説明

発熱体収納箱冷却装置

【課題】自然通風によって発熱体収納箱内が過度に冷やされて、その動作が不安定になるという課題がある。
【解決手段】仕切り板9の上側に2枚の凝縮器50を設け、仕切り板9の下側に2枚の蒸発器60を設け、凝縮器50の通風方向は、蒸発器60の通風方向に対しほぼ直角になるよう配置し、さらに、凝縮器50と蒸発器60を接続する第1冷媒液管26と第2冷媒液管27とがほぼ同じ配管長に、第1冷媒蒸気管24と第2冷媒蒸気管25とがほぼ同じ配管長になるように設け、仕切り板9を発熱体収納箱2の天面の一部あるいは全部となるように取り付け、凝縮器50の通風方向に対し、平行な、対向する2つの側面に外気連通口51を設けて、自然通風によって発熱体収納箱2内が過度に冷やされない発熱体収納箱冷却装置1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温媒体の熱で冷媒を沸騰蒸発させ、その後、凝縮液化させることで、高温媒体の熱を放熱させる発熱体収納箱冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の発熱体収納箱冷却装置は、携帯電話の基地局のような内部に発熱を伴う電子部品等を備える密閉された発熱体収納箱内の冷却に用いられる。
【0003】
近年、電子部品の高性能化と制御基板に対する電子部品の高密度化が進み、制御基板からの発熱量は飛躍的に増加しているとともに、電子部品等の発熱体収納箱の小型化も進み、冷却機器の高性能化および小型化と、電子部品等の発熱体収納箱の側面または天面のいずれにも設置できるレイアウトの自由度の向上が求められている。このため、構成部品が少なく、熱移動量が大きい冷却方式として、ヒートパイプを用いた冷却方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながらヒートパイプは、沸騰蒸発して上昇する冷媒蒸気と凝縮液化されて降下する冷媒液が同じ管内を移動するため、互いに対抗しあって冷媒循環の効率が悪くなり熱交換効率が悪いという問題がある。そこで、冷媒が沸騰蒸発する蒸発器と冷媒が凝縮液化する凝縮器とを分けて、蒸発器にて沸騰蒸発した冷媒が凝縮器へと移動するために蒸発器と凝縮器を連通させる冷媒蒸気管と、凝縮器にて凝縮液化した冷媒が蒸発器へと移動するために凝縮器と蒸発器を連通させる冷媒液管により冷媒回路を形成して冷媒を循環させることで効率良く放熱させることができる沸騰冷却装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【0005】
以下、従来の沸騰冷却装置について、図13を参照しながら説明する。
【0006】
図13に示すように、沸騰冷却装置101は、高温空気102が通風する高温部分103が下部になるように、また、低温空気104が通風する低温部分105が上部になるように仕切板106により仕切られた本体箱107内に設けられる。高温部分103には、内部には冷媒108が封入された蒸発器109が配置されている。蒸発器109は、高温空気102から受熱し、内部で冷媒108が沸騰蒸発する。低温部分105には、蒸発器109と連通した凝縮器110が配置されている。凝縮器110では、蒸発器109で沸騰蒸発した冷媒108が低温空気104へと放熱を行い凝縮液化する。蒸発器109と凝縮器110は、仕切板106を貫通した冷媒蒸気管111および冷媒液管112で連通している。また、高温部分103に高温空気102を送風する室内側送風機113と、低温部分105に低温空気104を送風する室外側送風機114を備えている。このような構成によれば、蒸発器109において沸騰蒸発した冷媒108が密度差により蒸発器109から凝縮器110へと冷媒蒸気管111を流通して移動し、凝縮器110において凝縮液化した冷媒108が密度差により凝縮器110から蒸発器109へと冷媒液管112を流通して移動する。このようにして、冷媒108が自然に循環し、高温空気102の熱を低温空気104へと放熱させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−113498号公報
