説明

発光装置およびカメラシステム

【課題】本発明は、発光装置により撮像装置の遠隔制御を行う場合に、発光装置が発光しないことによる失敗撮影を防止する発光装置を提供する。
【解決手段】撮像装置の遠隔制御が可能な発光装置において、発光装置のメインコンデンサの充電電圧が発光許可電圧よりも低い場合、撮影動作の実行を指示するための操作を受け付けても撮像装置へ撮影動作の実行を指示する信号を送信しないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置および発光装置と撮像装置を有するカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラとカメラから空間的に離れた位置に配置された発光装置から構成されたカメラシステムが知られている。このようなカメラシステムにおいて、例えば、特許文献1では、発光装置から発せられたストロボ光をリモコン信号として使用し、カメラ本体に搭載されている測光手段によって受信判定を行い、カメラの遠隔制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−061109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、発光装置の充電状態が完了していない場合でもカメラで撮影することが可能となり、その結果、発光装置が発光せず失敗撮影となるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、発光装置により撮像装置の遠隔制御を行う場合に、発光装置が発光しないことによる失敗撮影を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る発光装置は、撮像装置の遠隔制御が可能な発光装置であって、前記撮像装置へ撮影動作の実行を指示するための操作を受け付ける操作手段と、前記操作手段により受け付けた前記操作にしたがって、前記撮像装置へ前記撮影動作の実行を指示する信号を送信する送信手段と、前記発光装置のメインコンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段により検出された前記充電電圧が前記発光装置の発光許可電圧よりも低い場合、前記操作手段により前記操作を受け付けても前記送信手段から前記信号を送信しないように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るカメラシステムは、発光装置と、当該発光装置により遠隔制御される撮像装置とを有するカメラシステムであって、前記発光装置は、前記撮像装置へ撮影動作の実行を指示するための操作を受け付ける操作手段と、前記操作手段により受け付けた前記操作にしたがって、前記撮像装置へ前記撮影動作の実行を指示する信号を送信する送信手段と、前記発光装置のメインコンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段により検出された前記充電電圧が前記発光装置の発光許可電圧よりも低い場合、前記操作手段により前記操作を受け付けても前記送信手段から前記信号を送信しないように制御する第1の制御手段と、を有し、前記撮像装置は、前記送信手段から送信される前記信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記信号に基づいて前記撮影動作を実行するように制御する第2の制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光装置により撮像装置の遠隔制御を行う場合に、発光装置が発光しないことによる失敗撮影を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカメラシステムにおけるカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態におけるストロボ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】スレーブストロボでカメラの遠隔制御をして撮影を行う際のスレーブストロボの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】スレーブストロボでカメラの遠隔制御をして撮影を行う際のカメラの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態における、スレーブストロボでカメラの遠隔制御をして撮影を行う際のスレーブストロボの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態における、スレーブストロボでカメラの遠隔制御をして撮影を行う際のスレーブストロボの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態における充電・発光部の充電完了予測時間の一例を示す図である。
