説明

発光素子、発光装置及び照明装置

【課題】マイクロキャビティ構造を備える発光素子において、複数の波長に対して増幅効果を得ることが可能であり、所望の発光色を備えさせることが可能な発光素子を提供する。
【解決手段】一対の電極と、前記一対の電極の間に挟まれたEL層とを有する発光素子において、一対の電極の一方は反射面を形成する反射電極であり、一対の電極の他方は半反射面を形成する電極であり、反射面と半反射面との光学的距離をL、発光素子が発する光の波長成分をλとすると、L=nλ/2(nは2以上の整数)を満たすλが2以上存在する発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の電極間に有機化合物を含む発光層を有する発光素子およびそれを用いた発光装置、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一対の電極間に有機化合物を含む発光層(以下EL層とも称する)を有する発光素子(エレクトロルミネッセンス素子:EL素子ともいう)の開発が盛んに行われている。その用途として注目されている分野のひとつが照明分野である。この理由として、EL素子を用いた照明装置は薄型軽量に作製できること、面での発光が可能であること等、他の照明器具にはない特徴を備えることが挙げられる。
【0003】
また、EL素子は電力の光への変換効率が高く、省エネルギー性能でも高いポテンシャルを秘めている点でも注目されている。また、基板の選択によっては可撓性を有する照明装置や物理的な破壊に強い耐衝撃性を有する照明装置、非常に軽量な照明装置を提供できる点も特徴的である。
【0004】
日本工業規格(JIS規格)は、照明の色を相関色温度によって規定しており、最も色温度の低い電球色から最も色温度の高い昼光色まで、2600K〜7100Kの範囲の色温度の光が室内用照明として規定されている。EL素子は、発光物質を選択することによって多様な色の発光を得ることができる。しかし、これら色温度で表される光は、総じて広い波長を有する光であり、単独の発光物質から得られる光で規格を満たす光を得つつ、同時に照明として要求される輝度及び信頼性を得ることは非常に困難である。そのため、発光波長の異なる複数の発光物質を用い、良好な白色が表現できるようなEL素子が検討されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−53090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発光素子の光は、発光素子内部で発光してから発光素子の外部に出てゆくまでに、いくつもの層を介する。このとき、屈折率の異なる層と層の間や反射率の高い材料との界面において、反射が起きる。
【0007】
反射を繰り返すことにより、ある特定の波長の光が強められる、いわゆるマイクロキャビティ効果が顕著に現れる場合がある。マイクロキャビティは、ある波長の光が強められるため、高い色純度が求められるディスプレイにはむしろ積極的に用いられる現象である。しかし、通常の膜厚のEL層を有するEL素子では、マイクロキャビティ構造は単一モード、すなわち、一つの波長の光しか強めることができず、可視光領域を広くカバーする必要がある照明装置への適用は困難であった。
【0008】
そこで、本発明では、マイクロキャビティ構造を備える発光素子において、複数の波長を増幅することができ、所望の発光色を与えることが可能な発光素子を提供することを課題とする。
【0009】
また、照明用途として適用好適な発光素子を提供することを課題とする。
【0010】
また、照明用途として適した色温度を有する照明装置を提供することを課題とする。また、消費電力の小さい照明装置を提供することを課題とする。
【0011】
本発明では、上記課題の少なくとも1を解決すればよい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、EL素子の光学的膜厚を一定以上とすることによって、複数の波長の光において共振構造を形成することが可能となり上記課題を達成できることを見出した。すなわち、本発明の一態様は一対の電極と、前記一対の電極の間に挟まれたEL層とを有する発光素子において、前記一対の電極の一方は反射面を形成する反射電極であり、前記一対の電極の他方は半反射面を形成する電極であり、前記EL層には発光物質が含まれており、前記反射面と前記半反射面との光学的距離をLとすると、前記発光素子の発光波長範囲に、L=nλ/2(nは2以上の整数)を満たす波長λが2以上存在することを特徴とする発光素子である。すなわち該発光素子は、前記発光物質の発光スペクトルがL=nλ/2を満たす少なくとも二つの波長λをカバーするような光学的距離Lを有する。
【0013】
本発明の他の構成は、一対の電極と、前記一対の電極の間に挟まれたEL層とを有する発光素子において、前記一対の電極の一方は反射面を形成する反射電極であり、前記一対の電極の他方は半反射面を形成する電極であり、前記EL層は、少なくとも赤色発光層と、青色発光層と、膜厚調節層とを有し、前記発光素子における前記反射面と前記半反射面で構成される共振構造の光学的距離が650nm乃至1500nmであることを特徴とする発光素子である。
【0014】
本発明の他の構成は、一対の電極と、前記一対の電極の間に挟まれたEL層とを有する発光素子において、前記一対の電極の一方は反射面を形成する反射電極であり、前記一対の電極の他方は半反射面を形成する電極であり、前記EL層は、少なくとも赤色発光層と、緑色発光層と、青色発光層と、膜厚調節層とを有し、前記発光素子における前記反射面と前記半反射面で構成される共振構造の光学的距離が650nm乃至1500nmであることを特徴とする発光素子である。
【0015】
本発明の他の構成は、一対の電極と、前記一対の電極の間に挟まれたEL層とを有する発光素子において、前記一対の電極の一方は反射面を形成する反射電極であり、前記一対の電極の他方は半反射面を形成する電極であり、前記EL層は、少なくとも赤色発光層と、緑色発光層と、青色発光層と、膜厚調節層とを有し、前記発光素子における前記反射面と前記半反射面で構成される共振構造の光学的距離が1200nm乃至1400nmであることを特徴とする発光素子である。
【0016】
本発明の他の構成は、上記構成において、青色発光層は、430nm乃至495nmに発光ピークを有し、赤色発光層は、590nm乃至700nmに発光ピークを有することを特徴とする発光素子である。
【0017】
本発明の他の構成は、上記構成において、緑色発光層は、495nm乃至560nmに発光ピークを有することを特徴とする発光素子である。
【0018】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記半反射面を形成する電極が金属薄膜であることを特徴とする発光素子である。
【0019】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記半反射面を形成する電極が透光性を有する導電性金属酸化物からなる電極であることを特徴とする発光素子である。
【0020】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記半反射面を形成する電極が金属薄膜と透光性を有する導電性金属酸化物との積層体からなる電極であることを特徴とする発光素子である。
【0021】
本発明の他の構成は、上記構成において、膜厚調節層が前記反射電極に接して設けられていることを特徴とする発光素子である。
【0022】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記EL層は、少なくとも前記発光層のいずれか一を含む複数の発光ユニットからなり、前記複数の発光ユニットは電荷発生層によってそれぞれ分離されていることを特徴とする発光素子である。
【0023】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記電荷発生層の少なくとも一部が前記膜厚調節層を兼ねることを特徴とする発光素子である。
【0024】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記膜厚調節層が、透光性を有する導電性金属酸化物又は、キャリア輸送性を有する有機化合物と前記有機化合物にアクセプタ性もしくはドナー性を示す物質との複合材料のいずれか一もしくは両方により形成されていることを特徴とする発光素子である。
【0025】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記複合材料が正孔輸送性の高い有機化合物と、前記有機化合物にアクセプタ性を示す物質との複合材料であることを特徴とする発光素子である。
【0026】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記アクセプタ性を示す物質とは、遷移金属の酸化物であることを特徴とする発光素子である。
【0027】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記遷移金属の酸化物が、モリブデン酸化物であることを特徴とする発光素子である。
【0028】
本発明の他の構成は、上記構成に記載の発光素子が、支持基板と封止基板との間にシール材を介して封入されている発光装置である。
【0029】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記発光素子が前記反射電極側において支持基板に固定されていることを特徴とする発光装置である。
