説明

発光素子及び表示装置

発光素子は、透明又は半透明である第1基板と、前記第1基板に対向して設けられている第2基板と、前記第1基板上に設けられている透明又は半透明である第1電極と、前記第2基板上に前記第1電極と対向して設けられている第2電極と、発光性有機材料が表面に担持されている金属酸化物半導体多孔体を含み前記第1電極と前記第2電極との間に挟みこまれている発光体層とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、発光ディスプレイや、通信、照明などに用いられる各種光源として使用可能な発光素子及び該発光素子を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
近年、平面型の表示装置の中で、エレクトロルミネッセンス(EL)素子に期待が集まっている。このEL素子は、自発発光性を有し視認性に優れ、視野角が広く、応答性が速いなどの特徴を持つ。
現在実用化されているEL素子には、発光材料として無機材料を用いた無機EL素子と発光材料として有機材料を用いた有機EL素子がある。硫化亜鉛等の無機材料を用いた無機EL素子は、その駆動に比較的高い交流電圧を必要とすることから駆動回路が複雑であったり、輝度が低い等の課題があり、実用化が進んでいない。
一方、有機材料を発光材料とする有機EL素子は、1987年にTangらによって提案された正孔輸送層と有機発光層とを順次積層した2層構成の素子(例えば、Applied Physics Letters,51,1987,P913)により、10V以下の駆動電圧で、輝度が1000cd/m以上の発光が得られるとされており、これがきっかけとなって、今日に至るまで、活発な研究開発が進められてきた。
以下、現在一般に検討されている有機EL素子について、図23を用いて説明する。この有機EL素子200は、透明な基板1上に透明又は半透明の正孔注入電極2、正孔輸送層3、発光体層6、電子注入電極7の順に積層して形成されている。なお、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層を設けたり、発光体層6と電子注入電極7との間に電子輸送層、さらに電子注入電極7との界面に電子注入層を設けることもある。
正孔注入電極としては、透明導電膜であるITO(インジウム錫酸化物)膜が用いられる。ITO膜はその透明性を向上させ、あるいは抵抗率を低下させる目的で、スパッタリング法、エレクトロンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等によって成膜される。
正孔輸送層としては、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(TPD)等、Tangらの用いたジアミン誘導体が用いられる。これらの材料は一般に透明性に優れ、80nm程度の膜厚でもほぼ透明である。
発光体層としては、Tangらの報告と同様に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)等の電子輸送性発光材料を真空蒸着により数十nmの膜厚に形成して用いる構成が一般的である。種々の発光色を実現するなどの目的で、発光体層は比較的薄膜とし、電子輸送層を20nm程度積層した、所謂ダブルヘテロ構造が採用されることもある。
電子注入電極としては、Tangらの提案したMgAg合金あるいはAlLi合金等のように、仕事関数が低く電子注入障壁の低い金属と比較的仕事関数が大きく安定な金属との合金、又は、LiF等の種々の電子注入層とアルミニウム等との積層電極が用いられることが多い。
また、各画素の駆動に低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)を用いた有機EL表示装置が知られている(例えば、Journal of the Society for Information Display,vol.8,No.2,p93−97)。
またさらに、表示装置を実現する際には一般的に円偏光板が併設される。これは、電子注入電極に用いられるMgAg合金等の金属電極表面で、表示装置内に入射してきた外光が反射し、コントラストが悪化するのを防ぐためである。
従来の有機EL素子を用いた表示装置では、透明基板上に透明正孔注入電極、有機層、電子注入電極の順に形成し、正孔注入電極側から発光を取り出す構成となっている。さらに、各画素を駆動する薄膜トランジスタを設けたアクティブマトリクス型の表示装置の場合には、透明基板上に薄膜トランジスタを配置することによって大きな開口率を取り難いという欠点があった。
アクティブマトリクス型表示装置の開口率を向上させて高輝度化を図るために、薄膜トランジスタを形成した基板を下面に配置し、対向する上面から光を取り出す構造が提案されている(「高輝度・高精細に有利なTop Emission構造」,Trigger,10月号(2001)pp12−13)。
上面から光を取り出す構造の有機EL素子を図24を用いて説明する。この有機EL素子210は、基板1上に正孔注入電極2、正孔輸送層3、発光体層6、透明な電子注入電極7、保護層211の順に積層して形成されている。この有機EL素子は、図23に示す有機EL素子200と異なり、電子注入電極に透過性が必要となる。前述の提案では、透明電子注入電極としてTangらの提案したMgAg合金を10nm程度の薄層として用いている。また保護層としては透明樹脂膜等が用いられる。
【発明の開示】
上面から光を取り出す構造の発光素子の場合、上面に配置される電極に透過性が必要となる。従って、下面に配置される背面基板に薄膜トランジスタを形成した後、順次有機材料を含む発光層等を積層し、さらにその後に透明電極を形成することになるが、一般に透明電極として用いられるITOの場合は、成膜する際の熱的影響によって、下層の有機層が劣化してしまったり、十分なキャリア注入が得られないといった課題が生ずる。また、図24のように上面光取り出し構造の有機EL素子210の場合には、電子注入電極7を透明電極とするために光取り出し面に薄い金属膜や樹脂膜を用いることになる。一般に有機EL素子は、水分や酸素の影響を受けて輝度の低下やダークスポットの増加等の劣化が生じるが、光の取り出し面に薄い金属膜や樹脂膜を用いる場合、ガラス基板等に比べて水分や酸素のバリア性に劣るため、素子の寿命が短くなる課題が生じる。このように、上面から光を取り出す構造の発光素子は、大きな開口率を実現しやすい反面、高輝度であることと高信頼性、長寿命であることを同時に満足させることは困難であった。
また、表示装置の特性としては、高輝度であって、長寿命であることが望まれている。しかし、有機EL素子を用いた表示装置では、輝度を上げるために発光材料である有機材料に流す電流密度を増すと有機材料が劣化しやすく、寿命が短くなる課題が生じる。
一方、有機EL素子の発光体層から得られる光束を増やすことで高輝度化を実現する方法としては、電極と発光体層との接触面積を大きくする方法がある。電極と発光体層との接触面積を大きくするためには、例えば、発光素子の透明基板の表面を凹凸に形成する方法や、さらに正孔注入電極を凹凸にパターニングする方法等がある。しかし、上記の方法では、有機EL素子の表面積は従来の2〜3倍程度にとどまり、表面積を飛躍的に増加させることはできなかった。
またさらに、従来の有機EL素子では、各有機層が薄膜であるため、その膜厚の精密な制御が必要となる。各有機層の膜厚に不均一さが生じた場合、発光輝度の面内均一性が不十分となることがあった。
またさらに、従来の有機EL表示装置では、円偏光板による外光反射対策が提案されているが、円偏光板によって有機EL素子からの発光も減衰してしまう課題があり、この点においても、高輝度を実現することは困難であった。
本発明の目的は、高輝度であって、発光輝度の面内均一性が良好であり、且つ、長寿命で発光品位の安定した上面光取り出し構造の発光素子ならびにその製造方法と、その発光素子を用いた表示装置を提供することである。
本発明に係る発光素子は、
透明又は半透明である第1基板と、
前記第1基板に対向して設けられている第2基板と、
前記第1基板上に設けられている透明又は半透明である第1電極と、
前記第2基板上に前記第1電極と対向して設けられている第2電極と、
発光性有機材料が表面に担持されている金属酸化物半導体多孔体を含み前記第1電極と前記第2電極との間に挟みこまれている発光体層とを備えていることを特徴とする。
また、前記金属酸化物半導体多孔体は、金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体であってもよい。さらに、前記金属酸化物半導体粒子粉末は、n型半導体材料よりなる粒子粉末であってもよい。またさらに、前記発光性有機材料は、前記金属酸化物半導体多孔体表面に化学吸着により担持されていることが好ましい。
また、前記第1電極と前記第2電極との間に、前記発光体層に加えて、少なくとも1つの有機層をさらに備え、前記有機層は接着性を有する有機材料を含み、前記接着性を有する有機材料を含む層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする。また、前記接着性を有する有機材料は、少なくとも高分子系材料を含んでいてもよい。
また、前記透明または半透明基板は、ガラス基板であることを特徴とする。
また、前記透明または半透明基板と前記電子注入層との間に挟まれた低屈折率層をさらに備えることを特徴とする。
また、前記有機層内にわたって分散しているスペーサをさらに備え、前記スペーサによって、前記有機層の厚みを規定していることを特徴とする。さらには、前記スペーサが粒状であり、且つ透明または半透明であることを特徴とする。さらには、前記スペーサが絶縁性材料からなることを特徴とする。さらには、前記スペーサの粒径が、0.01μm〜10μmの範囲内であることを特徴とする。
また、前記第1電極が電子注入電極であり、前記第2電極が正孔注入電極であり、且つ、前記有機層が正孔輸送層であって、前記正孔輸送層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする。さらに、前記電子注入電極と前記発光体層との間に挟まれている電子輸送層をさらに備えていてもよい。またさらに、前記正孔注入電極と前記正孔輸送層との間に挟まれている正孔注入層をさらに備えていてもよい。
また、前記第1電極が正孔注入電極であり、前記第2電極が電子注入電極であり、且つ、前記有機層が正孔輸送層であって、前記正孔輸送層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする。さらに、前記電子注入電極と前記発光体層との間に挟まれている電子輸送層をさらに備えていてもよい。またさらに、前記正孔注入電極と前記正孔輸送層との間に挟まれている正孔注入層をさらに備えていてもよい。
また、前記第1電極が電子注入電極であり、前記第2電極が正孔注入電極であり、且つ、前記発光体層に加えて、前記発光体層と前記正孔注入電極との間に正孔輸送層をさらに備え、且つ、前記有機層が電子輸送層であって、前記電子輸送層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする。さらに、前記正孔注入電極と前記正孔輸送層との間に挟まれている正孔注入層をさらに備えていてもよい。
また、前記第1電極が正孔注入電極であり、前記第2電極が電子注入電極であり、且つ、前記発光体層に加えて、前記発光体層と前記正孔注入電極との間に正孔輸送層をさらに備え、且つ、前記有機層が電子輸送層であって、前記電子輸送層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする。さらに、前記正孔注入電極と前記正孔輸送層との間に挟まれている正孔注入層をさらに備えていてもよい。
また、前記第1電極が電子注入電極であり、前記第2電極が正孔注入電極であり、且つ、前記発光体層に加えて、前記発光体層と前記有機層との間に正孔輸送層をさらに備え、且つ、前記有機層が正孔注入層であって、前記正孔注入層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする。さらに、前記電子注入電極と前記発光体層との間に挟まれている電子輸送層をさらに備えていてもよい。
また、前記第1電極が正孔注入電極であり、前記第2電極が電子注入電極であり、且つ、前記発光体層に加えて、前記発光体層と前記有機層との間に正孔輸送層をさらに備え、且つ、前記有機層が正孔注入層であって、前記正孔注入層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする。さらに、前記電子注入電極と前記発光体層との間に挟まれている電子輸送層をさらに備えていてもよい。
また、前記第2電極が正孔注入電極である場合において、前記正孔注入電極は、黒色を呈していることを特徴とする。さらには、前記黒色を呈する正孔注入電極は、p型半導体よりなる電極であることを特徴とする。これによって、発光素子内に入射してきた外光の反射を防止することができる。
また、前記電子注入電極の上に前記金属酸化物半導体多孔体を含む発光体層が形成されている場合において、前記電子注入電極と前記金属酸化物半導体多孔体を含む発光体層との間に金属酸化物半導体層をさらに備えることを特徴とする。さらには、前記金属酸化物半導体層は、n型半導体よりなることを特徴とする。
また、前記第2電極に接続された薄膜トランジスタをさらに備えることを特徴とする。さらには、前記薄膜トランジスタは、有機材料を含む薄膜により構成された有機薄膜トランジスタであってもよい。
本発明に係る表示装置は、上記複数の発光素子が2次元配列されている発光素子アレイと、
前記発光素子アレイの面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極と、
前記発光素子アレイの面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極と
を備え、
前記発光素子アレイの前記薄膜トランジスタは、前記x電極及び前記y電極とそれぞれ接続されていることを特徴とする。
また、表面に黒色染料を担持させた金属酸化物半導体多孔体の領域によって、2次元配列された複数の発光素子を区分する境界を形成していることを特徴とする。
また、前記第2電極に接続された薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタを含む前記第2基板と前記第2電極との間に挟まれている接着層とをさらに備え、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする。
また、前記接着層内にわたって分散しているスペーサをさらに備え、前記スペーサによって、前記接着層の厚みを規定していることを特徴とする。さらには、前記スペーサが絶縁性材料からなることを特徴とする。
本発明に係る発光素子の製造方法は、
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記多孔体と前記第2基板の上の前記正孔輸送層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る発光素子の製造方法は、
透明または半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔輸送層を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記第1基板の上の前記正孔輸送層と前記第2基板の上の前記多孔体とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする。
また、前記正孔輸送層で前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる場合において、前記正孔輸送層内にわたってスペーサを分散する工程をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明に係る発光素子の製造方法は、
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に電子輸送層を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記第1基板の上の前記電子輸送層と前記第2基板の上の前記多孔体とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る発光素子の製造方法は、
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に電子輸送層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記多孔体と前記第2基板の上の前記電子輸送層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする。
また、前記電子輸送層で前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる場合において、前記電子輸送層内にわたってスペーサを分散する工程をさらに備えることを特徴とする。
また、透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記多孔体を含む発光体層の上に正孔輸送層を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔注入層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記正孔輸送層と前記第2基板の上の前記正孔注入層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする。
また、透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔注入層を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記多孔体を含む発光体層の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記正孔注入層と前記第2基板の上の前記正孔輸送層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする。
また、前記正孔注入層で前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる場合において、前記正孔注入層内にわたってスペーサを分散する工程をさらに備えることを特徴とする。
また、透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記多孔体を含む発光体層の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層の上に正孔注入電極を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に接着層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記正孔注入電極と前記第2基板の上の前記接着層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする。
