説明

発光素子、発光装置並びに電子機器

【課題】低駆動電圧の可能な発光素子を提供する。また、消費電力の低減された発光装置および電子機器を提供する。
【解決手段】基板100上に、第1の電極101、第1の絶縁層102、発光層103、第2の絶縁層104、第2の電極105を有し、発光層103は、カルコパイライトと呼ばれる三元化合物ABC(但し、A=Cu、またはAg、B=Al、Ga、またはIn、C=S、Se、またはTe)を含む発光素子を提供する。このような構成にすることにより、低電圧駆動が可能な発光素子を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料に関する。また、エレクトロルミネッセンスを利用した発光素子に関する。また、発光素子を有する発光装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ、携帯電話、デジタルカメラ等における表示装置は、平面的で薄型の表示装置が求められており、この要求を満たすための表示装置として、自発光型である発光素子を利用した表示装置が注目されている。自発光型の発光素子の一つとして、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)を利用する発光素子があり、この発光素子は、発光材料を一対の電極で挟み、電圧を印加することにより、発光材料からの発光を得ることができるものである。
【0003】
このような自発光型の発光素子は、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高く、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考えられている。また、このような発光素子は、薄型軽量に作製できることも大きな利点である。また、非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
【0004】
さらに、このような自発光型の発光素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を形成することにより、面発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0006】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機EL素子ではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
【0007】
このような無機EL素子は、有機EL素子と比較して寿命が長いという長所を有しているものの、発光層では高電界で加速された電子を必要とするため、一般的には、発光素子に数百Vの電圧を印加する必要がある。例えば、近年フルカラーディスプレイに必要とされる高輝度の青色発光の無機EL素子が開発されたが、該青色発光の無機EL素子の駆動には、100〜200Vの駆動電圧が必要である(例えば、非特許文献1)。そのため、無機EL素子は消費電力が大きく、中小型サイズのディスプレイ、例えば、携帯電話等のディスプレイには採用することが難しかった。
【非特許文献1】ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics)、1999年、Vol.38、p.L1291−1292
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題に鑑み、本発明は、新規発光材料を提供することを目的とする。また、低電圧駆動が可能な発光素子を提供することを課題とする。また、消費電力の低減された発光装置および電子機器を提供することを課題とする。また、低コストで作製可能な発光装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一は、一対の電極間に三元化合物を含む発光層を有し、三元化合物は、CuまたはAgのうちいずれか一の元素と、Al、Ga、またはInのうちいずれか一の元素と、S、Se、またはTeのうちいずれか一の元素と、からなることを特徴とする発光素子である。
【0010】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層は、化合物ABC(但し、A=Cu、またはAg、B=Al、Ga、またはIn、C=S、Se、またはTe)を含むことを特徴とする発光素子である。
【0011】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層に接して化合物ABC(但し、A=Cu、またはAg、B=Al、Ga、またはIn、C=S、Se、またはTe)を含む半導体層が設けられていることを特徴とする発光素子である。
【0012】
また、上記構成において、発光層は硫化物、酸化物、または窒化物を含むことを特徴とする。
【0013】
または、上記構成において、発光層は硫化亜鉛を含むことを特徴とする。
【0014】
また、上記構成において、発光層は、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、のいずれか1種又は2種以上の元素を含むことを特徴とする。
【0015】
また、上記構成において、発光層は、フッ素(F)、塩素(Cl)のいずれか1種又は2種の元素を含むことを特徴とする。
【0016】
または、上記構成において、発光層は、アクセプター準位を形成する不純物元素を含むことを特徴とする。
【0017】
または、上記構成において、発光層は、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上述した発光素子を有する発光装置も範疇に含めるものである。本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を含む。また、発光素子が形成されたパネルにコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子が形成されたパネルにCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0019】
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の発光素子は、低電圧駆動が可能である。
【0021】
また、本発明の発光装置は、低電圧駆動が可能な発光素子を有しているため、消費電力を低減することができる。また、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、低コストで発光装置を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更しうることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明に係る薄膜型発光素子について図1を用いて説明する。
