発光装置
【課題】複数色の光を混合して発光する発光装置において、色むらの低減を図る。
【解決手段】発光装置1は、LED3と、LED3から出射された光を異なる色の光に波長変換する波長変換部材5と、を備える。波長変換部材5は、光導出面側に凸の樋状とされている。この構成により、LED3から出射された多くの光が、波長変換部材5に対して直角に入射する。波長変換部材5を伝搬する光の光路長差が小さくなるため、波長変換部材5に入射した光は、同程度波長変換されることになる。そのため、波長変換部材5から導出される光の色むらを低減することができる。また、波長変換部材5が樋状とされていることにより、LED3の側方にも波長変換部材5が配置される。これにより、発光装置1の側方にも光を照射することが可能となると共に、波長変換部材5の曲率を調整することにより側方へ照射される光の配光を制御することができる。
【解決手段】発光装置1は、LED3と、LED3から出射された光を異なる色の光に波長変換する波長変換部材5と、を備える。波長変換部材5は、光導出面側に凸の樋状とされている。この構成により、LED3から出射された多くの光が、波長変換部材5に対して直角に入射する。波長変換部材5を伝搬する光の光路長差が小さくなるため、波長変換部材5に入射した光は、同程度波長変換されることになる。そのため、波長変換部材5から導出される光の色むらを低減することができる。また、波長変換部材5が樋状とされていることにより、LED3の側方にも波長変換部材5が配置される。これにより、発光装置1の側方にも光を照射することが可能となると共に、波長変換部材5の曲率を調整することにより側方へ照射される光の配光を制御することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light emitting diode)等の固体発光素子を用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からLEDと波長変換部材を用いて、複数色の光を混合して発光する発光装置が知られている。このような発光装置は、例えば、図12に示されるように、青色光を発するLED10と、LED10からの青色光を黄色光に波長変換する波長変換部材20と、光を反射するリフレクタ30と、を備える。波長変換部材20で生み出された黄色光は、波長変換部材20により波長変換されなかった青色光と互いに混ざり合って白色光となり、波長変換部材20から導出される(例えば、特許文献1乃至4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−270701号公報
【特許文献2】特開2009−060094号公報
【特許文献3】特開2008−218485号公報
【特許文献4】特開2008−123969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような発光装置では、LED10から出射される光の照射角によって波長変換部材20を伝搬する光の光路長が異なる。例えば、図12に示されるように、LED10から略垂直に出射された光は、波長変換部材20を光路長d1で通過するのに対し、LED10から斜めに出射された光は、波長変換部材20を光路長d2で通過する。このとき、d1<d2となるため、LED10から斜めに出射された光は、LED10から略垂直に出射された光に比べて、より多く波長変換されることになる。このように、LED10から出射される光は、その照射角によって波長変換される度合いが異なるため、色むらを生じ易い。また、この発光装置は、LED10の側方にリフレクタ30が配置されているため、装置の側方に光を照射することができない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、色むらの少ない光を発することができ、しかも発光装置の側方にも配光可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光装置は、配線基板上に実装された複数の固体発光素子と、前記複数の固体発光素子の互いに隣接した素子同士がグループを成した複数の発光グループと、前記発光グループ毎に当該発光グループに含まれる固体発光素子の光導出面を被覆する複数の透明封止部材と、前記透明封止部材毎に当該透明封止部材の光導出面を被覆して、前記固体発光素子から出射された光を前記発光グループ毎に異なる色の光に波長変換する複数の波長変換部材と、を備え、前記複数の波長変換部材の各々は、光導出面側に凸の樋状に構成されていることを特徴とする。
【0007】
前記複数の波長変換部材の各々は、それぞれ直接、又は前記透明封止部材から導出された光を透過する透明部材を介して、又は空気層を介して、又は当該透明部材と空気層とを介して前記透明封止部材の光導出面を被覆することが好ましい。
【0008】
前記複数の固体発光素子は、前記配線基板上にアレイ状又はマトリクス状に実装され、
前記透明封止部材及び波長変換部材は、それぞれ長尺状又は面状とされることが好ましい。
【0009】
本発光装置は、前記複数の波長変換部材の少なくとも一部の光導出面に、光を拡散する光拡散パネルを備えることが好ましい。
【0010】
前記複数の波長変換部材から導出される光の色は、光の三原色であることが好ましい。
【0011】
前記複数の透明封止部材の各々は、それぞれ光導出面側に凸の樋状に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発光装置によれば、波長変換部材が樋状とされているので、従来の発光装置と比較して、固体発光素子から出射された多くの光が、波長変換部材に対して直角に入射する。これにより、波長変換部材を伝搬する光の光路長差が小さくなるため、波長変換部材に入射した光は、同程度波長変換されることになる。そのため、波長変換部材から導出される光の色むらを低減することができる。また、波長変換部材が樋状とされていることにより、固体発光素子の側方にも波長変換部材が配置されるので、装置の側方にも光を照射することが可能となると共に、波長変換部材の曲率を調整することにより側方へ照射される光の配光を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の分解斜視図。
【図2】上記発光装置の横断面図。
【図3】上記発光装置が発する光のxy色度図。
【図4】(a)(b)(c)は、それぞれ上記実施形態の第1の変形例に係る発光装置の横断面図。
【図5】上記実施形態の第2の変形例に係る発光装置の分解斜視図。
【図6】上記実施形態の第3の変形例に係る発光装置の分解斜視図。
【図7】(a)は上記実施形態に係る発光装置を用いた照明器具の斜視図、(b)は同照明器具の横断面図。
【図8】(a)は上記照明器具の変形例の斜視図、(b)は同照明器具の横断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る発光装置の分解斜視図。
【図10】上記発光装置の横断面図。
【図11】上記発光装置を用いた照明器具の斜視図。
【図12】従来の発光装置の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る発光装置について、図1乃至図8を参照して説明する。本発光装置は、固体発光素子としてLEDを用いている。
【0015】
