説明

発電機、電気自動車、及び、発電機制御方法

【課題】定期点検の管理負担を軽減することができる発電機、電気自動車、及び、発電機制御方法を提供すること。
【解決手段】エンジン11と、エンジン11を回転駆動可能であるとともにエンジン11の回転動力により発電可能なモータジェネレータ12と、バッテリ14と、モータジェネレータ12及びバッテリ14と電気的に接続されたインバータ13と、エンジン11を制御するとともに、インバータ13を介してモータジェネレータ12での回転駆動及び発電を制御する制御装置18と、を備え、制御装置18は、エンジン11の停止後、又は、モータジェネレータ12の回転駆動によって燃料を用いずにエンジン11を回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントし、エンジン11又はモータリングの停止から所定時間経過したときにモータリングを開始するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの回転動力によって発電するエンジン式の発電機、発電機を搭載した電気自動車、及び、発電機を制御する発電機制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防災用、非常電源用等に用いられるエンジン式の発電機は、通常、ほとんど使用しないので、防災時、非常時に使えない状況を回避するために、最低1ヶ月に1回、手動によりエンジンを始動し、発電状況を点検する必要がある(例えば、非特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社、「発電機スタートガイド お手入れガイド・長期保管手順」、2008年、[平成23年7月13日検索]、インターネット<URL:http://www.ympc.co.jp/generator/start/maintenance/index.html>
【非特許文献2】本田技研工業株式会社、「発電機EX22取扱説明書」、2008年、[平成23年7月13日検索]、インターネット<URL:http://www.honda.co.jp/power-manual/pdf/ex22/pdf/ex22_page42.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
【0005】
従来のエンジン式の発電機では、前回運転からどれだけの時間が経過しているか自動的に管理されていないため、不明になるおそれがあった。また、従来のエンジン式の発電機では、点検時の始動が手動であるため、設定以上の長期間放置の可能性がある。また、点検の度にエンジンで燃料を消費する。さらに、エンジンの排気ガスを考慮すると、閉鎖された保管場所では点検できないおそれがある。
【0006】
本発明の主な課題は、定期点検の管理負担を軽減することができる発電機、電気自動車、及び、発電機制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の視点においては、発電機において、燃料の燃焼により回転動力を出力するエンジンと、前記エンジンを回転駆動可能であるとともに前記エンジンの回転動力により発電可能なモータジェネレータと、放電及び蓄電可能なバッテリと、前記モータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記モータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続されたインバータと、前記エンジンを制御するとともに、前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記エンジンの停止後、又は、前記モータジェネレータの回転駆動によって燃料を用いずに前記エンジンを回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントする機能を有するとともに、前記エンジン又は前記モータリングの停止から第1の所定時間を経過したときに前記モータリングを開始するように制御することを特徴とする。
【0008】
本発明の前記発電機において、前記制御装置は、前記モータリングを開始してから第2の所定時間を経過したときに前記モータリングを停止するように制御することが好ましい。
【0009】
本発明の前記発電機において、前記制御装置は、前記エンジンの停止中にエンジン始動要求があったときに前記エンジンを始動して前記モータジェネレータで発電するように制御することが好ましい。
【0010】
本発明の前記発電機において、前記制御装置は、前記バッテリの充電量を監視するとともに、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記バッテリの前記充電量が第1の所定値に到達したときに前記エンジンを止めるように制御し、前記エンジン始動要求は、前記バッテリの前記充電量が前記第1の所定値より低い第2の所定値以下となったときに検出される信号であることが好ましい。
【0011】
本発明の前記発電機において、前記制御装置に電気的に接続されたスイッチを備え、前記制御装置は、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記スイッチがONからOFFになったときに前記エンジンを止めるように制御し、前記エンジン始動要求は、前記スイッチがOFFからONになったときに検出される信号であることが好ましい。
【0012】
本発明の前記発電機において、外部電源により前記バッテリを充電するための充電器を備え、前記制御装置は、前記外部電源により前記充電器を介して前記バッテリを充電しているときに前記モータリングを実施するように制御することが好ましい。
【0013】
本発明の前記発電機において、前記バッテリと電気的に接続されるとともに、前記制御装置によって制御され、かつ、電気機器と着脱可能に電気的に接続されるインバータを備えることが好ましい。
【0014】
本発明の第2の視点においては、電気自動車において、前記発電機と、放電及び蓄電可能であるとともに、前記発電機における前記バッテリと電気的に接続された他のバッテリと、駆動輪を回転駆動可能であるとともに前記駆動輪の回転動力により回生可能な他のモータジェネレータと、前記他のモータジェネレータと前記他のバッテリとの間にて前記他のモータジェネレータ及び前記他のバッテリと電気的に接続された他のインバータと、前記発電機における前記制御装置を介して前記エンジンを制御するとともに、前記発電機における前記制御装置及び前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御し、かつ、前記他のインバータを介して前記他のモータジェネレータでの回転駆動及び回生を制御する他の制御装置と、を備え、前記他の制御装置は、前記発電機における前記エンジンの停止中にエンジン始動要求があったときに前記発電機における前記制御装置を介して前記エンジンを始動して前記モータジェネレータで発電するように制御することを特徴とする。
【0015】
本発明の前記電気自動車において、前記他の制御装置は、前記他のバッテリの充電量を監視するとともに、前記発電機における前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記他のバッテリの前記充電量が第3の所定値に到達したときに前記発電機における前記制御装置を介して前記エンジンを止めるように制御し、前記エンジン始動要求は、前記他のバッテリの前記充電量が前記第3の所定値より低い第4の所定値以下となったときに検出される信号であることが好ましい。
