説明

皮膚に有益な組成物およびこれを使用する方法

本発明は、脂肪酸混合物の少なくとも約40%が、C17以下であり、8.5から60%がC18−C20である脂肪酸混合物を有する皮膚に有益な組成物に関する。本発明の皮膚に有益な組成物は、皮脂の影響を最小化し、皮膚を保湿し、皮膚を美白にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に有益な組成物およびこれを使用することによる皮膚特性の改良方法に関するものである。さらに具体的には、本発明は、組成物中に使用される脂肪酸の合計重量の少なくとも約40%がC17以下である脂肪酸混合物を含む、皮膚に有益な組成物に関するものである。本発明の皮膚に有益な組成物は、最低でも、驚くほど、特に顔の領域において、皮脂腺からの皮脂分泌の影響を減少させる。
【背景技術】
【0002】
皮膚の外観を改良する化粧品または皮膚組成物は、消費者にますます好かれてきている。例えば、多くの消費者は、皮膚の皮脂腺の中の皮脂産生からもたらされる「脂性の皮膚」の外観を最小にしようと努力する。さらにまた、消費者は、老化した、または光で老化した皮膚および乾燥し、弛んだ皮膚の徴候を緩和するまたは遅らせようと努力する。さらに、消費者は、自らの皮膚の色素沈着の程度に関心があり、加齢シミまたはソバカスのある人々は、しばしばこのようなシミの目立ちを無くするまたは減らすことを望んでいる。他の人は、自らの自然の皮膚を美白にするまたは日光への露出によって引き起こされる皮膚の黒ずみを減少させることを望むことがある。消費者のこれらの要求に対応するために、皮膚特性を改良する製品を開発しようとする多くの試みがなされてきた。しかし、これまで開発された製品は、有効性が低いか、望ましくない副作用、例えば毒性または皮膚刺激性などを有する傾向がある。さらに、知られている製品は、脂性、乾燥および色と関連する皮膚特性のような多種多様のマイナスの皮膚特性を改良するときに必ずしも有用ではない。
【0003】
特に顔の領域において、最低でも、皮脂腺からの皮脂分泌の影響を減らす皮膚に有益な組成物を開発しようとする関心が高まっている。したがって、本発明は、皮膚に有益な組成物に関するものである。本発明の皮膚に有益な組成物は、驚くほど、皮脂腺から皮脂分泌の影響を減少させ、皮膚を保湿し、皮膚を美白にすることができる。さらに、本発明の皮膚に有益な組成物は、ねばねばしたり、またはべとついたりせず、皮膚によく付着し、付けたときに不快な感触をもたらさない。この組成物は、組成物中に使用される脂肪酸の全重量の少なくとも約40%がC17以下である脂肪酸混合物を含む。
【0004】
抗皮脂皮膚ケア化粧組成物を製造するための努力が明らかにされている。EP1181007B1には、分枝エステルを含む抗皮脂皮膚ケア化粧組成物が記載されている。
【0005】
脂性皮膚を緩和するための他の努力も明らかにされている。U.S.2005/0079144A1には、皮脂産生を減少させる方法が記載されている。
【0006】
さらに皮膚を処理するための他の努力も明らかにされている。WO94/27569には、組成物およびパッドを使用する皮膚処理方法が記載されている。
【0007】
前記追加の情報において、脂肪酸混合物を含み、組成物中に使用される脂肪酸の合計重量の少なくとも約40%がC17以下であり、最低でも、驚くほど、皮脂腺からの皮脂分泌の影響を減らす、皮膚に有益な組成物を記載するものは全くない。
【発明の開示】
【0008】
第1の態様において、本発明は、
(a)C17以下である脂肪酸を少なくとも約40%含む脂肪酸混合物、および
(b)対イオン
を含み、前記混合物中に存在する全脂肪酸のモル基準で、約6から約20%が中和されている、皮膚に有益な組成物を対象とする。
【0009】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の皮膚に有益な組成物で皮膚を処理する方法を対象とする。
【0010】
本明細書において使用される皮膚に有益な組成物とは、ヒトについての使用に好適であり、皮膚特性をプラス方向に高めるために好適な化粧組成物を含むことを意味する。このような組成物は、一般にリーブオン型またはリンスオフ型に分類することができ、シャンプー、コンディショナーまたはトニックのようなヘアケア組成物;リップスティック;カラーコスメティックならびに皮脂の影響を減らし、保湿し、および/または美白する組成物を含むことを意味する。
【0011】