図1及び図2に示されるように、発光装置1は、矩形状の配線基板2上に実装された複数のLED3を備える。これらLED3は、いずれも点状光源であり、互いに隣接したLED3同士がグループを成しており、3つの発光グループ3a、3b、3cを形成している。LED3は、例えば、略405nmにピーク波長を有する近紫外光を発するものを用いればよい。発光グループ3a、3b、3cは、それぞれ配線基板2の長手方向に沿って伸び、互いに隣接して配置されている。各グループに属するLED3は、それぞれ配線基板2上にアレイ状(千鳥配列状)に実装されており、その光導出面は、グループ毎に透明封止部材4により被覆されている。これら3つの透明封止部材4は、それぞれ光導出面側が凸となった樋状とされ、透明封止部材4の光導出面は、透明封止部材4毎に波長変換部材5により被覆されている。これら波長変換部材5は、透明封止部材4と同様に、それぞれ光導出面側が凸となった樋状に構成されている。3つの波長変換部材5は、波長変換部材5(R:赤)と、波長変換部材5(G:緑)と、波長変換部材5(B:青)と、から構成される。波長変換部材5(R)は、LED3からの近紫外光を赤色光に波長変換する赤色蛍光体を備える。波長変換部材5(G)は、LED3からの近紫外光を緑色光に波長変換する緑色蛍光体を備える。波長変換部材5(B)は、LED3からの近紫外光を青色光に波長変換する青色蛍光体を備える。波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)は、それぞれ発光グループ3a、3b、3cに対応する位置に配置される。
【0016】
配線基板2は、高い熱伝導率を有するアルミニウム等の金属やガラスエポキシ等の樹脂を母材として構成されており、その表面には10μm以上の厚みを有する白色ソルダーレジストが塗布されている。配線基板2は、そのLED実装面に高い光反射率を有する光反射部材(図示なし)を備える。光反射部材は、例えば、銀やアルミニウム等から構成される。また、配線基板2は、LED3への給電を担う配線パターン(図示なし)を備える。なお、配線基板2の構造及び構成材料は、本実施形態のものに限定されない。また、配線基板2は、配線基板2を天井や壁等に取り付けるための保持構造(図示なし)を備える。
【0017】
配線基板2上に実装されるLED3の数は、特に限定されるものではなく、必要とされる光束に応じて適宜決定される。また、LED3は、配線基板2の配線パターンに対してフェイスアップ実装されてもよいし、配線パターンに対してフリップチップ実装されてもよい。
【0018】
透明封止部材4は、1.2〜1.7の屈折率を有する透光性材料から構成される。透光性材料は、例えば、透明シリコーン樹脂、透明エポキシ樹脂、又は透明ガラスとされる。なお、透明封止部材4の形状は、必ずしも樋状に限定されず、例えば、半楕円体状とされてもよい。
【0019】
波長変換部材5は、透明シリコーン樹脂や透明ガラス等の透光性材料を母材として構成される。この透光性材料の屈折率は、透明封止部材4を構成する材料の屈折率よりも大きくされる。波長変換部材5は、透明封止部材4の光導出面に直接密着された状態で配置される。このような構造は、樋状の波長変換部材5の凹部に透明封止部材4をポッティングし、これらの部材を反転させてLED3を封止した後、透明封止部材4を硬化させることにより得られる。
【0020】
発光装置1は、LED3の発光を制御する駆動ドライバ(図示なし)を備える。駆動ドライバは、スイッチやマイコン等から構成された調光装置を有し、商用電源に接続されると共に、配線パターンを介してLED3と電気的に接続されている。駆動ドライバは、商用電源から得た電力のLED3への供給を制御することにより、LED3をオン/オフ制御及び調光制御する。駆動ドライバは、複数設けられ、発光グループ3a、3b、3cの各々に属するLED3をそれぞれ一括して制御する3種類から構成される。
【0021】
上記のように構成された本実施形態の発光装置1の作用を説明する。LED3から出射された光は、透明封止部材4を透過し、波長変換部材5に入射する。このとき、図2の破線矢印で示されるように、波長変換部材5へ入射する光の多くは、波長変換部材5が樋状とされているため、波長変換部材5に対して直角に入射する。これにより、波長変換部材5を伝搬する光の光路長差が小さくなるため、各々の入射光は、同程度波長変換されることになる。そのため、波長変換部材5から導出される光は、色むらの少ない光となる。また、波長変換部材5に入射した光は、波長変換部材5に含まれる蛍光体分子に衝突して種々の方向に散乱される。これにより、波長変換部材5の輝度むらが低減され、波長変換部材5を全面に亘って均等な光を発する面状光源とすることができる。
【0022】
波長変換部材5は、LED3から出射された近紫外光を発光グループ3a、3b、3c毎に異なる色(赤色、緑色、青色)の光に波長変換する。これにより、波長変換部材5から導出される光の色は、光の三原色となる。これらの光は、波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)が互いに隣接して配置されているため、容易に混ざり合い、色むらの少ない白色光となる。
【0023】
波長変換部材5から導出される白色光の色調は、図3に示されるxy色度図において、赤色、緑色、青色の3点を結ぶ三角形の内側の色調であれば、各色に対応した駆動ドライバを用いて自在に調整可能である。例えば、発光グループ3aに属するLED3を制御する駆動ドライバを用いて、これらLED3の出力を上げて波長変換部材5(R)から導出される赤色光を増やすことにより、波長変換部材5から導出される白色光を赤みがかった白色光とすることができる。また、波長変換部材5から導出される白色光の色調や明るさは、波長変換部材5に含まれる蛍光体の種類、濃度、他の蛍光体との濃度比等を変化させることによっても調整され得る。
【0024】
また、波長変換部材5が樋状とされていることにより、LED3の側方にも波長変換部材5が配置される。これにより、発光装置1の側方にも光を照射することが可能となると共に、波長変換部材5の樋状構造の曲率を調整することにより、側方へ照射される光の配光を制御することができる。
【0025】
また、波長変換部材5を構成する透光性材料の屈折率を、透明封止部材4を構成する透光性材料の屈折率よりも大きくすることにより、LED3から出射された光が、これらの部材の界面で全反射されるのを防ぐことができる(図2参照)。これにより、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。また、波長変換部材5において散乱された光や波長変換部材5と外界(大気)との界面において全反射された光の一部は、上記界面において全反射される。これにより、発光装置1の内部方向へ戻る光を低減することができる。
【0026】
上記界面において全反射されずに発光装置1の内部方向へ戻った光は、配線基板2のLED実装面に光反射部材が設けられているため、光反射部材により反射され、再び発光装置1の外部方向へ向かい得る。これにより、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。
【0027】
また、配線基板2が熱伝導率の高い材料から構成されていることにより、LED3の発光に伴って生じた熱や波長変換部材5における蛍光体による波長変換に伴って生じた熱を、配線基板2を通じて外界へ放熱することができる。これにより、発光装置1内部の異常な温度上昇を防ぐことができるため、LED3の寿命を延ばすことが可能となると共に、蛍光体の熱劣化を抑制することができる。
【0028】
