説明

発泡体成形型枠

【課題】従来よりも作業性に優れた発泡体成形型枠を提供する。
【解決手段】コンクリート打設時において型枠として機能し、コンクリート打設後において構造物の壁の一部として機能する発泡体成形型枠であって、合成樹脂の発泡体によって形成される発泡体部と、前記発泡体部の内部に埋設され、該発泡体成形型枠を固定するセパレータ部材が接続される取付部と、を備え、前記取付部は、前記発泡体部の内部に埋設される支持部と、前記支持部と接続され、前記発泡体部の表面から突出し前記セパレータ部材の接続部が挿入される孔部を有する被接続部であって、挿入された接続部が、該被接続部の内部で挿入軸周りに回転するのを抑制する回転抑制部を有する被接続部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体成形型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物を構築する際に用いる型枠として合成樹脂の発泡体を用いたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。この合成樹脂の発泡体を用いた型枠は、コンクリート打設時において型枠として機能し、コンクリート打設後においては構造物の壁の一部として機能することができる。なお、合成樹脂の発泡体を用いた型枠は断熱性能も優れていることから、コンクリート打設後にそのまま打設されたコンクリート(躯体)の表面に残すことで、構造物の断熱材として優れた機能を発揮することができる。
【特許文献1】特許第3721649号公報
【特許文献2】特許第3721666号公報
【特許文献3】特許第3845346号公報
【特許文献4】特開平11−315601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
構造物を構築する際に用いる型枠として合成樹脂の発泡体を用いた発泡体成形型枠が知られている。発泡体成形型枠は、その優れた断熱性能により、構造物の壁の一部として用いることで断熱性能や気密性能に優れた構造物を構築することができる。また、発泡体成形型枠は、解体する必要が無いことから作業の手間を低減させることができ、その結果工期の短縮を図ることができる。
【0004】
なお、従来の発泡体成形型枠は、両端部が夫々直角に折り曲げられた門型のセパレータ部材の折曲部分を発泡体成形型枠に設けられた孔部に挿入することで、発泡体成形型枠同士の接続を行っていた。しかしながら、このような従来の接続形態では、挿入されたセパレータ部材が孔部の内部で回転し、例えば、セパレータ部材が動いて作業者や鉄筋に接触してしまうといったように、作業性が悪いといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、より作業性に優れた発泡体成形型枠を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記の課題を解決するため、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、コンクリート打設時において型枠として機能し、コンクリート打設後において構造物の壁の一部として機能する発泡体成形型枠であって、合成樹脂の発泡体によって形成される発泡体部と、前記発泡体部の内部に埋設され、前記発泡体成形型枠を固定するセパレータ部材が接続される取付部と、を備え、前記取付部は、前記発泡体部の内部に埋設される支持部と、前記支持部と接続され、前記発泡体部の表面から突出し前記セパレータ部材の接続部が挿入される孔部を有する被接続部であって、挿入された接続部が、該被接続部の内部で挿入軸周りに回転するのを抑制する回転抑制部を有する被接続部と、を有する。
【0007】
発泡体成形型枠は、コンクリートの打設時においては型枠として機能し、コンクリート打設後においては、構造物の壁の一部として機能する。本発明の発泡体成形型枠は、構造物の内側と外側との両方に用いてもよく、また、いずれか一方にのみ用いてもよい。構造物の内側と外側の両方に用いることで両断熱の構造物を構築することができる。また、構造物の内側と外側とのうちいずれか一方にのみ用いることで、外断熱若しくは内断熱の構
造物を構築することができる。
【0008】
発泡体成形型枠は、発泡体部と、取付部とによって構成される。発泡体部は、合成樹脂の発泡体によって構成することができる。なお、発泡体の材質や厚さ等を調整することで発泡体成形型枠の断熱性能を調整することができる。取付部は、発泡体部の内部に埋設される支持部と、セパレータ部材が接続される発泡体部の表面から突出した被接続部とによって構成される。支持部を発泡体成形型枠の内部に適宜埋め込むことで、発泡体成形型枠の強度を確保することができる。つまり、発泡体成形型枠が型枠として機能するための強度は、支持部の材質、形状、配置等によって調整することができる。例えば、支持部は、棒状とすることができ、これを複数所定の間隔をあけて埋設することができる。なお、棒状の支持部同士を連結することで、発泡体成形型枠の強度をより向上させることができる。
