説明

発電システム

【課題】燃料電池発電と太陽光発電とでパワーコンディショナを共用する発電システムにおいて、太陽光発電の逆潮流は許容しつつ燃料電池発電の逆潮流を防止できる発電システムを提供する。
【解決手段】逆潮流が許容される太陽電池2aと逆潮流が禁止される燃料電池2bとを備え、パワーコンディショナ4がこれら各発電部に対応する一対のコンバータ5a,5bと、これらに共用される1のインバータ6とを備える構成において、パワーコンディショナ4のPC制御部7が家庭負荷30の消費電力を検出し、燃料電池2bの発電電力がこの消費電力を超えないように燃料電池2bが接続されたコンバータ5bを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は発電システムに関し、より詳細には、系統(商用電力系統)への逆潮流が許容された発電部と、系統への逆潮流が禁止される発電部と、これらに共用される1台のパワーコンディショナとを備えた発電システムにおいて、逆潮流が禁止される発電部から系統への逆潮流を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、二酸化炭素排出量の削減やエネルギの有効利用などの観点から、燃料電池による発電(燃料電池発電)に太陽電池による発電(太陽光発電)を組み合わせて使用する家庭用の発電システムが提供されている。
【0003】
これら燃料電池発電や太陽光発電の発電設備は、いずれも直流電力を生成するものであることから、これらの発電設備で発電された電力を家庭負荷(電力負荷)で使用するために、直流電力を交流電力に変換するインバータ装置であるパワーコンディショナが用いられている。
【0004】
ところで、このような家庭用の発電システムにおいては、電気事業者(電力会社)との取り決めにより、自然のエネルギを利用する太陽光発電で発電した電力は系統に逆潮流させることが許容されるが、化石燃料を用いる燃料電池発電で発電した電力は系統への逆潮流が禁止されていることから、燃料電池発電で発電された電力が系統に逆潮流しないようにする必要がある。
【0005】
そのため、この種の発電システムでは、従来、図6(a)に示すように、燃料電池発電の発電システムaと太陽光発電の発電システムbは、それぞれに別々にパワーコンディショナc、dを備えていた。なお、図6(a)において符号eは太陽電池(太陽電池パネル)を、符号fは燃料電池を示している。また、符号hは系統jの電圧を検出する系統電圧センサを、iはパワーコンディショナcの出力電流を検出する出力電流センサである。
【0006】
そして、この種の発電システムでは、図6(b)に示すように、系統j側に太陽光発電の発電システムb、家庭負荷(電力負荷)側に燃料電池発電の発電システムaを接続するとともに、燃料電池発電の発電システムaから系統j側に流れる電流(系統電流)を監視できるように、家庭用負荷検出用の電流センサgが太陽光発電の発電システムaと燃料電池発電の発電システムbとの間に配置されている。そして、燃料電池発電のパワーコンディショナcは、燃料電池fで発電された電力を系統jに出力しないように家庭負荷kでの消費電力Pを監視しながら、パワーコンディショナcの出力電力Paが家庭負荷kの消費電力Pを超えないように(つまり、P−Pa≧0となるように)、パワーコンディショナcの出力制御(逆潮流防止制御)を行っている。
【0007】
その一方で、最近では、パワーコンディショナの小型化の要請から、複数の発電設備で1台のパワーコンディショナを共用するものが提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0008】
このように複数の発電設備に共用されるパワーコンディショナでは、コンバータ(DC−DCコンバータ)が発電設備ごとに備えられるとともに、これら発電設備ごとに備えられる複数のコンバータに共用されるインバータとして1基のインバータ(DC−ACインバータ)が備えられており、各コンバータにおいて昇圧された直流電力が上記インバータで交流電力に変換されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−136112号公報
【特許文献2】特開2005−151662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の構成には以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0011】
