発光装置、発光装置の製造方法、画像形成装置、及び電子機器
【課題】 不連続に形成した第1のシール材に対して、その不連続部分に第2のシール材を容易に配せるようにし、これによって発光素子を良好に封止できるようにした、発光装置、発光装置の製造方法、画像形成装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】 素子基板2と、封止基板30とがシール材を介して貼り合わされてなる発光装置である。シール材が第1のシール材71と第2のシール材75とからなり、第1のシール材71は、素子基板2と封止基板30との間において略環状に形成され、かつ、封口部72を形成してなる。第2のシール材75は、第1のシール材71の封口部72を閉塞することにより、第1のシール材71とともに環状のシール部を形成している。第1のシール材71には、その封口部72に連続するガイド部74a、74bが、封止基板30に覆われることなく露出する素子基板2の内面側にまで延びて形成されている。
【解決手段】 素子基板2と、封止基板30とがシール材を介して貼り合わされてなる発光装置である。シール材が第1のシール材71と第2のシール材75とからなり、第1のシール材71は、素子基板2と封止基板30との間において略環状に形成され、かつ、封口部72を形成してなる。第2のシール材75は、第1のシール材71の封口部72を閉塞することにより、第1のシール材71とともに環状のシール部を形成している。第1のシール材71には、その封口部72に連続するガイド部74a、74bが、封止基板30に覆われることなく露出する素子基板2の内面側にまで延びて形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置とその製造方法、画像形成装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用したプリンタとして、ラインプリンタ(画像形成装置)が知られている。このラインプリンタは、被露光部となる感光体ドラムの周面上に、帯電器、ライン状のプリンタヘッド(露光ヘッド)、現像器、転写器などの装置を近接配置したものである。すなわち、帯電器によって帯電された感光体ドラムの周面上に、プリンタヘッドに設けられた発光素子の選択的な発光動作で露光を行なうことにより、静電潜像を形成し、この潜像を現像器から供給されるトナーで現像して、そのトナー像を転写器で用紙に転写するようにしたものである。
【0003】
ところで、前記のようなプリンタヘッドの発光素子としては、無機あるいは有機の発光ダイオード(LED)を例えば千鳥状に2列配置したものが用いられている。しかし、これは数千個の発光点を精度良く配列することが極めて困難であるという課題がある。そこで、近年では、発光点を精度良く作り込める有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)を発光素子とする発光素子アレイを、プリンタヘッドとして備えた画像形成装置が提案されている。
【0004】
このような有機EL素子を用いたプリンタヘッド(露光ヘッド)を形成する場合、通常は有機EL素子(発光素子)を形成した素子形成基板と封止基板とをシール材を介して貼り合わせ、発光素子を封止することにより、発光素子を外気(酸素、水分)から保護するようにしている。しかしながら、シール材を全辺(全周)に亘って環状に塗布し、その状態で素子形成基板に封止基板を貼り合わせると、シール材内が閉空間となることでその圧力(内圧)が外圧より高くなってしまい、封止基板と素子形成基板との間のギャップを制御するのが難しくなってしまう。
そこで、このような問題を解消するため、第1のシール材と第2のシール材とを不連続に形成し、基板間を接合する際に、こられシール材を連続化することで封止を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−243160号公報
【特許文献2】特開2003−243161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記の技術では、基板の接合時に第1のシール材と第2のシール材とが良好に連続化せず、これによって十分な封止性能が得られず、有機EL素子の発光特性が劣化してしまうといったおそれがある。
このようなおそれに対して、第1のシール材を、環状に連続させることなく一部が塗布されずに不連続となるようにして塗布し、貼り合わせた後に、第1のシール材が塗布されていない領域に別途第2のシール材を塗布し、発光素子を封止することも考えられる。
しかしながら、その場合にも、第2のシール材を塗布する際、このシール材が所望の領域にのみ選択的に塗布するのが難しいといった新たな課題がある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、不連続に形成した第1のシール材に対して、その不連続部分に第2のシール材を容易に配せるようにし、これによって発光素子を良好に封止できるようにした、発光装置、発光装置の製造方法、画像形成装置、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光装置は、発光素子を形成した素子基板と、該素子基板を封止する封止基板とがシール材を介して貼り合わされ、前記発光素子が前記素子基板と封止基板との間にて前記シール材により封止されてなる発光装置において、
前記シール材が第1のシール材と第2のシール材とからなり、
前記第1のシール材は、前記素子基板と封止基板との間において前記発光素子を囲むように形成され、かつ、該第1のシール材が配されずに該第1のシール材を不連続にする封口部を形成してなり、
前記第2のシール材は、前記第1のシール材の前記封口部を閉塞することにより、該第1のシール材とともに環状のシール部を形成してなり、
前記第1のシール材には、その封口部を形成する少なくとも一方の側に連続するガイド部が、前記封止基板に覆われることなく露出する前記素子基板の内面側にまで延びて形成されていることを特徴としている。
【0008】
この発光装置によれば、封口部にガイド部が形成されているので、この発光装置を製造するに際して前記封口部に第2のシール材を配したとき、該第2のシール材の配置位置がずれても、前記ガイド部によって該第2のシール材が封口部に案内されることにより、封口部に第2のシール材を容易にかつ確実に配することが可能となる。したがって、第2のシール材によって確実に封口部が閉塞されることにより、発光素子がより良好に封止されたものとなる。
【0009】
また、前記発光装置においては、前記ガイド部が、前記第1のシール材の封口部を形成する両方の側にそれぞれ連続して一対形成されているのが好ましい。
このようにすれば、ガイド部を一対形成しているので、製造に際して、第2のシール材を一対のガイド部の間に配することにより、該第2のシール材を封口部以外の箇所に流すことなくより確実に封口部に案内し、該封口部を閉塞することが可能になる。
【0010】
なお、この発光装置においては、前記一対のガイド部を、これらガイド部間の間隔が、前記封口部側で狭く、該封口部より遠ざかるに連れて漸次広くなるよう形成されているのが好ましい。また、その場合に、前記一対のガイド部は、その開き角度が5°以上170°以下であるのが好ましい。
このようにすれば、製造に際して、第2のシール材をさらに確実に封口部に案内し、該封口部を閉塞することが可能になるとともに、ガイド部間の間隔が、前記封口部より遠ざかるに連れて漸次広くなっているので、第2のシール材の配置の際のマージンが高くなる。
また、前記一対のガイド部の開き角度を5°以上170°以下とすることにより、これらガイド部間に第2のシール材を配することで封口部が確実に閉塞するようになる。
【0011】
また、前記発光装置においては、前記第1のシール材には、前記封口部の近傍に、他の部位に比べてシール幅が広い幅広部が形成されているのが好ましい。
このような幅広部を形成すれば、製造時に、封口部に配された第2のシール材が第1のシール材と基板との間の隙間を通り抜けて封口部の外に流れてしまうことが、この幅広部によって防止される。
【0012】
また、前記発光装置においては、前記素子基板の内面には、封口部の近傍で該封口部の内側に、凸状のシール材広がり防止部が形成されているのが好ましい。
このようなシール材広がり防止部を形成すれば、製造時に、封口部に配された第2のシール材が、封口部の内側に流れてしまっても、このシール材広がり防止部によってさらに奥側に流れ広がってしまうのが防止される。
【0013】
また、前記発光装置においては、前記封口部が前記素子基板及び封止基板の側端部に配設されていてもよい。
このようにすれば、素子基板における素子や配線等の位置が封口部の位置によって規制される度合いが少なく、したがって素子や配線等の位置についての設計自由度が高まる。
【0014】
本発明の発光装置の製造方法は、発光素子を形成した素子基板と、該素子基板を封止する封止基板とをシール材を介して貼り合わせ、前記発光素子を前記素子基板と封止基板との間にて前記シール材により封止する発光装置の製造方法において、
前記素子基板の内面に、前記発光素子を囲むように第1のシール材を配し、かつ、該第1のシール材を配さずに該第1のシール材を不連続にする封口部を形成する工程と、
前記素子基板上に、前記第1のシール材を介して封止基板を配置する工程と、
前記封止基板を前記素子基板上に配置した後、前記第1のシール材の前記封口部に第2のシール材を配して該封口部を閉塞することにより、該第1のシール材と第2のシール材とで環状のシール部を形成する工程と、を具備し、
前記の第1のシール材を配する工程では、前記封口部を形成する少なくとも一方の側に連続するガイド部を、前記封止基板に覆われることなく露出する前記素子基板の内面側にまで延ばして形成することを特徴としている。
【0015】
この発光装置の製造方法によれば、封口部にガイド部を形成するので、前記封口部に第2のシール材を配した際、該第2のシール材の配置位置がずれても前記ガイド部によって該第2のシール材を封口部に案内することができ、これにより封口部に第2のシール材を容易にかつ確実に配することが可能となる。したがって、第2のシール材によって確実に封口部を閉塞できることにより、発光素子をより良好に封止することができる。
【0016】
また、前記発光装置の製造方法においては、前記素子基板及び封止基板として複数個取りの大型基板を用い、大型の素子基板と大型の封止基板とを前記シール材を介して貼り合わせた後、単位基板に個片化するのが好ましい。
封口部に第2のシール材を配して該封口部を閉塞した際、この第2のシール材が封口部の外に流れ、例えばスクライブライン上で硬化してしまうと、大型基板をスクライブによって単位基板に個片化する際、このスクライブによる個片化が非常に難しくなってしまう。しかし、前述したようにガイド部を形成したことにより、このガイド部によって第2のシール材が封口部の外に流れてしまうのを防止できるので、スクライブによる単位基板の個片化が困難になってしまうといった不都合が回避される。
【0017】
本発明の画像形成装置は、露光手段として、前記の発光装置、あるいは前記の製造方法によって得られた発光装置を備えたことを特徴としている。
この画像形成装置によれば、発光素子がより良好に封止されてなる発光装置を露光手段として備えているので、この露光手段の水分等による劣化が抑えられていることにより、この画像形成装置自体の長期に亘る信頼性が確保される。
【0018】
本発明の電子機器は、表示手段として、前記の発光装置、あるいは前記の製造方法によって得られた発光装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、発光素子がより良好に封止されてなる発光装置を表示手段として備えているので、この表示手段の水分等による劣化が抑えられていることにより、この電子機器自体の長期に亘る信頼性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で参照する各図面においては、図面を見易くするために、各構成要素の寸法等を適宜変更して表示している。
【0020】
(ラインヘッドモジュール)
まず、本発明の発光装置の一実施形態としてのラインヘッド(露光ヘッド)を搭載した、ラインヘッドモジュールについて説明する。
図1は、実施形態に係るラインヘッドモジュールの斜視断面図である。本実施形態のラインヘッドモジュール101は、複数の有機EL素子を整列配置したラインヘッド1と、ラインヘッド1からの光を正立等倍結像させるレンズ素子を整列配置したSLアレイ(レンズアレイ)31と、ラインヘッド1およびSLアレイ31の外周部を保持するヘッドケース52と、を備えて構成されたものである。ラインヘッド1とSLアレイアレイ31とは、互いにアライメントされた状態でヘッドケース52に保持されており、これによってSLアレイ31は、ラインヘッド1からの光を後述する感光体ドラムに正立等倍結像させるようになっている。
【0021】
(ラインヘッド)
図2は、ラインヘッドを模式的に示した図である。このラインヘッド1は、本発明の発光装置の一実施形態となるもので、長細い矩形の素子基板2上に、本発明における発光素子としての有機EL(エレクトロルミネセンス)素子3を複数配列してなる発光素子列(発光部ライン)3Aと、有機EL素子3を駆動させる駆動素子4からなる駆動素子群と、これら駆動素子4(駆動素子群)の駆動を制御する制御回路群5とを一体形成したものである。なお、図2では発光素子列3Aを1列の有機EL素子3で形成したが、例えば有機EL素子3を2列にしてこれらを千鳥状に配してもよい。その場合には、ラインヘッド1の長手方向における有機EL素子3のピッチを小さくすることができ、したがって後述する画像形成装置の解像度を向上させることができる。
【0022】
有機EL素子3は、一対の電極間に少なくとも有機発光層を備えたもので、その一対の電極から発光層に電流を供給することにより、発光するようになっている。有機EL素子3における一方の電極には電源線8が接続され、他方の電極には駆動素子4を介して電源線7が接続されている。この駆動素子4は、薄膜トランジスタ(TFT)や薄膜ダイオード(TFD)等のスイッチング素子で構成されている。駆動素子4にTFTを採用した場合には、そのソース領域に電源線8が接続され、ゲート電極に制御回路群5が接続される。そして、制御回路群5により駆動素子4の動作が制御され、駆動素子4により有機EL素子3への通電が制御されるようになっている。