【0016】
本発明の前記電気自動車において、外部電源により前記他のバッテリを充電するための他の充電器を備え、前記他の制御装置は、前記外部電源により前記他の充電器を介して前記他のバッテリを充電しているときに前記発電機における前記制御装置を介して前記モータリングを実施するように制御することが好ましい。
【0017】
本発明の第3の視点においては、電気自動車において、燃料の燃焼により回転動力を出力するエンジンと、前記エンジンを回転駆動可能であるとともに前記エンジンの回転動力により発電可能なモータジェネレータと、放電及び蓄電可能なバッテリと、前記モータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記モータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続されたインバータと、駆動輪を回転駆動可能であるとともに前記駆動輪の回転動力により回生可能な他のモータジェネレータと、前記他のモータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記他のモータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続された他のインバータと、前記エンジンを制御するとともに、前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御し、かつ、前記他のインバータを介して前記他のモータジェネレータでの回転駆動及び回生を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記エンジンの停止後、又は、前記モータジェネレータの回転駆動によって燃料を用いずに前記エンジンを回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントする機能を有するとともに、前記エンジン又は前記モータリングの停止から第1の所定時間を経過したときに前記モータリングを開始するように制御することを特徴とする。
【0018】
本発明の前記電気自動車において、前記制御装置は、前記モータリングを開始してから第2の所定時間を経過したときに前記モータリングを停止するように制御することが好ましい。
【0019】
本発明の前記電気自動車において、前記制御装置は、前記エンジンの停止中にエンジン始動要求があったときに前記エンジンを始動して前記モータジェネレータで発電するように制御することが好ましい。
【0020】
本発明の前記電気自動車において、前記制御装置は、前記バッテリの充電量を監視するとともに、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記バッテリの前記充電量が第1の所定値に到達したときに前記エンジンを止めるように制御し、前記エンジン始動要求は、前記バッテリの前記充電量が前記第1の所定値より低い第2の所定値以下となったときに検出される信号であることが好ましい。
【0021】
本発明の前記電気自動車において、外部電源により前記バッテリを充電するための充電器を備え、前記制御装置は、前記外部電源により前記充電器を介して前記バッテリを充電しているときに前記モータリングを実施するように制御することが好ましい。
【0022】
本発明の第4の視点において、燃料の燃焼により回転動力を出力するエンジンと、前記エンジンを回転駆動可能であるとともに前記エンジンの回転動力により発電可能なモータジェネレータと、放電及び蓄電可能なバッテリと、前記モータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記モータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続されたインバータと、前記エンジンを制御するとともに、前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御する制御装置と、を備えた発電機を制御する発電機制御方法であって、前記制御装置にて、前記エンジンの停止後、又は、前記モータジェネレータの回転駆動によって燃料を用いずに前記エンジンを回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントし、前記制御装置にて、前記エンジン又は前記モータリングの停止から第1の所定時間を経過したときに前記モータリングを開始するように制御することを特徴とする。
【0023】
本発明の前記発電機制御方法において、前記制御装置にて、前記モータリングを開始してから第2の所定時間を経過したときに前記モータリングを停止するように制御することが好ましい。
【0024】
本発明の前記発電機制御方法において、前記制御装置にて、前記エンジンの停止中にエンジン始動要求があったときに前記エンジンを始動して前記モータジェネレータで発電するように制御することが好ましい。
【0025】
本発明の前記発電機制御方法において、前記制御装置にて、前記バッテリの充電量を監視するとともに、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記バッテリの前記充電量が第1の所定値に到達したときに前記エンジンを止めるように制御し、前記エンジン始動要求は、前記バッテリの前記充電量が前記第1の所定値より低い第2の所定値以下となったときに検出される信号であることが好ましい。
【0026】
本発明の前記発電機制御方法において、前記制御装置に電気的に接続されたスイッチを備え、前記制御装置にて、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに、前記制御装置に電気的に接続されたスイッチがONからOFFになったときに前記エンジンを止めるように制御し、前記エンジン始動要求は、前記スイッチがOFFからONになったときに検出される信号であることが好ましい。
【0027】
本発明の前記発電機制御方法において、前記制御装置にて、外部電源により充電器を介して前記バッテリを充電しているときに前記モータリングを実施するように制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、エンジンを停止又はモータリングを停止してからの経過時間を監視してモータリング(モータジェネレータの回転動力により燃料を用いずにエンジンを回転)を行うため、定期点検の管理負担を軽減することができる。また、自動的かつ定期的にモータリングさせるため、エンジンにおける摺動部のエンジンオイルがオイルパンに落ち、摺動部が固着してしまうことを回避できる。また、モータリングで運転するため、燃料を消費することはない。さらに、カセットボンベ等の着脱可能な燃料が取り付けられていない場合でも運転可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1に係る発電機の構成を模式的に示したブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る発電機におけるパワー制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2に係る電気自動車の構成を模式的に示したブロック図である。
