説明

発泡性歯科用組成物及び方法

フィルム形成成分を含む発泡性歯科用組成物、ここでフィルム形成成分は、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
この出願は、米国特許出願公開第60/754684号(2005年12月29日出願)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
歯科用剤(例えば、フッ化物供給源、増白剤、抗う触剤、再石灰化剤)及び/又は歯の表面上への保持性コーティングを提供する製品及び方法への消費者の要求が存在する。歯科医及び消費者は、多くの歯科用剤を利用できるが、製品の全てが簡素で安価な機材を使用して便利に投与され得るわけではない。更に、いくつかの製品は、望ましい結果を生むために、十分な期間にわたって繰り返し適用されなければならない。必要とされているのは、歯科用剤及び/又は歯の表面上への保持性コーティングを提供するための新しい組成物及び方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
必要とされているのは、歯科用剤及び/又は歯の表面上への保持性コーティングを提供するための新しい組成物及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態においては、フィルム形成成分を含む発泡性歯科用組成物であって、該フィルム形成成分が、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成し、該保持性ポリマーコーティングが、通常の口腔内条件下において、歯の表面上に少なくとも15分間残存する、発泡性歯科用組成物が提供される。特定の実施形態においては、保持性ポリマーコーティングは、実施例の節に記載される着色顔料試験法2に従って2回の歯磨き後、少なくとも12時間、ウシ歯エナメル質表面上に残存する。
【0005】
一実施形態においては、フィルム形成成分及びキャリアを含む発泡性歯科用組成物であって、該フィルム形成成分が、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成し、該保持性ポリマーコーティングが、着色顔料試験法2に従って2回の歯磨き後、少なくとも12時間、ウシ歯エナメル質表面上に残存する、発泡性歯科用組成物が提供される。
【0006】
特定の実施形態においては、発泡性歯科用組成物がキャリアを含む。特定の実施形態においては、キャリアは、水、アルコール(例えば、エタノール)、グリセロール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、ピネン、及びこれらの組み合せを含む。
【0007】
特定の実施形態においては、発泡性歯科用組成物が、歯科用剤を更に含む。特定の実施形態においては、歯科用剤が、フッ化物供給源、増白剤、抗う触剤、再石灰化剤、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応変性剤、薬剤、指示薬、抗菌剤、抗真菌剤、口内乾燥症の治療剤、減感剤、及びこれらの組み合せからなる群から選択される。
【0008】
特定の実施形態においては、歯科用剤が、エナメル質を再石灰化することが可能である。特定の実施形態においては、歯科用剤が、リン酸化合物、カルシウム化合物、リン酸カルシウム化合物、ヒドロキシアパタイト、カゼイン塩、リン化合物の表面処理を有する充填剤、リン放出ガラス、カルシウム放出ガラス、及びこれらの組み合せからなる群から選択される。特定の実施形態においては、歯科用剤が、リン酸化合物である。特定の実施形態においては、リン酸化合物が、一塩基性リン酸化合物、二塩基性リン酸化合物、三塩基性リン酸化合物、カルシウムグリセロホスフェート、及びこれらの組み合せからなる群から選択される。特定の実施形態においては、歯科用剤が、カゼイン塩である。
【0009】
特定の実施形態においては、フィルム形成成分が、直接付着性ポリマーを包む。特定の実施形態においては、直接付着性ポリマーが、水分散性である。
【0010】
特定の実施形態においては、発泡性歯科用組成物が、噴射剤を更に含む。特定の実施形態においては、噴射剤が、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、亜酸化窒素、炭化水素、及びこれらの混合物からなる群から選択される気体を含む。
【0011】
特定の実施形態においては、発泡性歯科用組成物が、発泡剤を更に含む。特定の実施形態においては、発泡剤が、界面活性剤、表面変性ナノ粒子、泡安定剤、泡壁増粘剤、及びこれらの組み合せからなる群から選択される。特定の実施形態においては、発泡剤が、界面活性剤である。特定の実施形態においては、界面活性剤が、重合性界面活性剤を含む。特定の実施形態においては、発泡剤が、表面変性ナノ粒子を含む。
【0012】
特定の実施形態においては、発泡性歯科用組成物が、重合性成分(例えば、エチレン性不飽和構成要素)を更に含む。
【0013】
特定の実施形態においては、発泡性歯科用組成物が、緩衝剤、酸性化剤、フッ化水素酸、乳化剤、エマルション油、エマルション安定剤、再石灰化促進剤、粘度変性剤、チキソトロープ、充填剤、ポリオール、着香剤、及びこれらの組み合せからなる群から選択される添加剤を更に含む。
【0014】
一実施形態においては、本発明は、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成する方法を提供する。この方法は、フィルム形成成分を含む発泡性歯科用組成物を準備する工程と、該組成物を発泡させて、歯科用発泡体を製造する工程と、歯の表面上に該歯科用発泡体を塗布する工程と、を含み、該フィルム形成成分が、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成し、該保持性ポリマーコーティングが、通常の口腔内条件下において、歯の表面上に少なくとも15分間残存する。
【0015】
特定の実施形態においては、歯の表面上に歯科用発泡体を塗布する工程が、発泡体の塗装工程、発泡体のブラッシング工程、発泡体の注入工程、発泡体の拭き取り工程、基材からの発泡体の塗布工程、発泡体のディップコーティング工程、又はこれらの組み合せを含む。特定の実施形態においては、基材が、歯科用トレイである。
【0016】
特定の実施形態においては、歯の表面上に歯科用発泡体を塗布する工程が、歯の表面を歯科用発泡体に5分間未満ディップコーティングする工程を含む。特定の実施形態においては、歯の表面上に歯科用発泡体を塗布する工程は、歯の表面を歯科用発泡体に少なくとも1秒間ディップコーティングする工程を含む。
【0017】
特定の実施形態においては、この方法が、歯科用発泡体の塗布工程の直後に、歯の表面をすすぐ工程を更に含む。
【0018】
特定の実施形態においては、歯の表面が、歯肉又は歯表面を含む。
【0019】
定義
本明細書で使用するとき、用語「通常の口腔内条件」及び「通常の条件」とは、口がおおむね閉じられ、通常の唾液が出ており、食べる、飲む、磨く、すすぐ等のような口腔に関わるあらゆる外部活動がない、ヒトの口腔の境界内を意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「歯の表面」とは、歯肉又は天然の歯表面(例えば、象牙質又はエナメル質)を含み、並びに硬化歯科修復材(例えば、3Mフィルテック・スープリーム・ユニバーサル修復材(FILTEK Supreme universal restorative))又はセラミック歯の表面も含む口腔環境の軟組織又は硬組織を意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「発泡性歯科用組成物」とは、口腔内での使用に適合性があり、容器から、例えば、エアゾール又は機械的装置を通して、歯科用発泡体へと分与できる組成物を意味する。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「歯科用発泡体」、「発泡体」、「発泡材料」、又は「発泡体組成物」は、全て等価であり、口腔に適合性がある歯科用発泡体を指し、容器から分与された発泡性歯科用組成物から歯科用発泡体が形成された後、30秒超過〜5分以下の時間、気体空隙を有する。好ましくは、歯科用発泡体は、容器から分与された発泡性歯科用組成物から歯科用発泡体が形成された後、1分超過、より好ましくは約2分超過、及び好ましくは、4分以下の時間、気体空隙を有する。好ましくは、表面がさかさまに向けられるとき、表面上に形成される歯科用発泡体は、基材表面(例えば、歯科用トレイ)から流れない、したたらない、又は落ちないであろう。こうした特徴は、典型的に「自己支持性(self-supporting)」歯科用発泡体と称される。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「歯科用剤」とは、歯の表面への塗布により、例えば、審美的、化粧的、予防的、診断的、及び/又は治療的利益に関する価値を付加する成分を意味する。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「フィルム形成」とは、歯の表面上にフィルム形成成分(直接付着性ポリマーを典型的に含む)を塗布すると、コーティングがその上に形成されるような、フィルム形成成分の作用を意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「直接付着性ポリマー」とは、口腔に適合していて、フィルム形成成分に含まれ、歯の表面上に該フィルム形成成分を塗布したとき、該表面上に保持性ポリマーコーティングが形成され、口腔内の標準条件下において、長期間(少なくとも15分間)、該表面上に接着するような、ポリマーを意味する。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「口腔に適合している」及び「口腔的に適合している」とは、一般に、口腔における使用が非刺激性であると見なされる組成物、成分、ポリマー、添加剤等を指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、「反応性」基は、選択された条件下(例えば、フリーラジカルの存在下又は縮合反応条件下)において、別の反応性基又は別の成分(例えば、架橋剤又は縮合反応部位を持つ化合物)と、反応できる基である。例えば、反応性基を含むポリマーにおいては、反応性基は、二量化、オリゴマー化、及び/又は重合反応を通して、架橋を形成するために、別の反応性基及び/又は別の成分と反応することができる。
【0028】