【0024】
本実施の形態で示す発光素子は、基板100の上に、第1の電極101と、第2の電極105と、第1の電極101に接する第1の絶縁層102と、第2の電極105に接する第2の絶縁層104と、第1の絶縁層102と第2の絶縁層104との間に形成された発光層103と、を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極101と、第2の電極105の間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0025】
基板100は発光素子の支持体として用いられる。基板100としては、例えば、ガラス、又はプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでも用いることができる。
【0026】
また、第1の絶縁膜102と第2の絶縁膜104を構成する材料は、酸化物などの無機材料である。例えば、高い比誘電率を有するチタン酸バリウム(BaTiO)や五酸化タンタル(Ta)等を用いることができる。
【0027】
第1の電極101及び第2の電極105としては、金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。なお、面発光を得るためには、第1の電極101又は第2の電極105のいずれか一方又は両方を、透光性を有する電極とする必要がある。例えば、透光性を有する電極の材料として、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化インジウム酸化亜鉛(IZO)、酸化タングステンと酸化亜鉛を含む酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリングにより成膜される。例えば、IZOは、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、IWZOは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、金属電極を用いて透光性の電極とする場合、可視光の透過率の低い材料であっても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性の電極として用いることができる。金属電極としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物、例えば、窒化チタン(TiN)等を用いることができる。なお、スパッタリング以外にも、真空蒸着、CVD、ゾル−ゲル法を用いて電極を作製することもできる。
【0028】
発光層103は、カルコパイライトと呼ばれる三元化合物ABC(A=Cu又はAg、B=Al、Ga又はIn、C=S、Se又はTe)を含む層である。このようなカルコパイライト化合物としては、例えば、CuAlS、CuAlSe、CuAlTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaTe、CuInS、CuInSe、CuInTe、AgAlS、AgAlSe、AgAlTe、AgGaS、AgGaSe、AgGaTe、AgInS、AgInSe、AgInTeがある。
【0029】
なお、発光層103は、無機ELで用いられている母体材料に、カルコパイライト化合物ABCを含有したものを用いてもよい。この場合の母体材料としては、硫化物、酸化物又は窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa)、等の3元系の混晶であってもよい。
【0030】
さらに、発光層103に、発光中心材料を含んでいてもよい。局在型発光の発光中心材料として、例えば、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)等のうち、いずれか1種又は2種以上の元素を用いることができる。なお、電荷補償として、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。一方、ドナー−アクセプター再結合型発光の発光中心材料として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることもできる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができ、第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。なお、格子欠陥等がドナー準位を形成する場合があるため、必ずしも第1の不純物元素を必要としない。
【0031】
カルコパイライト化合物ABCの作製方法としては、固相法や液相法(共沈法)等の様々な方法を用いることができる。また、噴霧熱分解法、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
【0032】
固相法は、カルコパイライト化合物を構成する元素又はその元素を含む化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱、焼成を行い、固相反応により合成を行う方法である。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。700℃よりも温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、1500℃よりも温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。固相法による発光材料の合成は、比較的高温での焼成を必要とするが、簡単な方法であるため、生産性がよく大量生産に適している。
【0033】
液相法(共沈法)は、カルコパイライト化合物を構成する元素又はその元素を含む化合物を溶液中で反応させ、乾燥させた後、焼成を行う合成方法である。液相法による発光材料の合成は、発光材料の粒子が均一に分布し、粒径が小さいため、低い焼成温度でも反応を進めることができる。
【0034】
ここでは、固相法を用いたカルコパイライト化合物の合成方法について説明する。まず、化合物ACと化合物Bをモル比で1:1となるように秤量し、乳鉢で混合する。その後、電気炉で加熱して焼成を行う。焼成の際は、真空封管を行ってから焼成を行っても良く、また、カルコゲン元素を含むガスを流しながら焼成を行ってもよい。カルコゲン元素を含むガスとしては、硫化水素(HS)等がある。なお、焼成温度は、700〜1500℃が好ましく、粉末状態よりも、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
