説明

白金化合物のナノ粒子配合物

白金化合物の固体脂質ナノ粒子、特に、抗腫瘍性白金錯体が開示されている。本発明のナノ粒子は、a)溶融脂質、界面活性剤および場合により共界面活性剤、ならびに白金化合物水溶液を混合することにより第一のミクロエマルジョンを調製し;b)界面活性剤および場合により共界面活性剤を水中で混合し、好ましくはa)で使用した脂質と同じ溶融温度で、完全な溶液にまで加熱し、そして共界面活性剤を加えることにより、溶液を調製し;c)a)で得たミクロエマルジョンをb)で得た溶液に分散してマルチプルミクロエマルジョンc)を得て;d)c)で得たミクロエマルジョンを0.5〜4℃の範囲の温度で、水性媒体に分散して固体脂質ミクロスフェアを得て;e)d)で得た脂質ミクロスフェアを限外濾過を通して水性媒体で洗浄し、そして場合により膨張性薬剤および凍結防止剤の存在下に、凍結乾燥することを含む方法により得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療関連の白金化合物の固体脂質ナノ粒子(Solid lipid nano particle)に関する。
【0002】
発明の背景
固体脂質ナノ粒子もしくはミクロ粒子(SLNまたはSLM)またはナノスフェアは、1ミクロン未満の平均直径を有する、通常、数百〜数ナノメーターの範囲の脂質粒子であり、それらは、制御された薬物送達用の担体として徹底的に研究されている。SLNは、例えば高圧均質化(EP605497)およびミクロエマルジョン(US5,250,236)を介するものを含む、いくつかの方法により、固体脂質から製造することができる。
【0003】
SLNの製造および薬学的応用のレビューが、例えば、Eur. J. Pharmaceutics and Biopharmaceutics, 50 (2000), 161-177およびPharm. Technol. Eur. 13 (2001) 32-42に報告されている。
【0004】
薬物の非経口投与に適切なSLMの形態の医薬組成物が、特に、EP988031に開示されている。その配合物は、脂肪酸、PEG−ステアレート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン−PEG等のような特定の化合物により特徴付けされ、それは食作用を回避してミクロ粒子を安定化する。
【0005】
粘膜組織および血液脳関門を越えての薬物送達用に特に適したミクロ粒子は、WO99/27918およびUS6,419,949に開示されている。異なる種類の抗生物質、ホルモンおよび抗腫瘍剤を含むいくつかの医薬が、具体的に記載されている。
【0006】
白金化合物は、固形腫瘍を処置するために使用される最も有効な抗癌薬の一つである。静脈内投与の後、白金種は、時間依存的な動力学で血漿タンパク質に不可逆的に結合(共有結合)する傾向があり、投与から数時間以内には90%超の薬物が結合する。さらに、いくつかの新規な白金錯体では、血漿水中で遊離し、血漿タンパク質に可逆的に結合する薬物の一部が、進行性で迅速な分解を受けて不活性な脱白金種を生成する。おそらく求核性チオール含有内因性分子(例えば、システイン残基、グルタチオン)との相互作用による、血漿中での白金化合物の化学的不安定さが原因で、これらの種は、発生すると思われる。ヒトにおける血漿タンパク質の高程度な結合が、おそらくは、そのような相互作用に有利に働く。血漿タンパク質への高度な不可逆的な結合およびヒト血漿中での速い分解の双方が、臨床試験における白金化合物の効能を阻害すると思われる。
発明の説明
【0007】
抗腫瘍活性を有する白金化合物は、有利には、SLNまたはSLMに配合することができ、驚くことに、その治療指数を改善する。
【0008】
本発明によれば、好ましい白金化合物として、白金金属原子が適切な配位子、特にアニオン性配位子およびアミノ基含有配位子によりキレートされている白金錯体が挙げられる。
【0009】
好ましい化合物は、US6,022,892、US6,060,616、US5,744,497、US6,011,166、およびUS6,596,889に記載されている。
【0010】
特に好ましい化合物は:
US5,744,497の実施例6に記載の、式I:
【0011】
【化6】