【0023】
このような有機EL素子3、駆動素子4等の構成について、図3(a)、(b)を参照してさらに詳述する。
図3(a)に示すように、発光層60で発光した光を画素電極23側から出射する、いわゆるボトムエミッション型である場合には、素子基板2側から発光光を取り出す構成であるので、素子基板2としては透明あるいは半透明のものが採用される。例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特にガラス基板が好適に用いられる。
【0024】
また、発光層60で発光した光を陰極(対向電極)50側から出射する、いわゆるトップエミッション型である場合には、この素子基板2の対向側である封止基板側から発光光を取り出す構成となるので、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
本実施形態では、ボトムエミッション型が採用され、したがって素子基板2には透明なガラスが用いられるものとする。
【0025】
素子基板2上には、画素電極23に接続する駆動用TFT123(駆動素子4)などを含む回路部11が形成されており、その上に有機EL素子3が設けられている。有機EL素子3は、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層70と、有機EL物質からなる発光層60と、陰極50とが順に形成されたことによって構成されている。
【0026】
ここで、有機EL素子3および駆動用TFT123(駆動素子4)を図2に対応した模式図で示すと、図3(b)に示すようになる。図3(b)において、電源線7は駆動素子4のソース/ドレイン電極に接続し、電源線8は有機EL素子3の陰極50に接続している。
そして、このような構成のもとに有機EL素子3は、図3(a)に示すように、正孔輸送層70から注入された正孔と陰極50からの電子とが発光層60で結合することにより、発光をなすようになっている。
【0027】
陽極として機能する画素電極23は、ボトムエミッション型である本実施形態では、透明導電材料によって形成され、具体的にはITOが好適に用いられている。
正孔輸送層70の形成材料としては、特に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、正孔輸送層70の形成材料としては、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。
【0028】
発光層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。なお、本実施形態では、例えば発光波長帯域が赤色に対応した発光層が採用されるが、もちろん、発光波長帯域が緑色や青色に対応した発光層を採用するようにしてもよい。この場合、用いる感光体は、その発光領域に感度を持つものを採用する。
【0029】
発光層60の形成材料として具体的には、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
【0030】
陰極50は、前記発光層60を覆って形成されたもので、例えばCaを厚さ20nm程度に形成し、その上にAlを厚さ200nm程度に形成して積層構造の電極とし、Alを反射層としても機能させたものである。
また、この陰極50上には、後述するように該陰極50を囲んで配された第1のシール材と第2のシール材とからなるシール層(接着層)を介して、封止基板(図示せず)が貼着されている。なお、これら第1のシール材と第2のシール材とからなるシール層は、本発明の特徴部分となるものであり、後に詳述する。
【0031】
また、このような有機EL素子3の下方には、前述したように回路部11が設けられている。この回路部11は素子基板2上に形成されたものである。すなわち、素子基板2の表面にはSiO2を主体とする下地保護層281が下地として形成され、その上にはシリコン層241が形成されている。このシリコン層241の表面には、SiO2及び/又はSiNを主体とするゲート絶縁層282が形成されている。
【0032】
また、前記シリコン層241のうち、ゲート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域がチャネル領域241aとされている。なお、このゲート電極242は、図示しない走査線の一部である。一方、シリコン層241を覆い、ゲート電極242を形成したゲート絶縁層282の表面には、SiO2を主体とする第1層間絶縁層283が形成されている。
【0033】
また、シリコン層241のうち、チャネル領域241aのソース側には、低濃度ソース領域241bおよび高濃度ソース領域241Sが設けられる一方、チャネル領域241aのドレイン側には低濃度ドレイン領域241cおよび高濃度ドレイン領域241Dが設けられて、いわゆるLDD(Light Doped Drain )構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域241Sは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール243aを介して、ソース電極243に接続されている。このソース電極243は、電源線(図示せず)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域241Dは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール244aを介して、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極244に接続されている。
【0034】
ソース電極243およびドレイン電極244が形成された第1層間絶縁層283の上層には、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とする平坦化膜284が形成されている。この平坦化膜284は、アクリル系やポリイミド系等の、耐熱性絶縁性樹脂などによって形成されたもので、駆動用TFT123(駆動素子4)やソース電極243、ドレイン電極244などによる表面の凹凸をなくすために形成された公知のものである。
【0035】
そして、ITO等からなる画素電極23が、この平坦化膜284の表面上に形成されるとともに、該平坦化膜284に設けられたコンタクトホール23aを介してドレイン電極244に接続されている。すなわち、画素電極23は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241の高濃度ドレイン領域241Dに接続されている。
【0036】
画素電極23が形成された平坦化膜284の表面には、画素電極23と、前述した無機隔壁25とが形成されており、さらに無機隔壁25上には、有機隔壁221が形成されている。そして、画素電極23上には、無機隔壁25に形成された前記開口25aと、有機隔壁221に形成された開口221aとの内部、すなわち画素領域に、前記の正孔輸送層70と発光層60とが画素電極23側からこの順で積層され、これによって機能層が形成されている。
【0037】
(SLアレイ)
図4は、SLアレイの斜視図である。このSLアレイ31は、日本板硝子株式会社製のセルフォック(登録商標)レンズ素子と同様の構成からなるSL素子31aを、千鳥状に2列配列(配置)したものである。このように千鳥状に配置された各SL素子31aの隙間には、黒色のシリコーン樹脂32が充填されており、さらにその周囲には、フレーム34が配置されている。
【0038】
前記SL素子31aは、その中心から周辺にかけて放物線上の屈折率分布を有している。そのため、SL素子31aに入射した光は、その内部を一定周期で蛇行しながら進む。よって、このSL素子31aの長さを調整すれば、画像を正立等倍結像させることができる。そして、このように正立等倍結像するSL素子31aにあっては、隣接するSL素子31aどうしが作る像を重ね合わせることが可能になり、広範囲の画像を得ることができる。したがって、図4に示したSLアレイ31は、ラインヘッド1全体からの光を精度よく結像させることができるようになっている。
【0039】
(ヘッドケース)
図1に戻り、本実施形態のラインヘッドモジュール101は、ラインヘッド1およびレンズアレイ31の外周部を支持するヘッドケース52を備えている。このヘッドケース52は、Al等の剛性材料によってスリット状に形成されている。ヘッドケース52の長手方向に垂直な断面は、上下両端部が開口した形状となっており、その上半部の側壁52a,52aは相互に平行に配置され、下半部の側壁52b,52bはそれぞれ下端中央部に向かって傾斜配置されている。なお図示しないが、ヘッドケース52の長手方向における両端部の側壁も、相互に平行に配置されている。
【0040】
そして、ヘッドケース52の上半部側壁52aの内側には、上述したラインヘッド1が配置されている。
図5は、ラインヘッドの結合部分(図1のA部)における拡大図である。図5に示すように、ヘッドケース52の側壁52aの内面には、全周にわたって階段状の台座53が形成されている。その台座53の上面にラインヘッド1の下面を当接させて、ラインヘッド1が水平に配置されている。詳細は後述するが、ラインヘッド1はボトムエミッション方式であり、素子基板2を下側に向け、封止基板30を上側に向けて配置されている。
【0041】
また、ヘッドケース52の側壁52aとラインヘッド1とによって形成される角部には、全周にわたって封止材54a、54bが配設されている。なお、ヘッドケース52の側壁52aの内面とラインヘッド1の側面との隙間にも、封止材が配設されている。これにより、ヘッドケース52に対してラインヘッド1が気密接合されている。そのうち、ラインヘッド1の上側に配設された封止材54bは、アクリル等の紫外線硬化性樹脂で構成されている。また、ラインヘッド1の下側に配設された封止材54aは、エポキシ等の熱硬化性樹脂で構成されている。
【0042】
なお、これらの封止材54a、54bには、ゲッター剤が含有されていてもよい。ゲッター剤とは、乾燥剤や脱酸素剤を意味しており、水分や酸素を吸着するものである。この構成によれば、封止材54a、54bによって水分や酸素の透過を確実に遮断することができる。したがって、ラインヘッドに形成された有機EL素子の吸湿や酸化を抑制することが可能になり、有機EL素子の耐久性の低下および寿命の短命化を阻止することができる。
【0043】
図1に戻り、ヘッドケース52の下端部に形成されたスリット状の開口部には、レンズアレイ31が配置されている。そして、ヘッドケース52の側壁52bとレンズアレイ31とによって形成される角部には、全周にわたって封止材55a、55bが配設されている。なお、ヘッドケース52の側壁52aの内面とラインヘッド1の側面との隙間にも、封止材が配設されている。これにより、ヘッドケース52に対してレンズアレイ31が気密接合されている。そのうち、レンズアレイ31の上側に配設された封止材55aは、エポキシ等の熱硬化性樹脂で構成されている。また、レンズアレイ31の下側に配設された封止材55bは、アクリル等の紫外線硬化性樹脂で構成されている。さらに、これらの封止材55a,55bには、ゲッター剤が含有されていてもよい。
【0044】
そして、ヘッドケース52の内側におけるラインヘッド1とレンズアレイ31との間には、チャンバ56が形成されている。前述したように、ヘッドケース52に対してラインヘッド1およびレンズアレイ31が気密接合されているので、チャンバ56は密閉封止されている。そして、チャンバ56の内部は、窒素ガス等の不活性ガスによって満たされるか、または真空に保持されている。
【0045】
(ラインヘッドの製造方法)
次に、本発明の一実施形態としての、前記ラインヘッド1の製造方法について説明する。
なお、ここでは、素子基板2上に前記した有機EL素子(発光素子)3、駆動素子4等が、従来と同様の工程で既に形成されているものとし、これにシール材を介して封止基板30を貼り合わせ、前記有機EL素子3等を前記素子基板2と封止基板30との間にて前記シール材で封止する工程について説明する。
また、この実施形態では、前記素子基板2及び封止基板30として、複数個取りの大型基板を用い、大型の素子基板と大型の封止基板とを前記シール材を介して貼り合わせた後、スクライブによって単位基板に個片化するものとする。
【0046】
まず、図6(a)に示すように、有機EL素子3等を備えた発光領域3Bを、陰極50の形成領域の内側に形成してなる大型の素子基板200を用意する。ここで、図6(a)中の破線Lはスクライブラインを示している。したがってこの大型素子基板200は、スクライブにより個片化されることで矩形状の素子基板2が3枚得られるように、素子基板2の短辺側が連続し、長辺の長さ方向にスクライブラインLが形成されるようになっている。なお、大型の素子基板200としては、4枚以上の素子基板2が得られるものを用いてもよいのはもちろんである。
また、この大型素子基板200に対しては、大型の封止基板300が貼り合わされるようになっている。この大型の封止基板300は、図6(a)中に二点鎖線で示すように、各素子基板2(素子基板領域2A)の一方の短辺側を覆うことなく露出させ、残りの部分を覆うように形成され、配設されるようになっている。
【0047】
このような大型素子基板200、さらに大型封止基板300を用意したら、大型素子基板200のそれぞれの素子基板領域2A毎に、陰極50を囲むようにその外側に、第1のシール材71を例えばディペンス法やインクジェット法で略環状に配し塗布する。このとき、この第1のシール材71の吐出による塗布については、例えば図6(a)の要部拡大模式図である図6(b)中のS1で示す位置から、S2、S3、……、S10で示す順に一筆書きで連続して行うのが好ましい。この第1のシール材71は、特にS4、S5、S6、S7の地点をそれぞれ角部とする矩形の枠部分が、主に大型素子基板300との貼り合わせ部分となる。
【0048】