【0009】
被接続部は、セパレータ部材が挿入される孔部を有する。また、被接続部は、挿入された接続部が、該被接続部の内部で挿入軸周りに回転するのを抑制する回転抑制部を有している。これにより、本発明によれば、セパレータ部材の回転を抑制することができ、セパレータ部材が動いて作業者や鉄筋に接触するといった事態を防止して、作業性をより向上させることができる。
【0010】
ここで、本発明において、前記セパレータ部材は、棒状の軸部と、前記軸部の端部に設けられ前記被接続部と接続される接続部であって、前記軸部の端部の外周の少なくとも一部が該軸部の外郭よりも突出することで形成される接続部と、を有し、前記孔部は、前記発泡体部の表面と略平行な方向から、前記接続部が挿入可能であり、前記回転抑制部は、前記孔部の挿入口の一部に設けられた前記軸部を収容する切欠部であり、該切欠部に前記軸部を収容して該軸部の移動を規制することで該接続部が該孔部内で回転するのを抑制するようにしてもよい。
【0011】
外周の少なくとも一部が該軸部の外郭よりも突出する形状には、外周の一部のみが外郭よりも突出したものとして、前記軸部の一端側が該軸部と略直交するように折り曲げられた形状が例示される。この場合、セパレータ部材は、側面視において略L字状となる。なお、接続部は、軸部の一端側の外周の全部が外郭よりも突出していてもよい。この場合、セパレータ部材は、側面視において略T字状となる。
【0012】
発泡体部の表面と略平行な方向とは、垂直方向、水平方向、又は斜め方向のうちいずれでもよい。但し、前記発泡体部の表面と略直交する方向を垂直方向とすることで鉛直方向下向きに挿入、すなわち自重を利用して挿入することができ作業性を向上することができる。また、本発明では、切欠部が軸部を収容して軸部の移動を規制するので接続部が孔部内で回転するのを抑制することができる。
【0013】
ここで、本発明において、前記被接続部は、挿入された前記接続部が、非挿入方向に移動することで該接続部が被接続部から抜けるのを抑制する抜け抑制部を有するようにしてもよい。これにより、例えばコンクリート打設時の衝撃等により接続部が被接続部から抜け落ちるといった事態を低減することができる。
【0014】
また、本発明において、前記支持部は、格子状としてもよい。これにより、発泡体成形型枠の強度をより向上することができる。例えば、発泡体部の強度を向上する場合、一枚の板部材を埋設することも考えられる。しかしながら、発泡体成形型枠は、合成樹脂を発泡させることで成形するため、例えば板状の部材を発泡体のほぼ全体に埋設した場合、埋設された板状の部材の表側と裏側が隔離され、十分な発泡が得られないといった懸念がある。しかしながら、本発明によれば、発泡体部に埋設される支持部を格子状とすることで
、合成樹脂の発泡が効果的に行われ、優れた断熱性能が確保することができる。また、十分な強度を確保するためには、複数の支持部が必要となるが、本発明によれば部品点数を減らすことができる。
【0015】
なお、本発明は、上述した発泡体成形型枠を有する構造体、若しくは構造物とすることができる。また、本発明は上述した発泡体成形型枠を用いた構造物の構築方法としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より作業性に優れた発泡体成形型枠を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の型枠接続装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
<第一実施形態>
(構成)
図1は、第一実施形態の発泡体成形パネル4の対向面側の正面図を示す。図2は、発泡体成形パネル4の上面図を示す。本実施形態の発泡体成形パネル4は、所定の厚さを有する横長の長方形からなる合成樹脂製の発泡体(本発明の発泡体成形体部に相当する。)42と、取付部材43とによって構成されている。なお、発泡体成形パネル4は、コンクリート打設時において型枠として機能し、コンクリート打設後においては構造物の壁の一部として機能する。発泡体の材質は、発泡ポリスレチン、発泡ポリエチレン等とすることができる。
【0019】
ここで、図3は、取付部材43の正面図を示す。図4は、取付部材43の上面図を示す。第一実施形態の取付部材43は、全体が格子状の支持部46によって構成されている。支持部46は、縦部材461と横部材462が格子状に一体的に形成されている。また、縦部材461の夫々には、突出部45が垂直方向に所定の間隔をあけて四つ設けられている。なお、本実施形態では、発泡体成形パネル4の強度をより向上させるべく、支持部46を格子状としたが、これに限定されるものではない。また、取付部材43は、プラスチックといった樹脂系素材を用いることができる。但し、これに限定されるものではない。取付部材43は、コンクリート打設時における型枠としての機能を果たすのに十分な強度を有していればよい。
