説明

発塵抑制シュート装置

【課題】
簡単な構成により低コストでメンテナンスも簡単であり、発塵抑制を行ないながら短時間で粉粒状物を投下させる発塵抑制シュート装置を提供する。
【解決手段】
発塵抑制シュート装置は、機体に上端部が固定され粉粒状物の受入口を含む流路を内側に備えて縦に支持された筒状体からなり、粉粒状物の受入口を含む流路の一部を内側に備えた導入筒部と、導入筒部の下部に連結された二重筒状部と、を含む。導入筒部内には、受入口から導入される粉粒状物を内筒の流路内に非管路開放状態で流下させる不連続部が設けられ、二重筒状部の内外筒間の間隙部分と内筒の流路と粉粒状物の受入口に、不連続部を介して同時に連通する開口であって、負圧駆動手段に接続される吸引開口を備える。床面上方位置から粉粒状物を投入する作業を行ないながら、筋状にまとまった粉塵飛散を生じさせない粉粒状物を投下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、飼料、油粕、鉱石、セメント石炭灰等の粉粒状物等の船倉、トラック、荷揚げ地その他の場所に積み込みあるいは荷降ろしする際の粉塵の発生を抑制する発塵抑制シュート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
とうもろこし、大豆、菜種、小麦等の粉体、粒体状の穀類や鉱石、セメント等の粉粒状体物の搬送や荷降ろし時に船舶、トラック等に対する積み込みや積み下ろし作業を伴う。例えば、輸出入等の大型貨物船に粉粒状物を積載する場合には大型のローダ等の荷役機械を介して船倉の船底に向けて所要の粉粒状物を積み込む。この際、例えば地上側のサイロから搬送コンベアを介して船倉付近まで粉粒状物が搬送され、さらに粉粒状物シュートにより船底に落下される。また、一般的に粉粒状物を運搬、移動させる際にトラック搬送の場合でもコンベアで積載用荷台付近までコンベア搬送しシュートを用いて荷台上に落下させたり、あるいはシュートを介して積載部に投入する方法が通常行われる。また、そもそもこれらの粉粒状物の移動に際しては、コンベア搬送と、指定されたあるいは所定の場所への投入と、が必要となる。そして、所定の場所への投入時にその落下衝撃により粉粒状物中に混在した微粒子粉体や微粒子状の塵が舞い上がり拡大して広域に飛散するおそれがある。停泊中の大型船舶への積み込み時には周辺に粉塵を吹き上げて降下すると海面に粉塵の帯を形成し沖合いに流出して海域を汚染する。また、トラック等への積み込みに際しても周辺に粉塵を飛散させ作業者の人体への悪影響、近隣の施設や居住地への粉塵の飛散、周囲の汚損、粉塵爆発の危険などを生起させるおそれがある。従来、シュートを用いた積み込み時の粉粒体の投下装置として特許文献1の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−218380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置は、シュートの下部にスクリュー式の粉粒体押出機を設け、堆積されている粉粒体の落山の中にシュート先端部を埋没させた状態にしておき、押出機が粉粒体から受ける推力の値の変化量をロードセルにより検出しながら巻き上げて落下する粉粒体による発塵をシュート内部に止めるようにしたものである。しかしながら、この特許文献1の装置では、シュート下部内にスクリュー駆動用モータを内蔵し、さらに粉粒体押出用スクリュー、ロードセル、巻き上げ駆動モータを含む駆動装置等を必要とし、装置コストが高価で大がかりとなる上に、筒状のシュート内にモータやスクリューが設置されているためメンテナンス作業が煩雑であった。また、粉粒体内にスクリュー部分を埋没させた状態で回転駆動させるためロードセルでの推力検出を行うとしても回転負荷は大きなものとなり、モータの耐久期間を短いものとするおそれがあった。