説明

発泡層付きホースおよびその製造方法

【課題】 発泡層の一体性を高めると共に、曲げた際に発生するしわを目立たなくして外観品質が高い発泡層付きホースを提供する。そのような発泡層付きホースを効率的に製造する。
【解決手段】 ホース最外層側に位置する発泡層3と、発泡層の内周面に面して設けられた可撓性の内管2とを有する発泡層付きホース1である。内管2の外周面には、螺旋状/リング状の凸条22が形成されている。発泡層3は、継目無く形成された発泡層である。そして、発泡層の外周面には、内管の凸条に対応した螺旋状/リング状の凹凸条31,32が形成され、発泡層外周面の凹凸条の凹条32と、内管外周面の凸条22とが、ホース軸方向で同じ位置に形成されている。発泡層付きホース1は、内管2の外周に、外周面がホース長さ方向に沿って平滑となるように未発泡樹脂を形成した後に、未発泡樹脂を発泡させて発泡層3を形成することにより、製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡層付きホースやその製造方法に関する。特に発泡層がホース外層側に設けられた発泡層付きホースに関する。
【背景技術】
【0002】
発泡層付きのホースは公知である。発泡樹脂により構成される発泡層をホースに備えさせると、断熱性の向上や軽量化が図れる。そのため、ゴムや熱可塑性樹脂で構成される樹脂製ホースに発泡層を備えさせた発泡層付きホースが広く利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、シリコーン製の2連チューブとシリコーン製のスポンジ状の断熱性チューブを同時押出成形し、両者を密着一体化した断熱性管体が開示されている。また、特許文献2には、樹脂製ホースの外周に、オーブン加硫によりフリー発泡させた発泡ゴム体からなる層を設けることが開示され、発泡ゴム体の層をプロテクタ層とすることが開示されている。さらに、特許文献3には、ベースホースの外面に帯状の浮力材(独立気泡発泡体)を螺旋状に捲回して、浮力材の側縁同士を接着一体化して浮力層(発泡層)とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−040377号公報
【特許文献2】特開2006−272898号公報
【特許文献3】特開2008−196538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1や特許分権2に示されるように、押出成形を利用してホース外周に発泡層を形成すると、効率的に発泡層付きホースが製造できる。
【0006】
しかしながら、押出成形を利用する場合、発泡層の外周面はおおむね平滑な円筒状に形成されるため、得られた発泡層付きホースを曲げ変形させると、発泡層の表面にホースの周方向に延びるしわが発生してしまう。一旦しわが発生すると、ホースを伸ばしてもしわが消えず、ホースの外観品質が低下するという問題がある。
【0007】
一方で、特許文献3のように、帯状の発泡体を螺旋状に捲回して発泡層を形成することもできるが、発泡層の継目の部分で発泡体がはがれやすい、すなわち発泡層の一体性が低いといった問題がある。
【0008】
本発明の目的は、発泡層の一体性を高めると共に、曲げた際に発生するしわを目立たなくして外観品質が高い発泡層付きホースを提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのような発泡層付きホースを効率的に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、鋭意検討の結果、ホース外側の発泡層の表面に螺旋状もしくはリング状の凹凸条を形成しておくと、ホースを曲げた際に発生するしわが目立たなくなることを発見した。また、押出成形などによって継目のない発泡層を形成すれば、発泡層の一体性を高められることを発見した。そして、これらを両立させるべく更なる検討を行って、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、ホースの最外層側に位置し発泡樹脂により形成された円筒状の発泡層と、発泡層の内周面に面して設けられた可撓性の内管とを有する発泡層付きホースである。内管は樹脂製管体を有するとともに、内管の外周面には、螺旋状もしくはリング状の凸条が形成されている。発泡層は、継目無く形成された発泡層である。そして、発泡層の外周面には、内管の凸条に対応した螺旋状もしくはリング状の凹凸条が形成されるとともに、発泡層外周面の凹凸条の凹条と、内管外周面の凸条とが、ホース軸方向で同じ位置に形成されている(第1発明)。
