説明

癌の処置のためのチェックポイントキナーゼ(CHK)および毛細血管拡張性変異(ATM)阻害剤の組み合わせ物

チェックポイントキナーゼ(CHK)阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、および血管拡張性失調症変異(ATM)阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を含む組み合わせ物が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は癌の処置のための治療を開示する。
【背景技術】
【0002】
化学療法および放射線暴露が現在癌の処置のための主要な選択肢であるが、これら両方の方法の治療的有用性は、正常組織に対する強烈な有害作用、および腫瘍細胞耐性の頻繁な発生により非常に制限されている。従って、癌処置の効果を、それらと関連する毒性を高めない方法で改善することが非常に望まれている。いくつかの例では、効果の増強を達成する一つの方法は、数種の抗癌剤を組み合わせて用いることであり、該組み合わせ物は、各薬剤単独で見られるよりも良好な治療効果をもたらす。
【0003】
組み合わせ処置レジメンを、癌を有する患者に対して利用可能な治療に加える。例えば、一つの可能性のあるシナリオにおいて、ある薬剤が、組み合わせ治療の他の薬剤に対する悪性細胞の感受性を高めるように作用するかもしれない。他のシナリオにおいて、抗癌剤の組み合わせは、相加的、または相乗的でさえある治療効果を有し得る。
【0004】
癌の処置への可能性がある前臨床試験中の一つの特定のクラスの治療剤は、ATM(血管拡張性失調症変異)の阻害剤である。ATMは、DNA二本鎖切断(DSB)の検出における重要なタンパク質およびであり、この情報の細胞サイクル機構へのシグナル伝達はキナーゼATM(血管拡張性失調症変異)である(Durocher and Jackson (2001) DNA-PK, ATM and ATR as sensors of DNA damage: variations on a theme? Curr Opin Cell Biol., 13:225-31, Abraham (2001) Cell cycle checkpoint signaling through the ATM and ATR kinases. Genes Dev., 15; 2177-96)。
【0005】
ATMタンパク質は、そのカルボキシル末端領域における推定キナーゼドメインのために、タンパク質のホスファチジルイノシトール(PI)3−キナーゼファミリーのメンバーである〜350kDaポリペプチドである(Savitsky et al (1995) A single ataxia telangiectasia gene with a product similar to PI-3 kinase. Science, 268:1749-53)。PI 3−キナーゼ自体のような古典的PI 3−キナーゼ類は、シグナル伝達に関与し、細胞内二次メッセンジャーとして作用するイノシトール脂質をリン酸化するToker and Cantley (1997) Signalling through the lipid products of phosphoinositide-3-OH kinase, Nature, 387: 673-6にレビュー)。
【0006】
ATMは、毛細血管拡張性運動失調症(A−T)において変異している遺伝子の産物である(Savitsky et al(1995))。A−Tは、集団中、100,000人に一人の発生率で存在するヒト常染色体劣性遺伝疾患である。A−Tは、進行性小脳変性、眼皮膚(occulocutaneous)毛細血管拡張症、発育遅延、免疫不全、癌素因および早老のある特徴を含む多くの衰弱性症状により特徴付けられる(Lavin and Shiloh (1997), The genetic defect in ataxia-telangiectasia. Annu. Rev. Immunol., 15:177-202; Shiloh (2001), ATM and ATR: networking cellular responses to DNA damage, Curr. Opin. Genet. Dev., 11:71-7)。細胞レベルで、A−Tは高度の染色体不安定性、放射線抵抗性DNA合成、ならびに電離放射線(IR)および放射線類似薬剤に対する過敏性により特徴付けられる。加えて、A−T細胞は、DNA複製または有糸分裂前にゲノムの修復を可能にするためのDNA損傷に応答した細胞サイクルであると考えられる、放射線誘発G1−S、S、およびG2−M細胞サイクルチェックポイントを欠く(Lavin and Shiloh, 1997)。これは、A−T細胞がIRに応答したp53の誘発を欠くか、その誘発が非常に遅いとの事実を一部反映し得る。実際、p53介在下流事象も、IR暴露後にA−T細胞を欠く。ATMは、それ故、IR誘発DNA損傷シグナル伝達経路におけるp53の上流に作用する。A−T細胞はまた、電離放射線後のDNA二本鎖切断(dsb)の蓄積も示し、dsb修復の欠損を示唆する。
【0007】
ATMがDNA DSBに対する細胞応答の重量なレギュレーターであることは明らかである。それ故、小分子を介するこのキナーゼの阻害は、細胞を、電離放射線およびDNA DSBを直接的または間接的に誘発する化学療法剤の両方に感受性にする。ATM阻害剤は、それ故に、癌放射線療法および化学療法における補助剤として使用し得る。
【0008】
癌を処置する可能性を有する他の特定のクラスの治療剤は、チェックポイント1キナーゼ(CHK1)の阻害剤である。CHK1は、細胞サイクルの重要な制御成分である(例えば、Prudhomme, Recent Patents on Anti-Cancer Drug Discovery, 2006, 1:55参照)。個々の細胞はその染色体の正確なコピーを作り、その後、これらの別々の細胞に分離することにより複製する。DNA複製、染色体分離および分裂のこのサイクルは、この工程の順番を維持し、各工程が正確に実施されることを確実にする細胞内の機構により制御される。これらの処理の鍵は細胞サイクルチェックポイントであり(Hartwell et al., Science, Nov 3, 1989, 246(4930):629-34)、そこで、細胞は、有糸分裂へのサイクルを継続する前にDNA修復機構が作用できる時間を確実に得るために停止し得る。細胞サイクルのキーであるチェックポイントの例は、チェックポイントキナーゼ2(CHK2)およびp53により制御されるG1/Sチェックポイント、およびSer/Thrキナーゼチェックポイントキナーゼ1(CHK1)によりモニターされるS内およびG2/Mチェックポイントである。これらのチェックポイントにより誘発される細胞サイクル停止が、細胞が放射線または化学療法が原因の損傷に打ち勝つことができる重大な機構であるため、新規薬剤によるそれらの抑止は、腫瘍細胞のDNA損傷性治療に対する感受性を高めるはずである。G2/Mチェックポイントを抑止する化合物を設計するための一つの方法は、重要なG2/M制御キナーゼCHK1の阻害剤の開発であり、この方法は、多くのコンセプトの証明試験において働くことが示されている。(Koniaras et al., Oncogene, 2001, 20:7453; Luo et al., Neoplasia, 2001, 3:411; Busby et al., Cancer Res., 2000, 60:2108; Jackson et al., Cancer Res., 2000, 60:566)。
【0009】
数種のCHK阻害剤が同定されている。これらの化合物は、アミノピラゾール類、インダゾール類、三環式化合物、ウレア類、カルバメート類、ジアゼピノン類、ピリミジン類、ベンゾイミダゾールキノロン類および大環状化合物を含む。(例えば、Prudhomme, Recent Patents on Anti-Cancer Drug Discovery, 2006, 1:55, Janetka et al., Curr Opin Drug Discovery Dev 2007, 10(4)参照)。2−ウレイドチオフェン化合物および3−ウレイドチオフェン化合物が、各々WO03029241およびWO03028731にCHK阻害剤であることが記載されている。加えて、縮合トリアゾロン類が、WO2004/081008にCHK阻害剤として記載されている。CHK阻害剤はまたWO2005/016909に開示のチオフェンカルボキサミド類;WO2005/066163に開示のチオフェンカルボキサミド類;およびWO2006/106326に開示のヘテロ環類も含む。
【発明の概要】
【0010】
発明の要約
本発明は、チェックポイントキナーゼ(CHK)阻害剤、またはその薬学的に許容される塩と、血管拡張性失調症変異(ATM)阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を含む組み合わせ物に関する。この組み合わせ物は、その抗増殖性(例えば抗癌)活性のために有用であり、それ故ヒトまたは動物身体の処置方法に有用であることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、NCI−H460ドミナントネガティブ(dn)p53細胞株におけるCHK阻害剤とATM阻害剤の組み合わせ物を同時に添加および暴露したときのIC50プロットを示す。