すなわち、燃料電池発電と太陽光発電とを組み合わせてなる発電システムにおいてパワーコンディショナを共用する構成を採用すると、パワーコンディショナからは燃料電池発電の発電電力と太陽光発電の発電電力が合算された電力が出力されることから、従来のように単に系統電流を監視するだけでは燃料電池発電によって発電された電力が系統に逆潮流するのを防止することができない。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、燃料電池発電と太陽光発電とでパワーコンディショナを共用する発電システムにおいて、太陽光発電による発電電力の逆潮流は許容しつつ燃料電池発電による発電電力の逆潮流を防止できる発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発電システムは、複数の発電部と、これら各発電部に対応して設けられる複数のコンバータが1のインバータに接続されているパワーコンディショナとを備えてなり、上記複数の発電部が、逆潮流が禁止される逆潮流不可発電部と、逆潮流が許容される逆潮流許容発電部とで構成されている家庭用の発電システムにおいて、家庭負荷で消費される消費電力の検出手段と、上記逆潮流不可発電部の出力電力の検出手段とを備え、上記逆潮流不可発電部の出力電力が上記家庭負荷の消費電力を超えないように、上記パワーコンディショナにおいて逆潮流不可発電部が接続されているコンバータを制御することを特徴とする。
【0014】
すなわち、この請求項1に係る発明では、家庭負荷で消費される消費電力と逆潮流が禁止される逆潮流不可発電部の出力電力とを監視しながら、逆潮流不可発電部の出力電力が家庭負荷で消費される消費電力を超えないように逆潮流不可発電部が接続されたコンバータが制御されるので、逆潮流不可発電部の出力電力が家庭負荷で消費される電力を上回ることがなく、逆潮流不可発電部で発電された電力が系統に逆潮流するのが防止される。
【0015】
また、請求項2に記載の発電システムは、複数の発電部と、これら各発電部に対応して設けられる複数のコンバータが1のインバータに接続されているパワーコンディショナとを備えてなり、上記複数の発電部が、逆潮流が禁止される逆潮流不可発電部と、逆潮流が許容される逆潮流許容発電部とで構成されている家庭用の発電システムにおいて、家庭負荷で消費される消費電力の検出手段と、上記逆潮流不可発電部の出力電力の検出手段とを備え、上記逆潮流不可発電部の出力電力に上記パワーコンディショナの入力−出力変換効率を乗算したものが上記家庭負荷の消費電力を超えないように、上記パワーコンディショナにおいて逆潮流不可発電部が接続されているコンバータを制御することを特徴とする。
【0016】
すなわち、この請求項2に係る発明では、家庭負荷で消費される電力と対比される逆潮流不可発電部で発電された電力として、逆潮流不可発電部の出力電力に代えて、逆潮流不可発電部の出力電力にパワーコンディショナの入力−出力変換効率を乗算したものを用いるので、実際にパワーコンディショナから出力される電力を基準として家庭負荷で消費される電力との対比が行われる。そのため、パワーコンディショナでの電力ロス分だけ逆潮流不可発電部に対する逆潮流防止の制御が実行されるタイミングを遅らせることができ、逆潮流不可発電部での発電電力を有効に利用することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発電システムは、請求項1または2に記載の発電システムにおいて、上記家庭負荷で消費される消費電力の検出手段は、上記パワーコンディショナと系統とを接続する主幹配線から家庭負荷への分岐配線に備えられる家庭負荷電流を検出する電流検出手段と、上記系統の電圧を検出する電圧検出手段とを有してなり、これらで検出される家庭負荷電流と系統電圧とを乗じて家庭負荷で消費される消費電力を検出することを特徴とする。
【0018】
すなわち、この請求項3に係る発明では、電流検出手段と電圧検出手段とによって家庭負荷に流れる電流と系統の電圧とが直接検出され、これらの検出結果から、家庭負荷で消費される電力が検出される。そのため、家庭負荷で消費される電力を正確に検出することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発電システムは、請求項1または2に記載の発電システムにおいて、上記家庭負荷で消費される消費電力の検出手段は、パワーコンディショナの出力電力の検出手段と、系統からの購入電力の検出手段とを有してなり、これら検出手段で検出される上記パワーコンディショナの出力電力と上記購入電力とを加算して家庭負荷の消費電力を検出することを特徴とする。
【0020】