【0012】
のトランス−{ビス[トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)(μ−1,6−ヘキサンジアミン)]}ジアミン白金四硝酸塩、
US6,022,892の実施例17、15頁15〜31行に記載の、式II:
【0013】
【化7】

【0014】
のビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}μ−(1,16−ジアミノ−7,10−ジアザヘキサデカン−N1,N16)二硝酸塩.2HNO3
US6,022,892の実施例17、15頁32〜38行に記載の、式III
【0015】
【化8】

【0016】
のビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}μ−(1,16−ジアミノ−6,11−ジアザヘキサデカン−N1,N16)二硝酸塩.2HNO3
US6,596,889の実施例2に記載の、式IV:
【0017】
【化9】

【0018】
のビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}−μ−(1,12−ジアミノ−4,9−ジアザドデカン−N1,N12)二硝酸塩.2HNO3
US6,596,889の実施例1に記載の、式V:
【0019】
【化10】

【0020】
のビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}−μ−(1,8−ジアミノ−4−アザオクタン−N1,N8)二硝酸塩.HNO3である。
【0021】
白金化合物の固体脂質ナノ粒子(SLN)の配合物は、固体脂質、界面活性剤、および共界面活性剤を賦形剤として使用し、ここに参照として取り込まれる、上記の特許文献中に開示されている方法のいずれを用いても得ることができる。
【0022】
白金化合物のナノ粒子は、記載の技術(US5,250,236)を用いて、温ミクロエマルジョンから得られる。SLNは、ミクロエマルジョンの内相中に溶解しうる親水性または疎水性白金化合物と共に入れられる。
【0023】
より詳細には、本発明の白金錯体のナノ粒子は、
a)溶融脂質、界面活性剤および場合により共界面活性剤、ならびに白金化合物水溶液を混合することにより第一のミクロエマルジョンを調製し;
b)界面活性剤および場合により共界面活性剤を水中で混合し、好ましくはa)で使用した脂質と同じ溶融温度で、完全な溶液にまで加熱し、そして共界面活性剤を加えることにより、溶液を調製し;
c)a)で得たミクロエマルジョンをb)で得た溶液に分散してマルチプルミクロエマルジョンc)を得て;
d)c)で得たミクロエマルジョンを0.5〜4℃の範囲の温度で、水性媒体に分散して固体脂質ミクロスフェアを得て;
e)d)で得た脂質ミクロスフェアを限外濾過を通して水性媒体で洗浄し、そして場合により膨張性薬剤および凍結防止剤の存在下に、凍結乾燥する;
ことを含む方法により得られる。
【0024】
デキストラン等のような慣用の膨張性薬剤を、有利に使用しうる。
【0025】
本発明によって使用される脂質成分は、例えばトリラウリン、トリパルミチンおよびトリステアリン等のようなトリグリセリド、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸のような脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールのようなアルコールを含む群から選択される。界面活性剤は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、レシチンおよびリン脂質、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween20、Tween40、Tween80)、ソルビタンエステル(Span20、Span40、Span60、Span80)、セラミド、シンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレングリコール非イオン性ブロックコポリマーまたはスクロース脂肪酸エステルを含む群から選択される。共界面活性剤は、低分子量アルコールまたはグリコール、例えばイソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘキサンジオール、プロピレングリコール、低分子量脂肪酸、例えば酪酸およびヘキサン酸、リン酸とベンジルアルコールのエステルを含む群から選択される。
【0026】
ステアリン酸が、脂質物質として好ましい。
【0027】
好ましい界面活性剤として、大豆ホスファチジルコリン、タウロコール酸ナトリウムおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0028】