また、前記接着層で前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる場合において、前記接着層内にわたってスペーサを分散する工程をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る構成の発光素子によれば、発光体層として、発光性有機材料を表面に担持している金属酸化物半導体多孔体を電子注入電極の上に設けている。このために、発光性有機材料の接触面積を大きくとることができ、発光に寄与する面積が増加し、発光素子としての輝度を高めることができる。また、発光素子としての輝度を同程度とした場合、発光性有機材料を流れる電流密度を減少させることができ、有機材料の劣化を抑制できる。さらに、接着性を有する有機材料を含む有機層を接着層としてその上下の層を貼り合わせている構造なので、上部光取り出し面にガラス及びITO電極等からなる透明基板を用いることができ、水分や酸素のバリア性に優れた信頼性の高い発光素子を提供することができる。接着層としての有機層をベタ薄膜として設け、且つスペーサを有機層中に分散した構成であるため、簡単で安価な塗布プロセスによる一体成膜が可能であると同時に、カラー表示装置とした場合、各画素に対して、貼り合わせ時の高度なアライメントの必要がなく、製造プロセスの簡素化もまた可能である。さらに、スペーサによって膜厚を規定しているために、輝度の面内均一性の良好な発光が得られる。またさらに、正孔注入電極として黒色電極を用いることができ、円偏光板を排除した光取り出し効率の高い発光素子を提供することができる。以上のように、高輝度と高信頼性を両立させた上、容易に製造できる上面光取り出し構造の発光素子及び表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態1に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図2(a)〜(e)は、本発明の実施の形態1に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図3は、本発明の実施の形態2に係る発光素子の斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の平面概略図である。
図5は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図6は、本発明の実施の形態4に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図7(a)〜(e)は、本発明の実施の形態4に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図8は、本発明の実施の形態5に係る発光素子の斜視図である。
図9は、本発明の実施の形態6に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図10は、本発明の実施の形態7に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図11(a)〜(f)は、本発明の実施の形態7に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図12は、本発明の実施の形態9に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図13は、本発明の実施の形態10に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図14(a)〜(f)は、本発明の実施の形態10に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図15は、本発明の実施の形態12に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図16は、本発明の実施の形態13に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図17(a)〜(f)は、本発明の実施の形態13に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図18は、本発明の実施の形態15に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図19は、本発明の実施の形態16に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図20(a)〜(f)は、本発明の実施の形態16に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図21は、本発明の実施の形態18に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図22は、本発明の実施の形態19に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図23は、従来の有機EL素子の発光面に垂直な断面図である。
図24は、従来の上面光取り出し構造の有機EL素子の発光面に垂直な断面図である。
図25は、本発明の実施の形態20に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図26(a)〜(e)は、本発明の実施の形態20に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図27は、本発明の実施の形態22に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図28は、本発明の実施の形態23に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図29(a)〜(e)は、本発明の実施の形態23に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図30は、本発明の実施の形態25に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図31は、本発明の実施の形態26に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図32(a)〜(f)は、本発明の実施の形態26に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図33は、本発明の実施の形態28に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図34は、本発明の実施の形態29に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図35(a)〜(f)は、本発明の実施の形態29に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図36は、本発明の実施の形態31に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図37は、本発明の実施の形態32に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図38(a)〜(f)は、本発明の実施の形態32に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図39は、本発明の実施の形態34に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図40は、本発明の実施の形態35に係る発光素子の発光面に垂直な断面図である。
図41(a)〜(f)は、本発明の実施の形態35に係る発光素子の製造工程を示す断面図である。
図42は、本発明の実施の形態37に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
図43は、本発明の実施の形態38に係る表示装置の発光面に垂直な断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る発光素子およびその製造方法、該発光素子を用いた表示装置およびその製造方法について添付図面を用いて説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る発光素子について、図1を用いて説明する。図1は、この発光素子の発光面に垂直な断面図である。この発光素子10は、発光材料に発光性有機材料5を用いている。この発光素子10は、透明基板8と、前記透明基板8に対向して設けられた基板1と、透明基板8と基板1との間に挟まれている、発光性有機材料5を表面に担持している金属酸化物半導体微粒子4の多孔体を含む発光体層6とを備える。さらに詳細には、この発光素子10は、透明基板8に形成された透明な電子注入電極7と、基板1に形成された正孔注入電極2と、前記電子注入電極7と正孔注入電極2との間に、発光体層6と正孔輸送層3とが順に積層されている。また、光は、矢印で示したように、透明基板8の側から取り出される。なお、前述の構成に加えて、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層又は導電層等を備えていてもよい。また、発光体層6と電子注入電極7との間に電子輸送層又は導電層を備えていてもよい。さらに、正孔注入電極2は、黒色を呈していてもよい。これによって発光素子内に入射してきた外光が正孔注入電極2の表面で反射することを防止でき、外光コントラストを良好にできる。さらに、電子注入電極7と透明基板8との間に低屈折率層を備えていてもよい。これによって、発光素子外部への光取り出し効率を大きくすることができる。さらに、電子注入電極7と金属酸化物半導体微粒子4の多孔体を含む発光体層6との間にn型半導体材料からなる薄層を備えてもよい。これにより、金属酸化物半導体微粒子4の多孔体の間隙を通って、正孔が電子と再結合することなく透明電子注入電極7に到達することを防ぐ正孔ブロック層として機能し、正孔と電子との再結合効率を高めることができる。さらにこの発光素子10では、発光体層6として、発光性有機材料5を表面に担持している金属酸化物半導体微粒子4の多孔体を用いているので、発光性有機材料5の接触面積を大きくとることができる。電流は金属酸化物半導体微粒子4の多孔体を介して発光性有機材料に流れるので、金属酸化物半導体微粒子4の多孔体と発光性有機材料5との接触面積が増加したことによって、発光に寄与する面積が増加し、発光素子10としての輝度を高めることができる。発光素子10としての輝度を同程度とした場合、発光体層6の発光性有機材料5を介して流れる電流密度を減少させることができ、発光性有機材料5の劣化を抑制できる。
次に、発光素子10の各構成部材について詳細に説明する。
まず、透明基板8について説明する。透明基板8は、金属酸化物半導体微粒子4の多孔体とその表面に担持された発光性有機材料5を含む発光体層6を支持できるものであればよい。また、発光体層6内で生じた発光を素子外部に取り出せるように透明又は半透明の材料であればよい。透明基板8としては、例えば、コーニング1737等の通常のガラス基板、又は、ポリエステルその他の樹脂フィルム等を用いることができる。特に好適な例として、通常のガラスに含まれるアルカリイオン等が発光素子へ影響しないように無アルカリガラスや、シリカガラス、セラミックス基板、シリコン基板等を用いることが好ましいが、これらに限定されない。また、ガラス表面にイオンバリア層としてアルミナ等をコートしてもよい。樹脂フィルムとしては、耐久性、柔軟性、透明性、電気絶縁性、防湿性の材料を用いればよく、ポリエチレンテレフタレート系やポリクロロトリフルオロエチレン系とナイロン6の組み合わせやフッ素樹脂系材料等を使用できる。なお、発光素子10において、基板1及び正孔注入電極2を透明ないし半透明にすることにより、両面から発光を取り出すこともできる。
次に、電子注入電極7について説明する。電子注入電極7としては、ITO、InZnO(インジウム亜鉛酸化物)、SnO(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)、ポリアニリン等を用いることができる。特に好適な例として、ITO、InZnO、SnO、ZnO等の無機化合物であることが好ましいが、これらに限定されない。ところで、図23に示される有機EL素子200及び図24に示される有機EL素子210では、電子注入電極として、仕事関数が低く、発光層等の有機材料層に対して電子注入障壁の少ないアルカリ金属やアルカリ土類金属と、比較的仕事関数が高く安定なAl、Ag等の金属との合金が用いられてきた。一方、透明導電膜として一般的なITOは仕事関数が4.3から4.7eVと高く、発光層等の有機材料層に対して電子注入障壁が高くなるために、効率的な電子注入は行われない。本発明では、後述する発光体層6との構成により、仕事関数の高いITO等であっても、発光体層等の有機材料層に対して効率的な電子注入を実現した。
ITO膜はその透明性を向上させ、あるいは抵抗率を低下させる目的で、スパッタリング法、エレクトロンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等の成膜方法によって成膜できる。また成膜後に、抵抗率や仕事関数等の特性を制御する目的でプラズマ処理などの表面処理を施してもよい。電子注入電極7の膜厚は、必要とされるシート抵抗値と可視光透過率とから決定される。なお、有機EL素子では、比較的、駆動電流密度が高いので配線抵抗が問題となるため、シート抵抗値を小さくするため100nm以上の厚さで用いられることが多い。
以上のように本発明では、電子注入電極7としてITO等を、透明基板8としてガラス基板等を用いることが可能となった。一方、図24に示される有機EL素子210では、アルカリ金属やアルカリ土類金属と、Al、Ag等の金属との合金を用いた電極に透過性をもたせるため、10nm程度の薄層として用いている。これにより、電極を保護する目的として透明樹脂膜等の保護層が必要となる。しかしながら、薄い金属膜と樹脂膜との構成では水分や酸素のバリア性に劣るため、これらが発光素子内部へ浸透する。発光性有機材料等は、水分や酸素の存在下で電界の印加や光照射等により、分子結合が切断され、発光性能が低下する現象が知られている。本発明においては、電子注入電極7としてITO等を、透明基板8としてガラス基板等を用いることにより、水分や酸素のバリア性が向上し、高信頼性、長寿命の発光素子を実現することができる。
なお、透明基板8と電子注入電極7との間には低屈折率層を備えていることが好ましい。これによって、素子外部への光取り出し効率を大きくすることができる。低屈折率層としては、例えばシリカエアリゲルを用いることができる。光取り出し効率ηと屈折率nとの関連は、一般に下記式(1)で示される。
η=1/2n・・・(1)
一般のガラス基板では屈折率が約1.6、シリカエアロゲルでは屈折率が1.03であるため、シリカエアロゲルを低屈折率層として導入した場合、光取り出し効率は2倍以上向上する。
次に、発光体層6について説明する。発光体層6は、発光性有機材料5を表面に担持した金属酸化物半導体多孔体を含んでいる。また、前記金属酸化物半導体多孔体は、有機材料からなるマトリクス内に散在していてもよい。
まず、金属酸化物半導体多孔体としては、電子注入性がよく、可視光域に吸収をもたないn型半導体材料が用いられる。主に、Mg,Sr,Ba,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Mn,Ru,Zn,In、La,Ce等の酸化物を用いることができる。特に好適な例としては、TiO(酸化チタン)、ZnO(酸化亜鉛)、Nb(酸化ニオブ)、SnO(酸化錫)、In(酸化インジウム)、WO(酸化タングステン)、ZrO(酸化ジルコニウム)、Ta(酸化タンタル)、La(酸化ランタン)等の酸化物や、SrTiO、BaTiO、CaTiO、MgTiO、KNbO、SrPbO、(Ba,Sr)PbO、(Sr,La)PbO、Sr(Ti,Nb)O等のペロブスカイト構造を有する酸化物等の単結晶体、多結晶体、及び、その粒子粉末から得られる多孔体等が用いられる。また、前記金属酸化物を主体とする複合酸化物であってもよく、例えば、MgIn、CdSnO、CdIn、ZnIn、InGaZnO、InSn12等がある。またさらに、2種以上の前記金属酸化物を任意の比率で混合した複合体であってもよく、例えば、Nb/SrTiO、Nb/Ta、Nb/ZrO、Nb/TiO、CeO/SnO、ZnO/SnO等の組み合わせが用いられる。さらに、前記金属酸化物に、導電性を高める目的でドナーとなる異種金属酸化物やフッ素、水素等を含有させてもよく、例えば、ZnOにAl,In,Ga,Siドープ、TiOにTaドープ、BaTiOにLa,Taドープ、InにSn,Tiドープ、SnOにSb,P,Fドープ、SrTiOにNb,Ta,Laドープ、MgInにHドープ等を用いることができるが、これらに限定されない。
金属酸化物半導体多孔体の表面は、その表面に担持する発光性有機材料5の量を増やすために、直径が5nm〜200nm程度の金属酸化物半導体微粒子4が積層された多孔体構造となっている。この多孔体構造を形成することにより、電極単位面積当たりの金属酸化物半導体の表面積が大きくなり、担持する発光性有機材料5の量が増加する。
この金属酸化物半導体多孔体層の製造方法について説明する。
(1)金属酸化物半導体微粒子4の粉末は、金属ハロゲン化物または金属アルコキシド、又は、それらを加水分解した金属酸化物ゾルを用いて、ゾルゲル法によって得られる。
(2)金属酸化物半導体微粒子4の粉末をペイントコンディショナー、ホモジナイザー、超音波撹拌装置、乳鉢などを用いて溶剤に分散させる。この場合に、例えば、ポリエチレングリコール等を添加し、均一なペーストを作成する。金属酸化物半導体微粒子4の粉末の使用量としては5〜60質量%がより好ましい。
(3)この金属酸化物半導体微粒子4のペーストを、透明基板8の上の電子注入電極7の上に塗布し、乾燥させる。金属酸化物半導体微粒子4のペーストの塗布は、インクジェット法、ディッピング、スピンコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、リバースロールコート、グラビアロールコート、スクイズコート、カーテンコート、スプレイコート、ダイコート等、公知の塗布方法を用いることができる。
以上の工程によって、機械的強度と経時安定性を備えた金属酸化物半導体多孔体層を形成できるが、これらに限定されない。なお、金属酸化物半導体微粒子4、及び金属酸化物半導体微粒子を含むペーストは市販のものであってもよい。また、金属酸化物半導体微粒子4のペーストを塗布後、基板材料にもよるが好ましくは400℃〜500℃の温度範囲内の温度で5分間〜60分間焼成すると、さらに機械的強度が増すため、より好ましい。またさらに、金属酸化物半導体多孔体は、焼成後に、プラズマ処理、コロナ処理、UV処理、酸または塩基処理等、あるいはその他の後処理を行ってもよい。
金属酸化物半導体多孔体の表面に担持させる発光性有機材料5としては、大きく分けて、低分子系発光材料と高分子系発光材料とが挙げられる。低分子系発光材料としては、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ナフタセン等の縮合環及びその誘導体や、クマリンや4H−ピラニリデンプロパンジニトリル、フェノキサゾン等のヘテロ芳香族系化合物の誘導体が用いられる。その他の低分子系発光材料としては、ポリメチン系化合物、スチルベン系化合物、キレート金属錯体、キレートランタノイド錯体、キサンテン系化合物、及びこれらの誘導体が用いられるが、これらに限定されない。また、高分子系発光材料としては、π共役ポリマーやσ共役ポリマー、色素をポリマー化したもの、高分子金属錯体、等が用いられる。例えば、ポリ−パラ−フェニレンビニレン誘導体(PPV誘導体)、ポリチオフェン誘導体(PAT誘導体)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP誘導体)、ポリアルキルフェニレン(PDAF)、ポリアセチレン誘導体(PA誘導体)、ポリシラン誘導体(PS誘導体)、ポリ−N−ビニルカルバゾール(PVK)等があるが、これらに限定されない。さらに、分子量が中位のオリゴマーやデンドロン構造を有するデンドリマーであってもよい。またさらに、前述の発光性有機材料の混合物であってもよい。またさらに、前述の高分子材料中には、キャリア輸送性の低分子材料や発光色を変えるためのドーパント色素を加えてもよい。
ここで、金属酸化物半導体多孔体の表面に前述の発光性有機材料5を担持させて、発光体層6を形成する方法について説明する。なお、後述する製造方法は一例であって、これらの方法に限定されない。前述の多孔体の表面へ発光性有機材料5を担持させる方法としては、化学吸着させる方法が用いられる。化学吸着の方法としては、例えば、まず、発光性有機材料5にカルボキシル基(−COOH)を導入し、金属酸化物半導体多孔体の表面の水酸基(−OH)とエステル結合させて固定化することができる。エステル化は、発光性有機材料5を溶剤に溶解又は分散させ、この溶液又は分散液に金属酸化物半導体多孔体を浸漬させることによって行うことができる。なお、インクジェット法、ディッピング、スピンコート、その他、公知の塗布方法を使用することによっても同様に可能である。以上の処理によって、表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体を含む発光体層6を形成できる。なお、カルボキシル基の代わりに、チオカルボキシル基(−CSOH)、ジチオカルボン酸(−CSSH)、スルホ基(−SOH)、スルフィノ基(−SOH)、スルフェノ基(−SOH)、ホスホノ基(−PO(OH))、ホスフィン基(−PH)、メルカプト基(−SH)、トリメトキシシリル基(−Si(OCH))、トリクロロシリル基(SiCl)、アミド基(−CONH)、アミノ基(−NH)を用いることもできる。さらに、金属酸化物半導体多孔体の金属元素との配位結合であってもよい。また、表面に発光性有機材料5を吸着させた後に、酸または塩基処理等の後処理を行っても良い。
