説明

発光装置

発光装置は第1波長範囲の光を発生するように作動可能な複数のLEDチップ(「横方向」または「縦方向」伝導)および前記チップを格納するためのパッケージを含む。前記パッケージは、その上に前記LEDチップが取り付けられる熱伝導性基板(銅)、およびその中で各々の穴が前記LEDチップのそれぞれの1つに対応する複数の貫通穴を有するカバーを含む。前記穴は、前記カバーが前記基板に取り付けられる場合に、前記基板と連結する各々の穴がその中にそれぞれのチップが格納されるリセスの輪郭を形成するように構成される。各々のリセスは少なくとも1つの蛍光体材料と透明材料の混合物で少なくとも部分的に充填される。「横方向」伝導性LEDチップを有する装置中では、PCBが前記基板上に取り付けられ、かつ各々のチップが前記基板に直接取り付けられるように構成される複数の貫通穴を含む。「縦方向」伝導性LEDチップを有する装置においては、前記LEDチップはダイヤモンド状炭素膜上に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参考として、それらの内容が本明細書に組み込まれる、2010年5月17日に出願された、Hwa SUらによる「Light Emitting Device」と題される米国特許出願第12/781,194号、および2009年5月20日に出願された、Hwa SUらによる「Light Emitting Device」と題される米国特許仮出願第61/180,065号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、発光装置および、特にそのような装置のためのパッケージ配置に関する。具体的には、限定的にではないが、本発明は、目的とする放出生成物色を発生するための1つ以上の蛍光体(フォトルミネセンス)材料を含む発光装置に関する。さらに、本発明の実施態様は、発光ダイオード(LED)に基づく高放出強度(すなわち光束500ルーメンを超える)を伴う一般照明用の白色光発生装置に関係するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0003】
白色光放出LED(「白色LED」)は当技術分野において既知であり、かつ比較的最近の技術革新である。LEDが電磁スペクトル中の青色/紫外線部分を放出するようになってようやく、LEDに基づく白色光源の開発が実用的になった。たとえば、米国特許第5,998,925号で教示されるように、白色LEDは、LEDによって放出される放射の一部分を吸収し、かつ異なる色(波長)の放射を再放出する、1つ以上のフォトルミネセンス材料である蛍光体材料を含む。一般的に、前記LEDチップは青色光を発生し、かつ前記蛍光体材料は前記青色光のある割合を吸収し、かつ黄色光または緑色と赤色光、緑色と黄色光、または黄色と赤色光の組み合わせを再放出する。前記LEDによって発生された前記青色光の、前記蛍光体材料によって吸収されず、前記蛍光体材料によって放出される光と組み合わされる部分は、人間の目にはほとんど白色に見える光を与える。
【0004】
現在、従来の白熱電球、ハロゲン反射型電球、および蛍光灯のエネルギー効率の良い代替として高輝度白色LEDを使用することついて、多くの関心がある。LEDを利用する照明装置のほとんどは、複数のLEDが前記従来の光源構成要素に取って代わる配置を含む。現存するそのような発光装置、具体的には一般的に光束500ルーメン以上(すなわち一般的に5W〜10Wの入力電力)の放出を必要とする一般照明を目的とする白色光放出装置がかかえる1つの問題点は、温度管理、および、具体的にはそのような装置によって発生する熱を十分放散させることである。さらなる問題点は、相関色温度(CCT)および/または前記装置によって放出される光の光束における重大な変化を引き起こしうる、蛍光体材料の経時的な熱的劣化である。一般的には、前記パッケージ装置は、熱を放散させるためにヒートシンクまたは他の大型サーマルマスの上に取り付けられる。しかしながら、前記パッケージの熱抵抗のために、前記LEDチップ(ダイ)から、多くの場合たとえば高温ポリマーまたはセラミックのような電気的絶縁材料で組み立てられている前記パッケージを通して、十分に熱を移動させることが困難となる。
【0005】
白色LEDパッケージの1つの実施例はChouらへの米国同時係属出願特許公開番号第2009/294780A1号(2009年12月3日に公開された)に開示されている。図1にそのようなパッケージの概略断面図を示す。前記白色光放出装置10は、たとえば低温同時焼成セラミックス(LTCC)パッケージのような高温パッケージ14内に入れられた、青色(すなわち波長約400〜480nm)面発光InGaN/GaN(窒化ガリウムインジウム/窒化ガリウム)ベースの発光ダイオード(LED)チップ12の正方形アレイを含む。前記パッケージ14は、上部表面に、その各々がそれぞれのLEDチップ12を受け入れるように構成される円形のリセス(カップ溝)16の正方形アレイを有する。前記パッケージ14は、各々のリセス16の底部に電気接点パッドおよび熱伝導性の取り付けパッド20の輪郭を形成する導電性トラック18のパターンをさらに含む。前記取り付けパッド20は、前記パッケージの基部上で、熱伝導性ビア24のアレイによって対応する取り付けパッド22と熱的に接続している。前記パッケージ14はさらに、前記装置に電力を供給するために、電気的コネクタ26、28を前記パッケージの基部上に含む。各々のLEDチップ12は、たとえば熱伝導接着剤または共晶はんだを用いてそれぞれのリセス16の取り付けパッド20に取り付けられる。LEDチップ12の上部表面上の電極接点は、ボンドワイヤ30で、前記リセスの底部の対応する電気接点パッドと電気的に接続し、かつ各々のリセス16は、前記LEDチップ12の露出した表面が蛍光体/ポリマー材料の混合物で被覆されていることを保証するために、一般的には粉状蛍光体材料34が詰まっているシリコーンである透明ポリマー材料32で完全に充填されている。前記装置の放出強度(光束)を改善するために、各々のリセスが反射体を含むように、前記リセスの壁は傾斜している。そのような装置のパッケージの電気的および熱的(すなわち熱抵抗は一般的に8〜10℃/W)挙動は両方とも良好であるが、そのようなパッケージの組立てが比較的高価であるため、コスト効率良く適用することには限界がある。
【0006】