すなわち、この請求項4に係る発明では、家庭負荷で消費される電力を、パワーコンディショナの出力電力と系統からの購入電力とに基づいて算出することから、家庭負荷への各分岐配線に電流検出手段を設けなくてすみ、施工容易な簡易な構成によって、逆潮流不可発電部からの逆潮流を防止することができる。
【0021】
そして、請求項5に記載の発電システムは、請求項1から4のいずれかに記載の発電システムにおいて、上記コンバータの制御主体が逆潮流不可発電部に備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、逆潮流が許可された逆潮流許容発電部と逆潮流が禁止されている逆潮流不可発電部とに共用されるパワーコンディショナを用いた発電システムおいて、逆潮流許容発電部で発電された電力が系統に逆潮流するのを妨げることなく、逆潮流不可発電部で発電された発電電力の逆潮流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る発電システムの一実施形態の概略構成を示す回路ブロック図である。
【図2】同発電システムのパワーコンディショナに接続されるセンサ類を示す説明図である。
【図3】同発電システムの第2の実施形態の概略構成を示す回路ブロック図である。
【図4】同発電システムの第3の実施形態の概略構成を示す回路ブロック図である。
【図5】同発電システムの第3の実施形態の説明図であって、図5(a)は、同発電システムの接続例を示しており、図5(b)は同発電システムにおけるパワーコンディショナに接続されるセンサ類を示している。
【図6】従来の発電システムを示す説明図であり、図6(a)は同発電システムの概略構成を示すブロック図であり、図6(b)は同発電システムの接続例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
図1は、本発明を適用した発電システムの概略構成を示している。この発電システム1は、家庭用の発電システムであって、図1に示すように、複数の発電部(発電設備)2と、これら発電部2で発電された直流電力を系統(商用電力系統)3に連系可能な交流電力に変換するパワーコンディショナ4とを主要部として備えている。
【0025】
発電部2は、系統3への逆潮流が許容されている逆潮流許容発電部と、系統3への逆潮流が禁止されている逆潮流不可発電部とで構成されており、図示の実施形態では、逆潮流許容発電部として太陽電池2aが用いられ、また、逆潮流不可発電部として燃料電池2bが用いられている。
【0026】
上記太陽電池2aは、太陽光のエネルギを直流電力に変換する発電装置であって、複数の太陽電池セルを接続してなる太陽電池パネルを主要部として備えている。一方、燃料電池2bは、天然ガスなどの水素を含む燃料ガスと、空気などの酸素を含む酸化剤ガスとを供給し、水素と酸素を化学反応させて直流電力を得る発電装置である。なお、これら太陽電池2aおよび燃料電池2bの構造はいずれも公知であるのでこれらの詳細な説明は省略するが、燃料電池2bには、当該燃料電池のスタックや補機(いずれも図示せず)など燃料電池2bの各部を制御するためのFC制御部20が備えられている。
【0027】
パワーコンディショナ4は、上記太陽電池2aと燃料電池2bとに共用されるインバータ装置であって、図1に示すように、上記各発電部2a,2bに対応して設けられる複数のコンバータ5(5a,5b)と、これらコンバータ5a,5bに共用される1のインバータ6と、パワーコンディショナ4の各部を制御するPC制御部7とを主要部として備えている。
【0028】
上記コンバータ5は、上記インバータ6が系統3に供給可能な電圧(たとえば、AC200V)の交流電力を生成できるように、発電部2から供給される直流電力を昇圧するDC−DCコンバータで構成されている。各コンバータ5a,5bの具体的な構成・制御については、各コンバータ5a,5bに接続される発電部2の特性に応じて決定される。本実施形態では、太陽電池2aが接続されるコンバータ5aには非絶縁型で最大電力点追従制御(MPPT制御)のコンバータが用いられる。また、燃料電池2bが接続されるコンバータ5bには絶縁型で入力電流制御のコンバータが用いられている。
【0029】
上記インバータ6は、上記コンバータ5a,5bで昇圧された直流電力を系統3に連系可能な電圧・周波数の交流電力(たとえば、単相三線式200V)に変換するDC−ACインバータで構成される。具体的には、このインバータ6は、そのコンバータ5側が図示しないDCリンクコンデンサを介して上記各コンバータ5a,5bの出力接続点Aと接続されている。一方、インバータ6の系統3側は、U相、V相、O相(中性線)の各配電線(主幹配線)8,9,10を介して系統3に接続されている。
【0030】
