説明

発泡成形体の製造装置および発泡成形体の製造方法

【課題】発泡成形体を低コストで形成すること。
【解決手段】発泡成形体の製造装置20は、互いに対向する金型面21a、22a間にキャビティ23が形成された上型21および下型22を備え、下型22の金型面22aには発泡原料が供給されるとともに、上型21の金型面21aには硬質材3が着脱可能に配置され、上型21の金型面21aに硬質材3を配置した状態で、キャビティ23内で発泡原料を発泡させ、発泡体を形成するとともに硬質材3のうち、突出部分11以外の部分を該発泡体に固着させることにより、該発泡体から突出部分11が突出されてなる発泡成形体を形成し、上型21の金型面21aには、下型22側に向けて開口し、かつ突出部分11が配置される配置凹部28が形成されるとともに、該金型面21aに沿う方向に延在する回動軸26回りに回動することにより、配置凹部28を下型22側から開閉する回動型27が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体の製造装置および発泡成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されているような車両のシートフレームに固定されるシート用パッドが知られている。該シート用パッドは、発泡原料が発泡することにより形成された発泡体と、該発泡体が形成されるときに該発泡体に固着されたフレーム材と、を備え、該フレーム材の一部(以下、突出部分という)が発泡体から突出している。
【0003】
ところで、この種のシート用パッドを形成するシート用パッドの製造方法では一般に、互いに対向する金型面間にキャビティが形成された上型および下型を備える金型を用いる。該製造方法では、キャビティ内にフレーム材を配置した状態で、キャビティ内で発泡原料を発泡させ、フレーム材の全体が埋設された発泡体を形成する。そして発泡体のうち、フレーム材の突出部分を覆う駄肉部を除去することにより、発泡成形体を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−277130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のシート用パッドの製造方法では、発泡体の駄肉部を除去する必要があるため、材料が無駄になるとともに駄肉部の除去作業が必須となり、コストがかかるという問題がある。
なお、材料の無駄を抑える方法として、発泡体を形成する前に、フレーム材の突出部分を治具により覆い、該治具を取り付けた状態でフレーム材をキャビティ内に配置して発泡体を形成した後、突出部分から治具を取り外す方法も考えられる。しかしながらこの場合、フレーム材の突出部分に前工程および後工程で治具を着脱させる作業が必須であり、やはりコストがかかる。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、発泡成形体を低コストで形成することができる発泡成形体の製造装置、および発泡成形体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る発泡成形体の製造装置は、互いに対向する金型面間にキャビティが形成された上型および下型を備え、前記下型の金型面には発泡原料が供給されるとともに、前記上型の金型面には硬質材が着脱可能に配置され、前記上型の金型面に前記硬質材を配置した状態で、前記キャビティ内で発泡原料を発泡させ、発泡体を形成するとともに前記硬質材のうち、突出部分以外の部分を該発泡体に固着させることにより、該発泡体から前記突出部分が突出されてなる発泡成形体を形成する発泡成形体の製造装置であって、前記上型の金型面には、前記下型側に向けて開口し、かつ前記突出部分が配置される配置凹部が形成されるとともに、該金型面に沿う方向に延在する回動軸回りに回動することにより、前記配置凹部を前記下型側から開閉する回動型が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る発泡成形体の製造方法は、前記発泡成形体の製造装置を用いて前記発泡成形体を形成する発泡成形体の製造方法であって、型開きされた前記発泡成形体の製造装置における前記上型の金型面に前記硬質材を配置して、開放された前記配置凹部に前記突出部分を配置する配置工程と、前記上型と前記下型とを相対的に接近移動させることにより前記発泡成形体の製造装置を型閉じし、前記キャビティを形成する型閉じ工程と、該キャビティ内で発泡原料を発泡させて前記発泡成形体を形成する成型工程と、前記発泡成形体の製造装置を型開きした後、前記発泡成形体を前記上型から引き離して脱型する脱型工程と、を有し、前記配置工程後で、かつ前記成型工程前に、前記回動型を回動させて前記配置凹部を閉塞することを特徴とする。
