説明

発光デバイス用セルの製造方法及び発光デバイスの製造方法

【課題】内部空間の厚みむらが小さい発光デバイス用セルを高い生産効率で好適に製造できる方法を提供する。
【解決手段】間隔をおいて互いに対向して配された一対のガラス板母材21,24の間にガラス製の融着部構成部材25を格子状に設ける。融着部構成部材25と一対のガラス板母材21,24のそれぞれとを融着させることにより、格子状の融着部26を有するセル母材30を作製する。格子状の融着部26の行方向及び列方向のそれぞれに沿ってセル母材30を切断することにより、発光デバイス1を複数作製する。格子状の融着部構成部材25の第1の方向に沿って延びる部分をガラスリボン22により構成し、第2の方向に沿って延びる部分をガラスペーストにより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイス用セルの製造方法及び発光デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、量子ドットや蛍光体などの発光材料を用いた発光デバイスが知られている(例えば特許文献1を参照)。このような発光デバイスでは、通常、発光材料は、セル内に封入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−533976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光デバイスの発光強度は、セル内に形成された発光材料封入用の内部空間の厚みと相関する。具体的には、セルの内部空間が厚くなるほど発光デバイスの発光強度が高くなる。このため、発光デバイスにおける発光強度むらを小さくする観点からは、発光デバイス用セルの内部空間の厚みむらを小さくする必要がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部空間の厚みむらが小さい発光デバイス用セルを高い生産効率で好適に製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光デバイス用セルの製造方法は、間隔をおいて互いに対向して配された一対のガラス板と、一対のガラス板の周縁部間に配されており、一対のガラス板のそれぞれに融着しているガラス製の融着部とを備える発光デバイス用セルの製造方法に関する。本発明に係る発光デバイス用セルの製造方法では、間隔をおいて互いに対向して配された一対のガラス板母材の間にガラス製の融着部構成部材を格子状に設ける。融着部構成部材と一対のガラス板母材のそれぞれとを融着させることにより、格子状の融着部を有するセル母材を作製する。格子状の融着部の行方向及び列方向のそれぞれに沿ってセル母材を切断することにより、発光デバイスを複数作製する。格子状の融着部構成部材の第1の方向に沿って延びる部分をガラスリボンにより構成し、第2の方向に沿って延びる部分をガラスペーストにより構成する。
【0007】
一対のガラス板母材の一方の上に、ガラスリボンを第1の方向に沿って配置すると共に、ガラスペーストを第2の方向に沿って塗布することにより融着部構成部材を形成してもよい。
【0008】
ガラスペーストをガラスリボンの上にも塗布してもよい。
【0009】
ガラスペーストをガラスリボンの上には塗布しないようにしてもよい。
【0010】
本発明に係る発光デバイスの製造方法では、上記本発明に係る発光デバイス用セルの製造方法により複数の発光デバイス用セルを作製する。複数の発光デバイス用セルのそれぞれに発光材料を注入する。
【0011】
発光材料として無機蛍光体からなるものを用いることが好ましい。無機蛍光体として、量子ドットを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内部空間の厚みむらが小さい発光デバイス用セルを高い生産効率で好適に製造できる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態において製造する発光デバイスの略図的斜視図である。
【図2】第1の実施形態において製造する発光デバイスの略図的平面図である。
【図3】図2の線III−IIIにおける略図的断面図である。
【図4】第1の実施形態における発光デバイス用セルの製造工程を説明するための略図的平面図である。
【図5】第1の実施形態における発光デバイス用セルの製造工程を説明するための略図的平面図である。
【図6】図5の線VI−VIにおける略図的断面図である。
【図7】第1の実施形態における発光デバイス用セルの製造工程を説明するための略図的平面図である。
【図8】第2の実施形態における発光デバイス用セルの製造工程を説明するための略図的平面図である。
【図9】第2の実施形態における発光デバイス用セルの製造工程を説明するための略図的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0015】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0016】
(第1の実施形態)
(発光デバイス1の構成)
図1は、第1の実施形態において製造する発光デバイスの略図的斜視図である。図2は、第1の実施形態において製造する発光デバイスの略図的平面図である。図3は、図2の線III−IIIにおける略図的断面図である。
【0017】
まず、図1〜図3を参照しながら、本実施形態において製造する発光デバイスの構成について説明する。
【0018】
発光デバイス1は、励起光が入射したときに励起光とは異なる波長の光を出射するデバイスである。発光デバイス1は、励起光の一部を透過させ、励起光と励起光の照射により生じた光との混合光を出射するものであってもよい。