本明細書で使用するとき、「繰り返し単位」又は「モノマー単位」とは、エチレン性不飽和モノマーから誘導されるポリマーにおける単位を指す。例えば、ポリプロピレンは、エチレン性不飽和モノマープロピレン、CH2=CH(CH3)から誘導される−CH2CH(CH3)−モノマー単位を含む。
【0029】
本明細書で使用するとき、「硬化性」とは、「硬化される」ことができる材料を指す。本明細書で使用するとき、「硬化した」とは、例えば、架橋、二量化、オリゴマー化、及び/又は重合反応を包含するプロセスを網羅することを意味する。
【0030】
本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」をまとめて指すことを目的とする略記である。
【0031】
本明細書で使用する時、「a」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」は同義的に使用される。
【0032】
用語「含む」及びこの変形は、明細書本文及び請求項の中でこれらの用語が現れる箇所で制限する意味を持たない。
【0033】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の環境において特定の利益を供する可能性がある発明の実施形態を示す。しかし、同様又は他の環境において、他の実施形態が好ましい可能性もある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0034】
本発明の上述した「課題を解決するための手段」は、本発明の開示されたすべての実施形態またはあらゆる実施を記載しようとは意図していない。以下の記載は、実例となる実施形態をより詳細に例示する。明細書全体にわたって幾つかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、口腔表面をコーティングするために好適な発泡性歯科用組成物、及び方法を提供する。こうした組成物は、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを提供するため、及び/又は歯の表面上に歯科用剤を塗布するために使用することができる。好ましくは、本発明は、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを提供するために使用されることができる発泡性歯科用組成物を提供する。
【0036】
こうした発泡性歯科用組成物は、フィルム形成成分を含み、フィルム形成成分が、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成する。特定の実施形態においては、保持性ポリマーコーティングが、通常の口腔内条件下において、歯の表面上に少なくとも15分間残存する。好ましくは、保持性ポリマーコーティングは、通常の口腔内条件下において、歯の表面上に少なくとも1時間残存するものである。特定の実施形態においては、保持性ポリマーコーティングが、実施例の項に記載される着色顔料試験法2に従って2回の歯磨き後、少なくとも12時間、ウシ歯エナメル質表面上に残存する。
【0037】
特定の実施形態においては、発泡性歯科用組成物(典型的に、そのフィルム形成成分)は、キャリアを含む。好適なキャリアの例としては、例えば、水、アルコール(例えば、エタノール)、グリセロール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、ピネン、及びこれらの組み合せが挙げられる。
【0038】
特定の実施形態においては、発泡性歯科用組成物が、歯科用剤を更に含む。
特定の実施形態においては、歯科組成物が、硬化性(例えば、重合性又は架橋性)であってもよい。硬化性組成物は、反応性ポリマー及び/又は該ポリマーとは異なる重合性成分、並びに反応開始剤系(例えば、1種以上の反応開始剤)を含んでもよい。反応性ポリマー及び/又は重合性成分が、フリーラジカルとの反応を受けてもよい。別の選択肢として、反応性ポリマー及び/又は重合性成分が、例えば、水分が存在するとき、縮合反応を受けてもよい。縮合反応を促進するために好適な触媒を、オプションとして含んでもよい。オプションとして、縮合反応部位を持つ追加の化合物を、ポリマー及び/又は重合性成分間の架橋化合物として作用するために、含んでもよい。
【0039】
特定の実施形態においては、発泡性歯科用組成物のフィルム形成成分が、直接付着性ポリマーを含む。この直接付着性(subtantivity)は、コーティングの保持性に寄与する。好ましくは、直接付着性ポリマーは、水分散性であってもよいが、有意に水溶性ではない。水分散性でないポリマーについては、純水以外のキャリアを、典型的に利用する。
【0040】
特定の実施形態においては、直接付着性ポリマーが、極性又は分極性基を含む繰り返し単位;疎水性炭化水素基、グラフトポリシロキサン鎖、疎水性フッ素含有基、及びこれらの組み合せからなる群から選択される基を含む繰り返し単位;並びに調節基を含む繰り返し単位を含む。このポリマーの特定の実施形態においては、少なくとも1つの基が、反応性基を含む。
【0041】
特定の実施形態においては、フィルム形成成分が、疎水性セグメント、親水性セグメント、及びケイ素含有マクロマーセグメントを含む直接付着性ポリマーを含む。特定の実施形態においては、直接付着性ポリマーが、四級アミンセグメントを更に含む。特定の実施形態においては、直接付着性ポリマーが、アルコキシシラン架橋性セグメントを更に含む。
【0042】
特定の実施形態においては、フィルム形成成分が、疎水性セグメント、親水性セグメント、及び四級アミンセグメントを含む直接付着性ポリマーを含む。特定の実施形態においては、直接付着性ポリマーが、アルコキシシラン架橋性セグメントを更に含む。
【0043】
特定の実施形態においては、直接付着性ポリマーが、疎水性セグメント、親水性セグメント、四級アミンセグメント、及びアルコキシシラン架橋性セグメントを含む。特定の実施形態においては、ポリマーが、ケイ素含有マクロマーセグメントを更に含む。
【0044】
別の実施形態においては、直接付着性ポリマーが、疎水性セグメント、親水性セグメント、ケイ素含有マクロマーセグメント、及びアルコキシシラン架橋性セグメントを含む。
【0045】
特定の実施形態においては、疎水性セグメントが、ドデシル、イソブチル、オクチル、オクタデシル、及びこれらの組み合せを含む炭化水素部分からなる群から選択される。特定の実施形態においては、疎水性セグメントが、少なくとも100のを重量平均分子量を有する疎水性モノマーから誘導される。特定の実施形態においては、疎水性モノマーの重量平均分子量が、最大500,000である。特定の実施形態においては、疎水性セグメントが、フッ素含有セグメントである。
【0046】
特定の実施形態においては、親水性セグメントが、カルボン酸、低級アルキル(例えば、メチル、エチル、及びプロピル)エステル、ヒドロキシアルキルエステル、アルコキシアルキルエステルアミノアルキルエステル、アルキルアミノアルキルエステル、ジアルキルアミノアルキルエステル、ポリエチレングリコールエステル、ポリプロピレングリコールエステル、トリアルキルアンモニウムアルキルエステル、ここで、対イオンは、ハロゲン化物、アセテート、プロピオネート、ラウレート、パルミテート(palnitate)、ステアレート、又はこれらの組み合せであることができる;及びこれらの組み合せからなる群から選択される。
【0047】
特定の実施形態においては、四級アミンセグメントが、トリアルキルアンモニウムアルキルエステルテトラフルオロホウ酸塩、トリアルキルアンモニウムアルキルエステルフルオロリン酸塩、トリアルキルアンモニウムアルキルエステルハロゲン化物、及びこれらの組み合せからなる群から選択される。
【0048】
特定の実施形態においては、アルコキシシラン架橋性セグメントが、(トリアルコキシシリル)アルキルである。
【0049】
特定の実施形態においては、ケイ素含有マクロマーセグメントが、分子量が少なくとも500であるポリシロキサン鎖を含む。
【0050】
本発明の歯科用組成物は、適切な成分を組み合わせることにより、単一部の液体、フォーム、ペースト、又はゲルとして調製されてよい。例えば、ポリマー(典型的に、直接付着性ポリマー)及び歯科用剤を、所望の温度(例えば、室温)において、混合してよい。別の選択肢として、本発明の組成物が、液体、フォーム、ペースト、ゲル、又はこれらの組み合せを含む多部系として調製されてよく、これらは、歯の表面への供給前に混合される。こうした多部系は、例えば、二成分酸化還元化学に基づく反応開始剤系を含む組成物、並びに組成物中の他の材料と適合性がない添加剤(例えば、反応開始剤又は触媒)を含む組成物を含む単一部の組成物に存在しない可能性がある貯蔵安定性を提供する可能性がある。
【0051】
組成物が、架橋性セグメントを持つポリマーを含むならば、典型的に、組成物は、触媒(例えば、オクトエートスズ)と共にユーザーに提供される。歯の表面に歯科組成物を塗布後、歯の表面上でポリマーを架橋するために、触媒が適用される。
【0052】
歯科用剤
幾つかの実施形態においては、本発明の組成物が、歯科用剤(例えば、口腔環境内において使用するのに適した歯科組成物のための歯科添加剤)を含む、若しくはオプションとして含んでよい。代表的な歯科用剤としては、例えば、フッ化物供給源、増白剤、抗う触剤(例えば、キシリトール)、再石灰化剤、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応変性剤、薬剤、指示薬(例えば、染料、顔料)、湿潤剤、抗菌剤、抗真菌剤、安定剤、口内乾燥症の治療剤、減感剤、及びこれらの組み合せが挙げられる。歯科用剤は、口腔環境内において使用するのに適していることが好ましい。
【0053】
ある実施形態においては、直接付着性ポリマーが、歯科用剤として作用し得る。例えば、ポリマーが、抗菌剤四級アミンセグメント、再石灰化リン含有セグメント、再石灰化カルシウム含有セグメント、フッ化物放出セグメント、又はこれらの組み合せを含むとき、ポリマー自体が歯科用剤を提供する。
【0054】
本発明において使用される有用なフッ化物供給源は、口腔内又は歯の表面上に、フッ化物イオンを放出する効果を有する任意の材料であってよい。典型的に、有用なフッ化物供給源は、象牙質細管を閉塞すること、及びエナメル質を再石灰化することにより、歯を減感させる効果を有する。有用なフッ化物供給源としては、例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ、モノアンモニウム(monammonium)1,1,7−トリヒドロぺルフルオロヘプチルホスフェートのようなフルオロアルキルリン酸塩、ドセチル(doceyl)トリメチル−フッ化アンモニウムのような四級アンモニウムフッ化物、及びこれらの組み合せが挙げられる。他のフッ化物供給源は、例えば、米国特許第5,071,637号(ペリカノ(Pellicano))に開示されている。