好ましい共界面活性剤として、イソプロパノールが挙げられる。本発明に係るミクロスフェアの製造において、種々の物質が以下の比率で使用される:全体の4〜25重量%、好ましくは4〜12重量%の間の、薬物を含みうる脂質成分;
全体の40〜70重量%、好ましくは55〜65重量%の間の、水;
全体の8〜30重量%、好ましくは12〜22重量%の間の、界面活性剤;
全体の0〜15重量%、好ましくは6〜12重量%の間の、共界面活性剤。
【0029】
温ミクロエマルジョンを分散するための水の容積は、ミクロエマルジョンの容積に対して、5〜50倍の容積、好ましくは5〜20倍の容積の水である。
【0030】
白金化合物−SLNは、平均直径が70〜200nmである、球体形状のものであり、静脈内投与および経口投与に適切である。
【0031】
白金化合物−SLNは、経口ルートで投与された場合、リンパを通して吸収される。静脈内に投与された場合、SLNは、溶液配合物の投与後に観察される白金化合物の薬物動態学を有意に変えることができる。また、SLNは、数分以内に腫瘍細胞中に入ることができ、US6,238,694、US6,419,949に記載されているように、生理学的障壁を乗り越えることができる。
【0032】
ナノ粒子は、さらに精巧に作製されて、ステルスSLNを得ることができ、US6,419,949に記載されているように、網内系認識を回避することができる。
【0033】
本発明に係る抗腫瘍治療における白金化合物−SLNの使用は、以下の長所をもたらす:
1.吸収の悪い白金化合物または腸ルーメン中で不安定な化合物の経口生体利用率の改善;
2.経口投与後の白金化合物と胃/腸粘膜の間の望ましくない相互作用の軽減、したがって局所毒性の最小化;
3.肝臓初回通過効果のない、リンパ系を介してのナノ粒子の吸収による経口生体利用率の最大化;
4.水溶性に乏しい白金化合物を非経口ルートによって投与できる可能性;
5.白金化合物−タンパク質結合の軽減および薬物分布の速度と程度の増大;
6.腫瘍対象物に到達する前に、化合物を分解/不活性化しうる血中の内因性分子からの白金化合物保護;
7.配合物からの薬物放出のペースを落とすことにより静脈内的に投与された白金化合物の薬物動態学的プロフィールを変えて、そのようにして、ピーク濃度を減少させ且つ体循環中での滞留時間を増加させること;
8.腫瘍細胞への治療指数の改善(向上した透過性および保持効果)および、より良い抗癌効能での細胞内への白金化合物の徐放;
9.血液脳関門の通過を含む、薬物分布パターンの改変。
【0034】
本発明の白金化合物−SLNは、白金化合物に通常応答性の癌に冒された患者に投与することができ、好適には、経口投与および静脈内投与用の医薬配合物中に配合される。適当な投薬計画へのガイドラインは、白金化合物を開示している上記のUS特許に見出しうる。
【0035】
実施例
実施例1
ビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}μ−(1,16−ジアミノ−7,10−ジアザヘキサデカン−N1,N16)二硝酸塩.2HNO3のSLN
式IIのビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}μ−(1,16−ジアミノ−7,10−ジアザヘキサデカン−N1,N16)二硝酸塩.2HNO3(US6,022,892の実施例17、15頁25〜31行に記載)は、種々の腫瘍細胞系において顕著な抗腫瘍活性を与える強力なビス白金錯体である。この化合物のナノ粒子は、レシチン、ステアリン酸、タウロコール酸塩、プロピオン酸、およびビス白金化合物の水溶液(0.01M NaCl、0.01M HCl)を用いて、上記(US5,250,236)の手法で製造された。温ミクロエマルジョンは、冷水(1〜4℃)中に分散した。ナノ粒子分散液は、蒸留水で限外濾過(100,000Daカットオフ)により繰り返し洗浄した。
【0036】
得られたビス白金錯体−SLNのHPLCおよびICP分析は、投入されたビス白金錯体の90%超が、ナノ粒子に組み込まれたことを示した。SLN平均直径は、Malvern Zetasizer 3000HSで測定して、120nmであった。
【0037】
白金化合物は、固体脂質ナノ粒子に組み込まれた場合、ヒト血漿中で安定であり、血漿タンパク質と相互作用しない。ビス白金化合物−SLNは、CD1マウスに投与された場合、十分に受容されるものであり、同じ化合物の水溶液と比較した場合に、改良された治療指数を示す。
【0038】
実施例2
ステアリン酸0.4gを約71℃で溶融し、大豆ホスファチジルコリン0.32gを加えて、熱い透明溶液を得た。次いで、プロピオン酸260μlおよび0.01N HCl水溶液中の式IIの化合物(9mg/ml)200μlを加えて、透明なミクロエマルジョン(ミクロ1)を得た。