【図2】図2は、NCI−H460dnp53細胞株におけるCHK阻害剤、続いてATM阻害剤である組み合わせ物のIC50プロットを示す。
【図3】図3は、NCI−H460dnp53細胞株におけるATM阻害剤、続いてCHK阻害剤である組み合わせ物のIC50プロットを示す。
【図4】図4は、SW620細胞株におけるCHK阻害剤およびATM阻害剤の組み合わせ物を同時に添加および暴露したときのIC50プロットを示す。
【図5】図5は、SW620細胞株におけるCHK阻害剤、続いてATM阻害剤である組み合わせ物の場合を示す。
【図6】図6は、SW620細胞株におけるATM阻害剤、続いてCHK阻害剤である組み合わせ物の場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、CHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩と、ATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を含む組み合わせ物に関する。この組み合わせ物は癌の処置または予防のための方法において有用である。癌の例は、食道癌、骨髄腫、肝細胞、膵臓、頚部癌、ユーイング(ewings)腫瘍、神経芽腫、カポジ(kaposis)肉腫、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、黒色腫、肺癌 − 非小細胞肺癌(NSCLC)、および小細胞肺癌(SCLC)、胃癌、頭頚部癌、脳癌、腎臓癌、リンパ腫および白血病を含む。
【0013】
CHK阻害剤
“CHK阻害剤”は、チェックポイント1キナーゼの活性および/またはチェックポイント2キナーゼの活性を阻害できる全ての化合物または物質を意味する。チェックポイント阻害剤は、ペプチド模倣薬、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、抗体またはCHKに結合でき、活性を阻害できる任意の他の薬剤であり得る。一例として、チェック阻害剤は、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、ミクロRNA(miRNA)、および低分子ヘアピン型RNA(shRNA)分子のような核酸分子である。かかる分子の例は、US20060216747に開示され、その内容を引用により本明細書に包含させる。
【0014】
他の例では、CHK阻害剤は小分子である。本発明の方法において使用されるCHK阻害剤が、遊離形の化合物のまたはその化合物の薬学的に許容される塩またはその化合物または塩の薬学的に許容される溶媒和物を含むことは理解すべきである。例えば、CHK阻害剤は、WO2005/066163に開示のチオフェンカルボキサミド類を含む。これらのCHK阻害剤は、WO2005/066163(その全内容を引用により本明細書に包含させる)に詳述された合成方法を含み、これに限定されない、有機合成分野の当業者には周知の多くの方法で製造できる。CHK阻害剤として興味深いチオフェンカルボキサミド類は、式(I):
【化1】

〔式中:
XはNH、SおよびOから選択され;
YはCHまたはNから選択され;
はシアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、−NR1112、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、およびヘテロシクリルから選択され(ただし、Rはチエニルではない);そして、Rは、所望により1個以上の炭素原子上を1個以上のRで置換されていてよく;そして、該Rが−NH−部分を含むならば、該部分の窒素は、所望によりR10から選択される基で置換されていてよく;
およびRは、互いに独立して、−C(=O)NR、−SONR1617、−NHC(=O)NHR、および−NHC(=NR)NHから選択され;
はH、OH、−NR1112、ベンジル、C1−6アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、メルカプト、CHO、−COアリール、−CO(C1−6アルキル)、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COアリール、−CONR3031、−Sアルキル、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−Sアリール、−SOアリール、−SOアリール、−SONR3031、および−(C1−6アルキル)SONR3031から選択され、ここで、Rは、所望により、1個以上の炭素原子上を1個以上のR15で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−部分を含むならば、その窒素は、所望によりR14から選択される基で置換されていてよく;
およびRは、互いに独立して、H、OH、OCH、C1−6アルコキシ、−NH、−NHCH、−N(CH)、(C1−3アルキル)NR1112、−CHCHOH、シクロアルキル、および少なくとも1個の窒素原子を含む5、6、または7員ヘテロシクリル環から選択されるか(ただし、RおよびRは両方ともHではない);あるいは、RおよびRは、それらが結合しているNと一体となってヘテロ環式環を形成し;ここで、RおよびRは、互いに独立して、所望により1個以上の炭素原子上を1個以上のR18で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−部分を含むならば、該部分の窒素は、所望によりR19から選択される基で置換されていてよく;
はシアノ、イソシアノ、−SO(C1−6アルキル)、−SO−アリール;−SOシクロアルキル、−SOシクロアルケニル、−SOヘテロシクリル、およびCFから選択され;ここで、Rは、所望により、1個以上の炭素原子上を1個以上のR23で置換されていてよく;
【0015】
、R15、R18、R23、R24およびR33は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;ここで、R、R15、R18、R23、R24およびR33は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR20で置換されていてよく、そして、NHまたはNHを含む任意の部分の窒素をR21で置換されていてよく;
10、R14、R19、R25およびR34は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;ここで、R10、R14、R19、R25およびR34は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR22で置換されていてよく、そして、NHまたはNHを含む任意の部分の窒素をR23で置換されていてよく;
11およびR12は独立してH、C1−6アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルから選択されるか;あるいはR11およびR12は、それらが結合しているNと一体となってヘテロ環式環を形成し;ここで、R11およびR12は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR33で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−部分を含むならば、該部分の窒素は所望によりR34から選択される基で置換されていてよく;
16およびR17は、互いに独立して、H、OH、OCH、C1−6アルコキシ、NH、−NHCH、−N(CH)、(C1−3アルキル)NR1112、−CHCHOH、シクロアルキル、アリール、または少なくとも1個の窒素原子を含む5、6または7員ヘテロシクリル環から選択されるか(ただし、R16およびR17は両方ともHではない);あるいはR16およびR17は、それらが結合しているNと一体となって、所望により置換されていてよいヘテロ環式環を形成し;ここで、R16およびR17は、互いに独立して、所望により、1個以上の炭素原子上を1個以上のR24で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−部分を含むならば、該部分の窒素は所望によりR25から選択される基で置換されていてよく;
【0016】
20、R22およびR32は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;ここで、R20、R21およびR32は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR26で置換されていてよく、そして、NHまたはNHを含む任意の部分の窒素をR27で置換されていてよく;
21、23およびR35は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;ここで、R21、R23およびR35は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR28で置換されていてよく、そして、NHを含む任意の部分の窒素をR29で置換されていてよく;
26およびR28は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;
【0017】
27およびR29は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;