【図8】第3の実施形態における、スレーブストロボでカメラの遠隔制御をして撮影を行う際のスレーブストロボの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本実施形態では、カメラと、カメラに内蔵または接続された発光装置(マスターストロボ)と、カメラから空間的に離れた位置に配置された発光装置(スレーブストロボ)を有するカメラシステムについて説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るカメラシステムにおけるカメラの概略構成を示すブロック図である。
【0013】
図1において、撮像装置であるカメラは、以下に説明する機能部を備える。すなわち、MPU101は、撮影シーケンスなどシステムを制御するためのカメラの制御部(第2の制御部)である。撮像素子103は、被写体からの反射光を電気信号に変換するCCDやCMOS等から成る。タイミング信号発生回路102は、撮像素子103を動作させるために必要なタイミング信号を発生する。A/D変換器104は、撮像素子103から出力されるアナログ画像データをデジタル画像データに変換する。メモリコントローラ105は、メモリの読み書きやバッファメモリ106のリフレッシュ動作などを制御する。
【0014】
画像表示部107は、バッファメモリ106に蓄えられた画像データに基づく画像を表示する。記録媒体I/F108は、記録媒体109との接続のためのインターフェースである。記録媒体109は、メモリカードやハードディスクなどの記録媒体である。なお、記録媒体109は、カメラに対して挿抜可能に構成されていても、カメラ内に固定されていてもよい。EEPROM110は、MPU101がカメラの動作を制御する際に使用する調整データ等を書き込んだり、その保存しているデータの読み出しを行うためのメモリである。
【0015】
モーター制御回路111は、MPU101からの信号に従って不図示のモーターを制御することにより、不図示のミラーのアップ・ダウンやシャッターのチャージを行わせる。シャッター制御回路112は、MPU101からの信号に従って、不図示のシャッター先幕、シャッター後幕の走行を制御する。測光回路113は、画面内の各エリアの輝度信号として、画面内を複数のエリアに分割した多分割測光センサ114からの出力をMPU101に出力する。MPU101はこの輝度信号を119のA/D変換器104により変換を行い、撮影の露出調節のための絞り値の演算とシャッタースピードの演算及び露光時の発光装置の本発光量の演算を行う。
【0016】
レンズ制御回路115は、不図示のレンズマウント接点を介してMPU101と通信し、不図示のレンズ駆動モーター及びレンズ絞りモーターを動作させ、レンズの焦点調節と絞りの制御を行う。焦点検出回路116は、AF(オートフォーカス)のための被写体に対するデフォーカス量を検出する機能を有する。
【0017】
SW1は、不図示のレリーズボタンの第1ストローク(半押し)でONし、AF及び測光などの撮影準備動作を開始させる。SW2は、不図示のレリーズボタンの第2ストローク(全押し)でONし、撮影動作を開始させる。不図示の内蔵ストロボポップアップスイッチを押すことにより、内蔵ストロボの発光部が露出し、内蔵ストロボ撮影を行うことができる。スイッチセンス回路117は、SW1,SW2、ポップアップスイッチ及びその他不図示のカメラの操作部からの信号を検知し、MPU101に信号を出力する。
【0018】
赤外線受信回路118は、外部からの赤外線によるパルス信号を受信し、MPU101へ出力する。MPU101は、この入力された連続パルス信号の間隔と回数に基づいて、例えばSW1,SW2がONになったときと同様の処理、すなわち、撮影準備動作及び撮影動作を行うことができる。なお、以下では、撮影準備動作及び撮影動作を合わせて撮影関連動作と呼ぶ。
【0019】
内蔵ストロボ充電・発光部121は、ストロボ制御回路120と接続されており、不図示の昇圧回路によって充電されるメインコンデンサや、ストロボ制御回路120からの発光信号に従って、ストロボ光を発光するストロボ発光回路(不図示)を備えている。
【0020】
また、内蔵ストロボ充電・発光部121は、ストロボ制御回路120からの連続発光信号に従って連続した短時間発光を行うことにより、光パルス信号を出力する送信部としても機能する。そして、その光パルス信号を後述する図2のスレーブストロボが受信することによって、スレーブストロボの発光制御を実現している。
【0021】
ストロボ電圧検出部122は、内蔵ストロボ充電・発光部121のメインコンデンサの充電電圧を検出する。
【0022】
外部インターフェース123は、外部機器である発光装置(以下、「外部ストロボ」と呼ぶ)などとの接続を行うインターフェースである。MPU101は、外部インターフェース123を介して接続された外部ストロボ(不図示)と通信する。外部ストロボをカメラに取り付けた場合は、その外部ストロボがマスターストロボとして機能する。
【0023】
なお、本実施形態では、カメラ内蔵のストロボをマスターストロボとした構成について説明しているが、カメラの外部インターフェースに接続した外部ストロボをマスターストロボとした構成にしても構わない。
【0024】