また、LED3を配線基板2上にアレイ状(千鳥配列状)に実装することにより、互いに隣接するLED3間に距離ができるため、各々のLED3が発光に伴って発する熱を効率良く放熱することが可能となる。また、LED3が均等に配置されるため、LED3から出射される光に輝度むらが発生しにくくなる。
【0029】
発光装置1は、発光装置1の光導出面を被覆する紫外線フィルタ(図示なし)を備えていてもよい。この紫外線フィルタは、樹脂やガラス等から構成された波長制御用の光学フィルタであり、近紫外光をカットする。発光装置1の光導出面に紫外線フィルタを設けることにより、発光装置1が照射する光から近紫外光をカットすることができる。これにより、発光装置1のユーザに悪影響を与えることなく、安全に発光装置1を使用することが可能となる。
【0030】
次に、本実施形態の第1の変形例に係る発光装置を図4(a)(b)(c)に示す。図4(a)に示される発光装置1は、透明封止部材4と波長変換部材5との間に、透明封止部材4から導出された光を透過する樋状の透明部材6aを備える。このような構造は、透明部材6aの凹部に透明封止部材4をポッティングし、これらを反転させてLED3を封止した後、透明部材6aの光導出面を波長変換部材5で被覆することにより得られる。透明部材6aは、熱伝導率の高い透光性材料から構成され、例えば、透明ガラスから構成される。透明部材6aを設けることにより、波長変換部材5において蛍光体による波長変換に伴って生じた熱を、透明部材6a及び透明封止部材4を介して配線基板2へ効率良く放熱することが可能となるため、蛍光体の熱劣化を抑制することができる。透明部材6aを構成する材料の屈折率は、透明封止部材4を構成する材料の屈折率よりも大きく、かつ波長変換部材5を構成する材料の屈折率よりも小さくされる。これにより、透明封止部材4と透明部材6aとの界面や透明部材6aと波長変換部材5との界面においてLED3から出射された光が全反射されるのを防ぐことができるため、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。また、波長変換部材5において波長変換された光が、発光装置1の内部方向へ戻ることを抑制することができる。
【0031】
図4(b)に示される発光装置1は、透明封止部材4と波長変換部材5との間に、空気層6bを備える。このような構造は、透明封止部材4によりLED3を封止した後、隙間を設けて透明封止部材4の光導出面を波長変換部材5で被覆することにより得られる。空気層6bを設けることにより、波長変換部材5と空気層6bとの界面においてLED3から出射された光が全反射されるのを防ぐことができるため、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。また、波長変換部材5において波長変換された光が、発光装置1の内部方向へ戻ることを抑制することができる。更に、空気層6bは断熱作用を有するため、波長変換部材5における波長変換に伴って生じた熱が透明封止部材4に伝播しにくくなるため、透明封止部材4の熱劣化を抑制することができる。
【0032】
図4(c)に示される発光装置1は、透明封止部材4と波長変換部材5との間に、LED3実装面側から順に透明部材6aと空気層6bとを備える。このような構造は、透明部材6aの凹部に透明封止部材4をポッティングし、これらを反転させてLED3を封止した後、隙間を設けて透明封止部材4の光導出面を波長変換部材5で被覆することにより得られる。透明部材6aと空気層6bとを設けることにより、透明封止部材4と透明部材6aとの界面や空気層6bと波長変換部材5との界面においてLED3から出射された光が全反射されるのを防ぐことができるため、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。また、波長変換部材5において波長変換された光が、発光装置1の内部方向へ戻ることを防止することができる。更に、波長変換部材5における波長変換に伴って生じた熱が透明封止部材4に伝播しにくくなるため、透明封止部材4の熱劣化を抑制することができる。
【0033】
次に、本実施形態の第2の変形例に係る発光装置を図5に示す。図5に示される発光装置1は、発光グループ3a、3b、3c毎にマトリクス状(面状)に配置されたLED3と、共に上面視面状とされる透明封止部材4及び波長変換部材5と、を備える。本変形例による発光装置1は、LED3の配置並びに透明封止部材4の構造及び波長変換部材5の構造が異なる以外は、図1に示される発光装置1と同一の構造を備える。本変形例によれば、発光装置1を各色発光面の上面視が略正方形となっている面状光源とすることができる。
【0034】
次に、本実施形態の第3の変形例に係る発光装置を図6に示す。図6に示される発光装置1は、各々2つずつの発光グループ3a、3b、3cと、各々の発光グループ3a、3b、3c毎に直線状に配置されたLED3と、共に上面視長尺状とされる透明封止部材4及び波長変換部材5と、を備える。ここで、発光グループ3a、3b、3cは、発光グループ3a−3b−3cの並びが2回繰り返す形で横並びに配置されている。本変形例による発光装置1は、LED3の配置並びに透明封止部材4の構造及び波長変換部材5の構造が異なる以外は、図1に示される発光装置1と同一の構造を備える。本変形例によれば、図1に示される発光装置1と比較して、各々の波長変換部材5の発光面積が小さいため、互いに隣接した波長変換部材5から導出された異なる色の光同士が混ざりやすくなる。そのため、発光装置1から導出される白色光の色むらをより低減することができる。
【0035】
上述したような発光装置1を複数個用いて照明器具を構成した例を図7(a)(b)に示す。照明器具10は、縦列して配置された4つの発光装置1を備え、これら発光装置1は、それぞれ配線基板2に設けられた保持構造(図示なし)を介して筐体7に保持されている。筐体7は、軽量かつ高い剛性を有する材料から構成され、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から構成される。筐体7は片面が開口した矩形の枠体とされ、その凹部中央に光導出面側を筐体7の開口面に向けた状態で発光装置1が収容されており、発光装置1の縁と筐体7の開口部の縁とを連結するように平板状の反射板7aが斜めに設置されている。反射板7aは、高い光反射率を有する材料から構成され、例えば、アルミニウム板から構成される。反射板7aは、図7(b)において破線矢印で示されるように、発光装置1の側方に照射された光を反射して照明器具10の外部方向へ向かわせることにより、照明器具10の光取り出し効率を向上させる。照明器具10によれば、輝度むら及び色むらの少ない白色光を照射することができるライン照明器具を得ることができる。なお、照明器具10に搭載される発光装置1の数及び発光装置1の配置は、本実施形態のものに限定されない。また、筐体7や反射板7aを構成する材料やそれらの構造も、上記のものに限定されない。
【0036】