30およびR31は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NH、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR1112、−N(C1−6アルキル)CONR1112、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO2NR1112から選択され;ここで、R30およびR31は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR32で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−またはNH部分を含むならば、該部分の窒素は所望によりR35から選択される基で置換されていてよい。〕
により示される、WO2005/066163に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む;
ただし、XがSであり;YがCHであり;RがC(=O)NRであり;そしてRがNHC(=O)NHRであるならば;R
【化2】

(式中、RはH、所望により置換されていてよいカルボシクリル、または所望により置換されていてよいC1−6アルキルである)
ではなく;さらに、該化合物は
5−メチル−2−ウレイド−チオフェン−3−カルボン酸(1−エチル−ピペリジン−3−イル)−アミド;
[3−((S)−3−アミノ−アゼパン−1−カルボニル)−5−エチル−チオフェン−2−イル]−ウレア;
2−モルホリン−4−イル−4−ウレイド−チアゾール−5−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
2−メチル−5−ウレイド−オキサゾール−4−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−3−{3−[(R)−1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−ピペリジン−3−イル]−ウレイド}−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;または
N−(3−{[(3S)−3−アミノアゼパン−1−イル]カルボニル}−5−ピリジン−2−イル−2−チエニル)ウレア
ではない。
【0018】
特に興味深い式(I)の化合物は次のものである:
5−(3−フルオロ−フェニル)−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−フェニル−2−ウレイド−チオフェン−3−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ウレイド−チオフェン−3−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(4−フルオロ−フェニル)−2−ウレイド−チオフェン−3−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−2−ウレイド−チオフェン−3−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(3−クロロ−フェニル)−2−ウレイド−チオフェン−3−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−[4−(ピペリジン−1−カルボニル)−フェニル]−2−ウレイド−チオフェン−3−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(4−シアノ−フェニル)−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−[4−(ピペリジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(3−クロロ−フェニル)−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−フェニル−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド。
【0019】
さらなるCHK阻害剤は、引用により本明細書に包含させるWO2006/106326に開示の置換ヘテロ環類を含む。
【0020】
本明細書中で特記しない限り、本明細書において使用する命名法は、一般的に、例示された化学構造名および化学構造式命名における規則について引用により本明細書に包含させる、Nomenclature of Organic Chemistry, Sections A, B, C, D, E, F, and H, Pergamon Press, Oxford, 1979の例および規則に従う。
【0021】
上記式(I)のCHK阻害剤において使用する定義。本明細書で使用する、用語“所望により置換されていてよい”は、置換が任意選択であり、それ故指定されが原子が置換されていないことも可能であることを意味する。置換が望まれる事象においては、かかる置換は、指定された通常の原子価を超えず、置換が安定な化合物をもたらす限り、指定原子上の任意の数の水素が、示された基から選択された基で置き換えられていることを意味する。例えば、置換基がケト(すなわち、=O)であるならば、その原子上の2個の水素が置換されている。基が“所望により置換されていてよい”または“置換されている”と示されるとき、特に記載されていない限り、適当な置換基の例は次のものを含む:
ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、トリフルオロメチル、メチル、エチル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、カルボニル、ケト、−CH(OH)CH、−CHNH−アルキル−OH、アルキル−(OH)CH、−Oアルキル、−OCOアルキル、−NHCHO、−N−(アルキル)−CHO、−NH−CO−アミノ、−N−(アルキル)−CO−アミノ、−NH−COアルキル、−N−(アルキル)−COアルキル、−カルボキシ、−アミジノ、−CO−アミノ、−CO−アルキル、−COアルキル、メルカプト、−Sアルキル、−SO(アルキル)、−SO(アルキル)、−SO−アミノ、−アルキルスルホニルアミノ、フェニル、シクロアルキル、ヘテロ環式およびヘテロアリール、−アルキル(alkly)−NH−シクロアルキル、−アルキル−NH−所望により置換されていてよいヘテロシクリル、−アルキル−NH−アルキル−OH、−C(=O)OC(CH)、−N(CH)、−アルキル−NH−アルキル−所望により置換されていてよいヘテロシクリル、アルキル−アリール、アルキル−多環、アルキル−アミノ、アルキル−ヒドロキシ、−CHNH−アルキル−ヘテロシクリル、−CHNHCHCH(CH)。置換すべき基が環であるならば、所望の置換基はまた:近接−O(アルキル)O、近接−OC(ハロアルキル)O、近接CHO(アルキル)O−、近接−S(アルキル)S−および−O(アルキル)S−から選択される。これらの置換基の各々は、それら自体さらに置換され得る。かかるさらなる置換基の適当な例は、前記の適当な置換基の全てを含む。
【0022】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“炭化水素”は、炭素および水素原子のみを含み、最大14個の炭素原子の全ての構造を意味する。
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“炭化水素ラジカル”または“ヒドロカルビル”は、炭化水素からの1個以上の水素の除去により得られる全ての構造を意味する。
【0023】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“アルキル”は、1個から約12個までの炭素原子を含む一価直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。特記されない限り、“アルキル”は、一般に飽和アルキルおよび不飽和アルキルの両方を含む。
【0024】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“アルケニル”は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、少なくとも2個から約12個までの炭素原子を含む一価直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“アルキレン”は、1個から約12個までの炭素原子を含む二価直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味し、これは2個の構造を互いに結合させる働きをする。
【0025】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“アルキニル”は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し、少なくとも2個から約12個までの炭素原子を含む一価直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。