図2は、本発明の実施形態におけるカメラから空間的に離れた位置に配置された発光装置(スレーブストロボ)の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
図2において、スレーブストロボは、以下に説明する機能部を備える。すなわち、MPU201は、発光制御シーケンス、充電シーケンスなどシステムを制御するためのストロボの制御部(第1の制御部)である。充電・発光部203は、不図示の昇圧回路によって充電されるメインコンデンサや、MPU201からの発光信号に従って、ストロボ光を発光する不図示のストロボ発光回路を備えている。電圧検出部204は、充電・発光部203のメインコンデンサの充電電圧を検出する。発光した発光積分値やメインコンデンサの充電電圧は、A/D変換器202にて変換が行われ、充電電圧レベル演算及び発光量演算に利用される。
【0026】
SWは、ストロボの操作部であるボタンやスイッチが操作されることによって信号を出力し、その検出信号がスイッチセンス回路205からMPU201に送られる。また、不図示のリモートレリーズボタンが押下されることにより、MPU201に内蔵している不図示の水晶発振子から生成されるクロック信号をもとに赤外線パルス信号が生成され、赤外線送信回路208から赤外線パルス信号が出力される。上述したように、この赤外パルス信号により、カメラに対してレリーズボタンを押下したときと同様の処理を実行させることができる。すなわち、赤外パルス信号を用いることで、スレーブストロボで遠隔制御によりカメラの撮影関連動作の実行を指示することができる。
【0027】
表示部206は、スレーブストロボに設けられた表示部である。発光可能な充電レベルに到達した場合、表示部206上の不図示のLEDランプが点灯することによって、使用者に発光可能であることを報知する。受光回路207は、マスターストロボからの制御情報(光パルス信号)を受信するための受光回路である。
【0028】
外部インターフェース209は、カメラとの接続を行うインターフェースである。MPU201は、外部インターフェース209を介して接続されたカメラと通信する。本構成のストロボをカメラに取り付けた場合はマスターストロボとして機能する。
【0029】
次に、スレーブストロボでカメラの遠隔制御をして撮影を行う際のスレーブストロボの処理について図3を参照して説明する。
【0030】
図3は、スレーブストロボの処理の流れを示すフローチャートであり、フローチャートの各ステップは、MPU201が不図示のROM内のプログラムをRAMに読み出して実行することによって行われる。
【0031】
ステップS301では、MPU201は、スイッチセンス回路205を介して不図示のリモートレリーズボタンの状態検知を行い、リモートレリーズボタンが操作されたと判定した場合はステップS302へ移行する。一方、操作されていない場合はリモートレリーズボタンの状態検知を継続する。
【0032】
ステップS302では、MPU201は、自身のワイヤレス設定確認を行う。カメラの撮影に同期して自身も発光するモードである多灯ワイヤレス制御モードが設定されている場合はステップS303へ移行し、発光を行うための各種処理を行う。一方、多灯ワイヤレス制御モードが設定されていない場合はステップS307へ移行し、カメラを遠隔制御するための処理のみを行う。
【0033】
ステップS303では、MPU201は、充電・発光部203にストロボ発光に必要な充電電圧に達するまで充電を行うように充電を開始させる。ステップS304では、MPU201は、電圧検出部204により充電・発光部203の現在の充電電圧を検出させ、充電電圧を取得する。
【0034】
ステップS305では、MPU201は、ステップS304で取得した充電・発光部203の充電電圧が、ストロボ発光を許可する電圧(発光許可電圧)に達しているか否かを判定する。なお、発光許可電圧は、本発光時に最大発光量で発光可能な電圧以上の所定の電圧に設定されていて、MPU201は、充電電圧が発光許可電圧以となると発光許可を行う。
【0035】
発光許可電圧に達していないと判定した場合は、スレーブストロボが発光できない状態であるため、MPU201は、リモートレリーズボタンが操作されたことをキャンセルし(ステップS311)、ステップS301へ戻る。一方、MPU201が発光許可電圧に到達していると判定した場合、ステップS306へ移行する。このように、スレーブストロボが発光許可電圧に到達する前にリモートレリーズボタンが操作されたときは、発光許可電圧に到達するまでリモートレリーズボタンが操作されたことをキャンセルする。
【0036】
ステップS306では、MPU201は、スレーブストロボの発光が可能な状態であることを表示部206の不図示のLEDランプを点灯することによって使用者に報知する。次に、ステップS307では、MPU201は、内蔵している不図示の水晶発振子から生成されるクロック信号をもとに赤外線パルス信号を生成し、赤外線送信回路208に赤外線パルス信号の出力を開始させる。
【0037】
ステップS308では、MPU201は、ステップS302と同様に、再び自身のワイヤレス設定確認を行う。多灯ワイヤレス制御モードが設定されている場合はステップS309へ移行する。
