説明

皮膚化粧料

【課題】使用時に適度なマッサージ感が得られる化粧料。
【解決手段】冷却固化後の破断応力が0.005〜0.1MPaとなるよう調製した寒天水溶液を油性溶媒中で攪拌しながら冷却して得られる平均粒径が0.2〜5mmの寒天ハイドロゲル粒子と、シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子とシリコーン油及び/又は炭化水素油とを混合した油性ジェルとを配合することを特徴とする皮膚化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は寒天ハイドロゲル粒子を配合した皮膚化粧料に関する。さらに詳しくは、寒天ハイドロゲル粒子と油性ジェルとを混合し、透明乃至半透明な油性ジェル中に寒天ハイドロゲル粒子が分散した皮膚化粧料であって、優れた使用感を発揮する皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、12-ヒドロキシステアリン酸を含有するゲル化又は固形化した油性組成物中に、寒天を含有する小球状の水性組成物が分散してなる複合組成物が開示され、当該複合組成物を、リップグロス等のメーキャップ化粧料に利用できることが記載されている。
【0003】
しかしながら、当該複合組成物は、外相(連続相)を形成する油性ゲルが固化されているため、くり返し使用中に指取り時にかかる圧力等で徐々にゲルが破壊され小球が沈殿する懸念がある。また、外相(連続相)を形成する油性ゲルにポリブテン等の高粘度油分が多く配合されているため、皮膚に塗布した場合にのびが重く、べたつく傾向にあり、スキンケア化粧料の製剤としては好ましくない使用感触を有している。
【0004】
特許文献2には、寒天を含む平均粒径が0.1〜5mmの粒子が、粘度300〜5000mPa・sの透明乃至半透明水性基剤中に分散浮遊してなる皮膚化粧料が開示されている。
【0005】
しかしながら、当該皮膚化粧料には、油分を多く配合することが困難であるため、肌保護効果(エモリエント効果)やマッサージ効果を付与することが極めて難しい。
【0006】
一方、特許文献3には、水中油型エマルションを内包したカプセルを含有する化粧料であって、カプセル膜がカプセル全量に対し0.1〜1.0重量%のアルギン酸カルシウムからなる、エマルション内包カプセル含有化粧料が開示されている。
また、特許文献4には、アルギン酸塩の少なくとも一部がバリウム塩を必須成分とする多価金属塩の形で存在しているアルギン酸バリウムカプセルが、pH調整されたカルボキシビニルポリマーの水溶液からなる外相中に存在しているカプセル入り化粧料が開示されている。
さらに、特許文献5には、寒天を基剤とするソフトカプセル及び球状物を配合した水含有化粧料が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献3及び4にて使用されるアルギン酸塩系カプセルは、水溶性アルギン酸塩と水溶性カルシウム塩とを反応させて水不溶性のアルギン酸カルシウムを生成させることによって製造されているため、皮膚に適用したときにカプセルのカスが皮膚上に残留して違和感が生じるという欠点がある。
また、特許文献5の水含有化粧料は、油分の配合量が限定されるため肌保護効果(エモリエント効果)やマッサージ効果を付与することが極めて難しいという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−22950号公報
【特許文献2】特許第3756043号
【特許文献3】特開平2−117610号公報
【特許文献4】特開平11−29433号公報
【特許文献5】特開平1−193216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は、上述した背景技術に鑑み、寒天ハイドロゲル粒子を配合した化粧料において、スキンケアを目的として、好ましい使用感を有する皮膚化粧料を得るべく鋭意研究を重ねた結果、寒天ハイドロゲル粒子と油性ジェルとを混合し、透明乃至半透明な油性ジェル中に寒天ハイドロゲル粒子が分散した皮膚化粧料が、肌上でカプセルを潰した後のカスの残り感を抑制でき、優れた使用感を得ることができると同時に、良好なマッサージ感を与え、また、寒天ハイドロゲル粒子が分散する外油相の油性ジェルを、シリコーンクロスポリマーと低粘度シリコーン油及び/又は炭化水素油の混合物で増粘しジェル化することにより、繰り返し使用時にも、特許文献1のように外相のゲルが破壊され寒天ハイドロゲル粒子が沈殿する懸念を有せず、さらには、油性ジェルに高粘度油分を配合しないことにより、のびが良くべたつかない使用感を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の目的は、寒天ハイドロゲル粒子を配合した化粧料において、スキンケアを目的とし、優れた使用