【0011】
本発明においては、内管の管体外周面における互いに隣接する凸条の間の部分と、発泡層の内周面とが密着していることが好ましい(第2発明)。さらに、本発明においては、内管は、管体の外周面に螺旋状に捲回一体化された補強体を有し、補強体が管体の外周面から外側に向かって突出するように一体化されて、内管における螺旋状の凸条とされることが好ましい(第3発明)。
【0012】
また、本発明は、可撓性の樹脂製管体を有するとともに、外周面に螺旋状もしくはリング状の凸条が形成された内管を製造する第1工程、第1工程に引き続き、内管の外周面を覆うように未発泡樹脂を円筒状に成形して、内管を未発泡樹脂で被覆するとともに、未発泡樹脂の外周面がホース長さ方向に沿って平滑となるようにする第2工程、第2工程に引き続き、未発泡樹脂を発泡させて発泡樹脂として、内管の外周面を覆うように継目のない円筒状の発泡層を形成するとともに、発泡層の外周面に、内管の凸条に対応した螺旋状もしくはリング状の凹凸条を、発泡層外周面の凹凸条の凹条と、内管外周面の凸条とが、ホース軸方向で同じ位置となるように形成する第3工程、を備える、発泡層付きホースの製造方法である(第4発明)。
【0013】
第4発明の製造方法においては、第2工程において、内管の外周面に未発泡樹脂が密着するように、減圧環境下で押出成形して、未発泡樹脂の被覆を行うことが好ましい(第5発明)。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発泡層付きホース(第1発明)によれば、発泡層が継目無く形成されており、発泡層の一体性が高められている。また、発泡層の外周面に螺旋状もしくはリング状の凹凸条が形成されているので、曲げた際に発生するしわが凹条部分に発生し、しわが目立たなくなって外観品質が高められる。また、第2発明によれば、発泡体外周面の凹凸条がより明瞭に現れて、外観品質がより高められる。さらに、第3発明のようにすれば、ホースの機械的性質を高めることもできる。
【0015】
また、本発明の発泡層付きホースの製造方法(第4発明)によれば、第1発明のホースを効率的に製造することができる。また、第5発明のように減圧環境下で未発泡樹脂を押出成形するようにすれば、第2発明のような、内管と発泡層が密着したホースが効率的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明第1実施形態の発泡層付きホースの構造を示す一部断面図である。
【図2】本発明第1実施形態の発泡層付きホースのホース壁部分の拡大断面図である。
【図3】本発明第1実施形態の発泡層付きホースの製造工程において、ホース壁が形成されていく様子を示した模式図である。
【図4】本発明第1実施形態の発泡層付きホースの製造方法において、第2工程と第3工程を連続して行う製造装置の概要を示す模式図である
【図5】本発明第2実施形態の発泡層付きホースの構造を示す一部断面図である。
【図6】本発明第3実施形態の発泡層付きホースの構造を示す一部断面図である。
【図7】本発明第3実施形態の発泡層付きホースとなるべき中間体の形態を示す断面図及び一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について例示説明する。なお、本発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、後述するように、その形態を変更して実施することもできる。
【0018】
図1には本発明第1実施形態の発泡層付きホース1を示す。図1では、上側半分のみを断面とした一部断面図で、ホースの長さ方向の一部を図示している。(図5、図6も同様である。)また、図2には、発泡層付きホース1のホース壁部分の断面を拡大して示す。本実施形態の発泡層付きホース1は、断熱性ホースとして用いられ、例えば温水や冷水を移送する用途に使用される。
【0019】