【特許文献2】特開平9−326582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の発熱体収納箱冷却装置では、凝縮器および蒸発器の能力を効率よく発揮させるために、凝縮器および蒸発器の全面に冷媒が均等に循環するように蒸気管と液管の接続位置を対角の位置に備えていた。しかし、蒸発器上部のヘッダーの蒸気管が接続されている箇所から反対方向の蒸気管が接続されていない角部にむけて、距離が離れていくほど循環抵抗が増加し冷媒循環効率が悪化することで、熱交換効率が低下するという課題があった。
【0009】
さらに、省スペースのため、発熱体収納箱の天面に発熱体収納箱冷却装置を設置することが考えられてきた。この場合、自然通風によっても凝縮器に外気が通過することになるため、発熱体収納箱内が比較的低温であっても冷却されることになる。このような場合、逆に発熱体(携帯電話の基地局においては、通信機)が過度に冷やされて、その動作が不安定になるという課題がある。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するものであり、自然通風の影響を抑えながら、各冷媒サイクル内を効率よく冷媒が循環するようにして能力を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、この目的を達成するために本発明は、
仕切り板の上側に2枚の板状の凝縮器(第1凝縮器、第2凝縮器)を設け、
前記仕切り板の下側に2枚の板状の蒸発器(第1蒸発器、第2蒸発器)を設け、
前記第1凝縮器と前記第1蒸発器は、第1冷媒液管と第1冷媒蒸気管とで接続して第1冷媒サイクルを構成し、
前記第2凝縮器と前記第2蒸発器は、第2冷媒液管と第2冷媒蒸気管とで接続して第2冷媒サイクルを構成し、
前記第1凝縮器と前記第2凝縮器、および前記第1蒸発器と前記第2蒸発器は、それぞれの通風面が通風方向に前後に並ぶように配置し、
前記第1凝縮器と前記第2凝縮器の通風方向は、前記第1蒸発器と前記第2蒸発器の通風方向に対しほぼ直角になるよう配置し、
さらに、前記第1冷媒液管と前記第2冷媒液管とがほぼ同じ配管長になるように、
前記第1冷媒液管は、前記第1凝縮器下辺に設けた液ヘッダーの一方の端部に接続し、
前記第2冷媒液管は、前記第2凝縮器下辺に設けた液ヘッダーの、前記第1冷媒液管の接続口とは反対の端部に接続し、
前記第1冷媒液管は、前記第1蒸発器上辺に設けた液ヘッダーの一方の端部に接続し、
前記第2冷媒液管は、前記第2蒸発器上辺に設けた液ヘッダーの、前記第1冷媒液管の接続口とは反対の端部に接続し、
そして、前記第1冷媒蒸気管と前記第2冷媒蒸気管とがほぼ同じ配管長になるように、
前記第1冷媒蒸気管は、前記第1凝縮器上辺に設けた蒸気ヘッダーの一方の端部に接続し、
前記第2冷媒蒸気管は、前記第2凝縮器上辺に設けた蒸気ヘッダーの、前記第1冷媒蒸気管の接続口とは反対の端部に接続し、
前記第1冷媒蒸気管は、前記第1蒸発器下辺に設けた液ヘッダーの一方の端部に接続し、
前記第2冷媒蒸気管は、前記第2蒸発器下辺に設けた液ヘッダーの、前記第1冷媒蒸気管の接続口とは反対の端部に接続し、
前記仕切り板を発熱体収納箱の天面の一部あるいは全部となるように取り付け、
前記第1凝縮器および前記第2凝縮器の通風方向に対し、平行な、対向する2つの側面に外気連通口を設けた発熱体収納箱冷却装置である。これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、凝縮器と蒸発機が直角配置であっても第1冷媒サイクルと第2冷媒サイクルの冷媒液管および蒸気管の長さの差異を低減することで、片側サイクルの極端な能力低下がなく装置全体としての能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の発熱体収納箱冷却装置の概略図(a)平面断面図、(b)側面図
【図2】同発熱体収納箱冷却装置前面斜視図
【図3】同発熱体収納箱冷却装置背面斜視図
【図4】同液管仕切り穴貫通位置部説明図
【図5】同蒸気管仕切り穴貫通部位置説明図
【図6】同冷媒液管勾配説明図
【図7】同冷媒蒸気管勾配説明図
【図8】本発明の第2の実施の形態の保護カバー追加説明図
【図9】同保護カバーと凝縮器の接触説明図
【図10】本発明の第3の実施の形態の保護カバー側面パンチング説明図
【図11】本発明の第4の実施の形態の中央仕切り板説明図
【図12】同中央仕切り板と仕切り板の接触説明図