以上に電子注入電極7と発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体を含む発光体層6についての詳細を述べた。ここで、仕事関数の高いITO等であっても、発光体層等の有機材料層に対して効率的な電子注入が行える点について説明する。発光性有機材料5は、単体でも電子輸送性を有する材料であり、電子輸送を担うπ電子雲の広がりが大きい分子構造を持つ。前述したように、発光性有機材料5は金属酸化物半導体多孔体の表面に対して化学吸着しているため、発光性有機材料5のπ電子雲の広がりが、金属酸化物半導体多孔体の表面にまで作用するため、注入障壁に阻害されることなく電子注入が起きる。さらに金属酸化物半導体にはn型半導体を用いており、電子注入電極7から効率的な電子注入が可能となる。
さらに、発光性有機材料5と金属酸化物半導体多孔体の表面との化学吸着は、有機材料と電極界面での剥離による発光素子の劣化防止にも有効である。
また、電子注入電極7と金属酸化物半導体微粒子4から得られる多孔体を含む発光体層6との間にn型半導体材料よりなる薄層を備えてもよい。これにより、金属酸化物半導体多孔体の間隙を通って、正孔が電子と再結合することなく電子注入電極7に到達することを防ぐ正孔ブロック層として機能し、正孔と電子との再結合効率を高めることができる。ここで用いられる金属酸化物半導体には、金属酸化物半導体微粒子4と同様の複合酸化物、または混合物等が用いられる。
次に、正孔輸送層3について説明する。正孔輸送層3については、前述の発光体層6と正孔注入電極2を含む基板1との接着層として機能する高分子系材料が含まれていることが好ましい。この正孔輸送層3としては、導電性ポリマーであればよく、さらに好ましくは、ホール移動度の高い正孔輸送性の高分子材料であればよい。正孔輸送性の高分子材料には、π共役ポリマーやσ共役ポリマー、さらに低分子系で正孔輸送性を示す分子構造を分子鎖中に組み込んだポリマー等があり、例えばアリールアミン系化合物等が組み込まれたものがある。これらの具体的な例としては、芳香族アミンを側鎖に有するポリメタクリルアミド(PTPAMMA、PTPDMA)、芳香族アミンを主鎖に有するポリエーテル(TPDPES,TPDPEK)等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも特に好適な例として、ポリ−N−ビニルカルバゾール(PVK)は、10−6cm/Vsと極めて高いホール移動度を示す。さらに、他の好適な例としては、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等がある。
また、導電性又は非導電性ポリマーに低分子系の正孔輸送性材料を分子分散させた形態も同様に可能である。低分子系の正孔輸送材料としては、TPD、N,N’−ビス(α−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)等、Tangらの用いたジアミン誘導体、特に日本国特許第2037475号に開示されたQ1−G−Q2構造のジアミン誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。なお、Q1及びQ2は、別個に窒素原子及び少なくとも3個の炭素鎖(それらの少なくとも1個は芳香族のもの)を有する基である。Gは、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキレン基又は炭素−炭素結合からなる連結基である。分子分散系での具体例としては、TPDをポリカーボネート中に高濃度で分子分散させた例があり、そのホール移動度は10−4cm/Vsから10−5cm/Vs程度である。
さらに好ましくは、正孔輸送層3には、その界面付近に光又は熱で架橋又は重合する架橋性又は重合性材料を含んでいるとよい。これにより、基板1の上の正孔注入電極2と透明基板8の上の発光体層6との貼り合わせの際に、光又は熱を加えることで、接着力を向上させることができる。
正孔輸送層3の成膜方法としては、インクジェット法、ディッピング、スピンコート、その他、公知の塗布方法を使用することができる。
次に、正孔注入電極2について説明する。正孔注入電極2としては、比較的仕事関数が大きく安定で、可視光域で反射率のほぼ一定した、Al、Ag、Cr、Mo、W、Ta、Nb、Ni、Pt等の金属からなるものが好適であるが、これらに限定されない。なお、正孔注入電極2は、黒色を呈していることがさらに好ましい。この黒色電極としては、正孔注入性を有し、且つ可視光域に吸収を有するp型半導体材料であることがより好ましい。この黒色電極は、表示装置内に入射してきた外光が正孔注入電極2の表面で反射して、表示装置の外光コントラストが悪化するのを防ぐ効果をもたらす。表示装置を実現する際には一般的に発光素子の光取り出し面に、円偏光板が設けられる。これは、基板1の上の電極表面における前述の反射光を、位相差によって消光し、外光コントラストの悪化を防ぐためである。しかしながら、円偏光板は、固有の透過率を有しており、発光素子からの発光そのものも減衰させてしまう弊害がある。現在一般的に使用されている円偏向板の透過率は50%程度であり、従って、発光素子からの光取り出し効率は約1/2となり、高輝度化の妨げとなっている。本発明における黒色電極は、吸光度が大きく、表示装置内に入射してきた外光を吸収する。この効果により、円偏向板がなくても外光コントラストの良好な表示装置を実現することが可能となる。
黒色電極の具体例としてはCuOとCuOとの混合物等を用いることができる。一般に不定比金属酸化物において、酸素過剰型若しくは金属不足型の酸化物はp型半導体となる。これは結晶内においてベーカンシー(空孔)となる不足の金属イオンに対して、つりあう正孔が共存するためである。前述のCuOとCuOとの混合物の場合、CuOが金属不足型の不定比酸化物である。結晶中にCuのベーカンシーが存在することから、正孔をキャリアとするp型半導体の性質を示す。一方のCuOは黒色物質であり、これらの混合物は両者の性質を有す。また、他の例としては、NiO(p型半導体)とNi(黒色物質)との混合物やFe(p型半導体)とFeO若しくはFe(黒色物質)との混合物等を用いることができる。これらの電極の形成方法としては、スパッタリング等の乾式方法、またはめっきや、ペーストを作製してコーティング等の湿式方法がある。またさらに、前述の黒色電極はカーボンブラック等の炭素材料を用いてもよい。
次に、この発光素子10の製造方法について、図2を用いて説明する。この発光素子10は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な電子注入電極7を形成する(図2(a))。
(c)次いで、前記電子注入電極7の上に、表面に前記の発光性有機材料5を担持する金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図2(b))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。これによって基板Aを準備する。
(d)一方、基板1を準備する。
(e)次いで、前記基板1の上に、正孔注入電極2を形成する(図2(c))。
(f)次いで、前記正孔注入電極2の上に正孔輸送層3を形成する(図2(d))。これによって基板Bを準備する。
(g)次いで、基板Aの発光体層6と、基板Bの正孔輸送層3とを互いに対向させて貼り合せる(図2(e))。
以上の工程によって、発光素子10を形成できるが、これらに限定されない。従来の上面光取り出し構造の発光素子のように、薄膜トランジスタを配置する基板1側からの順次積層方式の場合には、正孔輸送層3と発光体層6とを形成した後に電子注入電極7を積層しなければならず、発光性有機材料5を劣化させずに、良質な電子注入電極7を形成することはできない。逆に、透明基板8からの順次積層する方式でも、正孔輸送層3を劣化させずに、薄膜トランジスタを形成することはできない。これに対して、本発明の発光素子の製造方法によれば、あらかじめ発光体層6を基板Aに形成しておき、正孔注入電極2を形成した基板Bと貼り合せることによって、容易に発光素子10を形成できる
なお、前述の工程は、乾燥雰囲気下で行うことが望ましく、さらに低酸素雰囲気下で行うことがより望ましい。これにより、動作電圧の低下、高効率化、長寿命化等の特性改善を図ることができる。
次に、このようにして作成された発光素子10における発光の機構について説明する。まず、電子注入電極7から注入された電子が、発光体層6で金属酸化物半導体多孔体を通じてその表面に移動し、さらにエステル結合により化学吸着している発光性有機材料5に移動する。一方、正孔注入電極2から注入された正孔は、正孔輸送層3を移動して、発光性有機材料5に到達し、ここで前述の電子と再結合して発光を示す。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る発光素子について、図3を用いて説明する。図3は、この発光素子20の電極構成を示す斜視図である。この発光素子20は、正孔注入電極2に接続された薄膜トランジスタ21をさらに備える。薄膜トランジスタ21には、x電極22とy電極23とが接続されている。この発光素子20では、光は透明基板8の側から取り出すので、基板1の上への薄膜トランジスタ21の配置によらず開口率を大きくとることができる。また、薄膜トランジスタ21を用いることによって発光素子20にメモリ機能を持たせることができる。この薄膜トランジスタ21としては、低温ポリシリコンやアモルファスシリコン薄膜トランジスタ等が用いられる。さらに、有機材料を含む薄膜により構成された有機薄膜トランジスタであってもよい。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る表示装置について、図4を用いて説明する。図4は、この表示装置30の互いに直交するx電極22とy電極23とによって構成されるアクティブマトリクスを示す概略平面図である。この表示装置30は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型表示装置である。このアクティブマトリクス型表示装置30は、複数個の図3に示した実施の形態2の発光素子が2次元配列されている発光素子アレイと、該発光素子アレイの面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極22と、該発光素子アレイの面に平行であって、第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極23とを備える。この発光素子アレイの薄膜トランジスタ21は、x電極22及びy電極23とそれぞれ接続されている。一対のx電極22とy電極23とによって特定される発光素子が一つの画素となる。このアクティブマトリクス表示装置30によれば、前述のように、各画素の発光素子を構成する発光体層6は、表面に発光性有機材料5を担持している金属酸化物半導体多孔体を含んでいる。これにより、発光性有機材料5を担持する表面積を大きくとることができ、発光性有機材料を通る電流密度を減少させることができるので、長寿命の表示装置が得られる。
次に、この実施の形態3に係る表示装置の製造方法を、図5を用いて説明する。図5は、さらに異なる複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の表示装置40におけるy電極23と垂直で、且つ発光面に垂直な断面図である。基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態1の発光素子10と同様に、正孔注入電極2を形成し、次いで、例えばインクジェット法を用いて正孔輸送層3を塗布形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態1の発光素子10と同様に、透明な電子注入電極7、発光体層6を形成し、基板1と貼り合わせる。以上の工程により、表示装置30を作成できるが、これらの方法に限定されない。カラーの表示装置の場合、発光体層6を形成する際に、例えばインクジェット法を用いて、RGBの各発光性有機材料を含む塗布液を、画素ピッチに合せ、各画素41R、41G、41Bに色分けして塗布形成する。この工程に先立ち、各画素を区分する画素分離領域42を形成してもよく、さらにこの画素分離領域42は黒色を呈することがより好ましい。例えば、絶縁性高分子材料と黒色染料等を含む塗布液を、インクジェット法を用いて塗布することにより、画素分離領域42を形成できる。これにより、RGBの各発光性有機材料を塗布する際、隣接する画素への進入を防止できる。さらには黒色を呈することにより、前述の黒色電極と同様の効果が得られる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る発光素子について、図6を用いて説明する。図6は、この発光素子の発光面に垂直な断面図である。この発光素子50は、実施の形態1に係る発光素子10と比較すると、透明基板8の上に透明な正孔注入電極2を、基板1の上に電子注入電極7を設け、矢印で示す光取り出し方向に対して、逆極性となっている点で相違する。また、この発光素子50では、基板1の上に形成した発光体層6と、透明基板8の上に形成した正孔注入電極2とを、接着性を有する正孔輸送層3によって貼り合わせている点で相違する。なお、その他の構成部材については、実施の形態1に係る発光素子と実質的に同一なので、説明を省略する。さらに、前述の構成に加えて、透明な正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層又は導電層等を備えていてもよい。また、発光体層6と電子注入電極7との間に電子輸送層又は導電層を備えていてもよい。またさらに、透明な正孔注入電極2と透明基板8との間に低屈折率層を備えていてもよい。これによって、発光素子外部への光取り出し効率を大きくすることができる。またさらに、発光体層6と電子注入電極7との間にn型半導体材料からなる薄層を備えてもよい。これにより、金属酸化物半導体微粒子4の多孔体の間隙を通って、正孔が電子と再結合することなく電子注入電極7に到達することを防ぐ正孔ブロック層として機能し、正孔と電子との再結合効率を高めることができる。
次に、発光素子50の各構成部材について詳細に説明する。なお、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一の部材については説明を省略する。
まず、正孔注入電極2について説明する。正孔注入電極2としては、実施の形態1に係る発光素子10と比較すると、透明又は半透明である点で相違する。正孔注入電極2としては、仕事関数の高い金属が用いられ、特に好適な透明電極の例として、ITOやSnOを用いることができる。他の例としては、Ni,Au,Pt,Pd、Cr、Mo、W、Ta、Nb等の金属、又はこれらの合金が挙げられる。さらには、ポリアニリン等の導電性樹脂を用いることもできるが、これらに限定されない。ITOはその透明性を向上させ、あるいは抵抗率を低下させる目的で、スパッタリング法、エレクトロンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等の成膜方法で成膜できる。また成膜後に、抵抗率や仕事関数制御の目的でプラズマ処理などの表面処理を施してもよい。正孔注入電極2の膜厚は必要とされるシート抵抗値と可視光透過率から決定されるが、発光素子50では比較的駆動電流密度が高く、配線抵抗が問題となるため、シート抵抗値を小さくするため100nm以上の厚さで用いられることが多い。なお、この発光素子50では、基板1及び電子注入電極2を透明ないし半透明にすることにより、両面から発光を取り出すことができる。
以上のように、本発明の実施の形態4では、透明な正孔注入電極2としてITO等を、透明基板8としてガラス基板等を用いることが可能となった。これにより、実施の形態1に係る発光素子10と同様に、高信頼性、長寿命の発光素子を実現することができる。
次に、電子注入電極7について説明する。電子注入電極7としては、実施の形態1に係る発光素子10と比較すると、非透明である点で相違する。電子注入電極7としては、仕事関数が低く電子注入障壁の少ないアルカリ金属やアルカリ土類金属と、比較的仕事関数が大きく安定なAl、Ag等の金属との合金を用いることができる。この合金からなる電子注入電極7は、安定でかつ電子注入が容易である。特に好適な例としては、MgAg、AlLi等を用いることができるがこれらに限定されない。また、電子注入電極7の他の構成としては、有機層側に低仕事関数の金属薄膜を形成し、その上に保護電極として安定な金属からなる金属膜を積層とする構成や、LiFやAlの薄膜を形成した後にAlを比較的厚く形成する積層構成など、種々の電極を用いることができる。
また、電子注入電極6の成膜方法としては、真空蒸着法やスパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知の成膜方法を用いることができる。
次に、発光体層6について説明する。発光体層6としては、実施の形態1に係る発光素子10と比較すると、非透明な電子注入電極7の上に形成する点で相違する。また、金属酸化物半導体多孔体を含む発光体層6の製造方法については、実施の形態1に係る発光素子10と比較すると、基板1の上の電子注入電極7の上に塗布形成する点で相違する。なお、これらに用いられる構成部材については、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一であるため、説明を省略する。
次に、正孔輸送層3について説明する。正孔輸送層3としては、実施の形態1に係る発光素子10と比較すると、透明な正孔注入電極2の上に形成する点で相違する。また、透明な正孔注入電極2と発光体層6との接着層として機能する高分子系材料が含まれていることが好ましい。なお、これらに用いられる構成部材については、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一の部材であるため、説明を省略する。
次に、この発光素子50の製造方法について、図7を用いて説明する。この発光素子50は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な正孔注入電極2を形成する(図7(a))。
(c)次いで、前記正孔注入電極2の上に、正孔輸送層3を形成する(図7(b))。これによって基板Cを準備する。
(d)一方、基板1を準備する。
(e)次いで、前記基板1の上に、電子注入電極7を形成する(図7(c))。
(f)次いで、前記電子注入電極7の上に、前述の表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図7(d))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。これによって基板Dを準備する。
(g)次いで、基板Cの正孔輸送層3と、基板Dの発光体層6とを互いに対向させて貼り合せる(図7(e))。
以上の工程によって、発光素子50を形成できるが、これらに限定されない。