さらに、スクリュー駆動用モータやスクリュー等を内蔵したシュートであるからシュート全体が大型化、重量化し巻き上げ駆動モータ負荷も大きく、大型高出力のモータが必要であった。さらに、特許文献1の装置は、落山がしだいに大きくなることに対応してシュートを上昇駆動させながら投下を維持するものであり、シュート筒内での粉粒体の投下により発塵を相当程度抑制できるが、投下源からトラック荷台等の投下先への投下完了までの時間がかかり、作業現場によってはトラック運転者が投下のためのリモコン操作を行なう場合もあり、シュート装置の誤操作や投下とトラック移動タイミングがずれて不完全投下やトラック移動により近縁の設備構造に衝突したりする事故のおそれがあり、装置が高価であるわりには実用性の点で難点があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、簡単な構成により低コストでメンテナンスも簡単であり、発塵抑制を行ないながら短時間で粉粒状物を投下させる発塵抑制シュート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、投入される粉粒状物Jを下向きに流下案内するシュート装置であり、機体Mに上端部が固定され粉粒状物の受入口12を含む流路14を内側に備えて縦に支持された筒状体からなり、粉粒状物Jの受入口12を含む流路14の一部を内側に備えた導入筒部30と、導入筒部30の下部に連結された二重筒状部60と、を含み、二重筒状部60は、外筒62と、外筒の内側に所要間隙を設けて配置され下端側にテーパ状に縮径したテーパ筒部72を有する内筒64と、内筒64の流路14に軸合わせ状態で取り付けられた中空逆円錐台状の1個又は複数個の第2減衰整流器66と、内筒64下端側のテーパ筒部72の流れ上流側に設けられ内筒下端の開口64aより十分小さな流路開口68aを有するとともに、テーパ筒部72内壁との間に粉粒状物Jの流路14を形成するように設けられた粉粒状物の流下衝撃緩衝器68と、内筒64に設けられ内外筒間隙Sへの粉粒状物Jのオーバフロー用逃げ孔70と、を有し、導入筒部30内には、受入口12から導入される粉粒状物Jを内筒64の流路14内に非管路開放状態で流下させる不連続部33が設けられ、二重筒状部60の内外筒間の間隙S部分と内筒64の流路14と粉粒状物Jの受入口12に、不連続部33を介して同時に連通する開口であって、負圧駆動手段100に接続される吸引開口90を備えた発塵抑制シュート装置10から構成される。
【0007】
その際、導入筒部30内であって粉粒状物Jの受入口12に大径部を連通させた中空逆円錐台状の第1減衰整流器32が設けられ、第1減衰整流器32の小径部開口32bが導入筒部30内の中途で終端することにより、内外筒間の空隙部分Sと内筒64の流路14とに粉粒状物Jの受入口12を同時に連通させるとよい。
【0008】
また、二重筒状部60の外筒62は、内筒64に設けた粉粒状物のオーバフロー用逃げ孔70に対応する部分を含んで内筒64の一部から半径方向に突設され、かつ、筒の長手方向に内外筒間隙Sを形成しつつオーバフロー用逃げ孔70を被覆するように1個又は複数個の樋状管42A、42B、42Cで構成するとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発塵抑制シュート装置によれば、投入される粉粒状物を下向きに流下案内するシュート装置であり、機体に上端部が固定され粉粒状物の受入口を含む流路を内側に備えて縦に支持された筒状体からなり、粉粒状物の受入口を含む流路の一部を内側に備えた導入筒部と、導入筒部の下部に連結された二重筒状部と、を含み、二重筒状部は、外筒と、外筒の内側に所要間隙を設けて配置され下端側にテーパ状に縮径したテーパ筒部を有する内筒と、内筒の流路に軸合わせ状態で取り付けられた中空逆円錐台状の1個又は複数個の第2減衰整流器と、内筒下端側のテーパ筒部の流れ上流側に設けられ内筒下端の開口より十分小さな流路開口を有するとともに、テーパ筒部内壁との間に粉粒状物の流路を形成するように設けられた粉粒状物の流下衝撃緩衝器と、内筒に設けられ内外筒間隙への粉粒状物のオーバフロー用逃げ孔と、を有し、導入筒部内には、受入口から導入される粉粒状物を内筒の流路内に非管路開放状態で流下させる不連続部が設けられ、二重筒状部の内外筒間の間隙部分と内筒の流路と粉粒状物の受入口に、不連続部を介して同時に連通する開口であって、負圧駆動手段に接続される吸引開口を備えた構成であるから、筒状体の下端開口から乱れの少ない層流として粉粒状物を床面あるいは地上からの離隔上方位置から投下させながら簡単かつ短時間に撒物の荷降ろしができるとともに、途中の筒状体の内部で同伴空気による微粉塵も効果的に吸引排出することができるから、周囲への粉塵飛散を確実に抑制して原料の積み込み、荷降ろし作業を円滑に行なうことができる。また、シュート装置自体に駆動あるいは可動部分を含まない簡単な構成により低コストでメンテナンスも簡単であり、発塵抑制を行ないながら短時間で粉粒状物を投下させることが可能である。
【0010】
また、導入筒部内であって粉粒状物の受入口に大径部を連通させた中空逆円錐台状の第1減衰整流器が設けられ、第1減衰整流器の小径部開口が導入筒部内の中途で終端することにより、内外筒間の空隙部分と内筒の流路とに粉粒状物の受入口を同時に連通させた構成であるから、粉粒状物のシュート装置内での発塵抑制と層流投下を効果的に行ないながらそれらの同伴空気に混入する微粉塵並びにオーバフロー原料による微粉塵を回収できる。
【0011】
また、二重筒状部の外筒は、内筒に設けた粉粒状物のオーバフロー用逃げ孔に対応する部分を含んで内筒の一部から半径方向に突設され、かつ、筒の長手方向に内外筒間隙を形成しつつオーバフロー用逃げ孔を被覆するように1個又は複数個の樋状管で構成されているから、装置全体の軽量化を達成しつつ、過容量の原料投入時に原料をオーバフローさせて筒内での詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】縦断面で示した本発明の一実施形態に係る発塵抑制シュート装置を含む粉粒状物投入機構の全体正面図である。
【図2】図1の発塵抑制シュート装置の縦断拡大斜視図である。
【図3】図1のA−A線矢視図である。
【図4】図1のB−B線矢視図である。
【図5】図1の発塵抑制シュート装置の縦断面作用説明図である。
【図6】図1の装置により粉粒状物を投入する状態を示す作用説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る発塵抑制シュート装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る発塵抑制シュート装置について説明する。本発明の発塵抑制シュート装置は、コンベアその他の搬送手段からばら荷で粉粒状物をトラック荷台やコンテナ、船倉等に投入、収容させる際などに用いられるもので、例えばコンベアの排出口や投入用ホッパ等に固定設置される。そして、例えば港湾での陸上での大型サイロと船舶船倉間での穀物等の搬入、搬出、穀類等のトラックその他の搬送車での搬送による移動、その他、鉱石、セメント等の搬送や荷降ろし時移動の際などにおいて、 投下する床面から離隔させた上方位置から粉粒状物を単に投下させるだけで目的のトラック荷台や室内床面等に発塵を抑制させないで収容させる。すなわち、本発明の発塵抑制シュート装置は、粉粒状物等の撒物の貯留室やコンベア等搬送供給路から粉粒状物を投下させる際に、ホッパや案内搬送路に吊支状に固定支持し、離隔下方のトラック荷台やコンテナなどに乱れの無い層流として放出流下させて短時間で簡単に粉粒状物の投下を行なう装置である。
【0014】