感を有し、さらには適度に良好なマッサージ感を与える皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、冷却固化後の破断応力が0.005〜0.1MPaとなるよう調製した寒天水溶液を油性溶媒中で攪拌しながら冷却して得られる平均粒径0.2〜5mmの寒天ハイドロゲル粒子と、シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子とシリコーン油及び/又は炭化水素油とを混合した油性ジェルを配合することを特徴とする皮膚化粧料を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、前記寒天ハイドロゲル粒子の配合量が、皮膚化粧料全量に対して1〜80質量%であることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、前記皮膚化粧料が、マッサージ化粧料であることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の皮膚化粧料は、製造する際、適切な量の寒天を配合して特定の破断応力を有する寒天水溶液を用いることにより、肌上に塗布して寒天ハイドロゲル粒子を潰した後にカスが残らず、良好な使用感を得ることができると同時に、使用時に寒天ハイドロゲル粒子が肌上で潰れることによって良好で適度なマッサージ感が得られる。
また、外油相となる油性ジェルをシリコーンクロスポリマーと低粘度シリコーン油及び/又は炭化水素油の混合物で増粘、ジェル化することで、繰り返し使用時にも、外相のジェルの破壊が起きず寒天ハイドロゲル粒子が沈殿する懸念がない。
さらに、低粘度シリコーン油及び/又は炭化水素油を油性ジェルに使用して、高粘度油分を油性ジェルに配合させないことにより、のびが良くべたつかない使用感を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳述する。
【0016】
「寒天ハイドロゲル粒子」
本発明に用いる寒天ハイドロゲル粒子は、冷却固化後の破断応力が0.005〜0.1MPaとなるよう調製した寒天水溶液を油性溶媒中で攪拌しながら冷却して得られる平均粒径0.2〜5mmの寒天ハイドロゲル粒子である。
得られる寒天ハイドロゲル粒子は寒天水溶液からなるハイドロゲル組成物の小球であり、油性溶媒中に分散しているので、これをろ過して分離回収し、これを外相となる油性ジェルと室温にて混合し、寒天ハイドロゲル粒子を油性ジェル中に均一に分散させて、本発明の皮膚化粧料を得る。
寒天水溶液は水相組成物であり、寒天は固形化剤として機能する。寒天を固形化剤として用い、寒天水溶液の水性組成物を寒天によってハイドロゲル粒子とすることにより、形成される寒天ハイドロゲル粒子の硬度が適度となり、これを肌上でこすりつけても寒天ハイドロゲル粒子のカスが後残りしにくく、かつ、肌上にみずみずしさを与えることができるという利点がある。
【0017】
寒天水溶液における寒天の配合量は、寒天水溶液全量に対して、0.5〜5質量%が好ましく、1.0〜3.0質量%が特に好ましい。
この配合量が0.5質量%未満では、寒天水溶液が軟調で、寒天ハイドロゲル粒子として固化させるのに適当でなく、また、5.0質量%を超えると寒天ハイドロゲル粒子が硬くなりすぎ、肌上における崩壊性が劣ってきて、潰れ難くなる傾向があると同時に、潰した後にカスの残り感が生じてしまう。
【0018】
寒天水溶液には、水と寒天の他に、水と相溶性を有する他の溶媒成分、具体的には、エタノール等の低級アルコールやメントール、カンファー類(清涼感を付与したい場合に用いる)や、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール(保湿性を付与したい場合に用いる)等を配合することが可能である。
また、必要に応じて、水に対して相溶性を有する他の成分、例えば、界面活性剤、紫外線防御剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、高分子化合物、増粘剤、香料、水溶性の薬剤等を配合することが可能である。
皮膚化粧料の目的に応じて、寒天水溶液に、上述の成分を配合することにより、これらの成分を含む寒天ハイドロゲル粒子が得られ、清涼感や保湿性等を有する皮膚化粧料を製造することが可能となる。
上記の任意配合成分は、寒天水溶液中に、目的に応じて、適宜適する量が配合される。その際、寒天水溶液中の水の配合量は特に限定されないが、寒天水溶液全量に対して1〜50質量%が好ましい。
【0019】
また、外相の油性ジェル中に分散する寒天ハイドロゲル粒子を見分けやすくする目的で、寒天水溶液を着色し、得られる寒天ハイドロゲル粒子を着色することも好ましい。