【0030】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記支持基板は熱伝導率の高い材料で構成されている、もしくは熱伝導率の高い材料を含む構造体であることを特徴とする発光装置である。
【0031】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記熱伝導率の高い材料とは、アルミニウム、ジュラルミン、ステンレスのいずれか一もしくはこれらの積層であることを特徴とする発光装置であるである。
【0032】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記半透過半反射電極のEL層に接する面と反対の面を覆って、屈折率が1以上2.3以下の透光性を有する膜が形成されていることを特徴とする発光装置である。
【0033】
本発明の他の構成は、上記構成において、前記支持基板と、前記封止基板のうち、前記半反射面を形成する電極側の基板の外側に光を拡散する部材が設けられていることを特徴とする発光装置である。
【0034】
本発明の他の構成は、上記構記載の発光装置を備えた照明装置である。
【発明の効果】
【0035】
本発明の発光素子は、マイクロキャビティ構造を有しており、複数の波長の光に対してを増幅効果を得ることが可能であり、所望の発光色を与えることが可能な発光素子である。
【0036】
本発明の照明装置は照明用途に適した色温度を有しており、また、消費電力が小さい照明装置である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一態様である発光素子の構成を表す概念図。
【図2】本発明の一態様である発光素子の構成を表す概念図。
【図3】本発明の一態様である照明装置を表す図。
【図4】本発明の一態様である照明装置を表す図。
【図5】本発明の一態様である照明装置を表す図。
【図6】発光素子1の輝度−電流密度特性を表す図。
【図7】発光素子1の輝度−電圧特性を表す図。
【図8】発光素子1の電流効率−輝度特性を表す図。
【図9】発光素子1の電流−電圧特性を表す図。
【図10】発光素子1の発光スペクトルを表す図。
【図11】発光素子1のCIE色度座標図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0039】
なお、説明に用いる図はわかりやすさを優先し、各要素における拡大、縮小率は一定ではない。そのため、図における各要素の厚さ、長さ、大きさの比率がそのまま本発明の一態様である発光装置の厚さ、長さ、大きさの比率を表すわけではないことに留意されたい。
【0040】
また、数値が同一であり、アルファベットの符号のみが異なる符合については、同一のグループとして扱う場合があり、上述のような符号に関して数値のみ示された場合は、アルファベットの異なる符号をすべて含めたグループを指すものとする。
【0041】
(実施の形態1)
図1(A)、(B)は本発明の一態様である発光素子の断面図の模式図である。本実施の形態で説明する発光素子は、一対の電極に挟まれたEL層を有している。EL層は機能分離された複数層からなり、少なくとも電流が流れることによって発光を呈する発光層を含む。
【0042】
図1(A)を説明する。一対の電極(第1の電極101、第2の電極102)は一方が陽極、もう一方が陰極である。また、一方は可視光の反射率の高い物質から構成された反射電極であり、もう一方が可視光の一部を透過し、一部を反射する部材から構成された半透過半反射電極である。共振構造106を構成する反射面と半反射面は、反射電極のEL層103側の表面と、半透過半反射電極のEL層103側の表面となる。図1(A)に記載の発光素子は、一対の電極が反射電極と半透過半反射電極から構成されていることによって、反射電極の上面と半透過半反射電極の下面との間で共振構造106が形成され、特定の波長の光が増幅もしくは減衰される可能性のあるマイクロキャビティ構造を備える発光素子となる。
【0043】
この場合、半透過半反射電極は金属を材料とするため、通常透明電極として用いられるインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜よりも導電性が大きく、電圧降下による発光面内での輝度むらを低減させることができる。なお、半透過半反射電極上に透明導電膜を積層して形成しても良い。これによりさらに有効に電圧降下を抑制し、輝度むらのない良好な発光を得ることができるようになる。図1(A)は第1の電極101を陽極且つ反射電極とし、第2の電極102を陰極且つ半透過半反射電極として説明する。なお、これらの組み合わせ及び上下関係は自由に組み合わせることができるが、トップエミッション構造への適用が特に好適である。
【0044】
EL層103は第1の電極101と第2の電極102との間に電圧を印加することによって発光を呈する構造であればどのような構成を有していても良いが、少なくとも共振構造106の光学的距離Lに対してL=nλ/2(nは2以上の整数)を満たす少なくとも二つの波長λに発光を与える発光層を有するものとする。図1(A)の場合は発光層104、発光層105の二つの発光層を有し、発光層104においては、共振構造106の光学的距離Lに対してL=2×λ/2を満たす波長λを有する光を発し、発光層105においてはL=3×λ/2を満たす波長λを有する光を発する例を図示した。
【0045】
EL層103は赤の発光と認識される波長帯の光を発する赤色発光層と、青の発光と認識される波長帯の光を発する青色発光層とを備えることが好ましく、さらに緑色の発光と認識される波長帯の光を発する緑色発光層を備えていることがより好ましい。これら発光層は、一つの発光層が複数の発光色を呈する発光層であっても良い。例えば、赤色と青色の両方の波長領域に発光を有する発光層一層でもって、上記赤色発光層と青色発光層に代えることができる。
【0046】
なお、図1(A)における共振構造106の光学的距離Lは650nm以上1500nm以下とする。なお、光学的距離は、共振構造106内に存在する各膜の厚さに、当該膜の屈折率を掛け合わせたものの和である。
【0047】
本明細書中において、青色発光層が発する光は430nm乃至495nmに発光のピークを有する光であり、緑色発光層が発する光は、495nm乃至560nmに発光のピークを有する光であり、赤色発光層が発する光は、590nm乃至700nmに発光のピークを有する光であるものとする。
【0048】
ここでEL層103は膜厚調節層を有しているものとする。本実施の形態における発光素子はEL層の光学的膜厚が650nmから1500nmであり、通常の発光素子と比較すると非常に厚膜化された発光素子である。そのため、通常使用される有機化合物のみによってこれだけの膜厚の発光素子を作製すると、駆動電圧が大きく上昇してしまう。そこで、膜厚調節層を用いることによって、駆動電圧の大きな上昇を招くことなく厚膜化された本実施の形態における発光素子の膜厚の調整を実現するものである。
【0049】
膜厚調節層としては、透光性を有する金属酸化物を用いることができる。透光性を有する金属酸化物としては、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ITO、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)、またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含有させたものが挙げられる。また、キャリア輸送性の高い物質と当該キャリア輸送性の高い物質に対してアクセプタ性又はドナー性を示す物質とから構成される複合材料膜も膜厚調節層として好適に用いることができる。
【0050】
キャリア輸送性物質と当該キャリア輸送性物質に対してアクセプタ性又はドナー性を示す物質とから構成される複合材料は、正孔輸送性の高い物質と当該物質に対してアクセプタ性を示す物質とから構成される複合材料と、電子輸送性の高い物質と当該物質に対してドナー性を示す物質とから構成される複合材料とに大別される。
【0051】
まず、正孔輸送性の高い物質と当該物質に対してアクセプタ性を示す物質とから構成される複合材料について説明する。
【0052】
当該複合材料のアクセプタ性物質として用いることができる物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属の酸化物、特に元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムが電子受容性が高いため好ましい物質である。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい物質である。
【0053】
上記複合材料に用いることができる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、オリゴマーおよびデンドリマーを含むポリマーなど、種々の化合物を挙げることができる。電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば用いることが可能であるが、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。以下では、上記複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0054】
