説明

癌関連遺伝子LY6K

LY6Kは、肺癌及び食道癌などの癌の診断に有用な、有望なバイオマーカーとして本明細書において同定される。同様に、これら疾患を有する患者の予後予測にも有用である。本明細書において詳細に述べられているように、LY6Kは試験されたほとんどの肺癌及び食道癌組織において特異的に過剰発現しており、これらの腫瘍を有する患者の大部分の血清中で上昇している。従って、LY6Kは、癌の診断の感度を有意に改善するため、その他の腫瘍マーカーと組み合わせて使用してもよい。LY6Kに対する低分子干渉RNA(siRNA)が癌細胞の増殖を抑制するという事実によって示されるように、LY6KはESCC細胞の治療において使用されてもよい。さらに、LY6K分子はまた、抗体治療など、新規治療方法の開発の有力な候補である。



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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象由来の生体試料におけるLY6Kの発現レベルを検出する段階を含む、対象において食道癌又は食道癌を発症する素因を診断するための方法であって、該遺伝子の正常対照発現レベルと比較して該試料の発現レベルが増大していることにより、該対象が食道癌に罹患しているか又は食道癌の発症リスクを有することが示される方法。
【請求項2】
試料の発現レベルが正常対照レベルを少なくとも10%上回る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
食道癌が食道扁平上皮癌である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
生体試料が上皮細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
生体試料が食道癌細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
生体試料が食道癌由来の上皮細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
遺伝子発現レベルが、以下からなる群より選択される方法により決定される、請求項1記載の方法:
(a) LY6KのmRNAの検出、
(b) LY6K遺伝子によってコードされるタンパク質の検出、及び
(c) LY6Kによってコードされるタンパク質の生物学的活性の検出。
【請求項8】
肺癌又は食道癌を治療又は予防するための化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
(a) 試験化合物とLY6Kによってコードされるポリペプチドを接触させる段階;
(b) 該ポリペプチドと試験化合物との間の結合活性を検出する段階;及び
(c) 該ポリペプチドに結合する試験化合物を選択する段階。
【請求項9】
肺癌又は食道癌を治療又は予防するための化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
(a) 候補化合物をLY6Kを発現する細胞と接触させる段階;並びに
(b) 候補化合物の非存在下で検出される発現レベルと比較して、LY6Kの発現レベルを低下させる候補化合物を選択する段階。
【請求項10】
細胞が肺癌細胞又は食道癌細胞を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
肺癌又は食道癌を治療又は予防するための化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
(a) 試験化合物をLY6Kによってコードされるポリペプチドと接触させる段階;
(b) 段階(a)のポリペプチドの生物学的活性を検出する段階;並びに
(c) 試験化合物の非存在下で検出される該ポリペプチドの生物学的活性と比較して、LY6Kによってコードされるポリペプチドの生物学的活性を抑制する試験化合物を選択する段階。
【請求項12】
ポリペプチドの生物学的活性が細胞増殖活性である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
肺癌又は食道癌を治療又は予防するための化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
(a) 候補化合物を、LY6Kの転写調節領域及び該転写調節領域の制御下で発現される
レポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と接触させる段階;
(b) 該レポーター遺伝子の発現レベル又は活性を測定する段階;並びに
(c) 候補化合物の非存在下で検出される発現レベル又は活性と比較して、該レポーター遺伝子の発現レベル又は活性を低下させる候補化合物を選択する段階。
【請求項14】
対象における食道癌を治療又は予防する方法であって、LY6Kのコード配列に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス組成物を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項15】
対象における食道癌を治療又は予防するための方法であって、LY6Kによってコードされるタンパク質に結合する抗体、又はその免疫学的活性断片の薬学的有効量を、該対象に投与する段階を含む方法。
【請求項16】