照明器具10は、図8(a)(b)に示されるように、その光導出面に光を拡散する光拡散パネル8を備えていてもよい。光拡散パネル8は、例えば、炭酸カルシウムやアクリル等の光拡散粒子が内部に分散されたポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂から構成される。または、光拡散パネル8は、これらポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂の表面又は裏面の少なくとも一方に、フロスト加工等により微細な凹凸構造を形成したものから構成される。光拡散パネル8を設けることにより、波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)からの赤色光、緑色光、青色光を、種々の方向に拡散させることが可能となる。そのため、図7に示される照明器具10に比べて、照明装置10から照射される白色光の色むら及び輝度むらを更に低減することができる。また、光拡散パネル8を比較的硬度が高い材料から構成した場合には、光拡散パネル8を照明器具10を衝撃等から保護する外殻部材としても機能させることができる。なお、光拡散パネル8は、本実施形態においては、照明器具10の光導出面全体を被覆するように配置されているが、照明器具10の光導出面の一部を被覆するように配置されてもよい。
【0037】
上述した本実施形態及びその変形例並びにそれらを用いた照明器具によれば、色むら及び輝度むらが低減され、しかも調光制御可能な白色光を発することができる発光装置1及び照明器具10を得ることができる。また、これらの発光装置1及び照明器具10は、装置の側方にも配光制御可能な光を照射することができる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態に係る発光装置について、図9乃至図11を参照して説明する。図9及び図10に示されるように、発光装置11は、配線基板2上に実装され、3つの発光グループ3a、3b、3cに分けられた複数のLED3を備える。これらLED3は、発光グループ3a、3b、3c毎に配線基板2上に載置された枠部材9により仕切られている。枠部材9は、アルミニウム等の高い光反射率を有する材料から構成され、配線基板2とほぼ同じ大きさで光入射面と光導出面の両面が開口した矩形の枠体と、その枠体の内部を仕切る帯状の板と、を備える。ここで、枠部材9の各々の仕切られた領域は、光導出面側に向かうにつれて開口度が広がる逆四角錐台形状となっている。枠部材9の各々の仕切られた領域には、それぞれ透明封止部材4が充填される。各々の透明封止部材4は、それぞれ発光グループ3a、3b、3cに属するLED3を封止し、これら3つの透明封止部材4の光導出面を共通して覆うように、平板状の波長変換部材5が配置される。波長変換部材5は、発光グループ3aに対応する位置に波長変換部材5(R)を備え、発光グループ3bに対応する位置に波長変換部材5(G)を備え、発光グループ3cに対応する位置に波長変換部材5(B)を備える。発光装置11は、枠部材9を備える点と、透明封止部材4の構造及び波長変換部材5の構造とが異なる点との2点以外は、図1に示される発光装置1と同一の構造を備える。
【0039】
本実施形態の発光装置11の作用を説明する。LED3から出射された光は、透明封止部材4を透過し、波長変換部材5に入射する。波長変換部材5に入射した光は、波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)において、それぞれ赤色光、緑色光、青色光に変換された後、波長変換部材5から導出される。ここで、波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)が互いに隣接して配置されているため、これら赤色光、緑色光、青色光は容易に互いに混ざり合い、色むらの少ない白色光となる。また、波長変換部材5に入射した光は、波長変換部材5に含まれる蛍光体分子に衝突して種々の方向に散乱される。これにより、波長変換部材5の輝度むらが低減され、波長変換部材5を全面に亘って均等な光を発する面状光源とすることができる。
【0040】
波長変換部材5が単純な構造の平板状とされることにより、発光装置1で用いられる樋状の波長変換部材5に比べて、波長変換部材5を簡便に作製することができる。これにより、発光装置11の作製にかかる手間を減らすことができる。
【0041】
枠部材9が高い光反射率を有する材料から構成され、その仕切られた領域が逆四角錐台形状とされることにより、図10の破線矢印で示されるように、LED3からLED3の側方に出射された光を反射して、波長変換部材5に入射させることができる。これにより、発光装置11の光取り出し効率を向上させることができる。
【0042】
上述したような発光装置11を複数個用いて照明器具を構成した例を図11に示す。照明器具11aは、縦列して配置された4つの発光装置11と、発光装置11を保持する筐体7と、発光装置11から出射された光を反射する反射板7aと、を備える。筐体7及び反射板7aは、照明器具10で用いられたものと同一のものとされる。照明器具11aは、上述のように発光装置11の作製にかかる手間が少ない分、照明器具10よりも容易に作製することができる。
【0043】
本実施形態の発光装置や照明器具によれば、色むら及び輝度むらが低減され、しかも調光制御可能な白色光を発することができる発光装置11及び照明器具11aを、発光装置1や照明器具10と比較して、簡便に作製することができる。
【0044】
なお、本発明に係る発光装置は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、固体発光素子は、本実施形態においては近紫外LEDとされるが、近紫外LEDに限定されず、例えば、青色LED等の他色の光を発するLEDであってもよいし、有機EL素子であってもよい。また、固体発光素子は、必ずしも1種類の固体発光素子から構成される必要はなく、発光グループ毎に異なる種類の固体発光素子が用いられてもよいし、同一発光グループ内において複数種類の固体発光素子が用いられてもよい。また、本実施形態では、発光装置は白色光を照射するように構成されているが、他色の光を照射する構成とされてもよい。また、波長変換部材に含まれる蛍光体は、本実施形態のものに限定されず、他の蛍光体であってもよいし、波長変換を担う物質は、蛍光体に限定されず、例えば、燐光体であってもよい。また、波長変換部材は、固体発光素子から出射された光のうち、特定波長の光だけを透過させる光学フィルタ等を備えていてもよい。更に、波長変換部材の配置は、本実施形態のものに限定されない。
【符号の説明】
【0045】
1、11 発光装置
2 配線基板
3 固体発光素子(LED)
3a、3b、3c 発光グループ
4 透明封止部材
5、5(R)、5(G)、5(B) 波長変換部材
6a 透明部材
6b 空気層
8 光拡散パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light emitting diode)等の固体発光素子を用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からLEDと波長変換部材を用いて、複数色の光を混合して発光する発光装置が知られている。このような発光装置は、例えば、図12に示されるように、青色光を発するLED10と、LED10からの青色光を黄色光に波長変換する波長変換部材20と、光を反射するリフレクタ30と、を備える。波長変換部材20で生み出された黄色光は、波長変換部材20により波長変換されなかった青色光と互いに混ざり合って白色光となり、波長変換部材20から導出される(例えば、特許文献1乃至4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−270701号公報
【特許文献2】特開2009−060094号公報
【特許文献3】特開2008−218485号公報
