにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1、1A 瘻孔カテーテル、10、10A 内チューブ、11 スリット、12 ベルト、13 翼部、14 近位端、15 遠位端、16 屈曲部、17 湾曲部、18 突起部、20、20A 外チューブ、21 スリット、22 ベルト、23 翼部、24 近位端、25 遠位端、26 屈曲部、27 湾曲部、31 近位端側固定部、32 遠位端側固定部、33 中間部、50 伸展具、51 チューブ係合部、52 操作部、53 軸部、54 内筒係合部、60 内筒、61 近位端、62 先端拡径部、63 固着部、64 固定部、65 内部突起、66 テーパー部、71 腹壁、72 消化管壁、73 瘻孔、A カテーテル部、B 体内固定部、P 翼部の開始端、S 面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル部と、
前記カテーテル部の遠位端側に形成され、消化管壁内に留置される体内固定部とを有する瘻孔カテーテルにおいて、
前記体内固定部は、内チューブと、前記内チューブの外側に設けられた外チューブとを備え、
前記内チューブ及び外チューブは、チューブ壁を周方向に複数に分割して形成されたベルトにより構成され、径方向外側に向かって延びる部分を有する翼部を有しており、
前記内チューブの翼部と前記外チューブの翼部は、軸方向に対応する位置に設けられているとともに、周方向に沿って互い違いに配置されている
ことを特徴とする瘻孔カテーテル。
【請求項2】
前記外チューブ及び前記内チューブの前記翼部は、
前記ベルトの遠位端側と近位端側とを軸方向に近づけることで前記ベルトの少なくとも一部が屈曲あるいは湾曲して構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の瘻孔カテーテル。
【請求項3】
前記外チューブ及び前記内チューブは、
その近位端と遠位端とを離すように伸展させることでほぼまっすぐの状態となり、
伸展状態を解除すると前記遠位端と前記近位端とが近づいて、前記径方向外側に向かって延びる部分が形成されるよう変形可能に成形されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の瘻孔カテーテル。
【請求項4】
前記外チューブ及び内チューブの前記翼部は、軸方向に遠位端側あるいは近位端側に向かって湾曲する湾曲部を有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の瘻孔カテーテル。
【請求項5】
前記内チューブは、前記外チューブよりも近位端側に長く、かつ、瘻孔に留置された状態において内チューブの近位端が体表側に突出する長さに構成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の瘻孔カテーテル。
【請求項6】
前記外チューブは、前記内チューブよりも近位端側に長く、かつ、瘻孔に留置された状態において外チューブの近位端が体表側に突出する長さに構成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の瘻孔カテーテル。
【請求項7】
前記内チューブ内に挿入され、
前記内チューブの前記翼部より近位端側の位置における前記内チューブの内周面に軸方向に移動可能に固定される固定部と、
前記内チューブの前記スリット又は切れ目の遠位端側端部よりも遠位端側の位置において前記内チューブの内周面に固着される固着部と、
を有する内筒を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の瘻孔カテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−157385(P2012−157385A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17118(P2011−17118)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000228888)日本コヴィディエン株式会社 (170)
【Fターム(参考)】