【0009】
これらの発明では、まず、型開きされた発泡成形体の製造装置における上型の金型面に硬質材を配置して、開放された配置凹部に硬質材の突出部分を配置する。このとき、硬質材を金型面に、該金型面に交差する方向から接近移動させることで、開放された配置凹部に硬質材の突出部分を円滑に進入させることができる。
【0010】
その後、回動型を回動させて配置凹部を閉塞するとともに、上型と下型とを相対的に接近移動させることにより発泡成形体の製造装置を型閉じしてキャビティを形成する。そして、キャビティ内で発泡原料を発泡させて発泡成形体を形成する。ここで、配置凹部が回動型により下型側から閉塞されているので、発泡した発泡原料、下型側から配置凹部に到達するのを抑制することができる。
【0011】
その後、発泡成形体の製造装置を型開きした後、発泡成形体を上型から引き離して脱型する。このとき、発泡成形体を上型から金型面に交差する方向に引き離すと、発泡成形体が上型から引き離されることに伴って、回動型が、該金型面に沿う方向に延在する回動軸回りに回動させられることとなる。これにより、発泡成形体を上型から引き離しながら回動型を回動させて発泡成形体を回動型からも引き離すことが可能になり、発泡成形体の脱型を円滑に行うことができる。
【0012】
以上のように、キャビティ内で発泡原料が発泡するときに、発泡原料が、配置凹部に下型面側から到達するのを抑制することができるので、硬質材の突出部分を覆う駄肉部が形成されることを抑えて材料の無駄を低減することが可能になり、発泡成形体を低コストで形成することができる。
また、回動型を回動させて配置凹部を開閉させるという簡便な作業を行うことにより、前工程や後工程で作業を行わなくても材料の無駄を抑えることが可能になり、発泡成形体を確実に低コストで形成することができる。
さらに、硬質材を上型の金型面に配置するときに、硬質材の突出部分を配置凹部に円滑に進入させることが可能で、かつ発泡成形体の脱型を円滑に行うことができるので、上型に回動型を設けることによって作業が煩雑になるのを抑制することが可能になり、発泡成形体をより確実に低コストで形成することができる。
【0013】
また、本発明に係る発泡成形体の製造装置では、前記上型は、該上型の金型面に沿う方向に延在する開閉軸回りに回動することにより前記下型に接近離間し、前記回動軸は、前記開閉軸に沿って延在していてもよい。
【0014】
この場合、発泡成形体を脱型するときに、まず、上型を前記開閉軸回りに回動させることにより下型から離間移動させ、当該発泡成形体の製造装置を型開きする。このとき、上型が、水平方向のうち、当該発泡成形体の製造装置が型閉めされた状態で上型に対して前記開閉軸が位置する方向である後側に向けて前記開閉軸回りに回動させられ、上型の金型面が前方を向くこととなる。
その後、前述のように発泡成形体を上型から引き離して脱型する。ここで、回動型の回動軸が、前記開閉軸に沿って延在しているので、発泡成形体を上型から前方にほぼ真っ直ぐ引き離すことにより、発泡成形体を上型および回動型から引き離すことが可能になり、発泡成形体の脱型をより円滑に行うことができる。
【0015】
以上のように、発泡成形体を脱型するときに、発泡成形体を上型から前方にほぼ真っ直ぐ引き離すことにより、発泡成形体を上型および回動型から引き離すことができるので、発泡成形体の脱型作業を一層簡便なものとし、発泡成形体をより一層確実に低コストで形成することができる。
【0016】
また、本発明に係る発泡成形体の製造装置では、前記回動型は、前記配置凹部を閉塞した状態で前記上型に磁着してもよい。
【0017】
この場合、回動型が、配置凹部を閉塞した状態で上型に磁着するので、回動型による配置凹部の閉塞を確実に維持することが可能になり、前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る発泡成形体の製造装置、および発泡成形体の製造方法によれば、発泡成形体を低コストで形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る金型で形成されたシート用パッドの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る金型の前後方向に沿った縦断面図である。