他のパッケージ配置は、前記LEDチップをメタルコアプリント回路基板(MCPCB)上に直接取り付け、かつその後前記LEDチップを蛍光体封入材で封入することを含む。そのような構成は多くの場合チップオンボード(COB)配置と称される。公知のごとく、MCPCBは、一般的にアルミニウムの熱伝導性の基部、電気的非伝導性/熱伝導性の絶縁層、および一般的に銅でできている導電性回路層を含む層状構造を含む。回路層上に取り付けられる構成要素から前記基部に熱を伝えられるように、前記絶縁層は極めて薄い。Liらへの「Light emitting devices with phosphor wavelength conversion and methods of manufacture thereof」と題される米国同時係属出願特許番号第12/689,449号(2010年1月19日に出願された)に開示されているように、前記蛍光体封入材は前記LEDチップ上で成形される実質的にはコンフォーマルコーティングの形態でありうる。もう一つの方法として、Liらへの「Light emitting devices with phosphor wavelength conversion」と題される米国同時係属出願特許番号第12/639,688号(2009年12月16日に出願された)に開示されているように、前記蛍光体材料を、蒸気/気体に気密の密閉容器を形成するために前記LEDチップを覆って取り付けられる光透過性半球形シェルの内表面上に供給することができる。たとえばモールディングで、前記LEDチップを覆って形成される半球形レンズ内に前記蛍光体材料を組み込むことも公知である。MCPCBの熱抵抗は優れていて、1.5℃/Wまで低く抑えることができるが、そのようなパッケージ配列、具体的には個々のLEDチップに蛍光体材料を当てるコストは、高度に競争の激しいコストに敏感な一般照明分野の中では極めて高価である。さらには、そのようなパッケージ配列では、安定したCCTを有する装置を製造することが困難でありうる。
【0007】
LEDチップのアレイをMCPCB上に取り付け、その後前記LEDチップのアレイ全体を、LEDのアレイを囲むようにMCPCBに取り付けられた外側のフレーム(たとえば円形の環状フレーム)の中に含まれる蛍光体の被覆で封入することも提案されてきた。単一リセスを伴うパッケージを組立てることは容易であるが、そのような配置は、隣接するチップ間の領域を充填する追加の蛍光体材料を必要とし、かつそのような蛍光体材料は面発光LEDチップが光を発生するのにほとんどあるいは全く寄与しない。前記追加の蛍光体材料は光を吸収しえて装置の全体の光の放出を低減しうると考えられる。初期の実験では、いくつかのLEDチップを格納する単一リセスを伴うパッケージは、同数のLEDチップが各々対応する空洞に格納される(たとえば70〜80lm/W)パッケージと比較して、より低い発光効率(たとえば50〜55lm/W)を有することを示唆する。さらに、単一リセスが多数のLEDチップを格納する装置内では、前記蛍光体材料の熱的劣化がより激しい可能性があると考えられる。
【0008】
MCPCBに匹敵する熱抵抗を有し、かつ1つ以上の蛍光体材料が容易に適用できる、より安価な発光装置パッケージへの必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、良好な熱特性、具体的には、少なくとも500ルーメンの光束の光を発生するLEDチップに適した低い熱抵抗を有する発光装置のパッケージ配置を提供しようとして生じた。
【0010】
本発明に従う発光装置は第1波長範囲内に主波長を有する光を発生するように作動可能な複数のLEDチップ、および前記チップを格納するパッケージを含み、前記パッケージがその上に前記LEDチップが取り付けられる熱伝導性基板、および各々の穴が前記LEDのそれぞれの1つに対応する複数の貫通穴を有するカバーを含み、前記穴が、前記カバーが前記基板に取り付けられる場合に、前記基板に連結する各々の穴がそれぞれのLEDチップが格納されるリセスの輪郭を形成するように構成される、発光装置である。有利には、前記パッケージは約5℃/W未満の、より好ましくは約2℃/W未満の熱抵抗を有する。
【0011】
前記装置が目的とする光の色または選択された相関色温度(CCT)を伴う白色光を発生するために、各々のリセスを少なくとも1つの蛍光体材料および光透過性材料の混合物で少なくとも部分的に充填することができる。前記少なくとも1つの蛍光体材料は、前記LEDチップによって放出される光の少なくとも一部を吸収し、かつ第2波長範囲内に主波長を有する光を放出するように構成される。一般的に、前記装置の前記放出生成物は白色を呈し、かつ第1および第2波長範囲内の光の組み合わせを含む。もう一つの方法として、前記装置の前記放出生成物は少なくとも1つの蛍光体材料によって発生された光を含むことができる。各々のLEDチップにそれぞれのリセスを当てることは、LEDチップのアレイを格納するために単一リセスを用いる公知のパッケージと比較した場合、必要な蛍光体材料の量が削減できる利点を与える。さらには、そのようなパッケージは公知のパッケージと比較して輝度が改善されていることが判っている。一般的に、前記カバーは基本的に平面で、かつ好都合なことに、たとえばドクターブレード、スキージまたはその同類のような柔軟性のあるブレードを用いて、前記蛍光体/ポリマー混合物を空洞カバーの表面上に塗る(引き延ばす)ことにより前記リセスを充填することができる。そのような方法の利点は、秤量された量の蛍光体を各々のリセス中に分配する必要性を解消することでコストが削減できる。
【0012】
組立てに関しては、前記カバーを前記基板および前記LEDチップに取り付けることができて、かつその後それぞれのリセス内の基板に取り付けることができる。もう一つの方法として、前記基板に前記LEDチップを取り付け、かつ電気的に接続することができて、かつその後前記カバーを前記基板に取り付けることができる。そのような構造のために、チップオンボード(COB)組立技術を用いて、基本的に平面の基板上に前記LEDチップの取り付けおよび接続を行うことができる。
【0013】
前記パッケージの前記熱抵抗を最少にし、かつ熱の放散を最大にするために、前記基板は可能な限り高い熱伝導率を有して、それは好ましくはほぼ少なくとも200Wm-1K-1程度である。前記基板は、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金のような他の金属または合金、またはたとえば炭化ケイ素アルミニウム(AlSiC)または炭素系複合材料のような熱伝導性セラミックを含むことができるが、好ましくは金属、有利には銅または銅合金である。
【0014】
有利には、前記カバーはまた良好な熱伝導体であり、かつ少なくとも150Wm-1K-1でかつ好ましくは少なくとも200Wm-1K-1の熱伝導率を有する材料でできている。そのようなカバーは蛍光体材料の放熱を行わせ、かつ蛍光体材料の潜在的な熱的劣化を低減することができる。前記カバーは、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金のような他の金属または合金、またはたとえば炭化ケイ素アルミニウム(AlSiC)または炭素系複合材料のような熱伝導性セラミックを含むことができるが、好ましくは金属、有利には銅または銅合金を含む。
【0015】