【特許文献4】特開2008−123969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような発光装置では、LED10から出射される光の照射角によって波長変換部材20を伝搬する光の光路長が異なる。例えば、図12に示されるように、LED10から略垂直に出射された光は、波長変換部材20を光路長d1で通過するのに対し、LED10から斜めに出射された光は、波長変換部材20を光路長d2で通過する。このとき、d1<d2となるため、LED10から斜めに出射された光は、LED10から略垂直に出射された光に比べて、より多く波長変換されることになる。このように、LED10から出射される光は、その照射角によって波長変換される度合いが異なるため、色むらを生じ易い。また、この発光装置は、LED10の側方にリフレクタ30が配置されているため、装置の側方に光を照射することができない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、色むらの少ない光を発することができ、しかも発光装置の側方にも配光可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光装置は、配線基板上に実装された複数の固体発光素子と、前記複数の固体発光素子の互いに隣接した素子同士がグループを成した複数の発光グループと、前記発光グループ毎に当該発光グループに含まれる固体発光素子の光導出面を被覆する複数の透明封止部材と、前記透明封止部材毎に当該透明封止部材の光導出面を被覆して、前記固体発光素子から出射された光を前記発光グループ毎に異なる色の光に波長変換する複数の波長変換部材と、を備え、前記複数の波長変換部材の各々は、光導出面側に凸の樋状に構成されていることを特徴とする。
【0007】
前記複数の波長変換部材の各々は、それぞれ直接、又は前記透明封止部材から導出された光を透過する透明部材を介して、又は空気層を介して、又は当該透明部材と空気層とを介して前記透明封止部材の光導出面を被覆することが好ましい。
【0008】
前記複数の固体発光素子は、前記配線基板上にアレイ状又はマトリクス状に実装され、
前記透明封止部材及び波長変換部材は、それぞれ長尺状又は面状とされることが好ましい。
【0009】
本発光装置は、前記複数の波長変換部材の少なくとも一部の光導出面に、光を拡散する光拡散パネルを備えることが好ましい。
【0010】
前記複数の波長変換部材から導出される光の色は、光の三原色であることが好ましい。
【0011】
前記複数の透明封止部材の各々は、それぞれ光導出面側に凸の樋状に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発光装置によれば、波長変換部材が樋状とされているので、従来の発光装置と比較して、固体発光素子から出射された多くの光が、波長変換部材に対して直角に入射する。これにより、波長変換部材を伝搬する光の光路長差が小さくなるため、波長変換部材に入射した光は、同程度波長変換されることになる。そのため、波長変換部材から導出される光の色むらを低減することができる。また、波長変換部材が樋状とされていることにより、固体発光素子の側方にも波長変換部材が配置されるので、装置の側方にも光を照射することが可能となると共に、波長変換部材の曲率を調整することにより側方へ照射される光の配光を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の分解斜視図。
【図2】上記発光装置の横断面図。
【図3】上記発光装置が発する光のxy色度図。
【図4】(a)(b)(c)は、それぞれ上記実施形態の第1の変形例に係る発光装置の横断面図。
【図5】上記実施形態の第2の変形例に係る発光装置の分解斜視図。
【図6】上記実施形態の第3の変形例に係る発光装置の分解斜視図。
【図7】(a)は上記実施形態に係る発光装置を用いた照明器具の斜視図、(b)は同照明器具の横断面図。
【図8】(a)は上記照明器具の変形例の斜視図、(b)は同照明器具の横断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る発光装置の分解斜視図。
【図10】上記発光装置の横断面図。
【図11】上記発光装置を用いた照明器具の斜視図。
【図12】従来の発光装置の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る発光装置について、図1乃至図8を参照して説明する。本発光装置は、固体発光素子としてLEDを用いている。
【0015】
図1及び図2に示されるように、発光装置1は、矩形状の配線基板2上に実装された複数のLED3を備える。これらLED3は、いずれも点状光源であり、互いに隣接したLED3同士がグループを成しており、3つの発光グループ3a、3b、3cを形成している。LED3は、例えば、略405nmにピーク波長を有する近紫外光を発するものを用いればよい。発光グループ3a、3b、3cは、それぞれ配線基板2の長手方向に沿って伸び、互いに隣接して配置されている。各グループに属するLED3は、それぞれ配線基板2上にアレイ状(千鳥配列状)に実装されており、その光導出面は、グループ毎に透明封止部材4により被覆されている。これら3つの透明封止部材4は、それぞれ光導出面側が凸となった樋状とされ、透明封止部材4の光導出面は、透明封止部材4毎に波長変換部材5により被覆されている。これら波長変換部材5は、透明封止部材4と同様に、それぞれ光導出面側が凸となった樋状に構成されている。3つの波長変換部材5は、波長変換部材5(R:赤)と、波長変換部材5(G:緑)と、波長変換部材5(B:青)と、から構成される。波長変換部材5(R)は、LED3からの近紫外光を赤色光に波長変換する赤色蛍光体を備える。波長変換部材5(G)は、LED3からの近紫外光を緑色光に波長変換する緑色蛍光体を備える。波長変換部材5(B)は、LED3からの近紫外光を青色光に波長変換する青色蛍光体を備える。波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)は、それぞれ発光グループ3a、3b、3cに対応する位置に配置される。
【0016】
配線基板2は、高い熱伝導率を有するアルミニウム等の金属やガラスエポキシ等の樹脂を母材として構成されており、その表面には10μm以上の厚みを有する白色ソルダーレジストが塗布されている。配線基板2は、そのLED実装面に高い光反射率を有する光反射部材(図示なし)を備える。光反射部材は、例えば、銀やアルミニウム等から構成される。また、配線基板2は、LED3への給電を担う配線パターン(図示なし)を備える。なお、配線基板2の構造及び構成材料は、本実施形態のものに限定されない。また、配線基板2は、配線基板2を天井や壁等に取り付けるための保持構造(図示なし)を備える。
【0017】
配線基板2上に実装されるLED3の数は、特に限定されるものではなく、必要とされる光束に応じて適宜決定される。また、LED3は、配線基板2の配線パターンに対してフェイスアップ実装されてもよいし、配線パターンに対してフリップチップ実装されてもよい。
【0018】
透明封止部材4は、1.2〜1.7の屈折率を有する透光性材料から構成される。透光性材料は、例えば、透明シリコーン樹脂、透明エポキシ樹脂、又は透明ガラスとされる。なお、透明封止部材4の形状は、必ずしも樋状に限定されず、例えば、半楕円体状とされてもよい。
【0019】
波長変換部材5は、透明シリコーン樹脂や透明ガラス等の透光性材料を母材として構成される。この透光性材料の屈折率は、透明封止部材4を構成する材料の屈折率よりも大きくされる。波長変換部材5は、透明封止部材4の光導出面に直接密着された状態で配置される。このような構造は、樋状の波長変換部材5の凹部に透明封止部材4をポッティングし、これらの部材を反転させてLED3を封止した後、透明封止部材4を硬化させることにより得られる。