【0035】
化合物ACとしては、硫化銅(CuS)、セレン化銅(CuSe)、テルル化銅(CuTe)、硫化銀(AgS)、セレン化銀(AgSe)、又はテルル化銀(AgTe)を用いることができる。化合物Bとしては、硫化アルミニウム(Al)、セレン化アルミニウム(AlSe)、テルル化アルミニウム(AlTe)、硫化ガリウム(Ga)、セレン化ガリウム(GaSe)、テルル化ガリウム(GaTe)、硫化インジウム(In)、セレン化インジウム(InSe)、又はテルル化インジウム(InTe)を用いることができる。
【0036】
発光層103の形成方法としては、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着(EB蒸着)等の真空蒸着法、スパッタリング法、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。
【0037】
このようにして形成された発光素子は、発光層に電気伝導性の高いカルコパイライト化合物を有し、低抵抗となっているため、低電圧駆動が可能な発光素子となる。
【0038】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明に係る薄膜型発光素子について図2を用いて説明する。
【0039】
本実施の形態で示す発光素子は、基板200の上に、第1の電極201及び第2の電極204を有し、第1の電極201と第2の電極204の間にカルコパイライト化合物を含む半導体層202と、発光層203を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極201と、第2の電極204の間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0040】
基板200と、第1の電極201と、第2の電極204としては、実施の形態1に記載した材料と同様のものを用いることができる。また、カルコパイライト化合物を含む半導体層202としては、実施の形態1に記載したカルコパイライトと呼ばれる三元化合物ABCを含む層を用いることができる。
【0041】
発光層203は、発光材料の薄膜であり、母体材料に発光中心材料が添加された発光材料を用いることができる。
【0042】
母体材料としては、硫化物、酸化物、または窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa)、等の3元系の混晶であってもよい。
【0043】
発光材料に含まれる発光中心材料としては、例えば局在型発光の発光中心材料として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)等のいずれか1種又は2種以上を用いることができる。なお、電荷補償として、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。一方、ドナー−アクセプター再結合型発光中心材料は、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素とで構成される。第1の不純物元素としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。なお、格子欠陥等がドナー準位を形成する場合があるため、必ずしも第1の不純物元素を必要としない。
【0044】
発光材料の作製方法としては、固相法または液相法(共沈法)等の様々な方法を用いることができる。また、噴霧熱分解法、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法や、これらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
【0045】
固相法は、母体材料と、含有させる元素又はその元素を含む化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱、焼成を行い、固相反応により合成を行う方法である。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。700℃よりも温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、1500℃よりも温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。固相法による発光材料の合成は、比較的高温での焼成を必要とするが、簡単な方法であるため、生産性がよく大量生産に適している。
【0046】
液相法(共沈法)は、母体材料又は母体材料を含む化合物と、含有させる元素又はその元素を含む化合物を溶液中で反応させ、乾燥させた後、焼成を行う合成方法である。液相法による発光材料の合成は、発光材料の粒子が均一に分布し、粒径が小さいため、低い焼成温度でも反応を進めることができる。
【0047】
発光材料を、固相法により合成する方法について説明する。すなわち、母体材料と、ドナー−アクセプター再結合型発光中心材料を構成する元素又はその元素を含む化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱して焼成を行う。母体材料としては、上述した母体材料を用いることができ、ドナー−アクセプター再結合型発光中心材料として、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、硫化アルミニウム(Al)等を用いることができ、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、硫化銅(CuS)、硫化銀(AgS)等を用いることができる。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。なお、粉末状態よりも、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
【0048】
また、固相反応を利用する場合では、第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、塩化銅(CuCl)、塩化銀(AgCl)等を用いることができる。
【0049】
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して、0.01〜10原子%であればよく、好ましくは0.05〜5原子%の範囲である。
【0050】