上記複合材料に用いることができる芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等を挙げることができる。
【0055】
上記複合材料に用いることができるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。また、カルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0056】
また、上記複合材料に用いることができる香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0057】
上記複合材料に用いることができる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0058】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0059】
正孔輸送性の高い物質と当該物質に対してアクセプタ性を示す物質から構成される複合材料層からなる膜厚調節層は正孔輸送性及び正孔注入性に優れるため、陽極に接して設けることが好ましい。
【0060】
次に、電子輸送性の高い物質と当該物質に対してドナー性を示す物質とから構成される複合材料について説明する。
【0061】
ドナー性を示す物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びこれらの化合物を用いることができる。
【0062】
電子輸送性の高い物質としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
【0063】
次に、電子輸送性の高い物質と当該物質に対してドナー性を示す物質とから構成される複合材料層からなる膜厚調節層は電子輸送性及び電子注入性に優れるため、陰極に接して設けることが好ましい。
【0064】
本実施の形態における発光素子は共振構造の光学的距離が650nmを超える非常に膜厚の厚い発光素子である。共振構造の光学的距離とは、図1(A)においては、反射電極と半透過半反射電極との間の光学的距離に相当する。発光層から発した光は、反射電極や半透過半反射電極において、何度も反射を繰り返すことによって、当該光学的距離に対応する波長の光が強められたり、弱められたりする。ここで、このような共振構造が形成されている場合、共振により増幅される条件は共振構造の光学的距離が波長の半分の整数倍(波長をλ、mを整数とするとmλ/2)であることがわかっている。通常の厚さの発光素子(200nm程度)においては、有機材料の屈折率が1.7であることを考えると可視光領域のいずれかの色におけるλ/2波長を一つあわせこむのが限界であることがわかる。しかし、共振構造の光学的距離が650nmを超える本実施の形態の発光素子においては、複数の波長において、倍率の異なる共振構造を形成させることができる。すなわち、光学的距離650nmは、青色に視認される波長帯の3λ/2波長と、赤色に視認される波長帯の1λ波長に相当し、光学的膜厚が650nmである発光素子においては青と赤の複数の波長において共振構造を形成することができる。緑色の光は視感度が高いことから、青と赤の波長において共振構造を形成した発光素子は、バランスの良い白色発光を呈する発光素子とすることが可能となる。なお、EL層の膜厚はあまり厚すぎると作製時間が長くなりすぎるため、上限は1500nm程度であることが好ましい。
【0065】
発光素子の共振構造の光学的距離は、青の3λ波長、緑の5λ/2波長、赤の2λ波長に相当する1290nm乃至1400nmであることがより好ましい。このような光学的距離の共振構造を有する発光素子は、青、緑、赤の三色すべてに対応する共振構造を有する発光素子とすることができる。これにより、所望の色の白色発光を得ることが容易となる。また、より発光効率の高い発光素子とすることができる。
【0066】
なお、以上は、青、緑、赤の三色のみで話を進めたが、それ以外の波長において共振構造を形成しても良い。発光素子のスペクトルはピークの前後数十nmにわたって強度を有する光である。本実施の形態の発光素子において、ピーク波長ではなく、中間色に相当する複数の波長に共振構造を形成すると、黒体放射光のようにブロードなスペクトルを得るための一助となり、演色性も重視される照明用途として好ましい構成となる。
【0067】
また、本実施の形態における発光素子は光学的距離が非常に大きいので、発光位置がどこであっても共振効果を得ることが可能となる。発光素子の発光位置は発光層内においてもキャリアバランスなどによって変化するため、厳密に規定することが困難であるが、本実施の形態で説明する発光素子においては、それを考慮せずに増幅効果を得ることが可能である。
【0068】
本実施の形態は、このような複数の波長に対応するマイクロキャビティ構造を備えた発光素子を提供することができる。
【0069】
また、共振構造が異なる複数の素子を作製することなく、単一の素子構造で複数の波長に対して共振構造を形成できるため、簡便に色温度に優れた照明装置を得ることができる。
【0070】
図1(B)の場合、共振構造106を構成する反射面と半反射面は、反射電極である第1の電極101の表面と、半透過半反射電極である第2の電極102の上表面に相当する。第2の電極102の上表面での反射は、第2の電極102と第2の電極102上の物質との屈折率の差によって引き起こされるものである。この場合、共振構造106は第1の電極101の上面と第2の電極102の上面の間に形成され、EL層103だけでなく、第2の電極102が光路長に寄与する。
【0071】
この場合、第2の電極102は、透光性を有する導電性金属酸化物(酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ITO、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)、またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含有させたものなどの透明導電性金属酸化物)によって形成することができる。
【0072】
なお、金属と透光性を有する金属酸化物を積層して第2の電極102とすることもできる。
【0073】
また図1(B)の構成において、半透過半反射電極である第2の電極102上に屈折率が1から2.3の透光性を有する物質を積層しても良い。この場合、当該透光性を有する物質は導電性を有していても、有していなくてもかまわない。透光性を有する物質としては、例えば、上述のキャリア輸送性を有する有機化合物と当該有機化合物に対してアクセプタ性又はドナー性を示す物質との複合材料などEL層の材料として用いた物質、透光性を有する有機絶縁膜や無機絶縁膜などを用いることができる。これにより、さらに光路長を大きくすることができ、さらに多くの波長に適応する共振構造を発光素子内部に形成することができる。
【0074】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明したEL層や電極の材料及び作製方法について詳しく説明する。
【0075】
反射電極を構成する材料としては、具体的には、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、若しくはパラジウム(Pd)等の金属材料、これらの化合物および合金などを用いることができる。
【0076】
半透過半反射電極を金属で構成す場合、薄い金属膜(好ましくは20nm以下、更に好ましくは10nm以下)として形成することができる。薄い金属膜としては、銀、マグネシウム、またはこれらの金属材料を含む合金等を単層でまたは積層して形成し用いることが出来る。
【0077】
半透過半反射電極を透光性を有する導電性の金属酸化物で形成する場合には、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ITO、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)、またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含有させたものを用いることができる。
【0078】
また、半透過半反射電極上に形成する屈折率が1から2.3の透光性を有する物質は導電性を有していても、有していなくてもかまわない。透光性を有する物質としては、例えば、透光性を有する導電性の金属酸化物、実施の形態1で説明したキャリア輸送性を有する有機化合物と当該有機化合物に対してアクセプタ性又はドナー性を示す物質との複合材料や、EL層の材料として用いた物質、透光性を有する有機絶縁膜や無機絶縁膜などを用いることができる。
【0079】
反射電極および半透過半反射電極(もしくは透光性を有する導電性の金属酸化物からなる電極)は陽極又は陰極のどちらにもなりうるが、これら材料の仕事関数が陽極あるいは陰極として要求される機能と合致しない場合、EL層と当該電極との界面にキャリア注入層を形成することによって仕事関数の小さい(もしくは大きい)金属を陽極(もしくは陰極)に用いることができるようになる。陽極側のキャリア注入層としては正孔輸送性の高い有機化合物とアクセプタ物質から構成される複合材料、陰極側のキャリア注入層としては、電子輸送性の高い有機化合物とドナー性物質から構成される複合材料をキャリア注入層として好適に用いることができる。これら複合材料からなるキャリア注入層は、膜厚調節層を兼ねることができる。
【0080】
