説明

発光モジュールおよびその製造方法

【課題】製造コストが低減された発光モジュールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】発光モジュール10は、一枚の板状の金属基板12の上面に複数の発光素子20が実装されている。そして、導電パターン14および金属細線16を経由して、これらの発光素子20が直列に接続されている。この様な構成の発光モジュール10に直流の電流を供給することにより、発光素子20から所定の色の光が発光され、発光モジュール10は発光源として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光モジュールおよびその製造方法に関し、特に、複数個の発光素子が実装される発光モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)に代表される半導体発光素子は、寿命が長く且つ視認性が高いので、交通信号機等や自動車のランプ等に使用されてきている。また、LEDは、照明機器としても採用されつつある。
【0003】
LEDを照明機器に使用するときは、一つのLEDのみでは明るさが不十分であるため、1つの照明機器に多数個のLEDが実装される。しかしながら、LEDは発光時に多量の熱を放出するので、放熱性に劣る樹脂材料から成る実装基板にLEDを実装したり、個々のLEDを個別に樹脂パッケージすると、LEDから放出された熱が外部に良好に放出されずに、LEDの性能が早期に低下してしまう問題があった。
【0004】
下記特許文献1では、LEDから発生する熱を良好に外部に放出させるために、アルミニウムから成る金属基板の上面にLEDを実装する技術が開示されている。特に、特許文献1の図2を参照すると、金属基板11の上面を絶縁性樹脂13により被覆し、この絶縁性樹脂13の上面に形成された導電パターン14の上面に発光素子15(LED)を実装している。この構成により、発光素子16から発生した熱は、導電パターン14、絶縁性樹脂13および金属基板11を経由して外部に放出される。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、LEDである発光素子15が固着される導電パターン14と金属基板11との間に絶縁性樹脂13が介在している。ここで、絶縁性樹脂13は放熱性向上の為にフィラーが高充填されているものであるが、金属と比較すると熱抵抗が高い。従って、例えば200mA以上の大電流が流れる高輝度のLEDを発光素子16として採用すると、特許文献1に記載された構成は、放熱が不十分である虞があった。
【0006】
そこで、放熱性を向上させた発光モジュールの構造が下記特許文献2に開示されている。この特許文献2の図1を参照すると、金属基板12の上面を部分的に窪ませた凹部18が形成され、この凹部18に発光素子20が収納されている。このようにすることで発光素子20が金属基板12と熱的に結合され、発光素子20から発生する熱が金属基板12を経由して良好に外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−100753号公報
【特許文献2】特開2009−38125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した特許文献2に記載された発光モジュールでは、実装される発光素子20毎に凹部18を設ける必要があったので製造コストが高く成る問題があった。更には、発光素子20の位置が変更されると、この変更に伴い凹部18の位置も変更する必要があったので、新たな設計が必要とされ追加のコストが発生する問題もあった。
【0009】
更には、凹部18に収納される発光素子20毎に封止樹脂による封止を行うと、各封止樹脂毎に含有される蛍光剤の量が異なる恐れがあり、このようになると封止樹脂を透過して発光素子20から外部に発光される光の色が本来のものとは異なる恐れがある。
【0010】
本発明は、上述した問題を鑑みてなされ、本発明の主な目的は、製造コストが低減された発光モジュールおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発光モジュールは、第1主面と第2主面とを有すると共に金属から成る金属基板と、前記金属基板の前記第1主面に配置された導電パターンと、前記金属基板を前記第1主面から長手方向に沿って溝状に窪ませた凹状領域と、前記金属基板の長手方向に沿って前記凹状領域に配置され、前記導電パターンを経由して相互に接続された複数個の発光素子と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の発光モジュールの製造方法は、第1主面と第2主面とを有し、第1主面側から溝状に窪ませた凹状領域が設けられ、前記第1主面に導電パターンが配置された金属基板を用意する工程と、前記凹状領域に発光素子を配置し、前記発光素子の電極と前記導電パターンとを電気的に接続する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、一方方向に細長い金属基板の表面に対して、長手方向に連続した溝状の凹状領域を形成し、この凹状領域に複数個の発光素子を収納している。このようにすることで、発光素子毎に凹部を金属基板に成形していた背景技術と比較すると、発光素子が収容される部位の構成を簡素なものとすることができる。