【0020】
ここで、図5は、突出部45の拡大斜視図を示す。同図に示すように、本実施形態の突出部45は、セパレータ部材2の接続部が挿入される孔部53が設けられている。また、本実施形態では、孔部53は上側が開放することで、セパレータ部材4を上方から挿入可能となっている。また、突出部45は、対向面側に切り欠き55が設けられている。この切り欠き55は、本発明の回転抑制部に相当し、セパレータ部材2の軸部21を収容し、セパレータ部材2が孔部53周りに回転することを規制する。
【0021】
なお、発泡体成形パネル4の寸法や形状は、構造物の形状等に応じて適宜設計すればよい。従って、発泡体成形パネル4の寸法は、特に限定されないが、本実施形態においては、高さが410mm、厚さが55mmに設計されている。なお、高さや厚さは全ての発泡体成形パネル4を同じ寸法にすることが好ましいが、幅については構造物の壁の大きさに合わせて適宜設計すればよい。なお、例えば、構造物のコーナ部は、予めコーナ部を有する発泡体成形パネル4aを用意しておくことで、施工性を向上させることができる。なお、図6は、コーナ部49を有する発泡体成形パネル4aの正面図を示す。また、図7は、コーナ部49を有する発泡体成形パネル4aの上面図を示す。なお、隣接する発泡体成形パネル同士の接続は、発泡体成形パネルの端部に互いに勘合可能な凹凸部を設け、互いに
勘合すればよい。
【0022】
発泡体成形パネル4は、コンクリートを打設する際、対向するように配置され、セパレータ部材2によって固定される。ここで、図8は、第一実施形態のセパレータ部材2の側面図を示す。また、図9は、セパレータ部材2によって対向する発泡体成形パネル4同士が接続されている状態を示す。
【0023】
図8に示すように、本実施形態のセパレータ部材2は、側面視において門型形状を有し、棒状の軸部21の両端が夫々略直角に折り曲げられることで接触部22が形成されている。更に、接触部22の先端には、返し部221が設けられている。これにより、コンクリート打設時の衝撃等によってセパレータ部材2が抜け落ちるのを抑制することができる。なお、本実施形態のセパレータ部材2は、軸部21と、接続部22とが一体的に成形されている。本実施形態では、セパレータ部材2が、金属部材によって構成されているが、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5とを十分に支持できる強度を有していればよく、その材質は特に限定されない。
【0024】
また、本実施形態の軸部21は、断面形状が円形となっているが、四角形、多角形等でもよく、その形状は特に限定されない。また、軸部21の長さを変えることで、発泡体成形パネル4同士の距離を調節することができる。なお、本実施形態では、軸部21に合わせて接続部22も断面形状が円形となっている。
【0025】
(使用方法)
次に、上述した第一実施形態の発泡体成形パネル4の使用方法について説明する。なお、第一実施形態では、発泡体成形パネル4を構造物の内側と外側との双方に適用する場合、すなわち、構造物を両断熱とする場合について説明する。
【0026】
ここで、図10は、発泡体成形パネル4を用いて構造物を構築する場合の作業状態を示す。まず初めに、図10(a)に示すように、構造物の設計に従って鉄筋を組み立てる。鉄筋の組立てが完了したら、発泡体成形パネル4を建て込む(図10(b)参照。)。すなわち、構造物の設計に従って、建物の内側若しくは外側のうち何れか一方の発泡体成形パネル4を建て込む。
【0027】
発泡体成形パネル4の内側若しくは外側のうちの一方の側の建て込みが完了したら、建て込んだ発泡体成形パネル4と所定の間隔をあけて他方の側の発泡体成形パネル4を建て込む。(図10(c)参照。)。この際、対向する発泡体成形パネル4同士をセパレータ部材2を用いて固定する。すなわち、セパレータ部材2の接続部22を突出部45の孔部53に挿入する。
【0028】
一段目の発泡体成形パネル4の建て込みが完了したら、更に発泡体成形パネル4を複数段、すなわち、所定の高さまで積み上げ、その後コンクリートの打設を行う(図10(d)参照。)。コンクリートの打設が完了したら、一定期間養生後、上記手順を繰り返し、構造物として必要な高さまで更に発泡体成形パネル4を建て込み、その後コンクリート打設を行う。なお、本実施形態では、発泡体成形パネル4によって両断熱の構造物を構築することで、一般的な作業と異なり、型枠を解体手間を省くと共に、コンクリート打設後の躯体の表面に断熱材を取り付ける作業の手間も省くことができる。以上の作業を行うことで、両断熱の構造物を容易に構築することができる。なお、上述した手順はあくまで一例にすぎず、現場の状況に応じて順序等は適宜入れ替えて行うことができる。