【0026】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“シクロアルキル”は、少なくとも3個から約12個までの炭素原子を含む一価環含有炭化水素ラジカルを意味する。シクロアルキルが1個を超える環を含むならば、それらの環は縮合していてもいなくてもよく、ビシクロラジカルを含む。縮合環は、一般に、間に2個の原子を共有する少なくとも2個の環を意味する。
【0027】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“シクロアルケニル”は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、少なくとも3個から約12個までの炭素原子を含む一価環含有炭化水素ラジカルを意味する。シクロアルケニルが1個を超える環を含むならば、それらの環は縮合していてもいなくてもよく、ビシクロラジカルを含む。
【0028】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“アリール”は、芳香族特性(例えば、4n+2非局在化電子)を有する1個以上の多不飽和炭素環を有し、5個から約14個までの炭素原子を含む炭化水素ラジカルを意味し、ここで、該ラジカルは芳香環上の炭素上に位置する。
【0029】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“アルコキシ”は、一般式−O−R(式中、−Rは炭化水素ラジカルから選択される)のラジカルを意味する。例示的アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、イソブトキシ、シクロプロピルメトキシ、アリルオキシ、およびプロパルギルオキシを含む。
【0030】
用語“カルボシクリル”は、閉じた環が炭素原子から成る、脂環式および芳香環構造の両方を含むことを意図する。これらは、縮合または架橋多環系を含み得る。カルボシクリルは、環構造中に3〜10個の炭素原子を含み、しばしば環構造中に3個、4個、5個、6個および7個の炭素原子を含む。例えば、“C3−7カルボシクリル”は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンタジエンまたはフェニルのような基を意味する。
【0031】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“ヘテロシクリル”は、環内に1個以上の多価ヘテロ原子、独立して1〜4個の原子を有する、環含有構造または分子を意味する。ヘテロシクリルは、飽和または1個以上の二重結合を含む不飽和であってよく、そしてヘテロシクリルは1個を超える環を含み得る。ヘテロシクリルが1個を超える環を含むとき、それらの環は縮合していてもいなくてもよい。縮合環は、一般に、間に2個の原子を共有する少なくとも2個の環を意味する。ヘテロシクリルは芳香特性を有してよく、または芳香族特性を有していなくてよい。
【0032】
ヘテロシクリルの例は、1H−インダゾリル、2−ピロリドニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4−ピペリドニル、4aH−カルバゾリル、4H−キノリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、アクリジニル、アゼパニル、アゼチジニル、アジリジニル、アゾシニル(azocinyl)、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチオフェニル、ベンズチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリル類、ベンズイミダゾロニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、b−カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジオキソラニル、フリル、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、ホモピペリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリニル、インドーリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシラニル、オキサゾリジニルペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、プリニル、ピラニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、N−オキシド−ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、ピリジニル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、チオファニル、チオテトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアンスレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、チイラニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、およびキサンテニルを含み、これに限定されない。
【0033】
接頭語として使用する用語“7員”、“6員”および“5員”は、各々7個、6個および5個の環原子を含む環を有する基を意味する。
【0034】
第一の構造、分子または基と関連して使用され、その前に化学基の1個以上の名称が存在する用語“置換された”は、第一の構造、分子または基の1個以上の水素の、1個以上の記載された化学基での置換の結果である第二の構造、分子または基を意味する。例えば、“ニトロにより置換されたフェニル”はニトロフェニルを意味する。
【0035】
単独でまたは接尾語もしくは接頭語として使用される用語“アミン”または“アミノ”は、一般式−NRR’(式中、RおよびR’は独立して水素または炭化水素ラジカルから選択される)のラジカルを意味する。
【0036】
用語ハロゲンはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
ある基の接頭語として使用される“ハロゲン化”は、該基の1個以上の水素が1個以上のハロゲンで置換されていることを意味する。
“RT”または“rt”は室温を意味する。
【0037】
何らかの可変基(例えば、R、R、R、Rなど)がある化合物の構成要素または式で1個を超えて存在するとき、その各個々の定義は全ての他の定義と独立している。それ故、例えば、ある基が0−3個のRで置換されていると示されるならば、該基は0個、1個、2個または3個のR基で置換されていてよく、それぞれのRは、Rの定義から互いに独立して選択される。また、置換基および/または可変基の組み合わせは、かかる組み合わせが安定な化合物をもたらすときのみ可能である。
【0038】
本発明の種々の化合物は、特に幾何または立体異性体形態で存在し得る。本発明は、cisおよびtrans異性体、RおよびSエナンチオマー、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、そのラセミ混合物、およびその他の混合物を含むかかる化合物全てを、本発明の範囲内に包含されるとして考慮する。さらなる不斉炭素原子が、アルキル基のような置換基に存在し得る。全てのかかる異性体、ならびにそれらの混合物は、本発明に包含されると意図される。ここに記載の化合物は不斉中心を有し得る。不斉に置換された原子を含む本発明の化合物は、光学活性またはラセミ形態で単離し得る。ラセミ形態の分割または光学活性出発物質からの合成によるなど、光学活性形態をどのように製造するかは当分野で周知である。必要であれば、ラセミ物質の分割を、当分野で既知の方法により達成できる。オレフィン類、C=N二重結合などの多くの幾何異性体がここに記載の化合物においてまた存在でき、そしてかかる安定な異性体は本発明において意図される。本発明の化合物のcisおよびtrans幾何異性体を記載し、異性体の混合物としてまたは分離された異性体形態として単離し得る。ある構造の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態および全ての幾何異性体形態が、具体的立体化学または異性体形態が特に示されない限り、意図される。
【0039】
ある置換基への結合が、環内の2個の原子を繋ぐ結合を交差して記載されているならば、かかる置換基は、該環上の任意の原子に結合してよい。置換基が、かかる置換基がある式の化合物の残りにどの原子を介して結合するかの指示なく記載されているならば、かかる置換基は、その置換基内の任意の原子を介して結合してよい。置換基および/または可変基の組み合わせは、かかる組み合わせが安定な化合物をもたらすときのみ可能である。
【0040】
環構造内に円が示されているとき、すなわち
【化3】

であるとき、それは、該環系がアリールまたはヘテロアリールであることを示す。
【0041】
ここで使用される、語句“保護基”は、反応性の可能性のある官能基を望まない化学変換から保護する一時的置換基を意味する。かかる保護基の例は、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびに、アルデヒドおよびケトン各々のアセタールおよびケタールを含む。保護基化学の分野はレビューされている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd ed.; Wiley: New York, 1999)。