【0019】
発光デバイス1は、セル10を有する。図2及び図3に示すように、セル10は、内部空間10aを有する。内部空間10aには、発光材料11が封入されている。具体的には、内部空間10a内には、発光体が分散媒中に分散した発光材料11が封入されている。
【0020】
なお、発光材料の種類は特に限定されない。発光体としては、例えば無機蛍光体、有機蛍光体などの蛍光体が挙げられる。これらの中でも無機蛍光体が好ましい。
【0021】
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の可視光(波長が440nm〜480nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Sr(POCl:Eu2+、(Sr,Ba)MgAl1017:Eu2+などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、SrAl:Eu2+、SrGa:Eu2+などが挙げられる。波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、SrAl:Eu2+、SrGa:Eu2+などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、ZnS:Eu2+などが挙げられる。波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Y(Al,Gd)12:Ce2+などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、GdGa12:Cr3+、CaGa:Mn2+などが挙げられる。波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、MgTiO:Mn4+、KSiF:Mn4+などが挙げられる。なお、無機蛍光体は、粒子径が5μm〜50μm程度のものを用いることができる。
【0022】
また、無機蛍光体は、量子ドットであってもよい。量子ドットは、励起光が入射したときに、励起光とは異なる波長の光を出射するものである。量子ドットから出射される光の波長は、量子ドットの粒子径に依存する。すなわち、量子ドットの粒子径を変化させることにより得られる光の波長を調整することができる。このため、量子ドットの粒子径は、得ようとする光の波長に応じた粒子径とされている。量子ドットは、一般に酸素との接触により劣化が生じ易い。
【0023】
量子ドットは、例えば、粒子径が2nm〜10nm程度のものを用いることができる。例えば、波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の可視光(波長が440nm〜480nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が2.0nm〜3.0nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.0nm〜3.3nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.3nm〜4.5nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が4.5nm〜10nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。
【0024】
内部空間10a内には、励起光の波長域や発光させたい色に合わせて、1種類または複数種類の発光体が封入されていてもよい。例えば、紫外〜近紫外の励起光を照射して、演色性に優れた白色光を得たい場合は、紫外〜近紫外の励起光の照射により、青色、緑色及び赤色の可視光(蛍光)を発する発光体を混合して使用すればよい。また、青色の励起光を照射して、演色性に優れた白色光を得たい場合は、青色の励起光の照射により、緑色及び赤色の可視光(蛍光)を発する発光体を混合して使用すればよい。
【0025】
分散媒は、発光体を好適に分散できるものである限りにおいて特に限定されない。分散媒は、液体であってもよいし、樹脂やガラス等であってもよい。
【0026】
図3に示すように、セル10は、一対のガラス板12,13を備えている。一対のガラス板12,13は、間隔をおいて互いに対向して配置されている。ガラス板12とガラス板13とは、平行である。なお、ガラス板12,13の両方が内部空間10aに封入された発光材料11に含まれる発光体の励起光及び発光を透過させるものである必要は必ずしもないが、ガラス板12,13の少なくとも一方は、発光体の発光を透過させるものであり、また、ガラス板12,13の少なくとも一方は、発光体の励起光を透過させるものである必要がある。例えば、ガラス板12が励起光を透過させるものであり、ガラス板13が発光を透過させるものであってもよい。
【0027】
ガラス板12,13は、耐候性に優れており、かつ量子ドットや分散媒と反応し難いものであることが好ましい。ガラス板12,13は、例えば、珪酸塩系ガラス等により形成することができる。なお、ガラス板12,13は、結晶化ガラス板であってもよい。
【0028】
ガラス板12,13の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5〜2.0mm程度とすることができる。
【0029】
ガラス板12,13の周縁部間には、ガラス製の融着部14(図示せず)が配されている。この融着部14は、ガラス板12,13のそれぞれに融着している。これら融着部14及びガラス板12,13によって、発光材料11を封入するための内部空間10aが区画形成されている。