【0029】
(効果)
以上説明した第一実施形態の発泡体成形パネル4によれば、発泡体成形パネル4の孔部
53に挿入されたセパレータ部材2が回転することを抑制することができる。その結果、セパレータ部材2が動いて作業者や鉄筋に接触するといった事態を防止して、作業性をより向上させることができる。また、本実施形態では、発泡体成形パネル4の内部、換言すると発泡体42の内部に格子状の支持部46が設けられていることから従来よりも発泡体成形パネル4の強度を向上させることができる。また、支持部46は格子状であって、合成樹脂を発泡させる際の妨げとなり難いことから、優れた断熱性能を確保することができる。
【0030】
<第二実施形態>
次に第二実施形態について説明する。第一実施形態では、発泡体成形パネル4を両断熱に適用する場合を例に説明した。しかしながら、発泡体成形パネル4は、外断熱若しくは内断熱といったように両断熱以外にも適用することができる。そこで、第二実施形態では、発泡体成形パネル4を外断熱に適用する場合について説明する。
【0031】
(構成)
第二実施形態では、構造物の外側のみに発泡体成形パネル4を用いることから、発泡体成形パネル4と対向する型枠には、既存のコンクリートパネル5が用いられている。また、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5を接続するため、第二実施形態では型枠接続装置1が用いられている。ここで、図11は、第二実施形態の型枠接続装置1の側面図を示す。また、図12は、第二実施形態の型枠接続装置1によって発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5とを接続している状態を示す。図11、図12に示すように、型枠接続装置1は、セパレータ部材2aと、固定部材3とによって構成されている。本実施形態の型枠接続装置1によれば、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5といった種類の異なる型枠を接続することができる。
【0032】
セパレータ部材2aは、側面視においてL字形状を有し、棒状の軸部21aと、この軸部21aの一端側に設けられ、軸部21aに対して直角に折り曲げられた第一接続部22aと、軸部21aの他端側に設けられ、螺子溝が形成されている第二接続部23aと、によって構成されている。また、本実施形態のセパレータ部材2aは、軸部21aと、第一接続部22aと、第二接続部23aとが一体的に成形されている。第一接続部22aは、発泡体成形パネル4と接続され、第二接続部23aは、コンクリートパネル5を貫通し、かつ、固定部材3と接続されている。なお、本実施形態では、セパレータ部材2aが、金属部材によって構成されているが、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5とを十分に支持できる強度を有していればよく、その材質は特に限定されない。
【0033】
本実施形態の軸部21aは、断面が円形状であるが、四角形、多角形等、その形状は特に限定されない。また、軸部21aの長さを変えることで、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5との間の距離を調節することができる。従って、軸部21aの長さは、鉄筋やコンクリートの厚さを考慮して設計すればよい。なお、本実施形態では、軸部21aに合わせて第一接続部22a及び第二接続部23aも断面形状が円形となっている。
【0034】
次に第二接続部23a及び固定部材3、更に第二接続部及び固定部材3が接続されるコンクリートパネル5について説明する。第二接続部23aは、軸部21aの他端側の端部に螺子溝が形成されることで構成されている(図11参照)。固定部材3は、第二接続部23aに接続される本体部31と、コンクリートパネル5の外側から単管等の支持部材を押さえつける座金33と、本体部31と螺合し、座金33を固定するナット34によって構成されている。本体部31の端部には、第二接続部23aの螺子溝と螺合可能な螺子溝が内側に形成された筒部32が設けられている。なお、固定部材3には、コンクリートパネル5を固定する際に用いる既存のフォームタイを用いることができる。
【0035】
コンクリートパネル5には、合板等からなる既存の型枠部材を用いることができる。大きさや寸法は特に限定されないが、対向する発泡体成形パネル4の寸法と同形状及び同寸法とすることが好ましい。なお、第二接続部23aを通す孔部(図示せず)は、発泡体成形パネル4の孔部53と対向する位置に予め設けておけばよい。
【0036】
(使用方法)
次に、上述した第二実施形態の型枠接続装置1の使用方法について説明する。なお、以下の説明では、型枠接続装置1を用いて外断熱の構造物を構築する場合を例に説明する。すなわち、発泡体成形パネル4を構造物の外側に用いる場合を例に説明する。
【0037】
