発光素子およびこれを用いた通信装置
【課題】素子の構造に起因するピエゾ電界を解消することができ、かつ光伝送路とのマッチングに優れる発光素子およびこれを用いた通信装置を提供する。
【解決手段】GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するp型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にMgドープのGaN層140を設けたので、バンドの傾斜をもたらすピエゾ電界が打ち消されて光応答速度を向上させることができる。
【解決手段】GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するp型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にMgドープのGaN層140を設けたので、バンドの傾斜をもたらすピエゾ電界が打ち消されて光応答速度を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サファイア基板上にIII族窒化物系化合物半導体層が形成された発光素子及びこれを備えた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物系化合物半導体からなる発光素子として、窒化ガリウム(GaN)を用いた発光素子が知られている。GaN系発光素子は、紫外領域から可視領域にかけての発光特性を有し、蛍光体等の波長変換部手段を用いて波長変換することにより高輝度の白色光が得られることから、白色光源としての種々の提案がなされている。
【0003】
このような発光素子の用途として、光通信用光源がある。従来の光通信用光源として、赤色光(630〜640nm)の高輝度の発光素子を発光部に使用し、光ファイバに入射した光を受光部の受光素子で受光したり、空間を媒体として光を受光部の受光素子で受光し、光電変換することにより信号出力するものがある。
【0004】
通信用光ファイバとしては、伝送損失の小である石英からなる光ファイバが広く知られているが、その価格や、結合作業性に精度を要する点から、石英光ファイバと比べて安価で導入性に優れるPOF(Plastic Optical Fiber)が注目されている。POFは、波長約570nmに伝送損失の極小値を有し、青色光から緑色光の波長帯についても赤色光の伝送損失より小であることから、GaN系発光素子からなる発光部とのマッチングに優れる。
【0005】
GaN系発光素子を光通信用途に用いて、赤色発光素子を用いたものと同等以上の通信速度を得るには通電に伴う発光素子の発光量、応答性が重要である。この点において、GaN系半導体では、サファイア基板上に成長させる半導体層の特性によってピエゾ電界が発生することが知られており、量子井戸構造を形成した場合に量子井戸内のバンドが傾いて電子と正孔の空間的な分離を助長し、その結果、発光強度が低下する問題が指摘されている。
【0006】
このような問題を解消するものとして、InXGa1−XN量子井戸内のIn組成比Xと厚さを変化させることにより、発光強度の向上を図るものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−056973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1によると、一般的な表示用発光素子としての発光強度特性として良好であっても、通信用発光素子として求められる応答性が充分でないため、高速の光通信に対応することができないという問題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、素子の構造に起因するピエゾ電界を解消することができ、かつ光伝送路とのマッチングに優れる発光素子およびこれを用いた通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、上記の目的を達成するため、基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる井戸層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子を提供する。
【0010】
このような構成によれば、素子を構成する半導体層の結晶構造に起因するピエゾ電界の発生を抑制し、応答性および光出力に優れる発光素子とできる。
【0011】
(2)本発明は、上記の目的を達成するため、基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる発光する層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子と、前記発光素子から放射される光を伝送する光ファイバとを有する通信装置を提供する。
【0012】
このような構成によれば、素子を構成する半導体層の結晶構造に起因するピエゾ電界の発生を抑制し、応答性および光出力に優れ、伝送損失の低下を抑えた通信装置とできる。
【0013】
(3)本発明は、上記の目的を達成するため、基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる発光する層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子を有する発光部と、前記発光部から放射される可視光を受信する受光部と、を備えた通信装置を提供する。
【0014】
このような構成によれば、素子の構造に起因するピエゾ電界を解消することができ、かつ、通信信号を送る光を同時に装置の動作確認光として利用できる優れた光無線通信装置とできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、素子の構造に起因するピエゾ電界を解消することができ、かつ光伝送路との優れたマッチングを付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(本発明の第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る発光素子を用いた通信装置の概略構成図である。
【0017】
この通信装置100は、光出力側の発光部10と、光受光側の受光部20と、発光部10と受光部20とを接続して光通信を行うための光伝送路であるPOF30によって大略構成されている。
【0018】
発光部10は、光によって伝送する信号を外部より入力信号として入力する信号処理部11と、信号処理部11から供給される電流に応じて入力信号に基づく光をPOF30に出射するGaN系半導体からなる発光素子12とを有する。ここで、GaN系半導体とは、一般式としてAlXGaYIn1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表され、AlN、GaN及びInNのいわゆる2元系、AlXGa1−XN、AlXIn1−XN及びGaXIn1−XN(以上において0<X<1)のいわゆる3元系を包含する。
【0019】
受光部20は、POF30を介して伝送された光を受光する受光素子21と、受光素子21で光電変換された信号出力を波形処理して所望の出力信号を取り出す信号処理部22とを有する。
【0020】
POF30は、発光素子12の発光波長に対して透明性を示す材料によって形成されている。本実施の形態においてはポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂によって形成されるシングルコアPOFであり、GaN系発光素子の発光波長に対して伝送損失が小である特徴を有する。なお、同様の材料で形成されるマルチコアPOFを使用することも可能である。
【0021】
図2は、第1の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQW(Single-Quantum Well)の構成を示す部分拡大図である。以下の説明では、サファイア基板とAlNバッファ層を除いた部分を発光素子部という。
【0022】