両方のLED電極が、一般的に面発光LEDの発光面である同一面上に位置する「横方向」伝導構造を有するLEDチップを対象とする1つの配置においては、前記装置は、各々のチップが前記基板に直接取り付けられるように構成される複数の貫通穴を有する前記基板上に取り付けられる電気回路配置をさらに含む。本明細書においては、「直接取り付けられる」とは、介在層なしで直接熱的にやり取りできるように取り付けられることを意味し、そして前記チップを前記基板にはんだ付けすることを含む。各々のLEDチップはたとえばボンドワイヤを用いて電気的に前記回路配置に接続する。前記回路配置は好ましくはたとえばFR-4 PCBのようなプリント回路基板(PCB)を含む。このパッケージ配置の1つの具体的な利点は、各々のLEDチップが高熱伝導率の基板と熱的に直接やり取りできるように取り付けられ、かつこのことが公知の解決策に比べて、チップの非常に低い熱抵抗および改善された放熱を実現することである。加えて、前記LEDチップの電気的接続を実現するために前記チップを覆う回路層を用いることは、前記基板からの完全な電気的絶縁を保証する。このことは、多くの場合110Vまたは220Vの高圧交流電流の供給で作動することが求められる、一般照明への使用を目的とした装置にとって有益である。
【0016】
前記LED電極が前記チップの互いの反対面に位置する「縦方向」伝導構造を有するLEDチップの代替のパッケージ配置においては、前記LEDチップは前記基板の表面上の回路配置に取り付けられ、かつ電気的に接続する。この配置では、前記LEDチップは直接前記基板に取り付けられない。前記回路配置は好ましくは、その表面上に電気伝導体の配置を有する電気的に絶縁性で熱伝導性がある層を含み、かつ各々のLEDチップが電気伝導体に取り付けられる。前記熱伝導性層は好ましくは、「無定形炭素」または「非晶質ダイヤモンド」とも称されるダイヤモンド状炭素膜(DLC)を含む。前記DLCは好ましくは、薄膜(一般的に厚み5〜50μm)の形態であり、たとえば化学蒸着を用いて前記基板上に堆積させることができる。
【0017】
放出光を集中させるかまたはそうでなければ方向づけるために、前記装置は1つ以上の前記リセスを覆う一般的にはレンズである光学的構成要素をさらに含むことができる。前記レンズは個別の構成要素の形態をとるかまたはアレイの形態に組み込むことができる。
【0018】
本発明の他の態様に従う発光装置は、熱伝導性基板、複数のLEDチップ、前記回路配置が各々のチップが前記基板上に直接取り付け可能なように構成される複数の貫通穴を有する、前記基板上に取り付けられる電気回路配置、各々の穴が前記LEDチップのそれぞれの1つに対応し、前記カバーが前記回路配置に取り付けられる場合に、前記回路配置と連結する各々の穴がそれぞれのLEDチップが格納されるリセスの輪郭を形成するように前記穴が構成される、複数の貫通穴を有するカバーを含み、各々のリセスが少なくとも1つの蛍光体材料および光透過性材料の混合物で少なくとも部分的に充填されていて、前記少なくとも1つの蛍光体材料が第1波長範囲の光の少なくとも一部を吸収し、かつ第2波長範囲内の主波長を有する光を放出するするように構成される、発光装置である。
【0019】
本発明のさらなる態様に従う発光装置は、熱伝導性基板、複数のLEDチップ、その表面上に電気伝導体の配置を有し、かつ各々のLEDチップが電気伝導体に取り付けられる電気的に絶縁性で熱伝導性がある層を含む回路配置、各々のチップが前記基板上に直接取り付け可能なように構成される複数の貫通穴を有する、前記基板上に取り付けられる電気回路配置、各々の穴が前記LEDチップのそれぞれの1つに対応し、前記カバーが前記回路配置に取り付けられる場合に、前記回路配置と連結する各々の穴がそれぞれのLEDチップが格納されるリセスの輪郭を形成するように前記穴が構成される、複数の貫通穴を有するカバーを含み、各々のリセスが少なくとも1つの蛍光体材料および光透過性材料の混合物で少なくとも部分的に充填されていて、前記少なくとも1つの蛍光体材料が第1波長範囲の光の少なくとも一部を吸収し、かつ第2波長範囲内の主波長を有する光を放出するするように構成される、発光装置である。
【0020】
本発明のその上さらなる態様に従って、第1波長範囲の光を発生するように作動可能な複数のLEDチップを含む発光装置のためのパッケージが提供され、前記パッケージは、その上に前記LEDチップが取り付け可能な熱伝導性基板、および各々の穴が前記LEDチップのそれぞれの1つに対応し、前記カバーが前記基板に取り付けられる場合に、前記基板と連結する各々の穴がそれぞれのチップが格納されるリセスの輪郭を形成するように前記穴が構成される、複数の貫通穴を有するカバーを含む。
【0021】
本発明の前記パッケージは好ましくは5℃/W未満、より好ましくは2℃/W未満の熱抵抗を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明がよりよく理解されるために、本発明の実施態様が添付の図を参照することにより、実施例のみで説明される。
【0023】
【図1】前記に記載の公知の白色光発光装置の概略断面図である。
【図2a】a)「横方向」およびb)「縦方向」伝導性の面発光LEDチップ構造の概略図である。
【図2b】a)「横方向」およびb)「縦方向」伝導性の面発光LEDチップ構造の概略図である。
【図3】本発明の第1実施態様に従う「横方向」伝導性LEDを用いた発光装置の概略斜視図である。
【図4】図3に記載の装置の、その構造を図示する部分斜視分解図である。
【図5】図3に記載の発光装置の、A−A線からの概略断面図である。
【図6a】本発明に従う発光装置の、駆動電流a)480mAおよびb)600mAの場合の各々のLEDチップの表面温度測定値を示す。
【図6b】本発明に従う発光装置の、駆動電流a)480mAおよびb)600mAの場合の各々のLEDチップの表面温度測定値を示す。
【図7】本発明の第2実施態様に従う「縦方向」伝導性LEDチップを用いた、発光装置の概略斜視図である。
【図8】図6に記載の装置の、その構造を図示する部分斜視分解図である。
【図9】図6に記載の発光装置の、A−A線からの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施態様は、一般的には選択されたCCTを有する白色光である、目的とする光の色を発生させるための1つ以上の蛍光体材料を含む発光装置のパッケージ配置に関係する。本明細書中では、対応する部分を示すために対応する参照番号が用いられる。
【0025】
パッケージの観点から、LEDチップ(ダイ)は横方向に電気伝導をするものと、縦方向に電気伝導をするものに大まかに分類されうる。図2aおよび2bはそれぞれ、「横方向」および「縦方向」伝導性の面発光GaN(窒化ガリウム)LEDチップ構造の簡略化した概略図である。
【0026】
周知のごとく、「横方向」伝導性のLEDチップ50aは順番に、バックプレート52a、基板54a(一般的にサファイア)、n型GaN層56aおよびp型GaN層58a(図2a)を含む。正極(+)60aおよび負極(−)電極接点62aがそれぞれp型層58aおよびn型層56aの露出した表面上に設置される。前記LEDチップ50aは正極および負極電極接点に電力を供給することにより作動する。図2aに示すように、「横方向」LEDチップ構造内で、前記電極接点間で全般的に横方向に電気伝導64aが発生する。要約すれば、「横方向」伝導性のLEDチップにおいては、正極および負極電極接点の両方が一般的には光放出面である前記チップの同一面上に位置する。
【0027】