【0014】
更には、本形態では、凹状領域が金属基板に連続して設けられているので、発光素子の個数や位置に変更が生じても、凹状領域の形状を変更することなく金属基板を共通化して用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の発光モジュールの構成を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
【図2】本発明の発光モジュールの構成を示す図であり、(A)−(C)は断面図である。
【図3】本発明の発光モジュールが採用された表示装置を示す断面図である。
【図4】本発明の発光モジュールの製造方法を示す図であり、(A)および(B)は断面図であり、(C)は平面図である。
【図5】本発明の発光モジュールの製造方法を示す図であり、(A)および(B)は断面図であり、(C)は平面図である。
【図6】本発明の発光モジュールの製造方法を示す図であり、(A)断面図であり、(B)は平面図である。
【図7】本発明の発光モジュールの製造方法を示す図であり、(A)および(B)は断面図であり、(C)は斜視図である。
【図8】本発明の発光モジュールの製造方法を示す斜視図である。
【図9】本発明の発光モジュールの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、本発明の発光モジュール10の構成を説明する。図1(A)は発光モジュール10の斜視図であり、図1(B)は図1(A)の断面図である。
【0017】
発光モジュール10は、金属基板12と、金属基板12の上面に形成された導電パターン14と、金属基板12の上面を長手方向に沿って溝状に窪ませた凹状領域18と、凹状領域18に収納された複数個の発光素子20と、発光素子20を被覆する封止樹脂32(図1(B)参照)とから主に構成されている。
【0018】
図1(A)を参照して、発光モジュール10は、一枚の板状の金属基板12の上面に複数の発光素子20が実装されている。そして、導電パターン14および金属細線16を経由して、これらの発光素子20が直列に接続されている。この様な構成の発光モジュール10に直流の電流を供給することにより、発光素子20から所定の色の光が発光され、発光モジュール10は、発光源として機能する。
【0019】
本形態の発光モジュール10は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)に代表される表示装置のバックライトとして用いられる。発光モジュール10の表示装置への適用例は図3を参照して後述する。
【0020】
金属基板12は、銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の金属から成る基板であり、例えば、厚さは0.5mm〜2.0mm程度であり、幅は5.0mm〜20.0mm程度であり、長さは10cm〜50cm程度である。金属基板12がアルミニウムから成る場合、金属基板12の上面および下面は、アルミニウムを陽極酸化させた酸化膜22(アルマイト膜:Al)により被覆される。図1(B)を参照して、金属基板12を被覆する酸化膜22の厚みは、例えば1μm〜10μm程度である。
【0021】
更に、金属基板12は、多数の発光素子20が列状に配置されるので、非常に細長い形状を呈している。そして、金属基板12の長手方向の両端には、外部の電源と接続される外部接続端子が形成されている。この端子は、差込型のコネクタでも良いし、配線を導電パターン14に半田付けするものでも良い。
【0022】
図1(B)を参照して、金属基板12の側面は外側に突出する形状となっている。具体的には、金属基板12の側面は、金属基板12の上面から連続して外側に向かって傾斜する第1傾斜面36と、金属基板12の下面から連続して外側に向かって傾斜する第2傾斜面38とから構成されている。この構成により、金属基板12の側面の面積を、平坦な状態と比較すると、大きくすることが可能となり、金属基板12の側面から外部に放出される熱量が増大される。特に、金属基板12の側面は、熱抵抗が大きい酸化膜22により被覆されずに、放熱性に優れる金属材料が露出する面であるので、この構成によりモジュール全体の放熱性が向上される。
【0023】
図1(B)を参照して、金属基板12の上面は、Al等のフィラーが混入された樹脂から成る絶縁層24により被覆されている。絶縁層24の厚みは、例えば50μm程度である。絶縁層24は、金属基板12と導電パターン14とを絶縁させる機能を有する。絶縁層24に多量のフィラーが混入されることにより、絶縁層24の熱膨張係数を金属基板12に近似させることができる。更には、絶縁層24の熱抵抗が低減される。例えば、絶縁層24には、平均粒径が4μm程度のフィラーが70体積%〜80体積%程度含まれる。本形態では、凹状領域18が設けられる領域およびその周辺部では、金属基板12の上面は絶縁層24により被覆されていない。