別個に、水4ml中の大豆ホスファチジルコリン(0.56g)、タウロコール酸ナトリウム(0.67g)およびプロピオン酸(560μl)の溶液を調製し、71℃にした(溶液2)。
次いで、ミクロ1を溶液2に注いで、71℃で透明ミクロエマルジョンを得て、その後、それを、1℃でミクロエマルジョンの容積に対して8倍の容積の水に撹拌下に分散し、容積46mlの脂質ナノスフェアを得た。
最後に、分散液を、VIVAFLOW50 100kDaカットオフを用いて、毎回水46mlを加えて、タンジェンシャル・フロー濾過により3回洗浄した。
ナノスフェアは、Malvern Zetasizer 3000HSで測定して、平均直径141nmを有しており、また、多分散指数は0.36であった。
【0039】
実施例3
ステアリン酸0.36g、パルミチン酸0.36gおよび大豆ホスファチジルコリン0.28gを約52℃で溶融した。次いで、イソプロピルアルコール400μlおよびタウロコール酸ナトリウム0.12gを加えた。次いで、0.05mM H2SO4水溶液中の式IIの化合物の溶液(9mg/ml)400μlを加えて、透明なミクロエマルジョン(ミクロ1)を得た。
別個に、大豆ホスファチジルコリン(0.35g)、タウロコール酸ナトリウム(1.2g)、イソプロピルアルコール(800μl)および0.05mM H2SO4水溶液8mlの溶液を調製し、52℃にした(溶液2)。
次いで、ミクロ1を溶液2に注いで、52℃で透明ミクロエマルジョンを得て、その後、それを、1℃でミクロエマルジョンの容積に対して10倍の容積の水に撹拌下に分散し、容積96mlの脂質ナノスフェアを得た。
最後に、分散液を、PALL MINIMATE TFFカプセル 100kDaカットオフを用いて、毎回0.032mM HCl水溶液96mlを加えて、タンジェンシャル・フロー濾過により2回洗浄した。
デキストラン(分散液100mlに対して3g)を添加後、分散液を凍結乾燥した。
凍結乾燥プロセス後に得られたナノスフェアは、Malvern Zetasizer 3000HSAで測定して、平均直径324nmを有しており、また、多分散指数は0.5であった。
【0040】
実施例4
ステアリン酸0.4gおよび大豆ホスファチジルコリン0.28gを約72℃で溶融した。次いで、イソプロピルアルコール200μlおよびタウロコール酸ナトリウム0.06gを加えた。次いで、10mM HNO3水溶液中の式IIの化合物(9mg/ml)200μlを加えて、透明なミクロエマルジョン(ミクロ1)を得た。
別個に、10mM HNO3水溶液4ml中の大豆ホスファチジルコリン(0.35g)、タウロコール酸ナトリウム(0.67g)およびイソプロピルアルコール(400μl)の溶液を調製し、72℃にした(溶液2)。
次いで、ミクロ1を溶液2に注いで、72℃で透明ミクロエマルジョンを得て、その後、それを、1℃でミクロエマルジョンの容積に対して6倍の容積の水に撹拌下に分散し、容積32mlの脂質ナノスフェアを得た。
最後に、分散液を、VIVAFLOW50 100kDaカットオフを用いて、毎回HNO3(1mM)水溶液32mlを加えて、タンジェンシャル・フロー濾過により2回洗浄した。
ナノスフェアは、Malvern Zetasizer 3000HSAで測定して、平均直径140nmを有しており、また、多分散指数は0.26であった。
【0041】
実施例5
ステアリン酸0.4gおよび大豆ホスファチジルコリン0.32gを約70℃で溶融した。次いで、オクタン酸280μlおよびタウロコール酸ナトリウム0.04gを加えた。次いで、0.01N HCl水溶液中の式IIの化合物(9mg/ml)200μlを加えて、透明なミクロエマルジョン(ミクロ1)を得た。
別個に、大豆ホスファチジルコリン(0.32g)、タウロコール酸ナトリウム(0.66g)、オクタン酸(40μl)およびイソプロピルアルコール(400μl)ならびに水4mlの溶液を調製し、70℃にした(溶液2)。
次いで、ミクロ1を溶液2に注いで、70℃で透明ミクロエマルジョンを得て、その後、それを、1℃でミクロエマルジョンの容積に対して8倍の容積の水に撹拌下に分散し、容積44mlの脂質ナノスフェアを得た。
最後に、分散液を、毎回水44mlを加えて、100kDaカットオフでの限外濾過により、2回洗浄した。
ナノスフェアは、Malvern Zetasizer 3000HSAで測定して、平均直径242nmを有しており、また、多分散指数は0.20であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金化合物の固体脂質ナノ粒子。
【請求項2】
白金化合物が白金錯体である、請求項1に記載の固体脂質ナノ粒子。
【請求項3】
白金錯体が、式I:
【化1】