また、陽極に接して膜厚調節層を設ける場合、当該膜厚調節層は導電性の金属酸化物で形成することもできる。導電性の金属酸化物は、仕事関数が高いため、有機化合物にホールを注入しやすく、陽極側の膜厚調節層として好適に用いることができる。
【0081】
陽極702および陰極704はこれら用いられる材料に応じて、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、MBE(molecular beam epitaxy)法、CVD法(MOCVD(metal organic CVD)法やALD(atomic layer deposition)法)やゾル−ゲル法、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、コータ法、印刷法など公知の方法で作製することができる。
【0082】
EL層103の積層構造については特に限定されず、発光層、電子輸送性の高い物質を含む電子輸送層または正孔輸送性の高い物質を含む正孔輸送層、電子注入性の高い物質を含む電子注入層、正孔注入性の高い物質を含む正孔注入層、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を含むバイポーラ層など、各機能層を適宜組み合わせて構成すればよい。これら機能層は発光層以外は必須ではなく、また、上述以外の他の機能層を備えていても良い。このような積層構造を発光ユニットと称することもある。
【0083】
なお、本実施の形態の発光素子は、反射電極と半反射面との間の光学的距離Lに対してL=nλ/2(nは2以上の整数)を満たす少なくとも二つの波長λに発光を与える発光層を有する。
【0084】
本実施形態では、EL層103は、陽極702側から正孔注入層711、正孔輸送層712、発光層713、電子輸送層714、電子注入層715の積層構造を有する構成について説明する(図2(A)参照)。各層の構成及び材料について以下に具体的に示す。
【0085】
正孔注入層711は、陽極702に接して設けられ、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、DPAB、DNTPD等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層711を形成することができる。
【0086】
また、正孔注入層711として、正孔輸送性の高い物質に当該正孔輸送性の高い物質に対してアクセプタ性を示す物質を含有させた複合材料を用いることもできる。なお、該複合材料を陽極に接して形成することにより、仕事関数に依らず陽極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、陽極を構成する材料として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料も用いることができる。当該複合材料は、実施の形態1で説明した複合材料と同様の材料であるため、繰り返しとなる説明を省略する。なお、正孔注入層711を上記複合材料で形成した場合、正孔注入層711は膜厚調節層としても機能する。
【0087】
正孔輸送層712は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、BPAFLPなどの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。また、上述の複合材料における正孔輸送性の高い物質として挙げた有機化合物も正孔輸送層712に用いることができる。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0088】
また、正孔輸送層712として、PVKやPVTPA等の高分子化合物を用いることもできる。
【0089】
発光層713は、発光性の物質を含む層である。発光層713は、発光物質を主成分とする単膜の発光層であっても、ホスト材料中に発光物質を分散するいわゆるホスト−ゲスト型の発光層であってもどちらでも構わない。
【0090】
用いられる発光中心材料に制限は無く、公知の蛍光又は燐光を発する材料を用いることができる。蛍光発光性材料としては、例えばN,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、等の他、発光波長が450nm以上の4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。燐光発光性材料としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、の他、発光波長が470nm〜500nmの範囲にある、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナト(略称:FIracac)、発光波長が500nm(緑色発光)以上のトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナト(略称:Ir(ppy)(acac))、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナト(略称:Ir(bzq)(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナト(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナト(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナト(略称:Ir(bt)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナト(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナト(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等が挙げられる。以上のような材料又は他の公知の材料の中から、各々のEL素子における発光色を考慮し選択すれば良い。
【0091】
ホスト材料を用いる場合は、例えばAlq、Almq、BeBq、BAlq、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、PBD、OXD−7、TAZ、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、BPhen、BCP、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、NPB(またはα−NPD)、TPD、BSPBなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、DPAnth、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、YGAPA、PCAPA、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、2PCAPA、DBC1、CzPA、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、DPPA、DNA、t−BuDNA、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)などを挙げることができる。これら及び公知の物質の中から、各々が分散する発光物質のエネルギーギャップ(燐光発光の場合は三重項エネルギー)より大きなエネルギーギャップ(三重項エネルギー)を有する物質を有し、且つ各々の層が有すべき輸送性に合致した輸送性を示す物質を選択すればよい。
【0092】
発光層は一層であっても、異なる発光色を呈する発光物質を含む発光層の積層であっても良い。発光層が一層である場合は、当該発光層に異なる波長の光を呈する発光物質が複数含まれていても良い。また、異なるホスト材料に同一の発光中心材料を含む発光層の積層であっても良い。
【0093】
電子輸送層714は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、実施の形態1で示した電子輸送性の高い物質が挙げられる。
【0094】
また、電子輸送層714は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0095】
また、電子輸送層714と発光層713との間に電子の移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、電子の移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層713を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0096】
電子注入層715としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はこれらの化合物を用いることができる。または、電子輸送性を有する物質からなる層中に当該電子輸送性を有する物質に対して電子供与性を示す物質(代表的にはアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物)を含有させた層(ドナー準位を有する材料)、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させた層等を電子注入層715として用いることができる。なお、電子注入層715として、ドナー準位を有する材料を用いた構成は、陰極704からの電子注入が効率良く行われるため、より好ましい構成である。