発光素子12は、p側およびn側の電極を水平方向に配置した水平型の発光素子であり、III族窒化物系化合物半導体を成長させる成長基板であるサファイア基板101と、サファイア基板101上に形成されるAlNバッファ層102と、Siドープのn型GaN:Siコンタクト・クラッド層103と、InGaN/GaNの量子井戸構造を有するSQW104と、Mgドープのp型Al0.12Ga0.88N:Mgクラッド層105と、Mgドープのp型GaN:Mgコンタクト層106と、p型GaN:Mgコンタクト層106に電流を拡散させるITO(Indium Tin Oxide)からなる透光性電極107とを順次積層して形成されており、AlNバッファ層102からp型GaN:Mgコンタクト層106までを有機金属気相成長法(MOCVD)法によって形成している。この発光素子12の発光面積は22000μm2であるが、これより小であることが望ましい。さらには、発光面積は1000μm2以上であることが望ましい。発光素子12の発光面積を大きくすることにより光出力が増大し、発光面積を小さくすることにより応答性が良好となることから、発光面積を1000μm2以上かつ22000μm2以下とすることにより応答性および光出力に優れる発光素子とできる。
【0023】
また、透光性電極107の表面にはAuからなるパッド電極108が設けられており、発光素子部のp型GaN:Mgコンタクト層106からn型GaN:Siコンタクト・クラッド層103までをエッチングによって除去したn型GaN:Siコンタクト・クラッド層103にはAlからなるn側電極109が設けられている。
【0024】
AlNバッファ層102は、キャリアガスとしてH2を使用し、トリメチルガリウム(TMG)と、トリメチルアルミニウム(TMA)をサファイア基板101が配置されたリアクタ内に供給することにより形成される。
【0025】
n型GaN:Siコンタクト・クラッド層103は、キャリアガスとしてH2を使用し、NH3とトリメチルガリウム(TMG)をサファイア基板101が配置されたリアクタ内に供給し、また、n型の導電性を付与するためのドーパントとしてモノシラン(SiH4)をSi原料として使用し、AlNバッファ層102上に厚さ約4μmで形成される。
【0026】
SQW104は、キャリアガスとしてN2を使用し、トリメチルインジウム(TMI)とTMGをリアクタ内に供給することによって形成される。In0.15Ga0.85N井戸層104Aの形成時にはTMIとTMGが供給され、GaN障壁層104Bの形成時にはTMGが供給される。In0.15Ga0.85N井戸層104Aの平均厚さは、応答性および光出力の観点から、1.0〜4.0nmであることが望ましい。
【0027】
また、p側のGaN障壁層104Bを形成するときは、図2(b)に示すようにドーパントとしてシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)をMg原料として供給するとともにTMGを供給してMgドープのGaN層140をInの蒸発防止保護層として厚さ3nmで形成する。
【0028】
p型Al0.12Ga0.88N:Mgクラッド層105は、キャリアガスとしてH2を使用し、NH3、TMG、TMA、およびMg原料としてのCp2Mgをサファイア基板101が配置されたリアクタ内に供給することにより形成される。
【0029】
p型GaN:Mgコンタクト層106は、キャリアガスとしてH2を使用し、NH3とTMG、およびMg原料としてのCp2Mgをサファイア基板101が配置されたリアクタ内に供給することにより形成される。
【0030】
図3は、第1の実施の形態に基づく発光素子のピエゾ電界を打ち消す動作を示す概略図であり、(a)はピエゾ電界が生じているSQWの概略図、(b)はMgドープのGaN層を設けたときのSQWの概略図である。
【0031】
図3(a)に示すように、n層側隣接層となるGaN層104B上にInGaN層(In0.15Ga0.85N井戸層)104Aを設け、更にGaN層104Bを設けた場合、ピエゾ電界によってInGaN層104Aにおけるバンドに傾斜が生じ、そのことによって電子eと正孔hとが空間的に分離される。このような状態では電子eと正孔hの寿命が長くなる。
【0032】
そこで、図3(b)に示すように、InGaN層104Aとp層側隣接層となるGaN層104Bとの界面にMgドープのGaN層140を設けることで、バンドの傾斜をもたらす半導体層の歪みがA方向に緩和され、そのことにより電子eと正孔hとの空間的な重なりが得られることにより、電子eと正孔hの寿命が短くなる。
【0033】
図4は、第1の実施の形態に係るLEDの応答性および光出力に関する特性図である。ここでは、一般的な表示用LED(発光層:多重量子井戸構造(MQW))であるLED(1)と、発光層1層のLED(2)と、本実施の形態のMgドープGaN層140を有するLED(3)についての比較を示す。
【0034】
LED(1)については、多重量子井戸構造の発光層を有することにより、光出力は3.4mWと最も大である、しかしながら、立ち上がり時間および立ち下がり時間が大であり、さらに通信速度に関係する遮断周波数が小であるので、高速な光通信を行うための光源として用いることは難しい。ここで、立ち上がり時間とは電流密度のパルス応答時に定常値の10%から90%になるまでの時間であり、立ち下がり時間とは定常値の90%から10%になるまでの時間である。また、遮断周波数fcについては、立ち上がり時間をtr、立ち下がり時間をtfとし、
fc=(0.35/((tr+tf)/2))×1000
の式により求めた。
【0035】
LED(2)については、(1)のMQWの発光層に対して発光層を1層としたことで、通信の応答性に関する特性の向上は見られるが、MQWと比べて光出力は低下している。
【0036】
LED(3)については、MgドープGaN層140を設けたことで立ち上がり時間および立ち下がり時間が小になり、更に遮断周波数が大になっており、光応答速度が向上している。
【0037】
(本発明の第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によると、GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するp型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にMgドープのGaN層140を設けたので、バンドの傾斜をもたらすピエゾ電界が打ち消されて光応答速度を向上させることができる。
【0038】
なお、第1の実施の形態では、ピエゾ電界を打ち消す構成としてMgドープのGaN層140を設ける構成を説明したが、Mg以外のドーパントとして例えばCa、Be等を用いることもできる。また、GaN以外に、例えば、AlGaN、InGaN及びAlInGaNを用いてもよく、要はGaN系半導体層であればよい。但し、Mgドープによるバンドの制御しやすさの点で、GaNを用いることが好ましい。
【0039】
第1の実施の形態では、ピエゾ電界を打ち消すためにInGaN層104Aに隣接するp側のGaN層104BにMgドープのGaN層140を設けた構成を説明したが、n側のGaN層104Bにピエゾ電界を打ち消す構成を設けることも可能である。
【0040】
(本発明の第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQWの構成を示す部分拡大図である。
【0041】
この第2の実施の形態の発光素子12は、第1の実施の形態と同様の層構成を有するが、SQW104におけるIn0.15Ga0.85N井戸層104Aと、そのn側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104B上にSiドープのGaN層141を厚さ7nmで設けた構成において第1の実施の形態と相違している。
【0042】
図6は、第2の実施の形態に基づく発光素子のピエゾ電界を打ち消す動作を示す概略図であり、(a)はピエゾ電界が生じているSQWの概略図、(b)はSiドープのGaN層を設けたときのSQWの概略図である。
【0043】
図6(a)に示すように、n層側隣接層となるGaN層104B上にInGaN層(In0.15Ga0.85N井戸層)104Aを設け、更にGaN層104Bを設けた場合、ピエゾ電界によってInGaN層104Aにおけるバンドに傾斜が生じ、そのことによって電子eと正孔hとが空間的に分離される。このような状態では電子eと正孔hの寿命が長くなる。