本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、ゲル、ソープバー、トーナーまたはフェイスマスクの形態であり得る。好ましい組成物は、最低でも皮膚(ここで皮膚は、顔、首、胸、背中、腕、手、脚および頭皮上の皮膚を含むことを意味する。)に抗皮脂の利益を与えるものである。例えば、明示的に言及されていなければ、本明細書において特定された全ての範囲は、この中で包含された全ての範囲を暗黙に含むことを意味する。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明において使用され得る脂肪酸のタイプについての唯一の制限は、この脂肪酸が皮膚に有益な組成物における使用に好適であることである。本発明における使用に好適な脂肪酸のタイプの一般的な例は、C10からC30の脂肪酸(これらの全ては、一般に化粧用に許容され得る担体として分類される。)を含む。しばしば、本発明において使用される脂肪酸は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルシン酸およびこれらの混合物等から選択される。典型的には、本発明において使用される脂肪酸は、使用される脂肪酸の少なくとも約40%(脂肪酸の全重量に基づいて)がC17以下である脂肪酸混合物である。好ましい実施形態においては、C17以下である使用される全脂肪酸の少なくとも約95%、好ましくは約100%が、少なくともC12−C14以上である。さらに別の好ましい実施形態において、脂肪酸混合物中に使用される全脂肪酸の約90重量%以下、好ましくは約80重量%以下が、C17以下である。さらに、別の好ましい実施形態において、脂肪酸混合物中に使用される全脂肪酸の約8.5から約60重量%、好ましくは約15から約35重量%、最も好ましくは約25から約35重量%がC18−C20である。
【0013】
しかし、特に好ましい実施形態において、脂肪酸混合物は、使用される脂肪酸の全重量に基づいて、C12−C14である脂肪酸約25から約85重量%、C15−C17である脂肪酸約4.5から約45重量%、C18−C20である脂肪酸約8.5から約60重量%を有し、これら範囲に包含される全ての範囲が含まれる。さらに別の特に好ましい実施形態において、脂肪酸混合物は、ラウリン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸、またはミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸を含み、この混合物が前記のものから構成される、または本質的に構成されることは、本発明の範囲内である。
【0014】
しかし、典型的には、本発明の皮膚に有益な組成物において使用される脂肪酸の合計量は、皮膚に有益な組成物の全重量に基づいて約2から約30重量%、好ましくは約4から約20重量%、最も好ましくは約8から約14重量%であり、これら範囲に包含される全ての範囲が含まれる。
【0015】
対イオンに目を向けると、この対イオンは、本発明の脂肪酸混合物を構成するのに使用されるあらゆる脂肪酸のカルボン酸基を中和するのに好適であり、皮膚に有益な組成物における使用に好適であるものである。本発明において使用され得る対イオンのタイプの例示的な非限定例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノ−、ジ−またはトリ−アルカノールアミン、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、これらの混合物等を含む。本発明において使用される好ましい対イオンは、アルカノールアミンであり、最も好ましいものは、トリエタノールアミンである。
【0016】
典型的には、脂肪酸混合物の中で使用される全脂肪酸のモル基準で、約6から約20%、好ましくは約7から約16%、最も好ましくは約8から約12%が、対イオンによって中和される。したがって、通常約0.25から約1.35重量%(皮膚に有益な組成物の全重量に基づいて)の対イオンが使用される。
【0017】
理論によって拘束されないが、本発明の皮膚に有益な組成物の中で使われた脂肪酸混合物は、例えばユーザーの皮膚上の皮脂を吸収することによって、皮脂分泌の影響を驚くほど減少させる。したがって、本発明の皮膚に有益な組成物は、脂肪酸混合物を含むか、脂肪酸混合物から本質的になる、または脂肪酸混合物からなることができる。しかし、好ましくは、本発明の皮膚に有益な組成物は、脂肪酸混合物を含み、これによって、脂肪酸混合物は、商業的に許容され得る媒体としてさらに作用することによって、またこの組成物に寄与している。
【0018】