【0055】
特定の実施形態においては、本明細書において開示される直接付着性ポリマーはまた、フッ化物放出基を含む繰り返し単位も含む。好ましいフッ化物放出基は、例えば、米国特許第4,871,786号(オーセン(Aasen)ら)に開示されるようなテトラフルオロホウ酸塩アニオンを包含する。フッ化物放出基の好ましい繰り返し単位は、トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートを含む。
【0056】
更に、フッ化物イオンの好適な前駆体としては、例えば、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、テトラブチルフッ化アンモニウム、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩、フルオロリン酸ナトリウム、二フッ化水素アンモニウム、ヘキサフルオロケイ酸及びその塩、モノフルオロリン酸及びその塩、ヘキサフルオロリン酸及びその塩、並びにこれらの組み合せが挙げられる。
【0057】
本発明において使用される有用な再石灰化剤は、エナメル質を再石灰化することが可能な任意の材料であってよい。有用な再石灰化剤としては、例えば、リン酸化合物、カルシウム化合物、カルシウムリン酸化合物、ヒドロキシアパタイト、カゼイン塩、リン化合物の表面処理を有する充填剤、リン放出ガラス、カルシウム放出ガラス、及びこれらの組み合せが挙げられる。特定の実施形態においては、歯科用剤が、リン酸化合物である。特定の実施形態においては、リン酸化合物が、一塩基性リン酸化合物、二塩基性リン酸化合物、三塩基性リン酸化合物、グリセロリン酸カルシウム、又はこれらの組み合せである。特定の実施形態においては、歯科用剤が、カゼイン塩である。特定の実施形態においては、カゼイン塩が、カルシウム塩、リン酸塩、フッ化物、又はこれらの組み合せである。様々な再石灰化剤は、米国特許第6,497,858号(タカツカ(Takatsuka)ら)、並びに米国特許出願公開第10/989,779号;同第10/989,779号;同第10/989780号;及び同第60/628,336号に記載されており;これらはそれぞれ、2004年11月16日に提出されている。
【0058】
本発明において使用するのに有用な増白剤は、歯を白くする効果を有する任意の材料であってよい。有用な増白剤としては、例えば、次亜塩素酸塩(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過酸(ペルオキシ酸としても既知)、過酸化カルバミド(すなわち、過酸化水素の尿素錯体、CO(NH2222、尿素過酸化水素、過酸化水素カルバミド、又はペルヒドロ(perhydrol)−尿素としても既知)、及びこれらの組み合せが挙げられる。
【0059】
有用な息清涼剤としては、塩化亜鉛が挙げられる。
【0060】
有用な抗菌剤としては、虫歯、歯周炎、及び口臭に関連する細菌増殖を制御するための剤が挙げられる。こうした剤としては、例えば、クロロヘキシジン、オプションとして酸性成分と組み合わせられる脂肪酸のグリセロールエステル、オプションとして酸性成分と組み合わせられる脂肪酸のプロピレングリコールエステル、及び四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0061】
組成物中の歯科用剤の濃度は、その活性に依存して変動することができる。本発明の組成物は、特定の用途に所望される量の歯科用剤を含むように所望に応じて調整されてよい。歯科組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも0.05重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%、最も好ましくは少なくとも0.5重量%の歯科用剤を含む。歯科組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは最大50重量%、より好ましくは最大45重量%、最も好ましくは最大40重量%の歯科用剤を含む。
【0062】
直接付着性ポリマー
本出願の組成物(例えば、発泡性歯科用組成物及び歯の表面に保持性ポリマーコーティングを塗布するための他の組成物)において使用されるポリマー(例えば、直接付着性ポリマー)は、本明細書において以下に記載されるような極性又は分極性基を含む繰り返し単位を含む。特定の実施形態においては、ポリマーが、本明細書において以下に記載されるように、フッ化物放出基を含む繰り返し単位、疎水性炭化水素基を含む繰り返し単位、グラフトポリシロキサン鎖を含む繰り返し単位、疎水性フッ素含有基を含む繰り返し単位、調節基を含む繰り返し単位、又はこれらの組み合せをも含む。ある実施形態においては、ポリマーが、所望により反応性基を含む。好適な反応性基(例えば、縮合反応を受けることが可能なエチレン性不飽和基、エポキシ基、又はシラン部分)は、例えば、米国特許第5,607,663号(ロッジ(Rozzi)ら)、同第5,662,887号(ロッジら)、同第5,866,630号(ミトラ(Mitra)ら)、同第5,876,208号(ミトラら)、同第5,888,491号(ミトラら)、及び同第6,312,668号(ミトラら)に開示されている。
【0063】
一実施形態においては、歯科組成物が、極性又は分極性基を含む繰り返し単位;及びフッ化物放出基(例えば、テトラフルオロホウ酸アニオン)を含む繰り返し単位;を含むポリマーを含む。極性又は分極性基を含む繰り返し単位は、フッ化物放出基を含む繰り返し単位とは異なることが好ましい。
【0064】
別の実施形態においては、組成物が、極性又は分極性基を含む繰り返し単位;並びに疎水性炭化水素基、グラフトポリシロキサン鎖、疎水性フッ素含有基、及びこれらの組み合せからなる群から選択される基を含む繰り返し単位;を含むポリマーを含む。疎水性炭化水素セグメントは、重量平均分子量が少なくとも100である疎水性モノマーから誘導されることが好ましい。グラフトポリシロキサン鎖は、分子量が少なくとも500であることが好ましい。極性又は分極性基を含む繰り返し単位は、疎水性炭化水素基、グラフトポリシロキサン鎖、疎水性フッ素含有基、及びこれらの組み合せからなる群から選択される基を含む繰り返し単位とは異なることが好ましい。
【0065】
オプションとして、ポリマーが、反応性基を含む。
【0066】
列挙されたポリマーを調製するための代表的な方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,607,663号(ロッジ(Rozzi)ら)、同第5,662,887号(ロッジら)、同第5,866,630号(ミトラ(Mitra)ら)、同第5,876,208号(ミトラら)、同第5,888,491号(ミトラら)、及び同第6,312,668号(ミトラら)に開示されるようなフリーラジカル重合条件が挙げられる。
【0067】
本発明の歯科組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも5重量%のポリマー、より好ましくは少なくとも15重量%のポリマー、最も好ましくは少なくとも37重量%のポリマーを含む。本発明の歯科組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは最大99.95重量%のポリマー、より好ましくは最大99.9重量%のポリマー、最も好ましくは最大99.5重量%のポリマーを含む。
【0068】
極性又は分極性基
極性又は分極性基を含む繰り返し単位は、典型的に親水性基であり、アクリレート、メタクリレート、クロトネート、イタコネート等のようなビニルモノマーから誘導される。極性基は、酸性、塩基性、又は塩であることができる。また、これらの基は、イオン性又は中性であることもできる。
【0069】
極性又は分極性(例えば、親水性)基の例としては、ヒドロキシ、チオ、置換及び非置換アミド、環状エーテル(例えば、オキサン、オキセタン、フラン、及びピラン)のような中性基;塩基性基(例えば、ホスフィン及び一級、二級、三級アミンを包含するアミン);酸性基(例えば、C、S、P,Bのオキソ酸、及びチオオキソ酸);イオン基(例えば、四級アンモニウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩等);並びにこれらの基の前駆体及び保護形態が挙げられる。更に、極性又は分極性基は、マクロモノマーであることができる。こうした基のより具体的な例は、以下の通りである。
【0070】
極性又は分極性基は、一般式:
CH2=CR2G−(COOH)d
で表されるモノ又は多官能性カルボキシル基含有分子から誘導されてよい:式中、R2は、H、メチル、エチル、シアノ、カルボキシ、又はカルボキシメチルであり、dは1〜5であり、Gは、オプションとして置換又は非置換へテロ原子(例えば、O、S、N及びP)により置換された及び/又は中断された原子価d+1の1〜12個の炭素原子を含有する結合基、あるいはヒドロカルビルラジカル連結基である。オプションとして、この単位は、その塩の形態で提供されてよい。この部類の好ましいモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びN−アクリロイルグリシンである。
【0071】
極性又は分極性基は、例えば、一般式:
CH2=CR2−CO−L−R3−(OH)d
で表されるモノ又は多官能性ヒドロキシ基含有分子から誘導されてよい:式中、R2は、H、メチル、エチル、シアノ、カルボキシ、又はカルボキシアルキルであり、LはO、NHであり、dは1〜5であり、R3は、1〜12個の炭素原子を含有する原子価d+1のヒドロカルビルラジカルである。この部類の好適なモノマーは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシメチル)エタンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドである。
【0072】
別の選択肢として、極性又は分極性基は、一般式:
CH2=CR2−CO−L−R3−(NR45d
のモノ又は多官能性アミノ基含有分子から誘導されてよい:式中、R2、L、R3、及びdは、上で定義された通りであり、R4及びR5は、H又は炭素原子1〜12個のアルキル基であり、あるいはこれらは共に炭素環式又は複素環式基を構成する。この部類の好適なモノマーは、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及び4−メチル−1−アクリロイル−ピペラジンである。
【0073】