同様に、「縦方向」伝導性のLEDチップ50bは順番に、正極電極面60b、導電性基板54b、p型GaN層58bおよびn型GaN層56b(図2b)を含む。「縦方向」伝導構造においては、前記負極電極62b接点が前記n型層56bの上部表面上に設置され、かつ前記電極接点間で全般的に縦方向に電気伝導64bが発生する従って「縦方向」伝導性のLEDチップにおいては、前記正極および負極電極接点が前記チップの互いに反対面に位置する。
【0028】
前記の異なる電極接点構成の理由で、「横方向」および「縦方向」伝導性のLEDチップに基づく発光装置ごとに異なるパッケージ配置が必要となる。
【0029】
「横方向」伝導性のLEDチップを有する発光装置
【0030】
本発明の第1実施態様に従う発光装置100が、図3が前記装置の斜視図であり、図4が前記装置の構造を示す斜視分解図であり、かつ図5が図3のA−A線からの概略断面図である、図3、4、および5を参照して、説明される。理解を容易にするために、図3および4には蛍光体材料は示されていない。前記発光装置100は、選択されたCCT(たとえば5500K)およびほぼ600ルーメン(約12W入力電力)程度の光束の白色光を発生するように構成される。
【0031】
前記装置100は層状(薄層状)の構造で、かつ熱伝導性基部(基板)102、回路層104、空洞カバー106の3層、およびレンズ108のアレイ(図3には前記レンズ108が省略されていることに注意せよ)を含む。前記装置は、InGaN/GaN(窒化ガリウムインジウム/窒化ガリウム)ベースの、「横方向」伝導性で、たとえば熱電対(図示されていない)のような他の構成要素のために空けてあるセンターポジション110を伴う5行・5列の正方形アレイとして配置される、24個の500mW青色(すなわち約400〜約480nmの範囲の主波長)面発光LEDチップ50aをさらに含む。前記装置100はLEDチップ50aの正方形アレイを含むものとして示されているが、当然のことながら、本発明の前記装置は、目的とする放出強度(光束)に応じた他のLEDチップ構成(たとえば六方最密配置)およびLEDチップの個数に適用される。
【0032】
前記熱伝導性基部102は、前記基部の下側への熱伝導を最適化するために、一般的にほぼ少なくとも200Wm-1K-1程度の、可能な限り高い熱伝導率を有する材料を含む。一般的に、前記基部102は金属を含むことができ、かつ好ましくはその熱伝導率が約400Wm-1K-1の銅(Cu)である。もう一つの方法として、前記基部102は、銅合金、アルミニウム(約250Wm-1K-1)、陽極処理アルミニウム、アルミニウムの合金、マグネシウム合金または場合によりたとえば炭化ケイ素アルミニウム(AlSiC)(約170〜200Wm-1K-1)または炭素系複合材料のような熱伝導性セラミックを含むことができる。各々のLEDチップ50aはそのベースプレート52aで、たとえば錫または銀ソルダペーストのソルダペーストを用いて、またはたとえば銀負荷エポキシのような金属負荷エポキシを用いて、たとえば金‐錫共晶はんだではんだ付けをすることにより、前記基部102に直接取り付けられ、かつ良好に熱的やり取りができるようになっている。前記LEDチップ52aを前記基部に取り付けるのに他の方法があることは当業者にとっては明白である。本明細書中で「直接取り付けられる」とは、介在層なしで、直接に熱的やり取りができるように取り付けられることを意味する。
【0033】
前記回路層104は好ましくはたとえばFR-4 (Fire Retardant- 4) PCBのようなプリント回路基板(PCB)を含み、かつ各々の貫通穴112が前記LEDチップ50aのそれぞれの1つに対応するように構成される円形貫通穴112の正方形アレイを含む。前記貫通穴112のサイズは、前記回路層104が前記基部102に取り付けられる場合に、基部102と連結する各々の貫通穴112がそれぞれのLEDチップ50aを格納するための円形リセスの輪郭を形成するように選択される。図4で最もよく見られるように、電気伝導体114のパターンが、前記LEDチップ50aを目的とする回路構成中に電気的に接続するための電気回路構成を決める前記PCB104の上部表面上に設置される。記載された前記実施態様のために、前記回路層は、その中で各々のストリングが6個の連続的に接続されるLEDチップを含む正極(+)および負極(−)電気接続パッド116、118間の4本の平行した直列ストリングとして、前記LEDチップ50aが電気的に相互接続されるように構成される。前記電気接続パッドは同様に前記PCB104の上部表面上に設置される。そのような回路構成は、19.1〜20.4Vの装置駆動電圧Vに対して、各々のLEDチップに沿った約3.2〜3.4Vの順方向電圧降下をもたらす。各々の前記LEDチップ50a上の前記正極および負極電極接点60a、62aは、1つ以上のボンドワイヤ120(図5参照)で前記PCB上の対応する導体114に電気的に接続される。
【0034】
前記空洞カバー106は実質的には平面の形態であり、各々の貫通穴122が前記LEDチップ50aのそれぞれの1つに対応するように構成される、円形貫通穴122の正方形アレイを有する。一般的に、各々の貫通穴122は、前記回路層104中の対応する貫通穴112と同軸である。前記貫通穴122のサイズは、前記空洞カバー106が前記回路層104上に取り付けられる場合に、各々の貫通穴122がそれぞれのLEDチップ50aを囲む浅い円形リセス(カップ溝)およびボンドワイヤ120の輪郭を形成するように選択される。前記空洞カバー106は好ましくは、一般的には少なくとも150Wm-1K-1の、かつ好ましくはほぼ少なくとも200Wm-1K-1程度の可能な限り高い熱伝導率を有する熱伝導性の材料を含む。前記カバーは電気的絶縁材料または導電性でありえて、かつたとえば、銅(Cu)、銅合金、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、アルミニウムの合金、マグネシウム合金のような金属、またはたとえば炭化ケイ素アルミニウム(AlSiC)、炭素系複合材料または高温ポリマー材料のような熱伝導性セラミックを含むことができる。各々の貫通穴122の前記壁は傾斜させることができ、かつたとえば銀、アルミニウムまたはクロムの金属被覆層のような光を反射する表面を含むことができる。前記LEDチップ50aを前記基部102に取り付け、かつ各々を回路層104に電気的に接続した後、前記空洞カバー106は前記PCBに取り付けられる。もう一つの方法として、前記カバーを前記基板および前記LEDチップに取り付けることができ、その後それぞれのリセス内に取り付けることができる。
【0035】