しかし、所望なら、必要によればであるが、しばしば好ましい添加剤のための希釈剤、分散剤または担体として作用する、商業的に許容され得る従来の媒体(本発明の脂肪酸混合物に加えて)も使用することができることを知るべきである。したがって、本明細書に記載されている皮膚に有益な組成物の媒体は、水性系、無水または乳化物(油中水型または水中油型乳化物が一般的に好ましい。)であり得る。水の使用が望まれるなら、水は、通常皮膚に有益な組成物の残部を構成し、皮膚に有益な組成物の好ましくは、約5から約98重量%、最も好ましくは約65から約90重量%(これらに包含される全ての範囲を含む。)を構成する。
【0019】
水に加えて、本発明の組成物の中で担体として作用する、または補助するために、有機溶媒を場合により含ませることができる。本発明における使用に好適な有機溶媒のタイプの例示的な非限定例は、メチル、エチルおよびイソプロピルアルコールのようなアルカノール、これらの混合物または同様なものを含む。
【0020】
使用に好適な他の任意選択の添加剤は、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、これらの混合物等などのエステル油を含む。通常、このようなエステル油は、本発明の皮膚に有益な組成物の乳化を助け、効果的な量が、安定な、最も好ましくは油中水型乳化物を生成するためにしばしば使用される。
【0021】
本発明の皮膚に有益な組成物において、所望なら、皮膚軟化剤を(場合により、皮膚に有益な組成物の全重量の約0.1から約50重量%で)使用することもできる。1−ヘキサデカノール(すなわち、セチルアルコール)およびフェノキシエタノールのようなアルコールが、シリコーン油および合成エステルとして一般的に分類されている皮膚軟化剤と同様にしばしば所望される。使用に好適なシリコーン油は、3から9、好ましくは、4から5のケイ素原子を含む環状または線状ポリジメチルシロキサンを含む。線状の揮発性のシリコーン材料は、一般に25℃で約5センチストーク未満の粘度を有しているが、環状材料は、約10センチストーク未満の粘度を典型的に有している。本明細書において記載されている本発明の皮膚に有益な組成物において皮膚軟化剤材料として有用な非揮発性シリコーン油は、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーを含む。本発明において有用な本質的に非揮発性のポリアルキルシロキサンは、例えば25℃で約5から約25百万センチストークの粘度を有するポリジメチルシロキサンを含む。本発明の組成物において有用な好ましい非揮発性の皮膚軟化剤の中には、25℃で約10から約400センチストークの粘度を有するポリジメチルシロキサンがある。
【0022】
場合により使用され得るエステル皮膚軟化剤は、
(1)10から20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル(これらの例は、ネオペンタン酸イソアラキジル、イソナノン酸イソノニル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイルおよびオレイン酸オレイルを含む。);
(2)エーテルエステル(例えばエトキシル化脂肪族アルコールの脂肪酸エステルなど);
(3)多価アルコールエステル(これらの満足されるものの例は、エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリプロピレングリコール2000、モノステアリン酸ポリプロピレングリコール2000、モノステアリン酸エトキシル化プロピレングリコール、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ−脂肪族エステル、モノステアリン酸エトキシル化グリセリル、モノステアリン酸1,3−ブチレングリコール、ジステアリン酸1,3−ブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。);
(4)ワックスエステル(例えば蜜蝋、鯨蝋、ステアリン酸ステアリルおよびベヘニン酸アラキジルなど);および
(5)ステロールエステル(コレステロール脂肪酸エステルがこれらの例である。)
である。
【0023】
皮膚軟化剤は、任意選択のものであるが、皮膚に有益な組成物の約0.1から約50重量%を構成することができ、これらに包含される全ての範囲を含む。
【0024】