【0038】
ステップS309では、MPU201は、カメラ側の内蔵ストロボ充電・発光部121からの光パルス信号を受光回路207にて受信する。MPU201は、その受信した光パルス信号から発光時間、発光量等の情報をデコードし、ステップS310において所望の発光制御を行う。
【0039】
図4は、スレーブストロボでカメラの遠隔制御をして撮影を行う際のカメラの処理の流れを示すフローチャートであり、フローチャートの各ステップは、MPU101が不図示のROM内のプログラムをRAMに読み出して実行することによって行われる。
【0040】
ステップS321では、MPU101は、ストロボ充電・発光部121でストロボ発光に必要な充電電圧に達するまで充電を行い、ストロボ電圧検出部122によりストロボ充電・発光部121の充電電圧を検出させる。そして、ストロボ制御回路120を介して充電電圧レベルを取得する。
【0041】
ステップS322では、MPU101は、赤外線受信回路118により外部からの赤外線パルス信号の受信待ちを行う。赤外線パルス信号の受信がなされると、MPU101は、赤外線パルス信号における連続パルスの間隔と回数に基づいて、ステップS323へ直ちに移行するか、所定時間経過後に移行するかを決定する。本実施形態では、所定時間を2秒としている。
【0042】
ステップS323では、MPU101は、焦点検出回路116を含む不図示の焦点検出ユニット内の焦点検出ラインセンサに結像された被写体象のずれから、公知の方法で焦点検出を行う。そして、合焦位置までのレンズ駆動量を演算して、レンズ制御回路115を介してレンズの焦点調節を行う。
【0043】
次に、ステップS324において焦点検出結果が合焦と判定された場合はステップS325へ移行する一方、非合焦と判定された場合は、本処理を終了する。
【0044】
ステップS325では、MPU101は、多分割測光センサ114によって測定された現在の被写体輝度を測光回路113を介して輝度信号として取得する。そして、MPU101は、この輝度信号をA/D変換器104にて変換し、撮影の露出制御のための演算を行い、絞り値、シャッター秒時など露出制御値を決定する。
【0045】
ステップS326では、MPU101は、スイッチセンス回路117を介してストロボポップアップスイッチの状態検知を行う。ストロボがポップアップした状態は内蔵ストロボでの発光が可能な状態となることからステップS328へ移行する。一方、ストロボがポップアップしていない状態の場合はステップS327へ移行する。
【0046】
ステップS327では、MPU101は、モーター制御回路111により不図示のモーター制御を行い、内蔵ストロボのポップアップ制御を行う。ステップS328では、MPU101は、スレーブストロボのワイヤレス設定確認を行う。多灯ワイヤレス制御モードが設定されていない場合、スレーブストロボの制御に必要な光パルス信号の送信は行わず、ステップS330へ移行する。
【0047】
ステップS329では、MPU101は、内蔵ストロボ充電・発光部121をパルス的に断続発光させてスレーブストロボへの光パルス信号を出力し、スレーブストロボへ発光情報を伝達する。
【0048】
ステップS330では、MPU101は、シャッター制御回路112により先幕の走行を開始し、演算されたシャッター秒時露光を行った後に後幕の走行を開始する。その後、タイミング信号発生回路102が発生するタイミング信号にしたがって、撮像素子103からアナログ画像データの出力を開始する。そして、全撮像素子の出力が終了した後、A/D変換器104でデジタル画像データを作成し、記録媒体109に画像データを記録し、撮影動作が終了となる。
【0049】
以上のように、スレーブストロボでカメラの遠隔制御をして、スレーブストロボの発光を同期させた撮影を行う場合、スレーブストロボが発光許可電圧よりも低いときにカメラを遠隔制御するための操作が行われても、カメラに撮影関連動作の実行指示を行わない。具体的には、上述したように、スレーブストロボが発光許可電圧よりも低いときにカメラの遠隔制御するための操作が行われても、操作が行われたことをキャンセルして、カメラに撮影関連動作の実行を指示する赤外線パルス信号を出力しないようにする。このようなスレーブストロボの制御を行うことで、発光装置により撮像装置の遠隔制御を行う場合に、発光装置が発光しないことによる失敗撮影を防止することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本発明の第2の実施の形態に係るカメラシステムは、その構成が図1、図2と同じであり、第1の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点を主に説明する。
【0051】
図5及び図6は、第2の実施形態におけるスレーブストロボでカメラの遠隔制御をして撮影を行う際のスレーブストロボの処理の流れを示すフローチャートである。図5及び図6のフローチャートの各ステップは、MPU201が不図示のROM内のプログラムをRAMに読み出して実行することによって行われる。