LY6Kに対するアンチセンスポリヌクレオチドの薬学的有効量を含む、食道癌を治療又は予防するための組成物。
【請求項17】
LY6Kによってコードされるタンパク質に結合する抗体又はその免疫学的活性断片の薬学的有効量を含む、食道癌を治療又は予防するための組成物。
【請求項18】
対象における癌を診断するための方法であって、以下の段階を含む方法:
(a) 診断される対象から血液試料を採集する段階;
(b) 血液試料中のLY6Kレベルを決定する段階;
(c) 段階(b)で決定されたLY6Kレベルを正常対照のLY6Kレベルと比較する段階;及び
(d) 正常対照と比較して血液試料中のLY6Kレベルが高いことが、該対象が癌に罹患していることを示すと判定する段階。
【請求項19】
癌が食道癌及び/又は肺癌である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
血液試料が全血、血清及び血漿からなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
LY6Kレベルが血清中のLY6Kタンパク質の検出によって決定される、請求項18記載の方法。
【請求項22】
LY6Kタンパク質が免疫測定法によって検出される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
免疫測定法が、LY6Kタンパク質と、LY6Kタンパク質のSEQ ID NO: 18又はSEQ ID NO:19のアミノ酸配列において該タンパク質に結合する抗体とを結合させる段階を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
免疫測定法がELISAである、請求項22記載の方法。
【請求項25】
ELISAがサンドイッチ法である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
(e) 血液試料における1つ又は複数のその他の癌関連タンパク質のレベルを決定する
段階;
(f) 段階(e)において決定されたタンパク質レベルを正常対照レベルと比較する段階;
並びに
(g) 正常対照と比較して血液試料におけるその他の癌関連タンパク質レベルが高いことにより対象が癌に罹患していることが示されると判断する段階、
をさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項27】
癌関連タンパク質がCEA及びCYFRA21-1の一方又は両方である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
(a) 血液試料におけるLY6Kレベルを決定するための免疫測定試薬;及び
(b) LY6Kに対する陽性対照試料
を含む、癌を検出するためのキット。
【請求項29】
癌が食道癌及び/又は肺癌である、請求項28記載のキット。
【請求項30】
陽性対照試料がLY6Kに対して陽性である、請求項29記載のキット。
【請求項31】
陽性対照試料が液体形態である、請求項30記載のキット。
【請求項32】
陽性対照試料が正常レベルより高いLY6Kを含む血液試料である、請求項31記載のキット。
【請求項33】
免疫測定試薬が、SEQ ID NO: 18又は19を含むアミノ酸配列を認識する抗体である、請求項28記載のキット。
【請求項34】
(c) 血液試料における1つ又は複数のその他の癌関連タンパク質のレベルを決定するための免疫測定試薬;並びに
(d) その他の癌関連タンパク質に対する陽性対照
をさらに含む、請求項28記載のキット。
【請求項35】
癌関連タンパク質がCEA及びCYFRA21-1の一方又は両方である、請求項34記載のキット。
【請求項36】
以下の段階を含む、がん患者の予後を評価するための方法:
(a) 患者由来の生体試料におけるLY6K遺伝子の発現レベルを検出する段階;
(b) 検出した発現レベルを対照レベルと比較する段階;及び
(c) 段階(b)の比較に基づいて患者の予後を判定する段階。
【請求項37】
対照レベルが予後良好の対照レベルであり、対照レベルと比較して増大した発現レベルが予後不良と判定される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
増大が対照レベルを少なくとも10%上回る、請求項37記載の方法。
【請求項39】
発現レベルが、以下からなる群より選択されるいずれか一つの方法によって決定される、請求項36記載の方法:
(a) LY6K遺伝子のmRNAの検出;
(b) LY6Kタンパク質の検出;及び
(c) LY6Kタンパク質の生物学的活性の検出。
【請求項40】
プローブとLY6K遺伝子の遺伝子転写物とのハイブリダイゼーションの検出によって発現レベルが決定される、請求項36記載の方法。
【請求項41】
ハイブリダイゼーション段階がDNAアレイ上で行われる、請求項40記載の方法。
【請求項42】
LY6K遺伝子の発現レベルとLY6Kタンパク質に対する抗体の結合とを関連づけることによって発現レベルが決定される、請求項36記載の方法。
【請求項43】
抗体がSEQ ID NO: 18又は19を含むアミノ酸配列を認識する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
生体試料が痰又は血液を含む、請求項36記載の方法。
【請求項45】
癌が食道癌及び/又は肺癌である、請求項36記載の方法。
【請求項46】
以下からなる群より選択される試薬を含む、癌患者の予後を評価するためのキット:
(a) LY6K遺伝子のmRNAを検出するための試薬;
(b) LY6Kタンパク質を検出するための試薬;及び
(c) LY6Kタンパク質の生物学的活性を検出するための試薬。
【請求項47】
試薬がLY6Kタンパク質に対する抗体である、請求項46記載のキット。
【請求項48】
抗体がSEQ ID NO: 18又は19を含むアミノ酸配列を認識する、請求項47記載のキット。
【請求項49】
癌が食道癌及び/又は肺癌である、請求項46記載のキット。
【請求項50】
LY6K低分子干渉RNA(siRNA)組成物を対象に投与する段階を含む、対象における食道癌及び/又は非小細胞肺癌を治療又は予防するための方法。
【請求項51】
LY6K siRNAがSEQ ID NO: 11のヌクレオチド配列を標的配列として含む、請求項50記載の方法。
【請求項52】
siRNAが一般式5’-[A]-[B]-[A’]-3を有し、式中、[A]がSEQ ID NO: 11のヌクレオチド配列に対応するリボヌクレオチド配列であり;[B]が3〜23ヌクレオチドからなるリボヌクレオチド配列であり;かつ[A’]が[A]に相補的なリボヌクレオチド配列である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
センス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖分子であって、センス鎖がSEQ ID NO: 11の全配列又は部分的配列を含むLY6K標的配列に対応するリボヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖が該センス鎖に相補的なリボヌクレオチド配列を含み、該センス鎖及び該アンチセンス鎖が互いにハイブリダイズして該二本鎖分子を形成し、LY6K遺伝子を発現する細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害する、二本鎖分子。
【請求項54】
LY6K標的配列がSEQ ID NO: 11のヌクレオチド配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、請求項53記載の二本鎖分子。
【請求項55】
LY6K標的配列がSEQ ID NO: 1のヌクレオチド配列の約19〜25個の連続したヌクレオチドを含む、請求項53記載の二本鎖分子。
【請求項56】
二本鎖分子が、一本鎖リボヌクレオチド配列を介して連結したセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む単一のリボヌクレオチド転写物である、請求項53記載の二本鎖分子。
【請求項57】
二本鎖分子が約19〜25ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドである、請求項53記載の二本鎖ポリヌクレオチド。
【請求項58】
請求項53記載の二本鎖分子をコードするベクター。
【請求項59】
ベクターがセンス鎖及びアンチセンス鎖を連結する一本鎖リボヌクレオチドをさらに含む転写物をコードする、請求項58記載のベクター。
【請求項60】
センス鎖核酸とアンチセンス鎖核酸の組み合わせを含むポリヌクレオチドを含むベクターであって、該センス鎖核酸がSEQ ID NO: 11を含み、かつ該アンチセンス鎖核酸がセンス鎖に相補的な配列からなる、請求項58記載のベクター。
【請求項61】
ポリヌクレオチドが一般式5’-[A]-[B]-[A’]-3’を有し、式中、[A]がSEQ ID NO: 11のヌクレオチド配列であり;[B]が3〜23ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり;かつ[A’]が[A]に相補的なヌクレオチド配列である、請求項60記載のベクター。
【請求項62】
活性成分としてのLY6K低分子干渉RNA(siRNA)の薬学的有効量、及び薬学的に許容される担体を含む、非小細胞肺癌及び食道癌のいずれか一方あるいは両方を治療又は予防するための薬学的組成物。
【請求項63】
LY6K siRNAがSEQ ID NO: 11のヌクレオチド配列を標的配列として含む、請求項62記載の薬学的組成物。
【請求項64】
siRNAが一般式5’-[A]-[B]-[A’]-3’を有し、式中、[A]がSEQ ID NO: 11のヌクレオチド配列に対応するリボヌクレオチド配列であり;[B]が3〜23ヌクレオチドからなるリボヌクレオチド配列であり;かつ[A’]が[A]に相補的なリボヌクレオチド配列である、請求項63記載の組成物。
【請求項65】
非小細胞肺癌及び食道癌のいずれか一方又は両方を治療又は予防するためのLY6Kタンパク質、又は該タンパク質をコードするLY6K遺伝子。
【請求項66】
非小細胞肺癌及び食道癌のいずれか一方又は両方を治療又は予防するためのsiRNA、又は該siRNAを発現するベクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−535014(P2010−535014A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504318(P2010−504318)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/JP2007/001281
【国際公開番号】WO2009/016691
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】