【0097】
なお、上述のEL層103は図2(B)のように陽極702と陰極704との間に発光ユニットが複数積層されている構造であっても良い。この場合、積層された第1の発光ユニット800と第2の発光ユニット801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の正孔輸送性の高い有機化合物と当該有機化合物にアクセプタ性を示す材料で構成される複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、ドナー性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透光性を有する導電性の金属酸化物からなる層などを用いることができる。このような構成を有するEL素子は、電流効率が飛躍的に向上するので、高いパワー効率と長い寿命とを併せ持つEL素子とすることが容易である。また、一方の発光ユニットで燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。
【0098】
図2(B)においては、二つの発光ユニット(第1の発光ユニット800及び第2の発光ユニット801)が積層されている構成を例示したが、3層以上の発光ユニットを積層することも可能である。この際も各発光ユニットの間には電荷発生層が設けられていることが好ましい。なお、電荷発生層803は膜厚調節層としても機能する。
【0099】
各発光ユニットは、図2(A)におけるEL層103と同様の構成をそれぞれ有している。各ユニットに含まれる層の詳しい説明は上述したとおりであるので繰り返しとなる説明を省略する。図2(A)におけるEL層103の説明を参照されたい。
【0100】
特に図2(B)の構成は、大きな膜厚が必要となる実施の形態1に記載の発光素子に好適に適用することができる。また、異なる発光色の光を同時に得ることが容易であることから、照明用途として特に有効である。これによって照明用途に優れた色温度の発光装置を得ることができる。
【0101】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1に記載の発光素子を照明装置として用いる例を図3を参照しながら説明する。図3(B)は照明装置の上面図、図3(A)は図3(B)におけるc−d断面図である。
【0102】
本実施の形態における照明装置は、支持体である支持基板400上に、第1の電極401が形成されている。第1の電極401は実施の形態1における第1の電極101に相当する。照明装置が下面発光型の場合、支持基板400の材料としては、ガラス、石英、有機樹脂などの透光性を有する材料を用いる。また上面発光型の場合、支持基板400は透光性を有していなくともよく、上記の材料に加え金属、半導体、セラミック、有色の有機樹脂などの材料を用いることができる。導電性の基板を用いる場合、その表面を酸化させる、または表面に絶縁膜を形成するなどにより表面に絶縁性を持たせることが好ましい。
【0103】
支持基板400として有機樹脂を用いる場合、有機樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、またはポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜた基板を使用することもできる。
【0104】
特に、封止基板407側から光を取り出すいわゆる上面発光型の発光装置の場合、支持基板400には金属基板などの熱伝導性の高い基板を用いることが好ましい。EL素子を用いた大型の発光装置の場合、EL素子からの発熱が問題となる場合があるため、このような熱伝導性の高い基板を用いると放熱性が高まる。例えば、ステンレス基板のほかに、アルミニウム、ジュラルミンなどを用いると、軽量且つ放熱性を高めることができる。また、アルミニウムとアルミニウム酸化物との積層、ジュラルミンとアルミニウム酸化物との積層、ジュラルミンとマグネシウム酸化物との積層などを用いると、基板表面を絶縁性とすることができるため好ましい。
【0105】
第1の電極401上にはEL層403が形成されている。EL層403は実施の形態1又は実施の形態2におけるEL層103の構成に相当する。当該記載を参照されたい。なお、EL層403は第1の電極401よりも平面的に見て少し大きく形成することが、第1の電極401と第2の電極404とのショートを抑制する絶縁層の役割も担えるため好ましい構成である。
【0106】
続いて、EL層403を覆って第2の電極404を形成する。第2の電極404は実施の形態1における第2の電極102に相当し、その構成を有する。本実施の形態において、第2の電極404はパッド412と接続することによって、電圧が供給されるものとする。
【0107】
以上、第1の電極401、EL層403、及び第2の電極404を有する発光素子を本実施の形態で示す照明装置は有している。当該発光素子は複数の波長に対して共振構造を有する発光素子であるため、本実施の形態における照明装置は色温度に優れた照明装置とすることができる。また、消費電力の小さい照明装置とすることができる。また、共振構造が異なる複数の素子を作製することなく、単一の素子構造で複数の波長に対して共振構造を形成できるため、簡便に色温度に優れた照明装置を得ることができる。
【0108】
以上の構成を有する発光素子を、シール材405、406を用いて封止基板407を固着し、封止することによって照明装置が完成する。シール材405、406はどちらか一方でもかまわない。また、内側のシール材406には乾燥剤を混ぜることもでき、これにより、水分を吸着することができ、信頼性の向上につながる。また、封止基板407、発光素子が形成された支持基板400、シール材405、406で囲まれた空間408は、減圧雰囲気であっても良いが、その他、水分と酸素を含まない空気、乾燥した窒素などの気体、シール材などの液体や固体によって充填されていても良い。
【0109】
また、パッド412、第1の電極401の一部をシール材405、406の外に伸張して設けることによって、外部入力端子とすることができる。また、その上にコンバーターなどを搭載したICチップ420などを設けても良い。
【0110】
なお、シール材405にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板407に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル樹脂等からなるプラスチック基板を用いることができる。シール材としてガラスフリットを用いる場合には、接着性の観点から支持基板400及び封止基板407はガラス基板であることが好ましい。
【0111】
また、マイクロキャビティ構造を有する実施の形態1に記載の発光素子を用いた本実施の形態における照明装置は、発する光に指向性が生じるため、照明装置の表面や、封止基板407の裏面など、発光と交差する面に光を拡散する構造を設けても良い。光を拡散する構造としては、例えば、半球レンズやマイクロレンズアレイなどの凹凸構造が施された光拡散フィルムなどを貼り付けてもよいし、直接凹凸形状を支持基板400や封止基板407に形成してもよい。
【0112】
以上、本実施の形態に記載の照明装置は、発光素子として実施の形態1に記載の発光素子を用いていることから、照明用途に適した色温度の照明装置とすることが可能となる。また、消費電力の小さい照明装置とすることができる。また、安価な照明装置とすることができる。
【0113】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様により形成された発光装置を用いた照明装置について図4及び図5を用いて説明する。
【0114】
図4は照明装置(卓上照明装置)であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源スイッチ7506を含む。なお、照明装置は、本発明の一態様により作製される発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。なお、照明装置には、図4に示す卓上照明装置の他、天井固定型の照明装置(天井固定型照明装置)または壁掛け型の照明装置(壁掛け型照明装置)なども含まれる。
【0115】
なお、本発明の一態様を適用して形成される照明装置は、信頼性や製造歩留まりの高い照明装置であるため、照明装置の照明部7501に用いることで、信頼性が高く、価格競争力の高い照明装置を提供することができる。また、本発明の一態様を適用して形成される照明装置は消費電力の小さい照明装置とすることができる。
【0116】
図5は、卓上照明装置3000とともに、本発明の一態様を適用して形成される発光装置を室内照明装置として用いた例である。本発明の一態様の発光装置は信頼性や製造歩留まりの高い照明装置であるため、天井固定型照明装置3001に示すように大面積の照明装置として非常に好適に用いることができる。その他、壁掛け型照明装置3002として用いることもできる。また、本発明の一態様を適用して形成される照明装置は消費電力の小さい照明装置とすることができる。
【実施例1】
【0117】
本実施例では、本発明の一態様である、実施の形態1に記載の発光素子について説明する。本実施例で用いた有機化合物の分子構造を以下に示す。
【0118】
【化1】

【0119】
≪発光素子の作製≫