なお、上記各配電線8,9,10には家庭負荷(たとえば、蛍光灯、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの各種電気機器からなる電力負荷)30にAC100VまたはAC200Vの交流電力を供給するための分岐配線12,13,14が適宜接続されており、家庭負荷30にはこれら分岐配線12,13,14を介してパワーコンディショナ4または系統3から交流電力が供給されるようになっている。
【0031】
上記PC制御部7は、図示しないマイコンを制御中枢として備える制御装置であって、パワーコンディショナ4の各部に備えられる各種のセンサ類で得られる情報に基づいて、パワーコンディショナ4の各部の動作を制御するように構成されている。具体的には、このPC制御部7は、コンバータ5a,5bやインバータ6の運転/停止、後述するコンバータ5bに対する制御などの各種制御を行うようになっている。なお、このPC制御部7は、上記燃料電池2bのFC制御部20との通信機能も備えている。
【0032】
図2は、このPC制御部7が備える各種センサ類を示している。この図2に示すように、PC制御部7は、上記各種センサ類として、少なくとも、燃料電池2bからコンバータ5bに入力される電流を検出する入力電流センサ41と、燃料電池2bからコンバータ5bに入力される電圧を検出する入力電圧センサ42と、系統3の電圧、すなわち、中性線とU相およびV相の間の電圧を検出する一対の系統電圧センサ43とを備えるとともに、U相およびV相の配電線8,9から分岐された分岐配線12,13に配設されて家庭負荷30に流れる電流(家庭負荷電流)を検出する一対の電流センサ15とを備えている。
【0033】
なお、この電流センサ15は、ホール電流センサのような交流電流センサで構成されており、PC制御部7とは信号線17を介して接続されている。また、この電流センサ15は、後述するように、家庭負荷30で消費される電力を検出するために用いられるので、分岐配線12,13ごとにそれぞれ設けらている。すなわち、分岐配線12,13が複数設けられている場合には、各分岐配線12,13についてそれぞれ電流センサ15が設けられる。
【0034】
しかして、このように構成された発電システム1においては、燃料電池2bが発電中である場合、PC制御部7は、燃料電池2bで発電された電力が家庭負荷30の消費電力を超えないように、以下のような制御を行うように構成されている。
【0035】
すなわち、この発電システム1では、燃料電池2bが発電を行う場合、PC制御部7は、家庭負荷30で消費される電力(家庭負荷消費電力)を検出する。本実施形態では、この家庭負荷消費電力の検出は、上記電流センサ(電流検出手段)15で検出される家庭負荷電流と、上記系統電圧センサ(電圧検出手段)43で検出される系統電圧とを乗じる(両者を乗算する)ことによって算出している。つまり、本実施形態では、これら電流センサ15と系統電圧センサとが家庭負荷消費電力の検出手段として用いられている。
【0036】
ここで、発電システム1に家庭負荷30が複数設けられている場合(換言すれば、主幹配線となる配電線8〜10に複数の分岐配線12〜14が設けられている場合)には、PC制御部7は、各分岐配線12〜14に設けられる電流センサ15で検出される家庭負荷電流を加算した値に系統電圧を乗じることによって、すべての家庭負荷のトータルの消費電力を算出し、その算出結果を上記家庭負荷消費電力として用いる。
【0037】
このようにして家庭負荷消費電力が検出されると、次に、PC制御部7は、この家庭負荷消費電力を基にして、燃料電池2bで発電される電力が家庭負荷消費電力を超えないように、燃料電池2bが接続されているコンバータ5bを制御する。
【0038】
ここで、燃料電池2bで発電される電力とは燃料電池2bの出力電力を意味するが、本実施形態では、PC制御部7は、コンバータ5bへの入力電力をもって燃料電池2bの出力電力を把握するようになっている。つまり、PC制御部7は、上記入力電流センサ41の検出値と上記入力電圧センサ42の検出値とを乗算することによってコンバータ5bに対する入力電力を算出し、この入力電力を燃料電池2bの出力電力として扱って、上述した家庭負荷消費電力との対比を行うようになっている。
【0039】
そして、この対比を通じて、PC制御部7は、コンバータ5bへの入力電力が上記家庭負荷消費電力以下となるようにコンバータ5bの入力電流制御を行う。すなわち、燃料電池2bは、流れる電流によってその出力電圧が変化する特性を有しているので、コンバータ5bの入力電流を制御することによって燃料電池2bの出力電力が家庭負荷消費電力を超えないように制御している。