また、極性又は分極性基は、メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート又はポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのようなアルコキシ置換(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドから誘導されてもよい。
【0074】
極性又は分極性基単位は、一般式:
【化1】

の置換又は非置換アンモニウムモノマーから誘導されてよい:式中、R2、R3、R4、R5、L、及びdは、上記に定義された通りであり、R6は、H又は炭素原子1〜12個のアルキル、Q-は、有機又は無機アニオンである。こうしたモノマーの好適な例としては、2−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート、2−N,N,N−トリエチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート、3−N,N,N−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリレート、N(2−N’,N’,N’−トリメチルアンモニウム)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム)プロピル(メタ)アクリルアミド、又はこれらの組み合せが挙げられ、対イオンとしては、フッ化物、塩化物、臭化物、アセテート、プロピオネート、ラウレート、パルミテート、ステアレート、又はこれらの組み合せが挙げられてもよい。またモノマーは、有機又は無機対イオンのN,N−ジメチルジアリルアンモニウム塩であることもできる。
【0075】
また、アンモニウム基含有ポリマーは、極性又は分極性基としていずれかの上記のアミノ基を含有するモノマーを使用し、得られたポリマーを有機又は無機酸で、ペンダントアミノ基が、実質的にプロトン化されるpHまで酸性化することにより、調製されることができる。全体的に置換されたアンモニウム基含有ポリマーは、上記のアミノポリマーをアルキル化基でアルキル化することにより、調製されてよく、該方法は、通常メンシュトキン反応として当該技術分野において既知である。
【0076】
極性又は分極性基は、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸等のようなスルホン酸基含有モノマーから誘導されることもできる。或いは、極性又は分極性基は、亜リン酸又はホウ素酸基含有モノマーから誘導されてよい。これらのモノマーは、モノマーとして、プロトン化した酸の形態で使用されてよく、得られる対応するポリマーは、ポリマーの塩形態を与えるために有機又は無機塩基で中和されてよい。
【0077】
代表的な極性又は分極性基は、例えば、米国特許第5,607,663号(ロッジ(Rozzi)ら)、同第5,662,887号(ロッジら)、同第5,866,630号(ミトラ(Mitra)ら),同第5,876,208号(ミトラら)、同第5,888,491号(ミトラら)、及び同第6,312,668号(ミトラら)に開示される。
【0078】
極性又は分極性基の好ましい繰り返し単位としては、アクリル酸、イタコン酸、N−イソプロピルアクリルアミド、又はこれらの組み合せが挙げられる。
【0079】
フッ化物放出基
好適なフッ化物放出基は、例えば、米国特許第5,607,663号(ロッジ(Rozzi)ら)、同第5,662,887号(ロッジら)、同第5,866,630号(ミトラ(Mitra)ら)、同第5,876,208号(ミトラら)、同第5,888,491号(ミトラら)、及び同第6,312,668号(ミトラら)に開示されるフッ化物塩を含む。好ましいフッ化物放出基としては、例えば、米国特許第4,871,786号(オーセン(Aasen)ら)に開示されるテトラフルオロボレートアニオンが挙げられる。フッ化物放出基の好ましい繰り返し単位としては、トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートが挙げられる。
【0080】
疎水性炭化水素基
代表的な疎水性炭化水素基は、重量平均分子量が100超過であるエチレン性不飽和事前形成炭化水素部分(すなわち、疎水性モノマー)から誘導される。炭化水素部分の分子量は、好ましくは少なくとも160である。炭化水素部分の分子量は、好ましくは最大500,000、より好ましくは最大100,000、及び更により好ましくは最大50,000である。炭化水素部分は、元来芳香族又は非芳香族であってよく、オプションとして、部分的に又は完全に飽和された環を含有してよい。好ましい疎水性炭化水素部分は、ドデシル、イソブチル、オクチル及びオクタデシルアクリレート及びメタクリレートである。他の好ましい疎水性炭化水素部分としては、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びメチルメタクリレートのような重合性炭化水素から調製される所望の分子量のマクロモノマーが挙げられる。
【0081】
代表的な疎水性炭化水素基は、例えば、米国特許第5,607,663号(ロッジ(Rozzi)ら)、同第5,662,887号(ロッジら)、同第5,866,630号(ミトラ(Mitra)ら)、同第5,876,208号(ミトラら)、同第5,888,491号(ミトラら)、及び同第6,312,668号(ミトラら)に開示される。
【0082】
疎水性フッ素含有基
疎水性フッ素含有基の代表的な繰り返し単位は、1,1−ジヒドロペルフルオロアルカノールのアクリル酸又はメタクリル酸エステル及び同族体:CF3(CF2xCH2OH及びCF3(CF2x(CH2yOH、(式中、xは0〜20であり、yは少なくとも1から10までである);ω−ヒドロフルオロアルカノール(HCF2(CF2x(CH2yOH)、(式中、xは0〜20であり、yは少なくとも1から10までである);フルオロアルキルスルホンアミドアルコール;環状フルオロアルキルアルコール;並びにCF3(CF2CF2O)q(CF2O)x(CH2yOH、(式中、qは2〜20であり、xを超えており、xは0〜20であり、yは少なくとも1から10までである)、を含む。
【0083】
疎水性フッ素含有基の好ましい繰り返し単位としては、2−(メチル(ノナフルオロブチル)スルホニル)アミノ)エチルアクリレート、2−(メチル(ノナフルオロブチル)スルホニル)アミノ)エチルメタクリレート、又はこれらの組み合せが挙げられる。
【0084】
代表的な疎水性フッ素含有基は、例えば、米国特許第5,607,663号(ロッジ(Rozzi)ら)、同第5,662,887号(ロッジら)、同第5,866,630号(ミトラ(Mitra)ら)、同第5,876,208号(ミトラら)、同第5,888,491号(ミトラら)、及び同第6,312,668号(ミトラら)に開示されている。
【0085】
グラフトポリシロキサン鎖
グラフトポリシロキサン鎖は、エチレン性不飽和事前形成オルガノシロキサン鎖から誘導される。この単位の分子量は、一般に少なくとも500である。グラフトポリシロキサン鎖の好ましい繰り返し単位としては、シリコーンマクロマーが挙げられる。
【0086】
本発明のグラフトポリシロキサン鎖を提供するために使用されるモノマーは、単一官能基(ビニル、エチレン性不飽和、アクリロイル、又はメタクリロイル基)を有する末端官能性ポリマーであり、マクロモノマー又は「マクロマー」ト呼ばれることもある。こうしたモノマーは、既知であり、例えば、米国特許第3,786,116号(ミルコビッチ(Milkovich)ら)及び同第3,842,059号(ミルコビッチら)に開示される方法により調製されてよい。ポリジメチルシロキサンマクロモノマーの調製及びそれに続くビニルモノマーとの共重合は、Y.ヤマシタ(Yamashita)らにより、いくつかの論文に記載されている:[ポリマーJ.14、913(1982);ACSポリマープレプリント25(1)、245(1984);高分子化学(Makromol.Chem.)185、9(1984)]。
【0087】
代表的なポリシロキサン鎖は、例えば、米国特許第5,468,477号(クマー(Kumar)ら)、同第5,607,663号(ロッジ(Rozzi)ら)、同第5,662,887号(ロッジら)、同第5,725,882号(クマーら)、同第5,866,630号(ミトラ(Mitra)ら)、同第5,876,208号(ミトラら)、同第5,888,491号(ミトラら)、及び同第6,312,668号(ミトラら)に開示されている。
【0088】
調節基
代表的な調節基は、アクリレート又はメタクリレート又は他のビニル重合性出発モノマーから誘導され、オプションとして、ガラス転移温度、キャリア媒質への溶解度、親水性−疎水性バランス等のような特性を調節する官能性を含有する。
【0089】
調節基の例としては、炭素1〜12個の直鎖状、分枝状又は環状アルコールの低級〜中間メタクリル酸エステルが挙げられる。調節基の他の例としては、スチレン、ビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロイルモノマー等が挙げられる。
【0090】
追加の代表的な調節基は、例えば、米国特許第5,607,663号(ロッジ(Rozzi)ら)、同第5,662,887号(ロッジら)、同第5,866,630号(ミトラ(Mitra)ら)、同第5,876,208号(ミトラら)、同第5,888,491号(ミトラら)、及び同第6,312,668号(ミトラら)に開示されている。
【0091】
反応開始剤系
本発明の歯科組成物は、オプションとして、組成物が硬化(例えば、重合又は架橋)することを可能にする反応開始剤系又は触媒を含む。例えば、可視及び/又は近赤外光反応開始剤系は、フリーラジカル重合性成分を含む組成物中で、光重合を開始するために使用されてもよい。例えば、モノマーを、例えば、米国特許第5,545,676号(パラゾット(Palazzotto)ら)に開示されているような増感剤、電子供与体、ヨードニウム塩を含む三成分又は三成分系の光反応開始剤系と組み合わせることができる。別の代替案として、組成物は増感剤(例えば、カンファーキノン)及び電子供与体(例えば、米国特許第4,071,424号(ダート(Dart)ら)に開示されているような二級又は三級アルキルアミン化合物)を含む二成分開始剤系を含んでよい。
【0092】
有用な光開始剤の別の部類としては、欧州特許公開第173,567号(イング(Ying))に開示されているようなアシルホスフィンオキシドが挙げられる。こうしたアシルホスフィンオキシドは、一般式(R)2P(=O)C(=O)−R1であり、式中、各Rはそれぞれヒドロカルビル基(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びアラルキル)であることができ、これらは、ハロ基、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてよく、あるいは、2つのR基は接合してリン原子と共に環を形成してよく、R1は、ヒドロカルビル基、S−、O−、又はN−含有五又は六員複素環式基、あるいは−Z−C(=O)−P(=O)−(R)2基であり、式中、Zは、2〜6個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基(例えば、アルキレン又はフェニレン)を表す。