【図4】本発明の実施例3に係る電気自動車の構成を模式的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態1に係る発電機では、燃料の燃焼により回転動力を出力するエンジン(図1の11)と、前記エンジンを回転駆動可能であるとともに前記エンジンの回転動力により発電可能なモータジェネレータ(図1の12)と、放電及び蓄電可能なバッテリ(図1の14)と、前記モータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記モータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続されたインバータ(図1の13)と、前記エンジンを制御するとともに、前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御する制御装置(図1の18)と、を備え、前記制御装置は、前記エンジンの停止後、又は、前記モータジェネレータの回転駆動によって燃料を用いずに前記エンジンを回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントする機能を有するとともに、前記エンジン又は前記モータリングの停止から第1の所定時間を経過したときに前記モータリングを開始するように制御する。
【0031】
本発明の実施形態2に係る電気自動車では、実施形態1に記載の発電機(図4の1´)と、放電及び蓄電可能であるとともに、前記発電機における前記バッテリ(図4の14)と電気的に接続された他のバッテリ(図4の26)と、駆動輪(図4の21、22)を回転駆動可能であるとともに前記駆動輪の回転動力により回生可能な他のモータジェネレータ(図4の24)と、前記他のモータジェネレータと前記他のバッテリとの間にて前記他のモータジェネレータ及び前記他のバッテリと電気的に接続された他のインバータ(図4の25)と、前記発電機における前記制御装置(図4の18´)を介して前記エンジン(図4の11)を制御するとともに、前記発電機における前記制御装置及び前記インバータ(図4の13)を介して前記モータジェネレータ(図4の12)での回転駆動及び発電を制御し、かつ、前記他のインバータを介して前記他のモータジェネレータでの回転駆動及び回生を制御する他の制御装置(図4の31´)と、を備え、前記他の制御装置は、前記発電機における前記エンジンの停止中にエンジン始動要求があったときに前記発電機における前記制御装置を介して前記エンジンを始動して前記モータジェネレータで発電するように制御する。
【0032】
本発明の実施形態3に係る電気自動車では、燃料の燃焼により回転動力を出力するエンジン(図3の28)と、前記エンジンを回転駆動可能であるとともに前記エンジンの回転動力により発電可能なモータジェネレータ(図3の29)と、放電及び蓄電可能なバッテリ(図3の26)と、前記モータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記モータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続されたインバータ(図3の30)と、駆動輪(図3の21、22)を回転駆動可能であるとともに前記駆動輪の回転動力により回生可能な他のモータジェネレータ(図3の24)と、前記他のモータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記他のモータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続された他のインバータ(図3の25)と、前記エンジンを制御するとともに、前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御し、かつ、前記他のインバータを介して前記他のモータジェネレータでの回転駆動及び回生を制御する制御装置(図3の31)と、を備え、前記制御装置は、前記エンジンの停止後、又は、前記モータジェネレータの回転駆動によって燃料を用いずに前記エンジンを回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントする機能を有するとともに、前記エンジン又は前記モータリングの停止から第1の所定時間を経過したときに前記モータリングを開始するように制御する。
【0033】
本発明の実施形態4に係る発電機制御方法では、燃料の燃焼により回転動力を出力するエンジン(図1の11)と、前記エンジンを回転駆動可能であるとともに前記エンジンの回転動力により発電可能なモータジェネレータ(図1の12)と、放電及び蓄電可能なバッテリ(図1の14)と、前記モータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記モータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続されたインバータ(図1の13)と、前記エンジンを制御するとともに、前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御する制御装置(図1の18)と、を備えた発電機(図1の1)を制御する発電機制御方法であって、前記制御装置にて、前記エンジンの停止後、又は、前記モータジェネレータの回転駆動によって燃料を用いずに前記エンジンを回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントし(図2のステップA2)、前記制御装置にて、前記エンジン又は前記モータリングの停止から第1の所定時間を経過したときに前記モータリングを開始するように制御する(図2のステップA6、A7)。
【0034】
なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0035】
本発明の実施例1に係る発電機について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係る発電機の構成を模式的に示したブロック図である。
【0036】
実施例1に係る発電機1は、エンジン11の回転動力によってモータジェネレータ12で発電するエンジン式の発電機である。発電機1は、モータジェネレータ12で発電した電力や家庭用電源からの電力をバッテリ14に蓄電する機能を有する。発電機1は、バッテリ14に蓄電された電力を電気機器(家電)に供給する機能を有する。
【0037】
発電機1は、防災時、非常時にエンジン11が回転しない状況(モータジェネレータ12で発電できない状況)を回避するために、エンジン11が前回の運転終了から一定時間経過すると自動的にモータジェネレータ12を回転させて、燃料を用いずにエンジン11を回転させるモータリングを行う機能を有する。つまり、発電機1は、長期放置により、エンジン11における摺動部(ピストンとシリンダとの間の摺動面等)のエンジンオイルがオイルパンに落ち、摺動部が固着してしまうことを回避し、摺動部をエンジンオイルで潤滑した状態にするために、エンジン11が前回の運転終了から一定時間経過したときにモータリングを行う。
【0038】
発電機1は、主な構成部として、エンジン11と、モータジェネレータ12と、インバータ13と、バッテリ14と、インバータ15と、スイッチ16と、充電器17と、パワー制御装置18と、を有する。
【0039】