本実施形態の発泡層付きホース1は、可撓性の内管2と発泡層3により構成されている。発泡層3は、発泡樹脂により形成された円筒状の層である。発泡層3は、発泡層付きホース1の最外層側に位置し、ホースの外観に現れる層となっている。内管2は、発泡層3の内周面に面するように、発泡層3の内側に設けられている。本実施形態においては、内管2の内径が10mm、発泡層の外径が22mm、発泡層の肉厚が4.5mmとなるよう、発泡層付きホースが構成されている。
【0020】
内管2は、可撓性の樹脂製管体21を有する。また、内管2の外周面には、螺旋状の凸条(本実施形態においては補強体)22が設けられている。樹脂製管体21は、可撓性を有するよう、樹脂材料により中空筒状に形成されたホースやチューブである。樹脂製管体21を構成する樹脂材料としては、シリコーンゴムやウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂(ゴムを含む)や反応性樹脂、あるいは熱可塑性エラストマ(例えばオレフィン系熱可塑性エラストマ)、あるいは熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン樹脂や酢酸ビニル樹脂)などが使用される。
【0021】
本実施形態においては、内管2の樹脂製管体21には、シリコーンゴムを押出成形してチューブ状にした管体が用いられている。また、樹脂製管体21の外周には、内管2の補強体として、ステンレス線が螺旋状に捲回一体化されている。この補強体は、樹脂製管体21の外周面から外側に向かって突出するように捲回されていて、本実施形態では、この補強体部分が、内管2における螺旋状の凸条22となっている。
【0022】
発泡層3は、内管2の外周に継目無く円筒状に形成されている。このような発泡層3は後述するように押出成形を利用すれば効率的に形成できる。一方で、発泡樹脂製の条帯やひもを螺旋状に巻いて発泡層を形成したり、発泡樹脂製のシートをすし巻き状に巻いて発泡層を形成した場合には、発泡層継目が発生する。
【0023】
発泡層は、樹脂材料を発泡させた発泡樹脂により構成される。樹脂材料としては内管と同じく、熱硬化性樹脂(ゴムを含む)や反応性樹脂、あるいは熱可塑性エラストマ、あるいは熱可塑性樹脂などが使用される。発泡は、炭酸ガスなどを利用した物理発泡や、発泡剤を利用した化学発泡、膨張性マイクロカプセルを利用した発泡など、種々の発泡方法が採用できる。本実施形態においては、未発泡シリコーンゴムに発泡剤(例えばAIBNを主体とするもの)を配合して、発泡反応と並行して架橋して、発泡層3を形成している。
【0024】
発泡層3の外周面には、内管2の凸条22に対応して、螺旋状の凹凸条(凸条部31,凹条32)が形成されている。すなわち、内管の凸条22と、発泡層外周面の凹凸条とは同じ方向で同じピッチの螺旋形態を有している。さらに、発泡層外周面の凹凸条の凹条(即ち凹溝)32の部分は、内管外周面の凸条22と、ホース軸方向で同じ位置に形成されている。そして、発泡層外周面の凹凸条の凸条部分31は、ホース外側に向かって円弧状に張り出すように形成され、発泡層外周面の凹凸条の凹条32は、凸条部分31,31の間で、谷状に形成されている。
【0025】
本実施形態においては、内管2(管体21)の外周面のうち、互いに隣接する凸条22,22の間の部分(図2の21aの部分)が、発泡層3の内周面と密着するよう、発泡層が構成されている。なお、密着させることは必須ではない。
【0026】
本実施形態においては、発泡層3の内周面と内管2の外周面は接着されている。即ち、管体21と発泡層3が接着一体化されると共に、凸条(補強体)22と発泡層3も接着一体化されている。なお、発泡層3の接着は必須ではない。
【0027】
発泡層付きホース1の製造方法を説明する。発泡層付きホース1は、内管2を製造する第1工程、内管2の外周に未発泡樹脂を被覆する第2工程、及び、未発泡樹脂を発泡させる第3工程を経て製造される。
【0028】
第1工程の内管2の製造工程を説明する。内管2は、公知の製造方法により製造される。本実施形態で言えば、樹脂製管体21は、未架橋シリコーンゴムをチューブ状に押出成形し、その後架橋して得られる。得られた樹脂製管体21の外周面にステンレス線を螺旋状に捲回して補強体となして、管体21と補強体を一体化すれば、補強体部分が螺旋状の凸条22として外周面に現れた内管2が得られる。
【0029】
第2工程や第3工程がたやすく行えるように、内管2(特に管体21)は第1工程においてその形状が固定されることが好ましく、ゴム材料であれば架橋され、熱可塑性樹脂材料であれば冷却されて、第2工程に供されることが好ましい。本実施形態においては、管体21は架橋された後に、ステンレス線を捲回され、内管2とされて、その状態で、一旦ボビンに巻き取られて、その後、第2工程に供される。