【図3】図2に示す金型の要部の拡大縦断面図である。
【図4】図2に示す金型を用いたシート用パッドの製造方法を説明する図である。
【図5】図2に示す金型を用いたシート用パッドの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る金型(発泡成形体の製造装置)で形成されたシート用パッド(発泡成形体)を説明する。
図1に示すように、シート用パッド1は、例えば図示しない車両のリヤシートにおける背もたれ部であるバックパッドとして用いられる。該シート用パッド1は、発泡原料が発泡することにより形成された発泡体2と、該発泡体2が形成されるときに該発泡体2に固着されたフレーム材(硬質材)3と、を備えている。
【0021】
発泡体2は、表面4aが後述する下型22の金型面22aにより形成された本体部4と、該本体部4の裏面4bに突設された突出部5と、を備えている。
本体部4の表面4aは、前記車両の乗員の背中が当たる背もたれ面となっている。
突出部5は、本体部4の裏面4bにおける乗員の頭部側である上端に配設され、本体部4の幅方向に沿って延在している。
【0022】
フレーム材3は、当該シート用パッド1を本体部4の表面4a側から見た正面視において、該本体部4の外周縁に沿って延在する枠状に形成され、後述する突出部分11以外の部分が発泡体2に埋設されるとともに固着されており、発泡体2を保形する芯材として作用する。なおフレーム材3は、発泡体2よりも硬質であるとともに例えば磁石に磁着する金属材料などにより形成されている。
【0023】
該フレーム材3は、本体部4に埋設され上方に向けて開口する前記正面視U字状の本体部側部分6と、突出部5に埋設され前記幅方向に延在する突出部側部分7と、本体部側部分6の両上端および突出部側部分7の両側端を各別に連結する一対の連結部分8と、を備えている。
【0024】
突出部側部分7は、前記幅方向に間隔をあけて複数配置され上方に向けて開口する前記正面視U字状の屈曲部9と、前記幅方向に沿って延在し、前記幅方向に隣接する屈曲部9同士、または前記幅方向に隣接する屈曲部9と連結部分8とを連結する複数の直線部10と、を備えている。そして屈曲部9の下端部が、発泡体2から突出する突出部分11となっており、突出部分11は、前記幅方向に間隔をあけて複数配置されている。
該突出部分11は、発泡体2の本体部4の裏面4bに沿う方向のうち、発泡体2の突出部5から、該突出部5が突出する方向に交差する方向に向けて突出するとともに、本体部4の裏面4bとの間に間隔をあけて配置されている。
【0025】
次に、前記シート用パッド1を形成する金型20を説明する。
図2に示すように、金型20は、互いに対向する金型面21a、22a間にキャビティ23が形成された上型21および下型22を備えている。これらの上型21および下型22は、例えば温調および軽量化に好適なアルミニウム材料などで形成することができる。
下型22の金型面22aには、発泡原料が供給される供給凹部24が形成されている。
【0026】
上型21は、該上型21の金型面21aに沿う方向に延在する開閉軸25回りに回動することにより下型22に接近離間する。
なお以下では、水平方向のうち、当該金型20が型閉めされた状態で上型21に対して前記開閉軸25が位置する方向を後側といい、その反対側を前側という。本実施形態では、キャビティ23の前側部分で前記シート用パッド1の上端側が形成され、キャビティ23の後側部分でシート用パッド1の下端側が形成される。
【0027】
上型21の金型面21aには、フレーム材3が着脱可能に配置されるとともに、該金型面21aに配置されたフレーム材3を吸着する図示しない吸着手段が設けられている。
また上型21の金型面21aには、下型22側に向けて開口し、該金型面21aにフレーム材3が配置されたときに、該フレーム材3の前記突出部分11が配置される配置凹部28が形成されている。配置凹部28は、上型21の金型面21aに間隔をあけて複数配置されており、各配置凹部28は、シート用パッド1の各突出部分11に対応している。
【0028】
