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発熱体の製造方法
説明

発熱体の製造方法

【課題】安定した発熱特性を有する発熱体を製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】被酸化性金属の粒子、電解質及び水を含む発熱組成物の層が、基材シート1に設けられてなる発熱体の製造方法である。基材シート1の一面に、前記電解質を固体状態にて添加する工程と、前記電解質を含まず、かつ前記被酸化性金属の粒子及び水を含む塗料を塗工する工程とを、この順で行うか、若しくはこれと逆の順で行うか、又は両工程を同時に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被酸化性金属を含む発熱組成物を、基材シートに施してなる発熱体の技術が知られている。例えば、インキ状ないしクリーム状の発熱組成物がシート状包材内に積層・封入されてなる発熱体において、該包材として一部が通気性及び吸水性を有するものを用い、かつインキ状ないしクリーム状の発熱組成物の水分の一部を該包材に吸収させた発熱体が提案されている(特許文献1参照)。発熱組成物は、発熱物質、吸水性ポリマー、炭素成分、金属塩化物及び水を含んでいる。発熱組成物においては、過剰の水や、遊離水及び/又は含水ゲルが、空気に対するバリア層としての機能を発現し、該バリア層によって発熱反応が抑制されている。このバリア層は、過剰の水等が吸水性を有する前記の包材に吸収されることで消失し、それによって発熱が進行するようになる。
【0003】
特許文献2には、発熱組成物を不織布からなる支持体に保持させてなるシート状発熱体が記載されている。発熱組成物は、不織布における多数の空隙内に保持される。発熱組成物を保持させる方法として、同文献には鉄粉、活性炭及び無機電解質などの粉末原料の混合物を不織布の上に広げ、振動を与えて該粉末原料を不織布の内部の空隙内に進入させる方法が提案されている。
【0004】
特許文献3には、被酸化性金属粉末、保水剤、繊維状物及び水を含む原料組成物から抄紙工程で中間成形体を抄紙した後に、該中間成形体に電解質を含有させる発熱成形体の製造方法が記載されている。電解質は、所定濃度の電解液の状態で中間成形体に含浸されるか、又は所定の粒径のものが固体のまま中間成形体に添加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−75388号公報
【特許文献2】特開平7−59809号公報
【特許文献3】特開2003−102761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発熱組成物は、先に述べたとおり金属塩化物を含んでいるところ、該金属塩化物に起因して該発熱組成物はその粘度が経時的に変化しやすい。粘度の経時変化は、発熱組成物の安定塗工を妨げる一因となる。また、発熱組成物に含まれている金属塩化物は、該発熱組成物の塗工装置を腐食させる一因ともなる。
【0007】
特許文献2に記載の技術では、鉄粉、活性炭及び無機電解質などの粉末原料を混合して混合物となし、該混合物を不織布の上に散布している。しかし、鉄粉と、活性炭と、無機電解質とでは、それらの粒径や粒子形状が異なることから、これらを均一に混合して、均一に散布することは容易でない。
【0008】
特許文献3に記載の技術においては、抄紙によって形成された中間成形体に、固体の状態の電解質を添加すると、該中間成形体が含水状態であったとしても、固体状態の電解質を安定して担持することが容易でない。したがって、中間成形体の搬送中に電解質が該中間成形体から脱落しやすく製造装置を汚染しやすく、また一定量の電解質の担持を保証することが容易でない。
【0009】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る発熱体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被酸化性金属の粒子、電解質及び水を含む発熱組成物の層が、基材シートに設けられてなる発熱体の製造方法であって、
前記基材シートの一面に、前記電解質を固体状態にて添加する工程と、前記電解質を含まず、かつ前記被酸化性金属の粒子及び水を含む塗料を塗工する工程とを、この順で行うか、若しくはこれと逆の順で行うか、又は両工程を同時に行う発熱体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、塗料中に電解質が含まれていないので、塗工前の塗料の粘度が安定して各成分が良好な分散性を示す。また、塗料を調製する設備や塗料を塗布する設備の腐食を抑制することができる。また電解質は固体状態で添加されるので、過剰な量の水が発熱体に添加されず、発熱体の加工工程が安定化する。更に、過剰な量の水が発熱体に添加されないことに起因して、加工機への水の飛散や、発熱体の貼りつきに起因する加工不良が起こりづらくなり、歩留りが向上する。その上、過剰な量の水が発熱体に添加されないことに起因して、安定した発熱特性を有する発熱体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の発熱体の製造方法に好ましく用いられる装置の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の発熱体の製造方法に好ましく用いられる別の装置の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の発熱体の製造方法に好ましく用いられる更に別の装置の一例を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の発熱体の製造方法に好ましく用いられる更に別の装置の一例を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の発熱体の製造方法に好ましく用いられる更に別の装置の一例を示す模式図である。