また、多価アルコールタイプの湿潤剤も、本発明の皮膚に有益な組成物において使用することができる。湿潤剤は、しばしば、皮膚軟化剤の効果増大を助け、スケール発生を減少させ、蓄積したスケールの除去を促し、皮膚感触を改良する。典型的な多価アルコールは、グリセリン、ポリアルキレングリコール、さらに好ましくは、アルキレンポリオールおよびこれらの誘導体(プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこれらの誘導体を含む。)、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリンならびにこれらの混合物を含む。最良の結果のためには、湿潤剤は、好ましくは、プロピレングリコールまたはヒアルロン酸ナトリウムである。湿潤剤の量は、皮膚に有益な組成物の0.2から15重量%、好ましくは、約0.5から約3.0重量%の範囲であってよく、これらに包含される全ての範囲を含む。
【0025】
また、本発明の皮膚に有益な組成物において、化粧用に許容され得る担体の一部として増粘剤を使用することができる。典型的な増粘剤は、架橋アクリル酸エステル(例えば、Carbopol 982など)、疎水性に変性されたアクリル酸エステル(例えば、Carbopol 1382)、セルロース誘導体および天然ガムを含む。有用なセルロース誘導体の中には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースがある。本発明に好適な天然ガムは、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラギーナン、ペクチンおよびこれらのガムの組合せを含む。増粘剤の量は、0.0001から5重量%、通常0.001から1重量%、最適で0.01から0.5重量%の範囲であってよい。
【0026】
集合的に、水、溶媒、シリコーン、エステル、脂肪酸、湿潤剤および/または増粘剤は、1から99.9重量%、好ましくは80から99重量%の量で化粧用に許容され得る担体を構成する。
【0027】
本発明の皮膚に有益な組成物においては、任意選択の追加の活性成分の様々なタイプを使用することができる。活性成分は、皮膚軟化剤以外で、本組成物の物理的特性を単に改良する成分以外の皮膚に有益な薬剤として定義される。このカテゴリーに限定されないが、一般的な例は、例えばタルクおよびシリカなどの追加の抗皮脂成分ならびにアルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、ポリ−ヒドロキシ酸、過酸化ベンジル、亜鉛塩、日焼け止め剤を含む。
【0028】
ベータ−ヒドロキシ酸は、例えばサリチル酸を含む。ピリチオン亜鉛は、本発明の皮膚に有益な組成物おいて有用な亜鉛塩の例である。
【0029】
日焼け止め剤は、紫外線を妨げるために一般的に使用される物質を含む。例示の化合物は、PABAの誘導体、ケイ皮酸エステル、サリチル酸エステルである。例えば、アボベンゾフェノン(Parsol 1789(登録商標))、メトキシケイ皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシルベンゾフェノン(またオキシベンゾフェノンとしても知られている。)を使用することができる。メトキシケイ皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンは、それぞれParsol MCXおよびベンゾフェノン−3の商標のもとで商業的に入手できる。本組成物において使用される日焼け止め剤の正確な量は、太陽UV放射線から所望される防御の程度によって変化し得る。太陽光線を反射または散乱させる添加剤もまた使用することができる。これらの添加剤は、酸化亜鉛および二酸化チタンのような酸化物を含む。
【0030】
多くの化粧組成物、特に水を含むものは、潜在的に有害な微生物の成長から防御されるべきである。したがって、例えばトリクロサンなどの抗微生物化合物および保存剤が典型的に必要である。好適な保存剤は、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸エステル塩および様々の第四級アンモニウム化合物を含む。本発明の特に好ましい保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールである。保存剤は、本組成物の約0.1から2重量%の範囲の量で通常使用される。
【0031】
さらに本発明の皮膚に有益な組成物に関して使用され得る他の任意選択の成分は、ナイアシンアミドのようなビタミン、レコルシノールおよびレチノイド(レチノイン酸、レチナール、レチナールおよびレチニルエステルを含む。)を含む。
【0032】
本発明の皮膚に有益な組成物は、主としてヒトの皮膚に局所適用のための製品として、特に、皮膚への皮脂分泌の影響をコントロールし、皮膚を保湿し、身体的に皮膚をさらに美白するようにするための薬剤としての使用を意図している。しばしば、本発明の皮膚に有益な組成物は、約30℃から約45℃の融点を有し、ここに包含される全ての範囲を含む。さらに低い融点の組成物が所望される場合、使用される脂肪酸は、典型的にC12−C18であり、より高い融点の組成物が所望される場合、C14−C18脂肪酸が典型的に使用される。潤いを与えることが主たる焦点である場合、C12−C18脂肪酸が一般的に好ましい。油分のコントロールが主たる焦点である場合、C14−C18脂肪酸が一般的に好ましい。