【0020】
発光装置1は、LED3の発光を制御する駆動ドライバ(図示なし)を備える。駆動ドライバは、スイッチやマイコン等から構成された調光装置を有し、商用電源に接続されると共に、配線パターンを介してLED3と電気的に接続されている。駆動ドライバは、商用電源から得た電力のLED3への供給を制御することにより、LED3をオン/オフ制御及び調光制御する。駆動ドライバは、複数設けられ、発光グループ3a、3b、3cの各々に属するLED3をそれぞれ一括して制御する3種類から構成される。
【0021】
上記のように構成された本実施形態の発光装置1の作用を説明する。LED3から出射された光は、透明封止部材4を透過し、波長変換部材5に入射する。このとき、図2の破線矢印で示されるように、波長変換部材5へ入射する光の多くは、波長変換部材5が樋状とされているため、波長変換部材5に対して直角に入射する。これにより、波長変換部材5を伝搬する光の光路長差が小さくなるため、各々の入射光は、同程度波長変換されることになる。そのため、波長変換部材5から導出される光は、色むらの少ない光となる。また、波長変換部材5に入射した光は、波長変換部材5に含まれる蛍光体分子に衝突して種々の方向に散乱される。これにより、波長変換部材5の輝度むらが低減され、波長変換部材5を全面に亘って均等な光を発する面状光源とすることができる。
【0022】
波長変換部材5は、LED3から出射された近紫外光を発光グループ3a、3b、3c毎に異なる色(赤色、緑色、青色)の光に波長変換する。これにより、波長変換部材5から導出される光の色は、光の三原色となる。これらの光は、波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)が互いに隣接して配置されているため、容易に混ざり合い、色むらの少ない白色光となる。
【0023】
波長変換部材5から導出される白色光の色調は、図3に示されるxy色度図において、赤色、緑色、青色の3点を結ぶ三角形の内側の色調であれば、各色に対応した駆動ドライバを用いて自在に調整可能である。例えば、発光グループ3aに属するLED3を制御する駆動ドライバを用いて、これらLED3の出力を上げて波長変換部材5(R)から導出される赤色光を増やすことにより、波長変換部材5から導出される白色光を赤みがかった白色光とすることができる。また、波長変換部材5から導出される白色光の色調や明るさは、波長変換部材5に含まれる蛍光体の種類、濃度、他の蛍光体との濃度比等を変化させることによっても調整され得る。
【0024】
また、波長変換部材5が樋状とされていることにより、LED3の側方にも波長変換部材5が配置される。これにより、発光装置1の側方にも光を照射することが可能となると共に、波長変換部材5の樋状構造の曲率を調整することにより、側方へ照射される光の配光を制御することができる。
【0025】
また、波長変換部材5を構成する透光性材料の屈折率を、透明封止部材4を構成する透光性材料の屈折率よりも大きくすることにより、LED3から出射された光が、これらの部材の界面で全反射されるのを防ぐことができる(図2参照)。これにより、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。また、波長変換部材5において散乱された光や波長変換部材5と外界(大気)との界面において全反射された光の一部は、上記界面において全反射される。これにより、発光装置1の内部方向へ戻る光を低減することができる。
【0026】
上記界面において全反射されずに発光装置1の内部方向へ戻った光は、配線基板2のLED実装面に光反射部材が設けられているため、光反射部材により反射され、再び発光装置1の外部方向へ向かい得る。これにより、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。
【0027】
また、配線基板2が熱伝導率の高い材料から構成されていることにより、LED3の発光に伴って生じた熱や波長変換部材5における蛍光体による波長変換に伴って生じた熱を、配線基板2を通じて外界へ放熱することができる。これにより、発光装置1内部の異常な温度上昇を防ぐことができるため、LED3の寿命を延ばすことが可能となると共に、蛍光体の熱劣化を抑制することができる。
【0028】
また、LED3を配線基板2上にアレイ状(千鳥配列状)に実装することにより、互いに隣接するLED3間に距離ができるため、各々のLED3が発光に伴って発する熱を効率良く放熱することが可能となる。また、LED3が均等に配置されるため、LED3から出射される光に輝度むらが発生しにくくなる。
【0029】
発光装置1は、発光装置1の光導出面を被覆する紫外線フィルタ(図示なし)を備えていてもよい。この紫外線フィルタは、樹脂やガラス等から構成された波長制御用の光学フィルタであり、近紫外光をカットする。発光装置1の光導出面に紫外線フィルタを設けることにより、発光装置1が照射する光から近紫外光をカットすることができる。これにより、発光装置1のユーザに悪影響を与えることなく、安全に発光装置1を使用することが可能となる。
【0030】
次に、本実施形態の第1の変形例に係る発光装置を図4(a)(b)(c)に示す。図4(a)に示される発光装置1は、透明封止部材4と波長変換部材5との間に、透明封止部材4から導出された光を透過する樋状の透明部材6aを備える。このような構造は、透明部材6aの凹部に透明封止部材4をポッティングし、これらを反転させてLED3を封止した後、透明部材6aの光導出面を波長変換部材5で被覆することにより得られる。透明部材6aは、熱伝導率の高い透光性材料から構成され、例えば、透明ガラスから構成される。透明部材6aを設けることにより、波長変換部材5において蛍光体による波長変換に伴って生じた熱を、透明部材6a及び透明封止部材4を介して配線基板2へ効率良く放熱することが可能となるため、蛍光体の熱劣化を抑制することができる。透明部材6aを構成する材料の屈折率は、透明封止部材4を構成する材料の屈折率よりも大きく、かつ波長変換部材5を構成する材料の屈折率よりも小さくされる。これにより、透明封止部材4と透明部材6aとの界面や透明部材6aと波長変換部材5との界面においてLED3から出射された光が全反射されるのを防ぐことができるため、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。また、波長変換部材5において波長変換された光が、発光装置1の内部方向へ戻ることを抑制することができる。
【0031】
図4(b)に示される発光装置1は、透明封止部材4と波長変換部材5との間に、空気層6bを備える。このような構造は、透明封止部材4によりLED3を封止した後、隙間を設けて透明封止部材4の光導出面を波長変換部材5で被覆することにより得られる。空気層6bを設けることにより、波長変換部材5と空気層6bとの界面においてLED3から出射された光が全反射されるのを防ぐことができるため、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。また、波長変換部材5において波長変換された光が、発光装置1の内部方向へ戻ることを抑制することができる。更に、空気層6bは断熱作用を有するため、波長変換部材5における波長変換に伴って生じた熱が透明封止部材4に伝播しにくくなるため、透明封止部材4の熱劣化を抑制することができる。