【図6】図6は、実施例1及び参考例1で得られた発熱具の発熱特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。まず、本発明の製造方法によって得られる発熱体の構造について説明する。本発明の製造方法によって製造される発熱体は、基材シートと、該基材シートの少なくとも一面に設けられた発熱組成物の層(以下、「発熱層」ともいう。)を備える。発熱層は、少なくとも被酸化性金属の粒子、電解質及び水を含んで構成されている。発熱層は、更に反応促進剤を含んでいてもよい。発熱層は水を含んでいる含水層である。電解質は水に溶解した状態になっている。発熱層は、基材シートの一方の面にのみ設けられていてもよく、あるいは両面に設けられていてもよい。また、別の形態として、同一の又は異なる2枚の基材シートの間に発熱層が設けられていてもよい。発熱層が2枚の基材シート間に設けられていると、該発熱層が包材に貼り付くことが効果的に防止される。発熱層は、基材シート上に存在していてもよく、あるいは基材シート中に微小な空間が存在している場合には、該発熱層の下部が基材シート中に埋没していてもよい。発熱層の一部が基材シート中に埋没していることによって、発熱層と基材シートの一体性が増し、基材シートからの発熱層の脱落(使用前、使用中、使用後)が効果的に防止される。
【0014】
発熱層に含まれる被酸化性金属としては、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。被酸化性金属の粒子の粒径は、例えば0.1〜300μm程度とすることができる。必要に応じて用いられる反応促進剤としては、水分保持剤として作用するほかに、被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能も有しているものを用いることが好ましい。反応促進剤としては例えば活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ等が挙げられる。電解質としては、被酸化性金属の粒子の表面に形成された酸化物の溶解が可能なものが用いられる。その例としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点からアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の塩化物が好ましく用いられ、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄が好ましく用いられる。
【0015】
発熱体における被酸化性金属の量は、坪量で表して100〜3000g/m、特に200〜1500g/mであることが、十分な発熱量を確保する観点から好ましい。発熱体における電解質の量は、4〜80g/m、特に4〜40g/m、とりわけ5〜30g/mであることが、長時間にわたり安定な発熱を維持する観点から好ましい。同様の理由によって、必要に応じて用いられる反応促進剤の量は、4〜300g/m、特に4〜80g/m、とりわけ8〜50g/mであることが好ましい。なお、これらの坪量は、基材シートの片面に発熱層を一層形成した場合での値である。したがって基材シートの両面に発熱層を形成した場合には、これらの坪量は上述の2倍の値となる。また、発熱体の具体的な用途に合わせ、坪量は適宜調整される。
【0016】
上述したとおり発熱層は含水状態になっている。発熱層の含水率は、5〜50質量%、特に6〜40質量%であることが好ましい。発熱層の含水率をこの範囲内に設定することで、発熱層はその流動性が低下し、ひいては粘性が低下する。その結果、発熱層の上側に通気性を有するシートを配置しても、該発熱層の貼り付きによって該シートの通気性が損なわれるという不都合が起こりにくくなる。発熱層の含水率は、基材シートの表面よりも上側に位置する部位を対象として測定される。したがって、発熱層のうち、基材シートに埋没している部位は、含水率の測定対象から除外される。発熱層の含水率の具体的な測定方法は次のとおりである。すなわち、基材シートの表面よりも上側に位置する部位の発熱層を窒素環境下で取り出し、その質量を測定する。その後、真空状態下の105℃の温度の乾燥炉に2時間入れて水分を取り除き、再度質量を測定し、含水量を測定する。上述の発熱層の含水率は、1つの発熱層あたりの値である。
【0017】
発熱層の含水率を上述の範囲に設定することで、該発熱層がその上に配置される通気性包材(後述する)へ貼り付くことが効果的に防止されるが、その分、発熱層に含まれる水の量が少なくなることに起因して発熱特性が低下するとの懸念が生じるかもしれない。しかし本発明においては、基材シートが水を含んでおり、発熱中に基材シートから発熱層へ水が供給されるので、発熱特性が低下することはない。これらの観点から、発熱体における水が占める割合、つまり発熱体の含水率は、10〜60質量%、特に12〜50質量%、とりわけ12〜40質量%であることが好ましい。発熱体の含水率の具体的な測定方法は次のとおりである。すなわち、窒素環境下で発熱体の質量を測定し、その後、真空状態下の105℃の温度の乾燥炉に2時間入れ、水分を取り除き、再度、質量を測定し、差分の質量を水分量とする。この水分量を、水分を取り除く前の発熱体の質量で除し、100を乗じることで含水率を算出する。なお、上述の発熱体の含水率は、基材シートの片面に発熱層を1層形成した場合での値であるが、基材シートの各面に発熱層を形成した場合や、2枚の基材シート間に発熱層を形成した場合でも上述の範囲を満たすことが好ましい。