【0044】
そこで、図6(b)に示すように、InGaN層104Aとn層側隣接層となるGaN層104Bとの界面にSiドープのGaN層141を設けることで、バンドの傾斜をもたらす半導体層の歪みがB方向に緩和され、そのことにより電子eと正孔hとの空間的な重なりが得られることにより、電子eと正孔hの寿命が短くなる。
【0045】
図7は、第2の実施の形態に係るLEDの応答性および光出力に関する特性図である。ここでは、一般的な表示用LED(発光層:多重量子井戸構造(MQW))であるLED(1)と、発光層1層のLED(2)と、本実施の形態のSiドープGaN層141を有するLED(4)及びLED(5)についての比較を示す。LED(4)は図6(b)に示すように、層構成を、p−AlGaN105/GaN104B/InGaN104A/SiドープGaN層141/GaN104B/n−GaN103とした。また、LED(5)は、p側の障壁層をAl0.05Ga0.95Nとした点で、LED(4)と層構成を異にした。
【0046】
LED(1)および(2)については第1の実施の形態で説明した図4と同一であるので重複する説明を省略するが、LED(4)及びLED(5)については、SiドープGaN層141を設けたことで立ち下がり時間が小になり、遮断周波数が大になっており、光応答速度が向上している。また、光出力についてもLED(2)と同等である。
【0047】
図8は、第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層におけるSiの濃度と立ち上がり時間及び立ち下がり時間との関係を示すグラフである。具体的には、SiドープGaN層141の厚さを5.2nmとし、Siの濃度を変化させて各時間の測定を行った。
図8に示すように、SiドープGaN層141のSiの濃度が2.5×1018/cm3以上で1.0×1019/cm3以下のときに、立ち下がり時間が2.5ns以下となった。このように、立ち下がり時間を2.5ns以下とすることにより、通信速度が向上するという利点がある。また、立ち下がり時間の誤差が小さくなるという利点もある。
【0048】
図9は、第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層におけるSiの濃度と遮断周波数との関係を示すグラフである。前述のように、SiドープGaN層141の厚さを5.2nmとして測定した立ち上がり時間及び立ち下がり時間から遮断周波数を求めた。
図9に示すように、SiドープGaN層141のSiの濃度が2.5×1018/cm3以上で1.0×1019/cm3以下のときに、遮断周波数が150MHz以上となった。このように、遮断周波数を150MHz以上とすることにより、通信速度が向上するという利点がある。
【0049】
図10は、第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層の厚さと立ち上がり時間及び立ち下がり時間との関係を示すグラフである。具体的には、SiドープGaN層のSi濃度を5.0×1018/cm3とし、SiドープGaN層141の厚さを変化させて各時間の測定を行った。
図10に示すように、SiドープGaN層141の厚さが1.3nm以上のときに、立ち下がり時間が3.5ns以下となった。このように、立ち下がり時間を3.5ns以下とすることにより、通信速度が向上するという利点がある。また、立ち下がり時間の誤差が小さくなるという利点もある。
【0050】
図11は、第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層の厚さと遮断周波数との関係を示すグラフである。前述のように、SiドープGaN層141のSi濃度を5.0×1018/cm3として測定した立ち上がり時間及び立ち下がり時間から遮断周波数を求めた。
図11に示すように、SiドープGaN層141の厚さが2.6nm以上かつ10nm以下のときに、遮断周波数が170MHz以上となった。このように、遮断周波数を170MHz以上とすることにより、通信速度が向上するという利点がある。
【0051】
(本発明の第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によると、GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するn型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にSiドープのGaN層141を設けることによっても、バンドの傾斜をもたらすピエゾ電界が打ち消されて光応答速度を向上させることができる。
【0052】
なお、第2の実施の形態では、ピエゾ電界を打ち消す構成としてSiドープのGaN層141を設ける構成を説明したが、Si以外のドーパントとして例えばGe、C等を用いることもできる。また、GaN以外に、例えば、AlGaN、InGaN及びAlInGaNを用いてもよく、要はGaN系半導体層であればよい。但し、Siドープによるバンドの制御しやすさの点で、GaNを用いることが好ましい。
【0053】
(本発明の第3の実施の形態)
図12は、第3の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQWの構成を示す部分拡大図である。
【0054】
この第3の実施の形態の発光素子12は、第1の実施の形態と同様の層構成を有するが、SQW104におけるIn0.15Ga0.85N井戸層104Aと、そのp側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104BにMgドープのGaN層140を厚さ3nmで設け、In0.15Ga0.85N井戸層104Aのn側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104B上にSiドープのGaN層141を厚さ3nmで設けた構成において第1の実施の形態と相違している。
【0055】
(本発明の第3の実施の形態の効果)
上記した第3の実施の形態によると、GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するp型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にMgドープのGaN層140を設け、InGaN層104Aに隣接するn型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にSiドープのGaN層141を設けることで、ピエゾ電界を打ち消す効果をより高めることができ、そのことにより光応答速度および光出力を向上させることができる。
【0056】
なお、上記した各実施の形態では、発光する層がSQWの構成について説明したが、例えば、MQWに適用することも可能である。
【0057】
(本発明の第4の実施の形態)
図13は、第4の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のMQWの構成を示す部分拡大図である。
【0058】
この第4の実施の形態の発光素子12は、第3の実施の形態と同様の層構成をMQWに適用したものであり、In0.15Ga0.85N井戸層104Aと、そのp側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104BにMgドープのGaN層140を厚さ3nmで設け、In0.15Ga0.85N井戸層104Aのn側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104B上にSiドープのGaN層141を厚さ3nmで設けた多重量子井戸構造を有する構成において第3の実施の形態と相違している。
【0059】
(本発明の第4の実施の形態の効果)
上記した第4の実施の形態によると、第3の実施の形態の好ましい効果に加えて、多重量子井戸構造に基づく光出力の大なる発光素子12が得られる。
【0060】
(本発明の第5の実施の形態)
図14は、本発明の第5実施の形態に係る発光素子を用いた通信装置の概略構成図である。
【0061】