【0093】
本発明において有用な好ましいアシルホスフィンオキシドは、R及びR1基がフェニルあるいは低級アルキル−又は低級アルコキシ置換フェニルであるものである。「低級アルキル」及び「低級アルコキシ」とは、1〜4個の炭素原子を有するこうした基を意味する。最も好ましくは、アシルホスフィンオキシドは、銘柄イルガキュア(IRGACURE)819として、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)(ニューヨーク州、タリタウン(Tarrytown))の下で入手可能なビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドである。
【0094】
多成分系においてフリーラジカル重合を誘発する酸化剤及び還元剤を含む酸化還元触媒の使用もまた、硬化ゲルを生成するために有用である。重合反応を開始するための好ましい様態は、酸化還元触媒系として、酸化剤及び還元剤を使用する。オプションとしてマイクロカプセル化還元剤及び/又は酸化剤を含む様々な酸化還元系は、米国特許第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)に開示されている。
【0095】
好ましくは、酸化剤は、還元剤と反応するか、別な方法で協同し、フリーラジカルを製造する。フリーラジカルは、エチレン性不飽和部分の重合を開始することが可能である。好ましくは、酸化剤及び還元剤は、十分に溶解し、米国特許第6,136,885号(ルシン(Rusin)ら)に開示されるように、適切なフリーラジカル反応速度を可能にするのに十分な量で存在する。
【0096】
好ましい酸化剤の部類としては、過硫酸塩(例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過硫酸アルキルアンモニウム)が挙げられる。別の好ましい酸化剤の部類としては、過酸化物又は過酸化物塩(例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、及びヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−アミルヒドロペルオキシド、及び2,5−ジヒドロペルオキシ−2,5−ジメチルへキサンが挙げられる)が挙げられる。他の好ましい酸化剤としては、コバルト(III)及び鉄(III)の塩、過ホウ酸及びその塩、並びに過マンガン酸アニオンの塩が挙げられる。いずれかの上述の酸化剤の組み合わせもまた、使用することができる。
【0097】
好ましい還元剤としては、例えば、アミン(例えば、芳香族アミン)、アスコルビン酸、金属錯体アスコルビン酸、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、シュウ酸、チオ尿素、並びにジチオナイト、チオ硫酸、スルフィン酸ベンゼン、又は亜硫酸塩アニオンの塩が挙げられる。
【0098】
本発明の組成物に反応開始剤が含まれるとき、組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも0.01重量%の反応開始剤、より好ましくは少なくとも0.1重量%の反応開始剤を含む。本発明の組成物に反応開始剤が含まれるとき、組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは最大10重量%の反応開始剤、より好ましくは最大5重量%の反応開始剤を含む。
【0099】
発泡性歯科用組成物及び泡
本発明の発泡性歯科用組成物は、例えば、1種以上の発泡剤及び/又は1種以上の噴射剤を含むことができる。
【0100】
好適な噴射剤は、例えば気体を含有する。好適な気体としては、例えば、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、亜酸化窒素、炭化水素(例えば、プロパン、n−ブタン、イソブテン、プロパン及びブタンのブレンド)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
本発明の発泡性歯科用組成物中の噴射剤の量は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも7重量%、最も好ましくは少なくとも10重量%である。本発明の組成物中の発泡剤の量は、組成物の総重量を基準として、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。
【0102】
好適な発泡剤は、例えば、界面活性剤、表面変性ナノ粒子、泡安定剤、泡壁増粘剤、及びこれらの組み合せを含む。
【0103】
好適な界面活性剤としては、例えば、イオン性、非イオン性、カチオン性、両性、又はこれらの混合物が挙げられる。また好適な界面活性剤は、重合性界面活性剤であってもよい。好適な界面活性剤の例は、例えば、米国特許第6,361,761号(ジョジアック(Joziak)ら)、同第5,071,637号(ペリカノ(Pellicano))、及び同第5,824,289号(ストルツ(Stoltz))に開示されている。好適な界面活性剤としては、トーマリザーブ社(Tomah Reserve Inc.)(ルイジアナ州、リザーブ(Reserve))から入手可能なトマドール(TOMADOL)45−13、及びベイカー・ペトロライト社(Baker Petrolite Corp.)(オクラホマ州、タルサ(Tulsa))から入手可能なユニソックス(UNITHOX)720が挙げられる。
【0104】
幾つかの実施形態においては、例えば、ポリマーが四級アミンセグメントのような両性セグメントを含むとき、又は疎水性及び親水性セグメントの組み合せを含むとき、直接付着性ポリマーは、界面活性剤として作用し得る。
【0105】
本発明の発泡性組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、更により好ましくは少なくとも3重量%である。本発明の発泡性組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総重量を基準として、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更により好ましくは20重量%以下である。
【0106】
好適な表面変性ナノ粒子は、100ナノメートル未満の平均粒子直径を有する。こうした表面変性ナノ粒子の例は、例えば、米国特許第6,586,483号(コルブ(Kolb))に開示されている。
【0107】
好適な泡安定剤としては、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸ナトリウム、ココアミドジエタノールアミン、ラウラミドジエタノールアミン、プロピレングリコール14−ブチルエーテル、又はこれらの混合物が挙げられる。本発明の発泡性組成物中の泡安定剤の量は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、更により好ましくは少なくとも3重量%である。本発明の発泡性組成物中の泡安定剤の量は、組成物の総重量を基準として、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更により好ましくは20重量%以下である。
【0108】
ある実施形態においては、例えば、ポリマーが、発泡性歯科用組成物のpHを最適なレベルに調節するのを助ける酸性及び/又は塩基性セグメントを包含するとき、直接付着性ポリマーは、泡安定剤として作用し得る。
【0109】
好適な泡壁増粘剤は、例えば、グリセロール、ソルビトール、水素添加デンプン加水分解産物、2−オクタデカノール、又はこれらの混合物を包含する。市販の泡壁増粘剤は、商標名ヒスターTPF(HYSTAR TPF)(ロンザ社、ニュージャージー州、フェアローン(Fair Lawn))、トマドール(TOMADOL)45−13(トーマリザーブ社(Tomah Reserve Inc.))、及びユニソックス(UNITHOX)720(ベイカー・ペトロライト社(Baker Petrolite Corp.))として入手可能である。本発明の発泡性組成物中の泡壁増粘剤の量は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、更により好ましくは少なくとも3重量%である。本発明の発泡性組成物中の泡壁増粘剤の量は、組成物の総重量を基準として、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更により好ましくは20重量%以下である。
【0110】
噴射剤、発泡剤、エアゾール及び非エアゾール容器、ノズル等についての更なる情報を包含する発泡性組成物の様々な他の構成要素、並びに発泡性組成物及び発泡体の製造方法は、例えば米国特許第6,142,338号(ペリカノ(Pellicano))、同第5,071,637号(ペリカノ(Pellicano))、及び同第5,824,289号(ストルツ(Stoltz))に記載されている。
【0111】
他の任意の添加剤
また本発明の組成物は、添加剤(発泡性組成物を調製するための上記の添加剤以外の)を含むことができる。こうした添加剤としては、例えば、緩衝剤、酸性化剤、フッ化水素酸、乳化剤、エマルション油、エマルション安定剤、再石灰化促進剤、粘度変性剤、チキソトロープ、充填剤、ポリオール、着香剤(例えば、甘味剤)、及びこれらの組み合せが挙げられる。
【0112】
所望の効果のためのこうした添加剤の選択及び量は、当業者に周知である。
【0113】
方法
本発明の方法は、ヒト及び動物の組織を含む軟組織及び硬組織を含む歯の表面の処理のために提供される。硬組織としては、例えば、骨、歯、及び歯の成分部分(例えば、エナメル質、象牙質、及びセメント質)が挙げられる。軟組織としては、例えば、粘膜(例えば、舌、歯肉、及び咽喉)が挙げられる。幾つか実施形態においては、歯の表面は、口腔内の硬化された修復材表面を含む。
【0114】