【0018】
以上の構成を有する発熱体は、好適には、(1)塗料の塗工工程及び(2)電解質の添加工程を備える。(1)の工程と(2)の工程とは、(1)の工程を先に行い、次いで(2)の工程を行うことができる。これとは逆に、(2)の工程を先に行い、次いで(1)の工程を行うこともできる。更に(1)の工程と(2)の工程とを同時に行ってもよい。いずれの順序を採用する場合であっても、その後に、(3)製造した発熱体を、少なくとも一部に透気性を有する包材によって包囲して発熱具とする発熱体被覆封止工程を行ってもよい。
【0019】
(1)塗工工程
発熱体の製造工程の一工程である塗工工程においては、基材シートに、電解質を含まず、かつ少なくとも被酸化性金属の粒子及び水を含む塗料を塗工する。ここでいう電解質は、被酸化性金属の粒子に形成された酸化物を溶解させる目的で添加される電解質を意味し、すべての電解質を一切含まないという意味ではない。後述する電解質添加工程で添加する電解質を実質的に含まないということであり、水として水道水を用いた場合に該水道水中に含まれる塩素成分などは、ここでいう電解質ではない。つまり、発熱体に、一定の継続した発熱状態を付与できない場合には、ここでいう電解質ではない。
【0020】
塗料の調製は、例えば被酸化性金属と反応促進剤とを混合した後、更に水を加えつつ、均一になるまで混合して行うことができる。塗料の調製中に、被酸化性金属の表面が、例えば後述する反応促進剤等によって傷つき該被酸化性金属の酸化が一時的に生じたとしても、塗料中には電解質が含まれていないので、酸化によって形成された酸化被膜の溶解が生じず、それ以上の酸化が妨げられる。したがって、被酸化性金属は電解質と接するまでは実質的な酸化が進行しない。それゆえ、塗料の保管中の酸化反応の進行を抑えることができ、発熱ロスを低減できる。また、塗料に電解質が含まれていないことによって、塗工前や塗工中の塗料の成分は良好な分散性を維持する。例えば、塗工前に塗料を静置しても、該塗料に被酸化性金属の粒子が凝集して凝集物が沈降したり離水したりすることが生じにくい。また、塗料の塗工工程の後に、電解質の添加工程を行う場合には、塗工工程において、被酸化性金属粉末を空気と遮断するための特別の手当は必要ない。
【0021】
本発明の発熱体の製造方法によれば、上述のように、塗料中に電解質が積極的に含まれていないので、タンク等の製造機器内で塗料を調製している間や、調製された塗料を塗工している間に、混練機のパドルやタンク等の壁面が、電解質に起因する腐食を起こし難い。その結果、製造機器に耐食性の高い高価な材料を極力使用せずに済むという利点がある。
【0022】
塗料は、上述した成分に加えて、塗料中での固形分の分散性を高める観点から、増粘剤や界面活性剤を含有していてもよい。増粘剤としては、例えば、主として、水や金属の塩化物水溶液を吸収し、稠度を増大させるか、又はチキソトロピー性を付与する物質が挙げられ、ベントナイト、ステアリン酸塩、ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル酸塩、ゼラチン、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、ペクチン、カルボキシビニルボリマー、デキストリン、α化澱粉及び加工用澱粉などの澱粉系吸水剤、カラギーナン及び寒天などの多糖類系増粘剤、カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤などを用いることができる。界面活性剤としては、例えば芳香族スルホン酸とホルマリンの縮合物、又は特殊カルボン酸型高分子界面活性剤を主成分とする陰イオン性界面活性剤などを用いることができる。
【0023】
塗料は、被酸化性金属の粒子100質量部に対して、水を25〜85質量部、特に35〜75質量部含んでいることが好ましい。必要に応じて用いられる反応促進剤は、被酸化性金属の粒子100質量部に対して、1〜20質量部、特に2〜14質量部含まれていることが好ましい。増粘剤は、0.05〜10質量部、特に0.1〜5質量部含まれていることが好ましい。界面活性剤は、0.1〜15質量部、特に0.2〜10質量部含まれていることが好ましい。
【0024】
塗料は、該塗料の塗工によって形成された塗工層と、後述する電解質とが接することで、該電解質が溶解して塗工層中に溶け込んで、目的とする発熱層が形成される程度の含水率を有していることが好ましい。この観点から塗料中に含まれている水の割合は、塗料の全体の質量に対して、18〜48質量%、特に23〜43質量%であることが好ましい。
【0025】
上述の組成を有する塗料の粘度は23℃・50RHにおいて500〜30000mPa・s、特に1000〜15000mPa・s、とりわけ1000〜10000mPa・sであることが好ましい。粘度の測定には、B型粘度計の4号ローターを用いた。測定は、ローターを6rpmで回転させて行った。
【0026】
基材シートが透気性材料である場合には、塗料の塗布は、基材シートにおける塗料を塗布する一面側とは反対側の面(他面,以下、非塗布面ともいう)側から吸引しつつ行うことが、被酸化性金属の粒子を始めとする塗料中の固形分を、基材シート中の微小な空間内に取り込ませることができるので好ましい。尤も、基材シートの種類や塗料の組成によっては、吸引を行わなくても、基材シート中の微小な空間内に塗料中の固形分を取り込ませることができる。被酸化性金属の粒子等を基材シート中に取り込ませることで、発熱層と基材シートの一体性が増し、基材シートからの発熱層の脱落(使用前、使用中、使用後)が効果的に防止される。基材シートの非塗布面側から吸引を行う場合には、塗料の塗布と同時に行うことに代えて、塗料の塗布後に行っても良い。吸引力は100〜10000Pa、特に500〜5000Paとすることが好ましい。吸引力は、サクションコンベア内のボックスにマノスターゲージを取り付け測定できる。これらの成分を含む塗料を、例えば、連続長尺物からなる基材シートの少なくとも一方の面上に連続的に塗工する。また、塗料の塗工方法としては、各種公知の塗工方法を特に制限無く用いることができる。例えばロール塗布、ダイコーティング、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーティング、カーテンコーター等などが用いられる。塗布の簡易性、塗布量の制御のし易さ、塗料の均一塗工を実現できる点からダイコーティングが好ましい。