【0042】
ここで使用される、“薬学的に許容される”は、通常の医学的判断の範囲内で、合理的な利益/危険比と釣り合った、過剰の毒性、刺激、アレルギー性応答および他の問題となる合併症なしに哺乳動物、特にヒトの組織と接触するのに適する、化合物、物質、組成物および/または投与形態を意味する。
【0043】
ここで使用される、“薬学的に許容される塩”は、親化合物がその酸または塩基塩の形成により修飾されている記載された化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例は、アミンのような塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸のような酸性残基のアルカリまたは有機塩;などを含み、これに限定されない。薬学的に許容される塩は、例えば、非毒性無機または有機酸から形成された、親化合物の慣用の非毒性塩または第4級アンモニウム塩を含む。例えば、かかる慣用の非毒性塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などに由来する塩;および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などから製造される塩を含む。
【0044】
本発明の薬学的に許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から慣用の化学方法により合成できる。一般に、かかる塩は、遊離酸または塩基形態のこれらの化合物と化学量論量の適当な塩基または酸を、水中または有機溶媒中、またはこの2種の混合物中で反応させることにより製造できる;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418に見られ、その開示を引用により本明細書に包含させる。
【0045】
これらの化合物の製造方法は、引用により本明細書に包含させるWO2005/066163に記載の通り、当分野で既知である。
【0046】
ATM阻害剤:
“ATM阻害剤”はATMの活性を阻害できる全ての薬剤を意味する。ATM阻害剤はペプチド模倣薬、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、抗体またはATMと結合でき、活性を阻害できる任意の他の薬剤であり得る。一例として、ATM阻害剤は抗体である。他の例では、ATM阻害剤は小分子である。例えば、ATM小分子阻害剤は公開PCT公報、WO03/070726(引用により本明細書に包含)に記載のように、先に記載されている。ATM阻害剤は次の一般的構造を有する:
【化4】

【0047】
その広いクラスの化合物からのさらなるATM阻害剤は公開PCT公報、WO2005/016919(引用により本明細書に包含)に記載されている。WO03/070726およびWO2005/016919に記載のATM阻害剤は、細胞を電離放射線またはDNA二本鎖切断化学療法に対して感作すること、およびレトロウイルス形質導入および複製を阻害することが示された。
【0048】
本発明の一つの局面において、ATM阻害剤は式(Ib):
【化5】

の化合物、およびその異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグから選択できる。式(I)の化合物は化学名:2−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−N−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−アセトアミドを有する。
【0049】
特に、式(Ib)の化合物の次の異性体が興味深い:
【化6】

【0050】
式(Ib(1))の化合物はcis形態、2−((2R,6S)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−N−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−アセトアミドである。式(Ib(2))の化合物の2種のジアステレオ異性体はtrans形態、2−((2S,6S)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−N−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−アセトアミドおよび2−((2R,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−N−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−アセトアミドである。
【0051】
これらの化合物の製造方法は、例えば、引用により本明細書に包含するPCT/GB2006/003230に記載の通り当分野で既知である。
【0052】
上記式(Ib)のATM阻害剤において使用する定義:
異性体、塩、溶媒和物、保護された形態、およびプロドラッグ
ある種の化合物は、1個以上の特定の幾何、光学、エナンチオマー、ジアステレオマー、エピマー、立体異性、互変異性体、配座、またはアノマー形態で存在でき、cisおよびtrans形態;EおよびZ形態;c、t、およびr形態;endoおよびexo形態;R、S、およびメソ形態;DおよびL形態;dおよびl形態;(+)および(−)形態;ケト、エノール、およびエノレート形態;synおよびanti形態;向斜および背斜形態;αおよびβ形態;軸結合および赤道結合形態;舟、椅子、螺旋、エンベロープ、および半椅子形態;およびそれらの形態を含み、これに限定されず、以後集合的に“異性体”(または“異性体形態”)と呼ぶ。
【0053】
互変異性体形態について次に記載する以外、ここで使用される用語“異性体”から特に除かれるのは、構造(または構成)異性体(すなわち単に空間の原子の位置によるよりむしろ原子間の結合が違う異性体)であることは注意すべきである。例えば、メトキシ基、OCHへの言及は、その構造異性体、ヒドロキシメチル基、CHOHへの言及と解釈してはならない。同様に、オルト−クロロフェニルへの言及は、その構造異性体、メタ−クロロフェニルへの言及と解釈してはならない。しかしながら、あるクラスの構造への言及は、そのクラス内に入る構造異性体形態も同様に含み得る(例えば、C1−7アルキルは、n−プロピルおよびイソプロピルを含む;ブチルはn−、イソ、sec−、およびtert−ブチルを含む;メトキシフェニルはオルト−、メタ−、およびパラ−メトキシフェニルを含む)。
【0054】
上記の除外は、例えば、次の互変異性対:ケト/エノール(下記に説明)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ(hyroxyazo)、およびニトロ/aci−ニトロにおけるような、互変異性体形態、例えば、ケト−、エノール−、およびエノラート形態には適用されない。
【化7】

【0055】
用語“異性体”に特に含まれるのは、1個以上の同位体置換を有する化合物であることに注意すべきである。例えば、HはH、H(D)、およびH(T)を含む何らかの同位体形態であってよく;Cは12C、13C、および14Cを含む何らかの同位体形態であってよく;Oは16Oおよび18Oを含む何らかの同位体形態であってよい;など。
【0056】
特記されない限り、特定の化合物への言及は、(完全なまたは部分的な)ラセミおよびそれらの他の混合物を含む、全てのかかる異性体形態を含む。それらの製造(例えば不斉合成)およびかかる異性体形態の分離(例えば、分別結晶およびクロマトグラフ手段)は当分野で既知であるか、ここに教示の方法、または既知の方法を、既知の手段で適合させることにより容易に得られる。
【0057】
本発明の第一の局面の化合物は、上記の通り式(I)の異性体を含む。例えば、2−((2S,6S)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−N−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−アセトアミドおよび2−((2R,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−N−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−アセトアミド。特に好ましいのは、2−((2R,6S)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−N−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−アセトアミドに対応する異性体形態である。
【0058】
特記されない限り、特定の化合物への言及はまた、例えば、下記の通り、そのイオン、塩、溶媒和物、および保護された形態も含む。
【0059】
活性化合物の対応する塩、例えば、薬学的に許容される塩の製造、精製および/または取り扱いが簡便であるか、または望まれるかもしれない。薬学的に許容される塩の例は、Berge, et al., J. Pharm. Sci., 66, 1-19 (1977)に記載されている。
【0060】