カルコパイライト化合物を含む半導体層202、発光層203の形成方法としては、抵抗加熱蒸着や電子ビーム蒸着(EB蒸着)等の真空蒸着法、スパッタリング法、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。
【0051】
また、図示しないが、カルコパイライト化合物を含む半導体層202と第1の電極201、発光層203と第2の電極204の間にバッファー層を設けても良い。このバッファー層は電極と半導体層との界面の障壁を減らし、電極から半導体層へのキャリア注入を容易にする効果を有する。バッファー層としては、特に限定されることはないが、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、SrS、BaS等、又はCuS、CuS、又はハロゲン化アルカリであるLiF、CaF、BaF、MgF等を用いることができる。
【0052】
本発明の発光素子は、p型、n型両伝導性を示すバイポーラ型であるカルコパイライト化合物を含む半導体層を電極と発光層の間に設けることにより、効率良くキャリアを発光層に輸送することが可能となり、低駆動電圧で動作可能な発光素子を得ることができる。また、低駆動電圧で発光可能なため、消費電力を低減された発光素子を得ることができる。
【0053】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置について説明する。
【0054】
本実施の形態では、発光装置の一態様として表示装置について、図3〜図7を参照して説明する。図6は表示装置の主要部を示す概略構成図である。
【0055】
図3において、基板410には、第1の電極416と、その電極と交差する方向に伸びる第2の電極418が設けられている。少なくとも、第1の電極416と第2の電極418との交差部には、発光層が設けられ、実施の形態1または2で説明したものと同様な発光素子を形成している。図3の表示装置は、第1の電極416と第2の電極418を複数本配置して、画素となる発光素子をマトリクス状に配列させ、表示部414を形成している。この表示部414においては、第1の電極416と第2の電極418の電位を制御して個々の発光素子の発光及び非発光を制御して、動画及び静止画を表示することができる。
【0056】
図3に示した表示装置は、基板410の一方向に延設される第1の電極416と、それと交差する第2の電極418のそれぞれに映像を表示する信号を印加して発光素子の発光及び非発光を選択する。すなわち、画素の駆動は、もっぱら外部回路から与えられる信号で行う単純マトリクス型の表示装置である。このような表示装置は、構成が簡単であるので、大面積化をしても容易に製造をすることができる。
【0057】
なお、対向基板412は必要に応じて設ければ良く、表示部414の位置に合わせて設けることで保護部材とすることもできる。また、保護部材は、板状の硬材としなくても、樹脂フィルム若しくは樹脂材料を塗布して代用することもできる。第1の電極416及び第2の電極418は基板410の端部に引き出され、外部回路と接続する端子を形成している。すなわち第1の電極416及び第2の電極418は基板410の端部でフレキシブル配線基板420、422と接続しており、フレキシブル配線基板を介して外部回路と接続している。外部回路としては、映像信号を制御するコントローラ回路の他、電源回路、チューナ回路などが含まれる。
【0058】
図4は、図3に示した表示部414の構成を示す部分拡大図を示す。基板410に形成された第1の電極416の側端部には隔壁層424が形成されている。そして、少なくとも第1の電極416上にはEL層426が形成されている。ここで、EL層426は、第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間に形成された実施の形態1に示した発光層を含む。または、EL層426を、実施の形態2に示した半導体層上に発光層を設けた構成としても良い。第2の電極418は、EL層426上に設けられている。第2の電極418は、隔壁層424上に、第1の電極416と交差するように形成されている。隔壁層424は、第1の電極416と第2の電極418の間で短絡が起こらないように絶縁材料で形成されている。隔壁層424が第1の電極416の端部を覆う部位では、段差が急峻とならないように隔壁層424の側端部に勾配を持たせ、所謂テーパー形状としている。隔壁層424をこのような形状とすることで、EL層426や第2の電極418の被覆性が向上し、ひび割れや断裂などの不良を無くすことができる。
【0059】
図5は、図3に示した表示部414の平面図であり、第1の電極416、第2の電極418、隔壁層424、EL層426の配置を示している。補助電極428は第2の電極418をインジウム錫酸化物、酸化亜鉛などの光透過性を有する酸化物の導電膜で形成する場合に、抵抗損失を低減するために設けると好ましいものである。この場合、補助電極428はチタン、タングステン、クロム、タンタルなどの高融点金属、若しくは高融点金属とアルミニウム、銀などの低抵抗金属とを組み合わせて形成すると良い。
【0060】
図5において、A−B線及びC−D線に沿った断面図を図6(A)(B)にそれぞれ示す。第1の電極416と第2の電極418の交差部にEL層426が形成された発光素子が形成されている。図6(B)で示す補助電極428は隔壁層424上にあって、第2の電極418と接触するように設けられている。補助電極428を隔壁層424上に設けることにより、第1の電極416と第2の電極418の交差部に形成される発光素子を遮光することがないので、発光した光を有効に利用することができる。また、補助電極428が第1の電極416と短絡してしまうことを防ぐことができる。
【0061】
図6では、対向基板412に色変換層430を配設した一例を示している。色変換層430は、EL層426で発光した光を波長変換して発光色を異ならせるためのものである。この場合、EL層426で発光する光は、エネルギーの高い青色の光若しくは紫外光であることが好ましい。色変換層430として、赤色、緑色、青色に変換するものをそれぞれ配列させれば、RGBカラー表示を行う表示装置とすることができる。また、色変換層430を着色層(カラーフィルタ)に置き換えることもできる。その場合は、EL層426は白色発光するように構成すれば良い。充填材432は基板410と対向基板412を固定するものであり適宜設ければ良い。
【0062】