【0030】
なお、発光材料11は、セル10に形成されており、内部空間10aに連通している連通孔10bを経由して内部空間10a内に封入される。連通孔10bは、封止材15により封止されている。
【0031】
(発光デバイス1の製造方法)
図4、図5及び図7は、第1の実施形態における発光デバイス用セルの製造工程を説明するための略図的平面図である。図6は、図5の線VI−VIにおける略図的断面図である。
【0032】
次に、主として図4〜図7を参照しながら、発光デバイス1の製造方法について説明する。
【0033】
まず、2枚のガラス板母材21,24(例えば図6を参照)を用意する。このガラス板母材21,24は、複数のガラス板12,13を構成するためのものである。
【0034】
次に、図4に示すように、ガラス板母材21の上に、ガラスリボン22を配置すると共に、ガラスペーストを印刷し、ガラスペースト層23を形成する。具体的には、y方向に沿って延びる複数のガラスリボン22を、y方向に垂直なx方向に沿って等間隔に配置する。それと共に、x方向に沿って延びる複数のガラスペースト層23を、ガラスペースト層23とガラスリボン22とで空間が包囲されるように配置する。なお、本実施形態では、ガラスペーストをガラスリボン22の上には塗布せず、ガラスペースト層23をガラスリボン22と重ならないように設ける。また、ガラスペースト層23のx1側端部とガラスリボン22との間に、連通孔10bを構成するための隙間が形成されるようにする。
【0035】
なお、ガラスリボンは、珪酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、結晶化ガラスなどのガラスからなるものを用いることができる。また、ガラス板12,13と異なる種類のガラスからなるものであってもよいが、ガラス板12,13と同種のガラスからなるものであることが好ましい。そうすることにより、ガラス板12,13とガラスリボンとの熱膨張率を同じにすることができる。従って、セル10に熱が加わったときのセル10の変形を抑制することができる。
【0036】
また、ガラスペースト層23の形成に使用されるガラスペーストは、ガラス粉末を含むものである限りにおいて特に限定されない。ガラスペーストは、スズ−リン酸系ガラスやビスマス系ガラス等からなるガラス粉末を含む。なお、ガラス粉末には光吸収剤を含有させてもよい。また、ガラス粉末に加えて、溶剤やアルミナ、チタニア、ジルコニア等からなるセラミック粉末が含まれていてもよい。ガラス粉末に加えて、溶剤やセラミック粉末等をさらに含むものであってもよい。
【0037】
次に、図5及び図6に示すように、ガラス板母材21の上に、ガラスリボン22及びガラスペースト層23を介してガラス板母材24を配置する。
【0038】
以上の工程により、間隔をおいて互いに対向して配された一対のガラス板母材21,24の間に、ガラスリボン22及びガラスペースト層23により構成された格子状の融着部構成部材25を配置する。格子状の融着部構成部材25のy方向に沿って延びる部分は、ガラスリボン22により構成されており、x方向に沿って延びる部分は、ガラスペーストにより形成されたガラスペースト層23により構成されている。
【0039】
次に、ガラス板母材21,24のそれぞれと、融着部構成部材25との少なくとも一方に、レーザー光を照射する等して加熱することによって、ガラス板母材21,24のそれぞれと、融着部構成部材25とを融着させる。これにより、図7に示すように、格子状の融着部26と、ガラス板母材21,24により構成されており、内部空間10aを複数有するセル母材30を作製する。
【0040】
なお、融着部構成部材25のうち、ガラスリボン22により構成されている部分の全体をガラス板母材21,24と融着させてもよいし、一部のみをガラス板母材21,24と融着させてもよい。融着部構成部材25のうち、ガラスリボン22により構成されている部分の一部のみをガラス板母材21,24と融着させた場合、ガラスリボン22の融着されなかった部分がスペーサとして機能する。このため、内部空間10aの厚みをより高精度に制御することができる。
【0041】
次に、融着部26の行方向及び列方向であるx方向及びy方向のそれぞれに沿っており、且つ、セル母材30の融着部26が設けられた部分を通過するカッティングラインL1,L2に沿ってセル母材30を切断する。これにより、図1〜図3に示すセル10を複数作製する。なお、このセル母材30の切断は、例えば、ダイヤモンドカッターを用いて行うこともできるし、ダイシングにより行うこともできる。なかでも、本実施形態のセル母材30の切断は、ダイシングにより行うことが好ましい。
【0042】
次に、複数作製したセル10のそれぞれの内部空間10aに発光材料11を注入し、封止材15により封止することにより発光材料11の封入を行う。発光材料11の注入は、例えば、2つある連通孔10bの内、1つを封止材15により封止し、その後、内部空間10aを減圧雰囲気にした状態で、発光材料11が分散した液体を内部空間10aに供給することにより行うことができる。
【0043】
このように、本実施形態では、複数の発光デバイス用のセル10の作製を並行して行うことができる。従って、多数の発光デバイス1を効率的に製造することができる。
【0044】
ところで、発光デバイス用のセルの製造に際しては、x方向に沿って延びる複数のガラスリボンをy方向に沿って複数配置すると共に、y方向に沿って延びる複数のガラスリボンをx方向に沿って複数配置し、ガラスリボンのみによって融着部構成部材を構成することも考えられる。しかしながら、この場合は、x方向に沿って延びるガラスリボンとy方向に沿って延びるガラスリボンとが重なった部分が、x方向に沿って延びるガラスリボンまたはy方向に沿って延びるガラスリボンのみからなる部分よりも厚くなる。このため、内部空間10aの厚みむらが生じたり、ガラス板母材21,24が変形したりする虞がある。