エンジン11は、例えば、燃料(例えば、ガソリン、軽油などの炭化水素系)の燃焼により回転動力を出力する内燃機関である。エンジン11は、燃料容器(図示せず;ガソリンタンク、ガスボンベ等)と接続されている。エンジン11は、シリンダの内部で燃料を燃焼させ、燃焼により生じた圧力によりピストンを押す力を利用してクランク機構を回転させて回転動力を出力する。エンジン11は、底部にエンジンオイルを溜めるオイルパンを有し、回転時にピストンとシリンダとの間の摺動面やクランク機構の軸受等のエンジン内各部にエンジンオイルが循環している。エンジン11は、各種センサ、アクチュエータを有し、各種センサ、アクチュエータがパワー制御装置18に電気的に接続されており、パワー制御装置18によって制御される。エンジン11は、発電・充電要求時(例えば、スイッチ16をONにした時、バッテリ14の充電量が所定値以下となった時等)、モータジェネレータ12からエンジン11への回転動力によりエンジン始動を行い、エンジン始動後、エンジン11からモータジェネレータ12への回転動力によりモータジェネレータ12を駆動して発電する。エンジン11は、発電・充電要求有りから発電・充電要求無しに移行すると停止する。エンジン11は、モータリング要求時、モータジェネレータ12からの回転動力により、燃料を用いずに回転し、エンジン内各部にエンジンオイルを循環させる。
【0040】
モータジェネレータ12は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機である。モータジェネレータ12の回転軸は、エンジン11の回転軸に連結されている。モータジェネレータ12は、インバータ13(昇降圧コンバータを含む)を介してバッテリ14と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ12は、エンジン11からの回転動力を用いて発電してバッテリ14を充電したり、バッテリ14からの電力を用いて回転動力をエンジン11に伝達してエンジン11を始動したり燃料を用いずにエンジン11を回転(モータリング)させることができる。
【0041】
インバータ13は、モータジェネレータ12とバッテリ14との間で交流電源と直流電源を変換する装置である。インバータ13は、パワー制御装置18と電気的に接続されており、パワー制御装置18からの制御信号に応じて、モータジェネレータ12の動作(駆動動作、発電動作)を制御する。インバータ13は、バッテリ14とモータジェネレータ12との間の電圧差を調整・変換する昇降圧コンバータを含む。インバータ13は、バッテリ14と電気的に接続されている。
【0042】
バッテリ14は、放電及び蓄電可能な2次電池である。バッテリ14は、インバータ13、15、及び充電器17と電気的に接続されている。バッテリ14は、パワー制御装置18と電気的に接続されており、パワー制御装置18によって充電量が監視されている。
【0043】
インバータ15は、発電機1(発電機1のコンセント)に電気的に接続された電気機器(例えば、家電)とバッテリ14との間で交流電源と直流電源を変換する。インバータ15は、パワー制御装置18と電気的に接続されており、パワー制御装置18からの制御信号に応じて、電気機器への供給電力を制御する。インバータ15は、バッテリ14と電気機器との間の電圧差を調整・変換する昇降圧コンバータを含む。インバータ15は、バッテリ14と電気的に接続されている。
【0044】
スイッチ16は、発電・充電を要求するためのON/OFFスイッチである。スイッチ16は、パワー制御装置18と電気的に接続されている。スイッチ16は、発電・充電を要求するときはONとし、発電・充電をやめるときはOFFとするように操作できるものである。
【0045】
充電器17は、家庭用電源(外部電源)によりバッテリ14を充電するための装置である。充電器17は、一端がバッテリ14に電気的に接続され、他端が家庭用電源に電気的に接続可能となっている。充電器17は、過充電とならないようにバッテリ14を保護する機能を有する。
【0046】
パワー制御装置18は、エンジン11、モータジェネレータ12、及びバッテリ14を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。パワー制御装置18は、エンジン11、インバータ13、15及びスイッチ16と電気的に接続されており、バッテリ14と電気的に接続されている。パワー制御装置18は、エンジン11(各種センサ)、スイッチ16、及びバッテリ14からの入力信号(所定の状態)やカウント情報(例えば、エンジン停止後からの経過時間等)に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。パワー制御装置18は、エンジン11の停止後からの経過時間をカウントする機能を有する。パワー制御装置18は、モータジェネレータ12の入出力トルクを制御するためにインバータ13を制御する。パワー制御装置18は、エンジン11の吸入空気量・点火時期・燃料噴射量等を制御することでエンジン11の出力トルクを制御する。パワー制御装置18は、バッテリ14の充電量SOCや入出力可能パワー等の内部状態量を監視すると共に、エンジン11を回転させて発電しているときに充電量が所定値に到達したときにエンジン11を止めてバッテリ14の保護制御を行う。パワー制御装置18は、エンジン11の停止後からの経過時間が所定時間を経過したときに、燃料を用いないでエンジン11を回転させるモータリングを行うように、インバータ13を介してモータジェネレータ12を制御する。パワー制御装置18は、家庭用電源でバッテリ14を充電している際に、燃料を用いないでエンジン11を回転させるモータリングを行うように、インバータ13を介してモータジェネレータ12を制御する。パワー制御装置18の制御処理の詳細は、後述する。
【0047】
なお、実施例1では、発電機1において充電器17を有する構成となっているが、充電器17を省略した構成としてもよい。
【0048】
次に、本発明の実施例1に係る発電機の動作について図面を用いて説明する。図2は、本発明の実施例1に係る発電機におけるパワー制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。なお、発電機の構成部については、図1を参照されたい。
【0049】
まず、パワー制御装置18は、エンジン停止要求(又はモータリング停止要求)を受けることでエンジン停止(又はモータリング停止)する(ステップA1)。
【0050】
ここで、エンジン停止とは、燃料を燃焼させて回転しているエンジン11を停止することをいう。モータリング停止とは、モータジェネレータ12によって燃料を用いないで回転しているエンジン11を、モータジェネレータ12の回転を停止することによって、停止することをいう。エンジン停止要求は、(1)燃料を燃焼させて回転しているエンジン11の回転動力により発電した電力を充電しているバッテリ14の充電量が所定量(第1の所定値)に達したとき、(2)スイッチ16をONからOFFに切り換えたとき、(3)燃料がなくなったとき等、エンジン11を回す必要がなくなった場合やエンジン11が回ることができなくなった場合に検出される信号である。モータリング停止要求とは、モータリングを開始してから所定時間経過した場合に検出される信号である。
【0051】
ステップA1の後、パワー制御装置18は、エンジン停止(又はモータリング停止)後からの経過時間をカウントする(ステップA2)。
【0052】
ステップA2の後、又は、エンジン11を停止(又はモータリングを停止)してから所定時間経過していない場合(ステップA6のNO)、パワー制御装置18は、エンジン始動要求(発電・充電要求)があるか否かを確認する(ステップA3)。エンジン始動要求がない場合(ステップA3のNO)、ステップA6に進む。
【0053】