着色は、寒天水溶液中に酸化鉄などの顔料やパール剤を分散することで行なってもよいし、寒天水溶液に油性成分を加えて乳化することにより、得られる寒天ハイドロゲル粒子を不透明化することで行なってもよい。
【0020】
冷却固化後の破断応力が0.005〜0.1MPaとなる寒天水溶液は、寒天水溶液に配合する寒天、その他の水溶性任意配合成分の配合量を適宜決定し、熱水に寒天及び水溶性任意配合成分を溶解させ、その後冷却固化して、その破断応力が0.005〜0.1MPaの範囲になることを確認することにより調製することが可能である。
破断応力は、寒天水溶液を冷却固化させた後、レオメーター(サン科学社製COMPAC-100 II)によって測定する。
破断応力が0.005MPa未満では、充分なマッサージ効果を得ることが難しく、破断応力が0.1MPaを超えると、寒天ハイドロゲル粒子が硬くなりすぎ、肌上における崩壊性が劣ってきて、潰れ難く、カスが残りやすくなる傾向がある。
【0021】
本発明に用いる寒天ハイドロゲル粒子の平均粒径は0.2〜5mmである。平均粒径は、寒天ハイドロゲル粒子を目視または顕微鏡等で観察し、任意の100個の寒天ハイドロゲル粒子の粒径を平均化して求める値である。
【0022】
平均粒径が0.2〜5mmの寒天ハイドロゲル粒子は、予め釜で溶解させた65〜80℃程度の寒天水溶液を、開口径0.5〜8mmのノズルから、別の釜に入れた40℃程度の油性溶媒中に吐出させる。この混合液を十分に攪拌し、30℃程度に冷却した後、混合液をろ過し、所望の平均粒径を有する寒天ハイドロゲル粒子を分離回収して得ることが出来る。
寒天水溶液を吐出する油性溶媒としては、シクロメチコン(デカメチルシクロペンタシロキサン)、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、流動パラフィンなどの比較的低粘度で、かつ外相ジェルと相溶性のある油分を用いることが好ましい。
【0023】
「油性ジェル」
本発明の皮膚化粧料に外相ジェルとして用いる油性ジェルは、シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子と、低粘度のシリコーン油及び/又は炭化水素油を混合したものを使用する。低粘度のシリコーン油と炭化水素油は少なくともどちらか一方が、シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子と混合されていれば良い。
このような油性ジェルとしては、例えば、信越化学工業社製KSGシリーズ(KSG-15、KSG-1610、KSG-16、KSG-41、KSG-42、KSG-44、KSG-210、KSG-240、KSG-310、KSG-320、KSG-330、KSG-340、KSG-710、KSG-810、KSG-820、KSG-830、KSG-840)東レ・ダウコーニング社製シリコーンエラストマーブレンド(9040、9045、9140DM、9041、9546、FB-9586)、同社製シリコーンオーガニックエラストマーブレンド(EL-8040 ID、EL-8541 IN)等が挙げられる。
なお、油性ジェル中における、シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子と、低粘度のシリコーン油及び/又は炭化水素油の配合比は、ジェルを形成する限り、特に限定されないが、質量比で、シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子:低粘度のシリコーン油及び/又は炭化水素油=1:50〜3:10が好ましい。
【0024】
シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子は、具体的には、ジメチルポリシロキサン、ビニルジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン等を3次元架橋した微粒子を使用することが好ましい。
一方、低粘度のシリコーン油又は炭化水素油は、20℃での粘度が2〜100mPa・s程度のジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカン、スクワラン等を使用することが好ましい。
外相の油性ジェルが、油分として、シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子と、低粘度のシリコーン油及び/又は炭化水素油を混合したものを使用する場合、或いは、これらにその他の低粘度の油分を配合した場合であっても、油性ジェルの粘度が20℃で5000〜50000mPa・s程度であれば、特許文献1の高粘度油分を使用することによる欠点を解決でき、のびが良く、べたつかない使用感を発揮することが可能となる。
【0025】