図14に示すように、この通信装置200は、光出力側の発光部210と、光受光側の受光部220と、によって大略構成されている。この通信装置200は、例えば、家電製品のリモコン等に使用される。
【0062】
発光部210は、光によって伝送する信号を外部より入力信号として入力する信号処理部211と、信号処理部211から供給される電流に応じて入力信号に基づく光を空間を媒体として受光部220へ向けて出射するGaN系半導体からなる発光素子12とを有する。尚、発光素子12は、第1の実施の形態のものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0063】
受光部220は、空間を介して伝送された光を受光する受光素子21と、受光素子21で光電変換された信号出力を波形処理して所望の出力信号を取り出す信号処理部222とを有する。
【0064】
(本発明の第5の実施の形態の効果)
第5の実施の形態においても、GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するp型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にMgドープのGaN層140を設けたので、バンドの傾斜をもたらすピエゾ電界が打ち消されて光応答速度を向上させることができる。
【0065】
また、発光素子12が可視光で発光することから、通信しているか否かを人間の目で認識することができる。特に、発光素子12がGaN系の半導体層により構成され青色光から緑色光で発光することから、人間の目にも鮮やかに映ることになる。また、光通信用LEDの赤色光に比して光出力を大きくして遠距離での通信が可能となる。一方、赤外光による通信の場合、1〜100Mbps程度の遅い通信速度となり、可視光でないので人間の目で通信しているか否かを認識することはできないという問題点がある。また、赤色光の場合は、光出力が1mW程度と小さいため、通信可能な空間距離が数cm程度となるため実用的でない。
【0066】
従って、本実施形態の通信装置200によれば、素子の構造に起因するピエゾ電界を解消することができ、かつ、通信信号を送る光を同時に装置の動作確認光として利用できる優れた光無線通信装置とできる。
【0067】
なお、本発明は、上記した各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る発光素子を用いた通信装置の概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQW(Single-Quantum Well)の構成を示す部分拡大図である。
【図3】第1の実施の形態に基づく発光素子のピエゾ電界を打ち消す動作を示す概略図であり、(a)はピエゾ電界が生じているSQWの概略図、(b)はMgドープのGaN層を設けたときのSQWの概略図である。
【図4】第1の実施の形態に係るLEDの応答性および光出力に関する特性図である。
【図5】第2の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQWの構成を示す部分拡大図である。
【図6】第2の実施の形態に基づく発光素子のピエゾ電界を打ち消す動作を示す概略図であり、(a)はピエゾ電界が生じているSQWの概略図、(b)はSiドープのGaN層を設けたときのSQWの概略図である。
【図7】第2の実施の形態に係るLEDの応答性および光出力に関する特性図である。
【図8】第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層におけるSiの濃度と立ち上がり時間及び立ち下がり時間との関係を示すグラフである。
【図9】第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層におけるSiの濃度と遮断周波数との関係を示すグラフである。
【図10】第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層の厚さと立ち上がり時間及び立ち下がり時間との関係を示すグラフである。
【図11】第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層の厚さと遮断周波数との関係を示すグラフである。
【図12】第3の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQWの構成を示す部分拡大図である。
【図13】第4の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のMQWの構成を示す部分拡大図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る発光素子を用いた通信装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0069】
10…発光部、11…信号処理部、12…発光素子、20…受光部、21…受光素子、22…信号処理部、100…通信装置、101…サファイア基板、102…AlNバッファ層、103…n型GaN:Siコンタクト・クラッド層、104…SQW、104A…In0.15Ga0.85N井戸層、104B…GaN障壁層、105…p型Al0.12Ga0.88N:Mgクラッド層、106…p型GaN:Mgコンタクト層、107…透光性電極、108…パッド電極、109…n側電極、110…MQW、110A…In0.15Ga0.85N井戸層、110B…GaN障壁層、140…MgドープGaN層、141…SiドープGaN層、200…通信装置、210…発光部、211…信号処理部、220…受光部、222…信号処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、サファイア基板上にIII族窒化物系化合物半導体層が形成された発光素子及びこれを備えた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物系化合物半導体からなる発光素子として、窒化ガリウム(GaN)を用いた発光素子が知られている。GaN系発光素子は、紫外領域から可視領域にかけての発光特性を有し、蛍光体等の波長変換部手段を用いて波長変換することにより高輝度の白色光が得られることから、白色光源としての種々の提案がなされている。
【0003】
このような発光素子の用途として、光通信用光源がある。従来の光通信用光源として、赤色光(630〜640nm)の高輝度の発光素子を発光部に使用し、光ファイバに入射した光を受光部の受光素子で受光したり、空間を媒体として光を受光部の受光素子で受光し、光電変換することにより信号出力するものがある。
【0004】
通信用光ファイバとしては、伝送損失の小である石英からなる光ファイバが広く知られているが、その価格や、結合作業性に精度を要する点から、石英光ファイバと比べて安価で導入性に優れるPOF(Plastic Optical Fiber)が注目されている。POFは、波長約570nmに伝送損失の極小値を有し、青色光から緑色光の波長帯についても赤色光の伝送損失より小であることから、GaN系発光素子からなる発光部とのマッチングに優れる。
【0005】
GaN系発光素子を光通信用途に用いて、赤色発光素子を用いたものと同等以上の通信速度を得るには通電に伴う発光素子の発光量、応答性が重要である。この点において、GaN系半導体では、サファイア基板上に成長させる半導体層の特性によってピエゾ電界が発生することが知られており、量子井戸構造を形成した場合に量子井戸内のバンドが傾いて電子と正孔の空間的な分離を助長し、その結果、発光強度が低下する問題が指摘されている。
【0006】