本発明の歯科組成物は、要望通りあらゆる方法によって所望の部位に供給されてよい。例えば、組成物は、容器又はディスペンサーから歯の表面上に直接供給されてよい。好適な容器又はディスペンサーとしては、例えば、ボトル、バイアル瓶、注射器、及び管が挙げられる。針先からバルク液体として、または、エアゾールから細かい霧として、組成物を供給する能力は、用途の多様性を提供する。或いは、組成物は、組織上へ組成物を塗装する又はコーティングするために、ブラシ、スポンジ、塗布器、又は綿を用いて供給されることができる。いくらかの用途のためには、組成物をより大きな領域に塗布することが望ましい可能性がある。これらの特定の用途のためには、組成物は、スプレー又はエアゾールディスペンサーを通して、あるいは、全ての組織領域(例えば、口腔)を組成物で単にすすぐことによって、供給されてよい。
【0115】
別の選択肢として、組成物は、基材に塗布されることができ、その上に組成物を有する基材(又は、歯科用トレイの場合のように、その中に組成物を有する基材)は、所望の表面に塗布されることができる。好適な基材としては、例えば、ポリマーフィルム、紙、並びに織布及び不織布シートが挙げられる。好ましい基材は、トレイ型ディスペンサー、例えば、歯科用トレイである。歯科用トレイを使用する方法は、既知であり、例えば、米国特許第6,361,761号(ジョジアク(Joziak)ら)、同第5,071,637号(ペリカノ(Pellicano))、及び同第5,824,289号(ストルツ(Stoltz))に記載されている。また組成物は、所望の表面への適用前に、ブラシ、スパチュラ、医療用/歯科用器具、又は塗布器に塗布されることができる。
【0116】
特定の好ましい実施形態においては、本発明の組成物は、例えば、塗布、ブラッシング、注入、拭き取り、基材(例えば、歯科用トレイ)からの歯科組成物の塗布、ディップコーティング、又はこれらの組み合せを包含する方法により、歯の表面に塗布される。
【0117】
本発明の歯科用組成物が2つ以上の部を含むとき、2つ以上の部は、塗布プロセスの直前、又は塗布プロセス間に混合されることが好ましい。好適な混合装置としては、例えば、静止的混合装置が挙げられる。
【0118】
組成物は、所望の効果を提供するために十分に長く、歯の表面の表面上に置かれることが好ましい。置かれる時間は、採用される特定の組成物、歯の表面の種類、意図される使用、及び手順を行うために利用可能な時間によって異なる。多くの用途のためには、組成物は、長期間、歯の表面上に残存されてよい。
【0119】
特定の実施形態においては、好ましい方法は、歯の表面を歯科用発泡体中に、5分間未満、より好ましくは1分間未満、更により好ましくは15秒間未満ディップコーティングする工程を含む。他の好ましい方法は、歯の表面を歯科用発泡体中に、少なくとも1秒間、より好ましくは少なくとも5秒間ディップコーティングする工程を含む。他の好ましい方法は、発泡性歯科用組成物の塗布工程の直後に、歯の表面をすすぐ工程を含む。
【0120】
組成物が、架橋性セグメントを持つポリマーを含むならば、典型的に、組成物は、触媒(例えば、オクトエートスズ)と共にユーザーに提供される。発泡体を通して二部系を歯に塗布するためには、可能性のある少なくとも2つの方法が存在する。1つの方法は、部Aが部Bと混合されることが可能な発泡体ディスペンサーを使用することを伴い、成分はノズルから押し出される。第二の方法においては、歯科用組成物を歯の表面に塗布した後、触媒は、歯の表面上でポリマーを架橋するために塗布される。
【0121】
典型的に、特定の実施形態においては、ポリマーは「非重合性」であり、硬化され、単にコーティング、ディッピング等により歯に塗布される。しかし、本発明のいくつかの実施形態においては、歯科用組成物は、例えば、反応するために反応性ポリマーを誘発することにより、硬化(例えば、重合又は架橋)されてよい。歯科用組成物が、反応性ポリマーとは異なる任意の重合性成分を含むならば、組成物の硬化は、重合性成分の重合を誘発する可能性もある。例えば、反応性ポリマー又は重合性成分が、エチレン性不飽和基を含むとき、重合は、化学線の適用により誘発される可能性がある。好ましくは組成物は、波長400〜1200ナノメートルを有する放射線、より好ましくは可視放射線に照射される。可視光線供給源としては、例えば、太陽、レーザ、金属蒸気(例えば、ナトリウム及び水銀)ランプ、白熱灯、ハロゲンランプ、水銀アーク灯、蛍光室内ライト、懐中電灯、発光ダイオード、タングステンハロゲンランプ、及びキセノン閃光電球が挙げられる。
【0122】
別の選択肢として、反応性ポリマー又は重合性構成要素が、エチレン性不飽和基を含む本発明の実施形態においては、組成物は、酸化剤を含む1つの部、及び還元剤を含む別の部を持つ2つ以上の部を含んでよい。
【0123】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈すべきではない。指示がない限り、全ての部及びパーセントは重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。
【実施例】
【0124】
試験法
着色顔料試験法1
一連の試験試料(こららのうちのいくつかは、直接付着性ポリマーを含有する)に、0.014重量%の赤色顔料(医薬品及び化粧品用レッド30タルクレーキセンシエストコード:K7094、センシエスト・テクノロジーズ(Sensient Technologies)、ミズーリ州、セントルイス(St. Louis))を添加した。次に、得られた染料含有試料について、以下の手順を使用して、歯上への保持を評価した。
【0125】
抽出されたウシ歯を、水を満たしたこれらの保存容器から取り出し、ペーパータオルで簡単に軽くたたいた。次に、異なる試験試料をそれぞれ、各歯上にブラッシュし、1分後に、コーティングされた歯を、37℃に維持した水浴に浸漬させ、連続して攪拌した。歯上の赤色の強度及び連続性の特異的変化について、歯を、特定の時間間隔で、視覚的に観察した。赤く着色したポリマーコーティングが歯上に残存する時間を、「保持時間」として報告した。試験期間の終わりにあたり、コーティングされた歯を水浴から取り出し、歯コーティングの一体性を評価するために、穏やかに精査した。
【0126】
着色顔料試験法2
試験試料(これらのうちのいくつかは、直接付着性ポリマーを含有する)に赤色顔料を添加し、得られた染料含有試験試料を、着色顔料試験法1に記載されたようにウシ歯に適用した。しかし、この試験法では、37℃の水浴から歯を取り出し、約16分後、特別に設計された歯ブラシ磨耗機(MDRCBBユニバーシティ・オブ・ミネソタ・デンタルスクール(MDRCBB University of Minnesota Dental School)(ミネソタ州、ミネアポリス(Minneapolis)))を使用して、ブラッシュした。機械は、コーティングされたウシ歯の表面上を26サイクル滑る歯ブラシに、約200gの特定の力を加えた。1周期は、約1秒間の1往復動作を持つ機械ブラッシングに相当し、ブラッシングとブラッシングの間は約1秒ある。26サイクルには約1分間かかり、個人によるおよそ1日(約12時間)の典型的な歯磨き(朝及び夜のブラッシング)に相互関係を示すと推定される。ブラッシング中、歯及びブラシは、水中のクレスト(CREST)練り歯磨きの50重量%スラリーで囲まれていた。
【0127】
26サイクル(=「1相当試験日(Equivalent Test Day)」又は「1試験日(Test Day)」)後、歯を2人の観察者によって視覚的に観察し、各観察者は、歯表面上に残存する着色したコーティングの量を全表面のパーセントとして推定した。推定値は、歯上に残存するコーティングの平均パーセントとして報告された。ひいては、この方法を、研究に依存して、複数の「試験日」連続した。
【0128】
着色顔料試験法3
着色顔料試験法3は、歯ブラシ磨耗機の代わりに手で歯磨きを使用すること以外は、着色顔料試験法2と基本的に同じように行われ、典型的な1日の歯磨きを再び表すための機械の26サイクルをシミュレーションすることを試みた。試験結果を、着色顔料試験法2と同一の方法で得て、報告した。
【0129】
フッ化物放出試験法
試験試料からのフッ化物イオンの放出速度を、以下の手順で測定した。フィルテック(FILTEK)Z250ユニバーサル修復材(Universal restorative)(3M社、ミネソタ州、セントポール(St. Paul))をガラス顕微鏡スライドに、スライドの端から約1cmのところにコーティングした後、製造業者の指導に従って修復材コーティングを光硬化することにより、歯科基材表面を調製した。次に、試験試料を、硬化された修復材表面上にブラッシュした。スライド上の試験試料の総重量を決定するために、試験試料をコーティングする前又は後に、スライドを計量した。試験試料を修復材表面に塗布した1分後に、処理したスライドを、25mLの蒸留水を満たした容器内に入れ、得られたアセンブリを、研究の持続時間、37℃のオーブンに入れた。水を、指定された時間間隔で補充し、蒸留水中のフッ化物イオン活性を、製造業者の指導及び標準方法論に従い、コールパーマー(Cole Parmer)フッ化物イオン特殊電極(コール−パーマー・インスツルメント社(Cole-Parmer Instrument Company)、イリノイ州、ヴァーノンヒルズ(Vernon Hills))で測定した。最終結果を、試験試料1グラム当たりのフッ化物のマイクログラム又はミリグラム(mg)として報告した。
【0130】
【表A】

【0131】
出発物質の調製
出発物質1(SM−1)
リン酸化ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA−PA)の合成
機械的撹拌機、コンデンサ、温度計及び滴下漏斗を備える1リットルフラスコに、120部のTHF、0.01部のBHT、及び59部のPOCl3を入れた。フラスコを氷/水/アセトン浴で冷却した。50部のHPA、170部のTHF、及び37部のトリエチルアミンのプレミックスを、5℃未満の温度を維持するような速度で滴下漏斗に添加し、混合物を15分間攪拌した。得られた混合物に、170部のTHF及び0.01部のBHTを添加した。14部のH2O、75部のトリエチルアミン、及び170部のTHFのプレミックスを、温度が5℃未満のままであるように、非常にゆっくり添加した。次に、反応混合物を濾過し、白色固体塩を除去した。ろ液を無水MgSO4で乾燥し、濾過して、溶媒を、真空下40℃において、ロータリーエバポレーターで除去した。淡黄色に着色したわずかに粘稠な液体が得られた。この生成物のNMR分析は、リン酸化ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA−PA)の構造を示した。
【0132】
出発物質2(SM−2)
トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートフルオロリン酸一ナトリウム(TMAEMA−FP)