【図13】従来の発熱体収納箱冷却装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の発熱体収納箱冷却装置は、
仕切り板の上側に2枚の板状の凝縮器(第1凝縮器、第2凝縮器)を設け、前記仕切り板の下側に2枚の板状の蒸発器(第1蒸発器、第2蒸発器)を設け、前記第1凝縮器と前記第1蒸発器は、第1冷媒液管と第1冷媒蒸気管とで接続して第1冷媒サイクルを構成し、前記第2凝縮器と前記第2蒸発器は、第2冷媒液管と第2冷媒蒸気管とで接続して第2冷媒サイクルを構成し、前記第1凝縮器と前記第2凝縮器、および前記第1蒸発器と前記第2蒸発器は、それぞれの通風面が通風方向に前後に並ぶように配置し、前記第1凝縮器と前記第2凝縮器の通風方向は、前記第1蒸発器と前記第2蒸発器の通風方向に対しほぼ直角になるよう配置し、さらに、前記第1冷媒液管と前記第2冷媒液管とがほぼ同じ配管長になるように、前記第1冷媒液管は、前記第1凝縮器下辺に設けた液ヘッダーの一方の端部に接続し、前記第2冷媒液管は、前記第2凝縮器下辺に設けた液ヘッダーの、前記第1冷媒液管の接続口とは反対の端部に接続し、前記第1冷媒液管は、前記第1蒸発器上辺に設けた液ヘッダーの一方の端部に接続し、前記第2冷媒液管は、前記第2蒸発器上辺に設けた液ヘッダーの、前記第1冷媒液管の接続口とは反対の端部に接続し、そして、前記第1冷媒蒸気管と前記第2冷媒蒸気管とがほぼ同じ配管長になるように、前記第1冷媒蒸気管は、前記第1凝縮器上辺に設けた蒸気ヘッダーの一方の端部に接続し、前記第2冷媒蒸気管は、前記第2凝縮器上辺に設けた蒸気ヘッダーの、前記第1冷媒蒸気管の接続口とは反対の端部に接続し、前記第1冷媒蒸気管は、前記第1蒸発器下辺に設けた液ヘッダーの一方の端部に接続し、前記第2冷媒蒸気管は、前記第2蒸発器下辺に設けた液ヘッダーの、前記第1冷媒蒸気管の接続口とは反対の端部に接続し、前記仕切り板を発熱体収納箱の天面の一部あるいは全部となるように取り付け、前記第1凝縮器および前記第2凝縮器の通風方向に対し、平行な、対向する2つの側面に外気連通口を設けたものであるため、前記第1冷媒液管と前記第2冷媒液管の長さおよび前記第1冷媒蒸気管と前記第2冷媒蒸気管の長さの差異を小さくすることで、片側サイクルの極端な能力低下がなく装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0015】
また、前記第1冷媒液管の仕切り板貫通穴を凝縮器の下辺部に対し上辺部の反対方向に設け、前記第1冷媒蒸気管の仕切り板貫通穴を凝縮器の下辺部に対し上辺部方向に設けたものであり、前記第1冷媒液管と前記第1冷媒蒸気管の鋭角曲げを緩和することで装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0016】
また、前記第1冷媒液管と第2冷媒液管の配管勾配を冷媒流路下流側が下方向となるような配管勾配とすることで装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0017】
また、前記第1冷媒蒸気管と第2冷媒蒸気管の配管勾配を冷媒流路下流側が上方向となるような配管勾配とすることで装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0018】
また、前記凝縮器を覆うように前記仕切り板に取り付けられた保護カバーを設けることで、保護カバーによるヒートシンク効果で装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0019】
また、前記保護カバーと前記凝縮器を接触させることで保護カバーのヒートシンク効果を向上させ装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0020】
また、前記保護カバーの通風方向風下側出口部にパンチング状の面を設けることで、整流効果により風速が均一化され装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0021】
また、前記凝縮器の通風方向風下側の中央に、風の流れを左右に分ける中央仕切り板を設けることで、凝縮器への通風が均一化され装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0022】