【0030】
第1工程に引き続き、第2工程を行う。第2工程では、内管2の外周に未発泡樹脂を被覆する。図3には、ホース壁が形成されていく様子を順次示し、図4には、第2工程と第3工程を連続して行う製造プロセス(製造装置)を模式的に示している。
発泡層3となるべき樹脂(未発泡樹脂)を調製し、押出機EXに供給する。本実施形態では、未架橋のシリコーンゴムに発泡剤を配合したペースト状の未発泡シリコーンゴムが供給される。一方、第1工程で製造された内管2を、ボビンB1から、押出機EXの押出ヘッドHDに供給する。そして、押出ヘッドHDの内部では、内管2を芯として、その外周に未発泡樹脂Pが継目の無い円筒状に押出成形される。
【0031】
図3(a)に示された内管2に、押出ヘッドHDの内部で第2工程が適用されると、図3(b)に示したように、内管2の外周に未発泡樹脂Pが被覆されて、中間体Mが得られる。ここで、円筒状に押出成形された未発泡樹脂Pは、その外周面が、ホース長さ方向に沿って平滑な円筒面となるように形成されている。また、未発泡樹脂Pは、内管2の凸条同士22、22の間に入り込んで、樹脂製管体21の外周面に達するように、内管2に被覆される。
【0032】
好ましくは、未発泡樹脂Pは、樹脂製管体21の外周面や凸条22と密着するように被覆される。そのためには、減圧装置Vなどにより押出ヘッドHD内において、未発泡樹脂Pと内管2の間を減圧(好ましくは真空引き)し、減圧環境下で未発泡樹脂Pを押出成形することが好ましい。
【0033】
第2工程を経ることによって得られる中間体M(図3(b))においては、未発泡樹脂Pの層の厚みが、内管の凸条22が存在する部分では相対的に薄く、内管の凸条がない部分(21aの部分)では相対的に厚くなっている。これら層の厚みの差は、おおむね、内管2の凸条22の高さに該当する。
【0034】
第2工程に引き続き、未発泡樹脂を発泡させて発泡層とする第3工程を行う。好ましくは、図4に示すように、第2工程に引き続き、連続して第3工程を行う。本実施形態においては、第2工程が行われる押出ヘッドHDの下流側に、加熱ヒータ(加熱槽)HTを設けて、加熱ヒータにより第3工程を行っている。第3工程では、未発泡樹脂Pが加熱されて、未発泡樹脂Pに配合された発泡剤が発泡して発泡樹脂となる。本実施形態においては、発泡と同時に発泡層を構成する樹脂材料(シリコーンゴム)の架橋(硬化)反応も進行し、架橋槽を兼ねた加熱ヒータHT部分を通過することによって、架橋された発泡シリコーンゴムの層が、継目の無い発泡層3として、内管2の外側に形成される。
【0035】
未発泡樹脂Pが発泡する過程において、中間体Mであった時点では平滑な円筒状であった未発泡樹脂層の表面は、以下に説明する効果によって、内管の凸条22に対応する螺旋状の凹凸条を有する表面に変化する。
【0036】
未発泡樹脂Pが発泡すると、主に、ホース壁厚さ方向に膨張する。未発泡樹脂Pの層の厚みが同じであれば、膨張は均一に起こり、平滑な円筒状表面が維持される。しかしながら、内管の凸条22が存在する部分では、未発泡樹脂Pの厚みが薄くなっているため、他の部分(凸条同士の間の部分21a)と比べ、膨張量が少なくなる。その結果、内管の螺旋状凸条に対応して、螺旋状に膨張が少ない部分が生じ、発泡層の外表面には、螺旋状の凹凸条が生ずる。そして、発泡層外周面の凹凸条の凹条部分32と、内管の凸条22とは、ホース軸方向で同じ位置に形成される。
【0037】
従って、発泡層外周面に現れる凹凸条は、内管2の凸条22の幅や高さを調整することで、その現れ方を調整できる。また、未発泡樹脂Pの層の厚みを調製することでも、発泡層外周面の凹凸条の現れ方が調整できる。例えば、発泡層の凹凸条をはっきりと現すためには、内管2の凸条22の高さを高くし、未発泡樹脂Pの層の厚みを薄くする方向に調整すればよい。
【0038】
第3工程を経て、発泡反応及び架橋(硬化)が完了すると、発泡層付きホース1が得られる。得られたホース1は適宜ボビンB2に巻き取ることができる。
【0039】
本発明の作用効果を説明する。
発泡層付きホース1では、発泡層3が継目の無いものとして得られている。従って、スパイラル成形した発泡層のように、継目の部分からはがれたり分解したりするおそれがなく、発泡層の一体性が高められる。その結果、発泡層の機能(強度や断熱性など)は確実に維持される。