まず、第1の電極として、アルミニウム−チタン合金(Al−Ti)とチタン(Ti)とをスパッタリング法にて連続して成膜し、反射電極層を形成した。膜厚はアルミニウム−チタン合金が200nm、チタンが6nmとなるように成膜を行った。チタン成膜後に300℃で1時間加熱し、酸化チタンを含む層を形成した。続いて、酸化ケイ素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)を70nmの膜厚で成膜し、膜厚調節層とした。膜厚調節層表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極相当面積は2mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0120】
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0121】
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(ii)で表されるPCzPAと酸化モリブデン(VI)とを、PCzPA:酸化モリブデン(VI)=1:0.5(重量比)となるように蒸着レートを調節して共蒸着することにより、膜厚調節層を兼ねる正孔注入層を形成した。膜厚は30nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0122】
続いて、PCzPAを20nm蒸着することにより第1の正孔輸送層を形成した。
【0123】
さらに、第1の正孔輸送層上に、上記構造式(i)で表されるCzPAと上記構造式(iii)で表されるN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、をCzPA:1,6mMemFLPAPrn=1:0.05(重量比)となるように蒸着レートを調節し、30nm蒸着することによって第1の発光層を形成した。
【0124】
次に、第1の発光層上に、CzPAを5nm蒸着することにより、第1の電子輸送層を形成し、上記構造式(iv)で表されるBPhenを15nm蒸着することにより第2の電子輸送層を形成した。
【0125】
さらに、第2の電子輸送層上に電子注入バッファ層としてカルシウムを1nmの膜厚となるように蒸着し、その後電子リレー層として上記構造式(v)で表されるCuPcを2nmの膜厚となるように蒸着した。さらに電子リレー層上にPCzPAと酸化モリブデン(VI)をPCzPA:酸化モリブデン(VI)=1:0.5となるように共蒸着し、電荷発生層を形成した。電荷発生層の膜厚は30nmとなるように成膜した。なお、この電荷発生層は膜厚調節層を兼ねている。
【0126】
続いて、上記構造式(vi)で表されるBPAFLPを20nm蒸着し、第2の正孔輸送層を形成した。
【0127】
さらに、上記構造式(vii)で表される2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)と上記構造式(viii)で表される4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)と上記構造式(ix)で表される(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)(acac))とを、2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:Ir(mppm)(acac)=0.8:0.2:0.06(重量比)となるように共蒸着して第2の発光層を形成した。膜厚は20nmとなるようにした。
【0128】
続いて、2mDBTPDBq−IIと上記構造式(x)で表される(ジピバロイルメタナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))を2mDBTPDBq−II:Ir(tppr)(dpm)=1:0.02(重量比)となるように共蒸着して第3の発光層を形成した。膜厚は20nmとなるようにした。
【0129】
この後、2mDBTPDBq−IIを15nm成膜し、第3の電子輸送層を、続けてBPhenを15nm成膜し、第4の電子輸送層をそれぞれ形成した。
【0130】
そして、第4の電子輸送層上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着し、電子注入層を形成し、その上に銀及びマグネシウムを含む膜を銀:マグネシウム=10:1(体積比)となるように10nm成膜し、さらにITSOを50nm成膜して第2の電極を形成し、発光素子1を作製した。
【0131】
発光素子1の素子構造を表1に示す。
【0132】
【表1】

【0133】
≪発光素子1の動作特性≫
以上により得られた発光素子1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性を評価した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0134】
図6に発光素子1の輝度(cd/m)−電流密度(mA/cm)特性を、図7に輝度(cd/m)−電圧(V)特性を、図8に電流効率(cd/A)−輝度(cd/m)特性を、図9に電流(mA)−電圧(V)特性を示す。また、発光素子1の1000cd/m付近における主な特性を表2に示す。
【0135】
【表2】

【0136】
また、発光素子1に0.1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図10に示す。図10では縦軸が発光強度、横軸が発光波長(nm)を示す。
【0137】
本実施例における発光素子1は、反射電極がアルミニウム−チタン合金、半反射面がITSOと空気の界面となるため、これら電極間の光学的膜厚Lは664nmとなる。式L=nλ/2より、n=2においてλ=664nm、n=3においてλ=443nmが発光素子1の共振波長となる。図10を見ると、当該波長に対応する波長において、発光素子1はピークを有しており、複数の波長において共振構造を有する発光素子であることが確認された。また、発光素子1のCIE1931色度座標図を図11に示す。図中、点で示されている部分が各測定電圧における発光素子の色度を表している。本実施例における発光素子1は、複数波長において共振構造を有する発光素子であることから、照明用途に適した色温度の発光色を呈する発光素子であることもわかった。
【0138】
(参考例)
本参考例では、実施例の発光素子1で用いた材料について説明する。
【0139】
<1,6mMemFLPAPrnの合成例>
発光素子1の材料に用いたN’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)を合成する例を示す。
【0140】
[ステップ1:3−メチルフェニル−3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニルアミン(略称:mMemFLPA)の合成法]
【0141】
9−(3−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレン3.2g(8.1mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.3g(24.1mmol)を200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン40.0mL、m−トルイジン0.9mL(8.3mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.2mLを加えた。この混合物を60℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)44.5mg(0.1mmol)を加え、この混合物を80℃にて2.0時間攪拌した。攪拌後、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通して吸引濾過し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮し得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=1:1)により精製し、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶し、目的の白色固体2.8gを、収率82%で得た。上記ステップ1の合成スキームを下記(A−1)に示す。
【0142】
【化2】

【0143】
[ステップ2:1,6mMemFLPAPrnの合成法]
【0144】
1,6−ジブロモピレン0.6g(1.7mmol)、mMemFLPA1.4g(3.4mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.5g(5.1mmol)を100mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン21.0mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.2mLを加えた。この混合物を60℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)34.9mg(0.1mmol)を加え、この混合物を80℃にて3.0時間攪拌した。攪拌後、トルエンを400mL加えて加熱し、熱いまま、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通して吸引濾過し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮し得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=3:2)により精製し、黄色固体を得た。得られた黄色固体をトルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶し、目的の黄色固体を1.2g、収率67%で得た。