また、上記油性ジェル中には、通常、化粧料等の外用組成物に用いることが可能な油分を、適宜選択して配合することができる。例えば、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルミリステート、ネオペンチルグリコール−2−エチルヘキサノエート、トリオクタン酸グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリスリトール、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、イソプロピルミリステート、ミリスチルミリステート、トリオレイン酸グリセリル等のエステル油類;オリーブ油、アボカド油、ホホバ油、ヒマワリ油、サフラワー油、椿油、シア脂、マカデミアナッツ油、ミンク油、ラノリン、液状ラノリン、酢酸ラノリン、ヒマシ油等の油脂;シクロメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、高重合度のガム状アミノ変性シリコーン等のシリコーン系油分;パーフロロポリエーテル、パーフロロカーボン等のフッ素油分;等が挙げられる。
【0026】
また、油性ジェルには、必要に応じて、油分に対して相溶性を有する他の成分、例えば、界面活性剤、紫外線防御剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、皮膜形成剤、高分子化合物、香料、油性の薬剤等を配合することが可能である。
【0027】
また、油性ジェルは半透明〜透明であることが好ましい。油性ジェル中に分散する寒天ハイドロゲル粒子が消費者の視覚によりで確認でき、皮膚化粧料として外観上の楽しさが発揮できるからである。
本発明に言う「半透明〜透明」とは、目視により観察されて決定される。半透明とは油性ジェル中に分散する寒天ハイドロゲル粒子がぼんやりと見える程度を意味し、透明とは明確に見える程度を意味する。
なお、必要に応じて、油性ジェルに、色剤、染料、パール剤、ラメ剤等の呈色成分を配合することも、寒天ハイドロゲル粒子が目視で認められる限度で可能である。
【0028】
「皮膚化粧料」
本発明の皮膚化粧料は、上述した寒天ハイドロゲル粒子が油性ジェル中に均一に分散した複合組成物である。
寒天ハイドロゲル粒子の配合量は、皮膚化粧料全量に対して5〜80質量%が好ましい。
また、油性ジェルの配合量は、皮膚化粧料全量に対して10〜80質量%が好ましい。
さらに、本発明の皮膚化粧料において、寒天ハイドロゲル粒子と、油性ジェルの質量比は、皮膚化粧料の目的に応じて適宜決定することが可能であり、特に限定されるものではないが、油性ジェル:寒天ハイドロゲル粒子=30:70〜80:20の範囲であることが好適である。
【0029】
本発明の皮膚化粧料の製造方法は、寒天ハイドロゲル粒子と油性ジェルとを混合して、外相となる油性ジェル中に、寒天ハイドロゲル粒子を均一に分散させれば良く、特に限定されない。
例えば、寒天水溶液が入った釜にホースを連結し、ホースの先端に開口径0.5〜8mm程度のノズルを取り付け、当該ノズルから、寒天水溶液を加熱溶融状態で、油性溶媒中に、添加、攪拌する。この攪拌力により、小球状の寒天ハイドロゲル粒子を流動油分中に形成させた後(この攪拌の速度が大きくなるほど、小球の粒径を小さくすることができる)、流動油分中の寒天ハイドロゲル粒子を分離し、回収する。回収した寒天ハイドロゲル粒子を、加熱した油性ジェル中に添加し攪拌して均一に分散後、冷却することにより、本発明の皮膚化粧料を製造することができる。
【0030】
本発明の皮膚化粧料は、スキンケア成分を配合したスキンケア用の皮膚化粧料として利用することが好ましい。また、良好で適度なマッサージ効果を有することから、マッサージ化粧料としても好適に用いることが可能である。
【実施例】
【0031】
次に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例のみに限定されない。配合量は、寒天水溶液全量若しくは皮膚化粧料全量に対する質量%で表す。
なお、寒天水溶液のゼリー強度は、レオメーター(サン科学社製COMPAC-100 II)により測定した値である。
また、寒天ハイドロゲル粒子の平均粒子径は、目視により測定した値である。
【0032】
寒天ハイドロゲル粒子(ハイドロゲル粒子1)
組成
1 イオン交換水 78.5
2 グリセリン 10
3 1,3−ブチレングリコール 4
4 ジプロピレングリコール 5
5 寒天 2
6 フェノキシエタノール 0.5
【0033】
<製法>
成分1〜6を90℃に加熱して溶解させた。この溶液を65℃まで冷却し、開口径8mmのノズルから40℃のデカメチルシクロペンタシロキサンに吐出させ、混合液を攪拌しながら30℃まで冷却し、適切なメッシュサイズの篩またはろ布を用いて外油液をろ過し、寒天ハイドロゲル粒子1(ハイドロゲル粒子1)を得た。
なお、上記寒天水溶液の破断応力は、0.025MPaであり、寒天ハイドロゲル粒子の平均粒子径は1.5mmである。