【0040】
また、発泡層付きホース1では、発泡層3の外表面に、螺旋状の凹凸条が設けられている。ホースが曲げ変形すると、発泡層3にしわが発生することがあるが、このとき、しわは凹凸条の凹条の部分に発生する。そして、ホースをまっすぐな状態に戻した際には、しわが凹条の部分にあるため目立たず、ホースの外観を悪くしない。すなわち、ホースの外観品質を向上できる。
【0041】
また、上記製造方法に示したように、第1工程で凸条を備える内管を製造し、第2工程で、未発泡樹脂を、外周面がホース長さ方向に沿って平滑となるように内管の周りに成形し、第3工程で、未発泡樹脂を発泡させて発泡層付きホースを得るようにすれば、ホースの発泡層外周面に凹凸条を備えるホースを効率的に製造できる。特に、未発泡樹脂層の形成に押出成形を利用すると、ホースの成形速度を高めることができて、特にホースの製造が効率化される。
【0042】
発泡層付きホースの発泡層外周面に凹凸条を確実に備えさせる観点からは、内管2の管体21外周面における互いに隣接する凸条22,22の間の部分(21a)と、発泡層3の内周面とが密着することが好ましい。このようにすると、凸条22,22の間の部分において発泡した樹脂が、確実にホース外側に膨張して、発泡層外周面の凹凸条の凸条部分が明瞭に形成され、凹条部分も明瞭となって、曲げしわを目立たなくする効果が高まる。
【0043】
そして、製造工程において、内管2の管体21外周面における互いに隣接する凸条22,22の間の部分(21a)に、未発泡樹脂Pが密着するように、減圧環境下で押出成形して第2工程を行うことが好ましい。このようにすれば、未発泡樹脂Pの層の厚みの差が確実に生じ、結果得られる発泡層外周面の凹凸条が明瞭なホースを、効率的に製造できる。
【0044】
また、内管2には螺旋状の補強体が備えられ、補強体が内管の管体21から外側に突出するようにされて、内管2の螺旋状の凸条22とされることが好ましい。そのようにすると、耐つぶれ性、耐キンク性、耐圧性などの機械的性質に優れると共に、外観品質(曲げしわが目立たない)に優れるホースが効率的に得られる。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に本発明の他の実施形態や変更例について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。また、以下に示す実施形態や変形例は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施できる。
【0046】
発泡層3は、独立気泡構造を有するものであっても、連続気泡構造を有するものであっても、いずれであっても良い。また、発泡層3はいわゆるスキン層を有するものであっても良い。上記実施形態のように、発泡層がシリコーンゴムを樹脂材料として形成される場合には、発泡層は、独立気泡構造を有すると共に、スキン層を有するように形成されることが好ましい。
【0047】
本発明において、発泡層3はホースの最外周側に設けられるが、発泡層の外周面は必ずしも露出している必要は無く、発泡層の外側にさらにフィルム層が被覆されていても良い。その場合、フィルム層は、発泡層外周面の凹凸条をなくさないように、薄く設けられれば良い。フィルム層は、未発泡樹脂Pの層と同時並行的に、発泡過程(第3工程)に先立って形成することもできるし、発泡し凹凸条が形成された後(第3工程の後)から被覆することもできる。
【0048】
発泡層の形成における樹脂材料や発泡剤の選択は、公知技術に準じて行うことができ、発泡層の形成工程(第2工程や第3工程)も、その選択に合わせて適宜変更すればよい。例えば、発泡層を高圧炭酸ガスを物理発泡された熱可塑性樹脂(例えば低密度ポリエチレン樹脂)によって形成するのであれば、高圧炭酸ガスを含んで溶融状態で押出される未発泡樹脂を内管の周囲に押出成形し(第2工程に相当)、押出ヘッドを抜けた部分で炭酸ガスの膨張によって樹脂を発泡させながら樹脂を冷却して(第3工程に相当)、同様に本発明の発泡層付きホースを得ることができる。あるいは、発泡材料として熱膨張性のマイクロカプセルを未架橋シリコーンゴムに配合して発泡層を形成する場合には、上記第1実施形態と同様の工程で本発明の発泡層付きホースを得ることができる。