このような問題を解消するものとして、InXGa1−XN量子井戸内のIn組成比Xと厚さを変化させることにより、発光強度の向上を図るものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−056973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1によると、一般的な表示用発光素子としての発光強度特性として良好であっても、通信用発光素子として求められる応答性が充分でないため、高速の光通信に対応することができないという問題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、素子の構造に起因するピエゾ電界を解消することができ、かつ光伝送路とのマッチングに優れる発光素子およびこれを用いた通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、上記の目的を達成するため、基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる井戸層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子を提供する。
【0010】
このような構成によれば、素子を構成する半導体層の結晶構造に起因するピエゾ電界の発生を抑制し、応答性および光出力に優れる発光素子とできる。
【0011】
(2)本発明は、上記の目的を達成するため、基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる発光する層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子と、前記発光素子から放射される光を伝送する光ファイバとを有する通信装置を提供する。
【0012】
このような構成によれば、素子を構成する半導体層の結晶構造に起因するピエゾ電界の発生を抑制し、応答性および光出力に優れ、伝送損失の低下を抑えた通信装置とできる。
【0013】
(3)本発明は、上記の目的を達成するため、基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる発光する層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子を有する発光部と、前記発光部から放射される可視光を受信する受光部と、を備えた通信装置を提供する。
【0014】
このような構成によれば、素子の構造に起因するピエゾ電界を解消することができ、かつ、通信信号を送る光を同時に装置の動作確認光として利用できる優れた光無線通信装置とできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、素子の構造に起因するピエゾ電界を解消することができ、かつ光伝送路との優れたマッチングを付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(本発明の第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る発光素子を用いた通信装置の概略構成図である。
【0017】
この通信装置100は、光出力側の発光部10と、光受光側の受光部20と、発光部10と受光部20とを接続して光通信を行うための光伝送路であるPOF30によって大略構成されている。
【0018】
発光部10は、光によって伝送する信号を外部より入力信号として入力する信号処理部11と、信号処理部11から供給される電流に応じて入力信号に基づく光をPOF30に出射するGaN系半導体からなる発光素子12とを有する。ここで、GaN系半導体とは、一般式としてAlXGaYIn1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表され、AlN、GaN及びInNのいわゆる2元系、AlXGa1−XN、AlXIn1−XN及びGaXIn1−XN(以上において0<X<1)のいわゆる3元系を包含する。
【0019】
受光部20は、POF30を介して伝送された光を受光する受光素子21と、受光素子21で光電変換された信号出力を波形処理して所望の出力信号を取り出す信号処理部22とを有する。
【0020】
POF30は、発光素子12の発光波長に対して透明性を示す材料によって形成されている。本実施の形態においてはポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂によって形成されるシングルコアPOFであり、GaN系発光素子の発光波長に対して伝送損失が小である特徴を有する。なお、同様の材料で形成されるマルチコアPOFを使用することも可能である。
【0021】
図2は、第1の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQW(Single-Quantum Well)の構成を示す部分拡大図である。以下の説明では、サファイア基板とAlNバッファ層を除いた部分を発光素子部という。
【0022】
発光素子12は、p側およびn側の電極を水平方向に配置した水平型の発光素子であり、III族窒化物系化合物半導体を成長させる成長基板であるサファイア基板101と、サファイア基板101上に形成されるAlNバッファ層102と、Siドープのn型GaN:Siコンタクト・クラッド層103と、InGaN/GaNの量子井戸構造を有するSQW104と、Mgドープのp型Al0.12Ga0.88N:Mgクラッド層105と、Mgドープのp型GaN:Mgコンタクト層106と、p型GaN:Mgコンタクト層106に電流を拡散させるITO(Indium Tin Oxide)からなる透光性電極107とを順次積層して形成されており、AlNバッファ層102からp型GaN:Mgコンタクト層106までを有機金属気相成長法(MOCVD)法によって形成している。この発光素子12の発光面積は22000μm2であるが、これより小であることが望ましい。さらには、発光面積は1000μm2以上であることが望ましい。発光素子12の発光面積を大きくすることにより光出力が増大し、発光面積を小さくすることにより応答性が良好となることから、発光面積を1000μm2以上かつ22000μm2以下とすることにより応答性および光出力に優れる発光素子とできる。
【0023】
また、透光性電極107の表面にはAuからなるパッド電極108が設けられており、発光素子部のp型GaN:Mgコンタクト層106からn型GaN:Siコンタクト・クラッド層103までをエッチングによって除去したn型GaN:Siコンタクト・クラッド層103にはAlからなるn側電極109が設けられている。
【0024】
AlNバッファ層102は、キャリアガスとしてH2を使用し、トリメチルガリウム(TMG)と、トリメチルアルミニウム(TMA)をサファイア基板101が配置されたリアクタ内に供給することにより形成される。
【0025】
n型GaN:Siコンタクト・クラッド層103は、キャリアガスとしてH2を使用し、NH3とトリメチルガリウム(TMG)をサファイア基板101が配置されたリアクタ内に供給し、また、n型の導電性を付与するためのドーパントとしてモノシラン(SiH4)をSi原料として使用し、AlNバッファ層102上に厚さ約4μmで形成される。
【0026】
SQW104は、キャリアガスとしてN2を使用し、トリメチルインジウム(TMI)とTMGをリアクタ内に供給することによって形成される。In0.15Ga0.85N井戸層104Aの形成時にはTMIとTMGが供給され、GaN障壁層104Bの形成時にはTMGが供給される。In0.15Ga0.85N井戸層104Aの平均厚さは、応答性および光出力の観点から、1.0〜4.0nmであることが望ましい。
【0027】
また、p側のGaN障壁層104Bを形成するときは、図2(b)に示すようにドーパントとしてシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)をMg原料として供給するとともにTMGを供給してMgドープのGaN層140をInの蒸発防止保護層として厚さ3nmで形成する。
【0028】
p型Al0.12Ga0.88N:Mgクラッド層105は、キャリアガスとしてH2を使用し、NH3、TMG、TMA、およびMg原料としてのCp2Mgをサファイア基板101が配置されたリアクタ内に供給することにより形成される。
【0029】
p型GaN:Mgコンタクト層106は、キャリアガスとしてH2を使用し、NH3とTMG、およびMg原料としてのCp2Mgをサファイア基板101が配置されたリアクタ内に供給することにより形成される。
【0030】
図3は、第1の実施の形態に基づく発光素子のピエゾ電界を打ち消す動作を示す概略図であり、(a)はピエゾ電界が生じているSQWの概略図、(b)はMgドープのGaN層を設けたときのSQWの概略図である。
