説明

発熱体を備えたワイパーブレード及びその制御方法

【課題】発熱体を備えたワイパーブレードを車両の運転状態及び外気温などを勘案して自動的に発熱体に電力を供給することにより、発熱体を適宜制御することができてエネルギーを節約することができる発熱体を備えたワイパーブレード及びその制御方法を提供する。
【解決手段】ワイパーブレード内に内蔵された発熱体41を自動的にオンまたはオフさせることにより、外気温が低い冬期にもワイパーブレードの状態をガラスの表面を払拭するために最適な状態に維持する。発熱体が内蔵され、車両のワイパーアームに結合されて一緒に移動しながらガラス面を払拭するワイパーブレードの制御方法であって、車両のエンジン11の作動の有無を検出する段階と、車両の外部温度を検出する段階と、検出されたエンジンの作動に関する情報と外部温度に関する情報に基づいて発熱体に自動的に電力を供給する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のワイパー装置に取り付けられてガラス面を払拭するワイパーブレードに関し、より詳細にはワイパーブレードに内装された発熱体を自動的にオンまたはオフさせることにより、外気温が低い冬期にもワイパーブレードの状態をガラスの表面を払拭するために最適な状態に維持することができるようにした発熱体を備えたワイパーブレード及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、従来のワイパー装置は、自動車に内蔵されているモーター(図示せず)によって左右に回転運動するワイパーアーム9と、このワイパーアーム9に取り付けられ一緒に動くワイパーブレード1を含む。ワイパーブレード1は、ガラス面(図示せず)に密着して移動しながらガラス面を払拭するゴムストリップ2を備えている。
【0003】
ワイパーブレード1はワイパーアーム9に結合されてモーターの駆動によって所定角度で旋回する。このために従来のワイパーブレード1は、ワイパーアーム9と結合される第1リンク部材3と、この第1リンク部材3に結合されてワイパーアーム9の圧力を均一に伝達するための複数の第2リンク部材5と、この第2リンク部材5に結合されてゴムストリップ2を連結するための複数の第3リンク部材7を含む。
【0004】
ここで、ゴムストリップ2に隣接する第2リンク部材5及び第3リンク部材7の末端には、ゴムストリップ2に形成されたレール溝にはめ込まれることでゴムストリップ2を結合させるためのクリップ5a、7aが夫々形成されている。
【0005】
このような従来技術によるワイパーブレード1は、複数のリンク部材3、5、7が互いに一定角度旋回可能に結合されることにより車両のガラス面に沿ってゴムストリップ2が柔軟に湾曲されることができるようにしている。
【0006】
しかしながら、気温が低い冬期にはワイパーブレードのゴムストリップ2が収縮して硬く固まるようになる。このようにゴムストリップ2の柔軟性がないと、ゴムストリップ2が車両のガラス面に完璧に密着することができず、特にゴムストリップ2の両端の部分が浮き上がってガラス面との接触面積が小さくなるなどの問題点があった。
【0007】
このような問題点を解決するために、ワイパーブレード内に発熱体を内蔵して外気温が低い冬期にもワイパーブレードの状態をガラスの表面を払拭するために最適な状態に維持することができるようにしたワイパーブレードが開発された(例えば特許文献1参照)。
【0008】
しかし、このような従来の発熱体を備えたワイパーブレードは、ワイパーブレードの発熱が必要な場合を運転者が判断して、発熱体に連結された電源連結部を運転席のシガージャックに挿入することによって発熱体に電力を供給するので、発熱体の適切な制御が不可能であり、必要以上に長時間発熱体に電力を供給するなど浪費の恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−96449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためのものであり、車両の運転状態及び外気温などを勘案して自動的に発熱体に電力を供給することにより、発熱体を適宜制御することができ、エネルギーを節約することができる発熱体を備えたワイパーブレード及びその制御方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を果たすために、本発明によれば、発熱体が内装され、車両のワイパーアームに結合されてこのワイパーアームと一緒に移動しながらガラス面を払拭するワイパーブレードの制御方法であって、前記車両のエンジンの作動の有無を検出する段階と、前記車両の外部温度を検出する段階と、検出されたエンジンの作動に関する情報と外部温度に関する情報に基づいて、前記発熱体に自動的に電力を供給する段階と、を含むことを特徴とする発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法が提供される。
【0012】
前記エンジンの作動の有無は、前記エンジンとともにエンジンルーム内部に取り付けられているバッテリーの電圧変動によって検出されることが好ましい。
【0013】
前記バッテリーの電圧変動は電圧検知センサーで検知され、制御部内の外部入力ポートを介してマイコンに伝達されることが好ましい。
【0014】
前記車両の外部温度は温度センサーによって検出され、検出された外部温度に関する情報は、制御部内の外部入力ポートを介してマイコンに伝達されることが好ましい。
【0015】
前記エンジンの作動に関する情報と外部温度に関する情報とは制御部内のマイコンに伝達され、前記マイコンはこれら作動に関する情報と外部温度に関する情報とに基づいてスイッチをオンするか否かを決定することが好ましい。
【0016】