【0027】
(2)電解質添加工程
電解質添加工程は、電解質を固体状態で添加する点に特徴を有する。また電解質は、被酸化性金属の粒子及び水とは別に添加される。電解質の添加に際しては、例えば香り成分のカプセルなどの他の固体成分(ただし被酸化性金属の粒子は除く)が共存してもよいが、好ましくは電解質のみを単独で添加する。その場合、他の固体成分は、先に述べた塗料中に配合される。電解質を単独で添加することで、それ以外の固体成分の発熱層における分散性が向上するという有利な効果が奏される。また、電解質を固体状態で添加することで、水溶液で添加する場合に比較して機器の腐食を抑制でき、また機器及び/又はその周囲への電解質の飛散を抑制できるという有利な効果が奏される。
【0028】
電解質は固体状態で添加される限り、その形態に特に制限はない。例えば個々の粒子が目視可能な程度の大きさを有する粒状体でもよく。肉眼では目視不可能な程度の大きさを有する小粒子でもよい。塗料の塗工によって形成された塗工層への円滑な溶解の点からは、電解質を小粒子の集合体としての粉体(粉末)の状態で添加することが好ましい。例えば平均粒子径が50〜1000μm、特に100〜800μmである粉体の状態で、電解質を添加することが好ましい。平均粒子径は、例えばJIS Z8801の標準ふるいを用いたふるい分け方法にて測定できる。
【0029】
塗料の塗工後に電解質を添加する場合には、該塗料の塗工によって形成された塗工層の全域に電解質を均一に散布することが、均一な組成を有する発熱層を形成する点から好ましい。同様の理由によって、塗料の塗工前に電解質を添加する場合には、基材シートにおける該塗料の塗工予定領域の全域に電解質を均一に散布することが好ましい。基材シートに塗料と電解質を同時に供給する場合には、塗料の塗布領域と同じ領域に電解質を均一に添加することが好ましい。いずれの場合であっても、電解質を添加するための装置としては、例えばスクリューフィーダ、電磁フィーダ、オーガ式フィーダなどを用いることができる。なお、電解質は、発熱体の使用時までに発熱層に対して均一に存していればよく、電解質添加工程において電解質を基材シートに対し均一に添加しなくてもよい。
【0030】
電解質の添加は、1回のみ行ってもよく、あるいは複数回に分割して行ってもよい。電解質の添加が1回のみの場合には、例えば塗料の塗工によって形成された塗工層に対して電解質を添加するか、又は基材シートに電解質を1回添加した後に、塗料の塗工によって塗工層を形成することができる。更に、塗料の塗工によって形成された塗工層に対して電解質を添加し、更にその上に塗料を重ね塗りしてもよい。複数回に分割して行う場合には、例えば塗料の塗工によって形成された塗工層に対して、電解質を複数回に分割して添加することができる。逆に、基材シートに電解質を複数回に分割して添加した後に、塗料を塗工することもできる。更には、基材シートに電解質を添加した後に塗料を塗工して塗工層を形成し、その後に該塗工層に対して電解質を添加してもよい。
【0031】
電解質の添加量は、最終的に得られる発熱層における該電解質の量が上述した範囲内となるような量とすることが好ましい。また電解質の添加量は、被酸化性金属の粒子の単位面積当たりの添加量100質量部に対して、0.5〜15質量部、特に1〜10質量部であることが好ましい。
【0032】
塗料の塗工によって形成された塗工層に電解質を添加する場合には、塗工部分と散布部分を分離できるので、装置の機構が単純化できるという利点がある。また、基材シートが高吸収性ポリマーを含有している場合には次の利点もある。すなわち、塗工面が十分に湿潤した状態であり、散布した電解質が周囲に飛散しにくいので、そのことを利用して、電解質を散布するタイミングを変えることで、基材シートへの吸水量をコントロールできる。この理由は、電解質の濃度が高いと、吸水ポリマーの吸水能が低下するからである。
これに対して、塗料の塗工前に電解質を基材シートに添加する場合には、電解質の溶解が早いという利点がある。この理由は、電解質上に塗料が塗工されるので、塗料中の水分が基材シートに移行するときに電解質を通過するからである。
また、塗料の塗工と電解質の添加とを同時に行う場合には、塗工面が十分に湿潤した状態のため、散布した電解質が周囲に飛散しにくいという利点がある。
【0033】
電解質の添加前に、基材シートに塗料を塗工する場合、該塗料の塗工後であって、かつ電解質の添加前の状態における該基材シートの含水率(塗工層も含む)を10〜60質量%、特に12〜50質量%にすると、塗工面が十分に湿潤した状態となり、添加した電解質を安定して保持することが出来るとともに、良好な温熱特性を得ることができるので好ましい。発熱体の含水率の具体的な測定方法は前述の通りである。すなわち窒素環境下で発熱体の質量を測定し、その後、真空状態下の105℃の温度の乾燥炉に2時間入れ、水分を取り除き、再度、質量を測定し、差分の質量を水分量とする。この水分量を、水分を取り除く前の発熱体の質量で除し、100を乗じることで含水率を算出する。なお、上述の発熱体の含水率は、基材シートの片面に発熱層を1層形成した場合での値である。
【0034】