ここで、図13は、型枠接続装置1を用いて構造物を構築する場合の作業状態を示す上面図である。まず初めに、図13(a)に示すように、構造物の設計に従って鉄筋を組み立てる。すなわち、構造物の設計に従って墨出しを行った後、墨出しに合わせて構造物の設計に従って鉄筋を組み立てる。
【0038】
鉄筋の組立てが完了したら鉄筋と所定の間隔をあけて発泡体成形パネル4を建て込む(図13(b)参照。)。より具体的には、構造物の設計に従って、一段目の発泡体成形パネル4を建て込む。一段目の発泡体成形パネル4の建て込みが完了したら、構造物の設計に従って、すなわち、発泡体成形パネル4及び鉄筋と所定の間隔をあけてコンクリートパネル5を建て込む(図13(c)参照。)。この際、コンクリートパネル5と対向する発泡体成形パネル4とを型枠接続装置1(セパレータ部材2a、固定部材3)を用いて固定していく。
【0039】
ここで、図14は、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5とを型枠接続装置1を用いて固定する順序を示す。まず、セパレータ部材2aの第二接続部23aをコンクリートパネル5の孔部に通しておき、第一接続部22aを発泡体成形パネル4の孔部53に挿入する(図14(a)参照。)。その際、コンクリートパネル5には、Pコン24を取り付けておく。次に、第二接続部23aに固定部材3の本体部31の筒部32を接続し、単管の外側から座金33とナット34を取り付ける(図14(b)参照。)。その後、座金33とナット34とを徐々に締め付けることで、コンクリートパネル5と発泡体成形パネル4との接続が完了する(図14(c)参照。)。
【0040】
一段目のコンクリートパネル5と対向する発泡体成形パネル4との接続が完了したら、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5とを複数段、すなわち、所定の高さまで積み上げ、その後コンクリートの打設を行う(図14(d)参照。)。例えば、発泡体成形パネル4の高さを410mmとした場合には、これを3段乃至4段積み重ねた後、コンクリートを打設する。コンクリートの打設が完了したら、一定期間養生後、上記手順を繰り返し、構造物として必要な高さまで更にコンクリートパネル5及び発泡体成形パネル4を建て込み、その後コンクリート打設を行う。なお、コンクリートパネル5に関しては、コンクリートの養生を十分に行った後、ナット34を緩めて座金33を取り外して単管を撤去することで解体する。以上の作業を行うことで、外断熱の構造物を容易に構築することができる。なお、上述した手順はあくまで一例にすぎず、現場の状況に応じて順序等は適宜入れ替えて行うことができる。
【0041】
(効果)
以上説明した第二実施形態の型枠接続装置1によれば、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5といった種類が異なる型枠同士を接続することができる。その結果、発泡体成形パネル4を用いた構造物について、外断熱若しくは内断熱といったように、地域の温度条件等に適した施工が可能となる。すなわち、発泡体成形パネル4を用いた構造物の設計の自由度をより高めることが可能となる。
【0042】
<変形例>
図15は、変形例の型枠接続装置1aの側面図を示す。変形例の型枠接続装置1aは、基本的には第二実施形態の型枠接続装置1と同様の構成を有しているが、接続部22bの形態が異なっている。すなわち、変形例の型枠接続装置1aは、セパレータ部材2bの接続部22bが円盤状であり、円盤の中心に軸部21aが接続されている。従って、第二実施形態のセパレータ部材2bの外形が側面視においてL字状であったのに対し、変形例のセパレータ部材2bの外形は、側面視においてT字状となっている。本実施形態のセパレータ部材2bは、いずれの向きでも発泡体成形パネル4の孔部に挿入可能であることから、作業効率をより向上させることができる。
【0043】
なお、セパレータ部材2bの外形が異なることから、発泡体成形パネル4の孔部の形状も異なっている。ここで、図16は、変形例の発泡体成形パネル4の取付部材43aの斜視図を示す。また、図17は、変形例の発泡体成形パネル4の突出部45aの上面図を示す。これらの図に示すように、変形例の発泡体成形パネル4の取付部材43aは、断面が凡そH型であり、対向するフランジのうちの一方のフランジ44には、対向面側に突出した突出部45aが縦方向に四つ設けられている。更に、突出部45aの夫々には、垂直方向に貫通する孔部53aが設けられている。また、突出部45の正面には、軸部21aが挿入される切り欠き55が設けられており、この切り欠き55よりも奥の空間49が広く形成されている。空間49には、セパレータ部材2bの円盤状の接続部22bが挿入される。挿入された円盤状の接続部22bは、切り欠き55の内側付近で引っ掛かるので、突出部45aとセパレータ部材2bとの接続が可能となる。