各々のリセス(カップ溝)はその後、1つ以上の蛍光体材料および、一般的にはたとえばシリコーンまたはエポキシのような液体ポリマーである光透過性(透明)材料124の混合物で充填される。光透過性ポリマー材料の実施例は、Shin-Etsu MicroSi,Incの柔軟性のあるシリコーンKJR-9022およびGEの熱硬化性シリコーンRTV615を含むことができる。前記空洞カバー106は基本的に平面であるため、好都合なことに、たとえばドクターブレード、スキージまたはその同類のような柔軟性のあるブレードを用いて、前記蛍光体/ポリマー混合物を空洞カバーの表面上に塗る(引き延ばす)ことにより前記リセスを充填することができる。そのような方法の利点は、秤量された量の蛍光体を各々のリセス中に分配する必要性を解消することで、かつそれによりコストが削減できる。もう一つの方法として、秤量された量の蛍光体/ポリマー混合物を各々の空洞に注入することができる。前記蛍光体材料のポリマー材料に対する重量含有率は一般的に100に対し10〜50の範囲内であり、かつ目標とする前記装置の発光色/CCTに依存する。有利には、前記光透過性ポリマーは、その屈折率nが前記LEDチップ50aの屈折率に実行可能な限り近づくように選択される。たとえば、InGaN/GaNLEDチップの屈折率nは約2.4〜2.5であり、それに対し高屈折率シリコーンは約1.2〜1.5の屈折率nを有する。従って、実際には前記ポリマー材料は一般的に1.2以上の屈折率nを有する。高屈折率ポリマーの使用は、ある程度屈折率の整合をとることで、前記LEDチップ50aからの光の放出を増加させることができる。前記装置100からの放出生成物を集中させるかまたはそうでなければ方向づけるために、その後それぞれのレンズ108を各々のリセス122上を覆って取り付けることができる。前記レンズ108は光透過性ガラスまたはたとえばシリコーンまたはポリカーボネートのようなポリマー材料で製作され、かつ個別のレンズまたはレンズのアレイの形態をとることができる。
【0036】
本発明の前記パッケージ配列の具体的な長所は、各々のLEDチップは高熱伝導率の基部と直接熱的にやり取りできるように取り付けられるため、このことが低熱抵抗のパッケージをもたらすことである。加えて、前記LEDチップを電気的に接続するために前記チップを覆う回路層を用いることは、前記基部からの完全な電気的絶縁を保証する。このことは、多くの場合110V(たとえば北米)または220V(たとえば欧州)の交流電流の供給で作動する事が求められる、一般照明への使用を目的とした装置にとって有益である。加えて、各々のLEDチップにそれぞれのリセス122を当てることは、LEDチップのアレイを格納するために単一リセスを用いる公知のパッケージと比較した場合、必要な蛍光体材料の量が削減できる利点を与える。さらには、本発明者たちは、そのようなパッケージは同量の蛍光体材料および同数のLEDチップを有する公知のパッケージと比較して輝度(発光効率)が向上していることを見出した。加えて、前記カバーが良好な熱伝導体の材料でできている場合には、そのようなカバーは前記蛍光体材料の放熱を促進し、かつ前記蛍光体材料の潜在的な熱的劣化を低減することができる。さらには、別々の空洞カバー106を用いることにより、基本的に平面の基板上に前記LEDチップを取り付けかつ接続させることができて、チップオンボード(COB)組立技術を用いることができる。もう一つの方法として、前記カバーを前記基板および前記LEDチップに取り付けることができ、その後それぞれのリセス内の基板に取り付けることができる。
【0037】
図6aおよび6bは、順方向駆動電流Iがa)480mAおよびb)600mAの場合の、「横方向」伝導性のLEDチップを有する本発明に従う600ルーメン発光装置100の前記24個のLEDチップ50aの各々の温度(表面温度)測定値である。これらの図の中の数字はLEDチップの表面温度実測値である。表1は、順方向駆動電流Iが480mAおよび600mAの場合の、本発明に従う600ルーメン発光装置の熱データを示す。前記熱データは、静止空気密閉容器(寸法600×600×600mm)内の60×60×38mmの陽極処理アルミニウムヒートシンク(総表面積約82,302mm2)上に取り付けた装置100で測定された。
【0038】
表1中のTmin、TmaxおよびTmeanはそれぞれLEDチップの最少、最大および平均表面温度で、σはLEDチップの表面温度の標準偏差、Tは中心空洞110の温度、ΔTは平均チップ温度Tmeanと周辺温度T間の温度差である。表1は前記パッケージの熱抵抗RJCがほぼ1.2〜1.4℃/W程度であることを示す。比較のために、セラミック(たとえばLTCC)パッケージの一般的な熱抵抗はほぼ8〜10℃/W程度であり、かつプラスチックパッケージの熱抵抗はほぼ15℃/W程度である。従って、本発明のパッケージはLEDチップがMCPCBの表面上に取り付けられたCOB配置に匹敵する熱抵抗を有する。計算結果では、前記ポリマー封入材の熱抵抗はほぼ240℃/W程度である。
【0039】
【表1】

【0040】
表2および3は、5500Kおよび2700Kの公称CCTをそれぞれ有する本発明に従う600ルーメン発光装置の放出データを示す。順方向駆動電流Iが480mAおよび600mAの場合で、装置にレンズ108が有る場合と無い場合のデータが示される。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
「縦方向」伝導性のLEDチップを有する発光装置
【0044】
本発明の第2実施態様に従う発光装置100が、図7の前記装置の斜視図、図8の前記装置の構造を示す斜視分解図および、図9の図7のA−A線からの概略断面図を参照して説明される。前記発光装置100は、選択されたCCTおよびほぼ1000ルーメン程度(入力電力約21W)の光束の白色光を発生するように構成される。
【0045】
上記に記載の装置と共通して、前記装置100は熱伝導性基部102、回路層104、空洞カバー106の3層、およびレンズ108のアレイを含む。前記基部102はたとえば金属のような、可能な限り高い熱伝導率を有する材料(一般的にほぼ少なくとも200Wm-1K-1程度)を含み、かつ好ましくは銅でできている。この実施態様においては、前記回路層104は、その上にさらに電気伝導体114のパターンが形成される前記基部102上に堆積する、電気的に絶縁性で熱伝導性の膜126を含む。前記熱伝導性膜126は好ましくは、「無定形炭素」または「非晶質ダイヤモンド」としても知られる、周知のごとく金属に匹敵する熱伝導性を有する電気的絶縁体であるダイヤモンド状炭素膜(DLC)を含む。一般的に、前記DLC膜126はほぼ5〜50μm程度の厚みであり、かつたとえばCVD(化学蒸着)を用いて前記基板102上に堆積される。前記電気伝導体114は好ましくは前記DLC膜126上に堆積した銅の層128を含む。図示された実施例においては、前記装置は、4行・4列の正方形アレイとして配置される、InGaN/GaN(窒化ガリウムインジウム/窒化ガリウム)ベースの16個の1.3W青色(すなわち波長約400〜480nm)面発光「縦方向」伝導性発光ダイオード(LED)チップ50bを含む。
【0046】