図1ないし図4は、本発明の第1実施形態の発塵抑制シュート装置を示している。図1は、縦断面で示した本発明の一実施形態に係る発塵抑制シュート装置を含む粉粒状物投入機構の全体正面図であり、本実施形態の発塵抑制シュート装置10は、図示しない搬送コンベアに接続されて粉粒状物を供給するホッパHと、ホッパHに連通する搬送シュートVを含む機体Mに固定的に吊支されている。具体的には搬送シュートHの下端に流路直結されて吊支されている。なお、発塵抑制シュート装置10は実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、装置の固定先は搬送コンベアの排出口等に流路直結状態で、あるいは排出口と装置の受入口とを離隔配置して固定設置してもよい。
【0015】
図1において、実施形態の発塵抑制シュート装置10は、機体Mに上端部が固定され縦に支持された筒状体から構成されている。筒状体の内側には粉粒状物Jの受入口12を含む流路14を備えている。筒状体の実施形態の発塵抑制シュート装置10は、導入筒部30と、二重筒状部60と、を含む。二重筒状部60は、さらに、外筒62と内筒64と、減衰整流器66と、流下衝撃緩衝器68と、オーバフロー用逃げ孔70と、を有する。
【0016】
導入筒部30は、機体Mの搬送シュートVの鉛直筒部Vbに流路を直結するように連通接続され機体側から供給される粉粒状物Jを始めに受け入れて二重筒状部側に流す筒部であり、実施形態では例えば鋼管材で構成されて図2,3に示すように上端のフランジ部31と鉛直筒部Vbのフランジ部とを重畳させて溶接あるいはボルト締結により連結固定されている。この際、鉛直筒部Vbと導入筒部30の中央の流路14は位置を合わせて連通するように接続されている。
【0017】
図2において、導入筒部30内には筒状の第1減衰整流器32が下方向に向けて径を小さくするように逆テーパ筒形状で取り付けられている。第1減衰整流器32は、搬送コンベア等の粉粒状物Jの供給源から供給される粉粒状物を受け入れてそれらの流下速度を減衰させるとともに、筒状体内の粉粒状物の流れを流路中央に集中させる減衰整流手段であり、逆テーパ筒の上端開口部分が受入口12とされる。逆テーパ筒の下端小径部32aは、導入筒部30の下部に接続された二重筒状部60の内筒の流路14に連通することなく、導入筒部30内において中途で終端している。すなわち、逆テーパ筒の下端小径部32aと二重筒状部60の内筒の流路上端開口とは不連続として非管路開放状態で粉粒状物を流下させる不連続部33が設けられている。したがって、逆テーパ筒の下端小径部32aの開口32bと、内筒64の流路上端開口14aと、はともに導入筒室34内に臨んで開放されており、下端小径部32aから排出される粉粒状物は空間的な流路で内筒64の流路上端開口14aに流下する。そして、二重筒状部60の内外筒間の間隙S部分と内筒64の流路14と粉粒状物の受入口12に、不連続部33を介して同時に連通する吸引開口90が導入筒部30に設けられている。第1減衰整流器32の逆テーパ筒の下端小径部開口32bは二重筒状部60の流路14の中心を粉粒状物の流芯として、その芯を共通にするように位置合わせされている。図に示すように、逆テーパ筒の上端はフランジ部31に接合されて導入筒壁30aと第1減衰整流器32の逆テーパ筒壁間には袋状空間35が形成されている。導入筒部30内の導入筒室34には、後述するように二重筒状部60の流路14と、内外流路間空隙Sと、受入口12に同時に連通する吸引開口90が設けられている。
【0018】
二重筒状部60は、導入筒部30から流下する粉粒状物を鉛直下方に向けて流しながら整流と流下速度減衰と、下端側での層流形成と、を行ないながら床面上等に粉粒状物を投下させる層流投下手段であり、特に、本実施形態では、二重筒状部から排出させる際に同伴空気に混入する微粒子状粉塵の発生を抑え、発塵を抑制するものである。
【0019】
