説明

発生イベント概要情報提供装置

【課題】視覚的に把握可能な発生イベントの概要を簡便な方法で提供可能な発生イベント概要情報提供装置を提供すること。
【解決手段】発生イベント概要情報提供装置は、イベントの発生を監視するイベント監視部と、イベント監視部が検出した各イベントのイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と、イベント情報記憶部が記憶する第1の所定期間中に発生したイベントの各イベント情報に対応する色の画素から構成されたフレームを生成し、フレームを所定の画像圧縮方式又は動画像圧縮方式で圧縮するイベント圧縮部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的に把握可能な発生イベントの概要を提供する発生イベント概要情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯端末は、ユーザによる操作等の履歴(ログ)情報を内部のメモリに記録する。当該履歴には、ユーザがキーやタッチパネル等を操作した際の外部イベントと、電池の充電状態やメモリの使用状態等が所定のしきい値を超えた際の内部イベントとが含まれる。携帯端末は、イベント監視部及びイベント記録部を備える。イベント監視部は、イベントの発生を監視する。イベント監視部が何らかのイベントを検出すると、イベント記録部は、当該検出されたイベントに対応するイベントコード及び日時情報をイベント情報としてメモリに記録する。
【0003】
但し、イベントの発生数が多いと、メモリに記録されるイベント情報がメモリ容量を圧迫する。したがって、イベント情報は、最終的には圧縮された状態でログ情報として保存される。例えば、特許文献3では、ファクシミリ通信を行う装置が情報を圧縮して、二次元コード等といった表示可能なコード情報に変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2818311号公報
【特許文献2】特開2002−65516号公報
【特許文献3】特開2009−188842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話の利用のされ方は、ユーザの生活パターンに応じて、一日単位又は一週間単位のパターンで繰り返される傾向がある。このため、ログ情報は、一日単位又は一週間単位で類似する。圧縮された状態でメモリに保存されたログ情報は、携帯電話に故障等の何らかの問題が生じた際に用いられる。このとき、ログ情報を解析する解析装置と携帯電話が有線又は無線で通信可能に接続され、携帯電話から所定の装置にログ情報が送られる。上述したように、ログ情報は、発生した各イベントに対応するイベントコード及び各イベントが発生した日時情報を含む複数のイベント情報から構成された、いわゆるテキストデータである。したがって、解析装置は、所定のプログラムに基づいてログ情報を解析する。
【0006】
上記説明したように、ログ情報を解析するためには、解析装置と携帯電話を通信可能に接続し、ログ情報を解析装置に転送し、解析装置が所定のプログラムを実行する必要がある。このように、ログ情報の解析には解析装置及び所定のプログラムが必要であるため、当該解析を行える場所は限定される。言い換えると、携帯電話単体ではログ情報の解析を行えない。また、上述したように、ログ情報はテキストデータとして保存されている。このため、携帯電話に対する問題のある使われ方等を視覚的に把握することはできない。
【0007】
本発明の目的は、視覚的に把握可能な発生イベントの概要を簡便な方法で提供可能な発生イベント概要情報提供装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、イベントの発生を監視するイベント監視部と、前記イベント監視部が検出した各イベントのイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と、前記イベント情報記憶部が記憶する第1の所定期間中に発生したイベントの各イベント情報に対応する色の画素から構成されたフレームを生成し、前記フレームを所定の画像圧縮方式又は動画像圧縮方式で圧縮するイベント圧縮部と、を備えた発生イベント概要情報提供装置を提供する。
【0009】
上記発生イベント概要情報提供装置では、前記第1の所定期間は、一日又は一週間である。
【0010】
上記発生イベント概要情報提供装置では、前記イベント情報は、イベントが発生した日時情報を含み、前記イベント圧縮部は、前記フレームを生成する際、第2の所定時間を空けずに発生した複数のイベントの内、最初のイベントのイベント情報が含む日時情報を、複数の画素から構成されたブロックの先頭に割り当てる。
【0011】
上記発生イベント概要情報提供装置では、前記イベント圧縮部は、イベントの識別情報と色情報が対応した情報を利用し、前記色情報は一画素を表すビット数の情報である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る発生イベント概要情報提供装置によれば、視覚的に把握可能な発生イベントの概要を簡便な方法で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態の携帯電話発生イベント概要情報提供装置の内部構成の一部を示すブロック図
【図2】各種の外部イベントと各外部イベントに対応するイベントコードの一例を示す図
【図3】各種の内部イベントと各内部イベントに対応するイベントコードの一例を示す図
【図4】イベント圧縮部111が生成するフレームの一例を示す図
【図5】フレームを構成する複数の領域の内の1つの分解図