塗料の塗工と電解質の添加の先後にかかわらず、電解質は塗工層中に直ちに溶解する必要はなく、発熱体の使用前までに溶解していればよい。したがって、塗料の塗工及び電解質の添加が完了した後に、更に別の加工工程を行う段階で、未溶解の状態の電解質が存在していても差し支えない。また、発熱体の使用時に、電解質は、添加した全量が溶解する必要はなく、一部未溶解の状態になっていてもよい。
【0035】
また、上述の方法においては、塗工層と電解質とが接することで、被酸化性金属の酸化が開始するところ、この酸化を抑制するために、製造ラインを非酸化性雰囲気に保つことが好ましい。
【0036】
本製造方法において用いられる基材シートとしては、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを用いることができる。例えば合成樹脂フィルム等の不透気性材料、不織布や紙等の繊維シートからなる透気性材料などが挙げられる。更に合成樹脂フィルムと、不織布等の繊維シートとのラミネートを用いることもできる。基材シートとしては、吸水性のものを用いることが好ましい。
【0037】
吸水性の基材シートとしては、高吸収性ポリマーの粒子を含む繊維シートが好ましい。特に、高吸収性ポリマーの粒子と繊維材料とが均一に混合した状態の1枚の繊維シートを用いることが好ましい。また、高吸収性ポリマーの粒子が、該基材シートの厚み方向略中央域に主として存在しており、かつ該基材シートの表面には該粒子が実質的に存在していない構造を有するワンプライの構造の繊維シートを用いることも好ましい。更に、繊維材料を含む同一の又は異なる繊維シート間に、高吸収性ポリマーの粒子が配置された2枚の繊維シートの重ね合わせ体からなる繊維シートを用いることも好ましい。これらの吸水性繊維シートを用いることで、発熱層の含水率のコントロールを容易に行うことができる。
【0038】
繊維シートからなる基材シートに含まれる繊維材料としては、親水性繊維及び疎水性繊維のいずれをも用いることができるが、親水性繊維を用いることが好ましい。親水性繊維としては、天然繊維及び合成繊維のいずれをも用いることができる。基材シートの構成繊維として親水性繊維を用いることで、発熱層に含まれる被酸化性金属との間で水素結合が形成されやすくなり、発熱層の保形性が良好になるという利点がある。また、親水性繊維を用いることで、基材シートの吸水性ないし保水性が良好になり、発熱層の含水率をコントロールしやすくなるという利点もある。これらの観点から、親水性繊維としてはセルロース繊維を用いることが好ましい。セルロース繊維としては化学繊維(合成繊維)及び天然繊維を用いることができる。
【0039】
セルロースの化学繊維としては、例えばレーヨン及びアセテートを用いることができる。一方、天然のセルロース繊維としては、各種の植物繊維、木材パルプ、非木材パルプ、木綿、麻、麦藁、ヘンプ、ジュート、カポック、やし、いぐさ等を用いることができる。これらのセルロース繊維のうち、太い繊維を容易に入手できる等の観点から、木材パルプを用いることが好ましい。セルロース繊維として太い繊維を用いることは、基材シートの吸水性ないし保水性や、発熱層の保持性等の観点から有利である。
【0040】
セルロース繊維を含む繊維シートからなる基材シートには、必要に応じて熱融着性繊維を配合してもよい。この繊維の配合によって、湿潤状態での基材シートの強度を高めることができる。熱融着性繊維の配合量は、基材シートにおける繊維の全量に対して0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%であることが好ましい。
【0041】
基材シートとして繊維シートを用いる場合には、上述のとおり、該繊維シート中に高吸収性ポリマーの粒子が含まれていることが好ましい。高吸収性ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持でき、かつゲル化し得るヒドロゲル材料を用いることが好ましい。粒子の形状は、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状等であり得る。粒子の粒径は、1〜1000μm、特に10〜500μmであることが好ましい。高吸収性ポリマーの具体例としては、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体などが挙げられる。
【0042】
基材シートに占める高吸収性ポリマーの割合は、10〜70質量%、特に20〜55質量%であることが、基材シートの吸水性ないし保水性を好適なものとする観点及び発熱層の含水率のコントロールの観点から好ましい。この割合は、基材シート上に発熱層が形成される前の乾燥状態にある該基材シートについて測定された値である。
【0043】
基材シートは、その坪量が10〜200g/m、特に35〜150g/mであることが好ましい。基材シートの坪量をこの範囲内に設定することで、湿潤状態における基材シートの強度を十分に確保することができ、また基材シートの吸水性ないし保水性を好適なものとすることができる。一方、基材シートに含まれる高吸収性ポリマーの坪量は、5〜150g/m、特に10〜100g/mであることが好ましい。高吸収性ポリマーの坪量をこの範囲内に設定することで、基材シートの吸水性ないし保水性を一層好適なものとすることができる。また、発熱層の含水率を一層コントロールしやすくなる。これらの坪量は、基材シート上に発熱層が形成される前の乾燥状態にある該基材シートについて測定された値である。基材シートとして繊維シートを用いる場合、吸水性の高い繊維を用いるなど、塗料の含水量との関係で該繊維シートが十分な吸水性を有するときには、該繊維シートは高吸収性ポリマーの粒子を含まなくてもよい。
【0044】