二重筒状部60は、外筒62と内筒64とにより二重筒状に構成された筒状体であり、内筒64の外側に内筒壁と空隙Sを空けて上下に連通する通路40を形成した二重筒状の構造体である。内筒64内と空隙Sとを連通しさらに内外筒64,62の空隙Sで上下連通の通路40を形成させるようにする限り完全な二重筒構成は勿論、本実施形態のように、変形の二重筒構成としてもよい。
【0020】
すなわち、本実施形態において、断面円形の内筒64の周壁のそれぞれ略120度離隔した位置を中心位置とする3個の断面円弧状樋状管42A、42B、42Cが取り付けられている。そして、それぞれの樋状管42A、42B、42Cの取り付け位置に対応して該樋状管に覆蓋された部分において(図1、2、4参照)、それぞれ逃げ孔70が穿孔されている。それぞれの内外筒間空隙Sは上下に連通する通路40を形成している。3個の断面円弧状樋状管42A、42B、42Cは、それぞれ下方向に向けて通路40の面積を小さくするように下方内側に向けて小径となっている。また、これらの3個の断面円弧状樋状管42A、42B、42Cの上端は、図2に示すように開口して導入筒部30の導入筒室34内に連通している。
【0021】
内筒64は、二重筒状部60において粉粒状物の鉛直下方案内を行ないながら、最終的に目的とする床面上等に層流として投下する手段の主要な構成部位であり、受入口12から流入する粉粒状物Jを鉛直下方に直線状に案内する流路14を内側に有する。内筒64は、下端側に逆テーパ状に縮径するテーパ筒部72を有している。テーパ筒部72は、後述する流下衝撃緩衝器68とともに内筒内を流下する粉粒状物を受けて衝撃を緩衝するとともに、緩衝させて流速を小さくした状態で受け止められて滞留する粉粒状物の一部を内筒下端開口64aから筋状の層流として流下案内させる。
【0022】
内筒64の内側であって、その上下中央よりやや下方位置には、流路14に流芯の軸を合わせた状態で取り付けられた中空逆円錐台状の第2の減衰整流器66が取り付けられている。第2の減衰整流器66は、内筒64内を流下する粉粒状物Jの流下速度を減衰させるとともに、内筒内での流れを流路中央に集中させる減衰整流手段である。第2の減衰整流器66は逆テーパ筒形状であり、上端の大径部の縁が内筒64の内壁に接合固定されている。これによって、内筒64の内壁と第2の減衰整流器66の外壁面との間には袋状空間74が形成されている。実施形態では内筒内には1つの減衰整流器のみが設置されているが、内筒全体長さや粉粒状物の種類、性状等に応じて複数個を上下に離隔配置して設けても良い。
【0023】
さらに、内筒64の下端側のテーパ筒部72の流れ上流側であるテーパ壁の始まり部分に粉粒状物の前述した流下衝撃緩衝器68が設置されている。流下衝撃緩衝器68は、内筒下端の開口64aより十分小さな下端開口68aを有するとともに、テーパ筒部72の内壁との間に粉粒状物の流路76を形成するように流路14の略中央部分に逆テーパ形状で内筒側に一端を固定したフレーム板に固定されて架設されている。逆テーパ筒形状の流下衝撃緩衝器68は下方に向けてしだいに小径となる流路を有するとともに、内筒内壁との間に十分な環状流路76を形成するように小型の逆テーパ筒体として形成されている。内筒64には、前述のように、内外筒間隙への粉粒状物のオーバフロー用逃げ孔70が外筒としての樋状管40A、40B、40Cの取り付け位置に対応して3個設けられている。オーバフロー用逃げ孔70は、内筒64内に流下案内容量を超えた量の粉粒状物が投入された際に、該逃げ孔70から内外筒間空隙S側に粉粒状物をオーバフローさせ、通路40内を流下させる。本実施形態ではオーバフロー用逃げ孔70は、縦長長円形状で形成されており、急激に大量の粉粒状物の投入があった場合にも粉粒状物の逃がし機能を有する。なお、内筒64のテーパ筒部72の下端から直筒状ガイド78が垂下接続されている。これに対応して外筒62としての樋状管42のそれぞれの下端部にも円弧管に接続する直円弧管状ガイド79が取り付けられている。また、81は、外部からの透明点検窓である。