ここで、エンジン始動要求とは、停止しているエンジン11の始動(燃料を燃焼させた回転の開始)を要求(発電・充電要求)する信号であり、(1)スイッチ16をOFFからONに切り換えたとき、(2)充電中でないバッテリ14の充電量が所定量(第2の所定値;<第1の所定値)以下となったとき等に検出される信号である。
【0054】
エンジン始動要求がある場合(ステップA3のYES)、パワー制御装置18は、エンジン始動(発電・充電開始)するように制御する(ステップA4)。
【0055】
ステップA4の後、パワー制御装置18は、バッテリ14が所定充電量(第1の所定値)に到達したか否か(又はエンジン停止要求があるか否か)を確認する(ステップA5)。所定充電量に到達していない(又はエンジン停止要求がない)場合(ステップA5のNO)、ステップA5に戻って、所定充電量に到達したか否か(又はエンジン停止要求があるか否か)の再確認を行う。一方、所定充電量に到達した(又はエンジン停止要求がある)場合(ステップA5のYES)、ステップA1に進んで、エンジン11を停止することになる。
【0056】
エンジン始動要求がない場合(ステップA3のNO)、パワー制御装置18は、エンジン11を停止(又はモータリングを停止)してから所定時間(第1の所定時間)を経過したか否かを確認する(ステップA6)。エンジン11を停止(又はモータリングを停止)してから所定時間経過していない場合(ステップA6のNO)、ステップA3に戻り、エンジン始動要求(発電・充電要求)があるか否かの再確認を行う。
【0057】
エンジン11を停止(又はモータリングを停止)してから所定時間経過した場合(ステップA6のYES)、パワー制御装置18は、モータリング(モータジェネレータ12の回転動力により燃料を用いずにエンジン11を回転)を開始するように制御する(ステップA7)。
【0058】
ステップA7の後、パワー制御装置18は、モータリングを開始してから所定時間(第2の所定時間)を経過したか否かを確認する(ステップA8)。モータリングを開始してから所定時間経過していない場合(ステップA8のNO)、ステップA8に戻り、モータリングを開始してから所定時間経過したか否かの再確認を行う。一方、モータリングを開始してから所定時間経過した場合(ステップA8のYES)、ステップA1に進んで、モータリングを停止することになる。
【0059】
実施例1によれば、エンジン11を停止(又はモータリングを停止)してからの経過時間を監視してモータリング(モータジェネレータ12の回転動力により燃料を用いずにエンジン11を回転)を行うため、定期点検の管理負担を軽減することができる。また、自動的かつ定期的にモータリングさせるため、エンジン11における摺動部のエンジンオイルがオイルパンに落ち、摺動部が固着してしまうことを回避できる。また、モータリングで運転するため、燃料を消費することはない。さらに、カセットボンベ等の着脱可能な燃料が取り付けられていない場合でも運転可能である。
【実施例2】
【0060】
本発明の実施例2に係る電気自動車について図面を用いて説明する。図3は、本発明の実施例2に係る電気自動車の構成を模式的に示したブロック図である。
【0061】
実施例2に係る電気自動車2は、実施例1に係る発電機(図1の1)の機能・動作を応用したものである。電気自動車2は、電気自動車ベースとしたシリーズ型ハイブリッド車両であり、一充電当たりの航続距離の短さを補うために、レンジエクステンダ(航続距離延長装置)と呼ばれるエンジン式の小型発電機(エンジン28、モータジェネレータ29、及びインバータ30のユニット)を搭載したものである。電気自動車2は、高出力のモータジェネレータ24(例えば、100kW程度)に対し、モータジェネレータ29を低出力(例えば、40kW程度)とし、プラグイン充電によって航続距離を確保し、バッテリ26の充電要求があるときに限り高効率にてエンジン28による発電を行う。これにより、航続距離が短く、かつ、充電時間が長いという電気自動車の弱点を克服している。
【0062】
電気自動車2は、モータジェネレータ29で発電した電力や家庭用電源からの電力をバッテリ26に蓄電する機能を有する。電気自動車2は、充電要求があるときにエンジン28が回転しない状況(モータジェネレータ29で発電できない状況)を回避するために、エンジン28が前回の運転終了から一定時間経過すると自動的にモータジェネレータ29を回転させて、燃料を用いずにエンジン28を回転させるモータリングを行う機能を有する。つまり、電気自動車2は、長期放置により、エンジン28における摺動部(ピストンとシリンダとの間の摺動面等)のエンジンオイルがオイルパンに落ち、摺動部が固着してしまうことを回避し、摺動部をエンジンオイルで潤滑した状態にするために、エンジン28が前回の運転終了から一定時間経過したときにモータリングを行う。
【0063】
電気自動車2は、主な構成部として、駆動輪21、22と、差動装置23と、モータジェネレータ24と、インバータ25と、バッテリ26と、充電器27と、エンジン28と、モータジェネレータ29と、インバータ30と、パワー制御装置31と、を有する。
【0064】
駆動輪21、22は、車両を駆動する左右の車輪である。駆動輪21、22には、モータジェネレータ24からの回転動力が差動装置23を介して伝達される。
【0065】
差動装置23は、モータジェネレータ24からの回転動力を差動可能に駆動輪21、22に伝達する装置である。
【0066】
モータジェネレータ24は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機である。モータジェネレータ24は、インバータ25を介してバッテリ26と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ24の回転動力は、差動装置23を介して駆動輪21、22に伝達される。モータジェネレータ24は、駆動輪21、22から差動装置23を介して伝達された回転動力を用いて回生してバッテリ26を充電したり、バッテリ26からの電力を用いて回転動力を出力できる。モータジェネレータ24には、インバータ25を介してパワー制御装置31によって制御される。
【0067】
インバータ25は、モータジェネレータ24とバッテリ26との間で交流電源と直流電源を変換する装置である。インバータ25は、パワー制御装置31と電気的に接続されており、パワー制御装置31からの制御信号に応じて、モータジェネレータ24の動作(駆動動作、回生動作)を制御する。インバータ25は、バッテリ26とモータジェネレータ24との間の電圧差を調整・変換する昇降圧コンバータを含む。インバータ25は、バッテリ26と電気的に接続されている。
【0068】
バッテリ26は、放電及び蓄電可能な2次電池である。バッテリ26は、インバータ25、30、及び充電器27と電気的に接続されている。バッテリ26は、パワー制御装置31と電気的に接続されており、パワー制御装置31によって充電量が監視されている。
【0069】
充電器27は、家庭用電源によりバッテリ26を充電するための装置である。充電器27は、一端がバッテリ26に電気的に接続され、他端が家庭用電源に電気的に接続可能となっている。充電器27は、過充電とならないようにバッテリ26を保護する機能を有する。
【0070】