【0145】
得られた黄色固体1.0gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.2Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、317℃で黄色固体を加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体1.0gを、収率93%で得た。上記ステップ2の合成スキームを下記(A−2)に示す。
【0146】
【化3】

【0147】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,6mMemFLPAPrnであることを確認した。
【0148】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ=2.21(s,6H)、6.67(d,J=7.2Hz,2H)、6.74(d,J=7.2Hz,2H)、7.17−7.23(m,34H)、7.62(d,J=7.8Hz,4H)、7.74(d,J=7.8Hz,2H)、7.86(d,J=9.0Hz,2H)、8.04(d,J=8.7Hz,4H)
【0149】
<2mDBTPDBq−IIの合成例>
発光素子1の材料に用いた2mDBTPDBq−IIを合成する例を示す。
【0150】
[2mDBTPDBq−IIの合成]
2mDBTPDBq−IIの合成スキームを(B−1)に示す。
【0151】
【化4】

【0152】
2L三口フラスコに2−クロロジベンゾ[f,h]キノキサリン5.3g(20mmol)、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸6.1g(20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)460mg(0.4mmol)、トルエン300mL、エタノール20mL、2Mの炭酸カリウム水溶液20mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌することで脱気し、フラスコ内を窒素置換した。この混合物を窒素気流下、100℃で7.5時間攪拌した。室温まで冷ました後、得られた混合物を濾過して白色の濾物を得た。得られた濾物を水、エタノールの順で洗浄した後、乾燥させた。得られた固体を約600mLの熱トルエンに溶かし、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引濾過し、無色透明の濾液を得た。得られた濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。クロマトグラフィーは、熱トルエンを展開溶媒に用いて行った。ここで得られた固体にアセトンとエタノールを加えて超音波を照射した後、生じた懸濁物を濾取して乾燥させたところ、目的物の白色粉末を収量7.85g、収率80%で得た。
【0153】
得られた白色粉末4.0gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力5.0Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、白色粉末を300℃で加熱して行った。昇華精製後、目的物の白色粉末を3.5g、収率88%で得た。
【0154】
NMRによって、この化合物が目的物である2mDBTPDBq−IIであることを確認した。
【0155】
得られた物質のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.45−7.52(m,2H),7.59−7.65(m,2H),7.71−7.91(m,7H),8.20−8.25(m,2H),8.41(d,J=7.8Hz,1H),8.65(d,J=7.5Hz,2H),8.77−8.78(m,1H),9.23(dd,J=7.2Hz,1.5Hz,1H),9.42(dd,J=7.8Hz,1.5Hz,1H),9.48(s,1H)。
【0156】
<[Ir(mppm)(acac)]の合成例>
発光素子1の材料に用いたIr(mppm)(acac)を合成する例を示す。
【0157】
[ステップ1;4−メチル−6−フェニルピリミジン(略称:Hmppm)の合成]
まず、4−クロロ−6−メチルピリミジン4.90gとフェニルボロン酸4.80g、炭酸ナトリウム4.03g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(略称:Pd(PPhCl)0.16g、水20mL、アセトニトリル10mLを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射することで加熱した。ここでさらにフェニルボロン酸2.28g、炭酸ナトリウム2.02g、Pd(PPhCl0.082g、水5mL、アセトニトリル10mLをフラスコに入れ、再度マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射することで加熱した。その後この溶液に水を加え、ジクロロメタンにて抽出した。得られた抽出液を飽和炭酸ナトリウム水溶液、水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した後の溶液を濾過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタン:酢酸エチル=9:1(体積比)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的のピリミジン誘導体Hmppmを得た(橙色油状物、収率46%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。以下にステップ1の合成スキーム(C−1)を示す。
【0158】
【化5】

【0159】
[ステップ2;ジ−μ−クロロ−ビス[ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)](略称:[Ir(mppm)Cl])の合成]
次に、2−エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ1で得たHmppm1.51g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)1.26gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、ナスフラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させた。溶媒を留去した後、得られた残渣をエタノールで洗浄し、濾過することにより複核錯体[Ir(mppm)Cl]を得た(暗緑色粉末、収率77%)。以下にステップ2の合成スキーム(C−2)を示す。
【0160】
【化6】

【0161】
[ステップ3;(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acac)])の合成]
さらに、2−エトキシエタノール40mL、上記ステップ2で得た複核錯体[Ir(mppm)Cl]1.84g、アセチルアセトン0.48g、炭酸ナトリウム1.73gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、ナスフラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射し、反応させた。溶媒を留去し、得られた残渣をジクロロメタンに溶解して濾過し、不溶物を除去した。得られた濾液を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した後の溶液を濾過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタン:酢酸エチル=4:1(体積比)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。その後、ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒にて再結晶化することにより、目的物を黄色粉末として得た(収率44%)。以下にステップ3の合成スキーム(C−3)を示す。
【0162】
【化7】

【0163】
上記ステップ3で得られた黄色粉末のH−NMRによる分析結果を下記に示す。この結果から、この化合物が目的物である(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acac)])が得られたことがわかった。
【0164】
H−NMR.δ(CDCl):1.78(s,6H),2.81(s,6H),5.24(s,1H),6.37(d,2H),6.77(t,2H),6.85(t,2H),7.61−7.63(m,4H),8.97(s,2H).