また、このようにして配する第1のシール材71においては、この第1のシール材71を配さずに、これを不連続にする封口部72を形成する。具体的には、前記のS3とS8との間は第1のシール材71を連続させずに不連続部分、すなわち非塗布領域とし、この領域を封口部72とする。この封口部72は、後述するようこれの上に封止基板が貼り合わされることにより、封口となる領域である。
【0049】
ここで、前記したように第1のシール材71を連続して塗布(吐出)すると、特にS1地点では、吐出開始時とS3からS4に向かうときとで2回吐出(塗布)されることから、他の部位に比べて第1のシール材71の幅、すなわち線幅(シール幅)が広くなる。同様に、S10地点でも、S7からS8に向かうときと吐出終了時とで2回吐出(塗布)されることから、他の部位に比べて第1のシール材71の幅、すなわち線幅(シール幅)が広くなる。したがって、これらS1地点とS10地点、すなわち吐出開始位置と吐出終了位置とを、予め前記封口部72の近傍、つまりこれを形成するS3地点、S8地点の近傍となるように設定しておくことにより、この線幅の広い部分を本発明における幅広部73とすることができる。
【0050】
また、前記封口部72を形成するS3地点、及びS8地点から発光領域3Bに対してこれの外側に延びる部位、すなわちS3からS2に向かって延びる部位、及びS8からS9に向かって延びる部位は、前述したように大型素子基板300との主な貼り合わせ部分になることなく、本発明におけるガイド部74a、74bとなっている。すなわち、これらガイド部74a、74bにおいて、特にその上に大型封止基板300が貼り合わされない部分は、素子基板2(素子基板領域2A)上に露出する部分となり、後述する第2のシール材が封口部72以外の場所に流れるのを規制し、封口部72に案内するためのものとなっている。なお、これらガイド部74a、74bのうち、大型封止基板300が貼り合わされる部分についても、第2のシール材を封口部72に案内する等の機能を有しているのはもちろんである。
【0051】
ここで、ガイド部74a、74bは、これらの間の間隔が、前記封口部72側で狭く、該封口部72より遠ざかるに連れて漸次広くなるよう、平面視した状態で略V字状に形成されている。これらガイド部74a、74b間の開き角度θについては、特に5°以上170°以下であるのが好ましい。5°未満では、ガイド部74a、74b間が狭くなってしまい、後述するようにこれらガイド部74a、74b間に第2のシール材を配するのが容易にならなくなってしまうからであり、170°を越えると、第2のシール材を配した際、この第2のシール材がガイド部74a、74bの先端側を越えて封口部72以外の場所に流れてしまうおそれが生じるからである。そして、このように開き角度θを5°以上170°以下とすることにより、後述するように第2のシール材の配置の際のマージンが高くなり、ガイド部74a、74b間に第2のシール材を配することで封口部72を確実に閉塞できるようになる。
【0052】
このようにして第1のシール材71を略環状(略矩形状)に配し、封口部72、幅広部73、ガイド部74a、74bをそれぞれ形成したら、図6(a)中二点鎖線で示したように大型素子基板200上に大型封止基板300を載せ、必要に応じて加圧する。これにより、特に前記の封口部72は、その上部が大型封止基板300によって覆われることにより、第1のシール材間に開口してなる封口となる。
なお、大型封止基板300については、予め洗浄等の前処理を施しておき、さらに必要に応じて、乾燥剤などをその内面に貼着しておく。また、このようにして大型素子基板200上に大型封止基板300を載せた後、必要に応じて第1のシール材71を仮硬化させてもよい。
【0053】
次いで、前記第1のシール材71の前記封口部72内、すなわち、大型封止基板300に覆われることで封口となった位置に、第2のシール材75を配する。このとき、封口部72は大型封止基板300に覆われていることから、直接この封口部72、すなわち封口内に第2のシール材75を充填するのは困難である。そこで、大型封止基板300に覆われることなく大型素子基板200上に露出している、前記のガイド部74a、74bを利用して、第2のシール材75を封口部72に配する。
【0054】
具体的には、前記ガイド部74a、74bの先端側が上に、後端側である封口部72側が下になるようにして大型素子基板200を適宜な角度で傾斜させる。そして、その状態で、図7に示すように大型素子基板200上に露出している前記ガイド部74a、74b間に、第2のシール材75を吐出し配置する。すると、この第2のシール材75は、特にガイド部74a、74bの先端側の間隔が広くなっていることにより、吐出位置が少々ずれてもこれがガイド部74a、74b間に確実に配されるようになる。したがって、第2のシール材75の配置の際のマージンが高くなっているのである。
【0055】
そして、このようにガイド部74a、74b間に配された第2のシール材75は、大型素子基板200が傾斜させられていることにより、封口部72側に流れ落ちる。このとき、横方向にはガイド部74a、74bがあるので、例えば第2のシール材75の一部が封口部72に向かって流れれずに横方向に流れたとしても、この第2のシール材75は前記ガイド部74a、74bによって封口部72側に案内される。したがって、第2のシール材75は確実に封口部72に向かって流れることにより、図7中二点鎖線で示すように、該封口部72を閉塞するようになる。また、横方向に大きく流れ出してしまい、例えばスクライブラインL上にまで至ってしまうといったことも、ガイド部74a、74bによって確実に防止される。
【0056】
また、特に封口部72の近傍に幅広部73を形成しているので、封口部72に配した第2のシール材75が毛細管現象によって第1のシール材71と大型封止基板300との間の隙間を通り抜け、封口部72の外に流れ出てしまい、例えばスクライブラインL上にまで至ってしまうといったことが防止される。
【0057】
このようにして第2のシール材75を配し、封口部72を閉塞したら、その状態で、第1のシール材71、第2のシール材75の本硬化処理を行う。硬化処理方法については、第1、第2のシール材の種類に応じて決定される。すなわち、シール材が熱硬化性である場合には加熱処理により、また紫外線照射硬化型である場合には紫外線照射処理により、硬化処理がなされる。もちろん、加熱と紫外線照射とを併用してもよい。
【0058】
このようにして第1のシール材71、第2のシール材75を硬化させることにより、第1のシール材71と第2のシール材75とで環状のシール部を形成するとともに、このシール部を介して大型素子基板200に大型封止基板300を貼り合わせることができる。そして、これにより大型素子基板200の各素子基板領域2A(素子基板2)に形成された各有機EL素子(発光素子)3を、良好に封止することができる。
その後、スクライブラインLに沿ってスクライブを行い、大型素子基板200、大型封止基板300を共に単位基板として素子基板2、封止基板30に個片化することにより、ラインヘッド1を得る。
【0059】
このようにして得られたラインヘッド1にあっては、第1のシール材71によって形成された封口部72にガイド部74が形成されているので、製造時、前記封口部72に第2のシール材75を配したとき、該第2のシール材75の配置位置がずれても、前記ガイド部74a、74bによって該第2のシール材75が封口部72に案内されることにより、封口部72に第2のシール材75を容易にかつ確実に配することができる。したがって、第2のシール材75によって確実に封口部72が閉塞されることにより、有機EL素子(発光素子)3がより良好に封止されたものとなる。
【0060】
また、このようなラインヘッド1の製造方法にあっては、ガイド部74a、74bを形成したことにより、特にこれらガイド部74a、74bによって第2のシール材75が封口部72の外に流れてしまうのを防止することができ、したがってスクライブによる単位基板の個片化が困難になってしまうといった不都合を回避することができる。
【0061】
次に、本発明に係る発光装置とその製造方法の他の実施形態を、図8に示す。
この実施形態が図6、図7に示した実施形態と異なるところは、図8に示すように、大型素子基板201の内面の、封口部72の近傍で該封口部72の内側に、基板面に対して凸状のシール材広がり防止部76を形成している点である。このシール材広がり防止部76は、有機EL素子3を区画する有機隔壁221や配線などの構成要素と、例えば同一層に同一の材料で同一の工程によって形成されたもので、封口部72の内側で、該封口部72の幅より十分に長い幅で形成されたものである。
【0062】
このようなシール材広がり防止部76を形成することにより、この発光装置(ラインセンサ1)では、その製造時、ガイド部74a、74bに案内されて封口部72に配された第2のシール材(図示せず)が、封口部72の内側にまで流れてしまっても、このシール材広がり防止部72によってさらに奥側に流れ広がってしまうのを防止することができる。したがって、第2のシール材が封口部72に留まることにより、この封口部72を確実に閉塞することができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変更が可能である。例えば、第1のシール材71を配する際、幅広部73を形成することなく、図9に示すように単に封口部72の両側に連続させてガイド部74a、74bを形成するようにしてもよい。また、封口部72の両側に連続させることなく、片側だけに連続させてガイド部を形成するようにしてもよい。その場合に、第2のシール材75を配した際、この第2のシール材75が形成したガイド部側に流れ落ちるよう、素子基板2(大型素子基板200)を傾けることで、第2のシール材75を封口部72に、容易にかつ確実に配することができる。
【0064】
また、図10に示すように、第1のシール材71によって形成する封口部72を、前記素子基板2及び封止基板30の側端部に配設するようにしてもよい。このように封口部72を、素子基板2の短辺の中央部に配することなく、短辺の一方の端部に配するようにすれば、素子基板2における素子や配線等の位置が封口部72の位置によって規制される度合いが少なくなり、したがって素子や配線等の位置についての設計自由度を高めることができる。
【0065】
また、図10に示したように特に大型素子基板200として2枚取りの基板を用い、封口部72を、それぞれの素子基板2(素子基板領域2A)においてスクライブラインLと反対の側となるように配設すれば、第2のシール材75が仮にガイド部74bを乗り越え、あるいはこれを回り込んでスクライブラインL側に流れてしまっても、封口部72からスクライブラインLまでの距離が長くなっているため、これがスクライブラインL上にまで達してしまうことが防止される。したがって、スクライブによる単位基板の個片化が困難になってしまうといった不都合を回避することができる。
【0066】
なお、前記実施形態では、本発明の製造方法を、大型の素子基板200と大型の封止基板300とをシール材を介して貼り合わせ、スクライブによって単位基板に個片化する場合に適用したが、本発明はこれに限定されることなく、単位基板である素子基板2と封止基板30とを貼り合わせる場合にも適用可能である。また、単位基板を用いる場合にも、スクライブによって余分な周辺部を除去することもあり、そのような場合には特に本発明は有効となる。
【0067】
次に、このようなラインヘッド1を備えたラインヘッドモジュール101の使用形態について説明する。
図11は、後述する画像形成装置における、ラインヘッドモジュール101の使用形態を示す図である。図11に示すようにラインヘッドモジュール101は、被露光部となる感光体ドラム9に光を照射し結像して、露光するようになっている。ここで、前述したようにラインヘッド1とSLアレイ31とは互いにアライメントされた状態でヘッドケース52に一体的に保持されているので、使用に際しては、単にラインヘッドモジュール101を感光体ドラム9にアライメントするだけでよい。
したがって、このラインヘッドモジュール101にあっては、ラインヘッド1とSLアレイ31とを別に用意する場合に比べ、感光体ドラム9に対するアライメントが容易になり、アライメント不良に起因する露光むらが確実に防止されるようになる。
【0068】
次に、本発明のラインヘッド1が設けられる画像形成装置について説明する。
(タンデム方式の画像形成装置)
図12は本発明の画像形成装置の第1の実施形態を示す図であり、図12中符号80はタンデム方式の画像形成装置である。この画像形成装置80は、本発明に係るラインヘッドの一例となる有機ELアレイラインヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光装置にそれぞれ配置したもので、タンデム方式のものとして構成されたものである。
【0069】
この画像形成装置80は、駆動ローラ91と従動ローラ92とテンションローラ93とを備え、これら各ローラに中間転写ベルト90を、図12中矢印方向(反時計方向)に循環駆動するよう張架したものである。この中間転写ベルト90に対して、感光体ドラム41K、41C、41M、41Yが所定間隔で配置されている。これら感光体ドラム41K、41C、41M、41Yは、その外周面が像担持体としての感光層となっている。
【0070】
ここで、前記符号中のK、C、M、Yは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示している。なお、これら符号(K、C、M、Y)の意味は、他の部材についても同様である。感光体ドラム41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト90の駆動と同期して、図12中矢印方向(時計方向)に回転駆動するようになっている。
【0071】
各感光体ドラム41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体ドラム41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)によって一様に帯電させられた外周面を感光体ドラム41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)とが設けられている。