【0024】
本実施形態において、1つの特徴的なことは、導入筒部30に、負圧駆動手段100に接続される吸引開口90を備えたことである。詳しくは、吸引開口90は、導入筒部の壁に開口され内外筒間間隙Sと、内筒の流路14と、粉粒状部物の受入口12に同時に連通する。すなわち、導入筒部30の第1減衰整流器32の下端開口と内筒の上端開口とは閉鎖流路で連通することなく、不連続流路で開放状態で粉粒状物を投入させている。これによって、例えばブロワ等からなる吸引管98を介した負圧駆動手段100の吸引作用により、導入筒部30から内筒64への導入途中、並びにオーバフローが生じた場合の粉粒状物からの微粒子成分を常時吸い取る状態で投入を行なうこととなる。
【0025】
次に、本実施形態の発塵抑制シュート装置10の作用について図5,6をも参照しつつ説明する。機体M側から本装置10の導入筒部30から導入された粉粒状物Jは、第1減衰整流器32で受け止められて流下速度を減衰させられ、さらに筒状体内の粉粒状物の流れを流路中央に集める。第1減衰整流器32の逆テーパの小径端開口から放出される粉粒状物は、導入筒室34内を通過して不連続の二重筒状部60の内筒上端開口内に導入される。内筒64の流路内では第2減衰整流器66を通過時に再度流下速度減衰と、粉粒状物の流れを流路中央に集める整流機能を行ないながら小径端開口から下方に放出させる。さらに内筒64のテーパ筒部72部分に設置された小型逆テーパ形状の流下衝撃緩衝器68で落下衝撃を緩衝され、さらに瞬時の滞留と粉粒状物の一部排出を行なう。このとき、内筒64のテーパ筒部72部分に絞られながら流下衝撃緩衝器68で制御された流れを筋状の層流として粉粒状物をガイド78から放出させる。流下案内容量を超えた量の粉粒状物投入が行なわれた場合には、流下衝撃緩衝器68、第2減衰整流器で原料が滞留し、さらに内筒64内を増加上昇する。オーバフロー用逃げ孔70に至ると、粉粒状物は該孔70から流出して内外筒間空隙S内に溢流し、通路40内を流下してその下端開口から放出される。このとき、通路40から排出される粉粒状物は内筒から排出される粉粒状物に比較して少量でかつ流速も小さいから、中央の大きな層流に誘引された流れとなり周囲に飛散することなく中央の流れと一体化して流下する。そして、安定した層流として下方に流下放出させながら、このときに粉粒状物が担持する同伴空気に含まれる微粒子粉塵は、導入筒部30内での粉粒状物の流下途中で、さらにオーバフローによるぶんについては通路40からブロワにより吸引排出させる。したがって、層流による粉粒状物の流下を行なわせながら流下途中の粉粒状物から常時微粒子粉塵を吸引排出するから、単に床面上方から床面Fに向けて落下させるだけの簡単な作業でありながら、図6に示すような筋状の層流で流下させ、粉粒状物が周囲に拡大して飛散することを防止しうるとともに、さらにその際の微粒子粉塵の飛散を確実に防止させることとなる。さらに、第1、第2減衰整流器32、66は、上端が筒の内壁に接合固定されてそれぞれ袋状空間35、74を形成するので、過負荷の粉粒状物を投入となった際に、簡単に内筒内に粉粒状物が詰まって作業停止となるおそれを軽減し得る。
【0026】
なお、上記した第1実施形態の二重筒状部60の外筒は、内筒に設けた粉粒状物のオーバフロー用逃げ孔に対応する部分を含んで内筒の一部から半径方向に突設させ、かつ、筒の長手方向に内外筒間隙を形成しつつオーバフロー用逃げ孔を被覆するように設けた樋状管で構成しているが、図7に示すように、内筒64を外筒62内に挿入して中央位置で保持させた完全な二重筒構成としてもよい。この場合、内筒64内と空隙Sとを連通しさらに内外筒64,62の空隙Sで上下連通の通路40を形成させる。
【0027】