【0052】
ステップS401では、MPU201は、スイッチセンス回路205を介してリモートレリーズボタンの状態検知を行い、リモートレリーズボタンが操作されたと判定した場合はステップS402へ移行する。一方、操作されていない場合はリモートレリーズボタンの状態検知を継続する。
【0053】
ステップS402では、MPU201は、自身のワイヤレス設定確認を行う。多灯ワイヤレス制御モードが設定されていない場合はステップS403へ移行し、カメラを遠隔制御するための処理のみを行う。一方、多灯ワイヤレス制御モードが設定されている場合はステップS406へ移行し、発光を行うための各種処理を行う。
【0054】
ステップS403では、MPU201は、スイッチセンス回路205を介して不図示のレリーズタイミング設定ボタンの状態検知を行う。そして、カメラが赤外線パルス信号を受信して即時撮影関連動作を行う即時レリーズ設定であると判定した場合はステップS404へ移行する。一方、カメラが赤外線パルス信号を受信してから2秒後に撮影関連動作を行う2秒後レリーズ設定であると判定した場合はステップS405へ移行する。
【0055】
ステップS404では、MPU201は、赤外線送信回路208に即時撮影関連動作を行うための赤外線パルス信号の出力を開始させる。
【0056】
ステップS405では、MPU201は、赤外線送信回路208に2秒後に撮影関連動作を行うための赤外線パルス信号の出力を開始させる。
【0057】
ステップS404またはステップS405で出力された赤外線パルス信号は、カメラ側の赤外線受信回路118で受信され、MPU101へ出力される。MPU101は、この入力された赤外線パルス信号の連続パルスの間隔と回数に基づいて、即時撮影関連動作を行うか2秒後に撮影関連動作を行うかを決定する。
【0058】
なお、2秒後レリーズ設定を行う場合、撮影動作が2秒後に開始されればよいため、撮影動作に先だって行われる撮影準備動作は、カメラが赤外線パルス信号を受信した直後に行うようにしても構わない。その場合、撮影準備動作の開始タイミングと撮影動作の開始タイミングをそれぞれ設定した赤外線パルス信号を出力するようにすればよい。
【0059】
ステップS406では、MPU201は、充電・発光部203でストロボ発光に必要な充電電圧に達するまで充電を行うように充電を開始させる。ステップS407では、MPU201は、電圧検出部204により充電・発光部203の現在の充電電圧を検出させ、充電電圧を取得する。
【0060】
ステップS408では、MPU201は、2秒後レリーズ設定かどうかを判定し、即時レリーズ設定であればステップS409へ移行し、2秒後レリーズ設定であればステップS412へ移行する。
【0061】
ステップS409では、MPU201は、ステップS407で取得した充電・発光部203の充電電圧が、発光許可電圧に達しているか否かを判定する。発光許可電圧に達していないと判定した場合は、スレーブストロボが発光できない状態であるため、MPU201は、リモートレリーズボタンが操作されたことをキャンセルし(ステップS418)、ステップS401へ戻る。
【0062】
一方、MPU201が発光許可電圧に到達していると判定した場合、ステップS410へ移行する。このように即時レリーズ設定である場合、スレーブストロボが発光許可電圧に到達する前にリモートレリーズボタンが操作されたときは、発光許可電圧に到達するまでリモートレリーズボタンが操作されたことをキャンセルする。
【0063】
ステップS410では、MPU201は、スレーブストロボの発光が可能な状態であることを表示部206の不図示のLEDランプを点灯することによって使用者に報知する。
【0064】
次に、ステップS411では、MPU201は、赤外線送信回路208に即時撮影関連動作を行うための赤外線パルス信号の出力を開始させる。
【0065】
ステップS412では、MPU201は、充電完了予測時間演算を行う。MPU201は、図7に示すように、ストロボ電源起動直後の充電電圧Va,Vb,Vcに対する充電時間Ta,Tb,Tcを計測し、このTa,Tb,Tcより発光許可電圧Vokまでの充電時間を電池の特性を含めて作成する。MPU201は、このVokまでの充電時間を予測したグラフを用いて、T2−T1=2秒となる充電電圧レベルVcurrentを算出する。
【0066】
ステップS413では、MPU201は、ステップS407で取得した充電・発光部203の充電電圧が、2秒後に充電許可電圧に到達するか否かを判定する。すなわち、ステップS407で取得した充電電圧がステップS412で算出したVcurrent以上であると判定した場合、MPU201は、2秒後に撮影動作を開始するまでには発光許可電圧に充電電圧が到達するとみなし、ステップS414へ移行する。一方、充電電圧がVcurrent未満であると判定した場合、MPU201は、2秒後に発光許可電圧に充電電圧が到達しないと判断し、ステップS419へ移行する。そして、ステップS419では、リモートレリーズボタンが操作されたことをキャンセルし、ステップS401へ戻る。
【0067】