ここで、有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)は、前述したようにヘッドケースによってSLアレイ(図示せず)とともに互いにアライメントされた状態で一体的に保持され、ラインヘッドモジュールとして用いられている。
【0072】
また、この有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)(ラインヘッドモジュール)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト90に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体ドラム41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とが設けられている。
【0073】
ここで、各有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)は、それぞれのアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置されている。そして、各有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体ドラム41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とが略一致するように設定されている。
【0074】
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体ドラム41(K、C、M、Y)に接触させあるいは押圧せしめることにより、感光体ドラム41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させ、トナー像として現像するものである。
【0075】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスによって中間転写ベルト90上に順次一次転写される。そして、中間転写ベルト90上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、さらに定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、その後、排紙ローラ対62によって装置上部に形成された排紙トレイ68上に排出される。
【0076】
なお、図12中の符号63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト90との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト90の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0077】
(4サイクル方式の画像形成装置)
次に、本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態について説明する。図13は4サイクル方式の画像形成装置の縦断側面図である。図13において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、前記ラインヘッドモジュールからなる像書込手段(露光手段)167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
【0078】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢印A方向に回転するよう構成されたものである。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢印B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢印C方向に回転するトナー供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
【0079】
図13中符号165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器である。また、167は本発明における露光手段となる像書込手段であり、前記のラインヘッドモジュールからなるものである。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより、現像ローラ162aとは逆の方向となる矢印D方向に回転駆動されるようになっている。なお、像書込手段167を構成するラインヘッドモジュールは、これと感光ドラム165との間で位置合わせ(光軸合わせ)がなされた状態に配設されている。
【0080】
中間転写ベルト169は、駆動ローラ170aと従動ローラ170bとの間に張架されたものである。駆動ローラ170aは、前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されたもので、中間転写ベルト169に動力を伝達するようになっている。すなわち、該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆の方向となる矢印E方向に回動するようになっている。
【0081】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙が搬送されるようになっている。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写されるようになっている。二次転写ローラ171は、クラッチによって中間転写ベルト169に離当接されるようになっており、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接され、用紙に画像が転写されるようになっている。
【0082】
前記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢印G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
【0083】
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータとしては、例えば低速のブラシレスモータが用いられている。また、中間転写ベルト169については、色ずれ補正などが必要となるためステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略した制御手段からの信号によって制御されるようになっている。
【0084】
図13に示した状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ162aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢印A方向に90度回転する。
【0085】
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次に、シアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
【0086】
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後さらに回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。
【0087】
このような図12、図13に示した画像形成装置80、160においては、図1に示したような本発明のラインヘッドモジュールが露光手段として備えられている。
したがって、これら画像形成装置80、160にあっては、有機EL素子(発光素子)3がより良好に封止されてなるラインヘッド1(発光装置)を露光手段として備えているので、この露光手段の水分等による劣化が抑えられていることにより、この画像形成装置自体80、160の長期に亘る信頼性が確保される。
【0088】
(電子機器)
また、本発明の発光装置としては、前記のラインヘッド1に限定されることなく、一般的なパネル構成の有機EL表示装置に適用できる。したがって、このような有機EL表示装置を表示手段とすることにより、本発明は各種の電子機器に適用可能となる。
図14は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、前記の発光装置(有機EL表示装置)を表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
【0089】
なお、本発明の電子機器としては、前記携帯電話1300に限定されることなく、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係るラインヘッドモジュールの斜視断面図である。
【図2】ラインヘッドを模式的に示した図である。
【図3】(a)はラインヘッドの要部側断面図、(b)は模式図である。
【図4】SLアレイの斜視図である。
【図5】ラインヘッドの結合部分における拡大図である。
【図6】(a)、(b)は本発明の製造方法の一実施形態を説明するための図である。
【図7】本発明の製造方法を説明するための要部拡大模式図である。
【図8】本発明の製造方法の他の実施形態を説明するための図である。
【図9】本発明の製造方法の他の実施形態を説明するための図である。
【図10】本発明の製造方法の他の実施形態を説明するための図である。
【図11】ラインヘッドモジュールの使用形態を説明するための模式図である。
【図12】本発明の画像形成装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図13】本発明の画像形成装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図14】本発明の電子機器の一実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
1…ラインヘッド(発光装置)、2…素子基板、3…有機EL素子(発光素子)、30…封止基板、71…第1のシール材、72…封口部、73…幅広部、74a、74b…ガイド部、75…第2のシール材、76…シール材広がり防止部、80、160…画像形成装置、101…ラインヘッドモジュール、200…大型素子基板、300…大型封止基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置とその製造方法、画像形成装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用したプリンタとして、ラインプリンタ(画像形成装置)が知られている。このラインプリンタは、被露光部となる感光体ドラムの周面上に、帯電器、ライン状のプリンタヘッド(露光ヘッド)、現像器、転写器などの装置を近接配置したものである。すなわち、帯電器によって帯電された感光体ドラムの周面上に、プリンタヘッドに設けられた発光素子の選択的な発光動作で露光を行なうことにより、静電潜像を形成し、この潜像を現像器から供給されるトナーで現像して、そのトナー像を転写器で用紙に転写するようにしたものである。
【0003】
ところで、前記のようなプリンタヘッドの発光素子としては、無機あるいは有機の発光ダイオード(LED)を例えば千鳥状に2列配置したものが用いられている。しかし、これは数千個の発光点を精度良く配列することが極めて困難であるという課題がある。そこで、近年では、発光点を精度良く作り込める有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)を発光素子とする発光素子アレイを、プリンタヘッドとして備えた画像形成装置が提案されている。
【0004】
このような有機EL素子を用いたプリンタヘッド(露光ヘッド)を形成する場合、通常は有機EL素子(発光素子)を形成した素子形成基板と封止基板とをシール材を介して貼り合わせ、発光素子を封止することにより、発光素子を外気(酸素、水分)から保護するようにしている。しかしながら、シール材を全辺(全周)に亘って環状に塗布し、その状態で素子形成基板に封止基板を貼り合わせると、シール材内が閉空間となることでその圧力(内圧)が外圧より高くなってしまい、封止基板と素子形成基板との間のギャップを制御するのが難しくなってしまう。
そこで、このような問題を解消するため、第1のシール材と第2のシール材とを不連続に形成し、基板間を接合する際に、こられシール材を連続化することで封止を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−243160号公報
【特許文献2】特開2003−243161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記の技術では、基板の接合時に第1のシール材と第2のシール材とが良好に連続化せず、これによって十分な封止性能が得られず、有機EL素子の発光特性が劣化してしまうといったおそれがある。
このようなおそれに対して、第1のシール材を、環状に連続させることなく一部が塗布されずに不連続となるようにして塗布し、貼り合わせた後に、第1のシール材が塗布されていない領域に別途第2のシール材を塗布し、発光素子を封止することも考えられる。
しかしながら、その場合にも、第2のシール材を塗布する際、このシール材が所望の領域にのみ選択的に塗布するのが難しいといった新たな課題がある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、不連続に形成した第1のシール材に対して、その不連続部分に第2のシール材を容易に配せるようにし、これによって発光素子を良好に封止できるようにした、発光装置、発光装置の製造方法、画像形成装置、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光装置は、発光素子を形成した素子基板と、該素子基板を封止する封止基板とがシール材を介して貼り合わされ、前記発光素子が前記素子基板と封止基板との間にて前記シール材により封止されてなる発光装置において、