【0049】
本発明において、内管は、樹脂製管体を有し、かつ外周面に螺旋状もしくはリング状の凸条を有する限りにおいて、種々の形態のものが採用でき、その製造方法にも特に制限は無い。例えば、内管を構成する可撓性の樹脂製管体は、第1実施形態に示したような平滑な円筒状の管壁を備えるものに限定されず、管体は、じゃばら状の管壁を備えても良く、膜状やフィルム状の管壁を備えるものであってもよい。
【0050】
内管外周面に設けられる凸条の形態は、第1実施形態に示したように螺旋状とすることができる。螺旋の条数は1条、あるいは複数条であっても良く、特に制限は無い。また、凸条の形態は、複数のリング状の凸条が、ホース長さ方向に連設された形態、すなわち、リング状の凸条の形態であっても良い。内管の凸条がリング状に形成される場合には、それに対応して、発泡層外周面の凹凸条もリング状に形成される。
【0051】
また、内管の構成における凸条は、第1実施形態のように、管体に一体化された補強体によって形成されたものであっても良いが、管体の管壁を蛇腹状に管体外側に向けて突出させたものであっても良い。このような管体は、いわゆる連続ブロー成形方法を利用して製造することができる。
【0052】
図5には、本発明の発泡層付きホースの第2実施形態を示す。本実施形態においては、内管5は補強体を備えていない。また、内管5には、管壁を蛇腹状に外側に張り出すようにして蛇腹状に形成したリング状の凸条52,52が所定の間隔で形成されている。そして、発泡層3の外周面には、リング状に凹凸条が形成されている。他の点については第1実施形態と同様であり、内管5のリング状凸条52とホース軸方向で同じ位置に、発泡層外周面のリング状凹条32が対応して形成されている。
【0053】
内管に補強体を備えさせる場合には、補強体は金属線(ステンレス線や樹脂被覆スチール線など)や樹脂線(管体よりも硬質な材料で形成された樹脂線、中空樹脂線など)などで構成することができる。また、内管には、他の層(例えば、耐磨耗層や透過防止層、表皮層など)を備えさせることもできる。
【0054】
内管と発泡層の間は、第1実施形態のように接着しても良い。接着すれば、発泡層がずれたりすることが無くなる。一方で、ホースの端部で発泡層をはがす作業を伴う用途のホースにおいては、内管と発泡層の間を非接着とすることも好ましい。
【0055】
製造方法における他の実施形態や変形例を説明する。
第1実施形態の製造方法において説明したように、第2工程において押出成形を活用すると、ホース長さ方向に沿って平滑な外周面を有するように、未発泡樹脂Pを簡単に内管の外周に被覆できるので、特に好ましい。なお、第2工程は、必ずしも押出成形によるものでなければならないわけではなく、未発泡樹脂Pを内管の周囲に円筒状に被覆し、その外周面がホース長さ方向に沿って平滑になりさえすれば、他の手段を利用することもできる。他の手段としては、未発泡樹脂をディッピングやハンドワークなどの手段で内管周りに円筒状に形成した上で、所定の径のダイス型などを通すことにより余分の樹脂をしごき取ったり、ローラで外径を整えたりして、未発泡樹脂Pを継目のない円筒状に被覆すると共に、ホース長さ方向に沿って平滑な外周面を与えるといった手段が例示される。
【0056】
また、本発明の発泡層付きホースの製造方法において、第2工程で未発泡樹脂Pの外周面が形成される際の「ホース長さ方向に沿って平滑」とは、ホースの長さ方向に沿って、未発泡樹脂Pの外周面が一定に維持されて、ホース長さ方向に沿ったホースの断面における未発泡樹脂Pの外周面の断面が直線状に現れることを意味している。そして、その限りにおいて、本発明では、ホース周方向に沿う方向については、第2工程で形成された未発泡樹脂Pの外周面の断面に凹凸があっても良く、必ずしも平滑である必要は無い。
【0057】
例えば図6には、本発明第3実施形態の発泡層付きホース6を示す。発泡層付きホース6の内管2の構成は第1実施形態と同じである。本実施形態においては、発泡層7の外周面に現れる凹凸条が、周方向に連設されたブロック状の凹凸状を呈するよう、断続的に凸部が形成されている。
【0058】