なお、前述の工程は、乾燥雰囲気下で行うことが望ましく、さらに低酸素雰囲気下で行うことがより望ましい。これにより、動作電圧の低下、高効率化、長寿命化等の特性改善を図ることができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る発光素子について、図8を用いて説明する。図8は、この発光素子60の電極構成を示す斜視図である。この発光素子60は、実施の形態2に係る発光素子20と比較すると、実施の形態4に係る発光素子50の電子注入電極7に接続された薄膜トランジスタ21をさらに備える点で相違するが、実質的に同一の構成であるため、説明を省略する。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る表示装置について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態3に係る表示装置30の互いに直交するx電極22とy電極23とによって構成されるアクティブマトリクスを示す概略平面図であり、この表示装置は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型表示装置である。この実施の形態6に係る表示装置は、実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、複数個の実施の形態5に係る発光素子60が2次元配列されている発光素子アレイを備える点で相違するが、実質的に同一の構成であるため、説明を省略する。
次に、この実施の形態6に係る表示装置の製造方法を、図9を用いて説明する。図9は、異なる複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態6に係る表示装置70におけるy電極23と垂直で、且つ発光面に垂直な断面図である。基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態4の発光素子50と同様に、電子注入電極7を形成し、次いで、発光体層6を形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態4の発光素子50と同様に、透明な正孔注入電極2を形成し、次いで、例えばインクジェット法を用いて正孔輸送層3を塗布形成した後、正孔輸送層3と発光体層6とを互いに対向させて基板1と透明基板8とを貼り合わせる。以上の工程により、表示装置70を形成できるが、これらに限定されない。カラーの表示装置の場合、発光体層6を形成する際に、例えばインクジェット法を用いて、RGBの各発光性有機材料を含む塗布液を、画素ピッチに合せ、各画素41R、41G、41Bに色分けして塗布形成する。この工程に先立ち、各画素を区分する画素分離領域42を形成してもよく、実施の形態3と同様の手段を講じることができる。
また、この表示装置70では、発光体層6は基板1の上に、形成されるため、画素ピッチに応じた位置合わせを必要とするのは基板1側のみとなり、透明基板8側は、透明な正孔注入電極2と正孔輸送層3がベタ薄膜として製造できる。これにより、貼り合わせ時の位置決め精度の要求が緩和され、工程を簡素化することができる。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係る発光素子について、図10を用いて説明する。図10は、この発光素子の発光面に垂直な断面図である。この発光素子80は、実施の形態1に係る発光素子10と比較すると、発光体層6と透明な電子注入電極7との間に電子輸送層81をさらに備え、基板1の上に形成した発光体層6と、透明基板8の上に形成した電子注入電極7とを、接着性を有する電子輸送層81によって貼り合わせている点で相違する。また、この場合には、正孔輸送層3が接着性を有する必要はない。なお、その他の構成部材については、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一なので、説明を省略する。さらに、前述の構成に加えて、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層又は導電層等を備えていてもよい。またさらに、電子注入電極7と透明基板8との間に低屈折率層を備えていてもよい。これによって、発光素子外部への光取り出し効率を大きくすることができる。またさらに、正孔注入電極2が黒色電極であってもよい。これによって、外光コントラストを良好にできる。
次に、発光素子80の各構成部材について詳細に説明する。なお、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一の部材については説明を省略する。
まず、電子輸送層81について説明する。電子輸送層81としては、発光体層6と電子注入電極7との接着層として機能する高分子系材料が含まれていることが好ましい。この電子輸送層81としては、導電性ポリマーであればよく、さらに好ましくは、電子移動度の高い電子輸送性の高分子材料であればよい。電子輸送性を備える高分子系材料としては、特に好適な例として、ポリ−[2−(6−シアノ−6−メチルペプチロキシ)−1,4−フェニレン](CN−PPV)やポリキノキサリン等が挙げられるが、これらに限定されない。また、低分子系で電子輸送性を示す分子構造を分子鎖中に組み込んだポリマーでも同様に可能である。またさらに、導電性又は非導電性ポリマーに、低分子系の電子輸送性材料を分子分散させた形態も同様に可能である。電子輸送性を備える低分子系材料としては、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、シロール誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、キノリノール系金属錯体等やこれらの2量体、3量体が挙げられる。特に好適な例としては、2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、Alq3等が挙げられるが、これらに限定されない。
さらに好ましくは、電子輸送層81には、その界面付近に光又は熱で架橋又は重合する架橋性又は重合性材料を含んでいるとよい。これにより、基板1の上の発光体層6と透明基板8の上の電子注入電極7との貼り合わせの際に、光又は熱を加えることで、接着力を向上させることができる。
また、電子輸送層81の成膜方法としては、インクジェット法、ディッピング、スピンコート、その他公知の塗布方法を使用することができる。
次に、この発光素子80の製造方法について、図11を用いて説明する。この発光素子80は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な電子注入電極7を形成する(図11(a))。
(c)次いで、前記電子注入電極7の上に、電子輸送層81を形成する(図11(b))。これによって基板Eを準備する。
(d)一方、基板1を準備する。
(e)次いで、前記基板1の上に、正孔注入電極2を形成する(図11(c))。
(f)次いで、前記正孔注入電極2の上に、正孔輸送層3を形成する(図11(d))。
(g)次いで、前記正孔輸送層3の上に、前述の表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図11(e))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。これによって基板Fを準備する。
(h)次いで、基板Eの電子輸送層81と、基板Fの発光体層6とを互いに対向させて貼り合せる(図11(f))。
以上の工程によって、発光素子80を形成できるが、これらに限定されない。
なお、前述の工程は、乾燥雰囲気下で行うことが望ましく、さらに低酸素雰囲気下で行うことが、より望ましい。これにより、動作電圧の低下、高効率化、長寿命化等の特性改善を図ることができる。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8に係る発光素子について、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態2に係る発光素子20の電極構成を示す斜視図であるが、実施の形態8に係る発光素子は、実施の形態2に係る発光素子20と比較すると、実施の形態7に係る発光素子80の正孔注入電極2に接続された薄膜トランジスタ21をさらに備える点で相違する以外、実質的に同一の構成である。よって、詳細の説明を省略する。
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9に係る表示装置について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態3に係る表示装置30の互いに直交するx電極22とy電極23とによって構成されるアクティブマトリクスを示す概略平面図であり、この表示装置は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型表示装置である。この実施の形態9に係る表示装置は、実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、複数個の実施の形態8に係る発光素子が2次元配列されている発光素子アレイを備える点で相違するが、実質的に同一の構成であるため、説明を省略する。
次に、この実施の形態9に係る表示装置の製造方法を、図12を用いて説明する。図12は、異なる複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態9に係る表示装置90におけるy電極23と垂直で、且つ発光面に垂直な断面図である。基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態7の発光素子80と同様に、正孔注入電極2を形成し、次いで、正孔輸送層3を形成し、次いで、発光体層6を形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態7の発光素子80と同様に、透明な電子注入電極7を形成し、次いで、例えばインクジェット法を用いて電子輸送層81を塗布形成した後、基板1と貼り合わせる。以上の工程により、表示装置90を形成できるが、これらに限定されない。カラーの表示装置の場合、発光体層6を形成する際に、例えばインクジェット法を用いて、RGBの各発光性有機材料を含む塗布液を、画素ピッチに合せ、各画素41R、41G、41Bに色分けして塗布形成する。この工程に先立ち、各画素を区分する画素分離領域42を形成してもよく、実施の形態3と同様の手段を講じることができる。
また、この表示装置90では、実施の形態6と同様に、画素ピッチに応じた位置合わせを必要とするのは基板1側のみとなり、透明基板8側は、透明な電子注入電極7と電子輸送層81がベタ薄膜として製造できる。これにより、貼り合わせ時の位置決め精度の要求が緩和され、工程を簡素化することができる。
(実施の形態10)
本発明の実施の形態10に係る発光素子について、図13を用いて説明する。図13は、この発光素子の発光面に垂直な断面図である。この発光素子100は、実施の形態4に係る発光素子50と比較すると、発光体層6と電子注入電極7との間に電子輸送層81をさらに備え、基板1の上に形成した電子注入電極7と、透明基板8の上に形成した発光体層6とを、接着性を有する電子輸送層81によって貼り合わせている点で相違する。また、この場合には、正孔輸送層3が接着性を有する必要はない。なお、その他の構成部材については、実施の形態4に係る発光素子50と実質的に同一なので、説明を省略する。さらに、前述の構成に加えて、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層又は導電層等を備えていてもよい。またさらに、正孔注入電極2と透明基板8との間に低屈折率層を備えていてもよい。これによって、発光素子外部への光取り出し効率を大きくすることができる。
次に、発光素子100の各構成部材について説明する。なお、実施の形態4に係る発光素子50と実質的に同一の部材については説明を省略する。また、この発光素子100の電子輸送層81を構成する部材は、実施の形態7に係る発光素子80と実質的に同一であるため、説明を省略する。
次に、この発光素子100の製造方法について、図14を用いて説明する。この発光素子100は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次に、前記透明基板8の上に、透明な正孔注入電極2を形成する(図14(a))。
(c)次いで、前記正孔注入電極2の上に、正孔輸送層3を形成する(図14(b))。
(d)さらに、前記正孔輸送層3の上に、前述の表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図14(c))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。これによって基板Gを準備する。
(e)一方、基板1を準備する。
(f)次に、前記基板1の上に、電子注入電極7を形成する(図14(d))。
(g)次いで、前記電子注入電極7の上に、電子輸送層81を形成する(図14(e))。これによって基板Hを準備する。
(h)基板Gの発光体層6と、基板Hの電子輸送層81とを互いに対向させて貼り合せる(図14(f))。
以上の工程によって、発光素子100を形成できるが、これらに限定されない。
なお、前述の工程は、乾燥雰囲気下で行うことが望ましく、さらに低酸素雰囲気下で行うことが、より望ましい。これにより、動作電圧の低下、高効率化、長寿命化等の特性改善を図ることができる。
(実施の形態11)
本発明の実施の形態11に係る発光素子について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態5に係る発光素子60の電極構成を示す斜視図であるが、実施の形態11に係る発光素子は、実施の形態5に係る発光素子60と比較すると、実施の形態10に係る発光素子100の電子注入電極7に接続された薄膜トランジスタ21をさらに備える点で相違する以外、実質的に同一の構成である。よって、詳細な説明を省略する。
(実施の形態12)
本発明の実施の形態12に係る表示装置について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態3に係る表示装置30の互いに直交するx電極22とy電極23とによって構成されるアクティブマトリクスを示す概略平面図であり、この表示装置は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型表示装置である。実施の形態12に係る表示装置は、実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、複数個の実施の形態11に係る発光素子が2次元配列されている発光素子アレイを備える点で相違するが、実質的に同一の構成であるため、説明を省略する。
次に、この実施の形態12に係る表示装置の製造方法を、図15を用いて説明する。図15は、異なる複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態12に係る表示装置110におけるy電極23と垂直で、且つ発光面に垂直な断面図である。基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態10の発光素子100と同様に、電子注入電極7を形成し、次いで、例えばインクジェット法を用いて電子輸送層81を塗布形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態10の発光素子100と同様に、透明な正孔注入電極2を形成し、次いで、正孔輸送層3を形成し、次いで、発光体層6を形成した後、基板1と貼り合わせる。以上の工程により、表示装置110を形成できるが、これらに限定されない。カラーの表示装置の場合、発光体層6を形成する際に、例えばインクジェット法を用いて、RGBの各発光性有機材料を含む塗布液を、画素ピッチに合せ、各画素41R、41G、41Bに色分けして塗布形成する。この工程に先立ち、各画素を区分する画素分離領域42を形成してもよく、実施の形態3と同様の手段を講じることができる。
(実施の形態13)
本発明の実施の形態13に係る発光素子について、図16を用いて説明する。図16は、この発光素子の発光面に垂直な断面図である。この発光素子120は、実施の形態1に係る発光素子10と比較すると、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層121をさらに備え、基板1の上に形成した正孔注入電極2と、透明基板8の上に形成した正孔輸送層3とを、接着性を有する正孔注入層121によって貼り合わせている点で相違する。また、この場合には、正孔輸送層3が接着性を有する必要はない。なお、その他の構成部材については、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一なので、説明を省略する。さらに、前述の構成に加えて、電子注入電極7と発光体層6との間に電子輸送層又は導電層等を備えていてもよい。またさらに、電子注入電極7と透明基板8との間に低屈折率層を備えていてもよい。これによって、発光素子外部への光取り出し効率を大きくすることができる。またさらに、電子注入電極7と金属酸化物半導体微粒子4の多孔体を含む発光体層6との間に、n型半導体材料からなる薄層を備えてもよい。これにより、金属酸化物半導体微粒子4の多孔体の間隙を通って、正孔が電子と再結合することなく電子注入電極7に到達することを防ぐ正孔ブロック層として機能し、正孔と電子との再結合効率を高めることができる。またさらに、正孔注入電極2が黒色電極であってもよい。これによって、外光コントラストを良好にできる。
次に、発光素子120の各構成部材について詳細に説明する。なお、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一の部材については説明を省略する。
まず、正孔注入層121について説明する。正孔注入層121としては、基板1の上の正孔注入電極2と透明基板8の上の正孔輸送層3との接着層として機能する高分子系材料が含まれていることが好ましい。さらに好ましくは、正孔注入層121の最高占有分子軌道(HOMO)と、正孔注入電極2の仕事関数との間で電位障壁がなく、容易に正孔注入がなされる高分子材料であればよい。特に好適な例としては、ポリアニリン誘導体等が用いられるが、これらに限定されない。また、高分子材料に電子アクセプターをドープして導電性を高めた複合層も同様の効果があり、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)にポリスチレンスルホン酸(PSS)をドープしたものが挙げられるが、これらに限定されない。またさらに、導電性又は非導電性ポリマーに低分子系の正孔注入層材料を分子分散させた形態も同様に可能である。低分子系の正孔注入層材料としては、イオン化ポテンシャルの小さい銅フタロシアニン(CuPc)スターバーストアミンと呼ばれる高分子量アリールアミンが用いられるが、これらに限定されない。
さらに好ましくは、正孔注入層121には、その界面付近に光又は熱で架橋又は重合する架橋性又は重合性材料を含んでいるとよい。これにより、基板1の上の正孔注入電極2と透明基板8の上の正孔輸送層3との貼り合わせの際に、光又は熱を加えることで、接着力を向上させることができる。
また、正孔注入層121の成膜方法としては、インクジェット法、ディッピング、スピンコート、その他公知の塗布方法を使用することができる。
次に、この発光素子120の製造方法について、図17を用いて説明する。この発光素子120は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な電子注入電極7を形成する(図17(a))。
(c)次いで、前記電子注入電極7の上に、表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図17(b))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。
(d)次いで、前記発光体層6の上に、正孔輸送層3を形成する(図17(c))。これによって基板1を準備する。
(e)一方、基板1を準備する。
(f)次いで、前記基板1の上に、正孔注入電極2を形成する(図17(d))。
(g)次いで、前記正孔注入電極2の上に、正孔注入層121を形成する(図17(e))。これによって基板Jを準備する。
(h)次いで、基板Iの正孔輸送層3と、基板Jの正孔注入層121とを互いに対向させて貼り合せる(図17(f))。
以上の工程によって、発光素子120を形成できるが、これらに限定されない。
なお、前述の工程は、乾燥雰囲気下で行うことが望ましく、さらに低酸素雰囲気下で行うことがより望ましい。これにより、動作電圧の低下、高効率化、長寿命化等の特性改善を図ることができる。
(実施の形態14)