エンジン28は、例えば、燃料(例えば、ガソリン、軽油などの炭化水素系)の燃焼により回転動力を出力する内燃機関である。エンジン28は、燃料容器(図示せず;ガソリンタンク、ガスボンベ等)と接続されている。エンジン28は、シリンダの内部で燃料を燃焼させ、燃焼により生じた圧力によりピストンを押す力を利用してクランク機構を回転させて回転動力を出力する。エンジン28は、底部にエンジンオイルを溜めるオイルパンを有し、回転時にピストンとシリンダとの間の摺動面やクランク機構の軸受等のエンジン内各部にエンジンオイルが循環している。エンジン28は、各種センサ、アクチュエータを有し、各種センサ、アクチュエータがパワー制御装置31に電気的に接続されており、パワー制御装置31によって制御される。エンジン28は、発電・充電要求時(例えば、バッテリ26の充電量が所定値以下となった時等)、モータジェネレータ29からエンジン28への回転動力によりエンジン始動を行い、エンジン始動後、エンジン28からモータジェネレータ29への回転動力によりモータジェネレータ29を駆動して発電する。エンジン28は、発電・充電要求有りから発電・充電要求無しに移行すると停止する。エンジン28は、モータリング要求時、モータジェネレータ29からの回転動力により、燃料を用いずに回転し、エンジン内各部にエンジンオイルを循環させる。なお、エンジン28の回転動力は、電気自動車2の走行に用いられるものではない。
【0071】
モータジェネレータ29は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機である。モータジェネレータ29の回転軸は、エンジン28の回転軸に連結されている。モータジェネレータ29は、インバータ30(昇降圧コンバータを含む)を介してバッテリ26と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ29は、エンジン28からの回転動力を用いて発電してバッテリ26を充電したり、バッテリ26からの電力を用いて回転動力をエンジン28に伝達してエンジン28を始動したり燃料を用いずにエンジン28を回転(モータリング)させることができる。
【0072】
インバータ30は、モータジェネレータ29とバッテリ26との間で交流電源と直流電源を変換する装置である。インバータ30は、パワー制御装置31と電気的に接続されており、パワー制御装置31からの制御信号に応じて、モータジェネレータ29の動作(駆動動作、発電動作)を制御する。インバータ30は、バッテリ26とモータジェネレータ29との間の電圧差を調整・変換する昇降圧コンバータを含む。インバータ30は、バッテリ26と電気的に接続されている。
【0073】
パワー制御装置31は、エンジン28、モータジェネレータ24、29、及びバッテリ26を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。パワー制御装置31は、エンジン28、及びインバータ25、30と電気的に接続されており、バッテリ26と電気的に接続されている。パワー制御装置31は、図示されていないアクセル開度センサ等と電気的に接続されている。パワー制御装置31は、エンジン28(各種センサ)、及びバッテリ26からの入力信号(所定の状態)やカウント情報(例えば、エンジン停止後からの経過時間等)に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。パワー制御装置31は、エンジン28の停止後からの経過時間をカウントする機能を有する。パワー制御装置31は、モータジェネレータ29の入出力トルクを制御するためにインバータ30を制御する。パワー制御装置31は、エンジン28の吸入空気量・点火時期・燃料噴射量等を制御することでエンジン28の出力トルクを制御する。パワー制御装置31は、バッテリ26の充電量SOCや入出力可能パワー等の内部状態量を監視すると共に、エンジン28を回転させて発電しているときに充電量が所定値に到達したときにエンジン28を止めてバッテリ26の保護制御を行う。パワー制御装置31は、エンジン28の停止後からの経過時間が所定時間を経過したときに、燃料を用いないでエンジン28を回転させるモータリングを行うように、インバータ30を介してモータジェネレータ29を制御する。パワー制御装置31は、家庭用電源でバッテリ26を充電している際に、燃料を用いないでエンジン28を回転させるモータリングを行うように、インバータ30を介してモータジェネレータ29を制御する。パワー制御装置31は、アクセル開度に応じて、インバータ25を介してモータジェネレータ24を制御する。
【0074】
なお、実施例2に係る電気自動車2のエンジン28の始動・停止、モータリング開始・停止に関する動作は、スイッチ(図1の16参照)による動作を除いて、実施例1(図2参照)の動作と同様である。
【0075】
実施例2によれば、実施例1と同様な効果を奏する。
【実施例3】
【0076】
本発明の実施例3に係る電気自動車について図面を用いて説明する。図4は、本発明の実施例3に係る電気自動車の構成を模式的に示したブロック図である。
【0077】
実施例3に係る電気自動車2´は、実施例1に係る発電機(図1の1)と同様な発電機1´を着脱可能に搭載できるように、実施例2に係る電気自動車(図3の2)を変形したものである。電気自動車2´は、主な構成部として、駆動輪21、22と、差動装置23と、モータジェネレータ24と、インバータ25と、バッテリ26と、充電器27と、発電機1´と、パワー制御装置31´と、を有する。なお、駆動輪21、22、差動装置23、モータジェネレータ24、インバータ25、バッテリ26、及び充電器27については、実施例2と同様である。
【0078】
発電機1´は、電気自動車2´に着脱可能に搭載される発電機である。発電機1´は、実施例1の発電機(図1の1)とほぼ同様であるが、発電機1´に内蔵されたバッテリ14と、発電機1´の外部のバッテリ26とが着脱可能に電気的に接続され、発電機1´に内蔵されたパワー制御装置18´と、発電機1´の外部のパワー制御装置31´とが着脱可能に電気的に接続されるようになっている点が異なる。なお、発電機1´におけるエンジン11、モータジェネレータ12、インバータ13、バッテリ14、インバータ15、スイッチ16、及び充電器17の構成については、実施例1と同様である。
【0079】
パワー制御装置18´は、エンジン11、モータジェネレータ12、及びバッテリ14を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。パワー制御装置18´は、エンジン11、インバータ13、15及びスイッチ16と電気的に接続されており、バッテリ14と電気的に接続されており、パワー制御装置31´と着脱可能に電気的に接続されている。パワー制御装置18´は、エンジン11(各種センサ)、スイッチ16、バッテリ14、及びパワー制御装置31´からの入力信号(所定の状態、制御信号)やカウント情報(例えば、エンジン停止後からの経過時間等)に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。パワー制御装置18´は、エンジン11の停止後からの経過時間をカウントする機能を有する。パワー制御装置18´は、モータジェネレータ12の入出力トルクを制御するためにインバータ13を制御する。パワー制御装置18´は、エンジン11の吸入空気量・点火時期・燃料噴射量等を制御することでエンジン11の出力トルクを制御する。パワー制御装置18´は、バッテリ14の充電量SOCや入出力可能パワー等の内部状態量を監視すると共に、エンジン11を回転させて発電しているときに充電量が所定値に到達したときにエンジン11を止めてバッテリ14の保護制御を行う。パワー制御装置18´は、エンジン11の停止後からの経過時間が所定時間を経過したときに、燃料を用いないでエンジン11を回転させるモータリングを行うように、インバータ13を介してモータジェネレータ12を制御する。パワー制御装置18´は、家庭用電源でバッテリ14を充電している際に、燃料を用いないでエンジン11を回転させるモータリングを行うように、インバータ13を介してモータジェネレータ12を制御する。パワー制御装置18´は、燃料を燃焼させて回転しているエンジン11の回転動力により発電した電力を充電しているバッテリ26の充電量が所定量に達したときに、パワー制御装置31´からエンジン停止要求を受けることで、エンジン11を停止させるように制御する。パワー制御装置18´は、充電中でないバッテリ26の充電量が所定量未満となったときに、パワー制御装置31´からエンジン始動要求を受けることで、エンジン始動(発電・充電開始)するように制御する。パワー制御装置31´のその他の制御処理・動作は、実施例1と同様である。