【0031】
図3(a)に示すように、n層側隣接層となるGaN層104B上にInGaN層(In0.15Ga0.85N井戸層)104Aを設け、更にGaN層104Bを設けた場合、ピエゾ電界によってInGaN層104Aにおけるバンドに傾斜が生じ、そのことによって電子eと正孔hとが空間的に分離される。このような状態では電子eと正孔hの寿命が長くなる。
【0032】
そこで、図3(b)に示すように、InGaN層104Aとp層側隣接層となるGaN層104Bとの界面にMgドープのGaN層140を設けることで、バンドの傾斜をもたらす半導体層の歪みがA方向に緩和され、そのことにより電子eと正孔hとの空間的な重なりが得られることにより、電子eと正孔hの寿命が短くなる。
【0033】
図4は、第1の実施の形態に係るLEDの応答性および光出力に関する特性図である。ここでは、一般的な表示用LED(発光層:多重量子井戸構造(MQW))であるLED(1)と、発光層1層のLED(2)と、本実施の形態のMgドープGaN層140を有するLED(3)についての比較を示す。
【0034】
LED(1)については、多重量子井戸構造の発光層を有することにより、光出力は3.4mWと最も大である、しかしながら、立ち上がり時間および立ち下がり時間が大であり、さらに通信速度に関係する遮断周波数が小であるので、高速な光通信を行うための光源として用いることは難しい。ここで、立ち上がり時間とは電流密度のパルス応答時に定常値の10%から90%になるまでの時間であり、立ち下がり時間とは定常値の90%から10%になるまでの時間である。また、遮断周波数fcについては、立ち上がり時間をtr、立ち下がり時間をtfとし、
fc=(0.35/((tr+tf)/2))×1000
の式により求めた。
【0035】
LED(2)については、(1)のMQWの発光層に対して発光層を1層としたことで、通信の応答性に関する特性の向上は見られるが、MQWと比べて光出力は低下している。
【0036】
LED(3)については、MgドープGaN層140を設けたことで立ち上がり時間および立ち下がり時間が小になり、更に遮断周波数が大になっており、光応答速度が向上している。
【0037】
(本発明の第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によると、GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するp型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にMgドープのGaN層140を設けたので、バンドの傾斜をもたらすピエゾ電界が打ち消されて光応答速度を向上させることができる。
【0038】
なお、第1の実施の形態では、ピエゾ電界を打ち消す構成としてMgドープのGaN層140を設ける構成を説明したが、Mg以外のドーパントとして例えばCa、Be等を用いることもできる。また、GaN以外に、例えば、AlGaN、InGaN及びAlInGaNを用いてもよく、要はGaN系半導体層であればよい。但し、Mgドープによるバンドの制御しやすさの点で、GaNを用いることが好ましい。
【0039】
第1の実施の形態では、ピエゾ電界を打ち消すためにInGaN層104Aに隣接するp側のGaN層104BにMgドープのGaN層140を設けた構成を説明したが、n側のGaN層104Bにピエゾ電界を打ち消す構成を設けることも可能である。
【0040】
(本発明の第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQWの構成を示す部分拡大図である。
【0041】
この第2の実施の形態の発光素子12は、第1の実施の形態と同様の層構成を有するが、SQW104におけるIn0.15Ga0.85N井戸層104Aと、そのn側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104B上にSiドープのGaN層141を厚さ7nmで設けた構成において第1の実施の形態と相違している。
【0042】
図6は、第2の実施の形態に基づく発光素子のピエゾ電界を打ち消す動作を示す概略図であり、(a)はピエゾ電界が生じているSQWの概略図、(b)はSiドープのGaN層を設けたときのSQWの概略図である。
【0043】
図6(a)に示すように、n層側隣接層となるGaN層104B上にInGaN層(In0.15Ga0.85N井戸層)104Aを設け、更にGaN層104Bを設けた場合、ピエゾ電界によってInGaN層104Aにおけるバンドに傾斜が生じ、そのことによって電子eと正孔hとが空間的に分離される。このような状態では電子eと正孔hの寿命が長くなる。
【0044】
そこで、図6(b)に示すように、InGaN層104Aとn層側隣接層となるGaN層104Bとの界面にSiドープのGaN層141を設けることで、バンドの傾斜をもたらす半導体層の歪みがB方向に緩和され、そのことにより電子eと正孔hとの空間的な重なりが得られることにより、電子eと正孔hの寿命が短くなる。
【0045】
図7は、第2の実施の形態に係るLEDの応答性および光出力に関する特性図である。ここでは、一般的な表示用LED(発光層:多重量子井戸構造(MQW))であるLED(1)と、発光層1層のLED(2)と、本実施の形態のSiドープGaN層141を有するLED(4)及びLED(5)についての比較を示す。LED(4)は図6(b)に示すように、層構成を、p−AlGaN105/GaN104B/InGaN104A/SiドープGaN層141/GaN104B/n−GaN103とした。また、LED(5)は、p側の障壁層をAl0.05Ga0.95Nとした点で、LED(4)と層構成を異にした。
【0046】
LED(1)および(2)については第1の実施の形態で説明した図4と同一であるので重複する説明を省略するが、LED(4)及びLED(5)については、SiドープGaN層141を設けたことで立ち下がり時間が小になり、遮断周波数が大になっており、光応答速度が向上している。また、光出力についてもLED(2)と同等である。
【0047】
図8は、第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層におけるSiの濃度と立ち上がり時間及び立ち下がり時間との関係を示すグラフである。具体的には、SiドープGaN層141の厚さを5.2nmとし、Siの濃度を変化させて各時間の測定を行った。
図8に示すように、SiドープGaN層141のSiの濃度が2.5×1018/cm3以上で1.0×1019/cm3以下のときに、立ち下がり時間が2.5ns以下となった。このように、立ち下がり時間を2.5ns以下とすることにより、通信速度が向上するという利点がある。また、立ち下がり時間の誤差が小さくなるという利点もある。
【0048】
図9は、第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層におけるSiの濃度と遮断周波数との関係を示すグラフである。前述のように、SiドープGaN層141の厚さを5.2nmとして測定した立ち上がり時間及び立ち下がり時間から遮断周波数を求めた。
図9に示すように、SiドープGaN層141のSiの濃度が2.5×1018/cm3以上で1.0×1019/cm3以下のときに、遮断周波数が150MHz以上となった。このように、遮断周波数を150MHz以上とすることにより、通信速度が向上するという利点がある。
【0049】
図10は、第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層の厚さと立ち上がり時間及び立ち下がり時間との関係を示すグラフである。具体的には、SiドープGaN層のSi濃度を5.0×1018/cm3とし、SiドープGaN層141の厚さを変化させて各時間の測定を行った。
図10に示すように、SiドープGaN層141の厚さが1.3nm以上のときに、立ち下がり時間が3.5ns以下となった。このように、立ち下がり時間を3.5ns以下とすることにより、通信速度が向上するという利点がある。また、立ち下がり時間の誤差が小さくなるという利点もある。
【0050】