【0033】
本発明の皮膚に有益な組成物を製造する場合、通常約70℃から約80℃の温度で、大気圧下に特別な順序なしに所望される成分が混合される。
【0034】
本発明の皮膚に有益な組成物のためのパッケージングは、ボトル、チューブ、ロール−ボールアプリケーター、プロペラント駆動エーロゾル装置(propellant−driven aerosol device)、絞り出し容器(squeeze container)または蓋付広口瓶(lidded jar)であり得る。
【0035】
次の実施例は、本発明を例示するために提供されるものであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0036】
対イオン、水および脂肪酸を混合することによって、脂肪酸混合物(重量部で)および対イオン(表1に示される)を含む皮膚に有益な組成物を調製した。これらの成分を約75℃で約5分間混合することによって、均一な混合物を作製した。
【0037】
【表1】

【0038】
前に定義された皮膚に有益な組成物の各々について、Aclar Embedding Film(フィルム寸法 およそ10cm)から、プラスチックの上に約75μmの厚さの均一なフィルムを引き出した。シーン(sheen)アプリケーターを使用した。得られたフィルムを一晩乾燥させ、注射器を使用してフィルム上に約1μmの皮脂を射出した。顕微鏡下で皮脂の広がりを観察し、広がる皮脂の画像を0、3、5、10、15、20、25、30、45、60および100分の間隔で撮影した。皮脂によって占められた領域を計算するために、画像は、画像処理ソフトウェアを使って分析した。皮脂の広がりまたは消散のより大きな領域は、本発明の皮膚に有益な組成物が、特にステアリン酸による対照と比較した場合、皮脂の影響を減らすために驚くほど優れていることを示す。
結果のまとめを表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
表3の配合FおよびGによって表示される追加の組成物をフィルム(厚さ約75μm、10cm)にした。このフィルムを室温で乾燥するために放置した。得られた画像を分析するためにデジタルカメラを使用した。画像は、本発明(配合F)と一致させられた皮膚に有益な組成物が、ステアリン酸(配合G)によって作られた従来の配合よりも取り扱いが容易であり、さらに粘稠であり、より不快でないことを証明した。
【実施例2】
【0042】
次の成分を約75℃で約5分間混合することによって本発明と一致した皮膚に有益な組成物を作製した。
【0043】
【表4】

【0044】
上に記載された脂肪酸混合物の代わりにステアリン酸18重量%を用い、より少ない水8重量%を用いて対照組成物を作製した。
【0045】
本発明の皮膚に有益な組成物およびステアリン酸を用いた対照組成物の両方を自らの顔に(両側に)適用することによって、これらを比較するように20人のパネリストに依頼した。全てのパネリストは、本発明に従って作製された組成物が、対照と比較した場合、潤いの付与において良好であり、脂性の感覚が減少していると結論付けた。
【0046】
さらに、全てのパネリストは、本発明の皮膚に有益な組成物が、対照のそれと少なくとも一致している程度に彼らの皮膚を美白にし(身体的な見地から)、よりねばねばせず、より不快でなく、皮膚により良好に付着する(室温で適用されるとき)と結論付けた。
【実施例3】
【0047】
次の成分を約75℃で約5分間混合することによって本発明と一致した皮膚に有益な組成物を作製した。
【0048】
【表5】

【0049】
上に記載された脂肪酸混合物の代わりにステアリン酸18重量%、ひまわり種子油18重量%およびワセリン18重量%と、より少ない水8重量%とで3種の別個の対照組成物を作製した。
【0050】
本発明の皮膚に有益な組成物を、ステアリン酸および化粧用油を有する対照組成物を(実施例2に記載されているものと同様の様式で)比較するように20人のパネリストに依頼した。全てのパネリストは、本発明に従って作製された組成物が、対照よりも彼らの皮膚を保湿することにおいて良好であると結論付けた。また、パネリストは、本発明の組成物が、対照と比較した場合、適用中によりべとべとせず、不快さが少ないと結論付けた。
【0051】