例えば、アニオン性であり得る本化合物の官能基を使用して、適当なカチオンと塩を形成できる。適当な無機カチオンの例は、アルカリ金属イオン、例えばNaおよびK、アルカリ土類カチオン、例えばCa2+およびMg2+、および他のカチオン、例えばAl3+を含み、これに限定されない。適当な有機カチオンの例は、アンモニウムイオン(すなわち、NH)および置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH、NHR、NR)を含み、これに限定されない。いくつかの適当な置換アンモニウムイオンの例は:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミン、ならびにアミノ酸、例えばリシンおよびアルギニン由来のものである。一般的な第4級アンモニウムイオンの例はN(CH)である。
【0061】
同様に、カチオン性であり得る本化合物の官能基を使用して、適当なアニオンと塩を形成できる。適当な無機アニオンの例は、次の無機酸由来のものを含み、これに限定されない:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、および亜燐酸。適当な有機アニオンの例は、次の有機酸由来のものを含み、これに限定されない:酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、乳酸、リンゴ酸、パモ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、安息香酸、桂皮酸、ピルビン酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセチル(acety)オキシ安息香酸、フマル酸、フェニルスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、パントテン酸、イセチオン酸、吉草酸、ラクトビオン酸、およびグルコン酸。適当なポリマーアニオンの例は、次のポリマー酸由来のものを含み、これに限定されない:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0062】
活性化合物の対応する溶媒和物の製造、精製および/または取り扱いが簡便であるか、または望まれるかもしれない。用語“溶媒和物”は、本明細書では、通常の意味で、溶質(例えば活性化合物、活性化合物の塩)および溶媒の複合体を言及するために使用する。溶媒が水ならば、溶媒和物は水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などと呼ぶのが便利であり得る。
【0063】
活性化合物の化学的に保護された形態の製造、精製および/または取り扱いが簡便であるか、または望まれるかもしれない。ここで使用される用語“化学的に保護された形態”は、1個以上の反応性官能基が望まない化学反応から保護されている、すなわち、保護されたまたは保護する基(マスクされたまたはマスクする基または遮断されたまたは遮断する基としても既知)の形である化合物に関する。反応性官能基の保護により、他の保護されていない反応性官能基が関与する反応が、該保護された基に影響することなく実施できる;保護基を、通常次の段階で、分子の残りに実質的に影響することなく除去し得る。例えば、Protective Groups in Organic Synthesis (T. Green and P. Wuts, Wiley, 1999)参照。
【0064】
例えば、アルデヒドまたは、ケトン基は、例えば、第1級アルコールとの反応により、カルボニル基(>C=O)がジエーテル(>C(OR))に変換された、アセタールまたはケタールとして各々保護され得る。アルデヒドまたはケトン基は、酸の存在下大過剰の水を使用した加水分解により容易に再生される。
【0065】
活性化合物のプロドラッグの形態の製造、精製および/または取り扱いが簡便であるか、または望まれるかもしれない。ここで使用される用語“プロドラッグ”は、代謝されたとき(例えばインビボで)、望む活性化合物を生じる化合物に関する。典型的に、プロドラッグは不活性であるか活性化合物より活性が低いが、有利な取り扱い、投与、または代謝特性を提供し得る。
【0066】
例えば、いくつかのプロドラッグは、活性化合物のエステル(例えば生理学的に許容される代謝を受けやすいエステル)である。代謝の間に、このエステル基は開裂されて、活性剤ををもたらす。
【0067】
また、いくつかのプロドラッグは酵素的に活性化されて活性化合物を、またはさらなる化学反応により活性化合物を生じる化合物をもたらす。例えば、プロドラッグは、糖誘導体または他のグリコシドコンジュゲートであってよく、またはアミノ酸エステル誘導体であってよい。
【0068】
頭字語
簡便のために、多くの化学部分を、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n−ブチル(nBu)、tert−ブチル(tBu)、n−ヘキシル(nHex)、シクロヘキシル(cHex)、フェニル(Ph)、ビフェニル(biPh)、ベンジル(Bn)、ナフチル(naph)、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、ベンゾイル(Bz)、アセチル(Ac)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppf)を含み、これに限定されない既知の略語を使用して表す。
【0069】
簡便のために、多くの化合物を、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(i−PrOH)、メチルエチルケトン(MEK)、エーテルまたはジエチルエーテル(EtO)、酢酸(AcOH)、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)を含み、これに限定されない既知の略語を使用して表す。
【0070】
CHKおよびATM組み合わせ物
用語“組み合わせ物”は、同時の、別々のまたは連続した投与を意味する。本発明の一つの局面において、“組み合わせ物”は同時投与を意味する。本発明の他の局面において、“組み合わせ物”は別々の投与を意味する。本発明のさらなる局面において、“組み合わせ物”は連続投与を意味する。投与が連続的または別々であるとき、第二の成分の投与の遅延は、組み合わせ物の相乗的および/または相加的効果の利益を失うようであってはならない。
【0071】
処置
癌が言及されているとき、それは、食道癌、骨髄腫、肝細胞、膵臓、子宮頚癌、ユーイング(ewings)腫瘍、神経芽腫、カポジ(kaposis)肉腫、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、黒色腫、肺癌 − 非小細胞肺癌(NSCLC)、および小細胞肺癌(SCLC)、胃癌、頭頚部癌、神経膠芽腫のような脳の癌、腎臓癌、リンパ腫、胃、子宮頸、結腸、甲状腺および皮膚癌および白血病の治療に関連し得る。本組み合わせ物または、急性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含むリンパ系造血性腫瘍、急性および慢性骨髄性白血病および前骨髄球性白血病を含む骨髄系譜の造血器腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫を含む間葉細胞起源の腫瘍;および黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫(tetratocarcinoma)、神経芽腫および神経膠腫を含む他の腫瘍の処置にも使用できる。
【0072】
癌の処置はまた確立された原発性の1個または複数個の腫瘍および発達中の原発性の1個または複数個の腫瘍の処置に関する。本発明の他の局面において、癌の処置は転移腫瘍の処置に関する。本発明の他の局面において、癌の処置は、確立された原発性の1個または複数個の腫瘍および発達中の原発性の1個または複数個の腫瘍の処置に関する。
【0073】
それ故、本発明によって、処置を必要とするヒトのような温血動物における癌の処置方法であって、該動物に有効量のCHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を有効量のATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、方法が提供される。
【0074】
本発明の一局面において、癌の処置に使用するための、ATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物と組み合わせた、CHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物が提供される。
【0075】
本発明の他の特性によって、ヒトのような温血動物における癌の処置に使用するための医薬の製造における、ATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせたCHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0076】
本発明のさらなる特性によって、ヒトのような温血動物の癌の処置に使用するための、ATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせたCHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0077】