上記において、第1の電極416としてアルミニウム、チタン、タンタルなどを用い、第2の電極418として酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化タングステンと酸化亜鉛を含む酸化インジウム(IWZO)等の透光性材料を用いれば、対向基板412側に表示部414が形成される表示装置とすることができる。この場合、第1の電極416の表面に薄い酸化膜を形成しておくとバリア層が形成され、キャリアブロッキング効果により発光効率を高めることができる。第1の電極416として酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化タングステンと酸化亜鉛を含む酸化インジウム(IWZO)等の透光性材料を用い、第2の電極418としてアルミニウム、チタン、タンタルなどを用いれば、基板410側に表示部414が形成される表示装置とすることができる。また、第1の電極416と第2の電極418を共に透光性を有する電極で形成すれば、両面表示型の表示装置とすることができる。
【0063】
また、表示部414の他の構成を図7に示す。図7の構造は、第1の電極952の側端部が絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板951面に近くなるに伴って、一方の側壁と対向する他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、EL層955及び第2の電極956を、隔壁層954を使って自己整合的に形成することができる。
【0064】
本実施例の表示装置は低電圧で発光素子が発光するので、昇圧回路などが不要となり、装置の構成を簡略化することができる。
【0065】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0066】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置について説明する。
【0067】
本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明する。本実施の形態では、画素部に本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置について図8を用いて説明する。なお、図8(A)は、発光装置を示す上面図、図8(B)は図8(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。図8において、点線で示された601はソース側駆動回路、602は画素部、603はゲート側駆動回路である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0068】
なお、図8(B)の引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0069】
次に、断面構造について図8(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0070】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。非晶質半導体膜を用いてもよいし、結晶性半導体膜を用いてもよい。また、半導体材料についても特に限定されず、無機化合物を用いてもよいし、有機化合物を用いてもよい。
【0071】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁膜614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより絶縁膜614を形成する。
【0072】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁膜614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁膜614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁膜614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁膜614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0073】
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、EL層616は、第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間に形成された実施の形態1に示した発光層を含む。または、EL層616を、実施の形態2に示した半導体層上に発光層を設けた構成としても良い。第1の電極613および第2の電極617の少なくとも一方は透光性を有しており、EL層616からの発光を外部へ取り出すことが可能である。
【0074】
なお、第1の電極613、EL層616、第2の電極617の形成方法としては、種々の方法を用いることができる。具体的には、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、または原子層エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。また、インクジェット法、スピンコート法等を用いることができる。また、各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0075】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
【0076】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、シール材及び充填材はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルフィルム、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0077】
以上のようにして、本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0078】
本実施の形態で示す発光装置は、実施の形態1〜2で示した発光素子を有し、低駆動電圧で動作が可能である。そのため、消費電力を低減された発光装置を得ることができる。
【0079】
また、本実施の形態で示す発光装置は、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、発光装置の作製コストを低減することができる。また、発光装置の軽量化、駆動回路部分の小型化が可能である。
【0080】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態3〜4に示す発光装置をその一部に含む電子機器について説明する。本実施の形態で示す電子機器は、実施の形態1〜2で示した発光素子を有する。よって、駆動電圧の低減された発光素子を有するため、消費電極の低減された電子機器を提供することが可能である。