発熱層を2枚の基材シートの間に設ける形態とする場合、塗料が塗工される方の基材シート又は塗工された発熱層に重ねる基材シート(第2の基材シート)のどちらか一方は高吸収性ポリマーの粒子を含むことが好ましい。両方の基材シートが、高吸収性ポリマーの粒子を含んでいてもよい。
【0045】
上述の方法によって、基材シート上に発熱層が形成されて目的とする発熱体が得られた後、該発熱体の発熱特性や取り扱い性等を高める目的で、該発熱体に対して後加工を施すことができる。例えば発熱体を通気性包材で被覆することができる。例えば発熱体が連続長尺物からなる場合には、連続長尺物からなる該発熱体を、その幅方向にわたって裁断して毎葉の発熱体を製造し、次いで毎葉の発熱体を所定の間隔をおいて一方向に走行させつつ、発熱層が形成された側に、連続長尺物からなる第1の被覆シートを配置するとともに、他方の側に、同じく連続長尺物からなる第2の被覆シートを配置する。次いで第1の被覆シート及び第2の被覆シートにおける発熱体からの延出域を所定の接合手段によって接合する。接合は、発熱体における左右の側縁の外方及び前後の端縁の外方において行われる。接合手段としては、熱融着、超音波接合、接着剤による接着等が挙げられる。
【0046】
基材シートが、先に述べた繊維シート等の吸水性の材料からなる場合には、該繊維シートの吸水性に起因して、発熱層の含水率が低下して流動性が低下しているので、該発熱層上に第1の被覆シートを配置しても、発熱層が第1の被覆シートに貼り付くという不都合が回避される。その結果、第1の被覆シートの通気性が首尾良く維持される。
【0047】
このようにして、複数の発熱具が一方向に連結された状態の連続長尺物が得られる。この連続長尺物を、隣り合う発熱体間において幅方向にわたって裁断することで、包材で包まれた発熱具が得られる。この発熱具は、次工程において、酸素バリア性を有する包装袋内に密封収容される。
【0048】
このようにして製造された発熱具は、人体に直接適用されるか、又は衣類に適用されて、人体の加温に好適に用いられる。人体における適用部位としては例えば肩、首、顔、目、腰、肘、膝、太腿、下腿、腹、下腹部、手、足裏などが挙げられる。また、人体のほかに、各種の物品に適用されてその加温や保温等にも好適に用いられる。
【0049】
図1には、本発明の発熱体の製造に好ましく用いられる装置の一例が示されている。この装置は、塗料の塗工部20、電解質添加部30、第1裁断部40、リピッチ部50、被覆部60、封止部70及び第2裁断部80を備えている。この装置は、塗料の塗工後に、電解質を散布するためのものである。
【0050】
塗工部20はダイコータ21を備えている。また、ダイコータ21のダイリップに対向し、かつ矢印方向に周回するワイヤメッシュの無端ベルト22も備えている。更に、無端ベルト22を挟んでダイコータ21のダイリップに対向してサクションボックス23も備えている。基材シートの原反ロール1Aから繰り出された連続長尺物からなる基材シート1は、無端ベルト22によって搬送され、その一方の面に、ダイコータ21によって、塗料が塗工され、該一面に塗工層が形成される。塗料は、図示していない調製装置によって予め調製されている。基材シート1が繊維シートからなる場合には、無端ベルト22による基材シート1の搬送に際してサクションボックス23を作動させ、搬送を安定化させるとともに、塗料中の水を吸引して、基材シート1に吸収保持される水の量を調整することができる。基材シート1の種類や塗料の組成によっては、サクションボックス23を作動させることは要しない。塗料の塗工によって、塗料中の水が基材シート1に吸収されるので、塗工層の含水率は、塗料中の含水率よりも低下する。その結果、塗工層の流動性が低下する。
【0051】
電解質添加部30は、固体状態の電解質の散布装置31を備えている。また、散布装置31の散布部に対向し、かつ矢印方向に周回するワイヤメッシュの無端ベルト22も備えている。更に、無端ベルト22を挟んで散布装置31の散布部に対向してサクションボックス33も備えている。塗工後の基材シートは、無端ベルト22によって、塗工部20から電解質添加部30に搬送され、その基材シートの塗工面に向かって、散布装置31の散布部から電解質3が固体状態で散布される。散布された電解質3は、直ちに又は所定の時間にわたって徐々に塗工層中に溶解する。電解質添加部30における基材シート1の搬送に際しては、サクションボックス33を作動させ、搬送を安定化させることもできる。
【0052】
このようにして連続長尺物からなる発熱体10Aが形成されたら、該発熱体10Aを第1裁断部40において、幅方向にわたって裁断する。第1裁断部40は、周面にカッター刃41を有するロータリーダイカッター42とアンビルロール43とを備えている。発熱体10Aが両部材間を通過することで裁断が行われ、それによって毎葉の発熱体10が得られる。
【0053】
連続長尺物からなる発熱体10Aの裁断は、発熱体10Aの幅方向に延びるように行われればよく、例えば発熱体10Aの幅方向にわたって直線的に行うことができる。あるいは、裁断線が曲線を描くように裁断を行うことができる。いずれの場合であっても、裁断によってトリムが発生しないような裁断パターンを採用することが好ましいが、楕円や流線形等の所望の形状に切り抜いてもよい。
【0054】
毎葉となった発熱体10はリピッチ部50において搬送方向の前後におけるピッチが変更され、前後隣り合う発熱体10間が所定の距離を置いて再配置される。このようなリピッチの機構としては従来公知のものを特に制限なく用いることができる。
【0055】