【符号の説明】
【0165】
101 第1の電極
102 第2の電極
103 EL層
104 発光層
105 発光層
106 共振構造
400 支持基板
401 第1の電極
403 EL層
404 第2の電極
405 シール材
406 シール材
407 封止基板
408 空間
412 パッド
420 ICチップ
702 陽極
704 陰極
711 正孔注入層
712 正孔輸送層
713 発光層
714 電子輸送層
715 電子注入層
800 第1の発光ユニット
801 第2の発光ユニット
803 電荷発生層
3000 卓上照明装置
3001 天井固定型照明装置
3002 壁掛け型照明装置
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極と、前記一対の電極の間に挟まれたEL層とを有する発光素子において、
前記一対の電極の一方は反射面を形成する反射電極であり、
前記一対の電極の他方は半反射面を形成する電極であり、
前記反射面と前記半反射面との光学的距離をLとすると、前記発光素子の発光波長範囲に、L=nλ/2(nは2以上の整数)を満たす波長λが2以上存在することを特徴とする発光素子。
【請求項2】
一対の電極と、前記一対の電極の間に挟まれたEL層とを有する発光素子において、
前記一対の電極の一方は反射面を形成する反射電極であり、
前記一対の電極の他方は半反射面を形成する電極であり、
前記EL層は、少なくとも赤色発光層と、青色発光層と、膜厚調節層とを有し、
前記発光素子における前記反射面と前記半反射面で構成される共振構造の光学的距離が650nm乃至1500nmであることを特徴とする発光素子。
【請求項3】
一対の電極と、前記一対の電極の間に挟まれたEL層とを有する発光素子において、
前記一対の電極の一方は反射面を形成する反射電極であり、
前記一対の電極の他方は半反射面を形成する電極であり、
前記EL層は、少なくとも赤色発光層と、緑色発光層と、青色発光層と、膜厚調節層とを有し、
前記発光素子における前記反射面と前記半反射面で構成される共振構造の光学的距離が650nm乃至1500nmであることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
一対の電極と、前記一対の電極の間に挟まれたEL層とを有する発光素子において、
前記一対の電極の一方は反射面を形成する反射電極であり、
前記一対の電極の他方は半反射面を形成する電極であり、
前記EL層は、少なくとも赤色発光層と、緑色発光層と、青色発光層と、膜厚調節層とを有し、
前記発光素子における前記反射面と前記半反射面で構成される共振構造の光学的距離が1200nm乃至1400nmであることを特徴とする発光素子である。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか一項において、青色発光層は、430nm乃至495nmに発光ピークを有する発光層であり、赤色発光層は、590nm乃至700nmに発光ピークを有する発光層であることを特徴とする発光素子。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか一項において緑色発光層は、495nm乃至560nmに発光ピークを有する発光層であることを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記半反射面を形成する電極が半透過半反射電極であることを特徴とする発光素子。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記半反射面を形成する電極が透光性を有する導電性金属酸化物からなる電極であることを特徴とする発光素子。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記半反射面を形成する電極が半透過半反射部材と透光性を有する導電性金属酸化物との積層体からなる電極であることを特徴とする発光素子。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、膜厚調節層が前記反射電極に接して設けられていることを特徴とする発光素子。
【請求項11】
請求項2乃至請求項10のいずれか一項において、前記EL層は、少なくとも前記発光層のいずれか一を含む複数の発光ユニットからなり、前記複数の発光ユニットは電荷発生層によってそれぞれ分離されていることを特徴とする発光素子。
【請求項12】
請求項11において、前記電荷発生層の少なくとも一部が前記膜厚調節層を兼ねることを特徴とする発光素子。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項において、前記膜厚調節層が、透光性を有する導電性金属酸化物又は、キャリア輸送性を有する有機化合物と前記有機化合物にアクセプタ性もしくはドナー性を有する物質との複合材料のいずれか一もしくは両方により形成されていることを特徴とする発光素子。
【請求項14】
請求項13において、前記複合材料が正孔輸送性の高い有機化合物と、前記有機化合物にアクセプタ性を示す物質との複合材料であることを特徴とする発光素子。
【請求項15】
請求項14において、前記アクセプタ性を示す物質とは、遷移金属の酸化物であることを特徴とする発光素子。
【請求項16】
請求項15において、前記遷移金属の酸化物が、モリブデン酸化物であることを特徴とする発光素子。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載の発光素子が、支持基板と封止基板との間にシール材を介して封入されている発光装置。
【請求項18】
請求項17に記載の発光装置において、前記発光素子が前記反射電極側において支持基板に固定されていることを特徴とする発光装置。
【請求項19】
請求項18において前記支持基板は熱伝導率の高い材料で構成されている、もしくは熱伝導率の高い材料を含む構造体であることを特徴とする発光装置。
【請求項20】
請求項18又は請求項19において、前記熱伝導率の高い材料とは、アルミニウム、ジュラルミン、ステンレスのいずれか一もしくはこれらの積層であることを特徴とする発光装置である。
【請求項21】
請求項17乃至請求項20のいずれか一項において、前記半透過半反射電極のEL層に接する面と反対の面を覆って、屈折率が1以上2.3以下の透光性を有する膜が形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項22】
請求項17乃至請求項21のいずれか一項において、前記支持基板と、前記封止基板のうち、前記半反射面を形成する電極側の基板に光を拡散する構造が設けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項23】
請求項17乃至請求項22のいずれか一項に記載の発光装置を備えた照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−238589(P2012−238589A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100874(P2012−100874)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】