【0080】
パワー制御装置31´は、モータジェネレータ24及びバッテリ26を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。パワー制御装置31´は、パワー制御装置18´と着脱可能に電気的に接続されており、パワー制御装置18´を介してエンジン11、モータジェネレータ12、及びバッテリ14を制御する。パワー制御装置31´は、インバータ25と電気的に接続されており、バッテリ26と電気的に接続されている。パワー制御装置31´は、図示されていないアクセル開度センサ等と電気的に接続されている。パワー制御装置31´は、バッテリ26からの入力信号(所定の状態)やカウント情報(例えば、エンジン停止後からの経過時間等)に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。パワー制御装置31´は、モータジェネレータ12の入出力トルクを制御するために、パワー制御装置18´を介してインバータ13を制御する。パワー制御装置31´は、パワー制御装置18´を介してエンジン11の吸入空気量・点火時期・燃料噴射量等を制御することでエンジン11の出力トルクを制御する。パワー制御装置31´は、バッテリ26の充電量SOCや入出力可能パワー等の内部状態量を監視すると共に、エンジン11を回転させて発電しているときに充電量が所定値に到達したときに、パワー制御装置18´を介してエンジン11を止めてバッテリ26の保護制御を行う。パワー制御装置31´は、家庭用電源でバッテリ26を充電している際に、燃料を用いないでエンジン11を回転させるモータリングを行うように、パワー制御装置18´及びインバータ13を介してモータジェネレータ12を制御する。パワー制御装置31´は、アクセル開度に応じて、インバータ25を介してモータジェネレータ24を制御する。
【0081】
実施例3によれば、実施例1と同様な効果を奏する。
【0082】
なお、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0083】
1、1´ 発電機
2、2´ 電気自動車
11 エンジン
12 モータジェネレータ
13 インバータ
14 バッテリ
15 インバータ
16 スイッチ
17 充電器
18、18´ パワー制御装置(制御装置)
21、22 駆動輪
23 差動装置
24 モータジェネレータ(他のモータジェネレータ)
25 インバータ(他のインバータ)
26 バッテリ
27 充電器
28 エンジン
29 モータジェネレータ
30 インバータ
31 パワー制御装置(制御装置)
31´ パワー制御装置(他の制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の燃焼により回転動力を出力するエンジンと、
前記エンジンを回転駆動可能であるとともに前記エンジンの回転動力により発電可能なモータジェネレータと、
放電及び蓄電可能なバッテリと、
前記モータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記モータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続されたインバータと、
前記エンジンを制御するとともに、前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記エンジンの停止後、又は、前記モータジェネレータの回転駆動によって燃料を用いずに前記エンジンを回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントする機能を有するとともに、前記エンジン又は前記モータリングの停止から第1の所定時間を経過したときに前記モータリングを開始するように制御することを特徴とする発電機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記モータリングを開始してから第2の所定時間を経過したときに前記モータリングを停止するように制御することを特徴とする請求項1記載の発電機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記エンジンの停止中にエンジン始動要求があったときに前記エンジンを始動して前記モータジェネレータで発電するように制御することを特徴とする請求項1又は2記載の発電機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記バッテリの充電量を監視するとともに、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記バッテリの前記充電量が第1の所定値に到達したときに前記エンジンを止めるように制御し、
前記エンジン始動要求は、前記バッテリの前記充電量が前記第1の所定値より低い第2の所定値以下となったときに検出される信号であることを特徴とする請求項3記載の発電機。
【請求項5】
前記制御装置に電気的に接続されたスイッチを備え、
前記制御装置は、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記スイッチがONからOFFになったときに前記エンジンを止めるように制御し、
前記エンジン始動要求は、前記スイッチがOFFからONになったときに検出される信号であることを特徴とする請求項3又は4記載の発電機。
【請求項6】
外部電源により前記バッテリを充電するための充電器を備え、
前記制御装置は、前記外部電源により前記充電器を介して前記バッテリを充電しているときに前記モータリングを実施するように制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の発電機。
【請求項7】
前記バッテリと電気的に接続されるとともに、前記制御装置によって制御され、かつ、電気機器と着脱可能に電気的に接続されるインバータを備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の発電機。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一に記載の発電機と、
放電及び蓄電可能であるとともに、前記発電機における前記バッテリと電気的に接続された他のバッテリと、
駆動輪を回転駆動可能であるとともに前記駆動輪の回転動力により回生可能な他のモータジェネレータと、
前記他のモータジェネレータと前記他のバッテリとの間にて前記他のモータジェネレータ及び前記他のバッテリと電気的に接続された他のインバータと、