本発明の実施の形態14に係る発光素子について、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態2に係る発光素子20の電極構成を示す斜視図であるが、実施の形態14に係る発光素子は、実施の形態2に係る発光素子20と比較すると、実施の形態13に係る発光素子120の正孔注入電極2に接続された薄膜トランジスタ21をさらに備える点で相違する以外、実質的に同一の構成である。よって、詳細の説明を省略する。
(実施の形態15)
本発明の実施の形態15に係る表示装置について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態3に係る表示装置30の互いに直交するx電極22とy電極23とによって構成されるアクティブマトリクスを示す概略平面図であり、この表示装置は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型表示装置である。実施の形態15に係る表示装置は、実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、複数個の実施の形態14に係る発光素子が、2次元配列されている発光素子アレイを備える点で相違する以外、実質的に同一の構成である。よって、詳細の説明を省略する。
次に、この実施の形態15に係る表示装置の製造方法を、図18を用いて説明する。図18は、異なる複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態15に係る表示装置130のy電極23と垂直で、且つ発光面に垂直な断面図である。基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態13に係る発光素子120と同様に、正孔注入電極2を形成し、次いで、例えばインクジェット法を用いて正孔注入層121を塗布形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態13の発光素子120と同様に、透明な電子注入電極7を形成し、次いで、発光体層6を形成し、次いで、正孔輸送層3を形成した後、基板1と貼り合わせる。以上の工程により、表示装置130を形成できるが、これらに限定されない。カラーの表示装置の場合、発光体層6を形成する際に、例えばインクジェット法を用いて、RGBの各発光性有機材料を含む塗布液を、画素ピッチに合せ、各画素41R、41G、41Bに色分けして塗布形成する。この工程に先立ち、各画素を区分する画素分離領域42を形成してもよく、実施の形態3と同様の手段を講じることができる。
(実施の形態16)
本発明の実施の形態16に係る発光素子について、図19を用いて説明する。図19は、この発光素子の発光面に垂直な断面図である。この発光素子140は、実施の形態4に係る発光素子50と比較すると、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層121をさらに備え、基板1の上に形成した正孔輸送層3と、透明基板8の上に形成した正孔注入電極2とを、接着性を有する正孔注入層121によって貼り合わせている点で相違する。また、この場合には、正孔輸送層3が接着性を有する必要はない。なお、その他の構成部材については、実施の形態4に係る発光素子50と実質的に同一なので、説明を省略する。さらに、前述の構成に加えて、発光体層6と電子注入電極7との間に電子輸送層又は導電層等を備えていてもよい。またさらに、正孔注入電極2と透明基板8との間に低屈折率層を備えていてもよい。これによって、発光素子外部への光取り出し効率を大きくすることができる。またさらに、電子注入電極7と金属酸化物半導体微粒子4の多孔体を含む発光体層6との間にn型半導体材料からなる薄層を備えてもよい。これにより、金属酸化物半導体微粒子4の多孔体の間隙を通って、正孔が電子と再結合することなく電子注入電極7に到達することを防ぐ正孔ブロック層として機能し、正孔と電子との再結合効率を高めることができる。
次に、発光素子140の各構成部材について説明する。なお、実施の形態4に係る発光素子50と実質的に同一の部材については説明を省略する。また、この発光素子140の正孔注入層121を構成する部材は、実施の形態13に係る発光素子120と実質的に同一であるため、説明を省略する。
次に、この発光素子140の製造方法について、図20を用いて説明する。この発光素子140は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な正孔注入電極2を形成する(図20(a))。
(c)次いで、前記正孔注入電極2の上に、正孔注入層121を形成する(図20(b))。これによって基板Kを準備する。
(d)一方、基板1を準備する。
(e)次いで、前記基板1の上に、電子注入電極7を形成する(図20(c))。
(f)次いで、前記電子注入電極7の上に、前述の表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体を含む発光体層6を形成する(図20(d))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。
(g)次いで、前記発光体層6の上に、正孔輸送層3を形成する(図20(e))。これによって基板Lを準備する。
(h)次いで、基板Kの正孔注入層121と、基板Lの正孔輸送層3とを互いに対向させて貼り合せる(図20(f))。
以上の工程によって、発光素子140を形成できるが、これらに限定されない。
なお、前述の工程は、乾燥雰囲気下で行うことが望ましく、さらに低酸素雰囲気下で行うことがより望ましい。これにより、動作電圧の低下、高効率化、長寿命化等の特性改善を図ることができる。
(実施の形態17)
本発明の実施の形態17に係る発光素子について、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態5に係る発光素子60の電極構成を示す斜視図であるが、実施の形態17に係る発光素子は、実施の形態5に係る発光素子60と比較すると、実施の形態16に係る発光素子140の電子注入電極7に接続された薄膜トランジスタ21をさらに備える点で相違する以外、実質的に同一の構成である。よって、詳細の説明を省略する。
(実施の形態18)
本発明の実施の形態18に係る表示装置について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態3に係る表示装置30の互いに直交するx電極22とy電極23とによって構成されるアクティブマトリクスを示す概略平面図であり、この表示装置は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型表示装置である。実施の形態18に係る表示装置は、実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、複数個の実施の形態17に係る発光素子が、2次元配列されている発光素子アレイを備える点で相違する以外、実質的に同一の構成である。よって、詳細の説明を省略する。
次に、この実施の形態18に係る表示装置の製造方法を、図21を用いて説明する。図21は、異なる複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態18に係る表示装置150のy電極23と垂直で、且つ発光面に垂直な断面図である。基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態16の発光素子140と同様に、電子注入電極7を形成し、次いで、発光体層6を形成し、次いで、正孔輸送層3を形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態16の発光素子140と同様に、透明な正孔注入電極2を形成し、次いで、例えばインクジェット法を用いて正孔注入層121を塗布形成した後、基板1と貼り合わせる。以上の工程により、表示装置150を形成できるが、これらに限定されない。カラーの表示装置の場合、発光体層6を形成する際に、例えばインクジェット法を用いて、RGBの各発光性有機材料を含む塗布液を、画素ピッチに合せ、各画素41R、41G、41Bに色分けして塗布形成する。この工程に先立ち、各画素を区分する画素分離領域42を形成してもよく、実施の形態3と同様の手段を講じることができる。
また、この表示装置150では、実施の形態6と同様に、画素ピッチに応じた位置合わせを必要とするのは基板1側のみとなり、透明基板8側は、透明な正孔注入電極2と正孔注入層121がベタ薄膜として製造できる。これにより、貼り合わせ時の位置決め精度の要求が緩和され、工程を簡素化することができる。
(実施の形態19)
本発明の実施の形態19に係る表示装置について、図22を用いて説明する。図22は、異なる複数の画素41R、41G、41Bを有する実施の形態19に係る表示装置160のy電極23と垂直で、且つ発光面に垂直な断面図である。この表示装置160は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型表示装置である。この表示装置160は、実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、正孔注入電極2と薄膜トランジスタ21とが接続している部分を接着層161として、基板1側と透明基板8側とを貼り合わせている点で相違する。また、接着層161は、正孔注入電極2と薄膜トランジスタ21との接続部となる導電性領域162と、それ以外の非導電性領域163とを備える。これにより、透明基板8側から、電子注入電極7、発光体層6、正孔輸送層3、正孔注入電極2を順次積層する従来の有機EL素子の作製方法を用いながら、容易に上面光取り出し構造の表示装置を提供できる。また、この場合には、正孔輸送層3が接着性を有する必要はない。その他の構成部材については、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一なので、説明を省略する。なお、前述の表示装置の層構成は、発光体層/正孔輸送層の2層構成であったが、発光体層のみ、正孔輸送層/発光体層/電子輸送層、正孔注入層/正孔輸送層/発光体層/電子輸送層等、1層以上の有機層を積層した構成であってもよい。また、電子注入電極が薄膜トランジスタと接続している逆極性の構成であってもよい。
次に、表示装置160の各構成部材について詳細に説明する。なお、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一の部材については説明を省略する。
接着層161内の導電性領域162については、Agペーストやカーボンペースト等、公知の導電性ペーストを用いることができる。また、成膜方法としては、スクリーン印刷やインクジェット法等の、公知の塗布方法を用いることができる。一方、非導電性領域163については、基板1と透明基板8の上の正孔注入電極2又は正孔輸送層3との接着層として機能する高分子系材料が含まれていることが好ましい。例としては、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド等、公知の高分子系材料を用いることができる。また、成膜方法としては、スクリーン印刷やインクジェット法等の、公知の塗布方法を用いることができる。さらに好ましくは、非導電性領域163には、光又は熱で架橋又は重合する架橋性又は重合性材料を含んでいるとよい。これにより、基板1と透明基板8の上の正孔注入電極2又は正孔輸送層3との貼り合わせの際に、光又は熱を加えることで、接着力を向上させることができる。
次に、具体的な実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【実施例1】
本発明の実施例1に係る発光素子について図1を用いて説明する。この発光素子では、実施の形態1に係る発光素子と同一の構成を有しているので、その構成についての説明を省略する。この発光素子では、電子注入電極7を形成した透明基板8として、市販のITO膜付ガラス基板を用いた。また、金属酸化物半導体多孔体には、TiO薄膜多孔体を用いた。前記多孔体の表面に担持する発光性有機材料5としては、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン−4−カルボン酸(BDCC)を用いた。基板1にはガラス基板を用い、正孔注入電極2にはAlを用い、正孔輸送層3にはPVKを用いた。
次に、この発光素子の製造方法について図2を用いて説明する。この発光素子は、以下の工程によって製造される。
(a)電子注入電極7を形成した透明基板8として、市販のITO膜付ガラス基板を準備した(図2(a))。これをアルカリ洗剤、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)を用いて超音波洗浄し、次いで沸騰したIPA溶液から引き上げて乾燥した。最後に、UV/O洗浄した。
(b)前記ITO膜付ガラス基板の上に金属酸化物半導体多孔体層として、TiO薄膜多孔体層を形成した。
このTiO薄膜多孔体層の製造方法について以下に説明する。
(1)まず、チタンイソプロポキシドを室温で硝酸水溶液中に滴下して加水分解させ、80℃に加熱して8時間程度攪拌することによってゾル溶液を得る。
(2)次に、オートクレーブにて250℃で12時間熟成することによって粒径10nm〜20nm程度のTiO微粒子を含むコロイド溶液を作製した。
(3)このコロイド溶液をロータリエバポレータで濃縮した後、ポリエチレングリコールを30%程度添加して最終的なTiOペーストを作製した。
(4)次に、基板1上にTiOペーストをドクターブレード法によって塗布し、このTiO膜を、室温、空気中で10分間乾燥した後、450℃で30分間焼成した。
(5)更に、このTiO薄膜をTiCl水溶液に浸して一晩放置した後、水洗浄を行い、再び450℃で30分間焼成した。
以上の工程によって金属酸化物半導体多孔体として、TiO薄膜多孔体を形成した。
(c)前記ITO膜付ガラス基板のITO膜の上に形成したTiO薄膜多孔体の表面に、次の手順で発光性有機材料5を吸着させた。まず、BDCCをエタノール中に超音波攪拌装置を用いて分散させる。この分散液を連続攪拌しながら、その中にTiO薄膜多孔体を形成した前記ITO膜付ガラス基板を一晩浸漬した。これによって、TiO薄膜多孔体層の表面に発光性有機材料のBDCCを担持させて発光体層6を形成した(図2(b))。これを基板Aとした。
(d)一方、基板1としては、ガラス基板を用いた。これを前記のITO膜付ガラス基板と同様に洗浄した後、正孔注入電極2として、基板1上にAlを真空蒸着法で成膜したものを準備した(図2(c))。
(e)PVKをクロロホルムに溶解させ、前記正孔注入電極の上に、スピンコートにより塗布して、正孔輸送層6とした(図2(d))。これを基板Bとした。
(f)次に、正孔輸送層3を塗布した直後に、基板Bの正孔輸送層3を、基板Aの発光体層6の上に重ねて常温で静置し、基板Aと基板Bとを貼り合せて発光素子を作製した(図2(e))。
このようにして作製した発光素子に直流電圧を印加して評価したところ、8Vで発光輝度が500cd/m、発光効率は3.5cd/Aを示し、以下に示す比較例の発光素子と同等の発光特性を示した。また、この実施例1で作成した金属酸化物半導体多孔体の表面積を、BET比表面積測定法で調べたところ、平面電極の約800倍の面積を有していた。この発光素子について、初期発光輝度300cd/mとして寿命試験を実施したところ、輝度半減寿命は13000時間であった。これは比較例1に比べて長かった。
【実施例2】
本発明の実施例2に係る表示装置について、図5を用いて説明する。この表示装置40は、実施の形態3に係る表示装置と同様に薄膜トランジスタ21を有するが、RGBの3色の画素41R、41G、41Bを有する点で相違している。各画素41R、41G、41Bでは、発光性有機材料をそれぞれ対応するように変えている。また、この表示装置40では、各画素間を隔てる画素分離領域42が設けられている。この画素分離領域42では、金属酸化物半導体粒子4の表面に黒色染料を担持させて各画素を分離している。
この表示装置40の製造方法について説明する。この表示装置40は、実施の形態1に係る発光素子を2次元的配列させているものであるので、実施の形態1に係る発光素子の製造方法と実質的に同様に行うことができる。この表示装置40の製造方法では、それぞれの画素ごとに異なる発光性有機材料5を使用する。また、各画素間の画素分離領域42に対応する箇所では金属酸化物半導体粒子4の表面に黒色染料を担持する。この場合、透明基板8の側に発光体層6が形成され、正孔輸送層3を接着層として、基板1の側の正孔注入電極2と透明基板8側の発光体層6とが貼り合わされる。このため、それぞれの発光性有機材料5を担持した発光体層6と正孔注入電極2との位置合せを行う必要がある。この場合に、画素分離領域42と各画素41との配置において、画素分離領域42をやや広く設定しておくことによって画素41の位置が多少ずれても隣接する画素の部分に影響しないようにすることができる。
【実施例3】
本発明の実施例3に係る発光素子について図1を用いて説明する。この発光素子では、実施例1に係る発光素子と比較すると、正孔注入電極として、Alの代わりにCuOとCuOとの混合物を用いている点で相違する。これにより正孔注入電極が黒色を呈する。この正孔注入電極は、実施例1の正孔注入電極同様、スパッタリング法によって形成した。
コントラストの評価は、素子の発光面に対して45度の角度から100lxの白色光を照射し、発光輝度が300cd/mの条件下で、発光素子をON/OFFした時の、非発光輝度との比で行った。本実施例3におけるコントラストは300:1以上であった。これは後述する比較例1よりも良好であった。
【実施例4】
本発明の実施例4に係る発光素子について図6を用いて説明する。この発光素子では、実施の形態4に係る発光素子と同一の構成を有しているので、その構成についての説明を省略する。この発光素子では、実施例1に係る発光素子と比較すると、透明な正孔注入電極2を形成した透明基板8として、市販のITO膜付ガラス基板を、電子注入電極7としてMgAgを用いた点で相違する。電子注入電極7は真空蒸着法により形成した。なお、実施例1に係る発光素子と実質的に同一の部材、製造方法については説明を省略する。作製した発光素子を、実施例1と同様に評価したところ、550cd/mの輝度の発光が得られた。また、輝度半減寿命は13000時間であった。
【実施例5】
本発明の実施例5に係る発光素子について図10を用いて説明する。この発光素子では、実施の形態7に係る発光素子と同一の構成を有しているので、その構成についての説明を省略する。この発光素子では、実施例1に係る発光素子と比較すると、発光体層6と電子注入電極7との間にある電子輸送層81としてCN−PPVを、電子注入電極7としてInZnOを用いた点で相違する。電子輸送層81はスピンコート法により、電子注入電極7はスパッタ法により成膜した。なお、実施例1に係る発光素子と実質的に同一の部材、製造方法については説明を省略する。作製した発光素子を、実施例1と同様に評価したところ、520cd/mの輝度の発光が得られた。また、輝度半減寿命は12000時間であった。
【実施例6】
本発明の実施例6に係る発光素子について図13を用いて説明する。この発光素子では、実施の形態10に係る発光素子と同一の構成を有しているので、その構成についての説明を省略する。この発光素子では、実施例4に係る発光素子と比較すると、発光体層6と電子注入電極7との間にある電子輸送層81としてCN−PPVを用いた点で相違する。電子輸送層81はスピンコート法により成膜した。なお、実施例4に係る発光素子と実質的に同一の部材、製造方法については説明を省略する。作製した発光素子を、実施例1と同様に評価したところ、510cd/mの輝度の発光が得られた。また、輝度半減寿命は12000時間であった。
【実施例7】
本発明の実施例7に係る発光素子について図16を用いて説明する。この発光素子では、実施の形態13に係る発光素子と同一の構成を有しているので、その構成についての説明を省略する。この発光素子では、実施例1に係る発光素子と比較すると、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間にある正孔注入層121としてPEDOT/PSSを用いた点で相違する。正孔注入層121はスピンコート法により成膜した。なお、実施例1に係る発光素子と実質的に同一の部材、製造方法については説明を省略する。作製した発光素子を、実施例1と同様に評価したところ、560cd/mの輝度の発光が得られた。また、輝度半減寿命は11000時間であった。