【0024】
図1(A)および図1(B)を参照して、導電パターン14は、絶縁層24の上面に形成されており、各発光素子20を導通させる経路の一部として機能している。この導電パターン14は、絶縁層24の上面に設けられた銅等から成る導電箔をエッチングすることにより形成される。更に、金属基板12の両端に設けられた導電パターン14は、外部との接続に寄与する外部接続端子として機能する場合もある。
【0025】
図1(A)を参照すると、凹状領域18は金属基板12の短手方向の中央部付近に溝状に形成されているので、金属基板12の両端付近の上面は平坦面である。導電パターン14は、金属基板12の両端部の平坦面に、長手方向に対して千鳥状に配置されている。そして、発光素子と導電パターン14とは金属細線16を経由して接続されている。このことにより、金属基板12の長手方向に沿って配置された発光素子20が直列に接続される。
【0026】
発光素子20は、上面に2つの電極(アノード電極、カソード電極)を有し、所定の色の光を発光させる素子である。ここでは、発光素子20の下面は、絶縁性接着材または導電性接着材から成る接合材26を経由して、凹状領域18の底面18Aに固着されている。
【0027】
発光素子20の構成は、ガリウムヒ素(GaAs)等なら成る半導体基板の上面にN型の半導体層と、P型の半導体層が積層された構成と成っている。発光素子20の具体的な大きさは、例えば、縦×横×厚み=3mm×3mm×0.2mm程度である。ここで、本発明の発光モジュール10の構成は、放熱性に優れているので、例えば100mA以上の電流が通過する発光素子20(パワーLED)に対して特に有効である。
【0028】
またここでは、発光素子20はパッケージ化されていないベアチップの状態で実装されているが、樹脂封止されたパッケージの状態で金属基板12の上面に実装されても良い。
【0029】
図1(B)では、発光素子20から発光される光を白抜きの矢印で示している。発光素子20の上面から発光された光は、そのまま上方に照射される。一方、発光素子20の側面から側方に発光した光は、凹状領域18の側面18Bにて上方に反射される。本形態では、凹状領域18の側面18Bは、凹状領域18の底面18Aまたは金属基板12の上面に対して、例えば45度程度の角度で傾斜している。更に、発光素子20は、発光体が混入された封止樹脂32により被覆されているので、発光素子20から発生した光は、封止樹脂32を透過して外部に発光される。
【0030】
発光素子20の上面には、2つの電極(アノード電極、カソード電極)が設けられ、これらの電極は金属細線16を経由して、導電パターン14と接続される。ここで、発光素子20の電極と金属細線16との接続部は、封止樹脂32により被覆されている。
【0031】
更に図1(B)を参照して、LEDから成る発光素子20が実装される箇所の形状を説明する。先ず、金属基板12の上面の中央部付近では酸化膜22および絶縁層24が除去されており、この領域の金属基板12を上面から凹状に窪ませることにより凹状領域18が形成されている。図1(A)を参照して、この凹状領域18は金属基板12の長手方向に沿って溝状に形成されている。この図では、凹状領域18は金属基板12の端部に到るまで形成されているが、必ずしも端部まで連続して形成されなくても良い。
【0032】
凹状領域18の底面18Aに発光素子20が固着されている。ここで、凹状領域18の深さは、発光素子20の厚みよりも長くても良いし短くても良い。例えば、凹状領域18の厚みを、発光素子20と接合材26の厚みを加算した長さよりも長くすると、発光素子20が凹状領域18に収納され、発光素子20の上面を金属基板12の上面よりも下方に位置させることができる。
【0033】
更に凹部の底面18Aでは、金属基板12の表面を被覆する酸化膜22が除去されている。酸化膜22は、金属基板12を構成する金属よりも熱抵抗が大きい。従って、発光素子20が実装される凹状領域18の底面から酸化膜22を除去することで、金属基板12全体の熱抵抗が低減される。
【0034】
封止樹脂32は、凹状領域18に充填されて、発光素子20を封止している。更に封止樹脂32は、金属細線16、金属細線16と発光素子20との接続箇所、および金属細線16と導電パターン14との接続箇所も被覆している。封止樹脂32は、例えば、耐熱性に優れたシリコン樹脂に発光体が混入された構成となっている。一例として、発光素子20から青色の光が発光されて、封止樹脂32に黄色の発光体が混入されると、封止樹脂32を透過した光は白色となる。この場合、発光モジュール10を、白色の光を発光させる発光源として利用することが可能となる。
【0035】
また本形態では、溝状の凹状領域18に封止樹脂32が充填されることにより、凹状領域18に収納された複数個の発光素子20が一体の封止樹脂32により被覆されている。