各々のLEDチップ50aはその正極電極面60bで、たとえば錫または銀ソルダペーストのソルダペーストを用いて、またはたとえば銀負荷エポキシのような金属負荷エポキシを用いて、たとえば金‐錫共晶はんだではんだ付けをすることにより、それぞれの電気伝導体114上に取り付けられ、かつ電気的に接続されている。図7で最もよく見られるように、一般的にその形状が長方形の伝導体である電気伝導体114のパターンは、前記膜126を通して前記基部102への熱放散を最大化するために、各々のLEDチップに可能な限り広い表面積を与えるように構成される。図示された実施例においては、前記LEDチップ50bは、前記正極(+)と前記負極(−)電気的接続パッド116、118間の、その中で各々のストリングが4個の直列接続のLEDチップを含む4本の並列ストリングとして相互接続される。そのような回路構成は、(言い換えると)ほぼ14.3〜14.8V程度の装置駆動電圧Vに対して、各々のLEDチップに沿った約3.5〜3.7Vの順方向電圧降下をもたらす。図7および8に示すように、各々のLEDチップ50bの前記負極電極接点62bは、1つ以上のボンドワイヤで対応する導体114に電気的に接続されている。
【0047】
第1実施態様におけるように、前記平面の空洞カバー106は、各々の貫通穴122が前記LEDチップ50bのそれぞれの1つに対応するように構成される円形貫通穴122の正方形アレイを有する。前記貫通穴122のサイズは、前記空洞層106が前記回路層104に取り付けられる場合に、各々の貫通穴122がそれぞれのLEDチップ50bを囲む円形リセス(カップ溝)の輪郭を形成するように選択される。各々の貫通穴122の前記壁は、図示されるように、傾斜させることができ、かつたとえば銀、アルミニウムまたはクロムの金属被覆層のような光を反射する表面を含むことができる。前記傾斜の角度は、光の放出を最大にし、かつ目的とする放出パターンを与えるように選択することができ、一般的には前記カバーの面に対して30°〜60°の範囲内にある。各々のLEDチップ50bをそれぞれの導体114に取り付け、それぞれを前記回路層104に電気的に接続した後、前記空洞層106が前記回路層104に取り付けられる。前記空洞カバー106は好ましくは、一般的にはほぼ少なくとも150Wm-1K-1程度で、好ましくはほぼ少なくとも200Wm-1K-1程度の、可能な限り高い熱伝導率を有する熱伝導性材料を含む。前記空洞カバーは電気的に絶縁性の、または導電性の材料でありえて、たとえば銅(Cu)、銅合金、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、アルミニウムの合金、マグネシウム合金のような金属、たとえば炭化ケイ素アルミニウム(AlSiC)のような熱伝導性セラミック、または炭素系複合材料または高温ポリマー材料を含むことができる。
【0048】
最終的に、各々のリセス122を、1つ以上の蛍光体材料および一般的にはたとえばシリコーンまたはエポキシのようなポリマーである光透過性(透明)材料124の混合物で埋め込む(充填する)ことができる。少なくとも1つの前記蛍光体材料のポリマー材料に対する重量含有率は一般的に100に対し10〜50の範囲内であり、かつ目標とする前記装置の発光色/CCTに依存する。
【0049】
示されるように、その後、前記装置からの放出生成物を集中させるかまたはそうでなければ方向づけるために、それぞれのレンズ108を各々のリセス122を覆って取り付けることができる。
【0050】
表4は、「縦方向」伝導性LEDチップを有し、3000Kの公称CCTを有する本発明に従う1000ルーメン発光装置の放出測定値データを示す。装置にレンズ108が有る場合と無い場合のデータが示される。
【0051】
【表4】

【0052】
いずれかの実施態様(すなわち「横方向」または「縦方向」伝導性LEDチップに基づく実施態様)に従う本発明の装置においては、前記LEDチップが前記回路層に取り付けられ、かつ接続された時点で、前記空洞カバー106は好ましくは前記回路層104に取り付けられる。前記LEDチップが一般的に平面の基板に取り付けられていて、自動化されたチップオンボード(COB)組立技術を用いることができるために、このことで、前記装置の製作をより容易にすることができる。加えて、別々になった空洞カバーはレンズ取り付けを容易にすることができ、かつ各々の空洞がいくつかのLEDチップを格納する公知の装置と比較して、必要な蛍光体材料の量を同様に削減することができる。さらには、熱伝導性空洞カバーの使用により、前記蛍光体材料の放熱が実現し、かつ前記蛍光体材料の潜在的熱的劣化が低減する。
【0053】
本発明の装置は任意の粉体状の蛍光体材料に適していて、かつたとえば一般組成ASi(O,D)またはASi(O,D)のケイ酸ベースの蛍光体のような無機物または有機物蛍光体を含むことができて、ここでSiはケイ素、Oは酸素で、Aはストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)またはカルシウム(Ca)を含み、かつDは塩素(Cl)、フッ素(F)、窒素(N)または硫黄(S)を含む。ケイ酸ベースの蛍光体の実施例は、その内容が本明細書に参照として組み込まれる米国同時係属出願特許公開番号第2007/0029526A1号および米国特許番号第7,311,858B2、7,575,697B2および7,601,276B2号にて開示される。
【0054】
米国特許番号第7,575,697B2号で教示されるように、ユーロピウム(Eu2+)活性化ケイ酸ベースの緑色蛍光体は一般式(Sr,A(Si,A)(O,A2+x:Eu2+を有し、ここでAは少なくとも1つの2カチオン、たとえばMg、Ca、Ba、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、ビスマス(Bi)、イットリウム(Y)またはセリウム(Ce)のような1および3カチオンの組み合わせであり、Aはたとえばホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、Nまたはリン(P)のような3、4または5カチオンであり、かつAはたとえばF、Cl、臭素(Br)、NまたはSのような1,2または3アニオンである。前記式は前記AカチオンがSrを置き替え、前記AカチオンがSiを置き替え、および前記Aアニオンが酸素を置き替えることを示すように表記されている。
【0055】
米国特許番号第311,858B2号は式ASiO:Eu2+ Dを有するケイ酸ベースの黄色−緑色蛍光体を開示し、ここでAはSr、Ca、Ba、Mg、Znまたはカドミウム(Cd)を含む二価金属の少なくとも1つであり、かつDはF、Cl、Br、ヨウ素(I)、P、SおよびNを含むドーパントである。前記ドーパントDは約0.01〜20モルパーセントの量で前記蛍光体の中に存在することができ、かつ前記蛍光体の結晶格子中に組み込まれるために、前記ドーパントの少なくともいくらかは酸素アニオンと置き換わる。前記蛍光体は(Sr1−x−yBa)SiO:Eu2+Dを含むことができて、ここでMはCa、Mg、ZnまたはCdを含み、かつ0≦x≦1および0≦y≦1である。
【0056】
米国特許番号第7,601,276B2号は、(M1)SiOのそれと実質的には同じ結晶構造を有する第1相を有し、(M2)SiOのそれと実質的には同じ結晶構造を有する第2相を有する、2つの相のケイ酸ベースの蛍光体を教示し、ここで、M1およびM2は各々Sr、Ba、Mg、CaまたはZnを含む。少なくとも1つの相は二価のユーロピウム(Eu2+)で活性化され、前記相の少なくとも1つはF、Cl、Br、SまたはNを含むドーパントDを含む。前記ドーパント原子の少なくともいくつかが前記ホストケイ酸結晶の酸素原子格子サイト上に位置すると考えられる。