前記シール材が第1のシール材と第2のシール材とからなり、
前記第1のシール材は、前記素子基板と封止基板との間において前記発光素子を囲むように形成され、かつ、該第1のシール材が配されずに該第1のシール材を不連続にする封口部を形成してなり、
前記第2のシール材は、前記第1のシール材の前記封口部を閉塞することにより、該第1のシール材とともに環状のシール部を形成してなり、
前記第1のシール材には、その封口部を形成する少なくとも一方の側に連続するガイド部が、前記封止基板に覆われることなく露出する前記素子基板の内面側にまで延びて形成されていることを特徴としている。
【0008】
この発光装置によれば、封口部にガイド部が形成されているので、この発光装置を製造するに際して前記封口部に第2のシール材を配したとき、該第2のシール材の配置位置がずれても、前記ガイド部によって該第2のシール材が封口部に案内されることにより、封口部に第2のシール材を容易にかつ確実に配することが可能となる。したがって、第2のシール材によって確実に封口部が閉塞されることにより、発光素子がより良好に封止されたものとなる。
【0009】
また、前記発光装置においては、前記ガイド部が、前記第1のシール材の封口部を形成する両方の側にそれぞれ連続して一対形成されているのが好ましい。
このようにすれば、ガイド部を一対形成しているので、製造に際して、第2のシール材を一対のガイド部の間に配することにより、該第2のシール材を封口部以外の箇所に流すことなくより確実に封口部に案内し、該封口部を閉塞することが可能になる。
【0010】
なお、この発光装置においては、前記一対のガイド部を、これらガイド部間の間隔が、前記封口部側で狭く、該封口部より遠ざかるに連れて漸次広くなるよう形成されているのが好ましい。また、その場合に、前記一対のガイド部は、その開き角度が5°以上170°以下であるのが好ましい。
このようにすれば、製造に際して、第2のシール材をさらに確実に封口部に案内し、該封口部を閉塞することが可能になるとともに、ガイド部間の間隔が、前記封口部より遠ざかるに連れて漸次広くなっているので、第2のシール材の配置の際のマージンが高くなる。
また、前記一対のガイド部の開き角度を5°以上170°以下とすることにより、これらガイド部間に第2のシール材を配することで封口部が確実に閉塞するようになる。
【0011】
また、前記発光装置においては、前記第1のシール材には、前記封口部の近傍に、他の部位に比べてシール幅が広い幅広部が形成されているのが好ましい。
このような幅広部を形成すれば、製造時に、封口部に配された第2のシール材が第1のシール材と基板との間の隙間を通り抜けて封口部の外に流れてしまうことが、この幅広部によって防止される。
【0012】
また、前記発光装置においては、前記素子基板の内面には、封口部の近傍で該封口部の内側に、凸状のシール材広がり防止部が形成されているのが好ましい。
このようなシール材広がり防止部を形成すれば、製造時に、封口部に配された第2のシール材が、封口部の内側に流れてしまっても、このシール材広がり防止部によってさらに奥側に流れ広がってしまうのが防止される。
【0013】
また、前記発光装置においては、前記封口部が前記素子基板及び封止基板の側端部に配設されていてもよい。
このようにすれば、素子基板における素子や配線等の位置が封口部の位置によって規制される度合いが少なく、したがって素子や配線等の位置についての設計自由度が高まる。
【0014】
本発明の発光装置の製造方法は、発光素子を形成した素子基板と、該素子基板を封止する封止基板とをシール材を介して貼り合わせ、前記発光素子を前記素子基板と封止基板との間にて前記シール材により封止する発光装置の製造方法において、
前記素子基板の内面に、前記発光素子を囲むように第1のシール材を配し、かつ、該第1のシール材を配さずに該第1のシール材を不連続にする封口部を形成する工程と、
前記素子基板上に、前記第1のシール材を介して封止基板を配置する工程と、
前記封止基板を前記素子基板上に配置した後、前記第1のシール材の前記封口部に第2のシール材を配して該封口部を閉塞することにより、該第1のシール材と第2のシール材とで環状のシール部を形成する工程と、を具備し、
前記の第1のシール材を配する工程では、前記封口部を形成する少なくとも一方の側に連続するガイド部を、前記封止基板に覆われることなく露出する前記素子基板の内面側にまで延ばして形成することを特徴としている。
【0015】
この発光装置の製造方法によれば、封口部にガイド部を形成するので、前記封口部に第2のシール材を配した際、該第2のシール材の配置位置がずれても前記ガイド部によって該第2のシール材を封口部に案内することができ、これにより封口部に第2のシール材を容易にかつ確実に配することが可能となる。したがって、第2のシール材によって確実に封口部を閉塞できることにより、発光素子をより良好に封止することができる。
【0016】
また、前記発光装置の製造方法においては、前記素子基板及び封止基板として複数個取りの大型基板を用い、大型の素子基板と大型の封止基板とを前記シール材を介して貼り合わせた後、単位基板に個片化するのが好ましい。
封口部に第2のシール材を配して該封口部を閉塞した際、この第2のシール材が封口部の外に流れ、例えばスクライブライン上で硬化してしまうと、大型基板をスクライブによって単位基板に個片化する際、このスクライブによる個片化が非常に難しくなってしまう。しかし、前述したようにガイド部を形成したことにより、このガイド部によって第2のシール材が封口部の外に流れてしまうのを防止できるので、スクライブによる単位基板の個片化が困難になってしまうといった不都合が回避される。
【0017】
本発明の画像形成装置は、露光手段として、前記の発光装置、あるいは前記の製造方法によって得られた発光装置を備えたことを特徴としている。
この画像形成装置によれば、発光素子がより良好に封止されてなる発光装置を露光手段として備えているので、この露光手段の水分等による劣化が抑えられていることにより、この画像形成装置自体の長期に亘る信頼性が確保される。
【0018】
本発明の電子機器は、表示手段として、前記の発光装置、あるいは前記の製造方法によって得られた発光装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、発光素子がより良好に封止されてなる発光装置を表示手段として備えているので、この表示手段の水分等による劣化が抑えられていることにより、この電子機器自体の長期に亘る信頼性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で参照する各図面においては、図面を見易くするために、各構成要素の寸法等を適宜変更して表示している。
【0020】
(ラインヘッドモジュール)
まず、本発明の発光装置の一実施形態としてのラインヘッド(露光ヘッド)を搭載した、ラインヘッドモジュールについて説明する。
図1は、実施形態に係るラインヘッドモジュールの斜視断面図である。本実施形態のラインヘッドモジュール101は、複数の有機EL素子を整列配置したラインヘッド1と、ラインヘッド1からの光を正立等倍結像させるレンズ素子を整列配置したSLアレイ(レンズアレイ)31と、ラインヘッド1およびSLアレイ31の外周部を保持するヘッドケース52と、を備えて構成されたものである。ラインヘッド1とSLアレイアレイ31とは、互いにアライメントされた状態でヘッドケース52に保持されており、これによってSLアレイ31は、ラインヘッド1からの光を後述する感光体ドラムに正立等倍結像させるようになっている。
【0021】
(ラインヘッド)
図2は、ラインヘッドを模式的に示した図である。このラインヘッド1は、本発明の発光装置の一実施形態となるもので、長細い矩形の素子基板2上に、本発明における発光素子としての有機EL(エレクトロルミネセンス)素子3を複数配列してなる発光素子列(発光部ライン)3Aと、有機EL素子3を駆動させる駆動素子4からなる駆動素子群と、これら駆動素子4(駆動素子群)の駆動を制御する制御回路群5とを一体形成したものである。なお、図2では発光素子列3Aを1列の有機EL素子3で形成したが、例えば有機EL素子3を2列にしてこれらを千鳥状に配してもよい。その場合には、ラインヘッド1の長手方向における有機EL素子3のピッチを小さくすることができ、したがって後述する画像形成装置の解像度を向上させることができる。
【0022】
有機EL素子3は、一対の電極間に少なくとも有機発光層を備えたもので、その一対の電極から発光層に電流を供給することにより、発光するようになっている。有機EL素子3における一方の電極には電源線8が接続され、他方の電極には駆動素子4を介して電源線7が接続されている。この駆動素子4は、薄膜トランジスタ(TFT)や薄膜ダイオード(TFD)等のスイッチング素子で構成されている。駆動素子4にTFTを採用した場合には、そのソース領域に電源線8が接続され、ゲート電極に制御回路群5が接続される。そして、制御回路群5により駆動素子4の動作が制御され、駆動素子4により有機EL素子3への通電が制御されるようになっている。
【0023】
このような有機EL素子3、駆動素子4等の構成について、図3(a)、(b)を参照してさらに詳述する。
図3(a)に示すように、発光層60で発光した光を画素電極23側から出射する、いわゆるボトムエミッション型である場合には、素子基板2側から発光光を取り出す構成であるので、素子基板2としては透明あるいは半透明のものが採用される。例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特にガラス基板が好適に用いられる。
【0024】
また、発光層60で発光した光を陰極(対向電極)50側から出射する、いわゆるトップエミッション型である場合には、この素子基板2の対向側である封止基板側から発光光を取り出す構成となるので、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
本実施形態では、ボトムエミッション型が採用され、したがって素子基板2には透明なガラスが用いられるものとする。
【0025】
素子基板2上には、画素電極23に接続する駆動用TFT123(駆動素子4)などを含む回路部11が形成されており、その上に有機EL素子3が設けられている。有機EL素子3は、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層70と、有機EL物質からなる発光層60と、陰極50とが順に形成されたことによって構成されている。
【0026】
ここで、有機EL素子3および駆動用TFT123(駆動素子4)を図2に対応した模式図で示すと、図3(b)に示すようになる。図3(b)において、電源線7は駆動素子4のソース/ドレイン電極に接続し、電源線8は有機EL素子3の陰極50に接続している。
そして、このような構成のもとに有機EL素子3は、図3(a)に示すように、正孔輸送層70から注入された正孔と陰極50からの電子とが発光層60で結合することにより、発光をなすようになっている。
【0027】
陽極として機能する画素電極23は、ボトムエミッション型である本実施形態では、透明導電材料によって形成され、具体的にはITOが好適に用いられている。
正孔輸送層70の形成材料としては、特に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、正孔輸送層70の形成材料としては、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。
【0028】
発光層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。なお、本実施形態では、例えば発光波長帯域が赤色に対応した発光層が採用されるが、もちろん、発光波長帯域が緑色や青色に対応した発光層を採用するようにしてもよい。この場合、用いる感光体は、その発光領域に感度を持つものを採用する。
【0029】
発光層60の形成材料として具体的には、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
【0030】
陰極50は、前記発光層60を覆って形成されたもので、例えばCaを厚さ20nm程度に形成し、その上にAlを厚さ200nm程度に形成して積層構造の電極とし、Alを反射層としても機能させたものである。
また、この陰極50上には、後述するように該陰極50を囲んで配された第1のシール材と第2のシール材とからなるシール層(接着層)を介して、封止基板(図示せず)が貼着されている。なお、これら第1のシール材と第2のシール材とからなるシール層は、本発明の特徴部分となるものであり、後に詳述する。
【0031】
また、このような有機EL素子3の下方には、前述したように回路部11が設けられている。この回路部11は素子基板2上に形成されたものである。すなわち、素子基板2の表面にはSiO2を主体とする下地保護層281が下地として形成され、その上にはシリコン層241が形成されている。このシリコン層241の表面には、SiO2及び/又はSiNを主体とするゲート絶縁層282が形成されている。
【0032】
また、前記シリコン層241のうち、ゲート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域がチャネル領域241aとされている。なお、このゲート電極242は、図示しない走査線の一部である。一方、シリコン層241を覆い、ゲート電極242を形成したゲート絶縁層282の表面には、SiO2を主体とする第1層間絶縁層283が形成されている。
【0033】