【0040】
このように、本実施形態に示す発電システム1では、PC制御部7が家庭負荷消費電力を監視しながら燃料電池2bの出力電力が家庭負荷消費電力以下となるようにコンバータ5bの入力電流を制御するので、燃料電池2bで発電される電力(燃料電池2bの出力電力)が家庭消費電力を超えることがない。そのため、本実施形態の発電システム1では、燃料電池2bで発電された電力が系統3に逆潮流することが防止される。
【0041】
その一方で、太陽電池2aが接続されるコンバータ5aは、上述した通り、最大電力点追従制御(MPPT制御)が行われているので、太陽電池2aで発電された電力は制限を受けることなくその最大電力がインバータ6に供給される。そのため、太陽電池2aで発電された電力については、燃料電池2bの発電電力と合算された電力が家庭負荷消費電力を超える場合には系統3に逆潮流することとなる。
【0042】
つまり、本実施形態に示す発電システム1では、太陽電池2aで発電された電力の逆潮流は妨げられることなく、燃料電池2bで発電された電力の逆潮流のみが防止される。しかも、この発電システム1に用いられるパワーコンディショナ4は、複数のコンバータ5に1のインバータ6を接続する構成であるところ、このような構成のパワーコンディショナ4を用いても、燃料電池発電で発電された電力が逆潮流することが防止される。
【0043】
なお、上述した実施形態では、PC制御部7は、コンバータ5bの入力電流と入力電圧とから燃料電池2bの出力電力を特定する構成を示したが、燃料電池2bの出力電力は、たとえば、燃料電池2b側に出力電流を検出する出力電流検出手段と出力電圧を検出する出力電圧検出手段とを設けておき、PC制御部7が、これら検出手段で検出された検出結果を通信により取得し、それらを乗算して燃料電池2bの出力電力を検出するように構成することもできる。
【0044】
また、上述した実施形態では、PC制御部7は、燃料電池2bの出力電力(コンバータ5bの入力電力)が家庭負荷消費電力を超えないようにコンバータ5bの入力電流制御を行うように構成した場合を示したが、燃料電池2bの出力電力に替えて、燃料電池2bの出力電力にパワーコンディショナ4の入力−出力変換効率を乗算して得た値を用い、この値が家庭負荷消費電力を超えないようにコンバータ5bを制御するように構成することもできる。すなわち、この場合、PC制御部7は、コンバータ5bへの入力電力にパワーコンディショナ4の入力−出力変換効率を乗じて得られる値を家庭負荷消費電力と対比しながらコンバータ5bの入力電流制御を行うように構成される。
【0045】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態について図3に基づいて説明する。
この第2の実施形態は、上述した実施形態1におけるコンバータ5bの制御主体を改変したものであって、上記パワーコンディショナ4のコンバータ5bの制御を燃料電池2bに備えられるFC制御部20で行うようにしている。
【0046】
すなわち、この第2の実施形態に示す発電システム1では、コンバータ5bの制御主体が燃料電池2bのFC制御部20となっていることから、家庭負荷電流を検出する電流センサ15からの信号線17はFC制御部20に接続される。また、上述した実施形態1においてPC制御部7が取得していた各種センサ類からの情報は、このFC制御部20がPC制御部7との通信によって取得するように構成される。なお、その他の基本構成は上述した実施形態1と共通するので、構成が共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
そして、本実施形態に示す発電システム1においても燃料電池2bが発電を行う場合には、FC制御部20は、燃料電池2bで発電された電力が家庭負荷30の消費電力を超えないように以下のような制御を行うように構成される。
【0048】
すなわち、燃料電池2bが発電を行う場合、FC制御部20は、まず、家庭負荷消費電力の検出を行う。具体的には、FC制御部20は、上記電流センサ15で検出される家庭負荷電流と、上記系統電圧センサ43で検出される系統電圧とを乗算して家庭負荷消費電力を算出する。なお、家庭負荷30が複数設けられている場合には、家庭負荷全体での消費電力が家庭負荷消費電力とされるのは実施形態1と同様である。
【0049】
そして、家庭負荷消費電力が検出されると、次に、FC制御部20は、家庭負荷消費電力を基にして、燃料電池2bで発電される電力が家庭負荷消費電力以下となるように、燃料電池2bでの発電量を制御するとともに、パワーコンディショナ4のPC制御部7に対してコンバータ5bの電流値を指示する指令を送信する。これにより、パワーコンディショナ4のPC制御部7では、FC制御部20から送信された電流値に従ってコンバータ5bの入力電流制御が行われ、コンバータ5bへの入力電力が制御される。