前記発電機における前記制御装置を介して前記エンジンを制御するとともに、前記発電機における前記制御装置及び前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御し、かつ、前記他のインバータを介して前記他のモータジェネレータでの回転駆動及び回生を制御する他の制御装置と、
を備え、
前記他の制御装置は、前記発電機における前記エンジンの停止中にエンジン始動要求があったときに前記発電機における前記制御装置を介して前記エンジンを始動して前記モータジェネレータで発電するように制御することを特徴とする電気自動車。
【請求項9】
前記他の制御装置は、前記他のバッテリの充電量を監視するとともに、前記発電機における前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記他のバッテリの前記充電量が第3の所定値に到達したときに前記発電機における前記制御装置を介して前記エンジンを止めるように制御し、
前記エンジン始動要求は、前記他のバッテリの前記充電量が前記第3の所定値より低い第4の所定値以下となったときに検出される信号であることを特徴とする請求項8記載の電気自動車。
【請求項10】
外部電源により前記他のバッテリを充電するための他の充電器を備え、
前記他の制御装置は、前記外部電源により前記他の充電器を介して前記他のバッテリを充電しているときに前記発電機における前記制御装置を介して前記モータリングを実施するように制御することを特徴とする請求項8又は9記載の電気自動車。
【請求項11】
燃料の燃焼により回転動力を出力するエンジンと、
前記エンジンを回転駆動可能であるとともに前記エンジンの回転動力により発電可能なモータジェネレータと、
放電及び蓄電可能なバッテリと、
前記モータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記モータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続されたインバータと、
駆動輪を回転駆動可能であるとともに前記駆動輪の回転動力により回生可能な他のモータジェネレータと、
前記他のモータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記他のモータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続された他のインバータと、
前記エンジンを制御するとともに、前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御し、かつ、前記他のインバータを介して前記他のモータジェネレータでの回転駆動及び回生を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記エンジンの停止後、又は、前記モータジェネレータの回転駆動によって燃料を用いずに前記エンジンを回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントする機能を有するとともに、前記エンジン又は前記モータリングの停止から第1の所定時間を経過したときに前記モータリングを開始するように制御することを特徴とする電気自動車。
【請求項12】
前記制御装置は、前記モータリングを開始してから第2の所定時間を経過したときに前記モータリングを停止するように制御することを特徴とする請求項11記載の電気自動車。
【請求項13】
前記制御装置は、前記エンジンの停止中にエンジン始動要求があったときに前記エンジンを始動して前記モータジェネレータで発電するように制御することを特徴とする請求項11又は12記載の電気自動車。
【請求項14】
前記制御装置は、前記バッテリの充電量を監視するとともに、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記バッテリの前記充電量が第1の所定値に到達したときに前記エンジンを止めるように制御し、
前記エンジン始動要求は、前記バッテリの前記充電量が前記第1の所定値より低い第2の所定値以下となったときに検出される信号であることを特徴とする請求項13記載の電気自動車。
【請求項15】
外部電源により前記バッテリを充電するための充電器を備え、
前記制御装置は、前記外部電源により前記充電器を介して前記バッテリを充電しているときに前記モータリングを実施するように制御することを特徴とする請求項11乃至14のいずれか一に記載の電気自動車。
【請求項16】
燃料の燃焼により回転動力を出力するエンジンと、前記エンジンを回転駆動可能であるとともに前記エンジンの回転動力により発電可能なモータジェネレータと、放電及び蓄電可能なバッテリと、前記モータジェネレータと前記バッテリとの間にて前記モータジェネレータ及び前記バッテリと電気的に接続されたインバータと、前記エンジンを制御するとともに、前記インバータを介して前記モータジェネレータでの回転駆動及び発電を制御する制御装置と、を備えた発電機を制御する発電機制御方法であって、
前記制御装置にて、前記エンジンの停止後、又は、前記モータジェネレータの回転駆動によって燃料を用いずに前記エンジンを回転させるモータリングの停止後からの経過時間をカウントし、
前記制御装置にて、前記エンジン又は前記モータリングの停止から第1の所定時間を経過したときに前記モータリングを開始するように制御することを特徴とする発電機制御方法。
【請求項17】
前記制御装置にて、前記モータリングを開始してから第2の所定時間を経過したときに前記モータリングを停止するように制御することを特徴とする請求項16記載の発電機制御方法。
【請求項18】
前記制御装置にて、前記エンジンの停止中にエンジン始動要求があったときに前記エンジンを始動して前記モータジェネレータで発電するように制御することを特徴とする請求項16又は17記載の発電機制御方法。
【請求項19】
前記制御装置にて、前記バッテリの充電量を監視するとともに、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに前記バッテリの前記充電量が第1の所定値に到達したときに前記エンジンを止めるように制御し、
前記エンジン始動要求は、前記バッテリの前記充電量が前記第1の所定値より低い第2の所定値以下となったときに検出される信号であることを特徴とする請求項18記載の発電機制御方法。
【請求項20】
前記制御装置に電気的に接続されたスイッチを備え、
前記制御装置にて、前記エンジンの回転動力により前記モータジェネレータで発電しているときに、前記制御装置に電気的に接続されたスイッチがONからOFFになったときに前記エンジンを止めるように制御し、
前記エンジン始動要求は、前記スイッチがOFFからONになったときに検出される信号であることを特徴とする請求項18又は19記載の発電機制御方法。
【請求項21】
前記制御装置にて、外部電源により充電器を介して前記バッテリを充電しているときに前記モータリングを実施するように制御することを特徴とする請求項16乃至20のいずれか一に記載の発電機制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71508(P2013−71508A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210479(P2011−210479)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】