【0034】
アルギン酸ナトリウムカプセル(ハイドロゲル粒子2)
組成
1 イオン交換水 79.5
2 グリセリン 10
3 1,3−ブチレングリコール 4
4 ジプロピレングリコール 5
5 アルギン酸ナトリウム 1
6 フェノキシエタノール 0.5
【0035】
<製法>
成分1〜6を90℃に加熱して溶解させた。この溶液を80℃まで冷却し、開口径0.5mmのノズルから1%塩化カルシウム水溶液中に滴下し、適切なメッシュサイズの篩またはろ布を用いて外溶液をろ過し、アルギン酸ナトリウムカプセル(ハイドロゲル粒子2)を得た。
なお、上記アルギン酸ナトリウム水溶液の破断応力は、0.12MPaであり、平均粒子径は1mmである。
















【0036】
【表1】

*1:ジメチルポリシロキサンとビニルジメチルポリシロキサンからなるシリコーンの三次元架橋体4質量%と、それを膨潤させる溶媒として、デカメチルシクロペンタシロキサン(4mPa・s(20℃))96質量%が組み合わされたものである。
*2:ジメチルポリシロキサンとヘキサジエンからなるシリコーンの三次元架橋体と、それを膨潤させる溶媒として、ジメチルポリシロキサン(5mPa・s(20℃))が組み合わされたものである。
<製法>
「実施例1〜2 比較例3」
油性ジェルとデカメチルシクロペンタシロキサンを均一に混合した後、ハイドロゲル粒子を混合し均一になるまで撹拌して、皮膚化粧料を得た。
「比較例1〜2」
カルボキシビニルポリマーを水中に溶解し後苛性カリを加えて中和した後、ハイドロゲル粒子を混合し均一になるまで撹拌して、皮膚化粧料を得た。
【0037】
評価方法については下記の通りである。
なお、使用感に関する評価は、全て専門パネル(N=6)による実使用試験(皮膚化粧料を顔面に塗布した)により判定し評価した。
【0038】
<保湿(エモリエント)効果>
○:保湿(エモリエント)効果を感じると評価した専門パネルが5名以上である。
△:保湿(エモリエント)効果を感じると評価した専門パネルが2〜4名である。
×:保湿(エモリエント)効果を感じると評価した専門パネルが0〜1名である。
【0039】
<皮膚上でののびの良さ>
○:皮膚上でののびの良さを感じると評価した専門パネルが5名以上である。
△:皮膚上でののびの良さを感じると評価した専門パネルが2〜4名である。
×:皮膚上でののびの良さを感じると評価した専門パネルが0〜1名である。
【0040】
<皮膚上に塗布した際のカスの残り>
○:皮膚上に塗布した際のカスの残りを感じないと評価した専門パネルが5名以上である。
△:皮膚上に塗布した際のカスの残りを感じないと評価した専門パネルが2〜4名である。
×:皮膚上に塗布した際のカスの残りを感じないと評価した専門パネルが0〜1名である。
【0041】
<皮膚上に塗布した場合のマッサージ効果感>
○:皮膚上に塗布した場合のマッサージ効果感を感じると評価した専門パネルが5名以上である。
△:皮膚上に塗布した場合のマッサージ効果感を感じると評価した専門パネルが2〜4名である。
×:皮膚上に塗布した場合のマッサージ効果感を感じると評価した専門パネルが0〜1名である。
【0042】
<保存安定性>
○:−5℃〜50℃で1ヶ月保存したとき、保存の前後で色や性状の変化が少ない。
×:−5℃〜50℃で1ヶ月保存したとき、保存の前後で色や性状の変化が大きい。
【0043】
<寒天ハイドロゲル粒子(ハイドロゲル粒子)の視認性>
○:透明なガラス容器に入れたとき、外観から、寒天ハイドロゲル粒子の存在が視認できる。
×:透明なガラス容器に入れたとき、外観から、寒天ハイドロゲル粒子の存在が視認できない。
【0044】
<寒天ハイドロゲル粒子(ハイドロゲル粒子)の油相中での均一分散性>
○:ハイドロゲル粒子が油相に均一に分散している。
×:ハイドロゲル粒子が沈降し、均一に分散していない。
【0045】
上記「表1」の結果より、本発明の実施例1及び実施例2は、「保湿(エモリエント)効果」、「皮膚上でののびの良さ」、「皮膚上に塗布した際のカスの残り」、「保存安定性」の全ての評価項目に対して、優れた効果を有していることが分かる。
【0046】
寒天ハイドロゲル粒子(ハイドロゲル粒子3)
組成
1 イオン交換水 68.8
2 グリセリン 10
3 1,3−ブチレングリコール 4
4 ジプロピレングリコール 5
5 寒天 2
6 フェノキシエタノール 0.5
7 イオン交換水 0.8
8 1,3−ブチレングリコール 3.5
9 POE(60)硬化ヒマシ油 0.4
10 流動パラフィン 5
【0047】
<製法>
成分1〜6を90℃に加熱して溶解させた。この溶液を70℃まで冷却し、7〜10を混合乳化した乳化物と混合した後、開口径8mmのノズルから40℃のデカメチルシクロペンタシロキサン中に吐出させ、混合液を攪拌しながら30℃まで冷却し、適切なメッシュサイズの篩またはろ布を用いて外油液をろ過し、寒天ハイドロゲル粒子2(ハイドロゲル粒子3)を得た。