機械的撹拌機、温度計及び滴下漏斗を備えた反応フラスコに、160部のTMAEMA−Cl80%水溶液を入れた。200部の水中の100部のフルオロリン酸二ナトリウム(アルファ・エイサー(Alfa-Aesar)、マサチューセッツ州、ワードヒル(Ward Hill))の溶液を、攪拌しながら、反応フラスコに滴下した。反応溶液を室温で1次間攪拌し、得られる反応混合物を分液漏斗に移動した。置くと、2層が形成された。底層を分離して、排出した。上層のNMRスペクトルは、トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートフルオロリン酸一ナトリウムの構造を示し、固体分析は、水中の66重量%固体を示した。
【0133】
出発物質3(SM−3)
トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートテトラフルオロホウ酸塩(TMAEMA−BF4)の合成
機械的撹拌機、滴下漏斗及びコンデンサを備えた3首フラスコに、80部のテトラフルオロホウ酸ナトリウム(アルファ・エイサー・インオーガニックス(Alfa Aesar Inorganics)、(マサチューセッツ州、ワードヒル(Ward Hill)))、及び130部の脱イオン水を入れた。混合物を15分間攪拌し、透明な溶液を得た。滴下漏斗から、202.4部のジメチルアミノエチルメタクリレート−メチルクロライド(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロライド;CPS社(CPS Company)、チバ、イリノイ州、クリスタルレーク(Crystal Lake))及び80部の脱イオン水の溶液をゆっくり添加した。すぐに、固体生成物が沈殿し始めた。添加が完了した後、混合物を30分間攪拌し、濾過により固体を単離し、30部の脱イオン水で洗浄し、真空下40℃で乾燥した。固体生成物のNMR分析は、純トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートテトラフルオロホウ酸塩である構造を示した。
【0134】
出発物質4(SM−4)
ジメチルヘキサデシルアンモニウムエチルメタクリレートブロミド(DMA−C16Br)の合成
500mL丸底フラスコに、42.2部のDMAEMA、154.7部のアセトン、93.2部の1−ブロモヘキサデカン(シグマ・アルドリッチ)、及び0.34部のBHTを入れた。混合物を35℃で16時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた白色固体沈殿を、濾過により単離し、冷たい酢酸エチルで洗浄し、真空下で40℃にて乾燥させた。固体生成物のNMR分析は、純ジメチルヘキサデシルアンモニウムエチルメタクリレートブロミドである構造を示した。
【0135】
歯科用剤ブレンドA
NaF(49.75部)、CGP(49.75部)、及びGML−12(0.5部)を24時間混合して、均質混合物をもたらすことにより、歯科用剤ブレンドAを調製した。
【0136】
歯科用剤ブレンドB
NaF(49.75部)、フォスカル(PHOSCAL)(49.75部)、及びGML−12(0.5部)を24時間混合して、均質混合物をもたらすことにより、歯科用剤ブレンドBを調製した。
【0137】
泡安定剤ブレンドA
ユニリン(UNILIN)425(10部)、ユニソックス(UNITHOX)420(10部)、及びエタノール(30部)をガラスジャー内で高せん断カウルミキシングにて混合し、ヒートガンで150℃に加熱することにより、泡安定剤ブレンドを調製した。混合の5分後、ブレンドを、チョークのような安定した懸濁液として単離した。
【0138】
(実施例1〜35)
直接付着性ポリマー
それぞれモノマー単位20/45/20/5/10重量部を含有する直接付着性ポリマーp(NIPAAM/IBMA/AA/LA/TMAEMA−BF4)を、以下の手順に従って、イソプロピルアルコール溶液中で調製した。
【0139】
NIPAAM(20部)、IBMA(45部)、AA(20部)、LA(5部)、DMAEMA−BF4(10部)、VAZO−67(0.5部)、及びIPA(200部)を反応槽内で組み合わせ、得られた混合物を窒素で2分間パージした。容器を密閉し、一定温度−回転装置内で65℃を18時間維持し、その間に、透明で粘稠なポリマー溶液が形成された。反応槽を浴から取り出し、室温に冷却した。固体パーセント分析(IPA中固体33%)は、実施例1にて指定されるポリマーへの定量的変換を示した。
【0140】
実施例2〜35にて指定されるポリマーは、実施例1に一般に記載されるように調製され、モノマー単位、重量比(それぞれのモノマー単位で)、及び指示された単離された形態(必要に応じて、代替の溶媒及び固体%を包含する)と共に表1に列記される。いくつかのポリマー調製のためには、他の溶媒、例えばエタノール、エタノール/水、及びグリセロール/エタノールを、IPAの代わりに約200部使用した。
【表B】

【表C】

【0141】
(実施例36〜43)
直接付着性ポリマーを含有する発泡性歯科用組成物
エタノール中の直接付着性ポリマーの溶液(実施例3B)は、以下の一般的な手順に従って標準方法論及び市販の噴射剤を使用して、発泡性歯科用組成物へと処方された。
【0142】
発泡性歯科用組成物は、直接付着性ポリマー溶液(実施例3B)(エタノール中25%ポリマー;100部)、泡安定剤ブレンドA(5部)、及びNaF(0、5、8、又は15部)を、ガラスジャー内で、5分間の高せん断混合にて組み合わせることにより、処方された。得られた混合物を、それぞれエアゾールノズルを備える個々の分与金属容器に移動し、密閉した。エアゾール噴射剤(A−46)(16部)を容器に添加した。得られた発泡性歯科用組成物は、それぞれ0、5、8、及び15部のNaFを含有する実施例36、37、38、及び39と指定された。
【0143】
歯科用剤ブレンドA(5部)をNaFに置換したこと以外は実施例36〜39に記載されたように、別の発泡性歯科用組成物(実施例40A)を調製した。
【0144】
歯科用剤ブレンドB(5部)をNaFに置換したこと以外は実施例36〜39に記載されたように、別の発泡性歯科用組成物(実施例40B)を調製した。
【0145】
NaF(2.5部又は5.0部)を、実施例2の直接付着性ポリマー溶液(IPA中33%;100部)又は実施例24の直接付着性ポリマー溶液(IPA中33%;100部)と組み合わせたこと以外は、実施例36〜39に記載されたように、3つの他の発泡性歯科用組成物(実施例41〜43)を調製した。得られる発泡性歯科用組成物を以下のように指定した:
(実施例41):実施例24ポリマー溶液(100部)+NaF(2.5部)
(実施例42):実施例24ポリマー溶液(100部)+NaF(5.0部)
(実施例43):実施例2ポリマー溶液(100部)+NaF(5.0部)
【0146】
全ての発泡性歯科用組成物(実施例36〜43)は、満足な発泡体組成物を分与した。分与された発泡体は、安定であり、少なくとも3分間存続した。
【0147】
評価
様々な試験試料からのポリマーコーティングの歯上の保持
発明の試験試料(実施例8、3A、及び27)について、本明細書において記載される着色顔料試験法2に従ってウシ歯表面上での保持の長さを評価し、本明細書に記載される着色顔料試験法3に従って評価される市販材料デュラファット(DURAPHAT)フッ化物ニスと比較した。実施例8、3A、及び27についての結果を、表2に提供し、50%超過の保持性コーティングが、利用された直接付着性ポリマー溶液に依存して、少なくとも3〜4「試験日」存続したことが示される。デュラファット(DURAPHAT)フッ化物ニス(DFV)の適用から形成されたコーティングは、1「試験日」未満で完全に除去された。
【表D】

【0148】
様々な試験試料からの歯上のポリマーコーティングの保持
発明の試験試料(実施例37の発泡性組成物)について、本明細書において記載される着色顔料試験法1に従ってウシ歯表面上での保持の長さを評価し、以下の市販材料と比較した:オーラルB(ORAL B)発泡体、デュラファット(DURAPHAT)フッ化物ニス、コルゲート(COLGATE)練り歯磨き、及びスコープ(SCOPE)うがい薬。コーティング保持の観測結果を、1分〜5日の時間間隔にて行った。試料供給源、組成物、及び試験結果を表3に示す。表3の結果から、実施例37は、5日超過まで存続する保持性コーティングを提供することが示される。逆に、市販のオーラルB(ORAL B)発泡体、コルゲート(COLGATE)練り歯磨き、及びスコープ(SCOPE)うがい薬製品は、保持性コーティングを提供しなかった(歯上にそれぞれ1、2、及び3分未満)。両方の発泡体組成物は、同様の種類のエアゾール発泡体容器から分与された。この試験においては、デュラファット(DURAPHAT)ニスもまた、5日超過存続する保持性コーティングを提供した。
【表E】

【0149】
発泡性歯科用組成物でコーティングされた表面からのフッ化物放出
発明の試験試料(実施例40A及び40B発泡性組成物)について、本明細書に記載されるフッ化物放出試験法に従って、ウシ歯表面からの経時のフッ化物放出を評価し、市販のデュラファット(DURAPHAT)フッ化物ニス製品と比較した。試験結果を表4に提供し、4時間の研究にわたって同様のフッ化物放出パターンを示す。しかし、患者の歯弓における全ての歯に一斉に適用される発泡体製剤の能力は、ニス製剤において一般に可能であるよりも、有意な時間節約効果を提供することが知られている。
【表F】

【0150】
発泡性歯科用組成物でコーティングされた表面からのフッ化物放出
発明の試験試料(実施例41〜43の発泡性組成物)において、本明細書に記載されるフッ化物放出試験法に従って、経時のフッ化物放出を評価し、市販のデュラファット(DURAPHAT)フッ化物ニス及びオーラルB(Oral B)発泡体製品と比較した。試験結果を表5に提供し、いくつかの試験試料においては、168時間の研究にわたって異なるフッ化物放出パターンを示す。
【表G】

【0151】
オーラルB(Oral B)発泡体の場合、フッ化物放出は、0.5分後で8.34mgF/グラム、1分後で8.83mgF/グラム、5分後で8.89mgF/グラムと測定された。従って、5分間で放出されたフッ化物の約94%は、0.5分間で放出され、99%は、1分間で放出された。オーラルB(Oral B)発泡体は、歯科修復材表面上に保持性コーティングを形成しないことが結論付けられた。
【0152】