図11は、第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層の厚さと遮断周波数との関係を示すグラフである。前述のように、SiドープGaN層141のSi濃度を5.0×1018/cm3として測定した立ち上がり時間及び立ち下がり時間から遮断周波数を求めた。
図11に示すように、SiドープGaN層141の厚さが2.6nm以上かつ10nm以下のときに、遮断周波数が170MHz以上となった。このように、遮断周波数を170MHz以上とすることにより、通信速度が向上するという利点がある。
【0051】
(本発明の第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によると、GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するn型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にSiドープのGaN層141を設けることによっても、バンドの傾斜をもたらすピエゾ電界が打ち消されて光応答速度を向上させることができる。
【0052】
なお、第2の実施の形態では、ピエゾ電界を打ち消す構成としてSiドープのGaN層141を設ける構成を説明したが、Si以外のドーパントとして例えばGe、C等を用いることもできる。また、GaN以外に、例えば、AlGaN、InGaN及びAlInGaNを用いてもよく、要はGaN系半導体層であればよい。但し、Siドープによるバンドの制御しやすさの点で、GaNを用いることが好ましい。
【0053】
(本発明の第3の実施の形態)
図12は、第3の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQWの構成を示す部分拡大図である。
【0054】
この第3の実施の形態の発光素子12は、第1の実施の形態と同様の層構成を有するが、SQW104におけるIn0.15Ga0.85N井戸層104Aと、そのp側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104BにMgドープのGaN層140を厚さ3nmで設け、In0.15Ga0.85N井戸層104Aのn側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104B上にSiドープのGaN層141を厚さ3nmで設けた構成において第1の実施の形態と相違している。
【0055】
(本発明の第3の実施の形態の効果)
上記した第3の実施の形態によると、GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するp型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にMgドープのGaN層140を設け、InGaN層104Aに隣接するn型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にSiドープのGaN層141を設けることで、ピエゾ電界を打ち消す効果をより高めることができ、そのことにより光応答速度および光出力を向上させることができる。
【0056】
なお、上記した各実施の形態では、発光する層がSQWの構成について説明したが、例えば、MQWに適用することも可能である。
【0057】
(本発明の第4の実施の形態)
図13は、第4の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のMQWの構成を示す部分拡大図である。
【0058】
この第4の実施の形態の発光素子12は、第3の実施の形態と同様の層構成をMQWに適用したものであり、In0.15Ga0.85N井戸層104Aと、そのp側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104BにMgドープのGaN層140を厚さ3nmで設け、In0.15Ga0.85N井戸層104Aのn側に隣接するGaN障壁層104Bとの界面のGaN障壁層104B上にSiドープのGaN層141を厚さ3nmで設けた多重量子井戸構造を有する構成において第3の実施の形態と相違している。
【0059】
(本発明の第4の実施の形態の効果)
上記した第4の実施の形態によると、第3の実施の形態の好ましい効果に加えて、多重量子井戸構造に基づく光出力の大なる発光素子12が得られる。
【0060】
(本発明の第5の実施の形態)
図14は、本発明の第5実施の形態に係る発光素子を用いた通信装置の概略構成図である。
【0061】
図14に示すように、この通信装置200は、光出力側の発光部210と、光受光側の受光部220と、によって大略構成されている。この通信装置200は、例えば、家電製品のリモコン等に使用される。
【0062】
発光部210は、光によって伝送する信号を外部より入力信号として入力する信号処理部211と、信号処理部211から供給される電流に応じて入力信号に基づく光を空間を媒体として受光部220へ向けて出射するGaN系半導体からなる発光素子12とを有する。尚、発光素子12は、第1の実施の形態のものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0063】
受光部220は、空間を介して伝送された光を受光する受光素子21と、受光素子21で光電変換された信号出力を波形処理して所望の出力信号を取り出す信号処理部222とを有する。
【0064】
(本発明の第5の実施の形態の効果)
第5の実施の形態においても、GaN系半導体層のピエゾ電界を抑えるものとして、発光層であるInGaN層104Aに隣接するp型GaN層104Bの、InGaN層104Aとの界面部分にMgドープのGaN層140を設けたので、バンドの傾斜をもたらすピエゾ電界が打ち消されて光応答速度を向上させることができる。
【0065】
また、発光素子12が可視光で発光することから、通信しているか否かを人間の目で認識することができる。特に、発光素子12がGaN系の半導体層により構成され青色光から緑色光で発光することから、人間の目にも鮮やかに映ることになる。また、光通信用LEDの赤色光に比して光出力を大きくして遠距離での通信が可能となる。一方、赤外光による通信の場合、1〜100Mbps程度の遅い通信速度となり、可視光でないので人間の目で通信しているか否かを認識することはできないという問題点がある。また、赤色光の場合は、光出力が1mW程度と小さいため、通信可能な空間距離が数cm程度となるため実用的でない。
【0066】
従って、本実施形態の通信装置200によれば、素子の構造に起因するピエゾ電界を解消することができ、かつ、通信信号を送る光を同時に装置の動作確認光として利用できる優れた光無線通信装置とできる。
【0067】
なお、本発明は、上記した各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る発光素子を用いた通信装置の概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQW(Single-Quantum Well)の構成を示す部分拡大図である。
【図3】第1の実施の形態に基づく発光素子のピエゾ電界を打ち消す動作を示す概略図であり、(a)はピエゾ電界が生じているSQWの概略図、(b)はMgドープのGaN層を設けたときのSQWの概略図である。
【図4】第1の実施の形態に係るLEDの応答性および光出力に関する特性図である。
【図5】第2の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQWの構成を示す部分拡大図である。
【図6】第2の実施の形態に基づく発光素子のピエゾ電界を打ち消す動作を示す概略図であり、(a)はピエゾ電界が生じているSQWの概略図、(b)はSiドープのGaN層を設けたときのSQWの概略図である。
【図7】第2の実施の形態に係るLEDの応答性および光出力に関する特性図である。
【図8】第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層におけるSiの濃度と立ち上がり時間及び立ち下がり時間との関係を示すグラフである。
【図9】第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層におけるSiの濃度と遮断周波数との関係を示すグラフである。