配置凹部28は、上型21の金型面21aの前側部分に形成されており、配置凹部28の内面は、図3に示すように、下方を向く上面部29と、上面部29において後述する回動軸26方向の両端から下方に向けて各別に延在し、互いに間隔をあけて対向する一対の側面部30と、上面部29および両側面部30の各後端に連なるとともに前方を向く後面部31と、を備えている。なお後面部31には、例えば磁石などからなる磁着部材32が設けられている。
【0029】
また、上型21の金型面21aには、該金型面21aに沿う方向に延在する回動軸26回りに回動することにより配置凹部28を下型22側から開閉する回動型27が設けられている。回動型27の回動軸26は、上型21の金型面21aに沿う方向のうち、前記開閉軸25に沿う方向に延在するとともに、回動型27は、配置凹部28のうち、下型22側に位置する開口側部分28aに収容されることにより配置凹部28を閉塞している。
【0030】
回動型27は、例えばアルミニウム材料などで直方体状に形成されている。そして、回動型27において後方を向く後面33は、配置凹部28の後面部31に当接するとともに、回動型27において前記回動軸26方向を向く図示しない両側面は、配置凹部28の両側面部30に各別に当接している。これにより前記配置凹部28は、回動型27により閉塞された状態で、水平方向のうちの一方向である前方に向けて開口するとともに、該前方を除いた方向である鉛直方向の両側、前記回動軸26方向の両側、および後側から閉塞されている。
【0031】
また回動型27の後面33の下端は、配置凹部28の後面部31の下端に前記回動軸26を介して連結されている。さらに回動型27の後面33には、前記磁着部材32に着脱可能に磁着する被着体34が設けられており、回動型27が配置凹部28を閉塞した状態で、該被着体34が磁着部材32に磁着されている。なお被着体34は、例えば磁性体材料で形成されたボルトを、回動型27の後面33にねじ込むことにより形成することができる。
【0032】
次に、前記金型20を用いて前記シート用パッド1を形成するシート用パッドの製造方法について説明する。
はじめに図4に示すように、上型21と下型22とを相対的に離間移動させることにより金型20を型開きする。このとき、上型21を前記開閉軸25回りに回動させることにより、上型21が前記開閉軸25回りに上方斜め後方に向けて回動させられ、上型21の金型面21aが前方を向くこととなる。
また、回動型27を回動させて配置凹部28を開放する。
【0033】
そして、型開きされた金型20における上型21の金型面21aにフレーム材3を配置して、開放された配置凹部28にフレーム材3の突出部分11を配置する配置工程を行う。このとき、フレーム材3を上型21の金型面21aに、該金型面21aに交差する方向である前方から接近移動させることで、フレーム材3の突出部分11を配置凹部28に開口側部分28aから円滑に進入させることができる。このようにして上型21の金型面21aに配置されたフレーム材3は、前記吸着手段により吸着される。
【0034】
その後、回動型27を回動させて配置凹部28を閉塞する閉塞工程を行う。このとき、回動型27の被着体34を上型21の前記磁着部材32に磁着させ、配置凹部28を閉塞した回動型27を上型21に磁着させる。
また、下型22の金型面22aにおける前記供給凹部24に、発泡原料を供給する供給工程を行う。
そして図2に示すように、これらの配置工程、閉塞工程および供給工程の後、上型21と下型22とを相対的に接近移動させることにより金型20を型閉じし、キャビティ23を形成する型閉じ工程を行う。
【0035】
その後、該キャビティ23内で発泡原料を発泡させてシート用パッド1を形成する成型工程を行う。ここで、配置凹部28が回動型27により下型22側から閉塞されているので、発泡した発泡原料が、配置凹部28に開口側部分28aを通して下型22側から到達するのを抑制することができる。これにより、キャビティ23のうち、配置凹部28を除いた部分である除外空間35が漸次、発泡原料で充満されていく。その後、発泡原料の発泡がおさまって発泡原料の樹脂化(樹脂反応)が進行することにより、発泡体2が形成されるとともに該発泡体2にフレーム材3のうち、突出部分11以外の部分が固着されて、定形を保持可能な前記シート用パッド1が形成される。
【0036】