のトランス−{ビス[トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)(μ−1,6−ヘキサンジアミン)]}ジアミン白金四硝酸塩、
式II:
【化2】


のビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}μ−(1,16−ジアミノ−7,10−ジアザヘキサデカン−N1,N16)二硝酸塩.2HNO3
式III:
【化3】


のビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}μ−(1,16−ジアミノ−6,11−ジアザヘキサデカン−N1,N16)二硝酸塩.2HNO3
式IV:
【化4】


のビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}−μ−(1,12−ジアミノ−4,9−ジアザドデカン−N1,N12)二硝酸塩.2HNO3
式V:
【化5】


のビス{トランス(ジアミン)(クロロ)白金(II)}−μ−(1,8−ジアミノ−4−アザオクタン−N1,N8)二硝酸塩.HNO3から選択されるものである、請求項2に記載の固体脂質ナノ粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の固体脂質ナノ粒子の製造方法であって、
a)溶融脂質、界面活性剤および場合により共界面活性剤、ならびに白金化合物水溶液を混合することにより第一のミクロエマルジョンを調製し;
b)界面活性剤および場合により共界面活性剤を水中で混合し、好ましくはa)で使用した脂質と同じ溶融温度で、完全な溶液にまで加熱し、そして共界面活性剤を加えることにより、溶液を調製し;
c)a)で得たミクロエマルジョンをb)で得た溶液に分散して、マルチプルミクロエマルジョンc)を得て;
d)c)で得たミクロエマルジョンを0.5〜4℃の範囲の温度で、水性媒体に分散して固体脂質ミクロスフェアを得て;
e)d)で得られた脂質ミクロスフェアを、限外濾過を通して水性媒体で洗浄し、そして場合により膨張性薬剤および凍結防止剤の存在下に、凍結乾燥する;
ことを含む方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項記載の固体脂質ナノ粒子を含む医薬組成物。
【請求項6】
白金錯体に感受性の癌に冒された患者の処置方法であって、その患者に治療上有効量の請求項1〜3のいずれか1項記載の固体脂質ナノ粒子を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2007−530497(P2007−530497A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504372(P2007−504372)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003186
【国際公開番号】WO2005/092298
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(504421693)セル セラピューティクス ヨーロッパ エス.アール.エル. (1)
【氏名又は名称原語表記】CELL THERAPEUTICS EUROPE S.r.l.
【出願人】(506322569)ナノベクター・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOVECTOR s.R.L.
【Fターム(参考)】