また、シリコン層241のうち、チャネル領域241aのソース側には、低濃度ソース領域241bおよび高濃度ソース領域241Sが設けられる一方、チャネル領域241aのドレイン側には低濃度ドレイン領域241cおよび高濃度ドレイン領域241Dが設けられて、いわゆるLDD(Light Doped Drain )構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域241Sは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール243aを介して、ソース電極243に接続されている。このソース電極243は、電源線(図示せず)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域241Dは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール244aを介して、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極244に接続されている。
【0034】
ソース電極243およびドレイン電極244が形成された第1層間絶縁層283の上層には、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とする平坦化膜284が形成されている。この平坦化膜284は、アクリル系やポリイミド系等の、耐熱性絶縁性樹脂などによって形成されたもので、駆動用TFT123(駆動素子4)やソース電極243、ドレイン電極244などによる表面の凹凸をなくすために形成された公知のものである。
【0035】
そして、ITO等からなる画素電極23が、この平坦化膜284の表面上に形成されるとともに、該平坦化膜284に設けられたコンタクトホール23aを介してドレイン電極244に接続されている。すなわち、画素電極23は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241の高濃度ドレイン領域241Dに接続されている。
【0036】
画素電極23が形成された平坦化膜284の表面には、画素電極23と、前述した無機隔壁25とが形成されており、さらに無機隔壁25上には、有機隔壁221が形成されている。そして、画素電極23上には、無機隔壁25に形成された前記開口25aと、有機隔壁221に形成された開口221aとの内部、すなわち画素領域に、前記の正孔輸送層70と発光層60とが画素電極23側からこの順で積層され、これによって機能層が形成されている。
【0037】
(SLアレイ)
図4は、SLアレイの斜視図である。このSLアレイ31は、日本板硝子株式会社製のセルフォック(登録商標)レンズ素子と同様の構成からなるSL素子31aを、千鳥状に2列配列(配置)したものである。このように千鳥状に配置された各SL素子31aの隙間には、黒色のシリコーン樹脂32が充填されており、さらにその周囲には、フレーム34が配置されている。
【0038】
前記SL素子31aは、その中心から周辺にかけて放物線上の屈折率分布を有している。そのため、SL素子31aに入射した光は、その内部を一定周期で蛇行しながら進む。よって、このSL素子31aの長さを調整すれば、画像を正立等倍結像させることができる。そして、このように正立等倍結像するSL素子31aにあっては、隣接するSL素子31aどうしが作る像を重ね合わせることが可能になり、広範囲の画像を得ることができる。したがって、図4に示したSLアレイ31は、ラインヘッド1全体からの光を精度よく結像させることができるようになっている。
【0039】
(ヘッドケース)
図1に戻り、本実施形態のラインヘッドモジュール101は、ラインヘッド1およびレンズアレイ31の外周部を支持するヘッドケース52を備えている。このヘッドケース52は、Al等の剛性材料によってスリット状に形成されている。ヘッドケース52の長手方向に垂直な断面は、上下両端部が開口した形状となっており、その上半部の側壁52a,52aは相互に平行に配置され、下半部の側壁52b,52bはそれぞれ下端中央部に向かって傾斜配置されている。なお図示しないが、ヘッドケース52の長手方向における両端部の側壁も、相互に平行に配置されている。
【0040】
そして、ヘッドケース52の上半部側壁52aの内側には、上述したラインヘッド1が配置されている。
図5は、ラインヘッドの結合部分(図1のA部)における拡大図である。図5に示すように、ヘッドケース52の側壁52aの内面には、全周にわたって階段状の台座53が形成されている。その台座53の上面にラインヘッド1の下面を当接させて、ラインヘッド1が水平に配置されている。詳細は後述するが、ラインヘッド1はボトムエミッション方式であり、素子基板2を下側に向け、封止基板30を上側に向けて配置されている。
【0041】
また、ヘッドケース52の側壁52aとラインヘッド1とによって形成される角部には、全周にわたって封止材54a、54bが配設されている。なお、ヘッドケース52の側壁52aの内面とラインヘッド1の側面との隙間にも、封止材が配設されている。これにより、ヘッドケース52に対してラインヘッド1が気密接合されている。そのうち、ラインヘッド1の上側に配設された封止材54bは、アクリル等の紫外線硬化性樹脂で構成されている。また、ラインヘッド1の下側に配設された封止材54aは、エポキシ等の熱硬化性樹脂で構成されている。
【0042】
なお、これらの封止材54a、54bには、ゲッター剤が含有されていてもよい。ゲッター剤とは、乾燥剤や脱酸素剤を意味しており、水分や酸素を吸着するものである。この構成によれば、封止材54a、54bによって水分や酸素の透過を確実に遮断することができる。したがって、ラインヘッドに形成された有機EL素子の吸湿や酸化を抑制することが可能になり、有機EL素子の耐久性の低下および寿命の短命化を阻止することができる。
【0043】
図1に戻り、ヘッドケース52の下端部に形成されたスリット状の開口部には、レンズアレイ31が配置されている。そして、ヘッドケース52の側壁52bとレンズアレイ31とによって形成される角部には、全周にわたって封止材55a、55bが配設されている。なお、ヘッドケース52の側壁52aの内面とラインヘッド1の側面との隙間にも、封止材が配設されている。これにより、ヘッドケース52に対してレンズアレイ31が気密接合されている。そのうち、レンズアレイ31の上側に配設された封止材55aは、エポキシ等の熱硬化性樹脂で構成されている。また、レンズアレイ31の下側に配設された封止材55bは、アクリル等の紫外線硬化性樹脂で構成されている。さらに、これらの封止材55a,55bには、ゲッター剤が含有されていてもよい。
【0044】
そして、ヘッドケース52の内側におけるラインヘッド1とレンズアレイ31との間には、チャンバ56が形成されている。前述したように、ヘッドケース52に対してラインヘッド1およびレンズアレイ31が気密接合されているので、チャンバ56は密閉封止されている。そして、チャンバ56の内部は、窒素ガス等の不活性ガスによって満たされるか、または真空に保持されている。
【0045】
(ラインヘッドの製造方法)
次に、本発明の一実施形態としての、前記ラインヘッド1の製造方法について説明する。
なお、ここでは、素子基板2上に前記した有機EL素子(発光素子)3、駆動素子4等が、従来と同様の工程で既に形成されているものとし、これにシール材を介して封止基板30を貼り合わせ、前記有機EL素子3等を前記素子基板2と封止基板30との間にて前記シール材で封止する工程について説明する。
また、この実施形態では、前記素子基板2及び封止基板30として、複数個取りの大型基板を用い、大型の素子基板と大型の封止基板とを前記シール材を介して貼り合わせた後、スクライブによって単位基板に個片化するものとする。
【0046】
まず、図6(a)に示すように、有機EL素子3等を備えた発光領域3Bを、陰極50の形成領域の内側に形成してなる大型の素子基板200を用意する。ここで、図6(a)中の破線Lはスクライブラインを示している。したがってこの大型素子基板200は、スクライブにより個片化されることで矩形状の素子基板2が3枚得られるように、素子基板2の短辺側が連続し、長辺の長さ方向にスクライブラインLが形成されるようになっている。なお、大型の素子基板200としては、4枚以上の素子基板2が得られるものを用いてもよいのはもちろんである。
また、この大型素子基板200に対しては、大型の封止基板300が貼り合わされるようになっている。この大型の封止基板300は、図6(a)中に二点鎖線で示すように、各素子基板2(素子基板領域2A)の一方の短辺側を覆うことなく露出させ、残りの部分を覆うように形成され、配設されるようになっている。
【0047】
このような大型素子基板200、さらに大型封止基板300を用意したら、大型素子基板200のそれぞれの素子基板領域2A毎に、陰極50を囲むようにその外側に、第1のシール材71を例えばディペンス法やインクジェット法で略環状に配し塗布する。このとき、この第1のシール材71の吐出による塗布については、例えば図6(a)の要部拡大模式図である図6(b)中のS1で示す位置から、S2、S3、……、S10で示す順に一筆書きで連続して行うのが好ましい。この第1のシール材71は、特にS4、S5、S6、S7の地点をそれぞれ角部とする矩形の枠部分が、主に大型素子基板300との貼り合わせ部分となる。
【0048】
また、このようにして配する第1のシール材71においては、この第1のシール材71を配さずに、これを不連続にする封口部72を形成する。具体的には、前記のS3とS8との間は第1のシール材71を連続させずに不連続部分、すなわち非塗布領域とし、この領域を封口部72とする。この封口部72は、後述するようこれの上に封止基板が貼り合わされることにより、封口となる領域である。
【0049】
ここで、前記したように第1のシール材71を連続して塗布(吐出)すると、特にS1地点では、吐出開始時とS3からS4に向かうときとで2回吐出(塗布)されることから、他の部位に比べて第1のシール材71の幅、すなわち線幅(シール幅)が広くなる。同様に、S10地点でも、S7からS8に向かうときと吐出終了時とで2回吐出(塗布)されることから、他の部位に比べて第1のシール材71の幅、すなわち線幅(シール幅)が広くなる。したがって、これらS1地点とS10地点、すなわち吐出開始位置と吐出終了位置とを、予め前記封口部72の近傍、つまりこれを形成するS3地点、S8地点の近傍となるように設定しておくことにより、この線幅の広い部分を本発明における幅広部73とすることができる。
【0050】
また、前記封口部72を形成するS3地点、及びS8地点から発光領域3Bに対してこれの外側に延びる部位、すなわちS3からS2に向かって延びる部位、及びS8からS9に向かって延びる部位は、前述したように大型素子基板300との主な貼り合わせ部分になることなく、本発明におけるガイド部74a、74bとなっている。すなわち、これらガイド部74a、74bにおいて、特にその上に大型封止基板300が貼り合わされない部分は、素子基板2(素子基板領域2A)上に露出する部分となり、後述する第2のシール材が封口部72以外の場所に流れるのを規制し、封口部72に案内するためのものとなっている。なお、これらガイド部74a、74bのうち、大型封止基板300が貼り合わされる部分についても、第2のシール材を封口部72に案内する等の機能を有しているのはもちろんである。
【0051】
ここで、ガイド部74a、74bは、これらの間の間隔が、前記封口部72側で狭く、該封口部72より遠ざかるに連れて漸次広くなるよう、平面視した状態で略V字状に形成されている。これらガイド部74a、74b間の開き角度θについては、特に5°以上170°以下であるのが好ましい。5°未満では、ガイド部74a、74b間が狭くなってしまい、後述するようにこれらガイド部74a、74b間に第2のシール材を配するのが容易にならなくなってしまうからであり、170°を越えると、第2のシール材を配した際、この第2のシール材がガイド部74a、74bの先端側を越えて封口部72以外の場所に流れてしまうおそれが生じるからである。そして、このように開き角度θを5°以上170°以下とすることにより、後述するように第2のシール材の配置の際のマージンが高くなり、ガイド部74a、74b間に第2のシール材を配することで封口部72を確実に閉塞できるようになる。
【0052】
このようにして第1のシール材71を略環状(略矩形状)に配し、封口部72、幅広部73、ガイド部74a、74bをそれぞれ形成したら、図6(a)中二点鎖線で示したように大型素子基板200上に大型封止基板300を載せ、必要に応じて加圧する。これにより、特に前記の封口部72は、その上部が大型封止基板300によって覆われることにより、第1のシール材間に開口してなる封口となる。
なお、大型封止基板300については、予め洗浄等の前処理を施しておき、さらに必要に応じて、乾燥剤などをその内面に貼着しておく。また、このようにして大型素子基板200上に大型封止基板300を載せた後、必要に応じて第1のシール材71を仮硬化させてもよい。
【0053】
次いで、前記第1のシール材71の前記封口部72内、すなわち、大型封止基板300に覆われることで封口となった位置に、第2のシール材75を配する。このとき、封口部72は大型封止基板300に覆われていることから、直接この封口部72、すなわち封口内に第2のシール材75を充填するのは困難である。そこで、大型封止基板300に覆われることなく大型素子基板200上に露出している、前記のガイド部74a、74bを利用して、第2のシール材75を封口部72に配する。
【0054】
具体的には、前記ガイド部74a、74bの先端側が上に、後端側である封口部72側が下になるようにして大型素子基板200を適宜な角度で傾斜させる。そして、その状態で、図7に示すように大型素子基板200上に露出している前記ガイド部74a、74b間に、第2のシール材75を吐出し配置する。すると、この第2のシール材75は、特にガイド部74a、74bの先端側の間隔が広くなっていることにより、吐出位置が少々ずれてもこれがガイド部74a、74b間に確実に配されるようになる。したがって、第2のシール材75の配置の際のマージンが高くなっているのである。
【0055】
そして、このようにガイド部74a、74b間に配された第2のシール材75は、大型素子基板200が傾斜させられていることにより、封口部72側に流れ落ちる。このとき、横方向にはガイド部74a、74bがあるので、例えば第2のシール材75の一部が封口部72に向かって流れれずに横方向に流れたとしても、この第2のシール材75は前記ガイド部74a、74bによって封口部72側に案内される。したがって、第2のシール材75は確実に封口部72に向かって流れることにより、図7中二点鎖線で示すように、該封口部72を閉塞するようになる。また、横方向に大きく流れ出してしまい、例えばスクライブラインL上にまで至ってしまうといったことも、ガイド部74a、74bによって確実に防止される。