また、前記中央仕切り板が前記仕切り板と接触することで中央仕切り板のヒートシンク効果で装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1に本実施の形態1の発熱体収納箱冷却装置1の側面図を示す。
【0025】
図1に示すように、発熱体収納箱冷却装置1は例えば携帯基地局のような内部に発熱を伴う電子部品等を備える密閉された発熱体収納箱2の天面に設置される。この発熱体収納箱2は、本体箱10を上下に二分していて、その下方は発熱する電子部品などを備えた機能動作部収納室となっている。また、その上方部は、外気と連通する冷却部収納質となっている。機能動作部収納室には、第一の送風ファンとして内気送風機3が備えられ、冷却部収納室には、第二の送風ファンとして外気送風機4が備えられている。そして、電子部品等で暖められた機能動作部収納室内の高温空気5は、内気送風機3の運転により、蒸発器60を通過する。また、低温空気6は、外気送風機4の運転により凝縮器50を通過する。
【0026】
図1、図2および図3に示すように、発熱体収納箱冷却装置1は、高温空気5が通風する高温部分7が下部に、低温空気6が通風する低温部分8が上部になるように仕切り板9により仕切られた本体箱10の天面部分に配置される。仕切り板9は、本体箱10の天面の一部、あるいは全部となっている。凝縮器50は、第1凝縮器20と第2凝縮器23とで構成されている。同様に蒸発器60は、第1蒸発器14と第2蒸発器17とで構成されている。第1蒸発器14は、高温部分7に配置され、上側に第1蒸発器蒸気ヘッダー11および下側に第1蒸発器液ヘッダー12を備えている。この第1蒸発器14は、通風方向に対して後傾(または前傾)して配置され、内部には冷媒13(例えばR134a)が封入されて、高温空気5から受熱し沸騰蒸発する。同様に、第2蒸発器17は、高温部分7に配置され、上側に第2蒸発器蒸気ヘッダー15および下側に第2蒸発器液ヘッダー16を備えている。この第2蒸発器17も、第1蒸発器14と同じ方向に傾斜して第1蒸発器14の上側に配置され、内部には冷媒13(例えばR134a)が封入されて、高温空気5から受熱し沸騰蒸発する。
【0027】
第1凝縮器20は、低温部分8に配置され、上側に第1凝縮器蒸気ヘッダー18および下側に第1凝縮器液ヘッダー19を備えている。この第1凝縮器20は、第1蒸発器14と連通し、第1蒸発器14と直角方向に傾斜して配置し、沸騰蒸発した冷媒13の蒸気が低温空気6へ放熱を行い凝縮液化させるものである。同様に、第2凝縮器23は、低温部分8に配置され、上側に第2凝縮器蒸気ヘッダー21および下側に第2凝縮器液ヘッダー22を備えている。この第2凝縮器23は、第2蒸発器17と連通し、第1凝縮器20の上側に第2蒸発器17と直角方向に傾斜して配置し、沸騰蒸発した冷媒13の蒸気が低温空気6へ放熱を行い凝縮液化させるものである。
【0028】
第1冷媒蒸気管24は、仕切り板9を貫通し第1蒸発器蒸気ヘッダー11と第1凝縮器蒸気ヘッダー18とを連通している。これらの接続口(第1蒸気接続口A24a、第1蒸気接続口B24b)は、第1蒸発器蒸気ヘッダー11、第1凝縮器蒸気ヘッダー18のそれぞれ一方の端部に設けてある。同様に、第2冷媒蒸気管25は、仕切り板9を貫通し第2蒸発器蒸気ヘッダー15と第2凝縮器蒸気ヘッダー21とを連通している。第2蒸発器蒸気ヘッダー15には、第1蒸気接続口A24aとは反対側の端部に第2蒸気接続口A25aが設けられている。第2凝縮器蒸気ヘッダー21には、第1蒸気接続口B24bとは反対側の端部に第2蒸気接続口B25bが設けられている。そして、第2冷媒蒸気管25は、第2蒸気接続口A25aと第2蒸気接続口B25bとを接続している。さらに、第1冷媒蒸気管24と第2冷媒蒸気管25とは、ほぼ同じ長さになるように配管が施されている。
【0029】
第1冷媒液管26は、仕切り板9を貫通し第1蒸発器液ヘッダー12と第1凝縮器液ヘッダー19とを連通している。これらの接続口(第1液接続口A26a、第1液接続口B26b)は、第1蒸発器液ヘッダー12、第1凝縮器液ヘッダー19のそれぞれ一方の端部に設けてある。同様に、第2冷媒液管27は、仕切り板9を貫通し第2蒸発器液ヘッダー16と第2凝縮器液ヘッダー22とを連通している。第2蒸発器液ヘッダー16には、第1液接続口A26aとは反対側の端部に第2液接続口A27aが設けられている。第2凝縮器液ヘッダー22には、第1液接続口B26bとは反対側の端部に第2液接続口B27bが設けられている。そして、第2冷媒液管27は、第2液接続口A27aと第2液接続口B27bとを接続している。さらに、第1冷媒液管26と第2冷媒液管27とは、ほぼ同じ長さになるように配管が施されている。