以上の通り、本発明の発塵抑制シュート装置によれば、筒状体内の複数の減衰整流器と内筒のテーパ筒部と、流下衝撃緩衝器とにより、筒状体の下端開口から層流として乱れの少ない層流として粉粒状物を床面あるいは地上からの離隔上方位置から投下させながら簡単かつ短時間に撒物の荷降ろしができるとともに、途中の筒状体の内部で同伴空気による微粉塵も効果的に吸引排出することができるから、周囲への粉塵飛散を確実に抑制して原料の積み込み、荷降ろし作業を円滑に行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の発塵抑制シュート装置は、陸上側からローダ、アンローダ等の荷役機械を用いた船舶船倉への積込み、サイロ、コンベアからの搬送トラックへの積込み、搬送先の倉庫等への荷降ろし時、その他のあらゆる粉粒状物ばら荷の積み込み、荷降ろし作業に適用可能である。
【符号の説明】
【0029】
10 発塵抑制シュート装置
12 受入口
14 流路
14a 流路上端開口
30 導入筒部
32 第1減衰整流器
33 不連続部
34 導入筒室
40 通路
42 樋状管
60 二重筒状部
62 外筒
64 内筒
66 第2減衰整流器
68 流下衝撃緩衝器
70 オーバフロー用逃げ孔
72 テーパ筒部
90 吸引開口
J 粉粒状物
M 機体
S 内外筒間空隙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入される粉粒状物を下向きに流下案内するシュート装置であり、
機体に上端部が固定され粉粒状物の受入口を含む流路を内側に備えて縦に支持された筒状体からなり、
粉粒状物の受入口を含む流路の一部を内側に備えた導入筒部と、
導入筒部の下部に連結された二重筒状部と、を含み、
二重筒状部は、
外筒と、
外筒の内側に所要間隙を設けて配置され下端側にテーパ状に縮径したテーパ筒部を有する内筒と、
内筒の流路に軸合わせ状態で取り付けられた中空逆円錐台状の1個又は複数個の第2減衰整流器と、
内筒下端側のテーパ筒部の流れ上流側に設けられ内筒下端の開口より十分小さな流路開口を有するとともに、テーパ筒部内壁との間に粉粒状物の流路を形成するように設けられた粉粒状物の流下衝撃緩衝器と、
内筒に設けられ内外筒間隙への粉粒状物のオーバフロー用逃げ孔と、を有し、
導入筒部内には、受入口から導入される粉粒状物を内筒の流路内に非管路開放状態で流下させる不連続部が設けられ、
二重筒状部の内外筒間の間隙部分と内筒の流路と粉粒状物の受入口に、不連続部を介して同時に連通する開口であって、負圧駆動手段に接続される吸引開口を備えたことを特徴とする発塵抑制シュート装置。
【請求項2】
導入筒部内であって粉粒状物の受入口に大径部を連通させた中空逆円錐台状の第1減衰整流器が設けられ、
第1減衰整流器の小径部開口が導入筒部内の中途で終端することにより、内外筒間の空隙部分と内筒の流路とに粉粒状物の受入口を同時に連通させたことを特徴とする請求項1記載の発塵抑制シュート装置。
【請求項3】
二重筒状部の外筒は、内筒に設けた粉粒状物のオーバフロー用逃げ孔に対応する部分を含んで内筒の一部から半径方向に突設され、かつ、筒の長手方向に内外筒間隙を形成しつつオーバフロー用逃げ孔を被覆するように1個又は複数個の樋状管で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の発塵抑制シュート装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−105457(P2011−105457A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262494(P2009−262494)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(507305255)PGCエンジニアリング株式会社 (6)
【Fターム(参考)】