【0056】
また、特に封口部72の近傍に幅広部73を形成しているので、封口部72に配した第2のシール材75が毛細管現象によって第1のシール材71と大型封止基板300との間の隙間を通り抜け、封口部72の外に流れ出てしまい、例えばスクライブラインL上にまで至ってしまうといったことが防止される。
【0057】
このようにして第2のシール材75を配し、封口部72を閉塞したら、その状態で、第1のシール材71、第2のシール材75の本硬化処理を行う。硬化処理方法については、第1、第2のシール材の種類に応じて決定される。すなわち、シール材が熱硬化性である場合には加熱処理により、また紫外線照射硬化型である場合には紫外線照射処理により、硬化処理がなされる。もちろん、加熱と紫外線照射とを併用してもよい。
【0058】
このようにして第1のシール材71、第2のシール材75を硬化させることにより、第1のシール材71と第2のシール材75とで環状のシール部を形成するとともに、このシール部を介して大型素子基板200に大型封止基板300を貼り合わせることができる。そして、これにより大型素子基板200の各素子基板領域2A(素子基板2)に形成された各有機EL素子(発光素子)3を、良好に封止することができる。
その後、スクライブラインLに沿ってスクライブを行い、大型素子基板200、大型封止基板300を共に単位基板として素子基板2、封止基板30に個片化することにより、ラインヘッド1を得る。
【0059】
このようにして得られたラインヘッド1にあっては、第1のシール材71によって形成された封口部72にガイド部74が形成されているので、製造時、前記封口部72に第2のシール材75を配したとき、該第2のシール材75の配置位置がずれても、前記ガイド部74a、74bによって該第2のシール材75が封口部72に案内されることにより、封口部72に第2のシール材75を容易にかつ確実に配することができる。したがって、第2のシール材75によって確実に封口部72が閉塞されることにより、有機EL素子(発光素子)3がより良好に封止されたものとなる。
【0060】
また、このようなラインヘッド1の製造方法にあっては、ガイド部74a、74bを形成したことにより、特にこれらガイド部74a、74bによって第2のシール材75が封口部72の外に流れてしまうのを防止することができ、したがってスクライブによる単位基板の個片化が困難になってしまうといった不都合を回避することができる。
【0061】
次に、本発明に係る発光装置とその製造方法の他の実施形態を、図8に示す。
この実施形態が図6、図7に示した実施形態と異なるところは、図8に示すように、大型素子基板201の内面の、封口部72の近傍で該封口部72の内側に、基板面に対して凸状のシール材広がり防止部76を形成している点である。このシール材広がり防止部76は、有機EL素子3を区画する有機隔壁221や配線などの構成要素と、例えば同一層に同一の材料で同一の工程によって形成されたもので、封口部72の内側で、該封口部72の幅より十分に長い幅で形成されたものである。
【0062】
このようなシール材広がり防止部76を形成することにより、この発光装置(ラインセンサ1)では、その製造時、ガイド部74a、74bに案内されて封口部72に配された第2のシール材(図示せず)が、封口部72の内側にまで流れてしまっても、このシール材広がり防止部72によってさらに奥側に流れ広がってしまうのを防止することができる。したがって、第2のシール材が封口部72に留まることにより、この封口部72を確実に閉塞することができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変更が可能である。例えば、第1のシール材71を配する際、幅広部73を形成することなく、図9に示すように単に封口部72の両側に連続させてガイド部74a、74bを形成するようにしてもよい。また、封口部72の両側に連続させることなく、片側だけに連続させてガイド部を形成するようにしてもよい。その場合に、第2のシール材75を配した際、この第2のシール材75が形成したガイド部側に流れ落ちるよう、素子基板2(大型素子基板200)を傾けることで、第2のシール材75を封口部72に、容易にかつ確実に配することができる。
【0064】
また、図10に示すように、第1のシール材71によって形成する封口部72を、前記素子基板2及び封止基板30の側端部に配設するようにしてもよい。このように封口部72を、素子基板2の短辺の中央部に配することなく、短辺の一方の端部に配するようにすれば、素子基板2における素子や配線等の位置が封口部72の位置によって規制される度合いが少なくなり、したがって素子や配線等の位置についての設計自由度を高めることができる。
【0065】
また、図10に示したように特に大型素子基板200として2枚取りの基板を用い、封口部72を、それぞれの素子基板2(素子基板領域2A)においてスクライブラインLと反対の側となるように配設すれば、第2のシール材75が仮にガイド部74bを乗り越え、あるいはこれを回り込んでスクライブラインL側に流れてしまっても、封口部72からスクライブラインLまでの距離が長くなっているため、これがスクライブラインL上にまで達してしまうことが防止される。したがって、スクライブによる単位基板の個片化が困難になってしまうといった不都合を回避することができる。
【0066】
なお、前記実施形態では、本発明の製造方法を、大型の素子基板200と大型の封止基板300とをシール材を介して貼り合わせ、スクライブによって単位基板に個片化する場合に適用したが、本発明はこれに限定されることなく、単位基板である素子基板2と封止基板30とを貼り合わせる場合にも適用可能である。また、単位基板を用いる場合にも、スクライブによって余分な周辺部を除去することもあり、そのような場合には特に本発明は有効となる。
【0067】
次に、このようなラインヘッド1を備えたラインヘッドモジュール101の使用形態について説明する。
図11は、後述する画像形成装置における、ラインヘッドモジュール101の使用形態を示す図である。図11に示すようにラインヘッドモジュール101は、被露光部となる感光体ドラム9に光を照射し結像して、露光するようになっている。ここで、前述したようにラインヘッド1とSLアレイ31とは互いにアライメントされた状態でヘッドケース52に一体的に保持されているので、使用に際しては、単にラインヘッドモジュール101を感光体ドラム9にアライメントするだけでよい。
したがって、このラインヘッドモジュール101にあっては、ラインヘッド1とSLアレイ31とを別に用意する場合に比べ、感光体ドラム9に対するアライメントが容易になり、アライメント不良に起因する露光むらが確実に防止されるようになる。
【0068】
次に、本発明のラインヘッド1が設けられる画像形成装置について説明する。
(タンデム方式の画像形成装置)
図12は本発明の画像形成装置の第1の実施形態を示す図であり、図12中符号80はタンデム方式の画像形成装置である。この画像形成装置80は、本発明に係るラインヘッドの一例となる有機ELアレイラインヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光装置にそれぞれ配置したもので、タンデム方式のものとして構成されたものである。
【0069】
この画像形成装置80は、駆動ローラ91と従動ローラ92とテンションローラ93とを備え、これら各ローラに中間転写ベルト90を、図12中矢印方向(反時計方向)に循環駆動するよう張架したものである。この中間転写ベルト90に対して、感光体ドラム41K、41C、41M、41Yが所定間隔で配置されている。これら感光体ドラム41K、41C、41M、41Yは、その外周面が像担持体としての感光層となっている。
【0070】
ここで、前記符号中のK、C、M、Yは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示している。なお、これら符号(K、C、M、Y)の意味は、他の部材についても同様である。感光体ドラム41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト90の駆動と同期して、図12中矢印方向(時計方向)に回転駆動するようになっている。
【0071】
各感光体ドラム41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体ドラム41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)によって一様に帯電させられた外周面を感光体ドラム41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)とが設けられている。
ここで、有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)は、前述したようにヘッドケースによってSLアレイ(図示せず)とともに互いにアライメントされた状態で一体的に保持され、ラインヘッドモジュールとして用いられている。
【0072】
また、この有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)(ラインヘッドモジュール)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト90に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体ドラム41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とが設けられている。
【0073】
ここで、各有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)は、それぞれのアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置されている。そして、各有機ELアレイラインヘッド101(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体ドラム41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とが略一致するように設定されている。
【0074】
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体ドラム41(K、C、M、Y)に接触させあるいは押圧せしめることにより、感光体ドラム41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させ、トナー像として現像するものである。
【0075】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスによって中間転写ベルト90上に順次一次転写される。そして、中間転写ベルト90上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、さらに定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、その後、排紙ローラ対62によって装置上部に形成された排紙トレイ68上に排出される。
【0076】
なお、図12中の符号63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト90との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト90の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0077】
(4サイクル方式の画像形成装置)
次に、本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態について説明する。図13は4サイクル方式の画像形成装置の縦断側面図である。図13において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、前記ラインヘッドモジュールからなる像書込手段(露光手段)167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
【0078】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢印A方向に回転するよう構成されたものである。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢印B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢印C方向に回転するトナー供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
【0079】
図13中符号165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器である。また、167は本発明における露光手段となる像書込手段であり、前記のラインヘッドモジュールからなるものである。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより、現像ローラ162aとは逆の方向となる矢印D方向に回転駆動されるようになっている。なお、像書込手段167を構成するラインヘッドモジュールは、これと感光ドラム165との間で位置合わせ(光軸合わせ)がなされた状態に配設されている。
【0080】
中間転写ベルト169は、駆動ローラ170aと従動ローラ170bとの間に張架されたものである。駆動ローラ170aは、前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されたもので、中間転写ベルト169に動力を伝達するようになっている。すなわち、該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆の方向となる矢印E方向に回動するようになっている。