【実施例8】
本発明の実施例8に係る発光素子について図19を用いて説明する。この発光素子では、実施の形態16に係る発光素子と同一の構成を有しているので、その構成についての説明を省略する。この発光素子では、実施例4に係る発光素子と比較すると、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間にある正孔注入層121としてPEDOT/PSSを用いた点で相違する。正孔注入層121はスピンコート法により成膜した。なお、実施例1に係る発光素子と実質的に同一の部材、製造方法については説明を省略する。作製した発光素子を、実施例1と同様に評価したところ、540cd/mの輝度の発光が得られた。また、輝度半減寿命は12000時間であった。
なお、以上の説明では、金属酸化物半導体多孔体を含む発光体層6に加えて、有機材料を含む層が1又は2層の構成例を示したが、有機材料を含む層が複数層からなる構成であってもよい。
(比較例1)
市販のITO付ガラス基板を実施例1の透明基板8と同様に洗浄し、その上に、真空蒸着により、TPD、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)を蒸着して正孔輸送層、発光体層を順に成膜し、更にMgAgを蒸着して電子注入電極を形成した。なお、電子注入電極を形成した後に、低湿度低酸素濃度環境下で、ガラス板とエポキシ接着剤によりパッケージングして発光素子を得た。
このようにして作製した発光素子に直流電圧を印加して評価したところ、7Vで発光輝度が350cd/m、発光効率は2.0cd/Aを示した。この発光素子を、実施例1と初期の輝度が同じ条件下で寿命試験を実施したところ、輝度半減寿命は8000時間であった。さらに、実施例3と同様にコントラストを評価したところ、170:1であった。
(実施の形態20)
本発明の実施の形態20に係る発光素子について、図25を用いて説明する。図25は、この発光素子300の発光面に垂直な断面図である。この発光素子300は、実施の形態1に係る発光素子10と比較すると、正孔輸送層3内にわたって分散しているスペーサ301をさらに備える点で相違する。このスペーサ301によって、前記正孔輸送層3の厚さのばらつきを抑制し、ほぼ均一な厚さに制御できる。これにより、輝度の面内均一性を向上させることができる。なお、その他の構成については、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一であり、説明を省略する。なお、前述の構成に加えて、発光体層6と電子注入電極7との間に電子輸送層及び/又は導電層等を備えていてもよい。さらに、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層及び/又は導電層等を備えていてもよい。またさらに、正孔輸送層3と他の有機層又は電極との間に、スペーサ301との擦傷を防止するための保護層を備えていてもよい。
次に、この発光素子10の各構成部材について説明する。なお、実施の形態1に係る発光素子10と実質的に同一の構成部材については説明を省略する。
まず、スペーサ301について説明する。スペーサ301としては従来の液晶ディスプレイパネル等で用いられているビーズスペーサを使用することができる。また、透明性と絶縁性に優れた材料からなり、粒径の均一性に優れたものが好ましい。ビーズスペーサとしては、一般にシリカ製のものと樹脂製のものがあるが、低温発泡が起こりにくく、成膜時の欠陥防止という点では、正孔輸送層材料の熱膨張率と大きく異ならない樹脂製スペーサが、さらに好ましい。この場合スペーサ301に用いられる材料としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリルモノマー等を主成分とする架橋共重合体が好適であるが、これらに限定されない。また、スペーサ301の電極面に垂直な断面の形状は、円形、楕円形、台形、三角形等、任意の形状であってよいが、膜厚の均一性に優れている円形が好適である。またさらに、電極面との密着性を向上させるために、表面処理を施したものであってもよい。表面処理には、スペーサ301の表面にポリオレフィンやポリアクリル等の熱可塑性樹脂で被覆する等の方法がある。
スペーサ301の粒径によって正孔輸送層3の膜厚が規定される。このスペーサ301の粒径は、0.01μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、0.1μm〜5μmの範囲内であることがさらに好ましい。正孔輸送層3の膜厚が0.01μm以下になると、正孔注入電極2の表面粗さが問題となる。表面粗さを小さくするには、新たな製造工程を追加しなければならず、製造コストが増加する。一方、正孔輸送層3の膜厚が10μmを越えると、駆動電圧が上昇する。正孔輸送層内を移動する正孔の数は、正孔移動度、印加電圧の2乗、正孔輸送層膜厚の−3乗に比例する。前述の正孔輸送層材料を用いた場合、薄膜トランジスタによる駆動が可能な10V程度の電圧では、正孔輸送層の膜厚が10μmを越えると、輝度確保に十分な電流が流れない。
また、スペーサ301を含む正孔輸送層3の成膜方法としては、前述の正孔輸送層3の成膜方法と同一の方法を用いることができる。成膜の際は、前処理として正孔輸送層材料を有機溶剤に溶解させ、この溶液中に超音波分散等の公知の方法によってスペーサを分散させた分散液を作製する。樹脂製スペーサの場合には、有機溶剤中で溶解しない材料又は有機溶剤の選定が必要となる。一方、シリカ製スペーサの場合には、有機溶剤の選択肢が豊富である点で、より好ましい。なお、分散補助を目的に、界面活性剤等を添加又は共分散させてもよい。
このように、貼り合わせ時の接着層として機能する正孔輸送層3は、成膜時に厳密な膜厚の規制ができない上、貼り合わせ後の機械的強度等を考慮すると、厚膜であることが好ましい。一方で、発光品位の安定した発光素子を再現性よく提供するには、有機層の膜厚の均一化が必要であり、特に他の有機層に比べて厚膜が必要とされる正孔輸送層4の膜厚を均一化することは重要である。前述のように、正孔輸送層3の層内にスペーサ301を導入することで、正孔輸送層3の膜厚を容易に規制することができる。
次に、この発光素子300の製造方法について図26を用いて説明する。この発光素子300は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な電子注入電極7を形成する(図26(a))。
(c)次いで、前記電子注入電極7の上に、表面に前記の発光性有機材料5を担持する金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図26(b))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。これによって基板Mを準備する。
(d)一方、基板1を準備する。
(e)次いで、前記基板1の上に、正孔注入電極2を形成する(図26(c))。
(f)次いで、有機溶剤中に正孔輸送層材料を溶解し、スペーサ301を超音波分散させる。
(g)次いで、前記正孔注入電極2の上に、前述のスペーサ301を分散させた正孔輸送層材料の溶液を塗布成膜して、正孔輸送層3を形成する(図26(d))。これによって基板Nを準備する。
(h)次いで、基板Mの発光体層6と、基板Nの正孔輸送層3とを互いに対向させて貼り合せる(図26(e))。
以上の工程によって発光素子300を作製できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態21)
本発明の実施の形態21に係る発光素子について、図3を用いて説明する。実施の形態21に係る発光素子は、図3に示す実施の形態2に係る発光素子20と比較すると、実施の形態1に係る発光素子10の代わりに、実施の形態20に係る発光素子300が用いられている点で相違する。なお、その他の構成については、実施の形態2に係る発光素子20と実質的に同一であり、説明を省略する。
(実施の形態22)
本発明の実施の形態22に係る表示装置について、図4を用いて説明する。実施の形態22に係る表示装置は、図4に示す実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、実施の形態2に係る発光素子20の代わりに、実施の形態21に係る発光素子が用いられている点で相違する。この実施の形態22の表示装置によれば、前述したようにスペーサ301を内在する正孔輸送層3によって貼り合わせている。これにより、正孔輸送層3の膜厚が均一化して、発光輝度の均一な、上面光取り出し構造の表示装置が得られる。なお、その他の構成については、実施の形態3に係る表示装置30と実質的に同一であり、説明を省略する。
次に、この実施の形態22に係る表示装置の製造方法を、図27を用いて説明する。図27は、RGB3色の複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態22に係る表示装置310の発光面に垂直で、且つy電極23に垂直な断面図である。各画素41R、41G、41Bでは、発光体層6内の発光性有機材料5を、その発光色に応じて配置することにより、3原色フルカラー表示装置となる。その製造方法は、まず基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態21の発光素子300と同様に、正孔注入電極2を形成し、次いで、スペーサ301を内在した正孔輸送層3を形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態21の発光素子300と同様に、透明な電子注入電極7を形成し、次いで、発光体層6を形成する。この場合、基板1の上には、薄膜トランジスタ21、x電極22、y電極23、正孔注入電極2が、各画素41ごとにアライメントされて形成され、一方の透明基板8の上には、発光体層6が各画素41ごとにアライメントされて形成される。スペーサ3を内在した正孔輸送層3は、ベタ薄膜でよいため、スクリーン印刷やインクジェット法、その他公知の塗布プロセスによって一体成膜することが可能である。次いで、正孔輸送層3と発光体層6とを互いに対向させてアライメントしながら、基板1と透明基板8とを貼り合わせる。以上の工程により、この表示装置310を形成できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態23)
本発明の実施の形態23に係る発光素子について、図28を用いて説明する。図28は、この発光素子320の発光面に垂直な断面図である。この発光素子320は、実施の形態4に係る発光素子50と比較すると、正孔輸送層3内にわたって分散しているスペーサ301をさらに備える点で相違する。このスペーサ301によって、前記正孔輸送層3の厚さのばらつきを抑制し、ほぼ均一な厚さに制御できる。これにより、輝度の面内均一性を向上させることができる。なお、その他の構成については、実施の形態4に係る発光素子50と実質的に同一であり、説明を省略する。なお、前述の構成に加えて、発光体層6と電子注入電極7との間に電子輸送層及び/又は導電層等を備えていてもよい。さらに、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層及び/又は導電層等を備えていてもよい。またさらに、正孔輸送層3と他の有機層又は電極との間に、スペーサ301との擦傷を防止するための保護層を備えていてもよい。
この発光素子320の各構成部材については、実施の形態4に係る発光素子50並びに実施の形態20に係る発光素子300と実質的に同一であるため、説明を省略する。
次に、この発光素子320の製造方法について、図29を用いて説明する。この発光素子320は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な正孔注入電極2を形成する(図29(a))。
(c)次いで、有機溶剤中に正孔輸送層材料を溶解し、スペーサ301を超音波分散させる。
(d)次いで、前記正孔注入電極2の上に、前述のスペーサ301を分散させた正孔輸送層材料の溶液を塗布成膜して、正孔輸送層3を形成する(図29(b))。これによって基板Oを準備する。
(e)一方、基板1を準備する。
(f)次いで、前記基板1の上に、電子注入電極7を形成する(図29(c))。
(g)次いで、前記電子注入電極7の上に、前述の表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図29(d))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。これによって基板Pを準備する。
(h)次いで、基板Oの正孔輸送層3と、基板Pの発光体層6とを互いに対向させて貼り合せる(図29(e))。
以上の工程によって、発光素子320を形成できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態24)
本発明の実施の形態24に係る発光素子について、図8を用いて説明する。実施の形態24に係る発光素子は、図8に示す実施の形態5に係る発光素子60と比較すると、実施の形態4に係る発光素子50の代わりに、実施の形態23に係る発光素子320が用いられている点で相違する。なお、その他の構成については、実施の形態4に係る発光素子50と実質的に同一であり、説明を省略する。
(実施の形態25)
本発明の実施の形態25に係る表示装置について、図4を用いて説明する。実施の形態25に係る表示装置は、図4に示す実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、実施の形態5に係る発光素子60の代わりに、実施の形態24に係る発光素子が用いられている点で相違する。この実施の形態25の表示装置によれば、前述したようにスペーサ301を内在する正孔輸送層3によって貼り合わせている。これにより、正孔輸送層3の膜厚が均一化して、発光輝度の均一な、上面光取り出し構造の表示装置が得られる。なお、その他の構成については、実施の形態3に係る表示装置30と実質的に同一であり、説明を省略する。
次に、この実施の形態25に係る表示装置の製造方法を、図30を用いて説明する。図30は、RGB3色の複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態25に係る表示装置330の発光面に垂直で、且つy電極23に垂直な断面図である。各画素41R、41G、41Bでは、発光体層6内の発光性有機材料5を、その発光色に応じて配置することにより、3原色フルカラー表示装置となる。その製造方法は、まず基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態24の発光素子320と同様に、電子注入電極7を形成し、次いで、発光体層6を形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態24の発光素子320と同様に、透明な正孔注入電極2を形成し、次いで、スペーサ301を内在した正孔輸送層3を形成する。この場合、基板1の上には薄膜トランジスタ21、x電極22、y電極23、電子注入電極7、さらに発光体層6が各画素41ごとにアライメントされて形成される。このため、薄膜トランジスタ21から発光体層6までを一貫した製造プロセスにより積層すればよい。一方、透明基板8の上の正孔注入電極2と正孔輸送層3とはベタ薄膜でよいため、スクリーン印刷やインクジェット法、その他公知の塗布プロセス等によって一体成膜することが可能である。これにより、発光体層6と正孔輸送層3とを互いに対向させて、基板1と透明基板8とを貼り合わせる際の、アライメント精度の要求が緩和され、工程を簡素化することができる。以上の工程により、この表示装置330を形成できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態26)
本発明の実施の形態26に係る発光素子について、図31を用いて説明する。図31は、この発光素子340の発光面に垂直な断面図である。この発光素子340は、実施の形態7に係る発光素子80と比較すると、電子輸送層81内にわたって分散しているスペーサ301をさらに備える点で相違する。このスペーサ301によって、前記電子輸送層81の厚さのばらつきを抑制し、ほぼ均一な厚さに制御できる。これにより、輝度の面内均一性を向上させることができる。なお、その他の構成については、実施の形態7に係る発光素子80と実質的に同一であり、説明を省略する。なお、前述の構成に加えて、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層及び/又は導電層等を備えていてもよい。さらに、電子輸送層81と他の有機層又は電極との間に、スペーサ301との擦傷を防止するための保護層を備えていてもよい。
この発光素子340の各構成部材については、実施の形態7に係る発光素子80並びに実施の形態20に係る発光素子300と実質的に同一であるため、説明を省略する。
次に、この発光素子340の製造方法について図32を用いて説明する。この発光素子340は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な電子注入電極7を形成する(図32(a))。
(c)次いで、有機溶剤中に電子輸送層材料を溶解し、スペーサ301を超音波分散させる。
(d)次いで、前記電子注入電極7の上に、前述のスペーサ301を分散させた電子輸送層材料の溶液を塗布成膜して、電子輸送層81を形成する(図32(b))。これによって基板Qを準備する。
(e)一方、基板1を準備する。
(f)次いで、前記基板1の上に、正孔注入電極2を形成する(図32(c))。
(g)次いで、前記正孔注入電極2の上に、正孔輸送層3を形成する(図32(d))。(h)次いで、前記正孔輸送層3の上に、前述の表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図32(e))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。これによって基板Rを準備する。
(i)次いで、基板Qの電子輸送層81と、基板Rの発光体層6とを互いに対向させて貼り合せる(図32(f))。
以上の工程によって発光素子340を作製できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態27)
本発明の実施の形態27に係る発光素子について、図3を用いて説明する。実施の形態27に係る発光素子は、図3に示す実施の形態2に係る発光素子20と比較すると、実施の形態1に係る発光素子10の代わりに、実施の形態26に係る発光素子340が用いられている点で相違する。なお、その他の構成については、実施の形態2に係る発光素子20と実質的に同一であり、説明を省略する。
(実施の形態28)
本発明の実施の形態28に係る表示装置について、図4を用いて説明する。実施の形態28に係る表示装置は、図4に示す実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、実施の形態2に係る発光素子20の代わりに、実施の形態27に係る発光素子が用いられている点で相違する。この実施の形態28の表示装置によれば、前述したようにスペーサ301を内在する電子輸送層81によって貼り合わせている。これにより、電子輸送層81の膜厚が均一化して、発光輝度の均一な、上面光取り出し構造の表示装置が得られる。なお、その他の構成については、実施の形態3に係る表示装置30と実質的に同一であり、説明を省略する。