本発明の他の局面は、癌治療における補助剤として、または腫瘍細胞を電離放射線または化学療法剤での処置に有効とするための(potentiating)、ATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせた、CHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0078】
本発明のさらなる局面は、対象にATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせてCHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、ATMおよび/またはCHK活性の阻害を提供する。
【0079】
本発明の他のさらなる局面は、対象にATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせてCHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、細胞増殖の阻害を提供する。
【0080】
医薬組成物は、例えば錠剤またはカプセル剤のような経口投与に適当な形、滅菌溶液、懸濁液またはエマルジョンのような非経腸注射(静脈内、皮下、筋肉内、脈管内または点滴を含む)に適当な形、軟膏剤またはクリーム剤のような局所投与に適当な形または坐薬のような直腸投与に適当な形であり得る。
【0081】
好ましくは、本組み合わせ物を別々に、交互に投与する。一つの態様において、ATM阻害剤を経口で投与し、CHK阻害剤を静脈内投与する。他の態様において、CHK阻害剤およびATM阻害剤を両方とも経口投与する。
【0082】
CHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、通常、温血動物に、1日1g以下の、しかし2.5mgを超える単位投与量で投与され、これが治療的有効投与量を提供すると期待される。しかしながら、1日投与量は、処置する宿主、特定の投与経路、および処置する病気の重症度により必然的に変わる。従って、最適投与量は、特定の患者を処置する医療従事者により決定され得る。特にCHKは、温血動物に、250mg/日未満の投与量で投与し得る。本発明の他の局面において、CHKは、温血動物に130mg/日未満の投与量で投与し得る。本発明のさらなる局面において、CHKは、温血動物に、50mg/日未満の投与量で投与し得る。
【0083】
ATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、通常、温血動物に、例えば、約20mg〜1gの活性成分の単位投与量で投与される。ATMは、50mg、100mg、250mgまたは500mgの活性成分を含む経口投与用の通常の錠剤に製剤できる。1日経口投与量が150mgを超える、例えば、150〜750mgの範囲、好ましくは200〜500mgの範囲であるのが好都合である。1回投与形態について、活性成分を、全組成物の約5〜約98重量パーセントで変化し得る適当かつ好都合な量の賦形剤と混合し得る。投与単位形態は、一般に約20mg〜約500mgの各活性成分を含む。しかしながら1日投与量は、処置する宿主、特定の投与経路、および処置する病気の重症度により必然的に変わる。従って、最適投与量は、特定の患者を処置する医療従事者により決定され得る。
【0084】
本発明のさらなる局面により、癌の処置に使用するための;上記のCHK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、および上記のATM阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;所望により使用のための指示書;を含むキットが提供される。
【実施例】
【0085】
CHK−ATM組み合わせ
組み合わせ実験を行い、CHK阻害剤、5−(3−フルオロ−フェニル)−3−ウレイド−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミドが、細胞をATM阻害剤、2−[(2,6)−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル]−N−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]アセトアミドに対して感作する能力を、細胞生存能エンドポイントを使用して評価した。
【0086】
選択した細胞株は、単剤として使用したとき、いずれかの化合物に相対的に非感受性である。具体的に、野生型p53を発現する細胞よりもCHK阻害に対してより感受性であることが予め決定されている、不活性p53を有する2種の細胞株を使用した。同時化合物添加および暴露対化合物の連続添加と続く暴露の効果を試験した。
【0087】
この試験に使用した細胞株は、変異p53を内因性に発現するSW620、およびドミナントネガティブp53を発現するように安定にトランスフェクトしたNCI−H460dnp53であった。細胞を96ウェルプレートに0日目に播種し、単剤または両剤で同時にのいずれかで1日目から開始して4日間処理した。連続投与に関して、CHK阻害剤を細胞に1日目の最初に24時間添加し、続いて2日目にATM阻害剤を添加し、両剤への暴露をさらに72時間続けた。CHK阻害剤を単剤として使用したときに活性がないことが予め分かっている一定濃度で使用した。細胞にATM阻害剤を投与し、完全用量応答曲線を作成した。各細胞株において使用した薬剤濃度の例について表1を参照のこと。これらの実験において、CHK阻害剤を手動で添加し、ATM阻害剤を自動化を使用して投与した。
【0088】
【表1】

【0089】
細胞生存能を、5日目にMTS比色アッセイを使用して測定した。組み合わせ物に対するATM阻害剤単独についての投与量(使用した薬剤濃度、uM)対影響を受けなかった画分(Fu)をプロットした。CHKの一定濃度についての複製点もプロットした。データを単剤と組み合わせ物の用量応答曲線を比較することにより分析した(表2および図1−6参照)。
【0090】
【表2】

*IC=阻害濃度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェックポイントキナーゼ(CHK)阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、および血管拡張性失調症変異(ATM)阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を含む、組み合わせ物。
【請求項2】
チェックポイントキナーゼ(CHK)阻害剤が、式(I):
【化1】

〔式中:
XはNH、SおよびOから選択され;
YはCHまたはNから選択され;
はシアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、−NR1112、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、およびヘテロシクリルから選択され(ただし、Rはチエニルではない);そして、Rは、所望により、1個以上の炭素原子上を1個以上のRで置換されていてよく;そして、該Rが−NH−部分を含むならば、該部分の窒素は所望によりR10から選択される基で置換されていてよく;
およびRは、互いに独立して、−C(=O)NR、−SONR1617、−NHC(=O)NHR、および−NHC(=NR)NHから選択され;
はH、OH、−NR1112、ベンジル、C1−6アルコキシ、シクロアルキル、シクロ(cylco)アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、メルカプト、CHO、−COアリール、−CO(C1−6アルキル)、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COアリール、−CONR3031、−Sアルキル、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−Sアリール、−SOアリール、−SOアリール、−SONR3031、および−(C1−6アルキル)SONR3031から選択され、ここで、Rは、所望により、1個以上の炭素原子上を1個以上のR15で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−部分を含むならば、その窒素は、所望によりR14から選択される基で置換されていてよく;
およびRは、互いに独立して、H、OH、OCH、C1−6アルコキシ、−NH、−NHCH、−N(CH)、(C1−3アルキル)NR1112、−CHCHOH、シクロアルキル、および少なくとも1個の窒素原子を含む5、6、または7員ヘテロシクリル環から選択されるか(ただし、RおよびRは両方ともHではない);あるいはRおよびRは、それらが結合しているNと一体となってヘテロ環式環を形成し;ここで、RおよびRは、互いに独立して、所望により、1個以上の炭素原子上を1個以上のR18で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−部分を含むならば、該部分の窒素は所望によりR19から選択される基で置換されていてよく;