ステップS414では、MPU201は、発光可能状態であることを表示部206の不図示のLEDランプを用いてVok以上であれば点灯、Vok未満であれば点滅をさせることによって使用者に報知する。すなわち、すでに発光許可電圧に達していて発光可能であることを示す情報とは異なる形態で、まだ発光許可電圧に達していないが2秒後には発光許可電圧に達すると予想されるため赤外線パルス信号の送信が可能であることを示す情報を報知する。
【0068】
ステップS415では、MPU201は、赤外線送信回路208から2秒後に撮影関連動作を行うための赤外線パルス信号の出力を開始させる。このように2秒後レリーズ設定である場合、リモートレリーズボタンが操作されたときには発光許可電圧よりも充電電圧が低くても、2秒後に発光許可電圧に達する充電電圧であれば赤外線パルス信号を出力する。
【0069】
次に、ステップS416では、カメラ側の内蔵ストロボ充電・発光部121からの光パルス信号を受光回路207にて受信する。MPU201は、その受信した光パルス信号から発光時間、発光量等の情報をデコードし、ステップS417において所望の発光制御を行う。
【0070】
第2の実施形態におけるカメラの処理の流れについては、第1の実施形態の図4で説明したフローチャートと同様であることから、その説明は省略する。
【0071】
以上のように、予め設定した所定時間後に撮影を開始するようにカメラを遠隔制御する場合、スレーブストロボが発光許可電圧でなければ発光許可電圧に達するまでの時間を予測し、予測した時間が所定時間以下であればカメラに撮影関連動作の実行を指示する。言い換えれば、スレーブストロボが発光許可電圧でなくても、所定時間後に発光許可電圧以上になる充電電圧であればカメラへ撮影関連動作の実行を指示する。このようなスレーブストロボの制御を行うことで、発光装置により撮像装置の遠隔制御を行う場合に、発光装置が発光しないことによる失敗撮影を防止することができる。また、スレーブストロボが発光許可電圧でない場合に、スレーブストロボの充電待ち時間を効率よく利用することができる。
【0072】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、本発明の第3の実施の形態に係るカメラシステムは、その構成が図1、図2と同じであり、第1の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点を主に説明する。
【0073】
図8は、第3の実施形態におけるスレーブストロボでカメラの遠隔制御をして撮影を行う際のスレーブストロボの処理の流れを示すフローチャートである。図8のフローチャートの各ステップは、MPU201が不図示のROM内のプログラムをRAMに読み出して実行することによって行われる。
【0074】
ステップS501〜S504,S506〜S510は、第1の実施形態で説明した図3のステップS301〜S304,S306〜S310と同等の制御である。
【0075】
ステップS505では、MPU201は、ステップS504で取得した充電・発光部203の充電電圧が、発光許可電圧に達しているか否かを判定する。発光許可電圧に達していないと判定した場合は、スレーブストロボが発光できない状態であるため、ステップS504に戻って充電検出を行う。そして、充電電圧が発光許可電圧に達するまで充電電圧を監視し、発光許可電圧に達するとステップS506へ移行する。
【0076】
第3の実施形態におけるカメラの処理の流れについては、第1の実施形態の図4で説明したフローチャートと同様であることから、その説明は省略する。
【0077】
以上のように、スレーブストロボが発光許可電圧よりも低いときにカメラを遠隔制御するための操作が行われた場合、発光許可電圧に達するまでカメラへ撮影関連動作の実行指示を行うのを待機し、発光許可電圧に達してから撮影関連動作の実行を指示する。このようなスレーブストロボの制御を行うことで、発光装置により撮像装置の遠隔制御を行う場合に、発光装置が発光しないことによる失敗撮影を防止することができる。また、ユーザはスレーブストロボの充電電圧を気にすることなくカメラを遠隔制御するための操作を行うことができる。
【0078】
なお、上記の3つの実施形態では、カメラ側からスレーブストロボ側へ光信号を送信しスレーブストロボ側からカメラ側へ赤外線信号を送信するカメラシステムを説明したが、カメラ側とスレーブストロボ側との通信方式はこれらに限定されるものではない。例えば、カメラ側からスレーブストロボ側への通信及びスレーブストロボ側からカメラ側への通信をともに電波信号により行うカメラシステムであってもよい。
【0079】
また、上記の3つの実施形態では、カメラ内蔵のストロボを介してスレーブストロボの制御情報を送信する構成を説明したが、ストロボとしての機能を有さない通信装置をカメラの外部インターフェースに接続してスレーブストロボとの通信を行う構成でもよい。
【0080】