【0036】
接合材26は、発光素子20の下面と凹状領域18とを接着させる機能を有する。発光素子20は下面に電極を有さないので、接合材26としては、絶縁性の樹脂から成るものでも良いし、放熱性向上のために半田等の金属から成るものでも良い。
【0037】
本形態では、細長の金属基板12の上面の長手方向に沿って、溝状の凹状領域18を設け、この凹状領域18に発光素子20を収納させている。このことにより、発光素子20毎に凹状領域を設けていた背景技術と比較すると、発光素子20の位置に関する制約が少なくなる。即ち、溝状に形成された凹状領域18に対して密に発光素子20を配置することにより出力の高い照明装置が得られる。更には、用途に応じて発光素子20の個数や実装位置を任意に変更可能となる。
【0038】
更に本形態では、凹状領域18に配置される複数個の発光素子20を、一体の封止樹脂32により樹脂封止している。従って、一様に蛍光体が添加された封止樹脂32により各発光素子20が被覆されるので、各発光素子20から封止樹脂32を経由して外部に放射される光の色や強度が均一化される。
【0039】
ここで、上記では金属基板12の上面を絶縁処理するために、金属基板12の上面に酸化膜22および絶縁層24が設けられているが、他の構造により絶縁処理が施されても良い。例えば、酸化膜22が省かれて絶縁層24のみが金属基板12の上面を被覆しても良いし、無機物から成る酸化膜22のみにより絶縁処理が施されても良い。
【0040】
図2を参照して、他の形態の発光モジュールの断面を説明する。
【0041】
図2(A)を参照して、ここでは、凹状領域18の断面が台形形状ではなく湾曲する形状を呈している。このような場合であっても、底面18Aは平坦面であるので、底面18Aに安定して発光素子20を固着できる。更には、側面18Bの少なくとも一部分は底面18Aに対して傾斜する面であるので、発光素子20から側方に放射された光は側面18Bで紙面上方に反射される。この図に示すような凹状領域18の断面形状は、プレス加工またはエッチング加工により実現される。
【0042】
図2(B)に示す断面では、導電パターン14の一部が凹状領域18の底面18Aに到るまで形成されている。そして、導電パターン14が底面18Aで金属細線16を経由して発光素子20と接続されている。この場合は、凹状領域18で導電パターン14が形成される領域には、絶縁のための絶縁層24および酸化膜22が形成されている。更に、ここでは、発光素子20の両電極(アノード電極およびカソード電極)に対応して、2つの導電パターン14の端部が底面18Aにパッド状に設けられているが、どちらか一方のみの導電パターン14が平坦面に到るまで形成されても良い。
【0043】
図2(C)を参照して、ここでは、発光素子20のカソード電極およびアノード電極が、上面および下面に設けられている。そして、導電パターン14Bは凹状領域18の底面18Aの上面にパッド状に配置されている。発光素子20の下面の電極は、導電性接着材を介して、底面18Aの上面に配置されたパッド上の導電パターン14Bに固着されている。一方、発光素子20の上面に設けられた電極は、金属細線16を経由して導電パターン14Aと接続されている。
【0044】
図3を参照して上記した構成の発光モジュール10が採用された表示装置15を説明する。この図に示す表示装置15は、発光素子20から光を照射する発光モジュール10と、発光モジュール10から発光された光を液晶パネルに案内する導光板11と、映像を表示する液晶パネル13とを備えている。
【0045】
発光モジュール10は、図1および図2に示した構造を有し、発光素子20が実装された面が導光板11を向くように表示装置15に備えられている。
【0046】
導光板11は、アクリル樹脂やポリカーボネートから成り、発光モジュール10から照射された光は、導光板11の上面または下面で全反射されることにより全体に行き渡る。そして、導光板11の全体に行き渡った光は、導光板11の上方に配置された液晶パネル13に照射される。
【0047】
液晶パネル13は、偏光フィルタ、ガラス板、透明電極等を積層させたものであり、導光板11から紙面上方に照射される光を、部分的に遮光または透過させることで、所定の映像を表示させる。
【0048】
上記したように、発光モジュール10では、溝状の凹状領域18に複数個の発光素子20を配置しているので、凹状領域18の側面等で反射した光が均等に導光板11に放射される。この結果、液晶パネル13に安定して鮮明な映像を表示することが可能となる。さらに本形態の発光モジュール10は、発熱を伴う発光素子20が直に金属基板12に固着されているので、表示装置15の放熱性が向上される。
【0049】
次に、図4から図9を参照して、上記した構成の発光モジュール10の製造方法を説明する。
【0050】
第1工程:
図4を参照して、本工程では、発光モジュール10の材料となる基板40を用意して、導電パターンを形成する。
【0051】