【0032】
図4(c)に示される発光装置1は、透明封止部材4と波長変換部材5との間に、LED3実装面側から順に透明部材6aと空気層6bとを備える。このような構造は、透明部材6aの凹部に透明封止部材4をポッティングし、これらを反転させてLED3を封止した後、隙間を設けて透明封止部材4の光導出面を波長変換部材5で被覆することにより得られる。透明部材6aと空気層6bとを設けることにより、透明封止部材4と透明部材6aとの界面や空気層6bと波長変換部材5との界面においてLED3から出射された光が全反射されるのを防ぐことができるため、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。また、波長変換部材5において波長変換された光が、発光装置1の内部方向へ戻ることを防止することができる。更に、波長変換部材5における波長変換に伴って生じた熱が透明封止部材4に伝播しにくくなるため、透明封止部材4の熱劣化を抑制することができる。
【0033】
次に、本実施形態の第2の変形例に係る発光装置を図5に示す。図5に示される発光装置1は、発光グループ3a、3b、3c毎にマトリクス状(面状)に配置されたLED3と、共に上面視面状とされる透明封止部材4及び波長変換部材5と、を備える。本変形例による発光装置1は、LED3の配置並びに透明封止部材4の構造及び波長変換部材5の構造が異なる以外は、図1に示される発光装置1と同一の構造を備える。本変形例によれば、発光装置1を各色発光面の上面視が略正方形となっている面状光源とすることができる。
【0034】
次に、本実施形態の第3の変形例に係る発光装置を図6に示す。図6に示される発光装置1は、各々2つずつの発光グループ3a、3b、3cと、各々の発光グループ3a、3b、3c毎に直線状に配置されたLED3と、共に上面視長尺状とされる透明封止部材4及び波長変換部材5と、を備える。ここで、発光グループ3a、3b、3cは、発光グループ3a−3b−3cの並びが2回繰り返す形で横並びに配置されている。本変形例による発光装置1は、LED3の配置並びに透明封止部材4の構造及び波長変換部材5の構造が異なる以外は、図1に示される発光装置1と同一の構造を備える。本変形例によれば、図1に示される発光装置1と比較して、各々の波長変換部材5の発光面積が小さいため、互いに隣接した波長変換部材5から導出された異なる色の光同士が混ざりやすくなる。そのため、発光装置1から導出される白色光の色むらをより低減することができる。
【0035】
上述したような発光装置1を複数個用いて照明器具を構成した例を図7(a)(b)に示す。照明器具10は、縦列して配置された4つの発光装置1を備え、これら発光装置1は、それぞれ配線基板2に設けられた保持構造(図示なし)を介して筐体7に保持されている。筐体7は、軽量かつ高い剛性を有する材料から構成され、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から構成される。筐体7は片面が開口した矩形の枠体とされ、その凹部中央に光導出面側を筐体7の開口面に向けた状態で発光装置1が収容されており、発光装置1の縁と筐体7の開口部の縁とを連結するように平板状の反射板7aが斜めに設置されている。反射板7aは、高い光反射率を有する材料から構成され、例えば、アルミニウム板から構成される。反射板7aは、図7(b)において破線矢印で示されるように、発光装置1の側方に照射された光を反射して照明器具10の外部方向へ向かわせることにより、照明器具10の光取り出し効率を向上させる。照明器具10によれば、輝度むら及び色むらの少ない白色光を照射することができるライン照明器具を得ることができる。なお、照明器具10に搭載される発光装置1の数及び発光装置1の配置は、本実施形態のものに限定されない。また、筐体7や反射板7aを構成する材料やそれらの構造も、上記のものに限定されない。
【0036】
照明器具10は、図8(a)(b)に示されるように、その光導出面に光を拡散する光拡散パネル8を備えていてもよい。光拡散パネル8は、例えば、炭酸カルシウムやアクリル等の光拡散粒子が内部に分散されたポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂から構成される。または、光拡散パネル8は、これらポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂の表面又は裏面の少なくとも一方に、フロスト加工等により微細な凹凸構造を形成したものから構成される。光拡散パネル8を設けることにより、波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)からの赤色光、緑色光、青色光を、種々の方向に拡散させることが可能となる。そのため、図7に示される照明器具10に比べて、照明装置10から照射される白色光の色むら及び輝度むらを更に低減することができる。また、光拡散パネル8を比較的硬度が高い材料から構成した場合には、光拡散パネル8を照明器具10を衝撃等から保護する外殻部材としても機能させることができる。なお、光拡散パネル8は、本実施形態においては、照明器具10の光導出面全体を被覆するように配置されているが、照明器具10の光導出面の一部を被覆するように配置されてもよい。
【0037】
上述した本実施形態及びその変形例並びにそれらを用いた照明器具によれば、色むら及び輝度むらが低減され、しかも調光制御可能な白色光を発することができる発光装置1及び照明器具10を得ることができる。また、これらの発光装置1及び照明器具10は、装置の側方にも配光制御可能な光を照射することができる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態に係る発光装置について、図9乃至図11を参照して説明する。図9及び図10に示されるように、発光装置11は、配線基板2上に実装され、3つの発光グループ3a、3b、3cに分けられた複数のLED3を備える。これらLED3は、発光グループ3a、3b、3c毎に配線基板2上に載置された枠部材9により仕切られている。枠部材9は、アルミニウム等の高い光反射率を有する材料から構成され、配線基板2とほぼ同じ大きさで光入射面と光導出面の両面が開口した矩形の枠体と、その枠体の内部を仕切る帯状の板と、を備える。ここで、枠部材9の各々の仕切られた領域は、光導出面側に向かうにつれて開口度が広がる逆四角錐台形状となっている。枠部材9の各々の仕切られた領域には、それぞれ透明封止部材4が充填される。各々の透明封止部材4は、それぞれ発光グループ3a、3b、3cに属するLED3を封止し、これら3つの透明封止部材4の光導出面を共通して覆うように、平板状の波長変換部材5が配置される。波長変換部材5は、発光グループ3aに対応する位置に波長変換部材5(R)を備え、発光グループ3bに対応する位置に波長変換部材5(G)を備え、発光グループ3cに対応する位置に波長変換部材5(B)を備える。発光装置11は、枠部材9を備える点と、透明封止部材4の構造及び波長変換部材5の構造とが異なる点との2点以外は、図1に示される発光装置1と同一の構造を備える。
【0039】