さらに、パネリストは、本発明の組成物が、対照と比較した場合、皮膚へより良好に付着すると結論付けた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)C17以下である脂肪酸を少なくとも40重量%含む脂肪酸混合物、および
(b)対イオン
を含み、前記混合物中に存在する全脂肪酸のモル基準で6から20%が中和されている、皮膚に有益な組成物。
【請求項2】
17以下である全脂肪酸の少なくとも95%がC12以上である、請求項1に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項3】
脂肪酸混合物中の脂肪酸の少なくとも8.5から60重量%がC18−C20である、請求項1に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項4】
17以下である全脂肪酸の少なくとも95重量%がC14以上である、請求項1に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項5】
全脂肪酸の25から35重量%がC18−C20である、請求項1に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項6】
使用される25から85重量%の脂肪酸がC12−C14であり、使用される4.5から45重量%の脂肪酸がC15−C17であり、使用される8.5から60重量%の脂肪酸がC18−C20である、請求項1に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項7】
対イオンが、NaOH、KOH、モノ−、ジ−もしくはトリ−アルカノールアミン、エチレンジアミン四酢酸またはこれらの混合物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項8】
対イオンがトリアルカノールアミンであり、トリアルカノールアミンがトリエタノールアミンである、請求項7に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項9】
使用される全脂肪酸のモル基準で7から16%が中和されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項10】
使用される全脂肪酸のモル基準で8から12%が中和されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項11】
皮膚に有益な組成物が乳化物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項12】
皮膚に有益な組成物が、皮膚軟化剤、水、湿潤剤、増粘剤、有機溶媒、エステル油、日焼け止め剤またはこれらの混合物をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項13】
皮膚に有益な組成物が、タルク、シリカ、ヒドロキシ酸、過酸化ベンジル、亜鉛塩、酸化亜鉛、二酸化チタン、保存剤、ビタミン、レゾルシノール、レチノイドまたはこれらの混合物をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項14】
皮膚に有益な組成物が、30℃から45℃の融点を有する、請求項1に記載の皮膚に有益な組成物。
【請求項15】
(a)(i)C17以下である脂肪酸を少なくとも40重量%含む脂肪酸混合物、および
(ii)対イオン
を含み、前記混合物中に存在する全脂肪酸のモル基準で6から20%が中和されている、皮膚に有益な組成物を得る段階;および
(b)前記の皮膚に有益な組成物を皮膚に接触させる段階
を含む、皮膚を保湿し、皮膚を美白にしおよび/または皮膚への皮脂の影響を減少させる方法。
【請求項16】
皮膚の保湿が達成され、脂肪酸混合物がC12−C18脂肪酸を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
皮膚への皮脂の影響が減少し、脂肪酸がC14−C18脂肪酸を含む、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2009−519261(P2009−519261A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544800(P2008−544800)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011483
【国際公開番号】WO2007/068358
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】