【図6】イベントが発生した際の本実施形態の携帯電話の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、一実施形態の携帯電話の内部構成の一部を示すブロック図である。図1に示す携帯電話は、外部イベント入力部101と、外部イベント監視部103と、内部イベント監視部105と、イベント記録部107と、バッファ109と、イベント圧縮部111と、メモリ113とを備える。
【0016】
外部イベント入力部101は、キーやタッチパネル等のユーザが携帯電話を操作するための入力インターフェイスである。外部イベント監視部103は、外部イベント入力部101の操作による外部イベントの発生を監視する。なお、外部イベントとは、ユーザが外部イベント入力部101を操作した際のイベントである。図2は、各種の外部イベントと各外部イベントに対応するイベントコードの一例を示す図である。図2に示す対応表は、メモリ等に格納されている。外部イベント監視部103は、外部イベントを検出すると、検出した外部イベントに対応するイベントコードと、当該外部イベントを検出した日時情報とを含むイベント情報をイベント記録部107に送る。
【0017】
内部イベント監視部105は、内部イベントの発生を監視する。なお、内部イベントとは、電池(図示せず)の充電状態やメモリ(図示せず)の使用状態等が所定のしきい値を超えた際のイベント、及び所定の外部イベントに応じたプロセス起動のイベント等である。図3は、各種の内部イベントと各内部イベントに対応するイベントコードの一例を示す図である。図3に示す対応表は、メモリ等に格納されている。内部イベント監視部105は、内部イベントを検出すると、検出した内部イベントに対応するイベントコードと、当該内部イベントを検出した日時情報とを含むイベント情報をイベント記録部107に送る。
【0018】
イベント記録部107は、外部イベント監視部103又は内部イベント監視部105から送られたイベント情報を時系列でバッファ109に記録する。バッファ109は、イベント記録部107から送られたイベント情報の集合を非圧縮のログ情報として記憶する一時記憶部である。
【0019】
イベント圧縮部111は、イベントコードと色コードが対応した対応表を参照して、バッファ109に記録された各イベント情報のイベントコードに対応した色の画素から構成されたフレームを生成する。イベントコードと色コードが対応した対応表では、異なるイベントコードに対して異なる色コードが対応付けられている。当該対応表は、携帯電話の図示しないメモリに格納されている。イベント圧縮部111が生成するフレームの詳細については後述する。
【0020】
なお、携帯電話の利用のされ方は、ユーザの生活パターンに応じて、一日単位又は一週間単位のパターンで繰り返される傾向がある。このため、ログ情報は、一日単位又は一週間単位で類似する。本実施形態では、イベント圧縮部111が生成するフレームは、一日分又は一週間分のイベント情報の集合であるログ情報から生成される。
【0021】
さらに、イベント圧縮部111は、生成したフレームを所定の画像圧縮方式又は動画像圧縮方式で圧縮し、圧縮ファイルをメモリ113に記録する。イベント圧縮部111が行う圧縮の詳細については後述する。メモリ113は、イベント圧縮部111によって生成された圧縮ファイル等を記憶する。
【0022】
以下、イベント圧縮部111が生成するフレームについて詳細に説明する。図4は、イベント圧縮部111が生成するフレームの一例を示す図である。また、図5は、フレームを構成する複数の領域の内の1つの分解図である。図4に示すフレームは、WVGA(Wide VGA)のサイズであって、幅800画素×高さ480画素の解像度を有する。本実施形態では、図4に示すように、当該フレームが240の領域に分割される。また、図5に示すように、1つの領域が25のブロックから構成され、かつ、1つのブロックが64の画素から構成される。
【0023】
各画素にはイベントコード又は日時情報(タイムスタンプ)が割り当てられ、本実施形態では、1つの画素に1つのイベントコードが割り当てられる。本実施形態では、外部イベントと内部イベントを併せて、最大256種類のイベントコードが設定されている。したがって、一画素は8ビット(1バイト)で表され、一画素に対して1つのイベントが割り当てられる。但し、予め決められた重要なイベントに対しては複数の画素が割り当てられても良い。また、上述したように、異なるイベントコードには異なる色コードが対応付けられているため、本実施形態で設定可能な色は256(=2)種類である。
【0024】
本実施形態では、2種類のタイムスタンプが利用される。一つは、日付情報と時間情報を含む4バイトの第1タイムスタンプである。第1タイムスタンプは4バイトであるため、4つの画素を占有する。なお、第1タイムスタンプは、図5に示したブロックの先頭の4バイトに割り当てられる。もう一つは、時間情報のみを含む2バイトの第2タイムスタンプである。第2タイムスタンプは2バイトであるため、2つの画素を占有する。第1タイムスタンプは、直前のイベント発生から次のイベント発生までに1分以上の時間が経過した際に、前記次のイベントに対して割り当てられる。一方、第2タイムスタンプは、直前のイベント発生から1分未満の間に発生したイベントに対して割り当てられる。
【0025】
イベント圧縮部111は、所定期間分のイベント情報に応じたフレームを生成する際、図4に示したように、所定期間中の最初のイベント情報をフレームの中心付近の領域に記録する。イベント圧縮部111は、当該最初のイベント情報に続くイベント情報を、フレームの中心付近の領域から外縁に向かって時系列に割り当てる。なお、フレーム内におけるイベント情報の割り当ては、フレームの中心付近から外縁に向かう形態に限らず、左上から右下に向かう形態等であっても良い。