前記発熱体の作動は、作動の後一定時間が経過したとき又は前記エンジンの作動が止まったときを検知して自動的にスイッチをオフすることによって終了することが好ましい。
【0017】
前記発熱体の作動状態は前記ワイパーブレードの外部に認識可能に設けられた表示装置によって表示されることが好ましい。
【0018】
本発明の他の側面によれば、ガラス面に接触してこのガラス面を払拭するゴムストリップと、前記ゴムストリップが結合されるフレームと、前記フレームに結合されて車両のワイパーアームに連結されるアダプタとを備え、車両のワイパーアームと一緒に移動しながらガラス面を払拭するワイパーブレードであって、前記ワイパーブレードに内蔵され、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の制御方法によって発熱が制御される発熱体を備えることを特徴とするワイパーブレードが提供される。
【0019】
前記発熱体は前記車両のエンジンルームに設けられたバッテリーから電力が供給されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
上述のような本発明によれば、車両の運転状態及び外気温などを勘案して自動的に発熱体に電力を供給することができる発熱体を備えたワイパーブレード及びその制御方法が提供される。
本発明による発熱体を備えたワイパーブレード及びその制御方法によれば、発熱体を必要に応じて自動的に適宜制御することができ、エネルギーを節約することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来技術によるワイパーブレードの正面図である。
【図2】本発明による発熱体を備えたワイパーブレードの概念図である。
【図3】本発明による発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して詳しく説明する。
【0023】
図2に示すように、本発明の好ましい実施形態による発熱体を備えたワイパーブレード50は、ガラス面に接触して移動しながらガラス面を払拭するゴム材質のストリップ51と、このゴムストリップ51が結合されるフレーム(図示せず)と、このフレームの中央に設けられ、ワイパーブレード50がワイパーアーム(図示せず)に連結されるようにするアダプタ55を含む。
【0024】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、ワイパーブレード50のフレーム上にはアダプタ55を中心として左右側にそれぞれスポイラー53が結合され、これにより車両の走行中にワイパーブレードがガラス面から浮き上がる現象を防止することができる。
【0025】
上述のようにワイパーブレード50の形態を説明したが、本発明による制御方法はワイパーブレードの種類によって限定されるものではなく、図1に示すような従来技術のワイパーブレードに適用されることができることはいうまでもない。
【0026】
ゴムストリップ51としては図1に示す従来のゴムストリップ2と類似のものを用いることができる。フレームはゴムストリップ51が車両のガラス面に密着されるように一定の弾性力でゴムストリップ51をガラス面に対して加圧する。このために上記フレームは、湾曲した長い金属板の形状を有する。
【0027】
左右側のスポイラー53はゴムや軟性プラスチックの素材で製造されることができて、傾斜面を有しているので自動車が高速で走行してもワイパーブレード50がガラス面から浮き上がることを防止する。
【0028】
ワイパーブレード50のアダプタ55は、上述のように、ワイパーブレード50を車両のワイパーアームと連結させるためにフレームの長さ方向の略中央に設けられる。アダプタ55と連結されるワイパーアームとしては、ホックタイプやサイドピンタイプなどの様々な種類のものがあり、アダプタ55は必要に応じていずれか特定タイプのワイパーアームまたは様々なタイプのワイパーアームに結合されるように形成することができる。
【0029】
ワイパーブレード50を加熱するための発熱体は、上記湾曲した金属板の形状を有するフレームに取り付けられ、約30度乃至40度の温度範囲で用いられることができるフィルム状の発熱体、例えばフィルムヒーターであることが好ましい。
【0030】
発熱体を備えたワイパーブレード50は、コントローラー(制御部)30を介して車両のバッテリー13に電気的に接続でき、必要時に車両のバッテリー13以外にも専用のバッテリーなどの電源供給装置から電力供給を受けるように変形することもできる。
【0031】
一方、ワイパーブレード50の外部、例えばスポイラー53の末端外側やアダプタ55などにLED43(図3参照)のような表示手段を設けることで、発熱体に対する電源供給の有無を認識することができる。
【0032】
また、本発明によれば、コントローラー30には手動スイッチが備えられ、必要時に発熱体が運転者によって手動スイッチをオンまたはオフすることができる。
【0033】
以下、図3を参照して本発明による発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法を説明する。本発明によれば、ワイパーブレード内に設けられた発熱体は、エンジンの作動の有無と外気温を考慮して自動的にオンまたはオフされるように構成される。
【0034】
運転者がエンジン11を始動すると、エンジン11とともにエンジンルーム10の内部に取り付けられているバッテリー13の電圧が瞬間的に通常より1V乃至4V程度上昇する。すなわち、車両ごとに差異はあるが、通常12V程度に維持されていたバッテリー13の電圧がエンジン始動時に上昇する現象が発生する。
【0035】
このような電圧上昇現象を電圧検知センサー23で検知すると、この電圧情報が制御部(コントローラー)30内の外部入力ポート31を介してマイコン33に伝達される。