はシアノ、イソシアノ、−SO(C1−6アルキル)、−SO−アリール;−SOシクロアルキル、−SOシクロアルケニル、−SOヘテロシクリル、およびCFから選択され;ここで、Rは、所望により、1個以上の炭素原子上を1個以上のR23で置換されていてよく;
、R15、R18、R23、R24およびR33は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;ここで、R、R15、R18、R23、R24およびR33は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR20で置換されていてよく、そして、NHまたはNHを含む任意の部分の窒素をR21で置換されていてよく;
10、R14、R19、R25およびR34は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;ここで、R10、R14、R19、R25およびR34は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR22で置換されていてよく、そしてNHまたはNHを含む任意の部分の窒素をR23で置換されていてよく;
11およびR12は、互いに独立して、H、C1−6アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル;あるいはR11およびR12は、それらが結合しているNと一体となってヘテロ環式環を形成し;ここで、R11およびR12は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR33で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−部分を含むならば、該部分の窒素は所望によりR34から選択される基で置換されていてよく;
16およびR17は、互いに独立して、H、OH、OCH、C1−6アルコキシ、NH、−NHCH、−N(CH)、(C1−3アルキル)NR1112、−CHCHOH、シクロアルキル、アリール、または少なくとも1個の窒素原子を含む5、6または7員ヘテロシクリル環から選択されるか(ただし、R16およびR17は両方ともHではない);あるいはR16およびR17は、それらが結合しているNと一体となって、所望により置換されていてよいヘテロ環式環を形成し;ここで、R16およびR17は、互いに独立して、所望により、1個以上の炭素原子上を1個以上のR24で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−部分を含むならば、該部分の窒素は所望によりR25から選択される基で置換されていてよく;
20、R22およびR32は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;ここで、R20、R21およびR32は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR26で置換されていてよく、そして、NHまたはNHを含む任意の部分の窒素をR27で置換されていてよく;
21、23およびR35は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;ここで、R21、R23およびR35は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR28で置換されていてよく、そして、NHを含む任意の部分の窒素をR29で置換されていてよく;
26およびR28は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;
27およびR29は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NR3031、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR3031、−N(C1−6アルキル)CONR3031、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SONR3031から選択され;
30およびR31は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、−NH、シアノ、イソシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ケト(=O)、−O(C1−6アルキル)、−Oアリール、−OCOアルキル、−NHCHO、−N(C1−6アルキル)CHO、−NHCONR1112、−N(C1−6アルキル)CONR1112、−NHCOアルキル、−NHCO(C1−6アルキル);−NHCOH、−N(C1−6アルキル)CO(C1−6アルキル)、−NHSO(C1−6アルキル)、カルボキシ、−アミジノ、−CHO、−CONR3031、−CO(C1−6アルキル)、−COヘテロシクリル、−COシクロアルキル、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−CO(アリール)、−CO(NR3031)、メルカプト、−S(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、−SO2NR1112から選択され;ここで、R30およびR31は、互いに独立して、所望により炭素上を1個以上のR32で置換されていてよく;そして、該ヘテロシクリルが−NH−またはNH部分を含むならば、該部分の窒素は所望によりR35から選択される基で置換されていてよい。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の組み合わせ物;
ただし、XがSであり;YがCHであり;RがC(=O)NRであり;そしてRがNHC(=O)NHRであるならば;R
【化2】

(式中、RはH、所望により置換されていてよいカルボシクリル、または所望により置換されていてよいC1−6アルキルである)
ではなく;さらに、該化合物は
5−メチル−2−ウレイド−チオフェン−3−カルボン酸(1−エチル−ピペリジン−3−イル)−アミド;
[3−((S)−3−アミノ−アゼパン−1−カルボニル)−5−エチル−チオフェン−2−イル]−ウレア;
2−モルホリン−4−イル−4−ウレイド−チアゾール−5−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
2−メチル−5−ウレイド−オキサゾール−4−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−3−{3−[(R)−1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−ピペリジン−3−イル]−ウレイド}−チオフェン−2−カルボン酸(S)−ピペリジン−3−イルアミド;または
N−(3−{[(3S)−3−アミノアゼパン−1−イル]カルボニル}−5−ピリジン−2−イル−2−チエニル)ウレア;
またはその薬学的に許容される塩ではない。
【請求項3】
ATMが(Ib):
【化3】

の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1または2に記載の組み合わせ物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の組み合わせ物を薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項5】
処置を必要とするヒトのような温血動物における癌の処置方法であって、該動物に、有効量の請求項1〜3のいずれかに記載の組み合わせ物を投与することを含む、方法。
【請求項6】
医薬として使用するための、請求項1〜3のいずれかに記載の組み合わせ物。
【請求項7】
ヒトのような温血動物における癌の処置に使用するための医薬の製造における、請求項1〜3のいずれかに記載の組み合わせ物の使用。
【請求項8】
癌の処置に使用するための、請求項1〜3のいずれかに記載の組み合わせ物を含む、組み合わせ物。
【請求項9】
癌が食道癌、骨髄腫、肝細胞、膵臓、子宮頚部癌、ユーイング(ewings)腫瘍、神経芽腫、カポジ(kaposis)肉腫、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、黒色腫、肺癌 − 非小細胞肺癌(NSCLC)、および小細胞肺癌(SCLC)、胃癌、頭頚部癌、脳の癌、腎臓癌、リンパ腫および白血病である、請求項4〜8のいずれかに記載の方法または使用または組み合わせ物。
【請求項10】
癌が転移状態にある、請求項9に記載の方法または使用または組み合わせ物。
【請求項11】
癌が非転移状態にある、請求項9に記載の方法または使用または組み合わせ物。
【請求項12】
癌が、骨転移を生じている腎臓、甲状腺、肺、乳または前立腺癌である、請求項9に記載の方法または使用または組み合わせ物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−527982(P2010−527982A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508910(P2010−508910)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050373
【国際公開番号】WO2008/146036
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】