【0030】
発熱体収納箱冷却装置1は、第1蒸発器14と第1凝縮器20にて形成される第1冷媒サイクル28と、第2蒸発器17と第2凝縮器23にて形成される第2冷媒サイクル29とで構成されているのである。
【0031】
このような構成によれば、第1冷媒液管26と第2冷媒液管27および第1冷媒蒸気管24と第2冷媒蒸気管25の長さがほぼ等しくなり、片側サイクルの極端な能力低下がなく装置全体としての能力を向上させ、さらに両サイクルともに同量の冷媒量とすることができるため、製造効率も良い発熱体収容箱冷却装置を得ることができる。
【0032】
そして、本体箱10には、凝縮器50の通風方向に対し、平行な、対向する2つの側面に外気との連通口(外気連通口51a、51b)が設けられている。その他の面は閉鎖されている。さらに、凝縮器50の通風面に向けて送風するよう、外気送風機4が設けられている。外気送風機4の設置位置としては、凝縮器50の通風面の前、あるいは後ろに設けることによって、凝縮器50に通風することが可能になる。また、発熱体収納箱2内には、内気送風機3が設けられている。
【0033】
このような構成により、その運転動作について説明する。
【0034】
発熱体収納箱2内の発熱体から発生する熱は、発熱体収納箱2内の空気(以下、内気)を暖めることになる。この高温の内気は、内気送風機3の運転によって発熱体収納箱2内を循環する。そのとき、蒸発器60を通過するようになっている。一方、外気送風機4の運転によって、低温の外気が凝縮器50を通過することになる。前述したように、凝縮器50内の気体状態の冷媒は、外気の通風によって冷やされ、凝縮(液化)することになる。液化した冷媒は、凝縮器50の下側へ流れ、冷媒液管(第1冷媒液管26、第2冷媒液管27)を通過して蒸発器60内へと流れる。蒸発器60内の液体状態の冷媒は、内気の通風によって暖められて蒸発する。そのときに熱を奪って内気を冷却することになる。蒸発した冷媒は、蒸気管(第1冷媒蒸気管24、第2冷媒蒸気管25)を通過して再び凝縮器50内へと流れていくのである。
【0035】
ここで、本体箱10に設けた外気連通口51a、51bは、凝縮器50の通風面の正面ではなく、通風方向に平行となる側面に設けられている。すなわち、外気の自然風によって、本体箱10内を通過する空気は、凝縮器50の通風路内を通過せず、凝縮器50の表面を接するようにして流れることになる。従って、外気送風機4が停止している間は、凝縮器50においては、熱交換があまり行われず、発熱体収納箱冷却装置1は、過度の冷却が行われないことになる。このように、発熱体収納箱2内の温度が比較的低温である場合には、外気送風機4を停止することによって、発熱体収納箱冷却装置1の冷却能力を制御し、発熱体収納箱2内が冷やしすぎにならないようにすることができる。
【0036】
なお、図4に示すように、第1冷媒液管26の仕切り板貫通穴30は、凝縮器50の下辺部31に対し上辺部32の反対側に設けるとよい。また、図5に示すように、第1冷媒蒸気管24の仕切り板貫通穴33は、凝縮器50の下辺部に対し上辺部と同じ側に設けるとよい。このような構成によれば、第1冷媒液管26と第1冷媒蒸気管24の曲げ回数を緩和することができ、また、第1冷媒液管26および第1冷媒蒸気管24が凝縮器50と仕切り板9の間の狭い空間を通らないため、上方向への勾配をとり易くなり、発熱体収納箱冷却装置1全体としての能力を向上させることができる。
【0037】
また、第1冷媒液管26と第2冷媒液管27の配管勾配は、冷媒流路下流側が下方向となるような配管勾配とするとよい。同様に、第1冷媒蒸気管24と第2冷媒蒸気管25の配管勾配は、冷媒流路下流側が上方向となるような配管勾配とするとよい。
【0038】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態は、実施の形態1と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0039】