【0057】
米国特許公開番号第2007/0029526A1号は、MはBa、Mg、CaまたはZnを含む二価金属の少なくとも1つであり、0<x<0.5、2.6<y<3.3および0.001<z<0.5である、式(Sr1−xEuSiOを有するケイ酸ベースのオレンジ色蛍光体を開示する。前記蛍光体は、約565nmを超えるピーク発光波長を有する可視光を放出するように構成される。
【0058】
前記蛍光体は同様に、その各々の内容が本明細書に参照として組み込まれる、たとえば米国同時係属出願特許公開番号第2006/0158090A1号および米国特許番号第7,390,437B2号で教示されるような、アルミン酸塩ベースの材料、または米国同時係属出願特許公開番号第2008/0111472A1号で教示されるケイ酸アルミニウム蛍光体を含むことができる。
【0059】
Wangらへの米国特許公開番号第2006/0158090A1号は、MはBa、Sr、Ca、Mg、マンガン(Mn)、Zn、銅(Cu)、Cd、サマリウム(Sm)またはツリウム(Tm)を含む二価金属の少なくとも1つであり、かつ0.1<x<0.9および0.5≦y≦12である、式M1−xEuAl[1+3y/2]のアルミン酸塩ベースの緑色蛍光体を教示する。
【0060】
米国特許番号第7,390,437B2号は、MはBaまたはSrの二価金属の少なくとも1つである式(M1-xEu2-zMgAl[2+3y/2]を有するアルミン酸塩ベースの青色蛍光体を開示する。1つの組成においては、前記蛍光体は約280nm〜420nmの範囲の波長の放射を吸収し、かつ約420nm〜560nmの範囲の波長を有する可視光を放出するように構成され、かつ0.05<x<0.5または0.2<x<0.5、3≦y≦12および0.8≦z≦1.2である。前記蛍光体は、たとえばCl、BrまたはIのようなハロゲンドーパントHでさらにドープ処理することができ、一般組成(M1−xEu2−zMgAl[2+3y/2]:Hを有すことができる。
【0061】
Liuらへの米国特許公開番号第2008/0111472A1号は、MはBa、MgまたはCaから選択される0≦x≦0.4の範囲の量の少なくとも1つの二価金属であり、TはY、ランタン(La)、Ce、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、Sm、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、Tm、イッテルビウム(Yt)、ルテチウム(Lu)、トリウム(Th)、プロトアクチニウム(Pa)またはウラン(U)から選択される、0≦y≦0.4でzおよびmは0≦z≦0.2および0.001≦m≦0.5の範囲の量の三価金属である、一般式(Sr1−x−y3−mEu(Si1−zAl)Oの二価および三価金属が混合されるカチオンを有するケイ酸アルミニウムのオレンジ−赤色蛍光体を教示する。前記蛍光体は前記ハロゲンが前記ケイ酸結晶中の酸素格子サイト上に存在するように構成される。
【0062】
前記蛍光体は同様に、たとえばその各々の内容が本明細書に参照として組み込まれる「Nitride-based red-emitting phosphors in RGB (red-green-blue) lighting systems」と題された2009年11月19日に公開された米国同時係属出願特許公開番号第2009/0283721A1号および2009年12月7日に出願された出願番号第12/632,550号で教示されるような、窒化物ベースの赤色蛍光体材料を含むことができる。米国特許公開番号第2009/0283721A1号および出願番号第12/632,550号は式M3w[(2/3)m+z+a+(4/3)b−w]を有する窒化物ベースの赤色蛍光体を教示し、ここで、
はベリリウム(Be)、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cdまたは水銀(Hg)から選択される二価の元素で、
はB、Al、Ga、インジウム(In)、Y、セレン(Se)、P、ヒ素(As)、La、Sm、アンチモン(Sb)またはBiから選択される三価の元素で、
はC、Si、Ge、錫(Sn)、Ni、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、チタニウム(Ti)またはジルコニウム(Zr)から選択される四価の元素で、
DはF、Cl、BrまたはIから選択されるハロゲンで、
Zはユーロピウム(Eu)、Ce、マンガン(Mn)、Tbまたはサマリウム(Sm)から選択される活性剤で、かつ
Nは0.01≦m≦1.5、0.01≦a≦1.5、0.01≦b≦1.5、0.0001≦w≦0.6および0.0001≦z≦0.5の量の窒素である。前記蛍光体は、約640nmを超えるピーク発光波長を有する可視光を放出するように構成される。
【0063】
当然のことながら、前記蛍光体は本明細書に記載される実施例に限定されないで、たとえば窒化物および/または硫酸塩蛍光体材料、酸窒化物およびオキシ硫酸蛍光体またはガーネット材料(YAG)のような有機物または無機物の両方の蛍光体材料を含む任意の蛍光体材料を含むことができる。
【0064】
さらに当然のことながら、本発明は記載された特定の実施態様に制限されないで本発明の範囲内で変更を加えることができる。たとえば、本発明に従う装置はたとえば炭化珪素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、窒化ガリウムインジウム(InGaN)、窒化アルミニウム(AlN)のような他のLEDチップ、または青色または紫外線光を放出する窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)ベースのLEDチップを含むことができる。
【0065】
さらには、前記第1実施態様に従う前記パッケージを同様に、各々のLEDチップの前記電極面を並列回路構成内で一緒に接続する必要のある「縦方向」伝導性LEDチップを格納するために用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1波長範囲内に主波長を有する光を発生するように作動可能な複数のLEDチップ、および
b)前記LEDチップを格納するためのパッケージ
を含む発光装置であって、
前記パッケージが
c)その上に前記LEDチップが熱的にやり取りできるように取り付けられる熱伝導性の基板、および
d)その中で各々の穴が前記LEDチップのそれぞれの1つに対応する複数の貫通穴を有するカバーであって、前記カバーが前記基板に取り付けられる場合に、前記基板と連結する各々の穴がその中にそれぞれのLEDチップが格納されるリセスの輪郭を形成するように前記穴が構成されるカバー
を含む、発光装置。
【請求項2】