そして図5に示すように、金型20を型開きした後、シート用パッド1を上型21から引き離して脱型する脱型工程を行う。このとき、シート用パッド1を上型21から、金型面21aに交差する方向である前方に引き離すと、シート用パッド1が上型21から引き離されることに伴って、上型21の前記磁着部材32に対する回動型27の被着体34の磁着が解除され、回動型27が、上型21の金型面21aに沿う方向に延在する前記回動軸26回りに回動させられることとなる。これにより、シート用パッド1を上型21から引き離しながら回動型27を回動させてシート用パッド1を回動型27からも引き離すことが可能になり、シート用パッド1の脱型を円滑に行うことができる。
【0037】
しかも本実施形態では、回動型27の回動軸26が、前記開閉軸25に沿って延在しているので、金型20を型開きして上型21の金型面21aを前方に向けた状態で、シート用パッド1を上型21から前方にほぼ真っ直ぐ引き離すことにより、シート用パッド1を上型21および回動型27から引き離すことが可能になり、シート用パッド1の脱型をより円滑に行うことができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る金型20およびシート用パッドの製造方法によれば、キャビティ23内で発泡原料が発泡するときに、発泡原料が、配置凹部28に開口側部分28aを通して下型22側から到達するのを抑制することができるので、フレーム材3の突出部分11を覆う駄肉部が形成されることを抑えて材料の無駄を低減することが可能になり、シート用パッド1を低コストで形成することができる。
【0039】
また回動型27が、配置凹部28を閉塞した状態で上型21に磁着するので、回動型27による配置凹部28の閉塞を確実に維持することが可能になり、前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
さらにこのように、回動型27が、配置凹部28を閉塞した状態で上型21に磁着するので、例えば回動型27と上型21とが互いに係合し合っている場合などに比べて、シート用パッド1の脱型作業時に、シート用パッド1の上型21からの引き離しに伴って、回動型27を前記回動軸26回りに円滑に回動させることが可能になり、シートパッド1の脱型を確実に円滑に行うことができる。
【0040】
また、回動型27を回動させて配置凹部28を開閉させるという簡便な作業を行うことにより、前工程や後工程で作業を行わなくても材料の無駄を抑えることが可能になり、シート用パッド1を確実に低コストで形成することができる。
さらに、フレーム材3を上型21の金型面21aに配置するときに、フレーム材3の突出部分11を配置凹部28に円滑に進入させることが可能で、かつシート用パッド1の脱型を円滑に行うことができるので、上型21に回動型27を設けることによって作業が煩雑になるのを抑制することが可能になり、シート用パッド1をより確実に低コストで形成することができる。
【0041】
さらにまた、シート用パッド1を脱型するときに、シート用パッド1を上型21から前方にほぼ真っ直ぐ引き離すことにより、シート用パッド1を上型21および回動型27から引き離すことができるので、シート用パッド1の脱型作業を一層簡便なものとし、シート用パッド1をより一層確実に低コストで形成することができる。
【0042】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、回動型27が、配置凹部28を閉塞した状態で上型21に磁着するものとしたが、これに限られるものではない。この場合、前記磁着部材32および前記被着体34はなくてもよく、例えば、回動型および上型に、回動型が配置凹部を閉塞した状態で互いに係合し合い、回動型の回動を規制する係合手段などが設けられていてもよい。
【0043】
また前記実施形態では、回動型27の回動軸26が、開閉軸25に沿って延在しているものとしたが、回動軸26は、上型21の金型面21aに沿う方向に延在していれば、これに限られるものではない。
さらに前記実施形態では、上型21の金型面21aに回動型27が複数設けられているものとしたが、シート用パッド1の突出部分11に対応するように上型21に設けられていれば、これに限られるものではなく、例えばシート用パッド1の突出部分11が1つの場合、回動型27が1つにすることができる。
【0044】