【0050】
このように、本実施形態では、FC制御部20が発電量の制御と併せてPC制御部7に電流値を送信するようにしているが、これは燃料電池2bの性質上瞬間的な出力変更ができないからである。FC制御部20は、燃料電池2bの発電量の調節で対応できない出力変動については、PC制御部7にコンバータ5bの入力電流制御を指令することにより、PC制御部7とともに対応するようになっている。
【0051】
そのため、本実施形態に示す発電システム1においてもコンバータ5bへの入力電力は家庭負荷消費電力以下に制御され、燃料電池2bの出力電力が家庭消費電力を超えることなく、燃料電池2bの出力電力の逆潮流が防止される。なお、このとき太陽電池2aが接続されるコンバータ5aが最大電力点追従制御(MPPT制御)を行うのは実施形態1と同様であり、したがって、太陽電池2aで発電された電力は系統3への逆潮流が可能な状態となっている。
【0052】
このように、本実施形態に示す発電システム1においても太陽電池2aで発電された電力の逆潮流は妨げられることなく、燃料電池2bで発電された電力の逆潮流を防止することができる。また、太陽電池発電と燃料電池発電に共用されるパワーコンディショナとして、複数のコンバータに1のインバータが備えられているパワーコンディショナを用いることができる。
【0053】
なお、本実施形態でも燃料電池2bの出力電力として燃料電池2b側に出力電流を検出する出力電流検出手段と出力電圧を検出する出力電圧検出手段とを設けて、FC制御部20が、これら検出手段で検出される検出結果を乗算して燃料電池2bの出力電力を検出するように構成することもできる。また、FC制御部20において家庭負荷消費電力と対比される対象として、燃料電池2bの出力電力にパワーコンディショナ4の入力−出力変換効率を乗算して得た値を用いてもよいのは上述した実施形態1と同様である。
【0054】
実施形態3
次に、本発明の第3の実施形態を図4および図5に基づいて説明する。
この第3の実施形態に示す発電システム1は、上述した実施形態1または実施形態2の発電システム1における家庭負荷消費電力の検出方法を改変したものであって、本実施形態では、上述した実施形態1において各分岐配線12,13に設けていた家庭負荷電流検出用の電流センサ15が系統3からの購入電力の検出ができる位置、すなわち、図3に示すように、主幹配線である配電線8,9において分岐配線12〜14よりも系統3側に配置されている(図5(a)参照)。
【0055】
そして、この実施形態では、家庭負荷消費電力を検出するに当たり、PC制御部7は、以下の方法で家庭負荷消費電力を検出している。
【0056】
すなわち、この実施形態の発電システムでは、家庭負荷消費電力の検出は、パワーコンディショナ4の出力電力、つまり、太陽電池2aと燃料電池2bとで発電された電力の合計値と購入電力とを加算した値を家庭負荷消費電力として用いている。
【0057】
ここで、購入電力の検出は、上記電流センサ15と系統電圧センサ43を購入電力の検出手段として、これらセンサ15,43で検出される検出結果を乗ずることによって行われる。具体的には、U相とV相のそれぞれについて購入電力を検出し、これらU相とV相の購入電力を加算した合計値が購入電力とされる。この計算では、系統3に逆潮流する電力(売電電力)は負の値として計算される。つまり、たとえば、パワーコンディショナ4の出力電力が4000Wで、売電電力が2700Wである場合には、家庭負荷消費電力は4000W−2700W=1300Wとなる。なお、パワーコンディショナ4の出力電力の検出は、パワーコンディショナ4の出力電流を検出する出力電流センサ44(図5(b)参照)と系統電圧センサ43とを検出手段として、これらの検出値を乗算することによって行われる。
【0058】
しかして、このようにして家庭負荷消費電力が検出されると、PC制御部7は、この家庭負荷消費電力を基にして、燃料電池2bで発電される電力が家庭負荷消費電力を超えないように、燃料電池2bが接続されているコンバータ5bの入力電流制御を行う。この入力電流制御は上述した実施形態1と同様であるので説明は省略する。
【0059】