また、上記の3つの実施形態では、撮影動作の前にAF及び測光などの撮影準備動作を行う場合を説明したが、撮影動作の前に撮影準備動作を必ず実行する必要はなく、例えば、マニュアルフォーカスモードに設定されているときはAFを行わなくてもよい。あるいは、マニュアル露出制御モードが設定されているときや露出固定モードに設定されているときは測光を行わなくてもよい。すなわち、スレーブストロボのリモートレリーズボタンを操作することで、少なくともカメラの撮影動作の実行を指示する構成であればよい。
【0081】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0082】
101,201 MPU
118 赤外線受信回路
120 ストロボ制御回路
121 内蔵ストロボ充電・発光部
122 ストロボ電圧検出部
203 充電・発光部
204 電圧検出部
206 表示部
207 受光部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の遠隔制御が可能な発光装置であって、
前記撮像装置へ撮影動作の実行を指示するための操作を受け付ける操作手段と、
前記操作手段により受け付けた前記操作にしたがって、前記撮像装置へ前記撮影動作の実行を指示する信号を送信する送信手段と、
前記発光装置のメインコンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された前記充電電圧が前記発光装置の発光許可電圧よりも低い場合、前記操作手段により前記操作を受け付けても前記送信手段から前記信号を送信しないように制御する制御手段と、を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記撮影動作に同期させて前記発光装置を発光させるか否かを設定する設定手段を有し、
前記制御手段は、前記設定手段により前記撮影動作に同期させて前記発光装置を発光させる設定がなされている場合、前記充電電圧が前記発光許可電圧よりも低いときは前記操作手段により前記操作を受け付けても前記送信手段から前記信号を送信しないように制御し、
前記設定手段により前記撮影動作に同期させて前記発光装置を発光させない設定がなされている場合、前記充電電圧が前記発光許可電圧よりも低くても前記操作手段により受け付けた前記操作にしたがって前記送信手段から前記信号を送信するように制御することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光装置は、前記操作手段を操作してから所定時間経過後に前記撮影動作を実行させるように前記撮像装置を遠隔制御でき、
前記制御手段は、前記充電電圧が前記発光許可電圧よりも低い場合であっても、充電により前記所定時間経過後に前記充電電圧が前記発光許可電圧以上となる電圧であれば、前記操作手段により受け付けた前記操作にしたがって前記送信手段から前記信号を送信するように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記充電電圧が前記発光許可電圧よりも低い場合に、充電により前記充電電圧が前記発光許可電圧に達するのに要する時間を予測する予測手段を有し、
前記制御手段は、前記予測手段により予測された時間が前記所定時間よりも短い場合、前記操作手段により受け付けた前記操作にしたがって前記送信手段から前記信号を送信するように制御することを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記充電電圧が前記発光許可電圧よりも低い状態で前記操作手段により前記操作を受け付けた場合、充電により前記充電電圧が前記発光許可電圧以上になるまで前記送信手段から前記信号を送信しないように制御し、前記充電電圧が前記発光許可電圧以上になったら前記送信手段から前記信号を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項6】
発光装置と、当該発光装置により遠隔制御される撮像装置とを有するカメラシステムであって、
前記発光装置は、
前記撮像装置へ撮影動作の実行を指示するための操作を受け付ける操作手段と、
前記操作手段により受け付けた前記操作にしたがって、前記撮像装置へ前記撮影動作の実行を指示する信号を送信する送信手段と、
前記発光装置のメインコンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された前記充電電圧が前記発光装置の発光許可電圧よりも低い場合、前記操作手段により前記操作を受け付けても前記送信手段から前記信号を送信しないように制御する第1の制御手段と、を有し、
前記撮像装置は、
前記送信手段から送信される前記信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記信号に基づいて前記撮影動作を実行するように制御する第2の制御手段と、を有することを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−163680(P2012−163680A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22658(P2011−22658)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】