リピッチされた発熱体10は、被覆部60に搬送され、連続長尺物からなる第1の被覆シート4と、同じく連続長尺物からなる第2の被覆シート5によってその全体が被覆される。第1の被覆シート4は、発熱体10における発熱層の形成されている側を被覆し、第2の被覆シート5は、発熱体10における発熱層が形成されていない側を被覆する。この被覆状態を保ちつつ、発熱体10は、被覆部60の備える無端ベルト61により封止部70に導入される。封止部70は、周面にシール凸部72を有する第1のロール71と、同じく周面にシール凸部72を有する第2のロール73とを備えている。両ロール71,73は、その軸方向が平行になるように、かつ各ロール71,73のシールバー72,72が互いに当接するか、又は両者間に所定のクリアランスが生じるような位置関係で配置されている。封止部70においては、発熱体10の前後左右から延出している第1及び第2の被覆シート4,5の延出部が、ヒートシールによって接合される。この接合は、発熱体10を取り囲む連続した気密の接合であるか、又は発熱体10を取り囲む不連続の接合である。
【0056】
このようにして、複数の発熱具が一方向に連結された状態の連続長尺物が得られる。この連続長尺物を第2裁断部80において、その幅方向にわたって裁断する。第2裁断部80は、ロータリーダイカッター82とアンビルロール83とを備えている。連続長尺物が両部材間を通過することで裁断が行われ、それによって発熱具100が得られる。裁断においては、先に述べた第1裁断部40における発熱体10Aの裁断線が例えば直線状である場合には、本裁断部80における裁断線も直線とすることが好ましい。また、第1裁断部40における発熱体10Aの裁断線が曲線である場合には、本裁断部80における裁断線もそれに倣った曲線とすることが好ましい。
【0057】
図2には、本発明の発熱体の製造に好ましく用いられる装置の他の例が示されている。同図に示す装置は、リピッチ部50の配置位置が異なる点、及び電解質添加部30にサクションボックスが配置されていない点以外は、図1に示す装置と同様の構成を有している。すなわち、図1の装置は、電解質添加部30とリピッチ部50との間に第1裁断部40が配置されているのに対して、図2の装置は、塗工部20と電解質添加部30との間に第1裁断部40が配置されている。また、図2の装置においては、電解質添加部30には、基材シートの非塗工面側からの吸引を行うサクションボックス等の吸引手段が配置されていない。これら以外、図2の装置は、図1の装置と同様の構成を有している。
【0058】
図3に示す装置は、これまで説明してきた装置と異なり、電解質を散布した後に、塗料の塗工をするためのものである。同図に示す装置は、先に説明した装置において、塗料の塗工部20と電解質添加部30との配置位置を逆転させたものである。すなわち、図1に示す装置では、基材シート1の搬送方向における上流側に塗料の塗工部20が配置され、その下流に電解質添加部30が配置されているのに対して、図3に示す装置では、基材シート1の搬送方向における上流側に電解質添加部30が配置され、その下流に塗料の塗工部20が配置されている。本装置を用いると、まず基材シート1の一面に電解質3が固体状態で散布され、次いで塗料が塗工されて塗工層が形成される。そして、該塗工層中へ電解質3が溶解していき、発熱層が形成される。
【0059】
図4に示す装置では、塗料を塗工するためにダイコータ21と、電解質の散布装置31とが一体化している。したがって、基材シート1への塗料の塗工と、基材シート1への電解質3の散布とは同時に行われる。ここで言う「同時」とは完全に同時であることを要しない。塗料の塗工と電解質3の散布とが一つの装置で行われていれば、両操作が時間的に完全に同時に行われていない場合であっても、同時であるとみなす。
【0060】
図5に示す装置では、図1に示す装置とは異なり、塗工部20と第1裁断部40との間の位置において、電解質添加部30による電解質添加後に、発熱体10A上に、連続長尺物からなる第2の基材シート1’を供給し、発熱層に重ね合わせている。第2の基材シート1’は、基材シート1と同種又は異種のものである。この方法によれば、同一の又は異なる2枚の基材シートの間に発熱層が設けられた発熱体が容易に得られる。発熱体10A上への基材シート1’の供給は、図2ないし図4に示す装置において行ってもよい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0062】
〔実施例1〕
(1)塗料の調製
塗料として、被酸化性金属(鉄粉 平均粒径45μm)100部、反応促進剤(活性炭 平均粒径42μm)8部、増粘剤(グアガム)0.2部、界面活性剤(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)0.2部、水60部が配合されたものを用いた。塗料の調製は、鉄粉と活性炭を混合したのち、これに水、増粘剤及び界面活性剤を混合した液を加え、これらを均一に混合して行った。得られた塗料の粘度は6,500mPa・sであった。粘度の測定は、B型粘度計の4号ローターを使用し、23℃50%RHの環境で行った。
【0063】
(2)基材シートの準備
特開平8−246395号公報に記載の方法に従い基材シートを製造した。この基材シートは、ポリアクリル酸ナトリウム系の高吸収性ポリマーの粒子が、基材シートの厚み方向略中央域に主として存在しており、かつ基材シートの表面には該粒子が実質的に存在していない構造を有する1枚(ワンプライ)の繊維シートある。基材シートは、高吸収性ポリマーの粒子の存在部位を挟んで表裏に親水性の架橋嵩高セルロース繊維の層を有している。架橋嵩高セルロース繊維は、その繊維粗度が0.22mg/mであり、繊維長さの平均値は2.5mmであった。架橋嵩高セルロース繊維の層は、更に針葉樹晒クラフトパルプ、紙力増強剤(PVA)を含んでいる。また、高吸収性ポリマーは平均粒径340μmのものを使用した。架橋嵩高セルロース繊維の層の坪量は一方が30g/mであり、他方が20g/mであった。高吸収性ポリマーの粒子の坪量は30g/mであった。したがって、基材シート1の坪量は80g/mであった。