このように、本発明の第3の実施形態に示す発電システム1では、家庭負荷消費電力を検出するための電流センサ15を主幹配線である配電線8,9に設けるだけですむので、上述した実施形態1,2に示す発電システムに比べて、部品点数が少なく、しかも施工が容易な発電システムを提供でき、しかも、燃料電池2bからの逆潮流を防止するという点では上述した実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、この第3の実施形態に示す発電システムにおいても、上述した実施形態2に示す発電システムと同様に、コンバータ5bの制御主体を燃料電池2bのFC制御部20として構成してもよいことはもちろんである。
【0061】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0062】
たとえば、上述した実施形態では、逆潮流が許容されている逆潮流許容発電部として太陽電池2aを、また、逆潮流が禁止されている逆潮流不可発電部として燃料電池2bを用いた場合を示したが、これらは太陽電池や燃料電池に限られず他の発電設備で構成されていてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、発電部2として逆潮流許容発電部と逆潮流不可発電部をそれぞれ1基ずつ備えた(これらに対応するコンバータ5としてコンバータ5a,5bの2基のコンバータを備えた)場合を示したが、逆潮流許容発電部と逆潮流不可発電部は少なくとも1基ずつ設けられていればよく、したがって、この条件を満たせば発電部2が3基以上(これに対応してコンバータ5も3基以上)設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 発電システム
2 発電部
2a 太陽電池
2b 燃料電池
3 系統
4 パワーコンディショナ
5,5a,5b コンバータ
6 インバータ
8,9,10 配電線(主幹配線)
12,13,14 分岐配線
15 電流センサ
17 信号線
30 家庭負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発電部と、これら各発電部に対応して設けられる複数のコンバータが1のインバータに接続されているパワーコンディショナとを備えてなり、前記複数の発電部が、逆潮流が禁止される逆潮流不可発電部と、逆潮流が許容される逆潮流許容発電部とで構成されている家庭用の発電システムにおいて、
家庭負荷で消費される消費電力の検出手段と、前記逆潮流不可発電部の出力電力の検出手段とを備え、
前記逆潮流不可発電部の出力電力が前記家庭負荷の消費電力を超えないように、前記パワーコンディショナにおいて逆潮流不可発電部が接続されているコンバータを制御することを特徴とする発電システム。
【請求項2】
複数の発電部と、これら各発電部に対応して設けられる複数のコンバータが1のインバータに接続されているパワーコンディショナとを備えてなり、前記複数の発電部が、逆潮流が禁止される逆潮流不可発電部と、逆潮流が許容される逆潮流許容発電部とで構成されている家庭用の発電システムにおいて、
家庭負荷で消費される消費電力の検出手段と、前記逆潮流不可発電部の出力電力の検出手段とを備え、
前記逆潮流不可発電部の出力電力に前記パワーコンディショナの入力−出力変換効率を乗算したものが前記家庭負荷の消費電力を超えないように、前記パワーコンディショナにおいて逆潮流不可発電部が接続されているコンバータを制御することを特徴とする発電システム。
【請求項3】
前記家庭負荷で消費される消費電力の検出手段は、前記パワーコンディショナと系統とを接続する主幹配線から家庭負荷への分岐配線に備えられる家庭負荷電流を検出する電流検出手段と、前記系統の電圧を検出する電圧検出手段とを有してなり、これらで検出される家庭負荷電流と系統電圧とを乗じて家庭負荷で消費される消費電力を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記家庭負荷で消費される消費電力の検出手段は、パワーコンディショナの出力電力の検出手段と、系統からの購入電力の検出手段とを有してなり、これらで検出される前記パワーコンディショナの出力電力と前記購入電力とを加算して家庭負荷の消費電力を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の発電システム。
【請求項5】
前記コンバータの制御主体が逆潮流不可発電部に備えられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−213283(P2012−213283A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77754(P2011−77754)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】