本実施形態の発光装置11の作用を説明する。LED3から出射された光は、透明封止部材4を透過し、波長変換部材5に入射する。波長変換部材5に入射した光は、波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)において、それぞれ赤色光、緑色光、青色光に変換された後、波長変換部材5から導出される。ここで、波長変換部材5(R)、5(G)、5(B)が互いに隣接して配置されているため、これら赤色光、緑色光、青色光は容易に互いに混ざり合い、色むらの少ない白色光となる。また、波長変換部材5に入射した光は、波長変換部材5に含まれる蛍光体分子に衝突して種々の方向に散乱される。これにより、波長変換部材5の輝度むらが低減され、波長変換部材5を全面に亘って均等な光を発する面状光源とすることができる。
【0040】
波長変換部材5が単純な構造の平板状とされることにより、発光装置1で用いられる樋状の波長変換部材5に比べて、波長変換部材5を簡便に作製することができる。これにより、発光装置11の作製にかかる手間を減らすことができる。
【0041】
枠部材9が高い光反射率を有する材料から構成され、その仕切られた領域が逆四角錐台形状とされることにより、図10の破線矢印で示されるように、LED3からLED3の側方に出射された光を反射して、波長変換部材5に入射させることができる。これにより、発光装置11の光取り出し効率を向上させることができる。
【0042】
上述したような発光装置11を複数個用いて照明器具を構成した例を図11に示す。照明器具11aは、縦列して配置された4つの発光装置11と、発光装置11を保持する筐体7と、発光装置11から出射された光を反射する反射板7aと、を備える。筐体7及び反射板7aは、照明器具10で用いられたものと同一のものとされる。照明器具11aは、上述のように発光装置11の作製にかかる手間が少ない分、照明器具10よりも容易に作製することができる。
【0043】
本実施形態の発光装置や照明器具によれば、色むら及び輝度むらが低減され、しかも調光制御可能な白色光を発することができる発光装置11及び照明器具11aを、発光装置1や照明器具10と比較して、簡便に作製することができる。
【0044】
なお、本発明に係る発光装置は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、固体発光素子は、本実施形態においては近紫外LEDとされるが、近紫外LEDに限定されず、例えば、青色LED等の他色の光を発するLEDであってもよいし、有機EL素子であってもよい。また、固体発光素子は、必ずしも1種類の固体発光素子から構成される必要はなく、発光グループ毎に異なる種類の固体発光素子が用いられてもよいし、同一発光グループ内において複数種類の固体発光素子が用いられてもよい。また、本実施形態では、発光装置は白色光を照射するように構成されているが、他色の光を照射する構成とされてもよい。また、波長変換部材に含まれる蛍光体は、本実施形態のものに限定されず、他の蛍光体であってもよいし、波長変換を担う物質は、蛍光体に限定されず、例えば、燐光体であってもよい。また、波長変換部材は、固体発光素子から出射された光のうち、特定波長の光だけを透過させる光学フィルタ等を備えていてもよい。更に、波長変換部材の配置は、本実施形態のものに限定されない。
【符号の説明】
【0045】
1、11 発光装置
2 配線基板
3 固体発光素子(LED)
3a、3b、3c 発光グループ
4 透明封止部材
5、5(R)、5(G)、5(B) 波長変換部材
6a 透明部材
6b 空気層
8 光拡散パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板上に実装された複数の固体発光素子と、
前記複数の固体発光素子の互いに隣接した素子同士がグループを成した複数の発光グループと、
前記発光グループ毎に当該発光グループに含まれる固体発光素子の光導出面を被覆する複数の透明封止部材と、
前記透明封止部材毎に当該透明封止部材の光導出面を被覆して、前記固体発光素子から出射された光を前記発光グループ毎に異なる色の光に波長変換する複数の波長変換部材と、を備え、
前記複数の波長変換部材の各々は、光導出面側に凸の樋状に構成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記複数の波長変換部材の各々は、それぞれ直接、又は前記透明封止部材から導出された光を透過する透明部材を介して、又は空気層を介して、又は当該透明部材と空気層とを介して前記透明封止部材の光導出面を被覆することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数の固体発光素子は、前記配線基板上にアレイ状又はマトリクス状に実装され、
前記透明封止部材及び波長変換部材は、それぞれ長尺状又は面状とされることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の波長変換部材の少なくとも一部の光導出面に、光を拡散する光拡散パネルが設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の波長変換部材から導出される光の色は、光の三原色であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の透明封止部材の各々は、それぞれ光導出面側に凸の樋状に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項1】
配線基板上に実装された複数の固体発光素子と、
前記複数の固体発光素子の互いに隣接した素子同士がグループを成した複数の発光グループと、
前記発光グループ毎に当該発光グループに含まれる固体発光素子の光導出面を被覆する複数の透明封止部材と、
前記透明封止部材毎に当該透明封止部材の光導出面を被覆して、前記固体発光素子から出射された光を前記発光グループ毎に異なる色の光に波長変換する複数の波長変換部材と、を備え、
前記複数の波長変換部材の各々は、光導出面側に凸の樋状に構成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記複数の波長変換部材の各々は、それぞれ直接、又は前記透明封止部材から導出された光を透過する透明部材を介して、又は空気層を介して、又は当該透明部材と空気層とを介して前記透明封止部材の光導出面を被覆することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数の固体発光素子は、前記配線基板上にアレイ状又はマトリクス状に実装され、
前記透明封止部材及び波長変換部材は、それぞれ長尺状又は面状とされることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の波長変換部材の少なくとも一部の光導出面に、光を拡散する光拡散パネルが設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の波長変換部材から導出される光の色は、光の三原色であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の透明封止部材の各々は、それぞれ光導出面側に凸の樋状に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【公開番号】特開2012−199497(P2012−199497A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64218(P2011−64218)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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