次に、この実施の形態28に係る表示装置の製造方法を、図33を用いて説明する。図33は、RGB3色の複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態28に係る表示装置350の発光面に垂直で、且つy電極23に垂直な断面図である。各画素41R、41G、41Bでは、発光体層6内の発光性有機材料5を、その発光色に応じて配置することにより、3原色フルカラー表示装置となる。その製造方法は、まず基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態26の発光素子340と同様に、正孔注入電極2を形成し、次いで、正孔輸送層3、発光体層6を形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態26の発光素子340と同様に、スペーサ301を内在した電子輸送層81を形成する。この場合、基板1の上には薄膜トランジスタ21、x電極22、y電極23、正孔注入電極2、さらに発光体層6が各画素41ごとにアライメントされて形成される。このため、薄膜トランジスタ21から発光体層6までを一貫した製造プロセスにより積層すればよい。一方、透明基板8の上の電子注入電極7と電子輸送層81とはベタ薄膜でよいため、スクリーン印刷やインクジェット法、その他公知の塗布プロセス等によって一体成膜することが可能である。これにより、発光体層6と電子輸送層81とを互いに対向させて、基板1と透明基板8とを貼り合わせる際の、アライメント精度の要求が緩和され、工程を簡素化することができる。以上の工程により、この表示装置350を形成できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態29)
本発明の実施の形態29に係る発光素子について、図34を用いて説明する。図34は、この発光素子360の発光面に垂直な断面図である。この発光素子360は、実施の形態10に係る発光素子100と比較すると、電子輸送層81内にわたって分散しているスペーサ301をさらに備える点で相違する。このスペーサ301によって、前記電子輸送層81の厚さのばらつきを抑制し、ほぼ均一な厚さに制御できる。これにより、輝度の面内均一性を向上させることができる。なお、その他の構成については、実施の形態10に係る発光素子100と実質的に同一であり、説明を省略する。なお、前述の構成に加えて、正孔注入電極2と正孔輸送層3との間に正孔注入層及び/又は導電層等を備えていてもよい。さらに、電子輸送層81と他の有機層又は電極との間に、スペーサ301との擦傷を防止するための保護層を備えていてもよい。
この発光素子360の各構成部材については、実施の形態10に係る発光素子100並びに実施の形態20に係る発光素子300と実質的に同一であるため、説明を省略する。
次に、この発光素子360の製造方法について図35を用いて説明する。この発光素子360は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な正孔注入電極2を形成する(図35(a))。
(c)次いで、前記正孔注入電極2の上に、正孔輸送層3を形成する(図35(b))。
(d)次いで、前記正孔輸送層3の上に、前述の表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図35(c))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。これによって基板Sを準備する。
(e)一方、基板1を準備する。
(f)次いで、前記基板1の上に、電子注入電極7を形成する(図35(d))。
(g)次いで、有機溶剤中に電子輸送層材料を溶解し、スペーサ301を超音波分散させる。
(h)次いで、前記電子注入電極7の上に、前述のスペーサ301を分散させた電子輸送層材料の溶液を塗布成膜して、電子輸送層81を形成する(図35(e))。これによって基板Tを準備する。
(i)次いで、基板Sの発光体層6と、基板Tの電子輸送層81とを互いに対向させて貼り合せる(図35(f))。
以上の工程によって発光素子360を作製できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態30)
本発明の実施の形態30に係る発光素子について、図7を用いて説明する。実施の形態30に係る発光素子は、図7に示す実施の形態5に係る発光素子60と比較すると、実施の形態4に係る発光素子50の代わりに、実施の形態29に係る発光素子360が用いられている点で相違する。なお、その他の構成については、実施の形態5に係る発光素子60と実質的に同一であり、説明を省略する。
(実施の形態31)
本発明の実施の形態31に係る表示装置について、図4を用いて説明する。実施の形態31に係る表示装置は、図4に示す実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、実施の形態2に係る発光素子20の代わりに、実施の形態30に係る発光素子が用いられている点で相違する。この実施の形態31の表示装置によれば、前述したようにスペーサ301を内在する電子輸送層81によって貼り合わせている。これにより、電子輸送層81の膜厚が均一化して、発光輝度の均一な、上面光取り出し構造の表示装置が得られる。なお、その他の構成については、実施の形態3に係る表示装置30と実質的に同一であり、説明を省略する。
次に、この実施の形態31に係る表示装置の製造方法を、図36を用いて説明する。図36は、RGB3色の複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態31に係る表示装置370の発光面に垂直で、且つy電極23に垂直な断面図である。各画素41R、41G、41Bに、発光体層6内の発光性有機材料5を、その発光色に応じて配置することにより、3原色フルカラー表示装置となる。その製造方法は、まず基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態29の発光素子360と同様に、電子注入電極7を形成し、次いで、スペーサ301を内在した電子輸送層81を形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態29の発光素子360と同様に、正孔注入電極2を形成し、次いで、正孔輸送層3、発光体層6を形成する。この場合、基板1の上には、薄膜トランジスタ21、x電極22、y電極23、電子注入電極7が、各画素41ごとにアライメントされて形成され、一方の透明基板8の上には、発光体層6が各画素41ごとにアライメントされて形成される。スペーサ3を内在した電子輸送層81は、ベタ薄膜でよいため、スクリーン印刷やインクジェット法、その他公知の塗布プロセスによって一体成膜することが可能である。次いで、電子輸送層81と発光体層6とを互いに対向させてアライメントしながら、基板1と透明基板8とを貼り合わせる。以上の工程により、この表示装置370を形成できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態32)
本発明の実施の形態32に係る発光素子について、図37を用いて説明する。図37は、この発光素子380の発光面に垂直な断面図である。この発光素子380は、実施の形態13に係る発光素子120と比較すると、正孔注入層121内にわたって分散しているスペーサ301をさらに備える点で相違する。このスペーサ301によって、前記正孔注入層121の厚さのばらつきを抑制し、ほぼ均一な厚さに制御できる。これにより、輝度の面内均一性を向上させることができる。なお、その他の構成については、実施の形態13に係る発光素子120と実質的に同一であり、説明を省略する。なお、前述の構成に加えて、発光体層6と電子注入電極7との間に電子輸送層及び/又は導電層等を備えていてもよい。さらに、正孔注入層121と他の有機層又は電極との間に、スペーサ301との擦傷を防止するための保護層を備えていてもよい。
この発光素子380の各構成部材については、実施の形態13に係る発光素子120並びに実施の形態20に係る発光素子300と実質的に同一であるため、説明を省略する。
次に、この発光素子380の製造方法について図38を用いて説明する。この発光素子380は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な電子注入電極7を形成する(図38(a))。
(c)次いで、前記電子注入電極7の上に、前述の表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図38(b))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。これによって基板Uを準備する。
(d)次いで、前記発光体層6の上に、正孔輸送層3を形成する(図38(c))。
(e)一方、基板1を準備する。
(f)次いで、前記基板1の上に、正孔注入電極2を形成する(図38(d))。
(g)次いで、有機溶剤中に正孔注入層材料を溶解し、スペーサ301を超音波分散させる。
(h)次いで、前記正孔注入電極2の上に、前述のスペーサ301を分散させた正孔注入層材料の溶液を塗布成膜して、正孔注入層121を形成する(図38(e))。これによって基板Vを準備する。
(i)次いで、基板Uの正孔輸送層3と、基板Vの正孔注入層121とを互いに対向させて貼り合せる(図38(f))。
以上の工程によって発光素子380を作製できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態33)
本発明の実施の形態33に係る発光素子について、図3を用いて説明する。実施の形態33に係る発光素子は、図3に示す実施の形態2に係る発光素子20と比較すると、実施の形態1に係る発光素子10の代わりに、実施の形態32に係る発光素子380が用いられている点で相違する。なお、その他の構成については、実施の形態2に係る発光素子20と実質的に同一であり、説明を省略する。
(実施の形態34)
本発明の実施の形態34に係る表示装置について、図4を用いて説明する。実施の形態34に係る表示装置は、図4に示す実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、実施の形態2に係る発光素子20の代わりに、実施の形態33に係る発光素子が用いられている点で相違する。この実施の形態34の表示装置によれば、前述したようにスペーサ301を内在する正孔注入層121によって貼り合わせている。これにより、正孔注入層121の膜厚が均一化して、発光輝度の均一な、上面光取り出し構造の表示装置が得られる。なお、その他の構成については、実施の形態3に係る表示装置30と実質的に同一であり、説明を省略する。
次に、この実施の形態34に係る表示装置の製造方法を、図39を用いて説明する。図39は、RGB3色の複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態34に係る表示装置390の発光面に垂直で、且つy電極23に垂直な断面図である。各画素41R、41G、41Bに、発光体層6内の発光性有機材料5を、その発光色に応じて配置することにより、3原色フルカラー表示装置とすることができる。その製造方法は、まず基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態32の発光素子380と同様に、正孔注入電極2を形成し、次いで、スペーサ301を内在した正孔注入層121を形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態32の発光素子380と同様に、電子注入電極7を形成し、次いで、発光体層6、正孔輸送層3を形成する。この場合、基板1の上には、薄膜トランジスタ21、x電極22、y電極23、正孔注入電極2が、各画素41ごとにアライメントされて形成され、一方の透明基板8の上には、発光体層6が各画素41ごとにアライメントされて形成される。スペーサ3を内在した正孔注入層121は、ベタ薄膜でよいため、スクリーン印刷やインクジェット法、その他公知の塗布プロセスによって一体成膜することが可能である。次いで、正孔注入層121と正孔輸送層3とを互いに対向させてアライメントしながら、基板1と透明基板8とを貼り合わせる。以上の工程により、この表示装置390を形成できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態35)
本発明の実施の形態35に係る発光素子について、図40を用いて説明する。図40は、この発光素子400の発光面に垂直な断面図である。この発光素子400は、実施の形態16に係る発光素子140と比較すると、正孔注入層121内にわたって分散しているスペーサ301をさらに備える点で相違する。このスペーサ301によって、前記正孔注入層121の厚さのばらつきを抑制し、ほぼ均一な厚さに制御できる。これにより、輝度の面内均一性を向上させることができる。なお、その他の構成については、実施の形態16に係る発光素子140と実質的に同一であり、説明を省略する。なお、前述の構成に加えて、発光体層6と電子注入電極7との間に電子輸送層及び/又は導電層等を備えていてもよい。さらに、正孔注入層121と他の有機層又は電極との間に、スペーサ301との擦傷を防止するための保護層を備えていてもよい。
この発光素子400の各構成部材については、実施の形態16に係る発光素子140並びに実施の形態20に係る発光素子300と実質的に同一であるため、説明を省略する。
次に、この発光素子400の製造方法について図41を用いて説明する。この発光素子400は、以下の工程によって作製される。
(a)透明基板8を準備する。
(b)次いで、前記透明基板8の上に、透明な正孔注入電極2を形成する(図41(a))。
(c)次いで、有機溶剤中に正孔注入層材料を溶解し、スペーサ301を超音波分散させる。
(d)次いで、前記正孔注入電極2の上に、前述のスペーサ301を分散させた正孔注入層材料の溶液を塗布成膜して、正孔注入層121を形成する(図41(b))。これによって基板Wを準備する。
(e)一方、基板1を準備する。
(f)次いで、前記基板1の上に、電子注入電極7を形成する(図41(c))。
(g)次いで、前記電子注入電極7の上に、前述の表面に発光性有機材料5を担持した金属酸化物半導体多孔体4を含む発光体層6を形成する(図41(d))。なお、発光体層6の形成方法は前述の通りである。
(h)次いで、前記発光体層6の上に、正孔輸送層3を形成する(図41(e))。これによって基板Xを準備する。
(i)次いで、基板Wの正孔注入層121と、基板Xの正孔輸送層3とを互いに対向させて貼り合せる(図41(f))。
以上の工程によって発光素子400を作製できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態36)
本発明の実施の形態36に係る発光素子について、図3を用いて説明する。実施の形態36に係る発光素子は、図3に示す実施の形態2に係る発光素子20と比較すると、実施の形態1に係る発光素子10の代わりに、実施の形態35に係る発光素子400が用いられている点で相違する。なお、その他の構成については、実施の形態2に係る発光素子20と実質的に同一であり、説明を省略する。
(実施の形態37)
本発明の実施の形態37に係る表示装置について、図4を用いて説明する。実施の形態37に係る表示装置は、図4に示す実施の形態3に係る表示装置30と比較すると、実施の形態2に係る発光素子20の代わりに、実施の形態36に係る発光素子が用いられている点で相違する。この実施の形態37の表示装置によれば、前述したようにスペーサ301を内在する正孔注入層121によって貼り合わせている。これにより、正孔注入層121の膜厚が均一化して、発光輝度の均一な、上面光取り出し構造の表示装置が得られる。なお、その他の構成については、実施の形態3に係る表示装置30と実質的に同一であり、説明を省略する。
次に、この実施の形態37に係る表示装置の製造方法を、図42を用いて説明する。図42は、RGB3色の複数の画素41R、41G、41Bを有する別例の実施の形態37に係る表示装置410の発光面に垂直で、且つy電極23に垂直な断面図である。各画素41R、41G、41Bに、発光体層6内の発光性有機材料5を、その発光色に応じて配置することにより、3原色フルカラー表示装置となる。その製造方法は、まず基板1上に薄膜トランジスタ21とx電極22、y電極23とを順次形成した後、実施の形態35の発光素子400と同様に、電子注入電極7を形成し、次いで、発光体層6、正孔輸送層3を形成する。一方の透明基板8についても、実施の形態35の発光素子400と同様に、スペーサ301を内在した正孔注入層121を形成する。この場合、基板1の上には薄膜トランジスタ21、x電極22、y電極23、電子注入電極7、さらに発光体層6が各画素41ごとにアライメントされて形成される。このため、薄膜トランジスタ21から発光体層6までを一貫した製造プロセスにより積層すればよい。一方、透明基板8の上には、正孔注入電極2と正孔注入層121とのベタ薄膜が形成される。スペーサ301を内在した正孔注入層121はベタ薄膜でよいため、スクリーン印刷やインクジェット法、その他公知の塗布プロセス等によって一体成膜することが可能である。これにより、正孔注入層121と発光体層6とを互いに対向させて、基板1と透明基板8とを貼り合わせる際の、アライメント精度の要求が緩和され、工程を簡素化することができる。以上の工程により、この表示装置410を形成できるが、これらに限定されるものではない。
(実施の形態38)
本発明の実施の形態38に係る表示装置について、図43を用いて説明する。図43は、実施の形態38に係る表示装置420のx電極22と平行で、且つ発光面に垂直な断面図である。この表示装置420は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型表示装置である。この表示装置420は、実施の形態19に係る表示装置160と比較すると、接着層161内にわたって分散しているスペーサ301をさらに備える点で相違する。このスペーサ301によって、前記接着層161の厚さのばらつきを抑制し、ほぼ均一な厚さに制御できる。これにより、輝度の面内均一性を向上させることができる。なお、その他の構成については、実施の形態19に係る発光素子160と実質的に同一であり、説明を省略する。なお、この表示装置420の層構成は、発光体層/正孔輸送層の2層構成であったが、発光体層のみ、又は発光体層/電子輸送層、正孔輸送層/発光体層/電子輸送層、正孔注入層/正孔輸送層/発光体層/電子輸送層、正孔注入層/正孔輸送層/発光体層/正孔ブロッキング層/電子輸送層等、1層以上の有機層を積層した構成であってもよい。また、電子注入電極が薄膜トランジスタと接続している逆極性の構成であってもよい。
この表示装置420の各構成部材については、実施の形態19に係る発光素子160並びに実施の形態20に係る発光素子300と実質的に同一であるため、説明を省略する。
なお、本発明の実施の形態20から38に係る発光素子並びに表示装置の製造工程は、乾燥雰囲気下で行うことが望ましく、さらに低酸素雰囲気下で行うことがより望ましい。これにより、動作電圧の低下、高効率化、長寿命化等の特性改善を図ることができる。
また、本発明の実施の形態22、25、28、31、34、37及び38に係る表示装置においては、各画素間を隔てる画素分離領域42を設けてもよい。また、すべての画素41に、単一色を発する発光性有機材料5を用いた発光体層6を形成し、且つ光取り出し面の前方にカラーフィルタ又は色変換層を設けることにより、別例の3原色フルカラー表示装置を得ることもできる。
また、前述の各実施形態は一例を示したものであり、その構成は各実施形態の構成に限定されるものではない。
次に、具体的な実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【実施例9】
本発明の実施例9に係る発光素子について図25を用いて説明する。この発光素子の構成並びに製造方法は、実施の形態20に係る発光素子300と実質的に同一である。また、用いた各構成部材については、スペーサ3を除いては実施例1と実質的に同一である。スペーサ3には市販の液晶ディスプレイ用スペーサ(積水化学工業製ミクロパールSI、数平均径4μm)を用いた。
次に、この発光素子の製造方法について、図26を用いて説明する。この発光素子は、以下の工程で作製される。
(a)透明基板8として、市販の無アルカリガラス基板(日本電気硝子製OA−10)を、アルカリ洗剤、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)を用いて超音波洗浄し、次いで沸騰したIPA溶液から引き上げて乾燥した。最後に、UV/O洗浄した。
(b)次に、該ガラス基板上に、電子注入電極1としてITOをスパッタリング法により成膜した(厚さ:150nm、シート抵抗:10Ω/□)(図26(a))。
(c)次に、前記ITO膜付ガラス基板の上に金属酸化物半導体多孔体層として、TiO薄膜多孔体層を形成した(図26(b))。これを基板Mとした。なお、TiO薄膜多孔体層の製造方法は実施例1と同一であり、詳細の説明を省略する。