【0045】
それに対して本実施形態では、融着部構成部材25のy方向に沿って延びる部分をガラスリボン22によって構成し、x方向に沿って延びる部分は、ガラスペーストにより構成する。このため、融着部構成部材25の厚みむらを小さくすることができる。よって、内部空間10aの厚みむらも小さくすることができる。その結果、製造される発光デバイス1の発光強度の面内むらを小さくすることができる。
【0046】
すなわち、本実施形態の製造方法によれば、発光強度むらが小さい発光デバイスを高い生産効率で好適に製造することができる。
【0047】
内部空間10aの厚みむらをより小さくする観点からは、本実施形態のように、ガラスペーストをガラスリボン22の上には塗布しないようにすることがより好ましい。但し、本発明は、これに限定されない。ガラスペーストをガラスリボン22の上に塗布してもよい。この場合であっても、ガラスペースト層23であれば流動性が高く、変形しやすいため、厚みむらが小さい融着部構成部材25を得ることができる。従って、ガラスペーストをガラスリボン22の上にも塗布した場合であっても、内部空間10aの厚みむらを小さくすることができる。
【0048】
以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0049】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態における発光デバイス用セルの製造工程を説明するための略図的平面図である。図9は、第2の実施形態における発光デバイス用セルの製造工程を説明するための略図的平面図である。
【0050】
第2の実施形態においては、図8に示すように、ガラスリボン22を、xy方向に相互に間隔をおいて配列された2本のガラスリボン22a、22bにより構成する。また、ガラスペースト層23を、yx方向に相互に間隔をおいて形成された2つのガラスペースト層23a、23bにより構成する。このため、図9に示すように、融着部構成部材25の中央部にはガラスが存在しない。本実施形態では、この融着部構成部材25のガラスが存在しない中央部を通過するカッティングラインL1,L2に沿ってセル母材30を切断する。このため、セル母材30の切断が容易となる。従って、セル10、ひいては発光デバイス1の製造が容易となる。
【0051】
なお、本実施形態におけるセル母材30の切断は、ダイシングにより好適に行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
1…発光デバイス
10…セル
10a…内部空間
10b…連通孔
11…発光材料
12,13…ガラス板
14…融着部
15…封止材
21,24…ガラス板母材
22、22a、22b…ガラスリボン
23、23a、23b…ガラスペースト層
25…融着部構成部材
26…融着部
30…セル母材
L1,L2…カッティングライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて互いに対向して配された一対のガラス板と、前記一対のガラス板の周縁部間に配されており、前記一対のガラス板のそれぞれに融着しているガラス製の融着部とを備える発光デバイス用セルの製造方法であって、
間隔をおいて互いに対向して配された一対のガラス板母材の間にガラス製の融着部構成部材を格子状に設ける工程と、
前記融着部構成部材と前記一対のガラス板母材のそれぞれとを融着させることにより、格子状の融着部を有するセル母材を作製する工程と、
前記格子状の融着部の行方向及び列方向のそれぞれに沿って前記セル母材を切断することにより、前記発光デバイスを複数作製する工程と、
を備え、
前記格子状の融着部構成部材の第1の方向に沿って延びる部分をガラスリボンにより構成し、第2の方向に沿って延びる部分をガラスペーストにより構成する、発光デバイス用セルの製造方法。
【請求項2】
前記一対のガラス板母材の一方の上に、前記ガラスリボンを前記第1の方向に沿って配置すると共に、前記ガラスペーストを前記第2の方向に沿って塗布することにより前記融着部構成部材を形成する、請求項1に記載の発光デバイス用セルの製造方法。
【請求項3】
前記ガラスペーストを前記ガラスリボンの上にも塗布する、請求項2に記載の発光デバイス用セルの製造方法。
【請求項4】
前記ガラスペーストを前記ガラスリボンの上には塗布しない、請求項2に記載の発光デバイス用セルの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光デバイス用セルの製造方法により複数の発光デバイス用セルを作製する工程と、
前記複数の発光デバイス用セルのそれぞれに発光材料を注入する工程と、
を備える、発光デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記発光材料として無機蛍光体を用いる、請求項5に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記無機蛍光体として、量子ドットを用いる、請求項6に記載の発光デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−16311(P2013−16311A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147329(P2011−147329)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】