【図10】第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層の厚さと立ち上がり時間及び立ち下がり時間との関係を示すグラフである。
【図11】第2の実施の形態に係るLEDのSiドープGaN層の厚さと遮断周波数との関係を示すグラフである。
【図12】第3の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のSQWの構成を示す部分拡大図である。
【図13】第4の実施の形態に係る発光素子を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のMQWの構成を示す部分拡大図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る発光素子を用いた通信装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0069】
10…発光部、11…信号処理部、12…発光素子、20…受光部、21…受光素子、22…信号処理部、100…通信装置、101…サファイア基板、102…AlNバッファ層、103…n型GaN:Siコンタクト・クラッド層、104…SQW、104A…In0.15Ga0.85N井戸層、104B…GaN障壁層、105…p型Al0.12Ga0.88N:Mgクラッド層、106…p型GaN:Mgコンタクト層、107…透光性電極、108…パッド電極、109…n側電極、110…MQW、110A…In0.15Ga0.85N井戸層、110B…GaN障壁層、140…MgドープGaN層、141…SiドープGaN層、200…通信装置、210…発光部、211…信号処理部、220…受光部、222…信号処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる井戸層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けたことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記GaN系半導体層は、SQW(Single-Quantum Well)の障壁層と前記井戸層との界面に設けられる請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記GaN系半導体層は、p側の前記障壁層と前記井戸層との界面に設けられるMgドープのGaN系半導体を含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記GaN系半導体層は、n側の前記障壁層と前記井戸層との界面に設けられるSiドープのGaN系半導体を含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記GaN系半導体層は、厚さが1.3nm以上であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記GaN系半導体層は、厚さが2.6nm以上かつ10nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項7】
前記GaN系半導体層は、Siの濃度が2.5×1018/cm3以上かつ1.0×1019/cm3以下であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項8】
前記GaN系半導体層は、MQW(Multiple-Quantum Well)の障壁層と前記井戸層との界面に設けられる請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
前記井戸層はその発光面積が1000μm2から22000μm2の範囲で設けられる請求項1から8の何れか1項に記載の発光素子。
【請求項10】
基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる発光する層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子と、
前記発光素子から放射される光を伝送する光ファイバとを有することを特徴とする通信装置。
【請求項11】
前記光ファイバは、前記発光素子の発光波長領域において伝送損失の極小値を有するプラスチック光ファイバである請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる発光する層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子を有する発光部と、
前記発光部から放射される可視光を受信する受光部と、を備えた通信装置。
【請求項1】
基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる井戸層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けたことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記GaN系半導体層は、SQW(Single-Quantum Well)の障壁層と前記井戸層との界面に設けられる請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記GaN系半導体層は、p側の前記障壁層と前記井戸層との界面に設けられるMgドープのGaN系半導体を含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記GaN系半導体層は、n側の前記障壁層と前記井戸層との界面に設けられるSiドープのGaN系半導体を含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記GaN系半導体層は、厚さが1.3nm以上であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記GaN系半導体層は、厚さが2.6nm以上かつ10nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項7】
前記GaN系半導体層は、Siの濃度が2.5×1018/cm3以上かつ1.0×1019/cm3以下であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項8】
前記GaN系半導体層は、MQW(Multiple-Quantum Well)の障壁層と前記井戸層との界面に設けられる請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
前記井戸層はその発光面積が1000μm2から22000μm2の範囲で設けられる請求項1から8の何れか1項に記載の発光素子。
【請求項10】
基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる発光する層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子と、
前記発光素子から放射される光を伝送する光ファイバとを有することを特徴とする通信装置。
【請求項11】
前記光ファイバは、前記発光素子の発光波長領域において伝送損失の極小値を有するプラスチック光ファイバである請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
基板上に結晶成長させたGaN系半導体からなる発光する層に隣接してピエゾ電界を打ち消すドーパントを含むGaN系半導体層を設けた発光素子を有する発光部と、
前記発光部から放射される可視光を受信する受光部と、を備えた通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−305965(P2007−305965A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31149(P2007−31149)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]