【0036】
一方、車両の適宜位置に設けられた温度センサー25によって検出された車両外部(車両周辺)の温度情報(外部温度に関する情報)は、電圧情報(エンジンの作動に関する情報)と同じく、制御部(コントローラー)30内の外部入力ポート31を介してマイコン33に伝達される。
【0037】
マイコン33ではこれら温度情報と電圧情報を基に一定の条件、例えばエンジンが作動中でありながら温度が0℃以下であるなどの条件であることを判別して、この条件が満たされるとスイッチ35をオンさせることでヒーター(発熱体)41を作動させる。
【0038】
ヒーター(発熱体)41の作動をオフさせる(切る)ことは、作動の後一定時間が経過したときを検知して自動的にスイッチをオフさせたり、エンジンの作動が止まったときを検知して自動的にスイッチをオフさせるなどの方法を用いることができる。
【0039】
上記のようにワイパーブレード50の外部に認識可能な表示装置、例えばLED43が設けられている場合、ヒーター41のオンまたはオフによってLED43が作動する。
【0040】
以上のように本発明による発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法を例示された図面を参照して説明したが、本発明は上記で説明された実施形態と図面によって限定されるものではなく、特許請求範囲内で本発明が属する技術分野にて通常の知識を有する者によって様々な修正及び変更が可能であるということはいうまでもない。
【符号の説明】
【0041】
10 エンジンルーム
11 エンジン
13 バッテリー
23 電圧検知センサー
25 温度センサー
30 制御部
31 外部入力ポート
33 マイコン
35 スイッチ
41 ヒーター
43 LED
50 ワイパーブレード
51 ゴムストリップ
53 スポイラー
55 アダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体が内蔵され、車両のワイパーアームに結合されてこのワイパーアームと一緒に移動しながらガラス面を払拭するワイパーブレードの制御方法であって、
前記車両のエンジンの作動の有無を検出する段階と、
前記車両の外部温度を検出する段階と、
検出されたエンジンの作動に関する情報と外部温度に関する情報に基づいて、前記発熱体に自動的に電力を供給する段階と、を含むことを特徴とする発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法。
【請求項2】
前記エンジンの作動の有無は、前記エンジンとともにエンジンルームの内部に取り付けられているバッテリーの電圧変動によって検出されることを特徴とする請求項1に記載の発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法。
【請求項3】
前記バッテリーの電圧変動は電圧検知センサーで検知され、制御部内の外部入力ポートを介してマイコンに伝達されることを特徴とする請求項2に記載の発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法。
【請求項4】
前記車両の外部温度は温度センサーによって検出され、検出された外部温度に関する情報は制御部内の外部入力ポートを介してマイコンに伝達されることを特徴とする請求項1に記載の発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法。
【請求項5】
前記エンジンの作動に関する情報と外部温度に関する情報とは制御部内のマイコンに伝達され、前記マイコンはこれら作動に関する情報と外部温度に関する情報とに基づいてスイッチをオンするか否かを決定することを特徴とする請求項1に記載の発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法。
【請求項6】
前記発熱体の作動は、作動の後一定時間が経過したとき又は前記エンジンの作動が止まったときを検知して自動的にスイッチをオフすることによって終了することを特徴とする請求項1に記載の発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法。
【請求項7】
前記ワイパーブレードの外部に認識可能に設けられた表示装置によって前記発熱体の作動状態を表示することを特徴とする請求項1に記載の発熱体を備えたワイパーブレードの制御方法。
【請求項8】
ガラス面に接触してこのガラス面を払拭するゴムストリップと、前記ゴムストリップが結合されるフレームと、前記フレームに結合され、車両のワイパーアームに連結されるアダプタとを備え、車両のワイパーアームと一緒に移動しながらガラス面を払拭するワイパーブレードであって、
前記ワイパーブレードに内蔵され、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の制御方法によって発熱が制御される発熱体を備えることを特徴とするワイパーブレード。
【請求項9】
前記発熱体は前記車両のエンジンルーム内に設けられたバッテリーから電力が供給されることを特徴とする請求項8に記載のワイパーブレード。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−219075(P2011−219075A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158104(P2010−158104)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(506381326)エイディエム21 カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】