図8に示すように、第2の実施の形態の発熱体収納箱冷却装置1は、凝縮器50を覆うように仕切り板9に取り付けられた保護カバー34を設けている。この保護カバー34は、風路の仕切りを兼ねている。この保護カバー34には、凝縮器50の通風面と対向する面に通風用の開口が設けられている。外気は、保護カバー34の外側を通過して、この開口から発熱体収納箱冷却装置1内に入るようになっている。
【0040】
また、図9に示すように、保護カバー34は、凝縮器50の表面にネジ止め等で接触させて固定してある。このような構成によれば、凝縮器50が持つ熱は、保護カバー34に伝わり、保護カバー34の表面から放熱されるヒートシンク効果によって、装置全体としての能力を向上させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0041】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0042】
図10に示すように、本実施の形態では、保護カバー34の通風方向風下側出口部にパンチング状の整流面35を設けている。この整流面35は、その整流効果により、凝縮器50の通風面全体に均一に風を通すことになる。従って凝縮器50の能力を効率よく引き出すことになり、高効率の発熱体収納箱冷却装置1を得ることができる。
【0043】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態は、実施の形態1と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
図11、図12に本実施の形態4の発熱体収納箱冷却装置の概略図を示す。
【0045】
図11、図12に示すように、本実施の形態では、凝縮器50の通風方向風下側の中央に、凝縮器50の通風方向に沿って風の流れを左右に分ける中央仕切り板36を設けている。図11に示すように、凝縮器50を通過した空気は、保護カバー34の対向した側面に設けられた出口部から吹き出すようになっている。中央仕切り板36は、2つの出口部へ均等に風を送るように、凝縮器50通過後の空気を略二等分しているのである。この作用により、凝縮器50を通過する空気が均一化されて、凝縮器50の能力を効率よく引き出すことになり、高効率の発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0046】
また、中央仕切り板36を仕切り板9と接触させることにより、中央仕切り板36のヒートシンク効果で、より効率よく放熱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の発熱体収納箱冷却装置は、蒸発器と凝縮器への通風方向が直角となる配置であっても簡単な構成で効率よく熱交換能力を発揮する発熱体収納箱冷却装置として有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 発熱体収納箱冷却装置
2 発熱体収納箱
3 内気送風機
4 外気送風機
5 高温空気
6 低温空気
7 高温部分
8 低温部分
9 仕切り板
10 本体箱
11 第1蒸発器蒸気ヘッダー
12 第1蒸発器液ヘッダー
13 冷媒
14 第1蒸発器
15 第2蒸発器蒸気ヘッダー
16 第2蒸発器液ヘッダー
17 第2蒸発器
18 第1凝縮器蒸気ヘッダー
19 第1凝縮器液ヘッダー
20 第1凝縮器
21 第2凝縮器蒸気ヘッダー
22 第2凝縮器液ヘッダー
23 第2凝縮器
24 第1冷媒蒸気管
24a 第1蒸気接続口A
24b 第1蒸気接続口B
25 第2冷媒蒸気管
25a 第2蒸気接続口A
25b 第2蒸気接続口B
26 第1冷媒液管
26a 第1液接続口A
26b 第1液接続口B
27 第2冷媒液管
27a 第2液接続口A
27b 第2液接続口B
28 第1冷媒サイクル
29 第2冷媒サイクル
30 仕切り板貫通穴
31 下辺部
32 上辺部
33 仕切り板貫通穴
34 保護カバー
35 整流面
36 中央仕切り板
50 凝縮器
51 外気連通口
60 蒸発器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り板の上側に2枚の板状の凝縮器(第1凝縮器、第2凝縮器)を設け、
前記仕切り板の下側に2枚の板状の蒸発器(第1蒸発器、第2蒸発器)を設け、