【0044】
図18は、変形例の突出部45bの正面図を示す。図18に示す変形例の突出部45bは、切り欠き55に内側に突出した抜け抑制部57が設けられている。抜け抑制部57は、切り欠き55に収容された軸部22aが非挿入方向(紙面上方向)に移動するのを抑制する。その結果、例えばコンクリート打設時の衝撃等によりセパレータ部材2bが孔部53から抜け落ちるといった事態を低減することができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の発泡体成形型枠はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。なお、本発明の発泡体成形型枠は、住宅などの建築構造物だけでなく、例えば擁壁などの土木構造物を構築する際に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第一実施形態の発泡体成形パネルの対向面側の正面図を示す。
【図2】第一実施形態の発泡体成形パネルの上面図を示す。
【図3】第一実施形態の取付部材の正面図を示す。
【図4】第一実施形態の取付部材の上面図を示す。
【図5】第一実施形態の突出部の拡大斜視図を示す。
【図6】コーナ部を有する発泡体成形パネルの正面図を示す。
【図7】コーナ部を有する発泡体成形パネルの上面図を示す。
【図8】第一実施形態のセパレータ部材の側面図を示す。
【図9】第一実施形態のセパレータ部材によって対向する発泡体成形パネル同士が接続されている状態を示す。
【図10】発泡体成形パネルを用いて構造物を構築する場合の作業状態を示す。
【図11】第二実施形態の型枠接続装置の側面図を示す。
【図12】第二実施形態の型枠接続装置によって発泡体成形パネルとコンクリートパネルとを接続している状態を示す。
【図13】型枠接続装置を用いて構造物を構築する場合の作業状態を示す上面図である。
【図14】発泡体成形パネルとコンクリートパネルとを型枠接続装置を用いて固定する順序を示す。
【図15】変形例の発泡体成形パネルの突出部の上面図を示す。
【図16】変形例の発泡体成形パネルの取付部材の斜視図を示す。
【図17】変形例の発泡体成形パネルの突出部の上面図を示す。
【図18】変形例の突出部の正面図を示す。
【符号の説明】
【0047】
1・・・型枠接続装置
2・・・セパレータ部材
3・・・固定部材
4・・・発泡体成形パネル
5・・・コンクリートパネル
21・・・軸部
22・・・接続部
23・・・第二接続部
31・・・本体部
32・・・筒部
33・・・座金
34・・・ナット
43・・・取付部材
46・・・支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート打設時において型枠として機能し、コンクリート打設後において構造物の壁の一部として機能する発泡体成形型枠であって、
合成樹脂の発泡体によって形成される発泡体部と、
前記発泡体部の内部に埋設され、前記発泡体成形型枠を固定するセパレータ部材が接続される取付部と、を備え、
前記取付部は、前記発泡体部の内部に埋設される支持部と、前記支持部と接続され、前記発泡体部の表面から突出し前記セパレータ部材の接続部が挿入される孔部を有する被接続部であって、挿入された接続部が、該被接続部の内部で挿入軸周りに回転するのを抑制する回転抑制部を有する被接続部と、を有する発泡体成形型枠。
【請求項2】
前記セパレータ部材は、棒状の軸部と、前記軸部の端部に設けられ前記被接続部と接続される接続部であって、前記軸部の端部の外周の少なくとも一部が該軸部の外郭よりも突出することで形成される接続部と、を有し、
前記孔部は、前記発泡体部の表面と略平行な方向から、前記接続部を挿入可能であり、
前記回転抑制部は、前記孔部の挿入口の一部に設けられた前記軸部を収容する切欠部であり、該切欠部に前記軸部を収容して該軸部の移動を規制することで該接続部が該孔部内で回転するのを抑制する、請求項1に記載の発泡体成形型枠。
【請求項3】
前記被接続部は、挿入された前記接続部が、非挿入方向に移動することで該接続部が被接続部から抜けるのを抑制する抜け抑制部を有する、請求項1又は請求項2に記載の発泡体成形型枠。
【請求項4】
前記支持部は、格子状である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発泡体成形型枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−133090(P2009−133090A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309153(P2007−309153)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
【出願人】(507394075)株式会社ヴェリタ (2)
【Fターム(参考)】