図4(A)を参照して、先ず、本工程で用いる基板40は、例えば銅またはアルミニウムを主材料とする金属から成り、厚みは0.5mm〜2.0mm程度である。基板40の平面的な大きさは、例えば1m×1m程度であり、多数個の細長の発光モジュールが一枚の基板40から製造される。基板40がアルミニウムから成る基板である場合、基板40の上面および下面は陽極酸化膜により被覆されている。
【0052】
基板40の上面は、厚みが50μm程度の絶縁層42により全面的に被覆されている。この絶縁層42の組成は上述した絶縁層24と同様であり、フィラーが高充填された樹脂材料から成る。また、絶縁層42の上面には、厚みが50μm程度の銅から成る導電箔44が全面的に形成されている。
【0053】
図4(B)を参照して、次に、選択的なウェットエッチングを行うことにより、導電箔44をパターニングして、導電パターン14を形成する。この導電パターン14は、基板40に設けられるユニット46毎に同一の形状を有する。ここで、ユニット46とは、1つの発光モジュールとなる部位のことである。
【0054】
図4(C)に、本工程が終了した基板40の平面図を示す。ここでは、ユニット46同士の境界が点線により示されている。ユニット46の形状は、例えば縦×横が=0.5cm×30cm程度であり、極めて細長い形状を有する。
【0055】
第2工程:
図5を参照して、次に、基板40の各ユニット46に関して、絶縁層を部分的に除去して除去領域34を設ける。
【0056】
図5(A)を参照して、上方から絶縁層42にレーザを照射する。ここでは、照射されるレーザは矢印により示されており、発光素子が載置される部分に対応した絶縁層42に対して、レーザが照射される。ここで、使用されるレーザは、炭酸ガスレーザまたはYAGレーザである。
【0057】
図5(B)及び図5(C)を参照して、上記したレーザ照射により、絶縁層42が部分的に除去されて除去領域34が形成されている。従って、除去領域34の底面からは、基板40を構成する金属材料(例えばアルミニウム)が露出する。
【0058】
図5(C)を参照して、本形態では、図1等に示されている凹状領域18が設けられる領域の絶縁層42が除去されている。このようにすることで、後のプレス加工による衝撃が絶縁層42に作用しないので、プレス加工による絶縁層42の破壊が防止される。
【0059】
第3工程:
図6(A)および図6(B)を参照して、次に、各ユニット46同士の間に、分離用の溝を設ける。図6(A)を参照すると、基板40の各ユニット46同士の間には、上面から第1溝54が形成され、下面からは第2溝56が形成されている。両溝の断面は、V型の形状を呈する。
【0060】
ここで、第1溝54および第2溝56は、両方とも同じ大きさ(深さ)でも良いし、一方が他方よりも大きく形成されても良い。更には、後の工程にて問題が発生しなければ、第1溝54および第2溝56のどちらか一方のみが設けられても良い。
【0061】
第1溝54および第2溝56の形成は、ユニット46同士の境界に沿って、V型の断面形状のカットソーを高速に回転させて、部分的な切断をすることにより形成される。更に、本工程では、この切断により基板40が個々に分離されるのではなく、溝を形成した後も、基板40は一枚の板の状態を呈している。
【0062】
第4工程:
図7を参照して、次に、除去領域34から露出する基板40の上面から凹状領域18を形成する。凹状領域18の形成は、選択的なエッチング、ダイキャスト工法、プレス加工等により可能であるが、以下ではプレス加工による凹状領域18の形成方法を説明する。
【0063】
図7(A)を参照して、先ず、プレス用の金型50を用意する。金型50には、基板40の各除去領域34に対応した領域に、凸部52が設けられている。各凸部52は、形成予定の凹状領域18に対応した形状を有し、紙面を貫通する方向に対して連続して下方に突出する形状である。金型50を下方にプレスすることにより、金型50の各凸部52で、除去領域34から露出する基板40の上面が押圧されて凹状領域18が形成される。
【0064】
図7(B)および図7(C)に形成された凹状領域18の形状を示す。上記したプレス加工により、底面が平坦面であり側面が傾斜面である凹状領域18が形成される。また、形成される凹状領域18の深さは、後の工程にて実装される発光素子が完全に収納される程度でも良いし、発光素子が部分的に収納される程度でも良い。具体的には、凹状領域18の深さは、例えば100μm〜300μm程度である。
【0065】
第5工程:
図8の各図を参照して、次に、各ユニット46の凹状領域18に発光素子20(LEDチップ)を実装して、電気的に接続する。発光素子20は、接合材を介して凹状領域18の底面に実装される。更に、発光素子20の固着が終了した後に、発光素子20の上面に設けた各電極と導電パターン14とを金属細線16を経由して接続する。このことにより、各ユニット46に固着された複数の発光素子20は、導電パターン14および金属細線16を経由して電気的に接続される。
【0066】
第6工程:
図9を参照して、次に、基板40に設けた各ユニット46の凹状領域18に封止樹脂32を充填させて、発光素子20を封止する。封止樹脂32は、発光体が混入されたシリコン樹脂からなり、液状または半固形状の状態で、凹状領域18に充填される。このことにより、発光素子20の側面および上面と、発光素子20と金属細線16との接続部が、封止樹脂32により被覆される。
【0067】
ここでは、凹状領域18に収納された複数個の発光素子20が封止樹脂32により一体的に封止される。従って、封止樹脂32に含まれる蛍光体の隔たりが抑止され、発光モジュールから発光される色が均一化される。ここで、製品である発光モジュールに封止樹脂が必要とされない場合は、本工程は不要となる。
【0068】
上記した樹脂封止工程が終了した後には、ユニット46同士の間で基板40を分割して、各ユニット46を発光モジュールとして分離する。この分離方法としては、プレスによる打ち抜き、ダイシング、両溝が形成された箇所に於ける基板40の折り曲げ等が採用できる。本形態では、各ユニット46同士の間には、第1溝54および第2溝56が設けられているので、この箇所にて基板40を容易に分離できる。
【0069】
以上の工程により、図1に示した構成の発光モジュールが製造される。
【符号の説明】
【0070】
10 発光モジュール
11 導光板
12 金属基板
14、14A、14B 導電パターン
15 表示装置
16 金属細線
18 凹状領域
18A 底面
18B 側面
20 発光素子
22 酸化膜
24 絶縁層
26 接合材
32 封止樹脂
34 除去領域
36 第1傾斜面
38 第2傾斜面
40 基板
42 絶縁層
44 導電箔
46 ユニット
50 金型
52 凸部
54 第1溝
56 第2溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と第2主面とを有すると共に金属から成る金属基板と、
前記金属基板の前記第1主面に配置された導電パターンと、
前記金属基板を前記第1主面から長手方向に沿って溝状に窪ませた凹状領域と、
前記金属基板の長手方向に沿って前記凹状領域に配置され、前記導電パターンを経由して相互に接続された複数個の発光素子と、
を備えることを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
前記発光素子が被覆されるように前記凹状領域に封止樹脂を充填することを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記発光素子はベアチップの状態で前記凹状領域に固着されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記発光素子と前記導電パターンとは金属細線を経由して接続されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の発光モジュール。
【請求項5】
長手方向の前記金属基板の側面は、前記第1主面と連続して外側に向かって傾斜する第1傾斜面と、前記第2主面と連続して外側に向かって傾斜する第2傾斜面とを備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記発光素子と接続される前記導電パターンの一部は、前記凹状領域に配置されることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記凹状領域の側面は、前記第1主面に近づくに従って外側に傾斜する傾斜面であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の発光モジュール。
【請求項8】
第1主面と第2主面とを有し、第1主面側から溝状に窪ませた凹状領域が設けられ、前記第1主面に導電パターンが配置された金属基板を用意する工程と、
前記凹状領域に発光素子を配置し、前記発光素子の電極と前記導電パターンとを電気的に接続する工程と、
を備えることを特徴とする発光モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記発光素子が封止されるように前記凹状領域に封止樹脂を充填する工程を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記凹状領域は、前記金属基板を前記第1主面側からプレス加工することにより形成されることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記凹状領域はダイキャスト加工により形成されることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の発光モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−9582(P2012−9582A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143358(P2010−143358)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】