前記第1凝縮器と前記第1蒸発器は、第1冷媒液管と第1冷媒蒸気管とで接続して第1冷媒サイクルを構成し、
前記第2凝縮器と前記第2蒸発器は、第2冷媒液管と第2冷媒蒸気管とで接続して第2冷媒サイクルを構成し、
前記第1凝縮器と前記第2凝縮器、および前記第1蒸発器と前記第2蒸発器は、それぞれの通風面が通風方向に前後に並ぶように配置し、
前記第1凝縮器と前記第2凝縮器の通風方向は、前記第1蒸発器と前記第2蒸発器の通風方向に対しほぼ直角になるよう配置し、
さらに、前記第1冷媒液管と前記第2冷媒液管とがほぼ同じ配管長になるように、
前記第1冷媒液管は、前記第1凝縮器下辺に設けた液ヘッダーの一方の端部に接続し、
前記第2冷媒液管は、前記第2凝縮器下辺に設けた液ヘッダーの、前記第1冷媒液管の接続口とは反対の端部に接続し、
前記第1冷媒液管は、前記第1蒸発器上辺に設けた液ヘッダーの一方の端部に接続し、
前記第2冷媒液管は、前記第2蒸発器上辺に設けた液ヘッダーの、前記第1冷媒液管の接続口とは反対の端部に接続し、
前記第1冷媒蒸気管と前記第2冷媒蒸気管とがほぼ同じ配管長になるように、
前記第1冷媒蒸気管は、前記第1凝縮器上辺に設けた蒸気ヘッダーの一方の端部に接続し、
前記第2冷媒蒸気管は、前記第2凝縮器上辺に設けた蒸気ヘッダーの、前記第1冷媒蒸気管の接続口とは反対の端部に接続し、
前記第1冷媒蒸気管は、前記第1蒸発器下辺に設けた液ヘッダーの一方の端部に接続し、
前記第2冷媒蒸気管は、前記第2蒸発器下辺に設けた液ヘッダーの、前記第1冷媒蒸気管の接続口とは反対の端部に接続し、
前記仕切り板を発熱体収納箱の天面の一部あるいは全部となるように取り付け、
前記第1凝縮器および前記第2凝縮器の通風方向に対し、平行な、対向する2つの側面に外気連通口を設けた発熱体収納箱冷却装置。
【請求項2】
前記第1冷媒液管の仕切り板貫通穴を凝縮器の下辺部に対し上辺部の反対方向に設け、
前記第1冷媒蒸気管の仕切り板貫通穴を凝縮器の下辺部に対し上辺部方向に設けた請求項1記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項3】
前記第1冷媒液管と第2冷媒液管の配管勾配を冷媒流路下流側が下方向となるような配管勾配とした請求項1または2記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項4】
前記第1蒸発管と第2蒸発管の配管勾配を冷媒流路下流側が上方向となるような配管勾配とした請求項1〜3記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項5】
前記凝縮器を覆うように前記仕切り板に取り付けられた保護カバーを設けた、請求項1〜4いずれか一つに記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項6】
前記保護カバーと前記凝縮器を接触させた請求項5記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項7】
前記保護カバーの通風方向風下側出口部にパンチング状の面を設けた請求項5,6記載いずれか一つに記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項8】
前記凝縮器の通風方向風下側の中央に、風の流れを左右に分ける中央仕切り板を設けた請求項1〜7いずれか一つに記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項9】
前記中央仕切り板が前記仕切り板と接触した請求項8記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項10】
機能動作部収納室と冷却部収納室を有する本体ケースと、
前記機能動作部収納室内に機能動作部と第一の送風ファンとを収納し、
前記冷却部収納室内に第二の送風ファンを備え、
さらに、前記機能動作部収納室内に蒸発器が配置され、前記冷却部収納室内に凝縮器が配置されるように請求項1から9いずれか一つに記載の発熱体収納箱冷却装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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