【0081】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙が搬送されるようになっている。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写されるようになっている。二次転写ローラ171は、クラッチによって中間転写ベルト169に離当接されるようになっており、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接され、用紙に画像が転写されるようになっている。
【0082】
前記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢印G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
【0083】
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータとしては、例えば低速のブラシレスモータが用いられている。また、中間転写ベルト169については、色ずれ補正などが必要となるためステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略した制御手段からの信号によって制御されるようになっている。
【0084】
図13に示した状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ162aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢印A方向に90度回転する。
【0085】
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次に、シアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
【0086】
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後さらに回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。
【0087】
このような図12、図13に示した画像形成装置80、160においては、図1に示したような本発明のラインヘッドモジュールが露光手段として備えられている。
したがって、これら画像形成装置80、160にあっては、有機EL素子(発光素子)3がより良好に封止されてなるラインヘッド1(発光装置)を露光手段として備えているので、この露光手段の水分等による劣化が抑えられていることにより、この画像形成装置自体80、160の長期に亘る信頼性が確保される。
【0088】
(電子機器)
また、本発明の発光装置としては、前記のラインヘッド1に限定されることなく、一般的なパネル構成の有機EL表示装置に適用できる。したがって、このような有機EL表示装置を表示手段とすることにより、本発明は各種の電子機器に適用可能となる。
図14は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、前記の発光装置(有機EL表示装置)を表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
【0089】
なお、本発明の電子機器としては、前記携帯電話1300に限定されることなく、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係るラインヘッドモジュールの斜視断面図である。
【図2】ラインヘッドを模式的に示した図である。
【図3】(a)はラインヘッドの要部側断面図、(b)は模式図である。
【図4】SLアレイの斜視図である。
【図5】ラインヘッドの結合部分における拡大図である。
【図6】(a)、(b)は本発明の製造方法の一実施形態を説明するための図である。
【図7】本発明の製造方法を説明するための要部拡大模式図である。
【図8】本発明の製造方法の他の実施形態を説明するための図である。
【図9】本発明の製造方法の他の実施形態を説明するための図である。
【図10】本発明の製造方法の他の実施形態を説明するための図である。
【図11】ラインヘッドモジュールの使用形態を説明するための模式図である。
【図12】本発明の画像形成装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図13】本発明の画像形成装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図14】本発明の電子機器の一実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
1…ラインヘッド(発光装置)、2…素子基板、3…有機EL素子(発光素子)、30…封止基板、71…第1のシール材、72…封口部、73…幅広部、74a、74b…ガイド部、75…第2のシール材、76…シール材広がり防止部、80、160…画像形成装置、101…ラインヘッドモジュール、200…大型素子基板、300…大型封止基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を形成した素子基板と、該素子基板を封止する封止基板とがシール材を介して貼り合わされ、前記発光素子が前記素子基板と封止基板との間にて前記シール材により封止されてなる発光装置において、
前記シール材が第1のシール材と第2のシール材とからなり、
前記第1のシール材は、前記素子基板と封止基板との間において前記発光素子を囲むように形成され、かつ、該第1のシール材が配されずに該第1のシール材を不連続にする封口部を形成してなり、
前記第2のシール材は、前記第1のシール材の前記封口部を閉塞することにより、該第1のシール材とともに環状のシール部を形成してなり、
前記第1のシール材には、その封口部を形成する少なくとも一方の側に連続するガイド部が、前記封止基板に覆われることなく露出する前記素子基板の内面側にまで延びて形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記第1のシール材の封口部を形成する両方の側にそれぞれ連続して一対形成されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記一対のガイド部は、これらガイド部間の間隔が、前記封口部側で狭く、該封口部より遠ざかるに連れて漸次広くなるよう形成されていることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記一対のガイド部は、その開き角度が5°以上170°以下であることを特徴とする請求項3記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1のシール材には、前記封口部の近傍に、他の部位に比べてシール幅が広い幅広部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記素子基板の内面には、封口部の近傍で該封口部の内側に、凸状のシール材広がり防止部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記封口部が前記素子基板及び封止基板の側端部に配設されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
発光素子を形成した素子基板と、該素子基板を封止する封止基板とをシール材を介して貼り合わせ、前記発光素子を前記素子基板と封止基板との間にて前記シール材により封止する発光装置の製造方法において、
前記素子基板の内面に、前記発光素子を囲むように第1のシール材を配し、かつ、該第1のシール材を配さずに該第1のシール材を不連続にする封口部を形成する工程と、
前記素子基板上に、前記第1のシール材を介して封止基板を配置する工程と、
前記封止基板を前記素子基板上に配置した後、前記第1のシール材の前記封口部に第2のシール材を配して該封口部を閉塞することにより、該第1のシール材と第2のシール材とで環状のシール部を形成する工程と、を具備し、
前記の第1のシール材を配する工程では、前記封口部を形成する少なくとも一方の側に連続するガイド部を、前記封止基板に覆われることなく露出する前記素子基板の内面側にまで延ばして形成することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記素子基板及び封止基板として複数個取りの大型基板を用い、大型の素子基板と大型の封止基板とを前記シール材を介して貼り合わせた後、単位基板に個片化することを特徴とする請求項8記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
露光手段として、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置、あるいは請求項8又は9記載の製造方法によって得られた発光装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
表示手段として、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置、あるいは請求項8又は9記載の製造方法によって得られた発光装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
発光素子を形成した素子基板と、該素子基板を封止する封止基板とがシール材を介して貼り合わされ、前記発光素子が前記素子基板と封止基板との間にて前記シール材により封止されてなる発光装置において、
前記シール材が第1のシール材と第2のシール材とからなり、
前記第1のシール材は、前記素子基板と封止基板との間において前記発光素子を囲むように形成され、かつ、該第1のシール材が配されずに該第1のシール材を不連続にする封口部を形成してなり、
前記第2のシール材は、前記第1のシール材の前記封口部を閉塞することにより、該第1のシール材とともに環状のシール部を形成してなり、
前記第1のシール材には、その封口部を形成する少なくとも一方の側に連続するガイド部が、前記封止基板に覆われることなく露出する前記素子基板の内面側にまで延びて形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記第1のシール材の封口部を形成する両方の側にそれぞれ連続して一対形成されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記一対のガイド部は、これらガイド部間の間隔が、前記封口部側で狭く、該封口部より遠ざかるに連れて漸次広くなるよう形成されていることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記一対のガイド部は、その開き角度が5°以上170°以下であることを特徴とする請求項3記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1のシール材には、前記封口部の近傍に、他の部位に比べてシール幅が広い幅広部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記素子基板の内面には、封口部の近傍で該封口部の内側に、凸状のシール材広がり防止部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記封口部が前記素子基板及び封止基板の側端部に配設されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
発光素子を形成した素子基板と、該素子基板を封止する封止基板とをシール材を介して貼り合わせ、前記発光素子を前記素子基板と封止基板との間にて前記シール材により封止する発光装置の製造方法において、
前記素子基板の内面に、前記発光素子を囲むように第1のシール材を配し、かつ、該第1のシール材を配さずに該第1のシール材を不連続にする封口部を形成する工程と、
前記素子基板上に、前記第1のシール材を介して封止基板を配置する工程と、
前記封止基板を前記素子基板上に配置した後、前記第1のシール材の前記封口部に第2のシール材を配して該封口部を閉塞することにより、該第1のシール材と第2のシール材とで環状のシール部を形成する工程と、を具備し、
前記の第1のシール材を配する工程では、前記封口部を形成する少なくとも一方の側に連続するガイド部を、前記封止基板に覆われることなく露出する前記素子基板の内面側にまで延ばして形成することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記素子基板及び封止基板として複数個取りの大型基板を用い、大型の素子基板と大型の封止基板とを前記シール材を介して貼り合わせた後、単位基板に個片化することを特徴とする請求項8記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
露光手段として、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置、あるいは請求項8又は9記載の製造方法によって得られた発光装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
表示手段として、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置、あるいは請求項8又は9記載の製造方法によって得られた発光装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−95325(P2007−95325A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279248(P2005−279248)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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