【0026】
以下、イベント圧縮部111が行う圧縮について詳細に説明する。イベント圧縮部111は、例えば、一日分のログ情報に基づいて生成したフレームに対して可逆の画像圧縮を行い、日毎の画像圧縮ファイルをメモリ113に記録する。さらに、イベント圧縮部111は、メモリ113に記録された一週間分の画像圧縮ファイルを1つの動画像に変換する。なお、一週間分の画像圧縮ファイルを動画像ファイルに変換する際の圧縮方式は、例えば、非可逆の動画像圧縮方式である。この方法によれば、日毎のイベントの発生を色付きで示す動画像ファイルが週毎に生成される。なお、画像圧縮方式又は動画像圧縮方式は非可逆であっても良い。
【0027】
なお、イベント圧縮部111は、一日分のログ情報に基づいて生成したフレームを画像圧縮せずに生データのままメモリ113に記録し、メモリ113に記録された一週間分のフレームの生データから1つの動画像を生成しても良い。なお、一週間分のフレームの生データから動画像ファイルを生成する際には、例えば、非可逆の動画像圧縮方式が用いられる。この方法によっても、日毎のイベントの発生を色付きで示す動画像ファイルが週毎に生成される。なお、動画像圧縮方式は非可逆であっても良い。
【0028】
図6は、イベントが発生した際の本実施形態の携帯電話の動作を示すフローチャートである。図6に示すように、外部イベントが発生した際には外部イベント監視部103が、内部イベントが発生した際には内部イベント監視部105が、イベント情報をイベント記録部107に送る(ステップS101)。次に、イベント記録部107は、外部イベント監視部103又は内部イベント監視部105から送られたイベント情報をバッファ109に記録する(ステップS103)。次に、イベント圧縮部111は、バッファ109に記録されたログ情報からフレームを生成した上で所定の圧縮方式で圧縮し、メモリ113に記録する(ステップS105)。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、所定期間毎のイベントの発生を色付きで示す動画像ファイルが生成される。このため、携帯電話が動画像ファイルを再生することができれば、当該携帯電話のユーザは、イベントの発生を視覚的に把握することができる。また、イベントの概要を把握するだけであれば、解析装置等の特別な装置は不要であり、携帯電話単体で可能である。このため、当該把握のために場所は限定されない。
【0030】
なお、上記説明では、フレームのサイズがWVGAである場合を一例として挙げられているが、FWVGA(フルワイドVGA)であっても良い。なお、フレームのサイズは、一日又は一週間といった所定期間中に発生し得るイベントに対して十分な画素数があれば、上記サイズに限らない。
【0031】
また、上記説明では、異なるイベントコードに対して異なる色が対応付けられるため、フレームを構成する画素の内、異なるイベントが記録された画素の色はそれぞれ異なる。他の実施形態として、異なるイベントコードに対して異なる模様を対応付けても良い。この場合、フレームを構成する画素の内、異なるイベントが記録された画素の模様はそれぞれ異なる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る発生イベント概要情報提供装置は、視覚的に把握可能なイベント発生の概要を簡便な方法で提供可能な携帯電話等として有用である。
【符号の説明】
【0033】
101 外部イベント入力部
103 外部イベント監視部
105 内部イベント監視部
107 イベント記録部
109 バッファ
111 イベント圧縮部
113 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントの発生を監視するイベント監視部と、
前記イベント監視部が検出した各イベントのイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と、
前記イベント情報記憶部が記憶する第1の所定期間中に発生したイベントの各イベント情報に対応する色の画素から構成されたフレームを生成し、前記フレームを所定の画像圧縮方式又は動画像圧縮方式で圧縮するイベント圧縮部と、
を備えたことを特徴とする発生イベント概要情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発生イベント概要情報提供装置であって、
前記第1の所定期間は、一日又は一週間であることを特徴とする発生イベント概要情報提供装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発生イベント概要情報提供装置であって、
前記イベント情報は、イベントが発生した日時情報を含み、
前記イベント圧縮部は、前記フレームを生成する際、第2の所定時間を空けずに発生した複数のイベントの内、最初のイベントのイベント情報が含む日時情報を、複数の画素から構成されたブロックの先頭に割り当てることを特徴とする発生イベント概要情報提供装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の発生イベント概要情報提供装置であって、
前記イベント圧縮部は、イベントの識別情報と色情報が対応した情報を利用し、前記色情報は一画素を表すビット数の情報であることを特徴とする発生イベント概要情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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