このような発泡層付きホース6は、製造工程における第2工程で、図7に示したように未発泡樹脂Pを内管の周囲に被覆して中間体M1とすることによって製造できる。即ち、第2工程を終了した中間体M1においては、未発泡樹脂Pはホース長さ方向に沿って一定の断面形状で均一に、即ち外周面が「ホース長さ方向に沿って平滑」に被覆されている。そして、ホースの周方向でいうと、中間体M1においては、未発泡樹脂Pの外周面には、複数箇所に凹溝PVが形成されている。この凹溝PVの部分は発泡した際の膨張量が相対的に少なく、発泡層外周面にはへこんだ部分として現れる。従って、中間体M1に、このようなホース長さ方向に沿う凹溝PVを存在させることによって、完成品の発泡層付きホース6の発泡層表面に現れる凹凸条は断続的に凸部が存在するように形成され、周方向にブロック状の凹凸が連設された形態となって、ホースの外観意匠をより特徴的なものとできる。
【0059】
第3実施形態においても、第1実施形態や第2実施形態と同様に、曲げしわが目立たず、外観品質に優れたホースとなり、発泡層の一体性も高い。
【0060】
本発明の発泡層付きホースの用途も、上記実施形態で説明した用途に限定されるものではなく、内管や発泡層の設計変更を適宜行えば、断熱用や保護用、防音用などの用途にも応用でき、移送する物質も、水や油などの液体や、空気や圧縮ガスなどの気体、粉体やペレット粒状体などの固体なども移送可能とできる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の発泡層付きホースは、多様な用途に利用でき、外観品質も高いので産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0062】
1 発泡層付きホース
2 内管
21 (樹脂製)管体
22 凸条(補強体)
3 発泡層
31 凸条
32 凹条
M 中間体
B1、B2 ボビン
EX 押出機
HD 押出ヘッド
HT 加熱ヒータ(加熱槽)
4 発泡層付きホース
5 内管
52 凸条
6 発泡層付きホース
M1 中間体
PV 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースの最外層側に位置し発泡樹脂により形成された円筒状の発泡層と、発泡層の内周面に面して設けられた可撓性の内管とを有する発泡層付きホースであって、
内管は樹脂製管体を有するとともに、内管の外周面には、螺旋状もしくはリング状の凸条が形成されており、
発泡層は、継目無く形成された発泡層であって、
発泡層の外周面には、内管の凸条に対応した螺旋状もしくはリング状の凹凸条が形成されるとともに、
発泡層外周面の凹凸条の凹条と、内管外周面の凸条とが、ホース軸方向で同じ位置に形成されている発泡層付きホース。
【請求項2】
内管の管体外周面における互いに隣接する凸条の間の部分と、発泡層の内周面とが密着している請求項1に記載の発泡層付きホース。
【請求項3】
内管は、管体の外周面に螺旋状に捲回一体化された補強体を有し、
補強体が管体の外周面から外側に向かって突出するように一体化されて、螺旋状の凸条とされた請求項2に記載の発泡層付きホース。
【請求項4】
可撓性の樹脂製管体を有するとともに、外周面に螺旋状もしくはリング状の凸条が形成された内管を製造する第1工程、
第1工程に引き続き、内管の外周面を覆うように未発泡樹脂を円筒状に成形して、内管を未発泡樹脂で被覆するとともに、未発泡樹脂の外周面がホース長さ方向に沿って平滑となるようにする第2工程、
第2工程に引き続き、未発泡樹脂を発泡させて発泡樹脂として、内管の外周面を覆うように継目のない円筒状の発泡層を形成するとともに、
発泡層の外周面に、内管の凸条に対応した螺旋状もしくはリング状の凹凸条を、
発泡層外周面の凹凸条の凹条と、内管外周面の凸条とが、ホース軸方向で同じ位置となるように形成する第3工程、
を備える、発泡層付きホースの製造方法。
【請求項5】
第2工程において、内管の外周面に未発泡樹脂が密着するように、減圧環境下で押出成形して、未発泡樹脂の被覆を行う請求項4に記載の発泡層付きホースの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−92225(P2013−92225A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235634(P2011−235634)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000108498)タイガースポリマー株式会社 (187)
【Fターム(参考)】