また前記実施形態では、上型21が、前記開閉軸25回りに回動することにより下型22に接近離間するものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、上型が鉛直方向に上下動することにより下型に接近離間してもよい。
【0045】
また前記実施形態では、回動型27を回動させて配置凹部28を閉塞する閉塞工程を、型閉じ工程の前に行うものとしたが、閉塞工程は、配置工程後で、かつ成型工程前に行えばこれに限られず、例えば閉塞工程を型閉じ工程の後に行ってもよい。この場合、例えば金型に、回動型を回動させる図示しない駆動機構を設け、型閉じ工程後に該駆動機構を作動させることにより、閉塞工程を行うことも可能である。
【0046】
また、前記実施形態では、金型20を用いて形成する発泡成形体をシート用パッド1としたが、金型を用いて形成する発泡成形体は、発泡原料が発泡することにより形成された発泡体と、該発泡体が形成されるときに該発泡体に固着された硬質材と、を備え、硬質材のうち、突出部分以外の部分が発泡体に固着されるとともに突出部分が発泡体から突出する構成であれば、適宜変更することが可能である。
【0047】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 シート用パッド(発泡成形体)
2 発泡体
3 フレーム材(硬質材)
11 突出部分
20 金型(発泡成形体の製造装置)
21 上型
21a 金型面
22 下型
22a 金型面
23 キャビティ
25 開閉軸
26 回動軸
27 回動型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する金型面間にキャビティが形成された上型および下型を備え、
前記下型の金型面には発泡原料が供給されるとともに、前記上型の金型面には硬質材が着脱可能に配置され、
前記上型の金型面に前記硬質材を配置した状態で、前記キャビティ内で発泡原料を発泡させ、発泡体を形成するとともに前記硬質材のうち、突出部分以外の部分を該発泡体に固着させることにより、該発泡体から前記突出部分が突出されてなる発泡成形体を形成する発泡成形体の製造装置であって、
前記上型の金型面には、前記下型側に向けて開口し、かつ前記突出部分が配置される配置凹部が形成されるとともに、該金型面に沿う方向に延在する回動軸回りに回動することにより、前記配置凹部を前記下型側から開閉する回動型が設けられていることを特徴とする発泡成形体の製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の発泡成形体の製造装置であって、
前記上型は、該上型の金型面に沿う方向に延在する開閉軸回りに回動することにより前記下型に接近離間し、
前記回動軸は、前記開閉軸に沿って延在していることを特徴とする発泡成形体の製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発泡成形体の製造装置であって、
前記回動型は、前記配置凹部を閉塞した状態で前記上型に磁着することを特徴とする発泡成形体の製造装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造装置を用いて前記発泡成形体を形成する発泡成形体の製造方法であって、
型開きされた前記発泡成形体の製造装置における前記上型の金型面に前記硬質材を配置して、開放された前記配置凹部に前記突出部分を配置する配置工程と、
前記上型と前記下型とを相対的に接近移動させることにより前記発泡成形体の製造装置を型閉じし、前記キャビティを形成する型閉じ工程と、
該キャビティ内で発泡原料を発泡させて前記発泡成形体を形成する成型工程と、
前記発泡成形体の製造装置を型開きした後、前記発泡成形体を前記上型から引き離して脱型する脱型工程と、を有し、
前記配置工程後で、かつ前記成型工程前に、前記回動型を回動させて前記配置凹部を閉塞することを特徴とする発泡成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−143878(P2012−143878A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1459(P2011−1459)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】