【0064】
(3)発熱体及び発熱具の製造
図5に示す装置を用いて発熱体及び発熱具を製造した。前記の塗料を、連続長尺物からなる基材シートの一方の面に連続塗工した。塗料の塗工坪量は2000g/mとした。塗工の際には、基材シートの他方の面側から吸引は行わなかった。次いで、基材シートの塗料が塗工された面(塗工面)に向かって、散布装置31から電解質としての塩化ナトリウムの粉末(平均粒径425μm)を散布した。この塩化ナトリウムの粉末としては、株式会社 日本海水 業務用塩 赤穂塩TF4を用いた。電解質を散布する際には、基材シートの非塗工面側からの吸引を行わなかった。また、電解質の散布坪量は15g/mとした。電解質の散布後、塗工面上に、基材シート1と同種の第2の基材シート1’を図5のように重ね合わせた。引き続き、両基材シート1,1’を幅方向にわたって裁断して発熱体10を得た。切断された発熱体10は、50mm×50mmの矩形のものであった。
【0065】
得られた発熱体10を、第1の被覆シート4と第2の被覆シート5によってその全体を被覆した。このとき、第1の被覆シート4によって、発熱体10における第2の基材シート1’の側を被覆し、第2の被覆シート5によって、発熱体10における基材シート1の側を被覆した。次いで、発熱体10の前後左右から延出している第1及び第2の被覆シート4,5の延出部を、ヒートシールによって接合した。この接合は、発熱体10を取り囲む連続した気密の接合とした。シール幅は5mmとした。
【0066】
第1の被覆シート4としては、坪量が50g/m、通気度が80,000s/(100ml・6.42cm)であるポリエチレンの多孔性シートを用いた。第2の被覆シート5としては、通気度が20,000s/(100ml・6.42cm)であるポリエチレンの多孔性シートを用いた。また、各被覆シート4,5は、65mm×65mmの矩形のものであった。
【0067】
前述の方法より各含水率を測定した結果、第1の被覆シート4による被覆前の発熱体10の含水率は32%であり、該発熱体10の発熱層の含水率は23%であった。
【0068】
〔参考例1〕
実施例1において、塩化ナトリウムの粉末を散布する代わりに、濃度5%の塩化ナトリウム水溶液を240g/mの坪量で滴下した。これ以外は実施例1と同様にして発熱体及び発熱具を得た。第1の被覆シートによる被覆前の発熱体の含水率は42%であり、該発熱体の発熱層の含水率は25%であった。
【0069】
〔評価〕
実施例1及び参考例1で得られた発熱具について、製造から24時間経過後に、JIS S4100 使い捨てカイロ温度特性測定用温熱装置に準拠した試験法で発熱温度の測定を行った。詳細には、発熱具を坪量100g/mのニードルパンチ不織布製の袋に挿入し、これを40℃の恒温槽の上に載置し、発熱温度を測定した。この袋は、ニードルパンチ不織布の三方をシールすることで袋状に形成したものである。温度計は発熱具1と恒温槽表面との間に配置した。発熱具は、発熱層が形成された側が上方(温度計とは逆の方向)を向くように載置した。その結果を図6に示す。同図に示す結果から明らかなように、実施例1で得られた発熱具は、参考例1で得られた発熱具に比べて、発熱の持続時間が長くなることが判る。
【符号の説明】
【0070】
1 基材シート
10 発熱体
20 塗工部
30 電解質添加部
40 第1裁断部
50 リピッチ部
60 被覆部
70 封止部
80 第2裁断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被酸化性金属の粒子、電解質及び水を含む発熱組成物の層が、基材シートに設けられてなる発熱体の製造方法であって、
前記基材シートの一面に、前記電解質を固体状態にて添加する工程と、前記電解質を含まず、かつ前記被酸化性金属の粒子及び水を含む塗料を塗工する工程とを、この順で行うか、若しくはこれと逆の順で行うか、又は両工程を同時に行う発熱体の製造方法。
【請求項2】
前記基材シートが吸水性を有するものである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記電解質を粉末の状態にて添加する請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記塗料を塗工する工程の後に前記電解質を添加する工程を行い前記発熱組成物を形成し、その後に前記基材シートと同一若しくは異なる第2の基材シートを該発熱組成物の層に重ねる工程を更に行うか、
前記電解質を添加する工程の後に前記塗料を塗工する工程を行い前記発熱組成物を形成し、その後に前記基材シートと同一若しくは異なる第2の基材シートを該発熱組成物の層に重ねる工程を更に行うか、又は
前記塗料を塗工する工程と前記電解質を添加する工程とを同時に行い前記発熱組成物を形成し、その後に前記基材シートと同一若しくは異なる第2の基材シートを該発熱組成物の層に重ねる工程を更に行う請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第2の基材シートは、高吸収性ポリマーの粒子を含む繊維シートである請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記基材シートは、高吸収性ポリマーの粒子を含む繊維シートである請求項1ないし5のいずれか一項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−358(P2013−358A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134651(P2011−134651)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】