【0081】
本発明を適用して作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図9に示す。
【0082】
図9(A)は本実施の形態に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態1〜2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。本発明の発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、本発明の発光素子を用いたテレビ装置において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、住環境に適合した製品を提供することができる。
【0083】
図9(B)は本実施の形態に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態1〜2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。本発明の発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、本発明の発光素子を用いたコンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、本実施の形態にかかるコンピュータは、持ち運ぶことも可能であり、持ち運んでいるときの外部からの衝撃にも強い表示部を有する。
【0084】
図9(C)は本実施の形態に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態1〜2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。本発明の発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、本発明の発光素子を用いた携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯しているときの外部からの衝撃にも強い表示部を有する製品を提供することができる。
【0085】
図9(D)はカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態1〜2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、外部からの衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。本発明の発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、本発明の発光素子を用いたカメラにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯しているときの外部からの衝撃にも強い表示部を有する製品を提供することができる。
【0086】
図14は音響再生装置、具体例としてカーオーディオであり、本体701、表示部702、操作スイッチ703、704を含む。表示部702は実施の形態3の発光装置(パッシブ型)又は実施の形態4の発光装置(アクティブ型)で実現することができる。また、この表示部702はセグメント方式の発光装置で形成しても良い。いずれにしても、本発明の発光素子を用いることにより、車両用電源(12〜42V)を使って、低消費電力化を図りつつ、寿命が長く明るい表示部を構成することができる。また、本実施例では車載用オーディオを示すが、携帯型や家庭用のオーディオ装置に本発明を用いても良い。
【0087】
図15は、車載用以外のオーディオに本発明の発光素子を用いた一例として携帯用デジタルプレーヤーを示している。図15に示すデジタルプレーヤーは、本体710、表示部711、メモリ部712、操作部713、イヤホン714等を含んでいる。なお、イヤホン714の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。表示部711として、実施の形態3の発光装置(パッシブ型)又は実施の形態4の発光装置(アクティブ型)で実現することができる。また、この表示部711はセグメント方式の発光装置で形成しても良い。いずれにしても、本発明に係る発光素子を用いることにより、二次電池(ニッケル−水素電池など)を使っても表示が可能であり、低消費電力化を図りつつ、寿命が長く明るい表示部を構成することができる。メモリ部712は、ハードディスクや不揮発性メモリを用いている。例えば、記録容量が20〜200ギガバイト(GB)のNAND型不揮発性メモリを用い、操作部713を操作することにより、映像や音声(音楽)を記録、再生することができる。なお、図14の表示部702及び図15の表示部711は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。これは携帯型のオーディオ装置において特に有効である。
【0088】
以上の様に、本発明を適用して作製した発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明を適用することにより、低消費電力で、信頼性の高い表示部を有する電子機器を作製することが可能となる。
【0089】
また、本発明を適用した発光装置は、発光効率の高い発光素子を有しており、照明装置として用いることもできる。本発明を適用した発光素子を照明装置として用いる一態様を、図10を用いて説明する。
【0090】
図10は、本発明を適用した発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図10に示した液晶表示装置は、筐体501、液晶層502、バックライト503、筐体504を有し、液晶層502は、ドライバIC505と接続されている。また、バックライト503は、本発明の発光装置が用いられており、端子506により、電圧が印加されている。
【0091】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、高輝度で長寿命のバックライトが得られるので、表示装置としての品質が向上する。また、本発明の発光装置は、面発光の発光装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光素子は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
【0092】