なお、上記寒天水溶液の破断応力は0.02MPaであり、寒天ハイドロゲル粒子の平均粒子径は1mmである。
【0048】
【表2】

*1:ジメチルポリシロキサンとビニルジメチルポリシロキサンからなるシリコーンの三次元架橋体4質量%と、それを膨潤させる溶媒として、デカメチルシクロペンタシロキサン(4mPa・s(20℃))96質量%が組み合わされたものである。
<製法>
「実施例3」
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとシクロメチコンを均一に混合した後、ハイドロゲル粒子を混合し均一になるまで撹拌して、皮膚化粧料を得た。
「比較例4〜7」
12-ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸デキストリン、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル等を90℃に加熱した流動油分に添加後融解し、70度付近まで冷却後ハイドロゲル粒子を混合し静置固化して、皮膚化粧料を得た。
【0049】
「表2」の結果より、油相ジェルに、シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー)と、低粘度のシリコーン油(デカメチルシクロペンタシロキサン)を混合した油性ジェルを用いた本発明の実施例3のみが、他の油分を用いた比較例に比べて、「皮膚上でののびの良さ」、「ハイドロゲル粒子の視認性」、「ハイドロゲル粒子の油相中での均一分散性」の全ての評価項目に優れていることが分かる。
【0050】
寒天ハイドロゲル粒子(ハイドロゲル粒子4〜7)







【表3】

【0051】
<製法>
成分1〜6を90℃に加熱して溶解させた。この溶液を65℃まで冷却し、開口径8mmのノズルから40℃のデカメチルシクロペンタシロキサン中に吐出させ、混合液を攪拌しながら30℃まで冷却し、適切なメッシュサイズの篩またはろ布を用いて外油液をろ過し、それぞれの寒天ハイドロゲル粒子(ハイドロゲル粒子4〜7)を得た。
【0052】
【表4】

*1:ジメチルポリシロキサンとビニルジメチルポリシロキサンからなるシリコーンの三次元架橋体4質量%と、それを膨潤させる溶媒として、デカメチルシクロペンタシロキサン(4mPa・s(20℃))96質量%が組み合わされたものである。
<製法>
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーと寒天ハイドロゲル粒子を室温にて混合することにより、実施例と比較例の皮膚化粧料を得た。
【0053】
寒天水溶液の破断応力が本発明で規定する範囲(0.005〜0.1MPa)にない比較例8及び比較例9は、「皮膚上に塗布した場合のマッサージ効果感」若しくは「皮膚上に塗布した際のカスの残り」の効果に劣っている。
これに対して、寒天水溶液の破断応力が本発明の要件を満たす実施例4及び実施例5は、「皮膚上に塗布した場合のマッサージ効果感」及び「皮膚上に塗布した際のカスの残り」に優れた効果を有していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の皮膚化粧料は、特定の寒天ハイドロゲル粒子を特定の油性ジェル中に分散させることにより、その使用感に優れ、また、寒天ハイドロゲル粒子の視認性に優れた皮膚化粧料として極めて有用である。特に、適度なマッサージ感を有する、スキンケアを目的とするマッサージ化粧料としての利用価値が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却固化後の破断応力が0.005〜0.1MPaとなるよう調製した寒天水溶液を油性溶媒中で攪拌しながら冷却して得られる平均粒径が0.2〜5mmの寒天ハイドロゲル粒子と、シリコーンを化学的に3次元架橋した微粒子とシリコーン油及び/又は炭化水素油とを混合した油性ジェルとを配合することを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項2】
前記寒天ハイドロゲル粒子の配合量が、皮膚化粧料全量に対して1〜80質量%であることを特徴とする請求項1記載の皮膚化粧料。
【請求項3】
前記皮膚化粧料が、マッサージ化粧料であることを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚化粧料。

【公開番号】特開2012−62289(P2012−62289A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209297(P2010−209297)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】