(d)基板1として、透明基板8と同一のガラス基板を準備し、同様に洗浄した。
(e)次に、該ガラス基板上に電子注入電極7としてMgAg合金を厚さ100nmになるよう真空蒸着法により成膜した(図26(c))。
(f)次に、PVKをクロロホルムに1wt%の濃度で溶解させ、この溶液にスペーサ粒子をPVKに対して10wt%加えて超音波分散したものを、前記ITO膜付ガラス基板の上に、スクリーン印刷法により成膜し、正孔輸送層3とした(図26(d))。これを基板Nとした。
(g)次に、基板M上の発光体層6と基板N上の正孔輸送層3とを互いに対向させて重ね合わせて、窒素雰囲気下、150℃で加熱圧着して、基板Mと基板Nとを貼り合わせた(図26(e))。
(h)次に、貼り合わせた基板の周辺部をエポキシ接着剤によりパッケージングした。
これによって発光素子300を作製した。
作製した発光素子を実施例1と同様に評価したところ、発光輝度が500cd/mの緑色の発光が得られた。また、輝度半減寿命は11000時間であった。これは、前述の比較例1に比べて発光輝度が高く、長寿命である。さらに、スペーサを用いずに同様に作製した実施例1と比較すると、より面内均一性が良好な発光が得られた。
【実施例10】
本発明の実施例10に係る発光素子について、図28を用いて説明する。この発光素子の構成並びに製造方法は、実施の形態23に係る発光素子320と実質的に同一である。また、用いた各構成部材については、スペーサ301を除いては実施例4と実質的に同一であるため、説明を省略する。さらに、スペーサ301については実施例9と同一のものを使用し、スペーサ301を内在した正孔輸送層3の製膜方法についても、実施例9と実質的に同一であるため詳細の説明を省略する。作製した発光素子を実施例1と同様に評価したところ、発光輝度が600cd/mの緑色の発光が得られた。また、輝度半減寿命は13000時間であった。これは、前述の比較例1に比べて発光輝度が高く、長寿命である。さらに、スペーサを用いずに同様に作製した実施例4と比較すると、より面内均一性が良好な発光が得られた。
【実施例11】
本発明の実施例11に係る発光素子について、図31を用いて説明する。この発光素子の構成並びに製造方法は、実施の形態26に係る発光素子340と実質的に同一である。また、用いた各構成部材については、スペーサ301を除いては実施例5と実質的に同一であるため、説明を省略する。さらに、スペーサ301については実施例9と同一のものを使用し、スペーサ301を内在した電子輸送層81の製膜方法についても、実施例9の正孔輸送層3の成膜方法と実質的に同一であるため詳細の説明を省略する。作製した発光素子を実施例1と同様に評価したところ、発光輝度が530cd/mの緑色の発光が得られた。また、輝度半減寿命は12000時間であった。これは、前述の比較例1に比べて発光輝度が高く、長寿命である。さらに、スペーサを用いずに同様に作製した実施例5と比較すると、より面内均一性が良好な発光が得られた。
【実施例12】
本発明の実施例12に係る発光素子について、図34を用いて説明する。この発光素子の構成並びに製造方法は、実施の形態29に係る発光素子360と実質的に同一である。また、用いた各構成部材については、スペーサ301を除いては実施例6と実質的に同一であるため、説明を省略する。さらに、スペーサ301については実施例9と同一のものを使用し、スペーサ301を内在した電子輸送層81の製膜方法についても、実施例9の正孔輸送層3の成膜方法と実質的に同一であるため詳細の説明を省略する。作製した発光素子を実施例1と同様に評価したところ、発光輝度が550cd/mの緑色の発光が得られた。また、輝度半減寿命は13000時間であった。これは、前述の比較例1に比べて発光輝度が高く、長寿命である。さらに、スペーサを用いずに同様に作製した実施例6と比較すると、より面内均一性が良好な発光が得られた。
【実施例13】
本発明の実施例13に係る発光素子について、図37を用いて説明する。この発光素子の構成並びに製造方法は、実施の形態32に係る発光素子380と実質的に同一である。また、用いた各構成部材については、スペーサ301を除いては実施例7と実質的に同一であるため、説明を省略する。さらに、スペーサ301については実施例9と同一のものを使用し、スペーサ301を内在した正孔注入層121の製膜方法についても、実施例9の正孔輸送層3の成膜方法と実質的に同一であるため詳細の説明を省略する。作製した発光素子を実施例1と同様に評価したところ、発光輝度が540cd/mの緑色の発光が得られた。また、輝度半減寿命は11000時間であった。これは、前述の比較例1に比べて発光輝度が高く、長寿命である。さらに、スペーサを用いずに同様に作製した実施例7と比較すると、より面内均一性が良好な発光が得られた。
【実施例14】
本発明の実施例14に係る発光素子について、図40を用いて説明する。この発光素子の構成並びに製造方法は、実施の形態35に係る発光素子400と実質的に同一である。また、用いた各構成部材については、スペーサ301を除いては実施例8と実質的に同一であるため、説明を省略する。さらに、スペーサ301については実施例9と同一のものを使用し、スペーサ301を内在した正孔注入層121の製膜方法についても、実施例9の正孔輸送層3の成膜方法と実質的に同一であるため詳細の説明を省略する。作製した発光素子を実施例1と同様に評価したところ、発光輝度が580cd/mの緑色の発光が得られた。また、輝度半減寿命は12000時間であった。これは、前述の比較例1に比べて発光輝度が高く、長寿命である。さらに、スペーサを用いずに同様に作製した実施例8と比較すると、より面内均一性が良好な発光が得られた。
上述の通り、本発明は好ましい実施形態により詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲内において多くの好ましい変形例及び修正例が可能であることは当業者にとって自明なことであろう。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】

【図35】

【図36】

【図37】

【図38】

【図39】

【図40】

【図41】

【図42】

【図43】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明である第1基板と、
前記第1基板に対向して設けられている第2基板と、
前記第1基板上に設けられている透明又は半透明である第1電極と、
前記第2基板上に前記第1電極と対向して設けられている第2電極と、
発光性有機材料が表面に担持されている金属酸化物半導体多孔体を含み前記第1電極と前記第2電極との間に挟みこまれている発光体層とを備えていることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記金属酸化物半導体多孔体は、金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記金属酸化物半導体粒子粉末は、n型半導体材料よりなる粒子粉末であることを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記発光性有機材料は、前記金属酸化物半導体多孔体表面に化学吸着により担持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1電極と前記第2電極との間に、前記発光体層に加えて、少なくとも1つの有機層をさらに備え、前記有機層は接着性を有する有機材料を含み、前記接着性を有する有機材料を含む層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項6】
前記有機層内にわたって分散しているスペーサをさらに備え、前記スペーサによって、前記有機層の厚みを規定していることを特徴とする請求項5に記載の発光素子。
【請求項7】
前記スペーサは、粒状であり、且つ透明または半透明であることを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
【請求項8】
前記スペーサは、絶縁性材料からなることを特徴とする請求項6又は7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記スペーサの粒径は、0.01μm〜10μmの範囲内であることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項10】
前記有機層内に含まれる接着性を有する有機材料は、少なくとも高分子系材料を含むことを特徴とする請求項5に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第1基板は、ガラス基板であることを特徴とする請求項5から10のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項12】
前記第1基板と前記第1電極との間に挟まれている低屈折率層をさらに備えることを特徴とする請求項5から11のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項13】
前記第1電極が電子注入電極であり、前記第2電極が正孔注入電極であり、且つ、前記有機層が正孔輸送層であって、前記正孔輸送層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする請求項5から12のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項14】
前記第1電極が正孔注入電極であり、前記第2電極が電子注入電極であり、且つ、前記有機層が正孔輸送層であって、前記正孔輸送層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする請求項5から12のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項15】
前記第1電極が電子注入電極であり、前記第2電極が正孔注入電極であり、且つ、前記発光体層に加えて、前記発光体層と前記正孔注入電極との間に正孔輸送層をさらに備え、且つ、前記有機層が電子輸送層であって、前記電子輸送層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする請求項5から12のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項16】
前記第1電極が正孔注入電極であり、前記第2電極が電子注入電極であり、且つ、前記発光体層に加えて、前記発光体層と前記正孔注入電極との間に正孔輸送層をさらに備え、且つ、前記有機層が電子輸送層であって、前記電子輸送層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする請求項5から12のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項17】
前記第1電極が電子注入電極であり、前記第2電極が正孔注入電極であり、且つ、前記発光体層に加えて、前記発光体層と前記有機層との間に正孔輸送層をさらに備え、且つ、前記有機層が正孔注入層であって、前記正孔注入層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする請求項5から12のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項18】
前記第1電極が正孔注入電極であり、前記第2電極が電子注入電極であり、且つ、前記発光体層に加えて、前記発光体層と前記有機層との間に正孔輸送層をさらに備え、且つ、前記有機層が正孔注入層であって、前記正孔注入層を接着層として、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする請求項5から12のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項19】
前記正孔注入電極と前記正孔輸送層との間に挟まれている正孔注入層をさらに備えることを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項20】
前記電子注入電極と前記発光体層との間に挟まれている電子輸送層をさらに備えることを特徴とする請求項13、14、17又は18のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項21】
前記正孔注入電極は、黒色を呈することを特徴とする請求項13、15又は17に記載の発光素子。
【請求項22】
前記黒色を呈する正孔注入電極は、p型半導体材料よりなる電極であることを特徴とする請求項21記載の発光素子。
【請求項23】
前記電子注入電極と前記金属酸化物半導体多孔体を含む発光体層との間に金属酸化物半導体層をさらに備えることを特徴とする請求項13、14、17又は18に記載の発光素子。
【請求項24】
前記金属酸化物半導体層は、n型半導体材料よりなることを特徴とする請求項23に記載の発光素子。
【請求項25】
前記第2電極に接続された薄膜トランジスタをさらに備えることを特徴とする請求項1から24のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項26】
前記薄膜トランジスタは、有機材料を含む薄膜により構成された有機薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項25に記載の発光素子。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の複数の発光素子が2次元配列されている発光素子アレイと、
前記発光素子アレイの面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極と、
前記発光素子アレイの面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極と
を備え、
前記発光素子アレイの前記薄膜トランジスタは、前記x電極及び前記y電極とそれぞれ接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項28】
黒色染料を表面に担持させた金属酸化物半導体多孔体の領域によって、2次元配列された複数の発光素子を区分する境界を形成していることを特徴とする請求項27の表示装置。
【請求項29】
請求項1から4のいずれかに記載の発光素子において、前記第2電極に接続された薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを含む前記第2基板と前記第2電極の間に挟まれている接着層とをさらに備え、その上下の層を貼り合わせていることを特徴とする発光素子。
【請求項30】
前記接着層内にわたって分散しているスペーサをさらに備え、前記スペーサによって、前記接着層の厚みを規定していることを特徴とする請求項29に記載の発光素子。
【請求項31】
前記スペーサは、絶縁性材料からなることを特徴とする請求項30に記載の発光素子。
【請求項32】
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記多孔体と前記第2基板の上の前記正孔輸送層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項33】
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔輸送層を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記第1基板の上の前記正孔輸送層と前記第2基板の上の前記多孔体とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項34】
前記正孔輸送層内にわたってスペーサを分散する工程をさらに備えることを特徴とする請求項32又は33に記載の発光素子の製造方法。
【請求項35】
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に電子輸送層を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記第1基板の上の前記電子輸送層と前記第2基板の上の前記多孔体とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項36】
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に電子輸送層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記多孔体と前記第2基板の上の前記電子輸送層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項37】
前記電子輸送層内にわたってスペーサを分散する工程をさらに備えることを特徴とする請求項35又は36に記載の発光素子の製造方法。
【請求項38】
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記多孔体を含む発光体層の上に正孔輸送層を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔注入層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記正孔輸送層と前記第2基板の上の前記正孔注入層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項39】
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の正孔注入電極を形成する工程と、
前記正孔注入電極の上に正孔注入層を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記多孔体を含む発光体層の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記正孔注入層と前記第2基板の上の前記正孔輸送層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項40】
前記正孔注入層内にわたってスペーサを分散する工程をさらに備えることを特徴とする請求項38又は39に記載の発光素子の製造方法。
【請求項41】
透明又は半透明である第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の上に透明または半透明の電子注入電極を形成する工程と、
前記電子注入電極の上に金属酸化物半導体粒子粉末よりなる多孔体を形成する工程と、
前記多孔体表面に発光性有機材料を担持させる工程と、
前記多孔体を含む発光体層の上に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層の上に正孔注入電極を形成する工程と、
第2基板を準備する工程と、
前記第2基板の上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタ上に接着層を形成する工程と、
前記第1基板の上の前記正孔注入電極と前記第2基板の上の前記接着層とを互いに対向させて画素ピッチにあわせて位置合せする工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項42】
前記接着層内にわたってスペーサを分散する工程をさらに備えることを特徴とする請求項41に記載の発光素子の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/112440
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【発行日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506990(P2005−506990)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008475
【国際出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】