また、本発明を適用した発光装置は高輝度の発光が可能であるため、自動車、自転車、船などのヘッドライトとして用いることが可能である。図11は、本発明を適用した発光装置を自動車のヘッドライトとして用いた例である。図11(B)は図11(A)のヘッドライト1000の部分を拡大した断面図である。図11(B)において、光源1011として本発明の発光装置が用いられている。光源1011から出た光は、反射板1012により反射され、外部へ取り出される。図11(B)に示すように、複数の光源を用いることで、より高輝度の光を得ることができる。また、図11(C)は、円筒形状に作製した本発明の発光装置を光源として用いた例である。光源1021からの発光は反射板1022により反射され、外部へ取り出される。
【0093】
図12は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図12に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、高輝度の発光が可能であるため、細かい作業をする場合など、手元を明るく照らすことが可能である。
【0094】
図13は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図9(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置3002を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。
【0095】
照明装置としては、図11、図12、図13で例示したものに限られず、住宅や公共施設の照明をはじめ、様々な形態の照明装置として応用することができる。このような場合において、本発明に係る照明装置は、発光媒体が薄膜状であるので、デザインの自由度が高いので、様々な意匠を凝らした商品を市場に提供することができる。
【実施例1】
【0096】
本実施例では、本発明の発光素子に用いる発光材料について説明する。
【0097】
CuSとGaを、モル比で1:1となるように秤量し、メノー乳鉢を用いて撹拌混合した。次に、その混合物をアルミナの坩堝に入れ、N雰囲気下にした電気炉を使用し、1000℃で4時間焼成して、CuGaSを合成した。得られた発光材料は濃い茶色であった。254nmの波長で励起したところ、青色の発光を確認することができた。
【実施例2】
【0098】
本実施例では、本発明の発光素子に用いる発光材料について説明する。
【0099】
母体材料としてのZnSと、実施例1で得られたCuGaSとを、モル比で1:1となるように秤量し、メノー乳鉢を用いて撹拌混合した。次に、その混合物をアルミナの坩堝に入れ、N雰囲気下にした電気炉を使用し、1000℃で4時間焼成した。得られた発光材料は濃い茶色であった。254nmの波長で励起したところ、青色の発光を確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光装置を説明する図。
【図4】本発明の発光装置を説明する図。
【図5】本発明の発光装置を説明する図。
【図6】本発明の発光装置を説明する図。
【図7】本発明の発光装置を説明する図。
【図8】本発明の発光装置を説明する図。
【図9】本発明の電子機器を説明する図。
【図10】本発明の照明装置を説明する図。
【図11】本発明の照明装置を説明する図。
【図12】本発明の照明装置を説明する図。
【図13】本発明の照明装置を説明する図。
【図14】本発明の電子機器を説明する図。
【図15】本発明の電子機器を説明する図。
【符号の説明】
【0101】
100 基板
101 第1の電極
102 第1の絶縁層
103 発光層
104 第2の絶縁層
105 第2の電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、三元化合物を含み、
前記三元化合物は、
CuまたはAgのうちいずれか一の元素と、
Al、Ga、またはInのうちいずれか一の元素と、
S、Se、またはTeのうちいずれか一の元素と、からなることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、化合物ABC(但し、A=Cu、またはAg、B=Al、Ga、またはIn、C=S、Se、またはTe)を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項3】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層に接して化合物ABC(但し、A=Cu、またはAg、B=Al、Ga、またはIn、C=S、Se、またはTe)を含む半導体層が設けられていることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記発光層は硫化物、酸化物、または窒化物を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記発光層は硫化亜鉛を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、
前記発光層は、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、のいずれか1種又は2種以上の元素を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項6において、
前記発光層は、フッ素(F)、塩素(Cl)のいずれか1種又は2種の元素を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項8】
請求項4または請求項5において、
前記発光層は、アクセプター準位を形成する不純物元素を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項9】
請求項4または請求項5において、
前記発光層は、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する発光装置。
【請求項11】
表示部を有し、
前記表示部は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の発光素子と前記発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−265974(P2007−265974A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43690(P2007−43690)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】