本発明の範囲及び精神を逸脱しない本発明の様々な修正及び変更は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる具体的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、並びに、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図する、本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム形成成分を含む発泡性歯科用組成物であって、前記フィルム形成成分が、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成し、前記保持性ポリマーコーティングが、通常の口腔内条件下において、歯の表面上に少なくとも15分間残存する、発泡性歯科用組成物。
【請求項2】
前記保持性ポリマーコーティングが、着色顔料試験法2に従って2回の歯磨き後、少なくとも12時間、ウシ歯エナメル質表面上に残存する、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項3】
キャリアを更に含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項4】
前記キャリアが、水、アルコール、グリセロール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、ピネン、及びこれらの組み合せを含む、請求項3に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項5】
歯科用剤を更に含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項6】
前記歯科用剤が、フッ化物供給源、増白剤、抗う触剤、再石灰化剤、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応変性剤、薬剤、指示薬、抗菌剤、抗真菌剤、口内乾燥症の治療剤、減感剤、及びこれらの組み合せからなる群から選択される、請求項5に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項7】
前記歯科用剤が、エナメル質を再石灰化することが可能である、請求項6に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項8】
前記歯科用剤が、リン酸化合物、カルシウム化合物、リン酸カルシウム化合物、ヒドロキシアパタイト、カゼイン塩、リン化合物の表面処理を有する充填剤、リン放出ガラス、カルシウム放出ガラス、及びこれらの組み合せからなる群から選択される、請求項7に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項9】
前記歯科用剤が、リン酸化合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リン酸化合物が、一塩基性リン酸化合物、二塩基性リン酸化合物、三塩基性リン酸化合物、カルシウムグリセロホスフェート、及びこれらの組み合せからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記歯科用剤が、カゼイン塩である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記フィルム形成成分が、直接付着性ポリマーを含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項13】
前記直接付着性ポリマーが、水分散性である、請求項12に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項14】
前記直接付着性ポリマーが、
極性又は分極性基を含む繰り返し単位と、
疎水性炭化水素基、グラフトポリシロキサン鎖、疎水性フッ素含有基、及びこれらの組み合せからなる群から選択される基を含む繰り返し単位と、
調節基を含む繰り返し単位と、を含む、請求項12に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項15】
前記基の少なくとも1つが、反応性基を含む、請求項14に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項16】
前記フィルム形成成分が、疎水性セグメントと、親水性セグメントと、ケイ素含有マクロマーセグメントと、を含む直接付着性ポリマーを含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項17】
前記直接付着性ポリマーが、四級アミンセグメントを更に含む、請求項16に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項18】
前記直接付着性ポリマーが、アルコキシシラン架橋性セグメントを更に含む、請求項17に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項19】
前記フィルム形成成分が、疎水性セグメントと、親水性セグメントと、四級アミンセグメントとを含む直接付着性ポリマーを含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項20】
前記直接付着性ポリマーが、アルコキシシラン架橋性セグメントを更に含む、請求項19に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項21】
前記フィルム形成成分が、疎水性セグメントと、親水性セグメントと、ケイ素含有マクロマーセグメントと、アルコキシシラン架橋性セグメントとを含む直接付着性ポリマーを含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項22】
噴射剤を更に含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項23】
前記噴射剤が、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、亜酸化窒素、炭化水素、及びこれらの混合気からなる群から選択される気体を含む、請求項22に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項24】
発泡剤を更に含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項25】
前記発泡剤が、界面活性剤、表面変性ナノ粒子、泡安定剤、泡壁増粘剤、及びこれらの組み合せからなる群から選択される、請求項24に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項26】
前記発泡剤が、界面活性剤である、請求項25に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項27】
前記界面活性剤が、重合性界面活性剤を含む、請求項26に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項28】
前記発泡剤が、表面変性ナノ粒子を含む、請求項25に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項29】
重合性成分を更に含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項30】
緩衝剤、酸性化剤、フッ化水素酸、乳化剤、エマルション油、エマルション安定剤、再石灰化促進剤、粘度変性剤、チキソトロープ、充填剤、ポリオール、着香剤、及びこれらの組み合せからなる群から選択される添加剤を更に含む、請求項1に記載の発泡性歯科用組成物。
【請求項31】
フィルム形成成分及びキャリアを含む発泡性歯科用組成物であって、前記フィルム形成成分が、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成し、前記保持性ポリマーコーティングが、着色顔料試験法2に従って2回の歯磨き後、少なくとも12時間、ウシ歯エナメル質表面上に残存する、発泡性歯科用組成物。
【請求項32】
歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成する方法であって、前記方法が、
フィルム形成成分を含む発泡性歯科用組成物を準備する工程と、
前記組成物を発泡させて、歯科用発泡体を製造する工程と、
歯の表面上に前記歯科用発泡体を塗布する工程と、を含み、
前記フィルム形成成分が、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成し、前記保持性ポリマーコーティングが、通常の口腔内条件下において、歯の表面上に少なくとも15分間残存する、歯の表面上に保持性ポリマーコーティングを形成する方法。
【請求項33】
歯の表面上に歯科用発泡体を塗布する工程が、発泡体の塗装工程、発泡体のブラッシング工程、発泡体の注入工程、発泡体の拭き取り工程、基材からの発泡体の塗布工程、発泡体のディップコーティング工程、又はこれらの組み合せを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記基材が、歯科用トレイである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
歯の表面上に歯科用発泡体を塗布する工程が、前記歯の表面を前記歯科用発泡体に5分間未満ディップコーティングする工程を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
歯の表面上に歯科用発泡体を塗布する工程が、前記歯の表面を前記歯科用発泡体に少なくとも1秒間ディップコーティングする工程を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記歯科用発泡体の塗布工程の直後に、前記歯の表面をすすぐ工程を更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記歯の表面が、歯肉又は歯表面を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記歯の表面が、硬化歯科修復材を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記歯の表面が、セラミック歯を含む、請求項32に記載の方法。

【公表番号】特表2009−522003(P2009−522003A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548674(P2008−548674)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/049248
【国際公開番号】WO2007/079069
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】