前記パッケージが5℃/W未満および2℃/W未満からなる群から選択される熱抵抗を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの蛍光体材料および光透過性材料の混合物で少なくとも部分的に充填される各々のリセスをさらに含み、前記少なくとも1つの蛍光体材料が前記光の少なくとも一部を吸収し、かつ第2波長範囲内に主波長を有する光を放出するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置の放出生成物が前記第1および第2波長範囲の光の組み合わせを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記放出生成物が白色光である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記基板が少なくとも200Wm-1K-1の熱伝導率を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記基板が銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、熱伝導性セラミック、炭化ケイ素アルミニウムおよび炭素系複合材料からなる群から選択される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記カバーが熱伝導性であり、かつ少なくとも150Wm-1K-1および少なくとも200Wm-1K-1からなる群から選択される熱伝導率を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記カバーが銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、熱伝導性セラミック、炭化ケイ素アルミニウムおよび炭素系複合材料からなる群から選択される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記基板上に取り付けられる電気回路配置をさらに含み、前記回路配置が各々のLEDチップが前記基板に直接取り付けられるように構成される複数の貫通穴を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記回路配置に各々のLEDチップを電気的に接続することをさらに含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記回路配置がプリント回路基板を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記LEDチップが「横方向」伝導性チップである、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記基板上に、その表面に電気伝導体の配置を有する電気的に絶縁性で熱伝導性の層をさらに含み、かつ各々のLEDチップが電気伝導体に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記熱伝導性層がダイヤモンド状炭素膜を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記LEDチップが「縦方向」伝導性チップである、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つのリセスを覆う光学的構成要素をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
a)第1波長範囲内に主波長を有する光を発生するように作動可能な複数のLEDチップ、および
b)前記LEDチップを格納するためのパッケージ
を含む発光装置であって、
前記パッケージが
c)その上に前記LEDチップが直接熱的にやり取りできるように取り付けられる熱伝導性の基板、
d)前記基板上に取り付けられる電気回路配置であって、各々のLEDチップが直接熱的にやり取りできるように前記基板に取り付けられるように構成される複数の貫通穴を有する電気回路配置、
e)その中で各々の穴が前記LEDチップのそれぞれの1つに対応する複数の貫通穴を有するカバーであって、前記カバーが前記回路配置に取り付けられる場合に、前記回路配置と連結する各々の穴がその中にそれぞれのLEDチップが格納されるリセスの輪郭を形成するように前記穴が構成されるカバー
を含み、かつ
f)各々のリセスが少なくとも1つの蛍光体材料および光透過性材料の混合物で少なくとも部分的に充填されていて、前記少なくとも1つの蛍光体材料が前記第1波長範囲の光の少なくとも一部を吸収し、かつ第2波長範囲内の主波長を有する光を放出するするように構成される、
発光装置。
【請求項19】
a)第1波長範囲内に主波長を有する光を発生するように作動可能な複数のLEDチップ、および
b)前記チップを格納するためのパッケージ
を含む発光装置であって、
前記パッケージが
c)熱伝導性基板、
d)前記基板上に取り付けられる電気回路配置であって、前記回路配置がその表面に電気伝導体の配置を有する電気的に絶縁性で熱伝導性の層を含み、かつ各々のLEDチップが電気伝導体に取り付けられる電気回路配置、
e)その中で各々の穴が前記LEDチップのそれぞれの1つに対応する複数の貫通穴を有するカバーであって、前記カバーが前記回路配置に取り付けられる場合に、前記回路配置と連結する各々の穴がその中にそれぞれのLEDチップが格納されるリセスの輪郭を形成するように前記穴が構成されるカバー
を含み、かつ
f)各々のリセスが少なくとも1つの蛍光体材料および光透過性材料の混合物で少なくとも部分的に充填されていて、前記少なくとも1つの蛍光体材料が前記第1波長範囲の光の少なくとも一部を吸収し、かつ第2波長範囲内の主波長を有する光を放出するするように構成される、
発光装置。
【請求項20】
第1波長範囲内に主波長を有する光を発生するように作動可能な複数のLEDチップを含む、発光装置のためのパッケージであって、
a)その上に前記LEDチップが取り付け可能な熱伝導性基板、および
b)その中で各々の穴が前記LEDチップのそれぞれの1つに対応する複数の貫通穴を有するカバーであって、前記カバーが前記基板に取り付けられる場合に、前記基板と連結する各々の穴がその中にそれぞれのLEDチップが格納されるリセスの輪郭を形成するように前記穴が構成されるカバー
を含む、発光装置のためのパッケージ。
【請求項21】
前記パッケージが5℃/W未満および2℃/W未満からなる群から選択される熱抵抗を有する、請求項20に記載のパッケージ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2012−527778(P2012−527778A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511970(P2012−511970)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/035307
【国際公開番号】WO2010/135358
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(506358764)インテマティックス・コーポレーション (40)
【氏名又は名称原語表記】INTEMATIX CORPORATION
【Fターム(参考)】